ミノフスキー物理学(ガンダムシリーズ)

「ミノフスキー物理学(ガンダムシリーズ)」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

ミノフスキー物理学(ガンダムシリーズ) - (2019/09/09 (月) 01:46:15) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2019/09/09 Mon 00:39:18
更新日:2024/04/07 Sun 01:21:05
所要時間:約 39 分で読めます




『ミノフスキー物理学(Minovesky Phsics)』は、アニメ『機動戦士ガンダム』を初出として、ガンダムシリーズ(特に宇宙世紀(U.C.)系作品)にて言及される架空の物理学理論と、その応用技術。

その名の様に作品世界にて発見された、主に“マイクロ波から超長波まで電磁波を最大で99%まで減衰させる効果を持つ”と説明される架空の素粒子である『ミノフスキー粒子(Minovesky Particle)』の特性を利用する為の研究理論のことである。

後付けによる補完もあるとは云え、所謂“リアルロボット”系の嚆矢にして、金字塔、象徴でもある『ガンダム』シリーズを特別な物と足らしめたのは、このマニアホイホイの、詳細で、考察(妄想)に足る裏設定や追加設定が生まれていった面もあるから……とも言える。


目次


【設定の誕生】

“ミノフスキー粒子”の名前を生み出したのは、初代『機動戦士ガンダム』でSF設定を担当した『スタジオぬえ』の松崎健一である。
松崎は、それまでのロボットアニメの常識から外れた、現実世界での兵器の延長線上に位置する“モビルスーツ(MS)”というミリタリー色溢れる斬新な機動兵器の設定に真摯に取り組み、どうしてリアリティーを目指している世界観でも“人型”のロボットでなければならないのかを考えた。
そして、そんなMS同士が直に向かい合って“プロレス(白兵戦)”をせねばならないのか、にも理由を持たせる為に考案されたのがミノフスキー粒子の始まりである。

因みに、名称は総監督である富野由悠季(当時は善幸)に由来し、

①富野さんが好きな粒子→②トミノスキー→③ミノフスキー

……といった感じで命名されたという。
そして、発見者のフルネームはトレノフ・Y・ミノフスキー博士である……。

最初に設定された時点では、あくまでも強烈な通信障害を生じさせ、レーダーも上手く働かなる粒子……という程度の扱いであった。
この為、現代よりも遥かに科学技術が進んでいる宇宙世紀であっても視覚範囲内での艦隊船をやらねばならない羽目となり、そこに投入されたのが宇宙を自由に泳ぎ回り、戦艦の比ではない機動力と汎用性を誇るMSだったのである。*1

スタッフや脚本家にも現代で云う“チャフ*2の様”なものとして認識するスタッフが多かったようで、設定に沿えば“ほぼ”完全に遮断される筈の無線通信を行えている描写も見られ、これについてはレーダーは遮られるが無線は使えるとか、後には散布されたミノフスキー粒子の濃度により事情が変わる……と説明されている。
前者の説明の場合では接触回線を使っている場面の意味も揺らいでしまうが、後者の説明で補完出来るということなのかも知れない。

流石に可視光線に関しては影響が無い……とされることが殆どだが、赤外線には影響するという報告から、高濃度下では赤い色は見え難くなるとの説もある。
つまり、赤い人は派手好きなので機体を色分けしていた訳ではなかったということらしい。(効果を見るための実地試験を一番上手く扱える人で試してみてたと考えれば可笑しくもない……かな?)


【設定の発展】

ミノフスキー粒子の応用技術の設定が拡大していったのは、メタ的に言えば演出重視の設定無視が切欠である。
何のこっちゃと言うと、松崎は『ガンダム』で描こうとしている世界観の方向を鑑みて、富野に対して「(リアリティーを重視していくなら)今の設定では大気圏内での飛行や後退は出来ませんよ」と伝えていたのにも関わらず、翌週にはあんな形でも普通にホワイトベースが大気圏突入を果たし、更に地球に降下後のホワイトベースがあんな形でも普通に地球重力下で飛行しているのを見て頭を抱えたという。

思わず富野に抗議の電話も入れた松崎だが、放送されてしまったものは仕方がない……として、松崎と他のスタジオぬえのスタッフや、放送を見て『ガンダム』ファンとなったSFジャーナリストの永瀨唯は、放送終了後にミノフスキー粒子の特性から発展(妄想)させた数々の劇中設定の補完を行い、同人誌『GUMSIGHT』にて発表した。

この時の後付け設定が、みのり書房より刊行された『宇宙翔ける戦士達 GUMDAM CENTURY』(通称ガンダムセンチュリー)にも転用されて多くのマニアにも知られることになった。
この、監督の富野やスタッフ、声優もインタビューに参加、外部スタッフにより文字通り外側から補完されたメカニック、技術設定とジオン軍の歴史が網羅された豪華なムックは、以降のガンダムシリーズの方向性を決めたバイブルとなり、ここに載せられた後付け設定も“最初からの話”として、公式化されていくことになった。*3

これに伴い、メガ粒子、エネルギーCAP、Iフィールド、ミノフスキークラフト、フィールドモーター、AMBACシステム…etc.といった用語がこの時点までに誕生し、ジオニックとツィマッドとの競合といった歴史が“マニアにとっては当然の知識”として広まっていったのである。
つまり、このことが『ガンダム』が、従来のロボット物とは別種の、マニアの考察のし甲斐のある作品として先鋭化していくことに繋がった、と言うわけである。
こうして、基本的なミノフスキー物理学関連技術の設定は、それ自体が微妙な変化をしつつもTVシリーズ『機動戦士ガンダムΖΖ』放送終了後に登場した『ガンダムセンチネル』までで一先ず纏められることになった。
しかし、その後に発表された後続作品や関連作品にて更なる発展技術が登場し続けている。

また、宇宙世紀や富野作品以外の所謂アナザーガンダム作品ではミノフスキー物理学の名称が登場してくることは無いものの、近しい設定や名称を採用しているケースは見られる。

富野作品である『ガンダム Gのレコンギスタ』と『∀ガンダム』は明確に宇宙世紀より後の世界とされており、特にGレコは監督の希望は抜きにして宇宙世紀後の時代らしく宇宙世紀と似た使い方でミノフスキー粒子の話題が登場してくる。

以下からは、劇中設定とされている作品世界内でのミノフスキー物理学の発展の歴史である。


【作品世界での誕生と発展】


機動戦士ガンダム』前史

ミノフスキー粒子の発見者は、サイド3在住の物理学者トレノフ・Y・ミノフスキー博士である。
自身と共同研究者の名を冠したM&Y社の研究主任だった博士は、宇宙世紀0065年にミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉内にて、特殊な電磁波効果を発見。
0069年には公開確証実験に成功し、予てより自身が提唱していた学説に合致する、特殊な不可視の力場を発生させる未知の素粒子を発見した。

この粒子は、静止質量が限りなくゼロで極めて強い帯電性質を有しており、一定濃度では下記の効果により、立体格子状に整列すると云う性質を持っていた。

発見者であるミノフスキー博士に倣い“ミノフスキー粒子”と名付けられた、この新しい素粒子が高濃度で漂う空間では、ミノフスキー粒子より大きい物質に対して静電入力により特殊な斥力(Tフォース)が働き、幅広い波長の電磁波の大部分を減衰させる効果が見られた。

博士は、0045年頃に物理学で発見された根元的な4つの力(重力、電磁力、強い力、弱い力)の効果を内包した統一理論を為す仮想物質として“ミノフスキー粒子”の存在を提唱していた。
この仮説は、学会では「宇宙世紀のエーテル理論である」として批判され、博士も失意の内に学会を去っていたのだが、辺境のサイド3で研究を続ける中で実際にミノフスキー粒子が発見されたことと、0070年3月には粒子の特性が公開確証実験により明かされると共に、直ぐにこれを利用した応用技術をも公開されたことは、かつてミノフスキー博士を嘲笑していた学者達を驚かせることになった。
同年5月には、ミノフスキー粒子をIフィールドの力場内で縮退させて、生じたエネルギーを破壊に転用するメガ粒子砲までもが開発され、その破壊力を知らしめた。

以上の様にミノフスキー粒子の発見は、これ以前の素粒子物理学の在り方を全く変えて(パラダイムシフト)しまい、宇宙世紀最大の発見として、博士の名と共に関連技術が後々の世にまで残ることとなった。
この時の技術革命はミノフスキーショック、またはミノフスキー効果と呼び表されている。

因みに、博士は元よりサイド3生まれだったとする説と、博士の研究に目をつけたデギン・ザビが、0045年に博士に自由に研究させる目的でミノフスキー物理学会を立ち上げてまでしてサイド4より移住させたとする説がある。
0047年に、この学会が発展解消した後に立ち上げられたのが、ミノフスキー博士とイヨネスコの名を冠したM&Y社であった。

何れにせよ、博士はザビ家の支配の下で急速に軍国主義に傾倒していくサイド3=ジオン公国に見切りを付け、宇宙世紀0072年にサイド6を経由して地球連邦に亡命した。(ただし、その後の消息が不明誰も考えてなかったなので、亡命に失敗して死亡した。とする説もある)
こうして、ミノフスキー物理学の最先端応用技術は地球連邦にも齎されることになったのである。

ミノフスキー粒子の発見による最も大きな功績の一つが、博士が粒子を発見した場所でもある自らの設計した熱核反応炉の驚異的なまでの小型化であり、一説によれば一時は主機関の大型化の問題で断念されていたMS開発計画の再開ばかりか完成と実用化を促進させた、と言われる。
『THE ORIGIN』では、博士自身もドズル・ザビの指示の下でMS開発に加わっていた、という描写となっている。

こうして生み出された超小型のミノフスキー&イヨネスコ型熱核反応炉は地球圏でのエネルギー問題を解決した。
劇中で見られる様に、電気自動車(エレカ)の充電設備が至る所に設置されていることからも其れが窺える。


【ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉】

次に、この小型化された熱核反応炉の概要を説明する。
劇中やら設定で専ら『エンジン』とか『ジェネレーター』と呼ばれているのが此の熱核融合炉である。

熱核反応炉とは、現在の原子炉の主流である核分裂性物質(主にウラン235やプルトニウム239)を利用した核分裂連鎖反応を維持してエネルギーを取り出す核分裂反応炉に対して、重水素(D)とヘリウム3(3He)を利用してD-3He核融合反応を生じさせて、そこで発生するエネルギーを取り出す、現実には研究中の原子炉の一種のことであり、要は太陽が燃えている原理と一緒である。
また、ヘリウム3は木星船団が地球圏へと持ち帰ってきたものであった。

反応を励起させる為には、核融合により生じた超高温のプラズマ場を維持するのが必要な訳だが、太陽を炉心に収めると考えれば、此れがどれだけ大変なことなのかが解るというものであろう。
核分裂に比べればリスクは低いとは云え、核融合でも鉛でも透過してしまう強烈な中性子線は発生するので、生命体にとっては危険である。*4

しかし、何とこの核融合反応により生じる超高熱と放射線の大部分を防げてしまったのが、ミノフスキー粒子に静電入力した際に生じる不可視の力場=Iフィールドである。
勿論、粒子が相当に高濃度でなければならないが、これによって炉内にミノフスキー粒子さえ封入しておけば炉心の熱と放射線に対しての隔壁を設ける必要が無くなり、文字通りに原子炉をちょっと大きなエンジン程度にまで小型化することが可能となったのである。

因みに、MSには原子炉が搭載されているから迂闊に撃破すると危険なんだ……と、漠然と認識している方も少なくないだろうが、実は核融合反応炉の場合にはプラズマ場が維持出来なくなっただけで原子炉としての活動が停止し、漏れだすのも分子組成が安定(核分裂性物質とは違い簡単に崩壊して放射線を出さない)した水素やヘリウムなので、核爆発は発生しない。

実際に起きるのは漏れだした重水素が燃え上がる通常爆発だが、高密度の水素が燃えるだけに爆発力は大きく、劇中の様にコロニーの壁程度ならば破壊してしまう為に注意は必要であるが有害な放射線の類は発生しない。

……ただし、これは宇宙世紀111年までの第一期MSの話であり、同じく111年から生産されるようになった、15m級のボディに、更に小型・高出力化した熱核融合炉を持つ第二期MSの場合にはエンジンをビームで破壊した場合には、プラズマ場を覆っているIフィールドが最初に破壊される為に、内部の核融合反応が漏れだして大規模な核爆発を起こす可能性が出てしまった。

しかし、今更ながら第一期MSの時代には戻せないということで、第二期MSを運用していた時代には此れを使う陣営に於いて、敵対する勢力への戦術的な対処が議論、実践されていくことになった。
因みに、実弾兵器で破壊された場合にはIフィールドは破壊されないので、以前の様に漏れた重水素に点火する通常爆発のみで済む。(それでも大規模爆発な訳だが)

稼働時間は非常に長く、一度核融合の基となる重水素とヘリウム3を補充しておけばエンジン自体は10年単位でエネルギーを取り出せる。(当時のMSが必要とする電力が1,000Kw程度なので)
ただし、MSを兵器として使う以上、推進材やら空気やらは消費するので、兵器としては基地となる設備が必要である。
実際、後には大容量の電力を消費する兵装が生まれたこともあり、強力だが短時間の活動を目的としたMSも登場している。
特に、後述のIフィールドバリアー等の装備は直接に搭載ジェネレーターからエネルギーを取り出す為に、それが稼働時間の短縮化に直結した。

第二期MSの時代では前述の様に更なる小型化と高出力化が図られ4,000Kw以上のエネルギーを安定して取り出せるエンジンが搭載されるようになり、この当時では出力の問題で実現しなかった発展技術が生まれていった。


一年戦争からからの技術】


■ミノフスキー粒子の散布

実は、前述の様に『機動戦士ガンダム』の世界観の根幹とも呼べる筈のミノフスキー粒子による電波障害の効果を得るために戦場で散布している……というのが、どうやって行われているのかというのは長らく不明瞭であった。
元が後付けなので仕方がない部分もあるが、実際に散布されている場面が描かれたのは富野による『機動戦士Vガンダム』まで待たねばならなかった。


■Iフィールド

ミノフスキー粒子が一定以上の濃度となると、前述の様に静電入力により、斥力であるΤ*5フォースが発生し、正か負の電荷を持つミノフスキー粒子を立体格子状に交互に整列させる。
こうして、発生するのが“目に見えない透明の力場”であるI(アイ)フィールドである。
Iフィールドは空間その物に電荷を持たせることとなり、この空間内を通過しようとする電磁波を減衰、遮断させる。

つまり、前述の様に設定直後は単に電波障害を起こす素粒子とされていたミノフスキー粒子だが、後の設定の後付けにより、静電入力を発生させてIフィールドが展開されなければ電波障害すら起こせなくなった訳である。(因みに、静電入力をしていないミノフスキー粒子はニュートラルな状態で電磁波を遮断しない。長らく発見されなかったのも当然なのかもしれない)
この力場は、発生理由からも解る様に、ミノフスキー粒子や、それを縮退させたメガ粒子を力場に沿わせることが可能であり、上記の熱核融合炉内のプラズマ場の維持から、メガ粒子砲(ビームライフル)の発射、ビームサーベルの形成…etc.と、凡てはIフィールドが行っているのである。働きすぎやろ……

これら、ミノフスキー物理学により生み出された兵器は、MBW(Minovsky Beam Weapon)または、MAWS(Minovsky-theory Applied Weapon System=ミノフスキー理論応用兵器体系)とも呼称される。

そうした意味では、ミノフスキー物理学の中でも最も根幹的な技術と呼べる訳なのだが、指向性を持たせて打ち出す技術や飛行させる技術は上記の様に“専用の名称”が付けられている為に、目的が細分化した後はIフィールドという名称は根幹技術を指すと云うより、特に対ビーム兵器用のエネルギーバリアーを指す用語となっていった。

この、Iフィールドバリアーを最初に効果的な形で搭載したのはジオン軍の巨大MAビグ・ザムであった。
因みに、これも後付け設定であり、元々の劇中では単に対ビームバリアー(ビームバリアー、ビーム偏向フィールド)と呼ばれていたものが、後の設定の統一によりIフィールドバリアーとされ、更に『ガンダム』に於けるビームバリアー=Iフィールドと呼ぶようになっていったという訳である。
ビグ・ザムのバリアーは艦船の主砲すら弾く程の斥力を発揮したものの、通常のMSの10倍以上のジェネレーター出力を持つビグ・ザムでも20分程度の稼働がやっとで、如何にバリアーの展開を維持するのが大変かが解るというもの。

この名称が登場したのは前述の『ガンダムセンチュリー』からで、作中で用いられたのは『ガンダムセンチネル』が初である。
やや、用語について曖昧な印象を持っていた人はこうした経緯を知ると理解し易くなるのではないだろうか。

尚、対ビームバリアーと言われる様に、基本的にIフィールドを利用した防御システムは対ビーム兵器に限られる。
これは、上記の特性を見れば解るようにIフィールドの正体自体が電磁波に有効な力場である為、高速で飛来する実体弾を止められる程のパワーを基本的には有さないからである。
尚、この力場を維持する為には断続的にミノフスキー粒子を散布し続けなければならない。
強力な反面、維持に苦労するシステムなのである。


■ミノフスキークラフト

前述の様にミノフスキー物理学なんてものが考え出される切欠となったのが、主人公アムロ達の母艦であるホワイトベース普通に空を飛んでしまって見えた描写からであり、これについての言い訳から誕生した。

設定では、ホワイトベースも属するペガサス級強襲揚陸艦に初採用されたものが、有用性を認められて普及していったと云うことらしい。

繰り返すが、これに言い訳する為にミノフスキー粒子(Iフィールド)が何でも出来る万能理論と化していった。
流石に、無重力で飛行している設定にしてしまうのは無理があるとのことで、艦船下部にIフィールドを張り巡らし、その不可視の立方体の上に艦船が乗って移動していく……と、説明されている。
要は、見えない足場を作りながら前へ前へと進んでいる訳である。(僅かな落下と上昇を繰り返している)
流石に、移動の為には推進材が必要となるが、推進材のみで重力を振り切るよりは遥かに少ない量で済むために、これは=として継続行動能力の拡大や、垂直離陸を可能とすることは運用環境の拡大にも繋がった。
一方、後には本システムはかなり大型なのか、他の設備や機能を犠牲にするので戦闘専用艦には搭載されない、といった設定が生まれており、続編での母艦であるアーガマは改修(アーガマ改)されるまでは大気圏内での飛行能力を有していなかった。
実際、戦場を宇宙空間に限るのならば必須とは云えないシステムである。

デカい船が飛べる(飛んでない)ならMSが飛べないのはおかしい……と思わないでもないが、メガ粒子砲の例と同様に、艦船の熱核融合炉の出力が桁違いで、発生するIフィールドの強さも違う……ということで説明が付く。
しかし、後にMSが30m級にまで大型化した時代にはシステムが小型化していたことによりフライトシステムとして、此れを搭載した機体も登場している。
原理についてはバリアーと同じなのだが、出力や力場を発生させる方向の違いということか防御効果があるような描写は見られない。
しかし、これも両方の効果を併せ持つ技術が後に…rya

この機構により発揮された副次的な機能が、Iフィールドの展開による大気圏突入能力であり、此れをミノフスキーエフェクトと呼ぶ。
そして、宇宙世紀最大の奇跡を起こしたのは、中心となったνガンダムのサイコフレームによるミノフスキー通信(下記)が周囲のミノフスキー粒子を反応させて、ミノフスキー通信下で結ばれた機体群の周囲に巨大なミノフスキーエフェクト(ミノフスキー共鳴力場仮説)を発生させたことだったから……とも分析されている。


■フィールドモーター

連邦がRX計画をも組み込んで推進したV作戦試験機に採用した、ジオンのMSに採用されている人間の筋肉を模倣したような流体パルスシステムに対し、間接部の基部として儲けられたモーターにエンジンから送り込まれるエネルギーを送り込み、更に間接部に展開させたIフィールドとの相互作用によって駆動させるユニット(セパレート)構造システム。

破損した場合には腕なら腕のユニット自体を交換する必要があるが、整備自体は簡単で済むという利点がある。*6
流体パルスシステムに比べて稼働させる為に必要なシステムを内部に納めることが出来る為にガンダムや量産機のジムはジオン公国の主力であるザクⅡ等に比べて本体重量が軽く済むという利点が多く、戦後はフィールドモーターがMSの標準的な駆動システムとして普及していくことになる。


■マグネットコーティング

フィールドモーターは流体パルスシステムでは不可能な、駆動パーツの噛み合いで生じる摩擦を磁力の反発を利用して限界まで少なくすることでレスポンスの大幅な向上を得られるマグネットコーティングを採用することが可能だった。

それと云うのも、フィールドモーターはマグネットコーティングに必要な単磁極素粒子であるモノポールを、発生させているIフィールドの転用により作り出すことが可能であったからである。
パイロットの余りの反応の速さに付いていけなくなったガンダムに採用されて実際に効果を挙げたことにより、一年戦争当時から存在していた幾つかの実験機を経て数年後にムーバブルフレーム方式を採用したMSが登場するようになるとマグネットコーティングは標準装備となり、その利便性は可変式MSの実現にも繋がった。


■メガ粒子砲

メガ粒子とは、静電入力により其々に+と-の電荷を持ったミノフスキー粒子を一組ずつにして縮退(Iフィールドで圧力を掛けて)させて、殆ど全ての質量を高熱源エネルギーに変換した粒子状態のことである。
条件は限られるものの、出力と収束率次第ではメガ粒子の単位面積辺りのエネルギーは核兵器を越えるともされ、これを収束させて放つメガ粒子砲の破壊力は、当時で最大の防御力を誇ったルナチタニウム(ガンダリウムα)合金であっても、当たれば一溜まりもない。
宇宙世紀のビーム兵器は凡てがメガ粒子砲であるが、これは下記の様にメガ粒子砲の登場により、それ以前の兵器の記録が塗り替えられたからである。

そして、メガ粒子砲を小型化してMSに持たせることが出来るようになったものをビームライフルと呼ぶ。
ビームライフルの特徴については次の項に回すので、ここでは基本的な構造を述べる。

因みに、荷電粒子砲の一種である……として説明されていることがあるが、上記の様にミノフスキー粒子は荷電させると+か-の電荷を帯びで立体格子状に整列してIフィールドが発生させるので、ミノフスキー粒子は=荷電粒子には為らない筈なので、こう呼ぶのは不適当であり、正確には粒子加速砲と呼ぶべきものであるとされる。

Iフィールドは濃度次第では超高熱も抑え込むことが可能であることから、縮退(メガ粒子の生成)からメガ粒子の蓄積までIフィールドのコントロールにより可能であり、これを一定量まで蓄積させてからIフィールドによる収束・電磁誘導により勢いよく射出するのがメガ粒子砲という訳である。

因みに、拡散メガ粒子砲の場合は、敢えてメガ粒子の発射の際に収束の行程を簡単にして、溜め込んだメガ粒子を近くにバラ撒く兵器である。
簡易型ガンダムである、ジムの装備していたビームスプレーガンも、要は収束率の高くないビームライフルのことで、代わりに連射性と遠距離には届かないものの、近距離では広い角度にメガ粒子を打ち出すことが出来た。

ミノフスキー物理学の勃興以前にも光学兵器(件の荷電粒子砲やレーザービーム)は存在していたのだろう、と予想されるものの、
ミノフスキー物理学に基づくメガ粒子砲の登場以降は、取り扱いが容易な上に破壊力が桁違いなメガ粒子砲に取って代わられたのだろう……と予想されている。
因みに、実弾兵器は弾を打ち出すまでの減衰率により実際の破壊力は理論値の30~40%にまで落ち込むそうで、それに対してメガ粒子砲は理論値の80%程度の減衰で済むとされることから、そこからも桁違いの破壊力となることが解る。

他の光学兵器との比較は不明だが、メガ粒子砲はIフィールドによる収束効果と誘導性が高いのか、エネルギーの減衰が少ない=遠距離まで直進すると説明されている。

実際に、ミノフスキー粒子の質量がゼロに近いことから、質量を持った粒子を打ち出す荷電粒子砲の様に地磁気や電場、重力の影響を大きくは受けずに直進出来ると考えられ、大気は勿論、水中ですら幾らかは直進する。
尚、メガ粒子の高熱の粒の一つでも生身の人間や生き物にとっては危険であり、メガ粒子のビームが減衰しながら通り過ぎる→粒子が飛び散る→人がいた場合は穴だらけの死体が残される……と『ガンダム』世界で生身で戦闘地域に居ることは危険であるそうな。
富野は、この描写に拘りがあるのか『機動戦士Vガンダム』でメガ粒子の危険性に対しての台詞を入れている他『∀ガンダム』では、白ヒゲのIフィールドバリアーで防がれた大容量ビームの粒子が飛び散り周囲を燃やし、危険を告げておかなければあわや大惨事という場面を描いている。*7

メガ粒子砲の弱点としては、如何にパワーがあってもミノフスキー粒子の散布下では結局は威力が減衰することで、より強い効果を狙った“ビーム撹乱幕”といった防御技術が登場している。
このように、同じくミノフスキー物理学に基づいた技術ならば対処も可能であり、ビームコーティング程度でも、ある程度は防げてしまうそうである。

因みに、ビームライフルの出力が一年戦争当時よりも増大していたので意味が無くなったものの、百式金ピカは、一年戦争レベルのビームライフルならば完璧に防げていた……とする説もある。

この他、登場当初はメガ粒子の縮退から発射までを行うプロセスをMSサイズの熱核融合炉では出力が足りなくて行えない……ということがあり、実際には戦時での使用機会が限られる戦艦クラスの主砲とするのがやっとであった。
しかし、その変革を実現したのが、次の項のビームライフルの登場だったのである。


……尚、項目の最初の方にも挙げたように、元々は『機動戦士ガンダム』の放送中にはミノフスキー粒子がここまでの万能粒子であるとは説明されていなかったことから、メガ粒子砲の設定も後付けである。
富野は小説版『機動戦士ガンダム』ではビームライフルを超高温の重金属粒子を射出するもの。としており、本人はこの設定に拘りがあるのか、以降も同様の設定を持ち出している。
『Gレコ』『∀』でも採用している為、何かしらの理由か技術の融合によってメガ粒子砲よりも破壊力が高くなった荷電粒子砲……ということなのかも知れない。
『∀』のビームライフル(設定では共振粒子加速砲)は、ビームの速度が通常のメガ粒子以上で、大気中でも減衰しないばかりか、反対にビームの方が大地から土やら岩を引き寄せている描写がされており、ビームの直進の為に重力コントロールを用いている、という説もある。(∀ではビームサーベルも重力場を形成して固定するとされている。)


■ビームライフル

上の項でも説明したように、元々は戦艦でもなければ扱うことの出来なかったメガ粒子砲を、MS用の携行武器として小型化したのがビームライフル(Bear Rifle)ある。
連邦軍はMS開発計画V作戦にて生み出した汎用機RX78-2ガンダムのオプションの一つとして開発し、僚機のRX77-2ガンキャノンも同型のビームライフルを使うことが出来た。

中でも“連邦の白いヤツ”ことガンダムは、破壊力以外のスペックだけ聞くと迚も実戦では扱えないような此れを使って、次々とジオン製MSを撃破してみせたのである。
MS開発に於いては大きく遅れをとり、ルウム戦役では自慢の艦隊部隊を赤い人達にボッコボコにされた連邦軍だったが、ビームライフル開発に於いてはジオン軍に先んじると共に戦果を挙げたことは反対にジオンを驚愕させ、慌ててビームライフルの開発に挑ませることとなった。

戦艦に装備されたメガ粒子砲も同じだが、ビームの速度は亜光速に達すると云われ、完全に射軸が合わされた場合にはかわすことは不可能に近い。
しかし、ミノフスキー粒子の散布下では自力で照準を合わせねばならないので、人間が射撃を行うのと同じで相手に動かれたりすると途端に当てるのが難しくなる。
しかも、MSは宇宙空間を自由自在に高速で動いている訳だから、当てられる確率は限りなく低くなる筈である。

そもそもとして、一年戦争当時に登場したエネルギーCAP式のビームライフルは実験的に配備されたものであり、稼働時間の短さ(連邦の物は15発で弾切れとなる)もあってか、強力だが一般の兵士が使っても満足に成果を挙げられるのかは疑問を感じざるを得ない代物である。
つくづくガンダムに乗ったヤツがおかしかった訳である
まあ、世の中が進むとそんな奴も増えてくる訳だが。
更に時代が降ると火器管制システムも進化していき、オートメーションで射撃作業を行えるようになったりしている。

……先の時代の話はともかく、ジオン側も戦争末期にはビーム兵器を操るMS-14Aゲルググを実戦投入したものの、劣勢となった戦局を覆すには至らなかった。
実際問題としてゲルググは最新鋭過ぎて、それ以前のMSに慣れていた熟練パイロットでも上手く扱うことが出来ず、遂には学徒動員の年端も行かぬ新兵が乗ることになったが、初めて乗るMSがこれでは、やっぱり扱いきれる者は殆ど現れなかった。
更に、ジオン側は機体以上にビームライフルの開発に苦労したとのことで、連邦製より稼働時間が更に短い等、性能面では若干劣っていた……との話もある。

此のように、一年戦争当時のビームライフルは寧ろ特殊な兵装に入るレベルの代物だった訳だが、この認識がガラリと変わったのは7年後のグリプス戦役当時からである。その前から色々あったことになったが。
この頃になるとエネルギーCAPを外付け、カートリッジ交換式としたEパック方式が一般的になり、これを交換しながら使うことでビームライフルの稼働時間を大幅に伸ばせるようになり、一気にメイン兵装へとビームライフルが躍り出ることになった。

技術が広範に知れ渡ったこともあって、この時代からはMSの標準装備となった訳だが、そうして実戦に沿う形で標準化したにも関わらず、高出力で大容量を一気に撃ち尽くした後は使えなくなるようなロマン武器の類が登場するようになるのもこの頃からである。

以降の歴史も含めた詳細は、長くなりすぎるので個別項目を参照。


■ビームサーベル

ビームライフルと並び、MSの兵装としては最も標準的な装備となるが、一年戦争当時には実験的な武装であり、V作戦の試験機でもガンダム位にしか装備されていない。
そもそも、ビーム技術自体が研究中の代物であり、メガ粒子砲を小型化したビームライフルはともかく、いきなりビームサーベルを思い付いた設計者の頭の中はどうなっていたのだろうか。ぶっちゃけて言うと御禿がチャンバラさせたかったのである。
光の剣と云うと、STAR WARSに影響を受けたらしいが、光る剣やエネルギーによる刃は富野の過去作である『海のトリトン』や『勇者ライディーン』にも出てくる。
ミノフスキー物理学に基づくビームサーベルの基本設定は以下の通りで、サーベルの基部にビームライフルと同じくエネルギーCAPを仕込んでおり、そこから放出させたエネルギーをIフィールドで固定して刃を形成させている。
高密度のメガ粒子の塊なので切れ味は極めて高く、近付けらればだが、必殺の威力を発揮することになる。
……しかし、兵器の取り扱い易さや利便性から基本的には射撃兵器のみが日進月歩で発展し、ビームサーベルは一部の先鋭化した機体に装備されたものを除いては大きく姿を変えた訳ではなかったとも云える。
因みに、メガ粒子の放出にエネルギーCAPを利用していることから基部を射撃武器として転用する兵装も見られ、キュベレイΖガンダム系の変形MS等が変形時の主砲として用いているビームガンと呼ばれる物が其れである。
物理的にはビームを刀剣状に固定し、あまつさえ鍔迫り合いなんて出来る訳がないというのは初代の放送当時からツッコまれていたことであり、それに対するアニメである『ガンダム』ならではの解答として、メガ粒子は確かに反発し合わないが、刃を形成しているIフィールドならば反発し合うので、それが鍔迫り合い出来る理由となっている……とされている。細けぇことはいいんだよ!

此方も詳細と発展の歴史は長くなるので個別項目を参照。


■ミノフスキー通信

最初に示したように、ミノフスキー粒子の散布下では電磁波が通らなくなる為に通信の類が使えなくなる筈なのだが、その替わりに所謂“ニュータイプ”研究に於いて感応波で起動するサイコミュと呼ばれる未知数のシステムが登場し、通信の使えない筈の空間で声や幻影、意識の一体化といった形をも含めて意志の交流を図っている描写があるが、これを伝えているのもミノフスキー粒子だ、とされている。
感応波がミノフスキー粒子を振動させて、この振動が意識や感覚の拡大として察知されるらしい。
一年戦争時に登場したビットや、それを小型化したファンネル等もこれで動いているらしい。もはや何でもありかい。


星の屑作戦から登場した技術】


■ミノフスキー干渉波

レーダーが利かなくなるミノフスキー粒子散布下でも、物体が存在するとその部分のIフィールドの立方体構造が崩れ(詰まって)て濃度の変化を起こす筈で、それをミノフスキー干渉波と呼ぶ。(
対象の位置を割り出す目的でそれを察知しようと云うのがMPIWS(Minovsky-Particles Interference-Wave Searcher)=ミノフスキー干渉波形分析逆探知システムだが、物体の種類も判別出来ない、ダミー等を置かれると騙されてしまう、といった問題も起きる。

■ミノフスキーコンデンサー

詳細不明だが、名称から想像するにIフィールドを利用して最適化された蓄電、放出能力を得られたバッテリーだろうか?
小説版ではガンダム試作2号機の搭載するMk82レーザー核融合弾の起爆レーザーの動力源として名前が登場してくる。


マフティー動乱からの技術】


■ビームバリア

30m級ものボディに単独飛行を可能とするミノフスキークラフトを搭載した、宇宙世紀105年に運用された第5世代に属する大型MSΞガンダムに搭載された、機体に掛かる空気抵抗を軽減させる目的で搭載された装備。
Ξガンダムの前の型番で兄弟機となるペーネロペーとは運用思想を等しくするが、高速巡航する為には変形が必要となるペーネロペーに対して、ビームバリアの完成度が高いΞガンダムは人型のままでの大気圏内でも音速以上の飛行を可能としており、使用中はデカい図体でビカビカ光る。
バリアと名は付いていても相変わらず防御への転用は不可能とのことだが、富野は同時期(ちょっと前から)で連載していた宇宙世紀の未来世界である『ガイア・ギア』では、同一コンセプトで防御も可能なミノフスキーバリアーが登場している。

ただし、宇宙世紀200年代という設定のガイア・ギアでも前述のミノフスキー粒子の電子機器への干渉を利用したのか、ミサイルを誤作動させて爆発させることは可能だが爆発その物は跳ね返せない、とされているのだが、宇宙世紀より1万年後の世界を描いた『∀ガンダム』では、実体弾、エネルギー兵器の他、衝撃波や爆発の様な物理干渉をもIフィールドで防げている。
要領が同じだと考えると、単に時代が降る程にエンジンの出力が強化されていったことにより機能が底上げされた……ということなのかも知れない。(∀の主機関は無尽蔵に高出力を得られるブラックホール縮退炉である)


第二次オールズモビル戦記から登場した技術】


■ビームシールド

宇宙世紀120年代の軍縮の時代に登場した、以前とは設計思想や使用技術がガラリと変わった第二期MSを代表する兵装。
宇宙世紀122年にガンダムF90VパックRFゲルググ(レッドタイプ)に試験的に採用された後、それぞれの機体を開発、改修したサナリィとクロスボーン・バンガード(CV)が各々の後継機に正式採用して威力を知らしめ(特にCVによるフロンティアⅣの急襲、占拠事件)、以降のスタンダードモデルとなった。
原理としてはIフィールドバリアーよりもビームサーベルに近く、第二期MS時代の新型熱核融合炉のパワーによりメガ粒子を盾の形にまで高出力、広範囲に展開させている。
メガ粒子であることから攻撃にも転用可能であり、エネルギーはがりか実体弾にも対応と、強力ではあるがやっぱりエネルギー消費量が激しい、見た目からも解るように目立つ為に位置を悟られ易いといったデメリットもある。

CVはビームフラッグという、ビームで描いた旗印も使用しており、同一機構ならば攻撃、防御能力があるとも考えられるが詳細は不明。
光る旗を武器にする奴宇宙世紀じゃない時代に居る。


ザンスカール戦争から登場した技術】


■ビームローター

宇宙世紀150年代に存在していたザンスカール帝国が運用していたMSに採用されていたビームシールドの応用技術として発見された飛行移動システムで、原理としてはミノフスキークラフトの発展型となる。
ビームシールドを展開させたままで基部を回転させると、周囲に強力な斥力を持った立体格子構造の力場=過去の物より強力なIフィールドを発生させることが判明、正式に技術採用された。
ユーモラスな見た目でミノフスキークラフトよりも到達可能高度が低い、%%何故か&&騒音が出る、といったデメリットはあるものの、ビームシールドを展開出来る出力があれば使用可能、推進材要らずで飛行可能(ちょっと前に傾けるだけでOK)とそれに優るメリットしかない。
ザンスカール帝国はこの技術で制空権を握った。


■ミノフスキーフライト

ザンスカール帝国に対抗するレジスタンスであるリガ・ミリティアが運用したヴィクトリーガンダムに採用されている擬似的な飛行システム。
資料によってはVガンダム独自のシステムとされていたり、他にも採用した機体があったことになっている。
謂わば小型化されたミノフスキークラフトであり、エンジン出力の増大(一年戦争当時から見ると約3~4倍である)により、小型MSサイズでも採用出来るようになった。
また、本機以前(30年程前)にサナリィはガンダムF90のオプション(Wタイプ)としてMSサイズのミノフスキークラフトを試験運用していた……とも云われる。
このシステムの採用により大気圏内での垂直離陸も可能とする等、戦術的な運用も高まったが、未だ未だ不完全なシステムとされ、本システムではIフィールドの両体格子の維持が難しく、動き続けることが必要とされる。


■ミノフスキードライブ

ミノフスキーフライトの発展型と呼べるシステムで、高圧縮したミノフスキー粒子を任意方向に解放することで、過去には計測されなかったレベルでの反発(斥力)を得て推進する。
これによって、ミノフスキークラフト系技術の欠点の一つであった、システム自体の推進能力の無さを解決した。
開発当初は艦船に装備されていたが、ザンスカール戦争末期に現時点での宇宙世紀最後期に属する“最新(最終)世代MS”であるV2ガンダムに於いてMSサイズでの制式採用を実現した。
……しかし、試験機としてなら宇宙世紀136年にサナリィが開発していたF99レコードブレイカーが存在していた、とする説もある。
メリットはV2ガンダムの驚異的な出力にも支えられた、予測値で亜光速とされる圧倒的推力と、ミノフスキー粒子自体を推進力とすることによる活動時間の増大化。
デメリットは、制式採用されたとは云え、この時点でも未だ不完全で改良の余地があるシステムであり、高圧縮化されたミノフスキー粒子が縮退状態となる=メガ粒子として放出される“光の翼”を発生させてしまったこと……がある。[[乗ってたヤツがスペシャルすぎて>ウッソ・エヴィン]]欠陥なのに最大の武器となったが。

■ミノフスキーコントロール

ミノフスキー通信の発展型で、装備間でミノフスキー粒子の光子振動を利用することにより、サイコミュに似た通信機能を人工で実現した。
とはいえ、特殊な能力者によるサイコミュ程の精度は無く、離れた装備を引き寄せたりする程度の使い方である。



R.C.でのミノフスキー物理学】


詳細は不明。番組設定と登場メカニックや技術の設定的には御大の発言は希望はともかく宇宙世紀から1000年程後の時代とされており、宇宙世紀時代と共通するミノフスキー粒子と関連技術に関わる描写や用語が登場してくる。(ミノフスキー粒子の散布、ミノフスキークラフト(フライト))

一方、第1話で“ミノフスキー・マグネット・レイフィールド”という過去には存在しなかった用語も登場しており、TVシリーズでは説明されなかったが“生まれ変わった”劇場版で補完される……かもしれない。

また、この時代にはMSはフォトン・バッテリーで駆動している。


正歴に残っていた技術】


詳細は不明。TVシリーズでは宇宙世紀より1万年後、主役機の∀ガンダムが眠りについてから1000年程経過した所……からストーリーが開始され、開始時点で地球上の文明はリセットされ、過去の時代の記憶を残す月世界でもロストテクノロジーとなった技術が多いために、登場するMSやメカニックに使用されている技術についても、本来はどの時代に開発されたのかについても判断が出来なくなっている。

■IFBD(Iフィールド・ビーム・ドライブ)

∀ガンダムスモーに採用されている駆動システムで、内部構造を設けずに外側に張り巡らしたIフィールドの力場により操り人形の様に機体をコントロールする。
この時代でも科学文明の記憶を残すムーンレィスにとっても再現不可能な技術との説もある。
このIフィールドを利用した効果なのか、スモーは空間自体に斥力を発生させながら移動が可能。∀ガンダムは機能回復した後はバリアー効果による圧倒的な防御能力を発揮していた。

■7th-GMPT

第7世代ミノフスキー物理理論(Seventh Generation Minovsky Physical Theory)の訳語とされる、本編未登場の戦術兵器。
名称からすると完成した時代に使用されている技術全般の名称なのかもしれないが、ムーンレィスの運用するウォドムと∀ガンダムに本来は搭載されていた此の兵器に関して言えば、ミノフスキー物理学に属するあらゆる兵器や機体を外部から活動停止に追い込めたとされる。


【アナザーガンダムでは】

宇宙世紀以外の時代(黒歴史には含まれるとされる)では、ミノフスキー粒子の名は出てこないものの、似た粒子が存在するとされていたり、別の名前で似たような特性を持つ万能物質や仮想物質(GN粒子やエイハブ・ウェーブ)が登場してくる。

また、緩い時代のゲームだがMSX2で発売されたMETAL GEAR 2 SOLID SNAKEでは通信障害の理由について尋ねると大佐がミノフスキー粒子が原因、と教えてくれる。






追……修…正…… ます……

この項目が面白かったなら……\ポチッと/