トゥーフェイス


"The world is cruel, and the only morality in a cruel world is chance.
 Unbiased. Unprejudiced. Fair."

(残酷な世の中で、唯一の正義は運だ。
 えこひいきも無い、偏見も無い。フェアだ)

+ コミック版はこちら(グロ注意)

+ 日本語吹替声優
筈見純
『バットマン(1989年映画版)』(ソフト版)
原田一夫
『バットマン(1989年映画版)』(TBS版)
田中信夫
『バットマン(1989年映画版)』(テレビ朝日版)
田中耕二
『バットマン(1989年映画版)』(テレビ朝日吹替補完盤)
菅生隆之
『フォーエヴァー』(ソフト版)
小林清志
『フォーエヴァー』(テレビ朝日版)
大塚明夫
『バットマン(DCアニメイテッド・ユニバース)』
木下浩之
『ダークナイト』(ソフト版)、『ブレイブ&ボールド』
井上和彦
『ダークナイト』(テレビ朝日版)
遊佐浩二
『GOTHAM/ゴッサム』
滝知史
『アーカムナイト』
丸山壮史
『レゴバットマン ザ・ムービー』
森川智之
『ニンジャバットマン』
前田雄
『マントの戦士』
山田裕貴
『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』

DCコミックの代表作『バットマン』に登場するヴィラン。某ピンクの悪魔のゲームに登場する同名の敵は無関係。
初出は1942年の『Detective Comics #66』。
バットマンの古参の宿敵の一人にして、二代目ロビンことジェイソン・トッドの父親を殺害した張本人である。

本名はハービー・デント*1。日本だと初期はハーヴェイと翻訳されていた。身長182.9cm。体重82.6kg。
ゴッサムシティの有能な検事であり、端整な容姿から「アポロ」と渾名されるほどだったが、
裁判中にギャング団のボス、サル・マローニに化学薬品を投げつけられ、
顔の左半分の皮が剥げて筋肉が剥き出しになっているグロテスクな容姿になってしまう。
結果、二重人格にして二重性に取り憑かれたヴィラン、トゥーフェイスに変貌する。

顔の損傷の具合は作品やアーティストによってかなり差異があり、上記したような筋繊維剥き出しの人体模型状態だけでなく、
記事冒頭のように変色して引き攣っている程度の場合もある。こちらのバージョンはアニメなど低年齢向け媒体に多い。
また、人格も善と悪でハッキリと二分されている場合もあれば、完全に悪人サイドの人格だったり、
善悪の人格を混ぜ合わせたような、独自の美学を持った犯罪紳士的なキャラになっている作品もある。

特殊な能力は持っていないが、射撃の腕に優れている。
最大の特徴として意思決定をコイントスで行う習慣がある。
主に使うのは1ドル銀貨、それも両表のエラーコインで、片側が傷付いているためそちらを「裏」としている。
傷は上記の薬品による劣化とする場合もあれば、切り傷のようなものとされる場合もあるが、
どちらにせよコインに描かれた自由の女神は彼の半身の如く無残な姿になっている。

また、現在はハービー・デント時代にバットマンと盟友だったという設定も加えられている。
設定面で大きな影響を及ぼしたのはバットマン活動二~三年目を描いた『ロングハロウィーン』で、
『イヤーワン』においてマフィア・ギャングに大打撃を与えたバットマンは、街を牛耳るファルコーネ・ファミリーとの最終対決を決意。
その協力者としてゴッサム市警のゴードン警部、そして新任地方検事ハービー・デントと密かに共闘を誓い合う。
しかし謎の殺人鬼ホリディによってファルコーネ・ファミリーの関係者が次々と殺害されはじめたのをきっかけに、
三人の友情も崩壊へ向かっていく……といった物語。
街を牛耳る存在がマフィアではなく、異形の装束に身を包んだフリークス・ヴィラン達へと変化していく『バットマン』黎明期を描いた内容で、
トゥーフェイスのオリジンを見事に描ききり、ミステリーとしての評価も高く、多くの後発バットマンシリーズにも影響を及ぼした。

+ 実写映画での活躍(グロ注意)
実写映画『バットマン』ではトゥーフェイスになる前の新任の地方検事ハービー・デントとして登場。
本作においてはゴッサムシティの市長から招聘され、ギャング撲滅を公約として宣言する。
主だった出番はこれだけで、その後は物語からフェードアウト。ハッキリ言ってチョイ役もいい所である。
演じたのはスターウォーズのランド・カルリジアン役で有名なビリー・ディー・ウィリアムズ氏。
原作のデントは白人だが本作では役者の都合上、黒人となっている。

なお、ウィリアムズ氏は結局トゥーフェイス形態を演じることはなかったが、この映画の後で作られたアニメ版(DCアニメイテッド・ユニバース)では、
この辺の要素を生かしてかトゥーフェイスが黒人風の容姿(トップ画像参照)になっている。
また後の設定を再構築したアニメ『ザ・バットマン』ではトゥーフェイスが登場しないのであるが、
代わりにフェイス繋がりでクレイフェイスとなるブルースの旧友イーサン・ベネットが黒人青年であり、
実質的にトゥーフェイスと統合する形で要素を引き継いだともいえる。

『バットマン フォーエバー』ではメインヴィランの一人として登場。
演ずるはこの時点でアカデミー賞俳優であり、後に『メン・イン・ブラック』シリーズでの主演でも知られる他、
日本では缶コーヒーBOSSのCM『宇宙人ジョーンズ』としてもお馴染みトミー・リー・ジョーンズ氏。
正義感溢れる地方検事だったが、裁判中にギャングのサル・マローニに硫酸を投げつけられ、
左半身が焼け爛れたことで精神に異常を来してトゥーフェイスとなった。「2」という数字に異常な執着を見せる。
自分を助けてくれなかった(正確には間に合わなかった)バットマンを逆恨みし、
収容されてから2年目にアーカム・アサイラムを脱獄してゴッサム第二銀行を襲撃。
その後、リドラーと同盟を組んでバットマンとロビンを追い詰める。
武器はダブルノック式の拳銃であり、シュガーとスパイスというトゥーフェイスの二面性を表現した二人の娼婦を側に侍らせている。
隠れ家は半分が美しい調度品で彩られ、もう片方は醜く荒らされている上、
用意された食事も片方は上等のシャンパンとスフレ、片方は生肉と丸焼きなど極端である。
特殊メイクで再現されたヴィジュアルは秀逸そのもの、なのだが……原作のトゥーフェイスと比べるとやたらとハイテンションであり、
身振り手振りも大げさで高笑いするシーンなどが非常に多い。
というか本作は設定上『バットマン』から地続きの世界のはずなのにハービーは人種すら変わっている
また、本作でも片面が傷ついたコインでのコイントスによって己の行動を決めるのだが、
なんと納得のいく結果になるまでコイントスを繰り返すというキャラ崩壊どころではない行動を取るため、原作ファンからはかなり不評である。
しかし、それ以外のシーンにおいては中の人が心から楽しんで演技していたというはっちゃけた怪演ぶりで中々評価が高い。


"You're a lucky man.But he's not."

(お前は幸運だ。その男は違う)

"Who?"

(誰だ?)

"Your driver."

(運転手だ)

『ダークナイトトリロジー』では二作目である『ダークナイト』から登場。
演じたのはアーロン・エッカート氏。
「闇の騎士」であるバットマンに対して、「光の騎士」とも称される有能な地方検事。
かつて内務調査部に所属していた頃は警察から皮肉を込めて、「ハービー・トゥーフェイス」と呼ばれていた。
父親の形見であるコインを持ち歩き、重要な決断はコイントスによって行うのだが、
このコインは両方が表であり、実際は自分の正義に従って一度決めたことは必ずやり遂げるという事と、
自分が決めた正義に間違いは無いという独善的な部分をも象徴していた。
しかしながらこの時点の彼の正義感自体はごくごく真っ当な物で、
加えて当時のゴッサムでは警察等の公権力に公然と汚職が広がっていた事もあり、
一時はバットマンもその強固な信念と市民に慕われる姿勢を兼ね備えるハービーこそが、
ゴッサムを真に守るに相応しい存在ではないかと本気で考えていた程。
ゴッサム市警のゴードンやバットマンと共にマフィア壊滅のために果敢に奮闘するもジョーカーに捕まり、自身はバットマンに助けられるが、
建物の爆発に巻き込まれ顔の左半分を失った上に、同僚であり想い人でもあったレイチェルがジョーカーに殺害され絶望。
その後は耐え難い激痛にも拘らず鎮痛剤も皮膚移植も拒否し、
さらに病院に現れたジョーカーによって言葉巧みに惑わされ、精神が完全に破綻してしまい、
爆発によって片面が焼け爛れたコインと共に、レイチェルの死に関わった人間達へ復讐を開始する処刑人となる。
復讐に関しても基本的にはコインによる意思決定を重視しており作中では裏切り者の警察関係者を見逃してもいるが、
一方でコイントスで裏面が出た直後にもう一度それを行い、自分と相手の乗っている自動車の運転手を(上記のやり取りの直後に)射殺。
事故を起こさせる事で間接的な(=自らの意思に関係無い運任せの形での)殺害を試みてもいる。
本作では当初登場する事が伏せられており、サプライズ的な出演を果たした。
トゥーフェイスとなってからの恐ろしい表情はCGによって処理されている。
本作は『ロングハロウィーン』の影響を強く受けており、バットマン、デント、ゴードンの友情とその崩壊が悲劇的に描写されている。

『ダークナイト』終盤、バットマンの勇気ある決断によってデントがトゥーフェイスに変貌を遂げた事は隠蔽され、
それによってデントは悪に最後まで立ち向かったゴッサムの正義の象徴として市民から英雄視されるようになる。
結果成立した「デント法」によってゴッサムから犯罪は一掃され、『ダークナイト・ライジング』まで8年間平和が保たれた。
しかしこのデント法、作中では詳細な説明が無いが、パンフレットや作中描写からその内容を読み解いて行く限り、
「犯罪者は投獄されるか街から追放されるかの二者択一」「どんな微罪でも即収監」「仮釈放無し」「囚人は性別を分けず劣悪な監獄へ」
という、はっきり言ってフィクションでも稀に見るレベルの悪法である。
そのためゴッサム市民達の不満は水面下で限界ギリギリにまで高まっており、ベインによって爆発させられてしまうのであった。
混乱下のゴッサムで裁判官を気取ったスケアクロウが「死か追放か!」と迫るのも、デント法の悪意ある引用で、
デント法の「二者択一」という性質は、皮肉にもトゥーフェイスとなった彼の性格を色濃く反映したものとなっている。

(以上、Wikipediaより引用・改変)


"Chance trumps choice every second of every day."

(いかなる時も偶然は選択を凌ぐものさ)


MUGENにおけるトゥーフェイス

shining氏とcandido159氏の共同製作による、MUGEN1.0以降専用のキャラが存在し、海外サイト「The Mugen Multiverse」にて代理公開されている。
Buyog氏による『MVC』仕様のキャラ製作テンプレートをベースに作られており、
ドットカーマン・コールを改変したものと思われる。
ちなみにデフォルトカラーでは初期のデザインをイメージした左半身が緑色の姿だが、
カラーによっては「白黒のスーツに赤黒く爛れた左半身」というお馴染みのものや、映画『フォーエヴァー』をイメージしたものになる。

簡易的なAIがデフォルトで搭載されている他、Colosse氏によるAI&改変パッチも公開されており、
爆弾や銃といった飛び道具を中心に攻める動きをする。
Colosse氏AIパッチ(DLリンク有り)

     
上記の他にも、RAHLONNIR氏製パニッシャーのガワ替えキャラがRaijjin氏によって公開中。
このトゥーフェイスを更に改変したガワ替えキャラとして、ModeratorBot氏によりマーベルヴィランのジグソウが製作されている。

この他、Raijin氏による専用ステージ「Two-faced justice」も公開中。
ただし、WinMUGENとMUGEN1.0ではステージ中央付近の照明が明滅する演出が正常に機能しないようなので注意。
紹介動画


"I've given up my fiancee, my carrer, everything.
 Now stay out of my way…"

(私は婚約者も、仕事も、何もかもを失った。
 もう私の邪魔をするのはやめてくれ……)

出場大会



*1
実は初出時点は「ハービー・ケント(Harvey Kent)」という名前だったのだが、自社の著名ヒーローと被るという理由で一文字違いのデント(Dent)になった。
DCではその後アース1(戦後の再設定)と2(戦前版設定)に世界を分けた際、アース1→デント、アース2→ケントがそれぞれいることにされた。
なお、彼の名前関連のトラブルはしょっぱなからあり、最初のエピソード中、妻のギルダから「ケント」と姓で呼ばれた場面がある。


最終更新:2025年03月09日 23:07