ことによると、われわれは死んだ後でも感覚を持っているかもしれないよ。ぼくはヴェリエールを見下ろす大きな山の中の、あの小さな洞穴で眠りたいな。眠るというのがぴったりしている。前に話したことがあるけど、ぼくは夜あの洞穴に隠れて、フランスでもいちばん豊かな地方を遙かに見下ろしながら、野心に胸を膨らましたものだった。あのころは、それがぼくの情熱だったんだが。……ともかく、あの洞窟が懐かしい。それに、あれはなんといっても哲学者の心をそそるような場所を占めている。……そうだ! ブザンソンの善良な修道会員たちは、なんでも金儲けのたねにするから、きみがうまく掛け合えば、ぼくの死骸を売ってくれるかもしれないよ……
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最終更新:2012年01月29日 22:33