サクリファイス


「さあ来なさい!幻想モンスターサクリファイス!」

週刊少年ジャンプで連載された高橋和樹の漫画『遊☆戯☆王』に登場するモンスターの一体。
王国編のラスボスであるペガサス・J・クロフォードが「トゥーン・ワールド」と並んで切り札とするカードで、
儀式魔法カード「イリュージョンの儀式」によって召喚される儀式モンスター。
高火力カードが持て囃されていた当時の章では異例の、攻撃力・守備力0というあまりにも異質なステータスにより、
他の決闘者の切り札達とは全く異なる不気味な存在感を読者に見せ付けたモンスターであった。
ちなみに、サクリファイス(sacrifice)とは「生贄」や「捧げもの」を意味する言葉で、
『遊戯王』的には「スケープゴート」も元々は古代ユダヤ教におけるヤギを用いた生贄の一種である。
宗教的な意味が強いため、海外では「Relinquished(打ち棄てられたもの)」と言う名前になっている。

サクリファイスはステータスが低い代わりに、
  • 1ターンに1度、対戦相手の召喚したモンスターを取り込んで取り込んだモンスターの攻撃力を得る
  • 自分が攻撃対象にされた場合、吸収したモンスターを盾にする事で生存する(戦闘ダメージは吸収したモンスターの元々のプレイヤーが受ける)
という非常に強力な効果を持っている。
これにより、劇中では闇遊戯は攻撃はおろか下手にモンスターを出せなくなり、防戦一方となってしまう。
しかし遊戯のフィールドのモンスターを吸収し尽くしたペガサスは、「2ターン後に自分の場のモンスターを破壊し攻撃力分ライフを減らす」効果を持つ、
タイム・ボマーというモンスターを出し、自爆コンボを試みる。
この効果でサクリファイスが倒されても、サクリファイスの元々の攻撃力は0なのでペガサスのライフが減る事は無いが、
これを受けると吸収された遊戯のモンスター達も巻き添えを食い、その攻撃力分のダメージがモンスター達の本来の持ち主である闇遊戯に発生し、
確実にライフがゼロになってしまう。
しかもタイム・ボマーは破壊耐性があり、攻撃も魔法除去も通じない。

ところが闇遊戯に吸収していたブラック・マジシャンを「死のマジックボックス」で奪還され、
代わりにタイム・ボマーがブラック・マジシャンと入れ替わる形でサクリファイスに吸収されてしまう。
この状態でもタイム・ボマーの自爆効果は有効なため、ペガサスは余裕を保っていたが、
「洗脳-ブレインコントロール」でサクリファイスごとタイム・ボマーを奪取され、
さらに闇遊戯が発動した「カオス-黒魔術の儀式」の効果で、タイム・ボマーが「破壊」ではなく「リリース」要員にされる事で場から離れたため、
自爆コンボが不発したばかりか、ブラック・マジシャンが儀式の効果で「マジシャン・オブ・ブラックカオス」に強化される
(原作のルールではサクリファイスを儀式のリリース要員にはできなかった模様)。

ターン終了と共にブレインコントロールの効果が切れたためサクリファイスはペガサスの元へ戻るが、
先刻の儀式召喚にサクリファイスが吸収したモンスターを全て使用されたため、攻撃力は0に戻っている。
サクリファイスの効果であれば、マジシャン・オブ・ブラックカオスも吸収がは可能だが、
「それを知っている遊戯が無策でモンスターを出すはずはない」とペガサスは考え、
遊戯が用意しているであろうサクリファイス対策を潰すため、千眼の邪教神をサクリファイスに融合させて、
強化した「サウザンド・アイズ・サクリファイス」の効果でモンスターの行動を封じてマジシャン・オブ・ブラックカオスを吸収しようとする。
だが、戦力外と見なしていた弱小モンスターのクリボーが遊戯の発動した魔法「増殖」により増えて盾代わりになってしまい、
マジシャン・オブ・ブラックカオスの代わりにサウザンド・アイズ・サクリファイスに吸収され、
しかもクリボーが持つ触れると爆発する「機雷化」の効果のせいでクリボーが体内で爆発しまくったため、
サウザンド・アイズ・サクリファイスの拘束効果の要である邪眼が潰され、効果が無効となってしまう。
そのターンの吸収効果を使い切り、拘束効果も使えなくなったサウザンド・アイズ・サクリファイスは、
マジシャン・オブ・ブラックカオスに為す術なく倒され、ペガサスは敗北したのであった。

なお、デザインをよく見ると、胴体の上の方にスポーンにそっくりな顔(マスク?)が付いている(後述する派生カードも同様)。
『遊戯王』という作品自体(特に初期)にアメコミの影響を受けた要素が多々見られるのに加え、
サクリファイスの使い手であるペガサスがカートゥーン趣味のキャラであるため、
恐らくは意図的なオマージュとしてデザインを組み込んだ物と思われる。
ちなみに、原作初期に作中作のヒーローとして登場し、『OCG』でカード化もされた「ゾンバイア」も設定やデザインにスポーンの影響が指摘されている。

アニメ『GX』では万丈目準が古井戸に捨てられていた弱小カードを使って組んだというデッキに投入されていたのが確認できる。
ステータスは低いとはいえ構成次第ではエースも担える優秀なサクリファイスを弱小カード扱いして捨てる奴がいたことに、視聴者達は唖然とした。


OCG』における性能

儀式・効果モンスター
星1/闇属性/魔法使い族/攻0/守0
「イリュージョンの儀式」により降臨。

1.ターンに1度、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
 その相手モンスターを装備カード扱いとしてこのカードに装備する(1体のみ装備可能)。
2.このカードの攻撃力・守備力は、このカードの効果で装備したモンスターのそれぞれの数値になり、
 このカードが戦闘で破壊される場合、代わりに装備したそのモンスターを破壊する。
3.このカードの効果でモンスターを装備したこのカードの戦闘で自分が戦闘ダメージを受けた時、相手も同じ数値分の効果ダメージを受ける。

吸収できるモンスターが1体限定という点を除けば、漫画版の性能はほぼ再現されている。
加えてステータスの低さから、サーチやサルベージが容易なのも強み。
ただし盾効果が1度しか使えないため、敵の大量展開に弱い。
加えて、サクリファイス自身には魔法・罠の耐性が無く、負ける時はあっさり負ける。
実戦では儀式魔人(リリースして召喚した儀式モンスターに効果を付与する)との併用が望ましい。


関連カード

  • サウザンド・アイズ・サクリファイス
原作でペガサスが使用した、「千眼の邪教神」との融合強化形態。
「このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカード以外のフィールドのモンスターは表示形式を変更できず、攻撃できない」
という効果で原作の千眼呪縛を再現している。
ただし味方の行動も阻害するため、布陣が整ってからリンク召喚などの素材にして退場させるか、
レベル5以下の融合モンスターを特殊召喚する「簡易融合」で耐性持ちの除去に使うなどの工夫が求められる。
登場当時としては相手の行動を制限するロック性能がかなり高く、それが原因で融合モンスターとしては初の制限・禁止カードとなった経歴を持つが、
現在では環境の高速化で制圧戦術のメインに据えるにはあまり馴染まなくなり、吸収能力による相手モンスターの除去をメインに使用される。
余談だが、魔法カード「召喚制限-エクストラネット」や「サモン・ゲート」のイラストから、一時期禁止カード行していた際に、
同時期に禁止行になったゴヨウ・ガーディアンと友人関係となったことが描写されている。
これらのイラストでは焦って汗をかいたり単眼のウジャト眼をにっこりさせるなど、普段の不気味な姿とは裏腹なコミカルな面を見せている。

  • ミレニアム・アイズ・サクリファイス
サウザンド・アイズ・サクリファイスのリメイクモンスター。
同じくサクリファイスを融合素材とするが、相方は「千眼の邪教神」から「効果モンスター」へと拡大している
(なお元々の素材である「千眼の邪教神」は通常モンスターなので素材にできないが、
 そちらのリメイクにして「サクリファイス」モンスターのサポートカードでもある「黄金の邪教神」は効果モンスターであるため素材にできる)。
イラスト面では「ミレニアム・アイズ」の名の通り、胴体部を除いた全身の目が千年眼になっているのが特徴。
吸収できるのは効果モンスター限定だが、吸収対象と同名のカードの攻撃と効果を無効化する効果があり、
同一モンスターを大量展開するデッキには厄介なメタとなる。
吸収効果自体も大幅に変化しており、吸収できる範囲がフィールドだけでなく墓地にも拡大し、
相手がモンスター効果を発動した場合に誘発する形で発動するようになった。
自発的に吸収できなくなってしまったが、代わりに相手ターンでも条件さえ満たせば発動できる。
主な使い方としては、相手がモンスター効果を発動した際に、それにチェーンする形で吸収効果を発動、
効果を発動した相手モンスターを吸収することで効果を無効化する、というものだろう。
墓地のモンスターも吸収できるため、効果を発動するためのコストとして墓地に移動するカードも無効にできる。
この性質上、所謂「手札誘発」と呼ばれるカード群をも無効にできるのはこのモンスターの大きな強みであり、
相手の手札誘発をケアするために簡易融合とともに出張採用されることもある。

  • サクリファイス・アニマ
リンクモンスター。
素材はレベル1という制約があるが同時に1体と低コストで、
上向きマーカーのみ&リンク先のモンスターを吸収するという、出しやすさは本家より上だが制約も多いカード。
身代わり効果もないので本家以上に倒されやすい。
このカードの真の強みは、レベル1以外に素材指定がないリンクモンスターであること。
リンク素材としてレベル1モンスターを即座に墓地へ送れるため、墓地で使える効果を能動的に狙えるのだ。
もちろん、その上で相手モンスターの位置によってはそのまま吸収して除去もできると、シンプルに汎用性が高い。
同じレベル1モンスターを素材とするリンク1モンスターとしては、
原作でサクリファイスを突破する鍵となったクリボー、その派生形態である「リンクリボー」も存在する。
あちらは防御および展開に寄った効果となっており、こちらの除去および攻撃寄りな効果とは対照的。
どちらを重視するかによって効果を決めるとよい。EXデッキの枠に余裕があるならば、両方入れてしまうのもアリである。


MUGENにおけるサクリファイス

chuchoryu氏による手描きドットで製作されたキャラが2種類存在。
なお、いずれもReadmeの類が付属していないため、各種コマンドはcmdファイルを開いて確認する必要がある。

+ chuchoryu氏製作 サクリファイス
  • chuchoryu氏製作 サクリファイス
MUGEN1.0以降専用。
元々はchuchoryu氏の製作したコンプゲー用のキャラだが、キャラ単体も某所で公開されている。

必殺技は前方と斜め上に撃ち分け可能な飛び道具と、前後にワープする無敵移動技の2つのみと少ないが、性能自体は中々優秀。
超必殺技は禍々しい波動を放つ全画面攻撃で、ガード不能な上に4割以上持っていくという凶悪な性能を誇る。
反面しゃがむ事が出来ず(下段ガード自体は可能)、通常技も貧弱なので接近戦は不得手。
一応ブロッキングを所持しているので全く戦えないというわけではないが、やはり遠距離戦が主体となるだろう。

AIはデフォルトで搭載済み。
ワープで撹乱しつつ飛び道具を軸に攻撃してくるが、とにかく上記の超必殺技が脅威。

+ chuchoryu氏製作 サウザンド・アイズ・サクリファイス
  • chuchoryu氏製作 サウザンド・アイズ・サクリファイス
MUGEN1.0以降専用。現在は公開先であった動画が削除されているため入手不可。
同じくchuchoryu氏によって製作されたサクリファイスの融合強化形態。
通常形態の2倍以上はありそうなサイズを誇り、気合の入った描き込みと相まって凄まじい威圧感を放つ。
技構成自体は通常形態と変わらず、超必殺技の威力がほぼ半減しているなど火力面では弱体化しているが、
一部を除き投げと飛び道具が無効という新たな特性が備わっており、凶悪さはむしろ増している。

AIはデフォルトで搭載済み。
立ち回り自体は通常版と大差無いようだが、上記の特性により相性が出やすい。

出場大会

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最終更新:2024年11月10日 10:50