第1世代
ブースターは イーブイ進化系の一角として初代から登場。当時の特殊の高さは、炎タイプの中では伝説ポケモンのファイヤーに次ぐほどだった
(ファイヤーの特殊は125)。
しかし炎タイプは役割がほとんどなく、初代において不遇だった。
一見、最強タイプの一角だった氷タイプに効果抜群をとれるというこれ以上無いアドバンテージを持っているように見えるが、
当時は 炎タイプに氷耐性がないので、今とは違って当時驚異的な性能を持っていた「ふぶき(以下「吹雪」)」でごり押しされていた。
加えて、第一世代の氷ポケモンの殆どが水タイプを併せ持っていた( ラプラス、ジュゴン、パルシェンなど)ので、
炎は等倍であり別に弱点ではなかった。 と言うかメインウェポンの水タイプのわざで返り撃ちにされていた
(技スペースの問題で当時は水タイプのわざを入れていない水ポケモンも多かったが、
それだけ炎タイプが相手にされていなかったという裏返しにも……)。
フリーザーやルージュラは水タイプを持たないので炎が弱点だが、それでも上記のように吹雪でごり押しされる。
草タイプに対してはしっかり有利が取れていた……が、
当時は「みず/じめん」とか「みず/でんき」とかいう気の効いたタイプ組み合わせなど無かったため、
対水なら電気、対地面なら水・氷と、別に草タイプを好んで使う必要はないという具合であった。
と言うか対水ではサブウェポンの吹雪で返り打ちにされる宿命であったため、 草タイプ自体があまりお呼びがかからなかった。
そんなタイプに有利が取れても大して意味が無かったのである。
このように、 ブースター以前にまず炎タイプが不遇であった。
そしてブースター自身はと言うと、
- 130という高い攻撃種族値を活かせるタイプ一致技がなく、タイプ不一致「はかいこうせん」もしくは「のしかかり」が関の山
(※当時の炎技は全て特殊であり、物理技も全てタイプ不一致であった。他の物理技も「でんこうせっか」以外はほぼ使い物にならない)
- お世辞にも高いとは言えない65という素早さ種族値の為、 他の炎タイプポケモンとの差別化さえ難しい
等、ただでさえ涙目になりがちな炎タイプのなかでも筆頭級の不遇ぶりであった。
一応、先制できる限りほぼ永遠に相手の動きを封じる「ほのおのうず」が強力だったが、それでも当時最強クラスの氷やエスパーには及ばず。
能力的に決して弱くは無いが、L50以内で「かえんほうしゃ」を覚えられず、「ほのおのうず」の使い手の中では最も遅い。
素早さが高く、「ほのおのうず」、「かえんほうしゃ」や「あなをほる」を覚えるキュウコン、
「じしん」、「じわれ」、「きりさく」を使えた リザードンがいたので需要は低かった。
それでも、当時炎タイプポケモン第2位の特殊値もあり、タイプ一致「かえんほうしゃ」や「だいもんじ」等フォローの手段があった分、
遥かにマシではあったのである。
ステータス種族値が特攻と特防に分かれた後の真の不遇ぶりに比べれば……
第2世代
鋼タイプや「にほんばれ」などの登場もあり、炎タイプの相対的な見直しが行われた。
物理技のサブウエポンとして「めざめるパワー」、ウインディや エンテイは覚えられない「シャドーボール」を習得。
しかし炎技は相変わらず全て特殊技扱いで、高い攻撃を活かそうと思ったらやはりノーマルなどの不一致技に頼らざるを得なかった。
特殊が特攻と特防に分かれたために、「だいもんじ」や「かえんほうしゃ」の威力が下がってしまったのも痛かった。
当時メジャーな氷タイプのうち、イノムーには先制できるが、一致「じしん」が飛んでくるので後出しは出来ない。
パルシェンには弱点を突かれ、「まきびし」を除去することも出来なければ、こちらは「めざめるパワー」以外で相手の弱点を突けず、
先手も取れないなど非常に不利。 補助技に「バトンタッチ」を覚えたが、それを活かせたという訳でもなかった。
そこそこ高威力な物理技、「おんがえし」を得たがタイプ不一致だったため決定力は対して変わらず。
「のろい」で攻撃力を上げても水タイプが出てきたらそこで終了であった。
が、新技「シャドーボール」を高威力で叩きだせるポケモンとして注目を集める。
というのも当時のゴースト技は物理依存で、タイプ一致でも ゲンガーやムウマはうまく使いこなせなかったのである。
これにより隠れたゴースト、エスパーキラーとして名を残したブースター!
世の中には新しく登場した悪タイプというさらに優れたゴースト、エスパーキラーがいた事なんて知りません。 「でんじほう」?そんなのはもっと知らん。
この頃から エンテイが登場。彼の場合、当時の炎では珍しい晴れソーラーのおかげでまだ戦える強さだった…多分。
第3世代
ジュペッタの登場により、「シャドーボール」火力最強の座を明け渡す事になる。
鋼最強クラスとして登場した メタグロスの台頭により炎技の重要性が増したものの、
ブースターの場合素早さ5の差で先手を取られる上に「じしん」で即死なので、素早さを調整しなければまず勝機は無かった。
5Vに近い個体値が必要とはいえ、努力値仕様変更による耐久低下により苦手なスターミーを、
一応シャドボ+電光石火で潰せるようになったが、「ハイドロポンプ」持ちには負ける。
初代ブイズが得た共通の性質を持つ特性「もらいび」はなかなか強いが、この時期はまだ炎タイプの需要が少なかったため、
狙って発動させるのは難しかった。 そもそも炎技の威力が上がってもブースターの攻撃力を活かせるわけじゃn(ry
第4世代
物理、特殊の分類が技ごとに個別に設定された。「フレアドライブ」という高威力の物理依存炎技もできた。
相手をやけどにする「おにび」が技マシン化。炎ポケモンの最終進化系は軒並み「ソーラービーム」習得可能。
前作で「オーバーヒート」を使えなかったエンテイやブーバー(ブーバーン)も使えるようになり…と、
初代での冷遇振りなどどこ吹く風といわんばかりの梃入れが行われた。
ではそんな時代のブースターの待遇はというと……
物理、特殊の分類が技ごとになされる…つまりそれは炎物理技が登場するということであり、
それによりブースターが強化されるのだろうという期待が生まれた。
しかし待遇は改善されたとは言いがたく、唯一覚える一致物理技は威力65の「ほのおのキバ」止まり。
しかも性格補正努力値同条件下だとタイプ一致「ほのおのキバ」の威力はポニータ、ガーディのフレアドライブに及ばない。
というか、折角「フレアドライブ」が登場したというのにブースターは「フレアドライブ」を覚えない。
頼みの綱の「シャドーボール」は特殊化で破壊力が低下し、まずます攻撃力を持て余す事態になった。
さらにどうしたことか炎タイプの最終進化で唯一「ソーラービーム」を覚えることが出来ない。
そのくせ「あまごい」は覚えられるという謎すぎる仕様。
彼の現在の不遇は低物理耐久&鈍足という種族値バランスの悪さと、この攻撃面の貧相さが相乗効果を生み出す事で形作られていると言ってもいい。
『プラチナ』ではイーブイ進化系には新技が追加された。
遂に「フレアドライブ」を覚える日が来たか?と思ったのも束の間。
よりによって新しく追加された技は「かえんほうしゃ」より威力の低い「ふんえん」( 言わずもがな特殊依存)。
一応3割の確率でやけどにさせることが出来て全体攻撃だが、ブースターにとっては正直微妙としかいえない追加技であった。
物理サブウェポンの「ばかぢから」で待遇はやや改善されたとの見解もあるが、それまで格闘技の決定力不足に悩まされていた バシャーモは一致で使える上、
同威力の「インファイト」を一致で使えるゴウカザルの存在もあり肩身は狭い。
長きにわたる苦境ゆえか、
一時期 ゲーフリに見捨てられたポケモン(エンテイ(フレアドライブ覚えない)、カモネギ(使い道が無いと言われる始末)も同様)と認定されていたりと、
初代から長い冬が続いているが『プラチナ』でオーバが使用しているので少しは報われていた…
はずだったのだが、『HGSS』でウインディが「あさのひざし」を習得してしまったことにより、
長所であった耐久型のいい所をほぼ全て持っていかれてしまったにも関わらず、
こちらはこれと言って強化もなかった為に殴るにも耐えるにも厳しくなってきてしまった。
第5世代
攻撃と同時に素早さが上がる炎物理技「ニトロチャージ」を習得。物理技が増えたよ!やったねぶーすたん!
多くのポケモンが覚える為に差別点としては厳しいが、ブースターの弱点の一つである鈍足を補いつつ戦えるサブウェポンを手に入れた。
しかし、
- 相変わらず「フレアドライブ」は覚えない
(エンテイは配布限定で習得した。ただスイクンの限定技が非常に有用な「ぜったいれいど」だったため、 有用性という意味では選ばれず哀しみを背負う可能性が高かったが)
- 第5世代では多くの四足ポケモンが新技「ワイルドボルト」(電気物理の反動技)をわざマシンで覚えるが、
ブースターは同じブイズの中に電気タイプのサンダースがいるためか覚えられない (フレアドライブもそうだが、HPの低いブースターが反動技を扱えるのかという疑問もある)
- 同タイプでありもともと上位互換に近かったウインディの待遇改善により、前からあった差が更に広がった
(前述の「ニトロチャージ」と「ワイルドボルト」をはじめ「インファイト」、「じならし」の習得、「しんそく」の強化等)
- 新ポケモンヒヒダルマの存在、驚異の炎タイプポケモンの登場
(ブースターを上回るHP・攻撃・素早さを持ち、とくせい:ちからずくで強化された「フレアドライブ」をぶっ放す)
等、これまでの不遇ぶりが解消されないどころか、更なる不遇の道を突き進むことになったのである。
この世代から追加された「夢特性」という要素により、既存のポケモンは新たな特性を習得し強化されるという一縷の望みが与えられたが、
ブースターに与えられた特性は「こんじょう」。
炎タイプなのでかえんだまを持ってやけどになることはできず、自力でなれる状態異常はもうどくのみ。
しかもこの特性を選んだ場合は前作教え技である「ばかぢから」が使えないという痛い仕様がある。
「こんじょう」+「からげんき」のコンボをするにしても、タイプ一致のオオスバメやリングマでやったほうが遥かにマシであり、
更に悪い事にこれだけやっても破壊力は「てきおうりょく」イーブイの最大「じたばた」以下。
『BW2』の教え技により「こんじょう」「ばかぢから」の両立が可能となって多少は持ち直したものの
その上に立つウィンディの存在は厳しく、差別化に特化せねば生き残れない等、解消したとは言い難い。
炎タイプで攻撃が一番高いという有って無いような最後のプライドさえも奪われた上、
さらなる火力のインフレが進み耐久型を活かしにくくなった第5世代であった。
ちなみに、そのヒヒダルマも発売当初はバランス崩壊ポケと危惧されていたが、
環境が整うにつれてその素早さの中途半端さ、後出し性能の低さ(耐久、耐性が微妙すぎて、交代して相手の攻撃を受けるという事が出来ない)、
メジャーポケとの相性の悪さ(ドラゴン、水ポケが多い)等の欠点が目立ち始め、
現状では「火力はあるが扱いづらい、中堅ポケ」という扱いを受けている。
……HP、攻撃、素早さ共に上回るヒヒダルマがこの状況である事を考えると、
もうフレアドライブ習得よりも、別の活路を見つけた方がいいのかもしれない。
そんな中でも、唯一ブースターの存在意義をフォローできる状況がある。それはイーブイ系縛りでパーティを組んだ場合。
この場合、高威力格闘技の「ばかぢから」がイーブイ縛りでは貴重な存在となるため、
イーブイ縛りですら優先度ゼロという最悪の事態は回避されている。
第6世代
2013年発売の『X・Y』にて遂にフレアドライブを習得。結果としてこんじょう込みであればヒヒダルマを上回る火力を獲得できるようになる。
HP、素早さの低さは相変わらずのネックであり、不遇ポケモンの脱却には至らなかった。
第7世代
特にめぼしい強化は与えられなかったうえに、
アローラガラガラという強力なほのおタイプの鈍足物理アタッカーが台頭。
(ふといホネで火力を底上げ出来る上、隠れ特性「いしあたま」のおかげで フレアドライブを無反動で繰り出せれる。なんなんだコイツ)
ただ、エンテイの隠れ特性が「せいしんりょく」に変更になったので特性で差別化は可能になった……はず。
第8世代
「ニトロチャージ」がマシン技から削除された代わりに「マジカルフレイム」を獲得し、両刀型に磨きがかかった。
しかし、同じブイズの ニンフィアも 「マジカルフレイム」を習得。やっぱり不遇からは脱却できないままだった。
第9世代
超不遇。
相変わらず「ニトロチャージ」が没収された他、「ばかぢから」「アイアンテール」もわざマシンから外れており、
ブイズの中でも特にサブウェポン不足に拍車がかかっている。
おまけに本来のタイプとは別に持っている「テラスタイプ」に変化する本作の新要素「テラスタル」により、
この弱体化の影響をモロに受けており、逆風が改善するどころか悪化の一途を辿っている。
一応、苦手な水・地面・岩タイプに弱点を突きつつ素早さを上げることができる「くさわけ」を新規取得した他、
他タイプにテラスタルできる個体は「テラバースト」でサブウェポンも補填できるなど強化点はある。
特にくさ・こおりなどが「もらいび」で弱点を補えるためブースターと相性が良い。
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