シルフィード
JR東日本新潟支社では、国鉄時代から12系を改造した6両編成のお座敷客車とサロンカー「サロン佐渡」1両、キハ28形・キハ58形カーペット車を運用していた。その後1987年には欧風車両である「サロンエクスプレスアルカディア」の運行を開始したものの、1988年3月30日に火災事故を起こし、使用不能となっていた。
当時、新潟支社のジョイフルトレインは、分割民営化以後に首都圏への乗り入れが増加していたが、それまでのジョイフルトレインは多くが客車か気動車であった。このうち客車の場合は機関車の付け替えなどによる要員確保が必要であるほか、気動車の場合は機動性については高いものの速度などは電車と比べて低いほかブレーキ性能も異なるといった制約があった。
そこで、ベースを電車とした上で非電化線区ではディーゼル機関車による牽引を行うことで、新潟地区の非電化線区から電化線区への一貫した走行を可能としつつ、前述の問題を解決することになった。
車両
いずれの車両も編成短縮化により余剰となっていたサロ189形を種車とした改造車名目ではあるものの、車体は新製されており、種車からは足周りなどの一部の部品が流用されたのみである。また、制御装置・電動機・台車などの走行機器は485系1000番台の予備品が使用されたことから、485系という形式番号が付与された。ジョイフルトレインでは初めての交直流電車となった。改造は車両構体をそれぞれ近畿車輛・東急車輛製造・新潟鐵工所で新製し・新津車両所（現・総合車両製作所新津事業所）で最終的な艤装工事が行われた。この時点では全車両がグリーン車扱いであった。
改造内容
車体は、上述のように全て新製である。先頭部分は前面展望を考慮し、「パノラマエクスプレスアルプス(165系を山椒)」とほぼ同様の形状とした。
集電装置（パンタグラフ）取り付け部分は、建築限界の小さいトンネルが存在する中央東線への乗り入れを考えた低屋根構造（雨樋から上部を基本フラット）としたほか、横軽対策もしっかりと行われた。また、日本海縦貫線の気象条件に対応して耐寒耐雪構造を強化しているほか、保安装置としては当初よりATS-P形を装備した。また、編成両端の連結器は密着自動連結器とした。
客室内は、座席は45度刻みで360度回転が可能なリクライニングシートを2列-1列の配置で設置した。
塗装
塗装デザインは、車体下半分を白、上半分をベージュとし、その境目に黄緑・紫（パープル）の帯を入れたものとされた。
引退
その後、2001年（平成13年）6月24日に信越本線新潟 - 妙高高原間を1往復するさよなら運転を行い、シルフィードしての運用を終了し、後述の「NO.DO.KA」へと改造された。
NO.DO.KA
2001年10月には、カーペット車両に改装し、同時に愛称を「NO.DO.KA」に変更した。この際、便所増設と塗装変更も行われた。また、非電化線区用の発電機器類はそのまま残され、その後も団体専用列車を中心に運用されていた。
2017年7月25日に、新潟支社は「NO.DO.KA」が老朽化に伴い2018年1月中に引退する予定であると発表し、2018年1月7日の臨時団体列車「惜別 NO.DO.KA」をもって運行を終了した。その後は1月10日に新宿駅経由で長野総合車両センターへ廃車回送され、1月10日付で廃車された。
