ラウ・ル・クルーゼ

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ラウ・ル・クルーゼ - (2023/01/06 (金) 16:17:23) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2010/01/05 Tue 23:18:33
更新日:2024/04/14 Sun 01:19:33
所要時間:約 13 分で読めます





ストライク、討たねば次に討たれるのは君かも知れんぞ…




機動戦士ガンダムSEED」の登場人物。
CV:関俊彦

人種:コーディネイター(※詳しくはネタバレ参照)
血液型:O型
生年月日:不明
年齢:25歳
身長:183cm
体重:77kg


【概要】

Z.A.F.Tに所属する仮面の男
部隊指揮官相応の白服であり、クルーゼ隊の隊長。
非常に優秀なMSパイロットであり、世界樹攻防戦においてはジンハイマニューバを駆ってモビルアーマー37機、戦艦6隻を撃破しネビュラ勲章を受章。
グリマルディ戦線では地球連合第三艦隊を壊滅させる等、Z.A.F.Tのトップガンとして獅子奮迅の活躍を見せている。
その驚異的な優秀ぶりから、ザフト兵には嫉妬を抱く者も数多くいたらしいが、尺の関係などで作中では描写されていない。


【人物像】

冷静で理知的な性格だが、仮面の影響もあってか言動の端々が非常に胡散臭い。
温和とも冷笑的ともいえる笑顔と思わせぶりな言葉で真意をはぐらかして煙に巻いたり、相手の思考を揺さぶる様な皮肉を口にする場面も多々ある。
しかし、最終決戦までは隊員に対しては紳士な対応を徹底していた上、実務においても頼りになる隊長だったので、隊員からの評判はかなり良好だった。

とはいえ、常に仮面を付けていて友軍にも素顔を晒さず、表情を伺わせないことに不快感等を示す者は少なくなく、
バルトフェルドは同じ士官としてクルーゼが優秀なことを認めつつも、その態度に不信感を隠さず、モラシムに至っては彼の映ったモニターを叩いて消すほどに嫌っていた。
また、「彼の素顔を知る者、知ろうとする者は戦死する」というジンクスもあり、ニコルミゲルフレイはこのジンクスが原因で死亡したとも*1
クルーゼとしても素顔を隠す目的で仮面を付けているだけで、好き好んで着用しているわけではないと思われるが、
そこまでして見られたくないだけに、他人の目がある場所では頑なに仮面を外すことはせず、
劇中で一度仮面が外れ、かつ回収できなかった時には、母艦に戻った後は誰とも顔を合わせないように一目散に自室に戻り、
薬を貪るように飲んだ後、即座に予備の仮面を取り出して装着する*2ほど、素顔を他人に見せることを嫌っている様子を見せている。
※尚、自室の引き出しには大量の予備の仮面が常備されている。

何故かムウ・ラ・フラガとは、近くにいると互いの存在を認識し合う事が出来る。
また、その際には何故かニュータイプ的閃き音が流れる。

病気か何かを抱えているのか、時々激しい発作に見舞われる場面もあり、発作を抑えるための錠剤を服用している。
水無し一錠ですぐに効くという優れものである。


スパロボでの客演では、あらゆる勢力から「信用出来ない」として白眼視されている。
一方、独自の思想を持っており、徹底して悪役としてブレなかった事、後述の強さに対する設定が秀逸だった事等から、視聴者からの悪役としての人気は高い。
変態仮面呼ばわりされたりするけど。


余談だが、感情が高ぶると仮面の両眼部分が大きくなる。 高確率で作画に気合いが入っている場面。


【クルーゼ隊】

部下は副官1名、赤服5名、緑服3名という構成で、緑服のミゲルも含めた6名が優秀な隊員である上、クルーゼ自身もエース級のパイロットで、
『足つき』ことアークエンジェル及びストライク撃破に失敗するまで、任務の完遂率は100%であったという超エリート部隊である。
序盤で4人もの戦死者を出したが、人員を補充することなく解散まで安定した強さで戦い続けた。

赤服。最高評議会議長パトリック・ザラの息子。
文武に秀でており、冷静な性格だが、不器用なところが目立つ。
初期から親友ストライクのパイロットだと知らされており、その心情を汲み取りつつも、
「敵同士である以上、討つことを躊躇っていれば仲間や自分が討たれるかもしれない」等の、脅しとも心配とも取れる言葉を投げかけたりしている。
詳細は項目参照。

赤服。最高評議会議員エザリア・ジュールの息子。
士官アカデミーをトップクラスの成績で卒業した優等生だが、直情的で短気なところがあり、アスランに対抗心を燃やしている。
仲間が戦死や離反で抜けていく中、初期メンバーでは唯一ザフトに残ってプラントを守るべく戦い抜いた。
詳細は項目参照。

赤服。最高評議会議員ダッド・エルスマンの息子。
イザークとは士官アカデミーの頃からの親友という間柄で、斜に構えた態度と皮肉屋なところが目につきやすいが、
度々衝突するイザークとアスランの仲裁に回ったり、ニコルの戦死にショックを受けるなど、情に厚い一面もある。
中盤、成り行きでザフトを離脱し、三隻同盟の一員として終戦まで戦った。
詳細は項目参照。

赤服。国防委員会の武官であるユーリ・アマルフィの息子。
温厚な性格でアスランと親しい。臆病呼ばわりされることもあるが、仲間からの信頼は厚い。
物語中盤、オーブ近海の戦闘でアスランを庇って戦死した。
詳細は項目参照。

「黄昏の魔弾」の異名を取る、緑服ながら赤服に引けを取らないエースパイロット。
ヘリオポリス襲撃のMS戦闘でストライクガンダムと交戦した際、二度目の戦いで戦死した。
詳細は項目参照。

  • ラスティ・マッケンジー
オレンジ髮が特徴の赤服の青年。
ヘリオポリスでのモビルスーツ奪取作戦のメンバーであったが、ストライク強奪を試みた際に機体の上でマリューに撃たれて死亡した。
本編に於ける断末魔は中年男性の様な声だったが、アスラン・イザーク・ディアッカ・ニコル・ミゲルとラスティは士官学校を一緒に卒業した同窓生の関係にある。
本編では素顔や人となりは描かれなかったが、それぞれスペエディや番外漫画などで補完されている。

  • オロール・クーデンベルグ
  • マシュー
共にヘリオポリスでアークエンジェルを襲撃したメンバー。
茶髪のオールバックがオロール、黒髪の褐色肌がマシュー。
どちらもフラガが手動操作するゴットフリートに撃ち抜かれて戦死した。

  • フレデリック・アデス
クルーゼ隊旗艦「ヴェサリウス」の艦長。黒服。クルーゼの副官的な立場にあった。
寡黙で実直な性格だが、良くも悪くも常識的な軍人の考え方をしており、その事をクルーゼに窘められる事もあった。
終盤まで副官としてクルーゼに付き従い続けたが、三隻同盟と交戦した際、包囲を突破するために三隻から集中砲火を浴びて母艦・ヴェサリウスが撃沈。
おそらくは部下を脱出させた後、ただ一人艦に残り、ブリッジで最期まで敬礼をしながら艦と運命を共にした。
この時点で既にZ.A.F.T.から離反していたアスラン、ディアッカからもその死を悼まれているところを見ると、部下から慕われる人柄であったことが伺える。

  • ゼルマン
クルーゼ隊所属艦「ガモフ」の艦長。
低軌道会戦で戦死。


【主な乗艦及び搭乗機】



以下ネタバレ























毎日放送 機動戦士ガンダムSEED FINAL PHASE「終わらない明日へ」より
画像権利所有者 株式会社サンライズ

私にはあるのだよ! この宇宙でただ1人、全ての人類を裁く権利がな!!

私は己の死すら金で買えると思い上がった愚か者…貴様の父、アル・ダ・フラガの出来損ないのクローンなのだからな!!


その正体はムウの父、アル・ダ・フラガの細胞から作られたクローン人間。
自他共に認める天才であったが傲慢且つ猜疑心の強い性格だったアルは、実子のムウを「自分程の才能も無い」上に「妻の反対で思う様に教育出来なかった」として後継者と認めず、
自分のクローン人間を作製し、それを自分の思う通りに教育することで、自分並みの才能と考えを有する理想の後継者を作り上げようとした。
その事を知っていたのは、本編時点では自身とレイデュランダル程度と思われる。

製作者はキラ・ヤマトの実父であるユーレン・ヒビキ。
個人のクローン作製が違法と知っていたため当初は反対していたが、コーディネイターの研究費の援助をちらつかされてクローン作製に手を染めた。
この資金援助によりユーレンの研究は実を結び、後にスーパーコーディネイター「キラ・ヤマト」が誕生している。

つまり、ラウは生まれこそ特殊だが遺伝子操作を受けて生まれていない為、分類上コーディネイターではなくナチュラルである。
しかし、アル・ダ・フラガの類まれな才能を受け継いでおり、事実その才能はムウ並かそれ以上*3
更に彼自身の努力でその才能に磨きを掛け、それによってコーディネイターで構成されたザフト内でも目を見張る程の驚異的なまでの実績を挙げてきた。
ザフトに入った経緯や、それまでどういう活動をしていたのかは不明。

しかし、クローンニングが技術的に不完全だったが為に生まれつきテロメアが短く、生まれた時点でアルと同じ位の寿命しか残っていなかった*4*5
作中では25歳だが、最早残りの寿命は僅かしかない…。
一時は「ラウ・ラ・フラガ」という名を与えられてフラガ家で育てられたものの、その短い寿命が判明した為アルからは失敗作と見做されてしまった*6
アルのエゴでクローンとして生み出されただけでなく、その人生を「失敗作」と断じられたクルーゼはアルを憎んだ。
その憎悪は肥大化し、常人よりも遥かに短い寿命もあって性格も酷く屈折。結果ラウはフラガ家の屋敷に火を放ち、アルと彼の妻を焼死させ、その後姿を眩ませて暗躍を開始する。
因みにこの直前、一度だけだが幼い(といっても互いに年齢自体は殆ど変わらないが)ムウと対面している。

前述の錠剤も、後述する友人ギルバート・デュランダルから与えられたテロメアの消耗を抑える(要するに老化を遅らせ寿命を延長する)薬であり、
時折発作に苦しんでいたのは薬が切れた時の禁断症状である。
発作を抑えるために薬を飲んでいたのではなく薬を飲んでいるために発作を起こしていたのである。

大量虐殺兵器が用いられる等戦争が悪化していく中、表では優秀で(少なくともザフトにとって)善良な指揮官を演じ続け、最終的にパトリック・ザラの信頼を得る事に成功。
ザフトに不都合な暗躍もしているが、戦争中はバレていなかった為にパトリックから重宝され、かなり良いポジションで暗躍&戦乱を観察し続ける事が出来、自身の計略を推し進めて連合とザフトの対立を煽っていた。


【パイロットとして】

本来ならコーディネイター用に調整されたMSはナチュラルにとって操縦困難な代物となるのだが、
よほど努力したのかムウと異なりクルーゼは全く苦にしていない*7など、彼の能力はナチュラルでありながらコーディネイター達と比べても優秀な事が伺える*8

おまけに上記の通り、ナチュラル+老化の激しい肉体でありながら本編ではSEEDを発動させた、しかもクルーゼを殺す気マンマンのキラと互角以上に渡り合うという離れ業を発揮。
これらもあってSEED世界最強クラスのパイロットと評しても問題はない。ナチュラルという括りでは満場一致で世界最強のパイロットであった。


【本編での行動について】

SEED本編の所謂ラスボスに間違いはなく、スパロボ等では特に世界の破滅を望み動いてる動くキャラとして描かれる事の多い。
フラガ家を滅亡に追いやった後後、プラントへと渡り名を変え、素性を偽ってザフトの前身組織である黄道同盟へ入隊。
ナチュラルでありながら優秀な成績を残し、エリートの証である赤服を身に纏い、戦果を挙げやがては指揮官という役務を得た。
尚、トレードマークである仮面はこの頃から着用しているが、これは急速な老化現象が表れ始めた素顔を隠すという目的である*9

だが序盤においては彼自身は人類滅亡や世界の崩壊に対してそこまでの積極性は見せていない。*10
とはいえ公に行動しているので暗躍というわけではないが、(連合の秘密兵器工場があったり、パトリック・ザラの意向に沿っているとはいえ)中立コロニーのヘリオポリスに躊躇無く先制攻撃を仕掛けたり、コロニーが壊れようが全く気にする素振りを見せないなど、後に繋がる一面は序盤から見せている。

ただし、あくまでも全てを操っていたわけではないだけであり、大きな暗躍はしている。
作中中盤に入った頃、オペレーション・スピットブレイクにおいてそのままだと下手すると戦争がそのうち終結してしまうところだったため、
彼はザフトの情報を漏らし、サイクロプス使用を促し、目論見通り戦争の膠着化と更なる復讐の連鎖を煽ることに成功。
サイクロプスが使われると思っていた根拠は謎だが(ブルーコスモスが情報を何故かすんなり信じていたことからダブルスパイだった可能性もあるが、真相は不明)、
仮に知っていなかったとすると、どさくさに紛れてアラスカの『地球連合軍統合最高司令部』のジョシュア基地に潜入するなんて真似は非常に無謀である。

この際、転属を嫌がって基地内をうろついていたフレイ・アルスターと遭遇。
彼女がクルーゼの声を聞いて「パパ?」と呟いた*11為、アルの関係者ではないかと疑ったため拉致する(結果的に救出したとも言える)。
そのためにしばらく近くに置いて探っていたが、後に全くの無関係だったと分かったので興味を無くす。

自身の遺伝子と深い因縁を持つムウ、自身のような犠牲の上に生まれたキラとコロニーメンデルで対峙した際には(三者の生まれに深い因縁のある場所であった事もあり)感情が昂ぶり、
ザフトでは本音を押し隠していたこともあってか他で見られないような一面と饒舌ぶりを見せた。

更に世界を滅びに加速させるためにNJCのデータを連合にリークした。
これについては戦闘の最中、避難艇の内の一機にだけそのデータを持った人間(フレイ)を乗せるという賭けの様な行為に打って出た。
(ただし、避難艇なので意図的に落とされることはそうそうなく、更に「戦争を終わらせる鍵」とうそぶいてフレイ自らの努力によって連合上層部に渡りやすいようにしたりはしている。連合に渡れば当時の情勢からブルーコスモスの手に渡る可能性大である)
NJCに関しては本人も届こうが届かなかろうが構わないと内心で嘯いていたが、
たまたまオブザーバーとして居合わせていた連合内でももっとも過激派と言えるブルーコスモス盟主、ムルタ・アズラエルの手にすぐさま渡るという、想像以上の大成功になった。
小説版では「やはりこの世界は滅びを望んでいるのだな」と一人笑うシーンが追加された。
もっとも仮にNJCをエネルギー問題解決のための平和利用しようした場合でも、それが明らかになった時点でブルーコスモス過激派が目を付けない理由も特になく、、情報抹消以外の方向だと遅かれ早かれ劇中と同じことになっていたと思われる。
つまり、上記の賭けはあくまでもクルーゼ視点の感想であって、そもそもの行動・前提条件が悪意に偏っているものである。

終盤にはパトリックの意向で特務隊へと異動する*12と共に、新たな乗機プロヴィデンスを与えられ、第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦に参戦。
パイロットとしての超人的な技量とドラグーン・システムの圧倒的な火力で、ジェネシスに迫る連合軍や戦争を止めようとする三隻同盟を蹂躙し、因縁深いムウのストライクも機体性能差もあって一蹴。
更には戦場から撤退しようとする地球軍の避難船を撃墜し、中に搭乗していたフレイを、助けようと駆け付けたキラの目の前で抹殺した。

しかし、フレイの死で一度は戦意を喪失したキラは、SEEDを覚醒させながら戦線に復帰。
キラが駆るフリーダムと死闘を繰り広げ、ミーティアを破壊してフリーダムそのものも半壊状態まで追い詰めるが、
連結させてレンジを伸ばしたビームサーベルを掲げながらのフリーダムの突撃を防ぎ切れず、そのビーム刃をコクピット付近に受け、プロヴィデンスは機能を停止。
直後にジェネシスの最後の照射に巻き込まれ、プロヴィデンスと共にラウもその爆発の中に、微笑を浮かべながら消えていった。


この最終決戦時の彼の口上は今でもラウを代表する名セリフとして語り草になっている。
自身の生い立ちから見出した人間の闇・悪性の主張にキラは圧倒されてしまうが、それも無理からぬこと。
大西洋連邦もザフトも穏健派を駆逐し、互いの絶滅を掲げ悉く絶滅戦争の道を選び、その愚行の果てに「人は互いに食い合い滅ぼし合う」殲滅戦が二人の後方で今まさに繰り広げられているのだから…
挙句、皮肉な事にラウの主張に共感し得るのが他ならぬキラしかいない(事態を俯瞰できるのも、理解できるのも、そして形は違えど「人の業」の化身がラウとキラの二人である)。
ともすればラウは理解を求めているようにさえ見える事だろう。

とはいえ、最後の明暗を分けたのもまた二人の歩んできた道の差であった。
誤解される事が多いが、決戦でキラが発した「それでも守りたい世界がある」はこれまでの劇中の集大成であって決して軽い言葉ではない。
親友に友を殺され、親友の友を殺し、憎み殺し合った末にそれでも和解に至ったのは紛れもない人類の可能性であるし、
キラやアスランに限らずAAの捕虜となったディアッカ*13やザフトに在籍し続けたイザーク、
果てはザフト中枢のザラ派すら寸前でこれはおかしい、ここまでやる必要はない、と絶滅戦争の異常性に疑問を抱く事となる。
ラウが「人は滅ぶべくして滅ぶ」と断じた人の業には、はからずも滅亡を望まない想いもまた含まれていたと言えるだろう。



ラウについては、世界を滅ぼしたかった一方でそうしたくなかった気持ちもあったと思われる。
前述のNJC流出で賭けの様な行動に出たり、ムウに「貴様に討たれるならそれもまた…とも思ったがな」と(過去形だが)述べたことはその気持ちからであり、
最期の瞬間に笑みを浮かべていたことも、こんな自分を止めた事への納得や安堵だと言及されている。


戦後における扱いの詳細は不明だが、行いは明らかになっているようで戦争犯罪者扱いになっている模様。



【人間関係】

キラに対しては憎しみや嫉妬が強いものの、生まれた理由やその扱いなど諸々が自身と重なるため、監督曰く愛しくも思っていたとのこと。
メンデルでムウとキラの二人と生身で相対するという、クルーゼにとってはそれなりに危険な状況に置かれながら、
キラに懇切丁寧に、熱も込めて彼の出自を説明したのも、この愛憎入り混じった感情が関係しているのだろう。
最も手強い敵の一人と認識しつつも、キラを一貫して「キラ君」とどこか親しげに呼んでいたのもその影響だろうか。

前述した通りムウとは非常に因縁深いというか同じ血が流れた宿業の相手だったので、キラ以上に拘っていた。
本編でも最終版まで拘りを見せ、尚且つムウに自身が倒されるならば、それもまた一興とまで考えていた。*14
小説版ではより克明にクルーゼの心中が描かれており、ストライクの残骸とムウが死んだ(ように視える)結果に「自身と同じ血を引き、最も自分に近い存在である、一番憎んだ男をその手で殺せなかった」と憤り、只でさえ空虚だった彼の心境により一層の虚しさを去来させた。

劇中の一人語りでラクスに対して「君の歌は好きだった」と言っている。
皮肉にも本気にも取れる言葉だが、彼女の歌をどう受け止めていたのか、どういう意味でラクスの歌が「好きだった」のかは謎のままである。

ギルバート・デュランダルとは友人関係にあり、その経歴を知る数少ない人物。
これはデュランダルが遺伝子工学の権威であり、嘗てメンデルの遺伝子研究所に研究員として在籍していた事が大きな理由だと思われる。
彼から細胞分裂を抑える薬物を貰い、老化の促進をある程度防げているが、その副作用は激しく、効果が切れた時は苦しんでいる。
デュランダルに対しては自身の内に秘めた憎悪を隠していなかった様で、デュランダルもまたクルーゼの言葉に影響を受けていた節がある。

レイ・ザ・バレルは同じ遺伝子を持つクローン同士。資料によってはレイはクルーゼのクローン(二次コピー)とされる。
幼いレイを引き取ってデュランダルに預けたのはクルーゼであり、その後も親交があった模様。
メサイア攻防戦でのレイの言動から、彼にも本性を明かしていたと思われる。


【ゲーム作品】

SEEDの最終面で対決。 MAP移行前は幾ら倒してもド根性で復活する。
しかし、プレイヤー側は三万ダメージなんて軽い機体がうじゃうじゃしてるのと、プロヴィデンスの装甲が余り高くない事から案外普通に倒せてしまう為、重要な資金源となってくれたりする。
とはいえ、ターン制限や他のボスとの戦いもあるのでほどほどに。
MAP移行後はHPが10万越えに跳ね上がる。 また出撃枠が少なく少数の機体しか出せない。
しかし、その状況ですら自軍の総火力でアッサリ撃破されて、本来の目的であるジェネシスを規定ターンまでに余裕で破壊されることになりがち。
実は撃墜しなくてもクリア可能だが、熟練度獲得に必要なのと、最強クラスの強化パーツであるハロを落とすのでぜひ撃墜しておきたい。
アスラン、ディアッカ、イザーク(仲間になった場合)と会話イベントが発生。
人類の滅亡を願っている事から、前作、前々作での地球の危機には、内心ウキウキしていたらしい。
だが、その度に世界を救ってきたαナンバーズには鬱屈した感情を抱いていた模様。小物臭い。
αナンバーズの面々に関しての情報はかなり調べ上げており、どこで知ったのか人類補完計画の詳細まで知っていた。

声優繋がりで中の人が同じ秋津マサトとの対戦時に専用セリフが存在する。
また、機動戦艦ナデシコ』の草壁に引導を渡す(当然ながら原作にそんなシーンは無い)という誰もが予想しなかったであろう役どころを担い、結果として劇場版へのフラグをへし折った。
能力的には最強クラスで、序盤から最終盤まで立ちはだかる厄介な敵。
しかも、なぜかコーディネイターの特殊スキルも持っているのでもともと高い能力がさらに強化される。
プロヴィデンスの性能もかなりのもので、版権最後の敵として立ちはだかる。

ボン太くんに浄化されかけた
味方側にもっと過酷な運命を背負ってる奴がいるからか、若干小物臭い。
似た様な出自の叢雲劾からは一定の理解を示されてはいたものの、その行動には弁護の余地無しと切り捨てられている。
ヤキン・ドゥーエ攻防戦で戦死したと思われるも実は生き延びており、最終前話ではDr.ヘル、シンクライン皇太子とともに今回も最後の版権敵として立ちふさがる。
なにげにガンダムシリーズのラスボスとマジンガーシリーズのラスボスが並び立つのはα以来である。

本編では第3章で敵として登場。
期間限定イベント『錯綜する意志』ではあのエンブリヲ蘇生させられ、結託して悪事を働く。
『夢見た楽園は遠く』においてはジェネシスにぶち込まれたにも拘らずグラドス軍に救助されていたというさすがにちょっと無理がある設定で登場し、
グラドスの野望が地球人同士を戦わせて地球をボロボロにしようという計画*15だと知ると嬉々として参加、
圧倒的なカリスマ性でロゴス残党やテロリストを纏め上げて第3次地球・プラント戦争を引き起こそうとした。
同じくグラドスに保護されていたステラからは外見がネオそっくりだったため慕われていた。

また、ストーリーと自軍ユニットが関連付けられず、悪役キャラもプレイアブルとして実装されている本作では、彼とプロヴィデンスもまた自軍で使用可能。
ディフェンダータイプと大器シュータータイプの2種類がおり、シュータータイプの方は高い回避率に加えて暗闇の状態異常を付与する全体攻撃の必殺スキルを持つ強力なユニットでありながら、確定で入手可能なガシャのユニットであったため、対人戦のアリーナで一時期猛威を振るった。

原作通りなのでこれと言って書くことはない。ゲーム的にも難易度がデノミされた第2章序盤のボスなのでちっとも恐れるに足らない。

  • Gジェネレーションアドバンス
ザフトを裏切り連邦からフリーダムを受け取るが、イージスに乗ったアスランに押されたり、挙句ストライクに乗ったムウと相打ちになり、
フリーダムもキラに奪われるとこれまた小物臭い扱い。

  • GジェネDS
概ね原作通りだが、spモードのライバルルートでは主を失った「レギオン」の新たな保護者になっていたりと裏設定や「DESTINY」を彷彿とさせる行動をとっている。

中間アップデートでプロヴィデンスガンダムに搭乗して参戦。
キラ・ヤマトに対しては掛け合いが豊富だが、フリーダムやストライクフリーダム相手にもあるが原作同様のやり取りはストライク時代のキラに設定されており、出撃ムービーではストライクに乗ったキラを相手にしていた。
劇中で直接的なやり取りの無かったアンドリュー・バルトフェルドやラクス・クラインに対して皮肉めいた台詞をよこしたり、イザークやディアッカなどの部下からは味方なら信頼され、敵対するとその腕前を恐れられるなどされていた。
ちなみにパイロットグラフィックはこの手の作品としては珍しくパイロットスーツを着ている。熟練度を上げると衣装差分で白服状態にもできる。EXVS2ではイラストがアップデートされたが、更に期中でイラスト変更され躍動感のあるものとなった。



この様に、ゲーム作品でもほぼ全ての作品で絶対悪として君臨し続けていたが、ソーシャルゲーム「スーパーロボット大戦Card Chronicle」では、
一度は自軍に倒されるも、ショット・ウェポンとともにスパイラルネメシスを引き起こし、宇宙の崩壊を企てる悪役として出ては来るが、
最後の最後まで自軍であるカイルスに敵対し続ける点に関しては同じだが、『冥王計画ゼオライマー』の塞臥の境遇に共感して自らの素性を明かして手を差し伸べるという、
これまでの作品では見られなかったクルーゼの内心を掘り下げる一幕があったり、
最終決戦においてはシンやルナマリア達との交流から未来への希望を見出したレイとの直接対決の果てに、敗北を認め、レイの歩む未来にエールを送り、満足して散るという救いが漸く用意された。


◆クルーゼの呪い?

スパロボZにてネオやレイといったクルーゼと関連する二人に『声が低くなる』といったバグが生じ、それによって両者は声の雰囲気が驚く程クルーゼそっくりに。

特に、同じ声優のレイは完全にクルーゼにしか聴こえない。
何故この様な事態になってしまったのかは不明。 一時は仕様と発表されていたが、ファンディスクでは修正された事から本当にバグだった様だ。


◆セリフ集


SEED

「所詮、子は親には勝てぬということかな?」

「知りたがり、欲しがり! やがてそれが何の為だったかも忘れ、『命を大事』と言いながら弄び殺し合う!!」

「何を知ったとて! 何を手にしたとて変わらない! 最高だな、人は」

「使ってみせるさ……あの男に出来て、私に出来ない筈が無い」

「これが人の夢、人の望み、人の業!! 『他者より強く』、『他者より先へ』、『他者より上へ』!!」

「もう遅いさムウ、私は結果だよ。だから知る! 自ら育てた闇に喰われて人は滅ぶとな!!」

「君の歌は好きだったがね……だが世界は歌の様に優しくはない!!」

「知れば誰もが望むだろう。『君の様になりたい』と、『君の様で在りたい』と! 故に許されない、君という存在も!!」

「これが定めさ! 知りながらも突き進んだ道だろう! 正義と信じ、分からぬと逃げ、知らず! 聞かず! その果ての終局だ! 最早止める術等無い!!」

「知らぬさ! 所詮人は己の知る事しか知らぬ!」

「人が数多持つ予言の日だ!!」

「それだけの業、重ねて来たのは誰だ! 君とてその一つだろうが!!」


SEED DESTINY

「全てのものは生まれ、やがて死んでゆく。 ただそれだけの事だ」

ギル「だから何を望もうが、願おうが、無意味だと?」

「いやいや、そうではない。 ただそれが我等の愛しきこの世界、そして人という生き物だという事さ。 どれだけ、どう生きようとも」

「誰もが知っている事だが忘れている事。 だが私だけは忘れない。 決してそれを忘れない」
「こんな私の生に価値があるとしたら、知った時から片時も、それを忘れた事が無いという事だけだろうがね」

「そんな事は私は知らない。 私は私の事しか知りはしない」

「迷路の中を行く様なものさ。 道は常に幾つも前にあり、我等は選び、ただ辿る」
「君達はその先に願ったものがあると信じて。 そして私は、やはり無いのだと、また知る為に」

「そうして考えている間に時は無くなるぞ? 選ばなかった道等、無かったと同じ」
「もしもあの時。 もしもあの時。 幾ら振り返ってみても、もう戻れはしない。 何も変える事等出来ない。 我等は常に、見えぬ未来へと進むしかないのだ」

「今ではない何時か、此処ではない何処か。 きっとそこにはある。 素晴らしい『モノ』」
「それを求めて永劫に、血の道を彷徨うのだろう? 君達は……。 不幸な事だな」

「救いとは何だ? 望むものが全て、願った事が全て叶う事か? 『こんな筈では無かった』と、だから『時よ戻れ』と祈りが届く事か?」
「ならば次は間違えぬと、確かに言えるのか? 君は。 誰が決めたというのだ。 何を?」


スパロボシリーズ

  • 第3次α
「人造人間エヴァンゲリオン! 早く君は使命を果たしたまえ! 補完という名の滅びを!」(対碇シンジの戦闘前会話)

  • スパロボJ
「君の悪足掻きも、楽しませて貰ったがね。 だが世界は、正義と悪だけで語れる物とは思えんな」
「信じていた物に裏切られるのは辛いだろう? 楽になりたまえ」(草壁のかぐらづきを撃ち落とすシーン)
「君に代わって、私が冥王計画とやらを成し遂げてあげよう…」(対秋津マサト)

  • スパロボW
「(くっ…あの機体を見ていると私の中の闇が薄れていく…!)」(対ボン太くん)

  • スパロボCC
「それが君の答えか、レイ…。 ならば、辿れば良いさ…。 君が選んだ、その道を…」
「願ったものが先にあると信じるのは…君次第だからな…」
「フ…フフフ…ハハハハ。 ハハハハハハハハハハ!」


【余談】

『機動戦士ガンダムSEED X ASTRAY』一巻の外伝と、『SEED ASTRAY』リマスター版本編で黒髪の姿の彼らしき男が登場しており、
スーパーコーディネイターの失敗作であるカナードに成功体であるキラ・ヤマトの存在を教えている。

また同作ではクルーゼと似た境遇の人物としてプレア・レヴェリーが、別のところではメタルギアソリッドのリキッド・スネークがいる。


世界を憎みながら失敗作と言われて育ち戦ったカナード、リキッド。
余命が幾ばくかのクローンでありながら、愛すべき世界や仲間の為に戦うプレア、スネーク。
それは奇しくも、キラとクルーゼの関係と逆であった。








私にはあるのだよ! この宇宙でただ一人、全ての項目を追記・修正する権利がな!




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