「この幸せが守れるなら、僕はどんな裏切りだってできる」
特撮ドラマ『
仮面ライダー鎧武』に登場する仮面ライダー。同作のメインとなる4大ライダーの3号にあたる。
変身者は
呉島光実(くれしま みつざね。演:高杉真宙)。
愛称は「ミッチ」だが、
デザイアグランプリの出場者ではない
(向こうは「ミッチー」。一応、バトルロイヤル作品という共通項があるが)。
ましてや某王子系歌手とも無関係
本作の舞台である「沢芽市」を実質的に支配する巨大企業「ユグドラシル・コーポレーション」と深い繋がりのある一家の御曹司として生まれた16歳の少年で、
表向きは同社の主任を務める兄の貴虎(=仮面ライダー斬月)の後継者として模範的に振る舞い勉学に励む一方、
裏では素性を隠し沢芽市のビートライダーズ(作中のダンスチームの総称)「チーム鎧武」の周囲に好かれる利口な後輩メンバーとして活動していた。
同チームのOB・葛葉紘汰(=仮面ライダー鎧武)の事を尊敬し強く慕っており、女性メンバーの一人・高司舞には密かに恋心を抱いている。
呉島家のしがらみには従順しつつも窮屈さを感じており、チーム鎧武を自分の居場所として何よりも大事に思っている。
ある時紘汰が斬月と遭遇し、その圧倒的な力と殺気への恐怖に苛まれ一時期変身を躊躇うようになった際に、自身が代わりにアーマードライダー
*1となる事を決意。
呉島家の名を利用して錠前ディーラー・シドを強請り、変身ベルト「戦極ドライバー」とアイテム「ロックシード」を入手して変身するようになった。
これにより紘汰を奮起させ、心強い味方となった。
同じダンスチームの仲間だけあって息のぴったり合った連携でサポートし、洞察力の高さからブレーンとしても活躍する。
一方で
虚淵作品の前科を知る視聴者達からは、この時点でイヤな予感を抱かれていたのだが……。
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ネタバレ注意 |
チーム鎧武のリーダーだった角居裕也の失踪の真相(ヘルヘイムの果実摂取によりインベス化し、そうとは知らない紘汰に倒されてしまった)を知り、
自分が龍玄である事が兄の貴虎にバレ、そしてヘルヘイムの森の真実を伝えられてからは、
一転ユグドラシル側の人間としてその秘密を隠す事が、思いを寄せる舞と紘汰を守る事に繋がると信じて行動するようになる。
しかし、あくまでユグドラシルと森の秘密を追求する紘汰は光実の意にそぐわない行動を取り続け、次第に彼への苛立ちを募らせるようになる。
やがて、口止めされていたにも拘らず、紘汰が裕也失踪の真相を紘汰が舞に明かして傷付けた事を責めた際、
逆に身を切る想いで真実を明かした紘汰の気持ちを理解しようとしない光実の言動に激怒した舞から平手打ちを喰らってしまう。
これにより、人知れず紘汰や舞を守るためならどんな汚れ仕事も辞さないという決意を、
光実の心労も暗躍も知らないまま当事者達に否定された事で蓄積された鬱憤が爆発し、遂に紘汰に向ける感情は憎悪に反転。
敵であるはずのオーバーロードインベスと組んでまで、「希望という名の病原菌」と見なした紘汰の抹殺に執着するようになる。
やがてレデュエとの取引によって自身がその後の世界をある程度管理できる権利を得ると、
それを止めようとした紘汰、戒斗、実兄の貴虎すら排除し、最終的にはチーム鎧武そのものも切り捨てて舞のみを生かそうと考えるに至る。
なお、実兄の貴虎を抹殺して以降は精神的な負荷のためか、
「自分を諌める貴虎の幻影」(光実の心の中の良心が貴虎として現れたものと思われる)に悩まされるようになる。
そして鎧武、バロンとの対決の中で、貴虎の幻影を撃ち抜く形で二人へ必殺技をぶち込んだ事で悪い意味で吹っ切れてしまう。
紘汰を排除するために舞を囮に使おうと提案してきたレデュエを危険視し、彼女を保護するためにオーバーロードの王・ロシュオの元へと舞を連れて行く。
しかし舞はロシュオとの対話で実の選定者となる超常的存在「始まりの女」として見初められ、体内に黄金の果実を埋め込まれてしまい、
図らずも彼女を戦いに巻き込んでしまう。
「始まりの女」へと変貌しつつある舞を救うため、ユグドラシル側の黒幕にあたる 戦極凌馬の誘いに乗り、
禁断のロックシード「ヨモツヘグリ」に手を出し、紘汰を排除しようとする。
命の危険を承知で龍玄・黄泉と化し紘汰に挑むが、紘汰はわざと龍玄の必殺技を受け、ヨモツヘグリロックシードを取り外して破壊する。
紘汰は光実の事を許すと同時に「自分の事も許してやれ」と諭し、事切れる。
彼を殺めた罪悪感から「許されるわけがないだろう」と慟哭するも、せめて紘汰への償いとして最後に残った舞だけは守ろうとする。
しかし、舞の下へ戻った彼を待っていたのは残酷な現実だった。凌馬が舞の心臓に同化していた黄金の果実を摘出した結果、彼女は死亡してしまう。
戦極と相対するものの、ゲネシスドライバーを破壊された挙句散々罵倒され絶望する光実だったが、
黄金の果実はその力を得るに相応しい者を決める選定者と化した始まりの女「オルタナティヴ舞」に姿を変え、
そして彼と過ごした時間が大切なものだったと告げ、別れの言葉と共にその場から消えた。
彼の下にはただ、人間だった頃の舞の遺体だけが残され、光実はただ発狂したように泣きじゃくるしかなかった。
全ての戦いが終わった後は、生きていた貴虎と一緒に生活していたが、
未だにビートライダーズへは罪悪感もあって復帰できずにいた。 *2
そんな中、突如現れたライダー「仮面ライダー邪武」によって沢芽市が再び襲われてしまう。
光実は意を決して龍玄に変身し戦うも、苦戦を強いられてしまう。
絶体絶命のピンチに陥ったその時、始まりの男となった紘汰が助太刀に現れる。
極アームズに変身する紘汰と一緒に、かつて取っていた変身ポーズを取って龍玄に変身し、ダブルライダーキックで邪武を撃退した。
戦いが終わり紘汰と別れを交わした彼は、自分を迎えに来てくれた仲間のもとに笑顔で応じた所でTV版の物語は幕を閉じた。
フォローしておくと、光実は決して最初から狂気を持っていたわけではなく、
家に隠れてビートライダーズとして活動していた事で実家とダンス仲間双方に秘密を抱えて動く癖が付き、
加えて兄の貴虎の教育方針に窮屈さを抱きながらもその影響をしっかり受けてしまい、
貴虎が自分にそうしていたように、「当人のため」と正当化しながら親しい人間を思い通りに誘導したがる傾向を持っていた。 *3
これらの光実の秘密主義とコントロールフリークな気質が、唐突に「世界か仲間」かの二択を迫られる極限状況において、
割り切れないまま動かざるを得なかった末に貴虎はおろか紘汰や舞とも溝を作り、後にも引けずどんどん極端な方向に向かってしまったのである。
仮面ライダードライブとの共演を描いた劇場映画『MOVIE大戦フルスロットル』では高校を卒業し、大学生として日々を過ごしている。
ライダーへと復活した貴虎と共に突如襲来した新たな脅威「メガヘクス」に立ち向かい、
彼にさらわれた舞を「人々を守るヒーロー」として今度こそ助け出した。
2021年の映画『 ビヨンド・ジェネレーションズ』では、精神体として未来にやってきた五十嵐大二が変身するクローンライダーの1体として龍玄が登場。
本来大二が変身する仮面ライダーライブも銃を扱うライダーなのだが、
大二は大二で 「闇落ち経験持ちの弟」という光実とネガティブな共通点を持っている。
後に「人類が生き残るには超生命体ギフに従うしかない」と考えるようなり、主人公でもある 兄と再び対峙するようになる等、
光実とは共通点が多かった事から、大二は 「令和の黒ミッチ」と言われる事も……。
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形態
『ブドウアームズ! 龍・砲・ハッハッハッ!』
「ブドウロックシード」で変身する基本形態。
アームズ固有の武器「アームズウェポン」として葡萄型の銃「ブドウ龍砲」を使い、遠距離戦を得意とする、所謂銃ライダー。
近接戦では逆手に持ち替えてトンファーのように使う。
「中華風の甲冑なのに銃?」と奇異な組み合わせに思われがち。
必殺技はスカッシュ(必殺技1)で発動する、葡萄の房型の弾丸を連射して龍の形をしたエネルギーで相手を撃ち抜く「ドラゴンショット」と、
ライダーキックに相当する「龍玄脚」。
また、スパーキング(必殺技3)で、ドラゴンショットの強化版と見られる技を繰り出している。
『キウイアームズ! 撃・輪・セイヤッハッ!』
「キウイロックシード」で変身する派生形態。
輪切りのキウイを模したアームズウェポン「キウイ撃輪」を使い、ブドウアームズとは逆に接近戦に特化している。
必殺技はスカッシュで発動する、武器を投げ付けて攻撃する「スピニングフープ」。
なお、「撃輪」とは忍者が使用する投擲武器の一つで、インドの「チャクラム」に相当するものだが、
龍玄の使うキウイ撃輪は「圈(けん)」という中国で使われた接近格闘用の武器がモデルになっている。
『パインアームズ! 粉砕デストロイ!』
『てれびくん超バトルDVD 仮面ライダー鎧武』に登場。
「パインロックシード」で変身する形態。本編では鎧武の派生形態の一つ。
パイナップルを模した鎖鉄球のアームズウェポン「パインアイアン」を使い、高いパワーを活かした戦法が得意。
龍玄独自の要素として、鉄球を投げる時に龍型のオーラが発生する。
なお、斬月が使うメロンアームズとバロンが使うバナナアームズも試着しているが、
前者は「自分には派手すぎる」、後者は「ちょっと左右のバランスが取りにくい」という理由で使用を見送っている。
メロンに関しては派手以前に龍玄に無双セイバーがないため、どう考えても弱体化が否めないだろう
ゲーム『ガンバライジング』ではメロンアームズとバナナアームズも使用している。
『Wアームズ! サイクロン・ジョーカー・ハッハッハッ!』
劇場版『仮面ライダー×仮面ライダー 鎧武&
ウィザード 天下分け目の戦国MOVIE大合戦』に登場。
仮面ライダーWの力を宿す「Wロックシード」で変身する特殊形態。
外見は仮面ライダーW サイクロンジョーカーに準拠しており、複眼が左右で色が違う。
Wのボディサイドがトリガーの時に出現する銃「トリガーマグナム」をアームズウェポンとして使う。
前述の通り龍玄が自分の罪を数える立場になった事を考えると、何とも皮肉なフォームである。
余談だが同作で他のライダー達が使用したロックシードも、
何度も絶望を経験した鎧武が
ウィザードアームズ
(そのうえ光実に「(成立するかも怪しい不確定な)
希望をばら撒く病原菌」呼ばわりされている)、
力に対して貪欲なバロンが
オーズアームズ、何度も裏切られた斬月が
フォーゼアームズと、
その後の本編の展開を考えると皮肉としか言いようがないチョイスだったりする。
『ファイズアームズ! ミスタージャスティファイズ!』
『データカードダス 仮面ライダーバトル ガンバライジング』に登場。
仮面ライダーファイズの力を宿す「ファイズロックシード」で変身する特殊形態。
ファイズの武器「ファイズエッジ」をアームズウェポンとして使う。
『ガンバライジング』では他にフォーゼアームズも使用している。
『ジンバードラゴンフルーツ!』
『小説 仮面ライダー鎧武』に登場する強化形態。
ブドウロックシードが装着された戦極ドライバーに、
狗道供界(=仮面ライダーセイヴァー)が生み出した
仮面ライダーデュークから奪い取ったオプションパーツ「ゲネシスコア」と、
「ドラゴンフルーツエナジーロックシード」を追加装着して変身する。
陣羽織をモチーフとしており、ジンバーアームズ共通
*4の武器であるソニックアローを使用する。
双龍状のエネルギーの矢を放つ「ソニックボレー」が必殺技。
派生種
『ヨモツヘグリアームズ! 冥・界・ヨミヨミヨミ!』
ライダーシステムの開発者である戦極凌馬(=仮面ライダーデューク)が用意した「ヨモツヘグリロックシード」
*5で変身する、龍玄の新たな姿。
外見はオリジナルの龍玄と似通っているが、装着と共に全身のデザインの配色などが禍々しく変更されている。
アームズは頭部はキウイアームズ、鎧はブドウアームズの色替えのものが装備されており、
龍玄が今まで使ってきたアームズウェポンと、本作の怪人「インベス」の上位種・オーバーロードの武器を召喚できる。
アームズも他と違いクラックではなく冥界を思わせる暗雲が発生しそこから現れるのが特徴。
このロックシードは凌馬が初期に開発した試作品であり、スペックこそ鎧武 極アームズをも凌駕するが、
変身者の命を吸い取って力とする危険な代物であったため封印されていた。
その負荷は非常に大きく、変身した時点で膝を付いてしまい、戦っている最中に何度も倒れ込んで、標的の紘汰に必死に止められる有様だった。
暴走フォーム扱いされる事もあるが、この形態に変身者を凶暴化させる副作用はなく、暴走の要因は変身者自身の狂気によるもの。
スペック自体は圧倒的に高いものの、戦闘以前にまともに動く事すら困難なため、極アームズのようにずば抜けて強いという印象は薄い。
なお、龍玄の名を冠しており、前述の通りデザインも似通ってはいるが、
ライドウェア(素体スーツ)とベルトのフェイスプレートは似て非なるものに変化しているため、
厳密にはオリジナルの龍玄とは異なる存在である。
『舞台「仮面ライダー斬月」-鎧武外伝-』に登場。変身者は
鎮宮影正(しずみや かげまさ。演:原嶋元久)。
「ユグドラシル・コーポレーション」の重鎮、鎮宮鍵臣の次男。
兄の雅仁は本編以前に重傷を負った貴虎に代わり、未完成の戦極ドライバーの実験で斬月に変身した副作用によりインベス化している。
貴虎がインベス化の副作用を知っていたから雅仁に役目を押し付けたのだと影正は考え
*6、
貴虎が記憶喪失になった後は全てを思い出させてから亡き者にするべく、プロト龍玄に変身して敵から貴虎を守りつつ、光実の名を騙り近付くが……。
MUGENにおける仮面ライダー龍玄
ななび氏の製作した手描きのキャラが公開中。最新のバージョンはver.5。
デフォルトでは
MUGEN1.0以降専用だが、同梱のパッチを使う事でWinMUGENでも使用可能になる。
デフォルトでは黒ミッチモードだが(!?)、configの設定スイッチにて白ミッチモードに切替可能であり、
ヨモツヘグリの使用可否と一部台詞やイントロが変化する。
原作同様に
通常技・必殺技共に遠距離攻撃が強い性能をしている他、
必殺技「ヨモツヘグリアームズ起動」を使用する事で龍玄・黄泉となり、
性能が変化し3ゲージ超必殺技も使用可能になるが、体力自動減少と一部攻撃動作終了後ランダムでスタンのデメリットを負う。
AIもデフォルトで搭載されている。
この他に龍玄関連キャラとして、湊丸氏による「権力ファブリーズ」が存在する。
消臭剤の一枚絵に呉島光実(悪)のボイスが付いたネタキャラだが、見た目とは裏腹にライフが0になっても死なないという凶悪な性能をしている。
他の湊丸氏製作キャラ同様、現在はコン氏によって代理公開中。
出場大会
出演ストーリー
*1
本作における仮面ライダーの正式名称。
「ビートライダーズの鎧を纏った戦士」という意味合いでネットラジオのDJサガラによる命名であり、
龍玄の名もドラゴンショットをドラゴンの息吹に喩えて名付けた。
*2
事実、光実に「黙ってろよクズ」の一言で切り捨てられ重傷を負わされたペコはこの件を根に持っており、他の面々と異なり復帰に難色を示していた。
ちなみに後日談を描いた『小説 仮面ライダー鎧武』でようやく和解している。
*3
実際彼と相対した戒斗の「(自分の思い通りに動いてくれる舞という)人形が欲しいだけだろうが!」という指摘に対し、
図星を付かれたように「五月蠅い黙れ!!」と激昂している。
*4
『鎧武外伝 仮面ライダーデューク/仮面ライダーナックル』などに登場する、仮面ライダーナックル ジンバーマロンアームズを除く。
*5
「ヨモツヘグリ(黄泉戸契)」とは、『古事記』などの日本神話における黄泉の国、即ち死者の世界の食べ物。
一度口にした者は二度と現世に戻れなくなると言われ、かつて非業の最期を遂げた女神イザナミも食したとされている。
*6
実際は全て雅仁が自分の意志でやった事であるため、完全な逆恨みである。
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付け加えるなら… |
戦極凌馬からオーバーロードの存在を教えられた上記の鍵臣(演・ガジャ様)により、
この実験は「ドライバーのテスト」から「オーバーロードを人為的に生み出す」という目的にすり替えられており、
わざと欠陥のあるドライバーが使われていたのは事実だが、黒幕は当の影正の父である。
龍玄の変身者はどうしてこう身内がろくでなしばかりなのだろうか
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最終更新:2025年04月10日 23:37