間桐雁夜








「ああ、きっと会える。それはおじさんが約束してあげる」






   誕生日:3月22日
   血液型:AB型
   身長:173cm
   体重:55kg
   イメージカラー:青緑
   特技:文書作成
   好きなもの:小旅行、写真撮影
   苦手なもの:豪奢なもの
   天敵:間桐臓硯、遠坂時臣

『Fate/stay night』の過去を描いた作品『Fate/Zero』の登場人物。「まとう かりや」と読む。
ドラマCD及びアニメ版の声優は新垣樽助氏。


(Fate/Zero時点における)間桐家の次男で兄は間桐鶴野(まとうびゃくや)。間桐慎二、間桐桜にとっては叔父にあたる。
魔術師としての素質を殆ど持っていなかった兄に対し、並程であるが魔術師として才があった人物。
しかし、間桐の家の魔術体系のおぞましさに恐怖・嫌悪し、家出。そのまま実家と縁を切った。
しかし諸事情あって家に戻り、魔術師として突貫の施術を受け、第四次聖杯戦争にバーサーカーのマスターとして参戦する事となる。

+間桐雁夜の聖杯戦争参加まで(stay nightプレイ済みなら気にしないでいいネタバレ)
陰鬱な魔術世界を嫌悪し出奔した雁夜はその後フリーライターとして魔術と関係ない一般人の生活を送っていた。
しかし幼馴染であり昔からの想い人だったが、現在は遠坂家に嫁いだ遠坂葵(旧名:禅上葵)とその娘のと桜には時たま会いに行っていた。
ある時、桜が凛や葵と共にいない事を知る。
葵の現在の夫でありかつての恋敵であった遠坂時臣が間桐の家に桜を養子に出したのである。

魔術師の家系においては通常、一人しか家督を継げない。
家督を継ぐ者以外は死ぬまで魔術の事も知らされないまま育つのが慣例*1なのであるが、
桜は生まれながらに魔術の素質に恵まれ、魔術師としての教育を受けなければいずれ桜の力に惹かれた怪異に殺されるか、
どこかの魔術師の研究材料にされるぐらいしか道はなかった。
かといって魔術師としての才能を奪えば重篤な障害者になり、また時臣が桜の才能を奪う事を惜しんだため、
後を継ぐ魔術師の才能がある者がいなくなってしまった間桐家に養子に出したのである(本来後継者となるはずだった慎二には全く魔術の才能がなかった)。

間桐家の人間であり、一時は後継者とも見なされていたため雁夜は間桐の魔術の非道さを知っていたが、
魔道の家はその家の術の秘密を外には決して洩らす事はなく、
同じ街に住んでいても時臣は間桐の魔術の詳細な内容を知らないまま桜を養子に出したのだが、
魔術師として正式な教育を受けなかった雁夜も魔術師の常識や遠坂家の状況、事情までは知らない。
そのため雁夜は桜を間桐という非道な家の養子に出し、葵を悲しませる時臣を憎悪する。
かつて、葵が時臣に恋していた事と、非道な魔術の家である間桐に葵を入れられないと思った事から、
「あいつなら俺より葵さんを幸せにしてくれる」と身を引いた雁夜にしてみれば時臣に裏切られたという思いもあった。
もっとも時臣はおろか葵も雁夜の気持ちを知らなかった(雁夜が身を引いたとさえ思っていない)のだから、これは雁夜の一方的で身勝手な憎悪である。

そして、自身が間桐家を出た事で最愛の人の娘である少女に降りかかった不幸に罪悪感も抱いた雁夜は、
桜を葵の下に返す事と時臣への制裁(という名の私怨による復讐)を誓い、聖杯戦争に参戦する事を決意した。
間桐家で父(実際は五百年生きている間桐家の先祖であり雁夜の実父ではない)の臓硯に聖杯戦争への参戦と、
魔術師としての訓練を頼み込んで受け入れられた雁夜は、
魔術師としての能力を短期間で底上げするために、宿主の血肉を食らって魔力を生成する刻印蟲を大量に体に宿す事となった。
壮絶な蟲による責め苦を受け続けた結果、聖杯戦争開始直前に令呪を宿すに至るものの保って一ヶ月の命、
左半身は不随で髪は脱色、左目は視力を失うとボロボロの体になる。
それでも聖杯戦争で勝てるかどうかというレベルの雁夜でも戦えるよう、英霊をバーサーカーとして召喚するように指示した臓硯は、
同時に今までの責め苦を耐えた褒賞(という建前での雁夜への嫌がらせ)でとっておきの触媒を与えた
(なおこれはアニメ版であり、小説では触媒は与えていない)。

雁夜が召喚したのは漆黒の魔力の霧に包まれた黒い甲冑の騎士。
強大な力を持つが魔力を膨大に食らいマスターへの負担がとてつもないバーサーカークラスのサーヴァントを従えた雁夜の地獄の戦いが始まった。

個人としての雁夜の能力は間桐家の翅刃蟲を呼び寄せて襲わせる程度(ただしこの蟲、の骨すら噛み砕ける顎と鋭い刃のような翅をもっている)。
それどころか雁夜は上述通りの虚弱体質(食事は固形物すら摂取出来ない)の為、基本ひ弱な病人?である。
だが間桐家にあるまじき反骨精神とガッツの持ち主であり、実際信念の為に「死にそう」と散々身内に言われていたにもかかわらず、
物語終盤まで気力で生きている。
また、マスター適性はにわか仕立てにしては中々のもので、
魔力消費の高いバーサーカークラスかつサーヴァント自身のランクの高さも加えると法外になる魔力の供給を、
刻印蟲の力があったとはいえ終盤まで維持し続けたのは賞賛に値する。
サーヴァントのバーサーカーについてはこちらを参照

+Zero終盤までの雁夜の動向
時臣のサーヴァントである金色のアーチャーに対して雁夜のバーサーカーは相性がよく、ある時はアーチャーの宝具を奪って善戦し、
ある時はアーチャーが呼び出した古代インドの高速飛行船ヴィマーナと空中戦の末撃墜するなど大金星をあげ、当初は喜んでいたのだが、
それだけ大暴れすれば雁夜の魔力負担もとてつもなく、また何故かバーサーカーはアインツベルンのセイバーを目にすると、
雁夜の指示に従わず襲いかかってしまうという問題も抱えていた。

肝心の時臣に対しては使い魔の蟲達は時臣の得意な火の魔術と最悪の相性であったため、容易く燃やされてしまう。
挙句時臣に自身ごと燃やされ、一時本当に死んでしまった。
しかしアサシンのマスターだったが既に敗退した言峰綺礼の手助けにより蘇生
そして共闘とその条件として時臣との再戦の場を用意する事を提案された。
目的のために綺礼と手を組んだ雁夜は綺礼に言われるままに協力した後、時臣との再戦の場とされた冬木教会へと向かう
(ちなみに雁夜が綺礼と手を組んだ事と、「今日はバイオレンスが足りない」という原作者の気まぐれが原因で、
 間桐家にいた雁夜の兄は襲撃を受けてしまい、片手を銃撃で粉微塵にされるという重傷を負ってしまった。
 これが直接の原因であるかは定かではないが、第五次聖杯戦争の時点では既に死亡している)。

しかし、教会の最前列の席に座っていると見えた時臣は既に死んでいた。
時臣の魔術師としての弟子であり此度の共同戦線であった綺礼が、師を裏切って刺殺していたのだ。
唖然としていた雁夜に声をかけたのは綺礼によりこの場に誘い出された葵だった。
明らかに雁夜が時臣を殺したとしか思えない状況(事実、雁夜も時臣への殺意はあったのでこうなっていた可能性はある)に葵は激昂し、雁夜を批難した。
時臣の死、葵の登場と批難という思わぬ事態に雁夜は動揺し、混乱する中、葵に対して言ってはならなかった事を叫んでしまう。

「そいつが──そいつの、せいで──」
「その男さえ、いなければ──誰も不幸にならずに済んだ。
 葵さんだって、桜ちゃんだって──幸せに、なれた筈──」

当然、そんな雁夜の独りよがりの言葉は時臣が魔術師であり一般人から見れば歪んでいる事を理解してなお心から愛する葵の怒りを煽るだけで、
葵もまた、雁夜に言ってはならなかった言葉を叩きつけてしまった。

「ふざけないでよ!」
「あんたなんかに、何が解るっていうのよ! 
 あんたなんか……誰かを好きになったことさえないくせにッ!」

最愛の人に自分の想いを否定されて雁夜の精神は限界を迎えてしまう。
葵が葵である事さえ認識できなくなり、ただ自分の「誰かが好きだ」という想いを否定する存在を黙らせようとした結果、雁夜は葵の首をその手で締めていた。

「あああぁああアアアァあああァあああ……ッ!」

自分が首を絞めたのが葵であると気づいてしまった雁夜はそのまま逃げるように教会を後にする
(なお葵は死にはしなかったが酸素欠乏のため脳に後遺症を残し、
 時臣が死んだ現実を忘れ、家族が幸せに過ごす夢の中で生きるようになったあと、第五次聖杯戦争より前に病死した)。
聖杯戦争はまだ終わらないものの雁夜の精神は葵を手にかけた事、時臣が既に死んでいた事を現実として認識する事を放棄し、
ただ桜を救う事だけを目的として綺礼に指示されるままに動き、バーサーカーをセイバーと対峙させる。
バーサーカーがセイバーと戦う際、極限まで雁夜から、つまり刻印蟲から魔力を絞り上げたため、蟲は体内から消滅する。
それは雁夜の命もまた終わりである事を意味していたが桜を救うという一心だけで間桐家に戻り、蟲蔵にいる桜の下へたどり着いた。

「桜──助けに来たよ。もう、大丈夫だよ──」

最後に雁夜が見たのは「ありがとう……雁夜お父さん!」と喜ぶ桜と凛、二人の後ろで微笑む葵の幻。
実際は雁夜の姿に更なる絶望をその心に刻まれた桜の目の前で力尽き、蟲蔵の蟲に喰われる最期であった。
また、蟲のデザインが画的にまずかったのか、アニメ版以降は原作と異なる。

+雁夜おじさんの型月界隈からの扱いとか
上記の本編での動向をみると、
結果論としては「桜に無駄な夢を見せ、矛盾だらけの自己満足で突っ走り、結局何も出来ない(むしろ悪化させた)」非常に残念な人物である。
甥のワカメ慎二が『Fate/hollow ataraxia』で曰く

「もともと僕ぁ陰湿な性格なんだね。正しい間桐の血を引いてるんだね。
 爺さんも父親も、父親の弟も、こーゆー風にはじっこで悩んでるのがお似合いなのね」

……別のシーンでは慎二が「間桐の家は自分で終わらせる、桜には何も残さない」という決意を語っているので、相対的に叔父さんの評価ガタ落ちである。

だが、一応自己犠牲で桜を救おうと彼なりに頑張っていたり(アニメ版は彼の歪んだ独白が少なくなっているので序盤ならなおさら善人に見える)、
第四次キャスターとそのマスターにより誘拐された子供達や親友のコトネを助けに冬木へ戻った凛が海魔に襲われそうになったのを蟲を使って助けていたり、
「不幸な少女を救う」という分かり易い理由での聖杯戦争の参加からかなりのキャラクター人気を築いた。

人間関係を除けば基本魔術を嫌悪する真っ当な感性を持つ常識人ではあり、ここらへんも人気。
でもやっぱり人間としてはダメダメな間桐の男であり……と、色々と評価が難しい人間。

あと、物語上での立ち位置及び作者が同じ事からしばしば某青い魔法少女某ブドウのライダーと比較される。
ただし、上記二者と違ってこちらの汚名は中々返上されない……合掌。
ちなみに虚淵氏曰く、コンタオロー壊れ型だとか。

まあ少なくともZeroの段階で曲がりなりにも桜の実情を確かめ、救おうとした唯一の人物である事は評価して良いだろう。
それを遠坂家に普通に密告していれば一番良かったのだが…*2


俺のバーサーカーは最強なんだ!

『Fate/Zero』のアニメにおいて、遠坂葵に聖杯戦争への参戦を宣言した時のこのドヤ顔が視聴者に非常に受け、
雁夜の存在感を一気に押し上げる一因となった。
このポーズはAAが作られたほか、『Fate/Zero』Blue-ray版のおまけコーナーにてバーサーカー(素顔)が同じポーズを取ってみせてもいる。
同じ人妻スキーダメ人間同士、底では通じるものがあるのかもしれない。

stay night移植作のミニゲーム花札ではダメ人間度が更に進んでしまっており(主にギャグ方向に)、
葵さんが嫁いだ結果人妻趣味に目覚める、桜や凛への言動が完全にロリコン不審者のそれ、時臣と自分の違いはブランド品だと暴走しまくり、
バーサーカーと桜には辛辣に毒舌を浴びせられまくる等、まごうことなきろくでなしである。
だが聖杯温泉には彼なりに真っ当な願いをしており、魂は腐っているが、根っ子はやはり善い人ではある。

「よし、決まった! 願いはこの先、桜ちゃんに幸福な出会いが訪れること、だっ!」


ソーシャルゲーム『Fate/Grand Order』では、第四次聖杯戦争に主人公たちが介入するという設定の期間限定イベントに登場。
利害の一致から主人公たちに協力する事になり、なんとギルガメッシュを主人公一行と共にリンチして打倒する事に成功。
その後は憎しみのままに時臣を殺しに行こうとするものの、第四次ライダーことイスカンダルに諭された事で、
『時臣を殺して桜を救う』という矛盾にようやく気付く。
葛藤の末に桜を救う道を選んだ雁夜は、右手ごとマスターの証である令呪を手放し(その際、刻印蟲も令呪のある右手についていった為に除去される)、
聖杯戦争から敗退した。
もともと瀕死の状態だったところに右手を失うという重傷を負ったため、
おそらく余命は幾何もないだろうが(病院に連れて行かれたが助かる確率は五分五分)、
時臣のサーヴァントを打倒したうえ桜を救うという悲願を達成し、原作に比べれば遥かに救いのある結末を迎える事となった。

これ以外では概念礼装(いわゆる装備品)「目覚めた意思」の絵柄としても登場している。
毎ターン500のHPを代償に確率で12%(最大15%)のNPを獲得できる。
バーサーカーに装備させると、攻撃を受けていなくても宝具解放前にほぼ死ぬなんという原作再現


MUGENにおける間桐雁夜

サクラ氏による風雲イリヤ城風手書きドットのものが公開されている。
というかカブトムシを多数飛ばして戦う、所謂弾幕キャラ。
ゲージ技としてバーサーカーも召喚できるが、原作通り使役中は体力が削れていく。その代わり攻撃が当たれば即死級のダメージとなる。
通常でも凶、12Pカラーでは狂上位にまで達する。
また原作再現?として相手には非常に弱体化する。
AIも常時起動のものがデフォルトで搭載されている。

出場大会


*1
特異な例として『Fate/Zero』に登場するソラウ・ヌァザレ・ソフィアリのように、
権力闘争などで後継者たる嫡子が成人するかどうか危ぶまれる場合、きょうだいを魔術師として教育する場合もある
(ただしこれはソラウが高い素養を持っているからでもあった)。
実際、凛という優秀な素質を持った後継者が既にいるにも関わらず、桜という子供を時臣が(しかも僅か一年後に)作ったのは、
出生時の凛に夭折を危惧させるものがあったからではないか、と虚淵玄は指摘している。
また、『Fate/Apocrypha』で登場するユグドミレニア一族であるフィオレとカウレスの姉弟も共に魔術師であるが、
この場合もカウレスは姉の予備として教育されている。

結局のところ遠坂家には凛という優れた魔術師になるだろう後継者がおり、その身に差し迫った危険が来る事もなかったので
(第四次聖杯戦争では少々危険な目に遭っているが、それは凛が勝手な行動に出たためで、時臣自身は後継者である凛の安全に配慮していた)、
時臣が桜を遠坂の魔術師として教育する必要性はなかったと考えるのが順当なところではないだろうか。
メタ的に言えば上記の「他の道」が全部後発の設定だからの一言に尽きるのだが。

*2
実際、Fateの花札ゲーム「超時空トラぶる花札大作戦」のバーサーカーチーム(雁夜、桜、バーサーカー)シナリオでは、
間桐の後継者であるはずの桜を雁夜が戦いの場に連れ回している(=間桐の後継者の桜を大切に扱っていない)事を知った時臣は、
「桜を返してもらおう。桜はツテを頼って遠縁のエーデルフェルトに預けるとしよう」と言っている。
つまりもし雁夜が時臣への憎悪を抑え、桜を救うために実情を伝えていたならば桜を時臣は取り戻し、
まともな養子先に出していた可能性は低くはないという事なのであった……。
ならば最初からエーデルフェルトに預けるべきだったのではという考え方もあるだろうが、
衰えつつあっても名門の間桐の後継者になれるというのは魔術師として恵まれた境遇であり、また冬木の聖杯戦争の御三家の一つの後継者に桜がなるという事は、
遠坂の血を引く者が魔術師の目的である根源へ至る可能性が上がる事でもある。
それらを考えれば時臣の選択も間違いとは言えない。
時臣の誤算は間桐臓硯が魔術師としてさえ既に外れ、後継者を必要としていなかった事であり(臓硯が必要としていたのは優秀な手駒であった)、
それが桜の悲惨な境遇に繋がってしまったのである。

花札はコミカルかつパラレルな設定の話ではあるが、バーサーカーチームのシナリオを執筆したのは「奈須きのこ」であるため、
時臣の考え方の考察材料としては十分だろう。