ニーネン=シャプチ軍(
檀語:
Nînen-shapch-jempedût)はニーネン=シャプチ陸戦軍、ニーネン=シャプチ星系軍、招民院警察、PTU(新タイユ=ウェグナ)の4つの軍を保有する
ニーネン=シャプチの軍隊である。
星系軍
艦隊
1739年までは艦隊名を提督の名前に由来していた。同年以降は「所属院+番号+種別+"艦隊"+愛称」のように統一した。
- 招民院第一護衛艦隊 "Ile-efiûlaft"
- 愛称はイレ=エフューラフト艦隊(Ile-efiûlaft kun-stîjaich saisbêgh / 秩序の継承者 - 議会民主主義国)。
- マーカス内戦時前後にはニーネンミューチ艦隊と呼ばれていた。
- 「エフューラフト」はニーネン=シャプチの雅称。
- 招民院第二護衛艦隊 "Snâtpnaut"
- 愛称はスナートプナウト艦隊(Snâtpnaut kun-shtomâsh hashie / スナートプナウト - シュトムの先駆者)
- ニーネン=シャプチ建国初期の有名な軍人ヤイユワン=ラ=ダイユン=スナートプナウト提督の名に由来。
- 招民院第三護衛艦隊 "Shangguentaiu"
- 愛称はシャングエンタイユ艦隊(Shangguentaiu jou tabtaiu / タヴタイユのための栄光)
- 中世チャグマ=ダプラの悲運の名将ヤンペスウィジャイ=ダヴダイユの名に由来。
- 招民院第四護衛艦隊 "Nînemmiûch"
- 愛称はニーネンミューチ艦隊(Nînemmiûch gang-sunsha / スンシャ - 獣人の希望)
- 人工獣人"スンシャ"に対する雅称に由来。
- 招民院第五護衛艦隊 "Enatrât kta-pnaiût"
- 愛称はエナトラート艦隊(Enatrât kta-pnaiût / エナトラートの偉大なるプナイユたち)
- 第二次宇宙大戦以降この名称は廃止されたがアイプゴン自治国との再統一で復活。アイプゴン自治国では第一艦隊の愛称として存続していた。
- 名前の由来はジャフーグ南部大陸(ファウ北部)の巨大な海蛇の姿をした神様たちの民間伝承に因む。
- 招民院第六護衛艦隊 "Shapchsengga"
- 愛称はシャプチセンガ艦隊(Maglang-galanggâsh shapchsengga / マグラン=ガランの栄光)
- 名前の由来はニーネン=シャプチ建国の父マグラン=ガランに由来。
- マーカス内戦時には「Taiu-uegnâsh ile-tafrabêda / 運命の過失による革命」という愛称だった。
- 招民院第七護衛艦隊 "Fauchapghaliepnench"†
- 愛称はファウチャプガリェプネンチ艦隊(Fauchapghaliepnench kun-taiu-uegna / タイユ=ウェグナ - 薄濡れの花)
- 第二次宇宙大戦以降に解体。
- 命名は元星衛主席スニャールフィエに由来。
- 招民院第八護衛艦隊 "Drabanggh"†
- 愛称はドラヴァング艦隊(Shptai-drabanggh / 泥濘の踏破)
- 第二次宇宙大戦以降に解体。
- 命名は元星衛主席ナプトーの標語「泥濘の踏破」に由来。「泥濘の踏破」自体はダン=ラ=ハン帝国第一王朝及びギール人スナエード(スナウディエン)の惑星征服の歌に由来。
- 招民院第九護衛艦隊 "Sniâllhlai"†
- 愛称はスニャールヒュタイ艦隊(Sniâllhai jou-yûlau iloeshki / 亡き同胞のための復讐)
- 第二次宇宙大戦末期に若年将兵をかき集めて編成された臨時艦隊。
- 士気旺盛だったが練度不十分かつ深刻な物資不足の中で奮戦したものの、ゾッとするような悲惨な最期を遂げた。
- そのため招民院では9という数字が縁起の悪いものとみなされ、欠番扱いになっている事例が多い。
- 招民院第一機動艦隊 "Snauchpghât"
- 愛称はスナウチプガート艦隊(Snauchpghât impnaui / 翡翠色の台風)
- 名前の由来はアクース内戦で活躍したエースパイロットのフラシュカ=ラ=フシェーダウ=ヴァーグファルマの異名から。
- 招民院第二機動艦隊 "Rafiltrem"
- 愛称はラフィルトレム艦隊(Rafiltrem kun-yûlan / 統一 - ラフィルの庭園)
- 名前の由来は古代スモラヌンプラエ教神話に存在する古代人ラフィル人の庭園(=神々の地 - Rafiltrem)に由来。
- 招民院第一親衛艦隊 "Mengktamshapch"
- 愛称はメンクタムシャプチ艦隊(Kapniâgh-uijai kun-mengktamshapch / カプニャーグ博士の栄光 - 静謐のシャプチ)
- 名前の由来はニーネン=シャプチ建国の母ヌスューチ=ラ=ナチェウ=カプニャーグ博士の名と彼女の代表的著作に由来。
- その名の通り昔から本土(チャグンセーグ星系)防衛を務める。
- 第二次宇宙大戦までは枢密院が指揮する艦隊だった。
- 招民院第二親衛艦隊 "Danajurâch"
- 愛称はダナジュラーチ艦隊(Ile-chedishâshka danajurâch / 偉大なるチェディシの理想)
- 名前の由来は宗教統一によってスワーシャカーチェ集約神教を作り上げたモニエ=フタウ=チェディシに由来。
- 第二次宇宙大戦までは「Efiûlaftâsh ile-shenafût / エフューラフトの偉大かつ高潔なる戦士」という愛称であり、同名の愛称は枢密院第三親衛艦隊に割り当てられていたが第二親衛艦隊に統廃合された。
艦種
旧代戦艦
旧代戦艦(檀語:prasoech、プラセーチ)は
ニーネン=シャプチが1679年まで運用していた艦種。典型的な船型宇宙船の見た目をしており、大口径の全周砲塔を上下両面に配置していた。
1342年のシャプチ革命によるニーネン=シャプチ建国から
大宇宙諸国と接触する16世紀後葉までの約400年の間テクノロジーの進化に合わせて設計も進化してきた。
主力戦艦
主力戦艦(檀語:shchangkroukch、シチャンクロークチ)は1622年から現在に至るまで運用している艦種。旧代戦艦を更新する名目で創設され、六角錐型が特徴的な見た目をしている。錐の底面には巨大な円盤状の反重力スラスターが設置されており、通常時はこちらを上にして水平方向に航行する。側面には戦艦にしては小さい口径の主砲が並んでいる。時代によっては頂点付近に艦載機カタパルトを備えているものもある。
通常、攻撃時は反時計回りに回転しながら攻撃を行う。六面ある側面部が敵艦と正対する位置に来るとその面の主砲を一斉砲撃する。回転する理由はいくつかあり、ニーネン=シャプチの艦載砲の欠点である装填速度の遅さを補うため、ダメージを分散するため、自艦の砲塔へのロックオンを逸らすためなどがある。
また、宇宙港だけではなく地表面にも着陸することが可能。六角錐の形状が大気圏突入時の航行をしやすくしている。
艦内は居住性が確保されており、食堂や売店、娯楽施設、外交官用の会議室などが併設されている。
他国の標準的な戦艦と比較して重装甲だが低火力。継戦能力が高く、後述の護衛戦艦と陣形を組めばさらにその能力が高まる。
護衛戦艦
護衛戦艦(檀語:lalhim-prasoech、ラヒン=プラセーチ)は1720年代に登場した艦種。外見は八角錐に近い。
電力照射で主力戦艦にエネルギーを供給することで主力戦艦の継戦能力を劇的に向上させることができる。陣形を組んで行う艦隊決戦のために建造された戦艦。護衛戦艦自体の火力は低く、巡洋艦程度のものしかないが、主力戦艦に劣らない装甲と強力な発電設備を持ち合わせている。機動力は劣悪。
惑星強襲艦
惑星強襲艦(檀語:)は1650年代に登場した艦種。惑星侵攻に特化した戦闘機母艦であり、地上軍兵器や降下部隊も搭載している。そのため通常の戦闘機母艦に比べて宙域戦闘能力は低いが、惑星侵攻が可能であり、侵攻軍の支援・補給もこなす。外見は八面体に近い。
特殊強襲艦
輸送機母艦
トラームー艦
トラームー(檀語:trâmû)は1580年代に登場した艦種。トラームーとは、庭園・天国を意味するトレムの派生語であり、「庭園を運ぶ乗り物」という意味がある。その名前に似合わず、戦闘巡洋艦(重巡洋艦)であるトラームーは強力な主砲と重装甲に特化した代償に機動力を犠牲にした艦隊戦闘用の巡洋艦であり、主力戦艦や護衛戦艦などの主力艦隊に追従して大規模艦隊戦闘の中核を担う。
最初期から四角錐型の船体である。
シュトム艦
シュトム(檀語:shtom)はダン=ラ=ハン帝国時代からある艦種。シュトムとは「建築・造船の技術」という意味で、ダン=ラ=ハン帝国の原子力革命時代の高度技術発達期の専門化されたスガイユン連合によって発明された。最初期のシュトム艦は大気圏内で活動する大型飛行艇の名称として存在したが、宇宙進出後はシュトム飛行艇は廃れ、代わりに軍用宇宙船の名称に使われた。
シェドゥーチャやトラームーが登場してからは高速巡洋艦(軽巡洋艦)という立ち位置になり、機動性が重視された反面、装甲と火力は大宇宙の標準的な巡洋艦に比べてやや劣っている。
1620年代に大規模な設計変更が行われ、三角錐型の船体になった。
戦時では偵察や船団襲撃・船団護衛などの任務をこなす他、大規模な艦隊戦にも小型艦として参加することがある。
シェドゥーチャ艦
シェドゥーチャ(檀語:shedûcha)は1610年代に登場した艦種。「く」の字型の縦長船体が特徴的な駆逐艦クラスで、「狙撃砲艦」とも呼ばれる。長射程・大口径の主砲を持つが、装甲と機動力は低い。「自艦よりも大きな宇宙船を射程外から仕留める」ことをコンセプトとしているため、実力が伴っていれば重巡洋艦クラスを一方的に撃破できる可能性を秘めているが、小口径砲はお守り程度の数しかなく、戦闘機隊・攻撃機隊に襲撃されればあっという間に撃沈されてしまうという駆逐艦クラスとしては致命的な弱点がある。
ニーネン=シャプチ軍の歴史
建国時代
時期:1325 - 1426年
1325年、ダン=ラ=ハン帝国の各地で
シャプチ革命が発生。革命テロ組織
タイユ=ウェグナ及びシャプチ教信者団を率いた
マグラン=ガランらは
シャプチ革命軍を結成し、
帝国軍に対して組織的な武力蜂起を以てダン=ラ=ハン帝国の転覆を目論んでいた。1339年には同革命最大の艦隊戦
プダージ星戦では、衛星
プダージ軌道上にてヤイユワン=ラ=ダイユン=タ=スナートプナウト提督が帝国軍主力艦隊を打ち破り、シャプチ革命軍の優勢を象徴づけた。
1342年、
マグラン=ガラン初代星衛主席によって
ニーネン=シャプチが建国される。ニーネン=シャプチはシャプチ革命で軍備をほぼ失った状態から始まり建国と同年にニーネン=シャプチ陸戦軍が組織され、ニーネン=シャプチ星系軍は翌年の1343年となった。特に星系軍は旧帝国軍から接収した5隻の軍艦とシャプチ革命軍の4隻しかおらず、それ以外の軍艦は革命時の混乱で破壊されたか、反動派に強奪されている。
ニーネン=シャプチの黎明期は情勢が非常に不安定な時期であった。反乱軍や暴徒によって国内インフラの復興が遅延した。スナートプナウト政権下では大小様々な鎮圧作戦が行われ、兵器の改良が進んだ。その中でヴィドー砲と反水素魚雷が旧代戦艦の標準装備となった。また、スナートプナウト政権後は軍事法整備が行われ治安が改善されたが、1400年頃からは
宗教民族闘争で再び反乱が頻発し、鎮圧のために招民院警察が頻繁に出動した。
当時は陸宙共に実体弾(銃弾・砲弾)が多く用いられていた。歩兵の小銃はサブマシンガンであり、迫撃砲には火薬が用いられていた。艦種は旧代戦艦と巡洋艦、駆逐艦の三種が用いられた。
◆ジェルデヴァンス級旧代戦艦
プダージ星戦時の主力となった有名な旧代戦艦。試作のヴィドー砲を搭載しており、従来の戦艦に対して驚異的な破壊力を持っていたとされる。プダージ星戦の時は一番艦のジェルデヴァンスが革命軍艦隊の旗艦であり、スナートプナウト提督が乗艦した。ニーネン=シャプチ建国後も反乱軍の鎮圧としてスナートプナウト提督はこのジェルデヴァンスに乗艦し続け数度の近代化改修を繰り返しながらも、ジェルデヴァンスの退役までの間スナートプナウト提督はこの艦から艦隊に指示を出していた。
退役後は解体されたものの艦橋と二番砲塔までの一部が保存され、現在では惑星
チャグマ=ダプラのアーフェンにある国立革命記念博物館に展示されている。
集約神教時代
時期:1427 - 1537年
第12代星衛主席モンケンプトゥーム政権下で陸戦軍及び星系軍の規格が統一された。また、貴族の私兵が法的に禁止され、国民軍のみになった。
「反動派」に認定された国民は不当な連行、略式裁判、処刑によって財産を奪われたり、最悪の場合、一族全員が死亡するなどした。モンケンプトゥームの行ったこのような国民統制は招民院警察によって行われた。過剰な国民統制の再発防止のために、非人道的な国民への統制に対し招民院警察が星衛裁判所(現在では独立裁判所)の認可を受けることで星衛参事会の命令を無効にする行政執行権返上法が施行された。
その後はスワー=マ=カラン教過激派集団「神罰団」の大規模鎮圧作戦以外に目立った内乱はなく軍隊の出動頻度も落ち着きを見せた。戦車がホバー化し、ホバータンクが陸上機甲兵器として採用された。軍艦の技術革新は停滞がちであった。また1537年にはエフューラフト国立天文台が銀河の反対側で無数の高エネルギー帯を観測し星系外で大規模な艦隊戦が行われていることが判明したが、この事実は1588年まで機密情報として秘匿された。なお、この艦隊戦はエルミア革命及びグロスクロイツ共産主義革命のものであった。
再選参事会時代
時期:1544 - 1611年
1544年、エフューラフト国立天文台は「外宇宙の知的生命体による星間国家はほぼ間違いなく存在する」と発表し、全国的なムーブメントを巻き起こした。招民院軍部も同様に外宇宙人による侵略を想定して再軍備を開始した。
技術面でも様々な革新が起こった。反重力航法の実用化で容易に浮遊が可能となり、従来の乗り物を塗り替え、反重力ホバーや反重力船が登場した。反重力推進装置は従来イオンスラスターを用いていた旧代戦艦などの艦艇にも導入が進められた。また、ニーネン=シャプチ初の光学兵器である試作型荷電粒子砲、次いで実用光学兵器のトゥエンガビーム砲が開発された。
インフラ面では経済成長による慢性的な電力不足を解決する反物質発電が実用化され、後に荷電粒子砲部門を大きく牽引することとなるフィエシ粒子が発見された。
◆ブゲイヴァン級旧代戦艦
外宇宙人の侵略に対して、ニーネン=シャプチ軍の国防の中核を担った旧代戦艦。旧代戦艦技術の成熟期に相当する戦艦であり、1588年から1602年にかけて10隻が就役した。反重力両性重力エンジンを搭載していた。
邂逅時代
時期:1611 - 1660年
ニーネン=シャプチが外宇宙との接触の準備、あるいは実際にファーストコンタクトを取った時代である。
1614年の
シ=ギーラム事変では
ジエール帝国連邦との予期せぬファーストコンタクトにて艦隊同士の衝突が発生し、国際標準武装との大きな乖離から不利を強いられた教訓から、宇宙船設備の国際標準化は図られ、
エネルギー・シールドの導入やワームホールエンジンの搭載が進められた。この事件をきっかけに国際銀河社会へのコンタクトに慎重だったタルノー政権は1625年、
大宇宙連合会議への加盟を決定した。
続く1629年の
ロフィルナ連邦共同体とのファーストコンタクトではエールミトナ星系第7惑星ゲフレイバール付近でロフィルナ連合艦隊と衝突した
ゲフレイバール事件が発生したものの、旗艦であるネルトリーア級巡航戦艦ネルトリーア艦内への突入に成功し、艦隊戦をわずか数時間で終結させた。このことは招民院軍部にとって技術革新によって政治的影響の絡む事件に対する対処に成功したという立場を取った。一方でワープ専用艦の戦略的脆弱性が課題となった。結果的には、ロフィルナ政府に対して技術力の差を見せつけたことによりその後しばらく外交的優位を取ることにも成功したと見なされている。
1660年までの平和な時期において、ニーネン=シャプチでは外国からもたらされる技術によってイノベーションが起こり、国内の固有技術にも影響を及ぼした。特に軍艦の進歩は著しく、招民院軍部は主力戦艦構想を20年繰り上げて最初の主力戦艦カヴマー級を竣工させるなど政府は国外への影響力を高めていた。
1633年に竣工した
ヴァルエルク共和国の弩級戦艦スムルタファイカルは国際社会に衝撃を与え、建艦競争が始まった。ニーネン=シャプチも建艦を推進したが、ヴァルエルク共和国やベリオン共和国、あるいは
マーカス連邦などの大国の軍備と比較すると数歩遅れていた。このような状況から、限られた数の軍艦を最大限に活用するために
消耗抑制ドクトリンが考案され、持久戦による勝利を狙った艦隊構想を追求してゆくこととなる。
◆ウィジャナスラナント級旧代戦艦
ウィジャナスラナントはニーネン=シャプチが開発したヴィドー砲としては最大サイズの9号ヴィドー砲を搭載していた最後の旧代戦艦である。8重電磁反応装甲や砲塔配置の全周化など実験的な装備を施されており、次級のカヴマー級主力戦艦への過渡期にあった旧代戦艦として位置づけられている。特に一番艦のウィジャナスラナントは
シ=ギーラム事変、
ゲフレイバール事件、ゴルギア時代の
レーウス条約機構軍に参加し惑星ヒェルニエなどの地上部隊支援を行うなどの活躍を見せた。
退役後は1663年まで試作型フィエシ砲を搭載できるように改装し、新兵器を搭載して運用実験を行う実験艦や招民院士官学校で訓練用の練習艦として運用された後、1679年にまでにウィジャナスラナント級の全艦が解体された。プダージ招民院軍艦博物館にはウィジャナスラナントの艦橋と主砲区画の一部が展示され、2000年時点の現在でもこれらを見ることができる。
◆カヴマー級主力戦艦
ニーネン=シャプチ初の主力戦艦として有名な
カヴマー級は旧代戦艦を置き換える目的で計画され、建造から既に別の艦種として扱われた。このことは最高軍事機密として扱われ、進水時まで厳重な情報警戒網を敷いていた。 ニーネン=シャプチにおける近代化の象徴とされ、
大宇宙連合会議の列強国諸国に対抗できる戦艦として一躍有名となった。 また、艦の主砲としては初めて荷電粒子砲系統のフィエシ粒子砲が搭載された。六角錐型のシルエットで回転しながら断続的に攻撃をするという特徴的な戦闘スタイルはニーネン=シャプチが採用した
消耗抑制ドクトリンの持久戦に合致していたとされる。
多くの戦闘に参加したが時代を先取りした設計が故障や事故の頻発を招き、信頼性低さが目立ったことから、大きな戦果を挙げるには至らなかった。しかしながら、カヴマー級で得られたデータやノウハウは次級のツィルヌント級、マグラン=ガラン級、ウィムーツァ級、チェディシ級などの以降の主力戦艦の設計に活用され、艦隊主力の地位を確かなものにしたこともまた事実である。
ゴルギア時代
旧ボルガード宙域は先の大革命時代において
エルミア帝国からの支配を脱することができたものの、無政府地域と化していた。そんな中、1556年に行われた
ゾラック会談では、
エルミア共和国や
ベリオン共和国、
グロスクロイツ社会主義共和国連邦などによって旧ボルガード領の分割統治が行われ、ボルガード人に対する非人道的強制労働が行われた。また、この時にゾラックを含めた20の惑星で地下資源の大規模採掘が行われ、大半の惑星ではほとんどの地下資源が枯渇した。各国は収益源のために開発を事実上放棄したため、旧ボルガード宙域の各地では1640年代時点では国家として独立できるほどの強力な統治機構を持たなかった。
1620年代、さらに領土拡張を目論む
ベリオン共和国や
グロスクロイツ社会主義共和国連邦などといった
大宇宙連合会議加盟国の列強諸国に支配される恐れでてきた。これに追い打ちをかけるように異常気象による大飢饉で惑星規模の人口が餓死。この状況を打開すべく独立運動が盛んとなった。しかし、大宇宙列強諸国はこれを快く思わず、そして大宇宙連合会議は旧ボルガード宙域の領土係争に関して介入と非介入の間で揺れ動いていた。
1641年、代表者
ウィケーウィシアが大宇宙連合会議国家承認委員会にゴルギア国の独立を認めるよう請願。しかし、大宇宙連合会議国家承認委員会は
ウィケーウィシアらによる政府を一方的に糾弾し、「
反社会的勢力」と認定。更に追い打ちをかけるように同政府を
ダクラーシュ民族評議会が「特定の反体制派勢力」に認定し、抗議声明を発表した。
ウィケーウィシアの急進派部下らはこれに反駁し、テロ組織
ゴルギアを設立。銀河各地でテロ活動を行う混迷の時代が訪れた。
ゴルギア時代では建艦競争の時期を更に上回る星系軍の拡充が狐の目党の第40代星衛主席
ヴェーグファダ=ツァニェー政権下で図られた。ツァニェーは国内の統制を強化しつつ、成熟しつつある主力戦艦技術を用いてゴルギアに対して工業力で上回ることでゴルギアによるテロ行為を抑制する政策を採用した。
一方、隣国のロフィルナでは1636年から
第四次ロフィルナ内戦が勃発し、ニーネン=シャプチ領内のロフィルナ人居留地及びロフィルナ領内のニーネン人居留地で戦闘が発生したため、ニーネン=シャプチ招民院星系軍が出動していた。
この時代、主力戦艦の継戦能力を向上すべく新たに
護衛戦艦(
Ralhim-prasoec)という艦種が誕生した。ゴルギア時代前半期の主力戦艦クラスではマグラン=ガラン級(六代目)、ウィムーツァ級、チェディシ級、ニョルカ級、ティフヌーチ級、ゴルギア時代後半期の主力戦艦クラスではコリモ級、ヒルヒュティー級、タルノー級、スムラントプリャーチ級、ペク=ネガーシ級、アプラニ級が就役した。この内、前半期の主力戦艦はそのほとんどがゴルギア関連の任務に参加した。中にはレーウス条約機構軍への派兵に協力したものもある。また、ヴァルエルク共和国軍の
スムルタファイカルに倣って弩級戦艦
スナンコンスナーチ級二隻が1685年に就役した。
◆ニョルカ級
1652年、
アクース連邦との国交樹立。使節団の派遣や大宇宙連合会議への参加についての取り決めが行われた。この一連の出来事はニーネン=シャプチがアクース連邦とのファーストコンタクト時に行われ、ニョルカ級主力戦艦一番艦ニョルカの艦内にて行われた。ニョルカ級は艦隊主力としての主力戦艦の役割だけでなく、国家の外交に関わる任務や惑星地表面への上陸などの多目的機能の充実が図られた。ニョルカには招民院外交官が乗務しており渡航先での条約締結が可能であったため、ニョルカ条約の締結に至ったのである。このような多目的機能の充実はニョルカ級以降の主力戦艦にも受け継がれていった。
◆スムラントプリャーチ級
ゴルギア時代終盤に就役した主力戦艦。星系軍艦艇としては初の連装フィエシ粒子砲を搭載し火力を高めた。反面、火力の増強によって電力消費量が格段に増加し、護衛戦艦の電力援護なしでは継戦能力に問題があったとされている。同型艦が13隻建造され、その全てが喪失を免れている。また、一番艦のスムラントプリャーチ、二番艦のサグナシャーグ、四番艦のユダナジューチ、九番艦のセタイユはとりわけ戦績を残し、プダージ軍艦博物館に一部が展示されている。
◆スナンコンスナーチ級
ヴァルエルク軍の弩級戦艦
スムルタファイカルに影響されて作られた決戦級戦艦。1685年に就役した。当時としてはまだ実験段階だった三連装重フィエシ粒子砲を24門搭載し、755cmのS合金装甲、6基の
エネルギーシールドジェネレーターを備えた攻守共に圧倒的な戦艦であった。艦載機はなく、機動力は劣悪で信頼性にも問題があった。また、主機発電機の反物質炉からガンマ線が漏出する事故が発生したものの、ニーネン=シャプチ招民院はその詳細を1710年まで公開しなかった。
後の時代の対外戦争である
ジエール・サーヴァリア戦争で活躍したものの、当初期待されたほどの戦績を残すことはできなかった。
星系間通信時代
高度ロボティクス時代
サクトマンク時代
兵力
ニーネン=シャプチ軍は陸戦軍、星系軍、招民院警察、新プナウ=ジェクチの四つからなり、
シンテーア暦2000年時点での総兵力は約109万人のうち、陸軍37万人、星系軍41万人、招民院警察16.7万人、PTU(新タイユ=ウェグナ)9.2万人、その他機関万人5.3万人である。国外駐在兵力は約4.1万人で、ロフィルナ連邦共同体に2.3万人ベリオン共和国本星系に1.1万人、大宇宙連合会議旧ボルガード宙域委任統治領「
モンタク代理政府」に4000人、その他の地域に3000人を派遣している。軍隊は志願制である。人口の約0.5%が軍事に直接関わる仕事に携わっているとされる。
関連項目
最終更新:2022年12月10日 23:27