頭にシニヨンキャップ、右腕全体を包帯でグルグル巻きにしているのが特徴。
二つ名に「 片腕」とある通り、包帯に包まれた右腕は実体が無い。
左手首には、鬼である 萃香や 勇儀と同じく鎖のついた鉄の腕輪をつけている。
胸元に花の飾りがあり、服の前掛けの部分には茨の模様が描かれている。
服や髪の色については、第1話の時点ではカラーページが無かったので不明だったが、
第2話にてカラーページが掲載され、髪は赤系ピンク、服は白とワインレッド、スカートは黄緑色と判明している。
妖怪の山に屋敷を構え、そこで暮らしている仙人。
「 河童の腕(という名のマジックハンド)」が博麗神社に奉納されていた事を聞きつけ、
霊夢がそれを御神体として祀り上げようと画策しているところに姿を現す。
その一件から霊夢たちに興味をもち、博麗神社にも頻繁に顔を出すようになった。
実は作中で初登場した時点で 魔理沙や霊夢とは既に何度も会っていたが、この時は特に深い知り合いという訳ではなかった。 しばしば人間の里にも現れてありがたいお 説教をしているとの事で、人里ではそれなりには知られている。
また妖怪の山に居を構えているという関係上、 守矢神社の面々とも面識がある。
いつ頃から仙人をしているのかは定かではないが、『神霊廟』の時からおよそ30年前の 文々。新聞で仙人として紹介されている為、
少なくともそれ以前から修行しているようである。
説教臭い言動と人格者的な行動は、概ね仙人らしい性格であると言える。
小町曰く「人間に有って当然とするレベルの欲」丸出しの霊夢に対し、
「 バカモノー!!」と激怒し目に余るものと見る辺り、判断基準も厳格である。
今の幻想郷の在り方について本気で心配したり憂いている数少ない人物。
有毒ガスや怨霊が湧き出す博麗神社の間欠泉を独断で封鎖する等の行動も取っている。
目的のためなら手段はあまり選ばないタイプで、小町に注意されたにも関わらず、
間欠泉から溢れだした怨霊を理(輪廻転生)に反して消滅させるなどの暴挙にも及んでいる。
こうして陰ながら幻想郷のために行動しているのだが、幻想郷の住人はそんな予想の斜め上をいくことが多く、
行動の多くは空回りしている。
それでも東方シリーズでは珍しい明確な人間の味方で、霊夢も彼女には逆らえない。
堕落していると華扇から説教された際、普段から積極的に修行をしない霊夢も華扇の言葉には逆らわず修行していた。
ただその実態はおよそ修行とは言い難い肉体的な拷問であったのだが。
一方で独白や事情を知っているらしい小町との会話では、自身が道教の宗教家であるという自覚が薄かったり
「仙人らしさ」という外面を取り繕うことに腐心しているなど、仙人を装っているとも取れるような物言いがある。
むしろわかりやすく上滑りしやすい厳格さは、必死に仙人らしく振る舞おうとしているが故のものであるとも取れる。
PS4版『 東方深秘録』での 鈴仙・優曇華院・イナバによるお馴染みの波長性格診断では「(性格の波長が)恐ろしく長い」と言われ、
「感情豊かに見せても心の奥底は冷淡で、非人間的な…」と評されている。
また仙人なのに意外に甘党で大食らい。幻想郷の住人らしく酒にもかなり強い。
「茨木の百薬枡」という一升枡の魔法の酒器を持っていたり、酒の醸造にも何故か詳しい。
能力の一つに「動物を導く」とあるように、彼女の行動には人間を助ける以外にも、動物を守るという側面も含まれている。
鷹や龍などを使役する術の他、動物たちをあるべき姿へと導く姿も見せる。
人間に怪我を負わせたマミ(狸の事。 マミゾウでは無い)に人間へ謝罪させて彼らの妖怪化を防いだ他、
ゲスト出演した『東方三月精』では、人を襲って妖怪化したヤマイヌを諭し、人を守る妖怪へと変えている。
一方、妖怪に対しては人間や動物よりも距離を置いており、妖怪に対して説教等の無闇に挑発的・攻撃的な言動を取る事は無い。
霊夢による妖怪狐への仕置を窘めるなど、 妖怪に対する過剰な敵対的対応には否定的だが、妖怪へ肩入れする事も殆ど無い。
『 東方深秘録』にて弾幕アクションにデビュー。
体験版の時点から登場しており、書籍出身のキャラクターとしては初の弾幕アクションへの参戦となった。
ニュートラルポーズは 見覚えのある片足立ち。
飼っている大鷲「竿打(かんだ)」や、幻想入りしたアザラシ「万歳楽(まんざいらく)」といった動物を駆使して戦う。
動物以外でも光球の弾幕や伸びる腕など、使用技は書籍に忠実。
ストーリーにも密接に関わっており、異変の解決に向けて尽力している。
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彼女の正体 |
ここまで見た中で、ある仮説が思い浮かばないだろうか。
それは、「彼女は人間では無く鬼なのではないか」というものだ。
今の時点では仮説の域を出ない話だが、彼女が鬼である事を示すものは作中にも元ネタにも数多く存在する。
まず、名前の由来。「茨木」という苗字から、茨木童子であると推測出来る。
茨木童子は酒呑童子の家来であり、星熊童子と共に四天王とされている。
源頼光によって退治された際に頼光の仲間の一人・渡辺綱と戦い、その末に「腕を切り落とされて」おり、
彼女の右腕が無いという点が共通する。
その姿においても、上述の通り、鬼である事を示す鎖のついた鉄の腕輪が存在している。
また、二つ名に「有角」とある通り、彼女もどこかしらに角を有している事も推測出来る。
少なくとも見えている範囲には角らしきものは確認出来ないが、
シニョンキャップで隠れた部分に角があるのではと見られている。
ちなみに、角がある仙人という事では、インドの一角仙人も由来とされている。
また、本人の言動と行動にも理由は存在する。
彼女は鬼である伊吹萃香の事を意図的に避けて行動しているのだ。
現在の自分を萃香には知られたくないらしく、彼女が現れるとそそくさと身を隠して退散する。
「こんな事をしているのがばれたら、何を言われるか判ったもんじゃない」だとか、
「今の私はあいつ(萃香)と顔を合わせる訳にはいかない」などとも漏らしており、
茨木童子と酒呑童子の関係同様、両者が旧知の仲である事は確実と言えるだろう。
これだけの確からしい証拠物件が揃っているが、霊夢たち周囲の人々は華扇のことを仙人と呼びそう扱っており、
本人も自分のことを「ただの行者」としている。ただ、 紫など正体に気付いている者も少なからずいるようで、
その正体については今後明らかにされていく事だろう。
ちなみに、人間以外の種族である鬼が仙人になれるのか、という疑問が生じるかもしれないが、
『求聞口授』で仙人になった天狗の話題が登場しており、鬼が仙人になれる可能性も考えられる。
と言うか古典中の古典『西遊記』の 孫悟空からして 猿の仙人であり、他にも妖仙(人外の仙人)は多数登場するのだから、
別段不思議でもなければ東方に限った話でもない。
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