ジェネシス(ガンダムSEED)

登録日:2017/06/09 Fri 22:40:00
更新日:2025/01/17 Fri 13:05:26
所要時間:約 20 分で読めます






ジェネシスは、最終段階に入る。全艦、射線上から退避!

部隊を下がらせろエザリア…!我らの真の力、今こそ見せてくれるわ!!

『全軍、射線上より退避』…?『G.E.N.E.S.I.S.(ジェネシス)』…!?


ジェネシス、照準用ミラー展開!起動電圧確保!ミラージュコロイド解除!
フェイズシフト、展開!


下がれ!ジャスティス!フリーダム!『G.E.N.E.S.I.S.(ジェネシス)』が撃たれる!!


Nジャマー・キャンセラー起動。ニュークリアカートリッジを、撃発位置に設定!
全システム、接続、オールグリーン!


思い知るがいい、ナチュラル共…!

この一撃が、我らコーディネイターの創世の光とならん事を!!


発射ァ!!



G.E.N.E.S.I.S.(ジェネシス)』とは、『機動戦士ガンダムSEED』に登場する戦略兵器である。
正式名称は「Gamma Emission by Nuclear Explosion Stimulate Inducing System(「核エネルギーを使用したガンマ線レーザー砲」)」で、「ジェネシス」は英文の頭文字を繋げた略称である*1

なおジェネシスとは『旧約聖書』の「創世記」を指す言葉。…やらかしたことを考えれば、ブラックジョークにも程があるが。
本項目では以後カタカナ表記で解説する。



【概要】

「PHASE-47 悪夢は再び」*2で登場した、ザフト第1次連合・プラント大戦末期に開発した最終決戦兵器。
そして地球連合軍に横流しする形で与えたニュートロンジャマーキャンセラーと並ぶ、ラウ・ル・クルーゼが企んだ人類絶滅のための「最後の扉」の1つ

その実態は歴代ガンダムシリーズの中でも屈指の殺戮性能を誇る超鬼畜戦略兵器
地球の全生物を一撃で確実にほぼ壊滅させられる規格外の破壊力は『SEED』シリーズ全体の中でも最大規模であり、
さらには、
  • PS装甲
  • ミラージュコロイド
  • Nジャマーキャンセラー
という、C.E.71当時の最新鋭軍事技術の結晶でもあるというシロモノでもある。

パトリック・ザラはこの兵器を「コーディネイターの創世の光」と呼称し、その破滅的な威力と光を歓喜と共に讃えていたが、
そのジェネシスによって自軍の地球連合軍艦隊の大半が一瞬のうちに壊滅に追い込まれる、あまりにも絶望的な光景を目の当たりにしたムルタ・アズラエルは、

何がナチュラルの野蛮な核だ!
あそこからでも地球を撃てる奴等のこのとんでもない兵器の方が、遥かに野蛮じゃないか!!

と、直前の連合軍の核攻撃を揶揄するようなパトリックの演説を絡める形で激昂し、ザフト軍を罵倒していた。
尤も、そのアズラエルが主導した核攻撃は『血のバレンタイン』よろしく非戦闘員も居住するプラントを標的としたものもあり、
嬉々として戦闘員非戦闘員含めプラントに住む全コーディネイターを核ミサイルで皆殺しにしようとしていたため、激昂する気持ちは分かるが主張内容については「お前が言うな」という側面も多大にあった。

また、この壊滅的な威力については、撃たれた地球連合軍はもちろんのこと、その威力を目の当たりにした味方のザフト兵も唖然としており、パトリックとクルーゼ以外のエザリア・ジュール以下、パトリックを支持するタカ派議員でさえ完全にドン引きしていた。
しかし、既に「ナチュラル憎し」の感情に染まり切っていたパトリックは、今しがた自分の指示で引き起こした惨状はおろかそんな身内の反応にも頓着せず、
即座にザフト軍の戦意と正当性を高めるような演説をぶち上げ、これによってザフト軍は核を撃たれた憎悪を引き金に徹底抗戦に踏み切った。

一方、ジェネシスの第一射で大打撃を被った地球連合軍は、最早戦力的には戦いを続けられるような状況になかった。
……のだが、「ジェネシスを放置していれば、いつ地球にジェネシスが照射されるか分からない」という危機的な状況を無視できず、半ば恐慌状態に陥りながらも戦闘続行を決断。
その結果第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦は殺意と憎悪に染まりきった泥沼の地獄絵図と化していく。


【開発までの成り立ち】

ジェネシスは、元々はプラントにおけるソーラーセイル開発において、
  • セイルをレーザー推進させるためのX線レーザー発信装置
  • 地球圏外に宇宙船を送り出す為のレーザー推進加速装置
の2種を兼ね揃えた施設……つまりは宇宙船用のカタパルト「マスドライバー」の一種として開発されていたものである。
だが、ナチュラル及び地球連合軍への憎悪に凝り固まったザラ政権末期において、原爆の起爆設備とγ線の収束機器を追加して軍事兵器に転用されることになった。

なお、この開発はNジャマーキャンセラー搭載機と同様にかなり極めて極秘裏に行われており、プラントはおろかザフト軍内部にも存在を知るものは数少なかった。
そしてクルーゼから秘密裏に提供されたNジャマーキャンセラーによって核兵器を復活させることに成功した地球軍が宇宙要塞ボアズを核攻撃で破壊し尽したことで、怒りと憎悪に染まったパトリック・ザラの手で起動された。

バルトフェルドの考察では、この兵器の本来の役目はあくまでも核兵器と同じ「抑止力」である。
だが実際の所、それはあくまでも良識ある正常な人間の考えと発想に過ぎない。
既存施設の転用とはいえ開発に多大な時間とコストが掛かったために、この兵器の初使用のタイミングがたまたま連合軍の核攻撃に対する報復的な運用になっただけであり(もちろん使用後には演説で民意誘導も行っていた)、
パトリック(と開発に携わったザラ派)は「プラントの勝利」のため、最初から地球に撃つ気満々だった。
こういう点は、核兵器使用を渋る連合軍上層部に「兵器は使うものでコレクションじゃない」と説得を行ったアズラエルと似ており、
そんな二人が地球連合・ザフトの(事実上の)トップに就いているという時点で、一歩間違えればクルーゼの目論見通り人類滅亡の結末を迎えてもおかしくなかったと言えよう。


【構造・特性】

「コロニーサイズの本体ユニット」と、照準を定めるための「円錐状のミラーブロック」で構成される。
本体の発射口部分の周囲とそこに向かい合うミラーブロックの底部はそれぞれ円形の巨大ミラーとなっている。
またジェネシスの制御はヤキン・ドゥーエの指令室からの遠隔操作となっており、ここから発射操作、PS装甲の展開、ミラージュコロイドなどの各種機能を全て一括で操作可能。
なのでジェネシス本体側は実戦においては無人での運用だと考えられる。

仕組みとしては本体内部で核爆弾を爆発させ、発生したγ線を二種類のミラー*3によってコヒーレント化して照射する超巨大γ線レーザー砲。天文学におけるγ線バーストに近い。
物質透過率の高いガンマ線なのでレーザー自体は不可視。劇中でレーザーのように見えるのは、超高温に加熱された星間ガスやスペースデブリが発光しているためである。
描写からうかがえる限り強烈な熱エネルギーを持っているようで、これをまともに受ければMS・軍艦は一瞬で爆散し、生物はサイクロプスの時のように全身の細胞が即座に沸騰・破裂して死ぬ。またかよ
やはり一瞬ではあったが、ジェネシスを被弾した艦や基地の人員や、基地の女性オペレーター複数人が、膨張したと思ったら、次々に風船の如くパンパン音を立てながら破裂するシーンが土曜の夕方に放送された。
まあ、被弾すれば即死するという点は通常のビーム兵器も同様で、破裂するか蒸発するかの違いしかないかもしれないが、
サイクロプスといいこれといい、不可視のエネルギー波で北斗の拳のモヒカンの如く爆裂死するグロい絵面をよく土曜の夕方に放送したものである。

よって撃たれたら最後、事実上回避も防御も不可能。
そしてその性質上、たまに創作で見られる「ビームをモロに受けたけどギリギリ運良く助かりました!」なんてミラクルも、サイクロプスと同じく起きようがなく、運良く射線上にいなかった、あるいは予め射線上から退避していなければ、ジェネシスの照射から生存することは不可能。
破壊力もさることながらL5宙域から月面や地球に砲撃できる程有効射程も長く、レーザーの通過した空間とその周囲の電子機器や通信に異常を発生させる副次的効果まである。


【性能・仕様】

C.E71当時の技術と科学力の粋を結集させた最終兵器なだけあり、『SEED』シリーズ全体を見ても文句なしに最大最強の破壊力を有する。
現状外伝を含めて、このジェネシスを越える瞬間的な破壊力・殲滅力を併せ持った兵器は存在しない。

具体的にはレイ・ユウキは本編最終話において、ジェネシスがもし地球に放たれた場合、「地球上の全生物の半数が死滅します!」とパトリックに警告していた。
だがエリカ・シモンズの計算では強烈なエネルギー輻射と着弾時の衝撃、気象変動等の影響で、地球上の全生物の80%を一掃できるという。
加えてこのエリカの計算は第一射目の60%の砲撃を基に算出したデータであり、最大出力で地球に発射された際の破壊力と被害は未知数。
最大出力で地球に撃った場合、地球に住む全生物が一瞬にして絶滅し、地球が死の星と化していた可能性も否定できない。

規格外のサイズの兵器だが、非使用時はミラージュコロイドで透明化させられるため隠密性も高く、大戦末期の発射寸前まで秘匿に成功していた*4
また、全体をPS装甲で覆っている上、その巨大さと桁違いの出力により本来ならばPS装甲を貫通するはずのビーム兵器への耐性も得ているとされ、
核ミサイルを除けば劇中最高クラスの威力を持つ陽電子砲が直撃しても、破壊されるどころか傷一つ付かない鉄壁の防御力も獲得していると隙がない。
ただでさえ巨大な施設を、MS1機分用意するだけでも相当なコストがかかるとされているPS装甲とミラージュコロイドで覆うとは、どれだけの膨大な資源やエネルギーが費やされたのであろうか……。


ただし、有り余る破壊力を得た代償に、発射口の前にある一次反射ミラーブロックは二次反射ミラーで反射されたγ線の奔流に丸ごと呑み込まれる形となり、発射後にブロック全体が高熱で融解・変形し再使用は不可能となってしまう。
この点は予備ミラーブロックを複数*5用意しておくことで対応しているが、使用済みブロックを廃棄軌道に放棄して撤去しつつ予備ブロックを次射の照準も考慮した位置へと正確に移動させねばならないため、容易に連射はできない。
交換作業だけでも確実に数時間以上は掛かってしまうため、この「ミラーブロック交換に要する時間」が唯一にして最大の弱点といえる。

だがその唯一の弱点も、宇宙要塞ヤキン・ドゥーエのある宙域に大量に配備されたザフト軍の防衛網によってジェネシスそのものが厳重に護られている。
プラント本国に近い位置にジェネシスが配備されていることもあり、仮にジェネシスを攻略しようとする場合、その前にザフト宇宙軍の総戦力と呼んで差し支えない膨大な数のMS部隊や艦隊群の繰り出す砲火の雨を突破する必要があるため、簡単に見えて攻略は非常に難しい。
というか、遠く離れた位置から地球を死の星に変えられる回避不能の一射を現実的な時間間隔で連続使用できるだけでも弱点と呼ぶには小さい。


【劇中の活躍】



新たなる未来!『創世の光』は我らと共にある!!

この光と共に今日という日を!我ら、新たなる人類コーディネイターの、輝かしき歴史の、始まりの日とするのだ!!


第一射

一射目は60%の出力で照射され、地球軍艦隊の半数を消し飛ばした。
なお、「戦力の30~40%を喪失」する事は軍事用語上 「全滅」 といい、この時点で組織的な行動が不可能とされる状態である。
「戦力の約50%を喪失」したこの時点の地球軍艦隊は、全滅を飛び越えて 壊滅 状態であり、これは大規模な増員無しでは部隊の再編制すらも不可能な状態=一から部隊編成し直すのと同じ状態を意味する。
しかし、地球軍トップのアズラエルは部隊編成や負傷者の救援よりも一刻も早く補給と整備を整えてのプラントとジェネシスの破壊を優先するよう命じていた。
一応「いつ地球が標的にされるか分からない以上、ジェネシスを一刻も早く無力化すべき」というアズラエルの主張は、地球連合軍の事実上のトップとして当然ではある。
プラント本国まで核攻撃の標的に加える理由は全くないがな!


第二射

二射目では月面プトレマイオス基地からの地球軍の増援艦隊の半数を消滅させ、そのまま月面のプトレマイオス基地まで一撃で崩壊させた。
この時点で、地球連合軍は命令系統が崩壊して組織的な行動ができず、応援に来た戦力は半分が目の前で塵と化し、帰るべき基地すらも失ったという危機的状況に追い込まれた。
まずあり得ないが、例え増援艦隊が第一射で喪失した50%分を完全に埋められるほどの大戦力だったとしても、その半分が消滅したという事は、地球軍艦隊はそれらと合流してもなお「ほぼ全滅状態」という事になる。
そして、アズラエルはこの期に及んでなお プ ラ ン ト を 最優先で核攻撃しようとしていた。
多少の無理は押してでも今すぐジェネシス破壊に向かわねばならない面もあるのは上記の通りだが、今ここでジェネシスを放ってプラント本国を狙いに行く意味は全くなく、
最早「なんとしても地球を守る」というより「奴らに滅ぼされるより先に奴らを滅ぼし尽くす」という妄執に完全に憑りつかれていると言える。
「今はプラントよりジェネシス破壊が先だろう(意訳)」と反論するナタルに対するアズラエルの再反論を見るに、守るべき本国が無くなってしまえば最早ジェネシスだけ残っていても戦争継続の意味自体が無くなるため素直に降伏するだろう……と踏んでいたのだろうが、
同じく敵を殺し尽くすという狂気に飲まれていたパトリック・ザラが指揮を執るヤキン要塞やジェネシス本体が健在のままそれが成功しまえば、後でどうなるかは推して知るべしである。
例えそうでなくても「破れかぶれの突撃があと1回できるかどうか」の状況で、「今にも起動しそうな絶滅装置」と「無辜の一般市民数千万」の二つを前にして後者に向かうという選択は正気の沙汰ではない。


因みにジェネシスの発射で消費される一次反射ミラーは、この後に第三射用が設置された時点でも画面で確認できる限り予備がまだ三基ある*6
恐らくは、妨害による破損や、その他のトラブル時に備えた予備であろう。というかあってほしい。
さすがに、一撃で地球軍艦隊を半壊させ、地球を死の星に変えられるジェネシスを、少なくとも第六射まで撃つつもりだったとは思いたくないものである…。


顛末


ジェネシス照準! 目標、地球大西洋連邦首都、ワシントン!

二度の攻撃で地球軍は既に壊滅状態となっていたのだが、パトリック・ザラは地球連合とナチュラルを確実に根絶やしにすべく、
地球は大西洋連邦の首都ワシントンに第三射を照射する命令を下す。
それは地球の自然環境と全生物に加え、中立国や コーディネイター・プラントに協力的な国 、戦争に何ら関わりの無い一般市民、
そして、同胞であるジェネシスの射線上に未だに残っているザフト部隊と地球に住まうコーディネイターの同胞や地球に駐留する友軍兵まで巻き添えにする事を意味していた。
この命令には流石にコントロールスタッフも困惑し、側に付いていた特務隊のレイ・ユウキは止めようとするも、

議長!この戦闘、既に我等の勝利です!
撃てば地球上の生物の半数が死滅します!もうこれ以上の犠牲は――うっ!?

フン……奴等が、敵がまだそこにいるのに……何故それを討つなと言う!?

討たねばならんのだ!討たれる前に!

敵は滅ぼさねばならん!何故それが解らん!?


パトリックは無言で彼を銃撃して黙らせ、自らジェネシスの発射操作を行う。
直後に他の特務隊も「今撃つと自軍やコーディネイターの民間人も巻き込まれて大勢の犠牲者が出る」とあくまで身内を案ずる形でフォローに入るが……


勝つ為に戦ってきたのだ!皆、覚悟はあろうッ!!


完全に目的と手段が逆転した彼の耳には届かず、それどころか「ナチュラル共を道連れにできるなら彼らも本望だろう(意訳)」と指導者にあるまじき暴論を返される始末。
しかし、パトリックの暴走と凶行を止めようと最後の力を振り絞ったユウキもまたパトリックを銃撃、
事ここに至り、全スタッフはコントロールルームを放棄、ジェネシスも同時に実質的に放棄される。
それと同時にジェネシスを止めるべくアスランとカガリがコントロールルームに突入した時には、
力尽きたユウキの遺体と、生きてはいるものの致命傷を負って身動きの取れないパトリックしか残っておらず、
そのパトリックも自分を心配する息子には目もくれず、ナチュラルの全滅と彼らへの怨嗟を呟き、ジェネシスに執着しながら死亡する。
アスランは最後まで自分を見もしなかった父親の死を看取った後、彼の狂気の産物とも呼べるジェネシスを止めようとするが――





ヤキンの自爆シークエンスに、ジェネシスの発射が連動している!?
クソッ!こんなことをしても…戻るものなど何もないのに…!

フ…フフフフ…!アハハハハハハハハ!
どの道、私の勝ちだ!ヤキンが自爆すれば、ジェネシスは発射される!
最早止める術はない!地は焼かれ!涙と悲鳴は新たなる争いの狼煙となる!

そんな…


人が数多持つ予言の日だ!!


そんなことォ!


それだけの業!重ねてきたのは誰だ!?


最後の土壇場でクルーゼから、ジェネシスの発射状態が解除できず、ヤキン・ドゥーエの自爆と同時にジェネシスが発射されるという最後の事実が明かされた。
クルーゼの想定ではパトリックが憎悪のままジェネシスを地球へ撃てばそれでよし。
もしイレギュラーな事態が生じてパトリックがジェネシスを撃たなかった、あるいは撃てなくなったとしても、「ヤキン・ドゥーエの崩壊」を引き金にジェネシスの第三射は地球へ無理矢理放たれる。
そして地球に壊滅的打撃を与えてナチュラルとコーディネイターの憎悪と怨嗟を更に煽り、両陣営を講和・停戦不可能な状況に陥らせて今以上の泥沼の戦いを呼び起こすことで人類を破滅に追いやる目論みであった。

しかし、三射目が放たれた際発射口付近にキラに討たれたクルーゼのプロヴィデンスがいたため、レーザーの直撃でクルーゼ諸共機体の核エンジンが誘爆。
これによりミラーブロックが損傷したためレーザーの反射が行えず、更に間髪入れず本体内部でジャスティスの自爆が敢行されたことでジェネシス本体も破壊され、三射目は地球に放たれる前に阻止された。
戦争の泥沼化の元凶だったクルーゼもキラとの死闘の末に戦死し、両陣営の更なる怨嗟と戦乱の発生が呼び起こされることは寸前で防がれた。
そして敵への憎悪と狂気に囚われたパトリック・ザラとムルタ・アズラエルもまた戦死し、戦争は終結することになった。


【派生兵器】

ジェネシスα

『ASTRAYシリーズ』で登場したジェネシスのプロトタイプ。
最初はアッシュ・グレイら特殊防衛部隊が根城とし、ラクス・クラインと彼女に味方する人間の暗殺という命令の元で、
巨大MSリジェネレイトの外部加速装置として運用していた。
「機体(リジェネレイト)の加速装置」という運用手段は、「外宇宙探索船用の加速装置」というジェネシス本来の用途に最も近い方法である
…のだが、アッシュ・グレイが破壊と殺人に快楽を見出して敵味方問わない殺戮を繰り返す狂人なので、
無差別な殺戮に使われたという意味では、本家ジェネシスとはそう変わらない。
用途はそのまま、しかしジェネシス本来の理念であろう「地球人類全てにとって有益な歩みとなる平和利用」からは縁遠い使われ方という、ある意味酷い皮肉である。
そんなキャラのせいかリジェネレイトはロウや劾たちの戦いで出オチ同然で破られたのは内緒だ。

その後グレイがロウ・ギュールらに敗北し、施設はジャンク屋組合により接収。
兵器運用されたときのヤバさを知っているザフトを撃退しつつジェネシスαは、
ジャンク屋組合の本部を兼ねた加速装置として利用され本人の希望とはいえ8を置いてロウを送り出した。

『DESTINY ASTRAY』ではユニウスセブン落下前後にジェネシスαを巡り戦いが起きている。
まずザフト脱走兵が兵器として利用しようとしたが、この時はアメノミハシラの軍勢が介入したことで、ジャンク屋組合は事なきを得る。
次にジャンク屋組合が落下中のユニウスセブンの破壊を目論むも、テスタメントの介入とそれに続く戦闘で目論見は失敗。
加えて再戦時にはテスタメント(というよりは中のパイロット)の悪あがきでジェネシスαは暴走させられ、
表向きには秘匿されていた連合軍基地に被害を与えた。
さらにこの一件でジェネシスαを脅威と認識した地球連合から報復を兼ねた襲撃を受け、
予め細かいパーツに分解していたジェネシスαを自爆同然にパージさせて完全に解体される。
残骸を使って新本部のジャンクαが建造された。

ジェネシスαにいたジャンク屋組合の構成員は、パージされたパーツを目眩まし兼質量弾代わりにし、
それらに紛れ込むようにして艦船などに乗り込み脱出。アメノミハシラへの避難に成功している。
こちらも施設全体をPS装甲で覆い尽くし防御を固めていたが、後に全てひっぺがされてPS装甲をフレームに採用した自動車の素材とかにされた。


アポロンA

『機動戦士ガンダムSEED C.E.73 -STARGAZER』で登場。
外宇宙探査組織DSSDの宇宙ステーション「トロヤ」に搭載された、プロパルジョンビーム砲及び太陽発電パネル付きレーザー発振ステーション。
本来はスターゲイザーのヴォワチュール・リュミエールのテスト用設備のひとつであり、出力はジェネシスに劣るものの、
それでも出力を上げて照射すればMS1機をほぼ破壊せしめ、ガーティ・ルー級を轟沈させる威力となる。
しかも、描写の限りではジェネシスにあったミラー交換の必要がないので連射が可能。
出力を上げた状態での照射を受けた機体に搭乗していたパイロットも只では済まず、出力30%の時点でGでパイロットが押し潰される危険性もある。

劇中ではスターゲイザーの無人操縦用AIを狙い襲撃したファントムペインとの戦闘で止むを得ず兵器として転用。
バッテリー切れを起こし機能停止したヴェルデバスターを撃墜した事で、戦場に残った最大の脅威であるストライクノワール排除のため、
セレーネがコントロールルームにいた同僚に頼み出力を30%に上げさせて照射。
照射を受けたスターゲイザーに組み付かれていたストライクノワールは強烈な加速度に耐えきれず大破。
スターゲイザーとセレーネと共に金星~地球間の宙域に吹き飛ばされ、スウェンも骨折する重傷を負った。
漫画版では帰還したスウェンは足に後遺症を患っている(但しOVA本編では生死含めて描写されていない)。

ストライクノワールの排除後はコントロールルームに生還したソルが指揮を取り、襲撃部隊指揮官のホアキン中佐が座乗する旗艦ナナバルクを砲撃、消滅させた。


ネオ・ジェネシス

続編の『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』で登場。
「ネオ」の名の通りジェネシスの改良版であり、宇宙要塞メサイアの切り札として搭載された。
小型化したため破壊力は低下したが、ジェネシス最大の弱点と言えるミラー交換が不要となり連射性能がアップ。
宇宙要塞という仕組みと張り巡らされた陽電子リフレクターにより純粋な耐久力という点も強化されるなど、
正直やりすぎだった破壊力と引き換えに取り回しが良くなり兵器としては改善・強化されたと言っていいだろう。
なお、ジェネシスが連射できない最大の原因であるミラー交換が無くなっているのだが、チャージが必要で結局次射には時間がかかる様子。

更に棚から牡丹餅的に自軍側に取り込めたレクイエム*7の存在もあったため、こちらも凄まじい脅威として君臨。
レクイエムでオーブを狙いながらも拠点防衛にネオ・ジェネシスを用いて反デュランダル陣営を半壊させるという戦略で敵にかなりの痛手を与えた。
三射目前にメサイア諸共破壊されたものの連射性能の向上により猶予はほとんどない状況だったため、
半壊後の戦力差もありストフリを駆るキラの超人的な活躍がなければメサイア方面の反デュランダル陣営は全滅の可能性が高かった。
なお、この際最大限の効果を狙うためにザフト艦隊すらも巻き込まれたため、議長死亡後のデスティニープラン放棄の一因になったと思われる。(※他にも理由は多々ある)


因みに、ジェネシスの発射時のSEはリマスター後は変更されたが、ネオジェネシスはリマスター後も以前と同じである。
というより、『DESTINY』ではジェネシス関連のSEは本放送バージョンに差し戻されたという感じで、
回想シーンのジェネシスも発射音はリマスター以前のSEになっている。


【外部作品での扱い】


SDガンダム GGENERATION OVERWORLD

クルーゼがジェネシス2基を並べた「ツイン・ジェネシス」ハマーン・カーン率いるネオ・ジオン軍艦隊やニュータイプ部隊を殲滅。
更にはツイン・ジェネシスの間にメサイア(勿論ネオ・ジェネシス付き)を出現させ、現れたトレーズ・クシュリナーダの世界国家軍も壊滅させる。
そして以降は3門のジェネシスを毎ターン自軍に向かってぶっぱしてくるというやりたい放題なマップを構築した。
ただしマップ兵器扱いなのでバリアフィールドで防げる
手間と金はかかるが、自軍全機にバリアフィールドを装備させてゲストをジェネシスの範囲外に逃がせば、
ジェネシスの攻撃を弾きながら力押しで正面突破する自軍というクルーゼへの嫌がらせそれはそれで狂気的な光景を拝むこともできる。
ちなみに最終的にはシーマ艦隊がソーラ・システムⅡを使って破壊してくれる。

スパロボシリーズ

第3次スーパーロボット大戦α~終焉の銀河へ~

大体原作通りの扱いだが、パトリックが「ジェネシスがあれば宇宙怪獣なんてどうにでもなる*8」的な発言をしており、
その宇宙怪獣に対するにはあまりにも甘過ぎる見立てはプレイヤーの失笑を買った。
発射の際にカミーユ達ニュータイプがジェネシスに込められた憎悪を感知するクロスオーバーがある。

そして、第一射によって三輪長官率いるのクラップ艦隊を消し飛ばし、彼は第4次SRWと同様に逆スパロボ補正とも言うべき末路を迎える事となる…。
第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦においては、SEEDシナリオのラストバトルの場所となるが、
その際条件を満たしていれば、イザークがプラントの未来を一人のエゴに振り回される事を良しとせず反旗を翻して増援として駆けつけ、
ニコルを除く元クルーゼ隊揃い踏みの最終決戦となる。

スーパーロボット大戦W

第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦では破壊されず、この発射状態を解除出来ない事を活かして、
月面から浮上するラダム母艦を破壊する際に用いられ、ルリからトリガーを任されたアスランが発射。
人の歪んだ英知が生み出したもので人を救ってみせるという大金星を挙げた。
この発射にはキラ、クルーゼ、Dボゥイ、ラダム母艦と一体化していたテッカマンオメガが巻き込まれたが、
オメガを除き全員救助されている為、死亡者はオメガのみであった。
上記のリジェネレイトガンダムも登場しており、戦闘演出にジェネシスαも登場している。

『スーパーロボット大戦X-Ω』

期間限定配信クエストである「大決戦!地球を守る戦士たち」の第3章「集結する力」にて登場。
地球圏の防衛線に現れた無数の宇宙怪獣に照射され、窮地に陥る防衛部隊が突破口を開く事に貢献するという、奇しくも第3次αでの言及と繋がる形に*9
このシナリオではザラ議長がジェネシスを用いた謀略をアスランが公表し、彼を失脚させる事に成功した上で、
ザフト軍はネオ・ジオンや連合(ティターンズも含む)と共に防衛部隊への加勢を決定。
人類が手を取り合って宇宙怪獣達に立ち向かい、ジェネシスすらも「人類を守る光」と化す優しい世界となった。

バトルスピリッツ

TCGバトルスピリッツのコラボカードでは「終末の光」というジェネシス発射回のサブタイトルの名前でカード化している。


…流石ですな、ザラ議長閣下。『ジェネシス』の項目。これほどのモノとは

…項目は追記・修正せねば意味がなかろう!

(ニヤッ)


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最終更新:2025年01月17日 13:05

*1 「あの文章のどこに『レーザー』なんて書いてあるんだ?」と思われるかもしれないが、レーザー自体「Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation(誘導放出による光増幅放射)」の頭文字である。言うなれば「Stimulate Inducing System」の部分の意訳が「レーザー砲」になる。

*2 HDリマスター版では45話

*3 力場によってγ線を収束する

*4 ノベライズ版ではザフト内で噂にはなっていたものの、ミラージュコロイドで隠され実物が確認されていなかったことで多くの者はその存在を信じていなかった

*5 劇中では初期から4基ほど確認出来る

*6 おそらくはCGの使い回しのため

*7 最終決戦の前に月面の地球連合軍を基地諸共壊滅させた

*8 一応、月のイージスシステムとバスターマシン3号も勘定に入っているが、そもそもバスターマシン3号が一体何なのかパトリックは理解しておらず、当初は「プラント殲滅用の兵器」だと考えて奪取しようとしていた。

*9 問題なのは効く効かないではなく絶対的な物量に対抗し得ない点なので、局地的に効果を出せることはおかしな話ではない。