エゥーゴ

登録日:2020/06/14 Sun 10:37:41
更新日:2024/01/18 Thu 22:26:24
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我々は地球を人の手で汚すなと言っている。

ティターンズは地球に魂を引かれた人々の集まりで、地球を食い潰そうとしているのだ。




概要

エゥーゴ(A.E.U.G.)とは、『機動戦士Ζガンダム』および『機動戦士ガンダムΖΖ』に登場する架空の組織で、両作品における主人公の所属先である。
この名称自体は略称であるが、正式な名称は「Anti Earth Union Group」だったり「Anti Earth United Government」と一貫していない。

反地球連邦を標榜する名称を用いているが、地球連邦政府そのものの転覆ではなく、地球連邦軍の実権を握るティターンズの打倒が主目的となっている。
そのため実際には「連邦内部の反ティターンズ派」といってもいい。
グリプス戦役を総評して「連邦の内紛」とまとめられるのもそれが原因である。


略歴

設立

宇宙世紀0083年にジオン残党を始めとした反連邦勢力の掃討を目的として結成された特殊部隊・ティターンズは連邦正規軍から独立した行動をとることによって治安回復に一定の成果を上げ、その地位を確固たるものにしていた。

だが、連邦に反発するコロニー居住者への不信感からその矛先は本来守るべき筈のスペースコロニーに向けられていき、ついには連邦への抗議デモが開かれていた30バンチコロニーに致死量を越えるG3ガスを流し込む凶行をしでかす。
この凶行自体は事故として隠蔽されたものの、横暴を極めるティターンズへの反発は日に日に強まっていき、連邦議会議員の資格を持つブレックス・フォーラ准将を中心として連邦軍内のスペースノイド閥を母体として誕生したのがエゥーゴの起こりである。

グリプス戦役

ガンダムMk-Ⅱの強奪を始まりとして、ティターンズに対する戦闘を地球圏全体で繰り広げる。
当初はティターンズ側から「ジオン(公国)残党のテロリスト」扱いをされるなど、苦戦しつつあったが、暗殺されたブレックス准将より指導者を受け継いだクワトロ・バジーナことシャア・アズナブルダカール演説によって逆にティターンズの悪行が世間に晒し出され、世論を味方につけることに成功。*1
アクシズの介入やティターンズ内部の主導権争いなどで戦いは混迷を極める中、エゥーゴ艦隊はコロニーレーザーのグリプス2によってティターンズ艦隊を殲滅し、勝利を収めた。
しかし、一連の戦いで指導者のクワトロが消息不明になった というか急に嫌気がさして責任もろともほっぽり出した 上に多くのパイロットや艦艇を失い、組織としての力は大きく弱まることになる。

第一次ネオ・ジオン抗争

先の戦乱で戦力を温存したアクシズはネオ・ジオンと改称し、地球圏の征服に向けて動き出した。
結果的には、ネオ・ジオン側の内紛とブライト・ノアがスカウトしたガンダムチームの活躍によって事なきを得るものの、組織としての実態を失って連邦軍本体に組み込まれて事実上の消滅を迎えた。

その後

エゥーゴの軍事力は、カラバと共に地球連邦軍の正規部隊(ロンド・ベル隊)として、反地球連邦の取り締まりに従事する。
一方で旧ジオン系軍人を初めとする一部の急進派は連邦への吸収という結果に反発心を抱いて離脱し、エグムを初めとする反連邦組織の設立に繋がったとも伝えられている。

組織

エゥーゴの中には民間からの志願兵や連邦軍に籍を残したまま参加している者が多い。特に月やコロニー在住の連邦軍にはエゥーゴ参加者が多かったが、小説版曰くこれは呼吸する空気すら買わないといけない*2月やコロニーの生活において、連邦軍の給料の遅配が致命的なものとならざるを得ず、エゥーゴから提供される給与につられてのものであったらしい。

また、「反連邦」を掲げているが実際には「連邦政府の転覆」「アースノイド絶滅」などジオン的な目標は掲げておらず、あくまで「反ティターンズ」が目標であるため、
連邦政府・連邦正規軍に属する者の内、ティターンズに反感を持つ層からの支援・参加もあった。
主要艦艇がサラミス改なのもそのため。
そもそも一口に「地球連邦」といっても、その構成員はスペースノイドが過半数を占めるため、「スペースノイドを弾圧するティターンズ」を苦々しく思っている政府要人・連邦軍人・連邦国民は珍しくない*3

他方、連邦に系譜を持つ組織でありながら「敵の敵は味方」理論*4で参加した旧ジオン公国軍人も多数存在したという。 作品によってはシャアの要請に応じて身分を詐称してエゥーゴにやってきた者もいる*5
この身分詐称については漫画『ジョニー・ライデンの帰還』で詳しく補完されている。大雑把に纏めると、一年戦争期以来のミノフスキー粒子による電波妨害で隣の戦区把握すらままならなかった時代に、捕虜や戦時遭難などで久しく消息の知れなかった軍人がふらっと帰還する事は珍しくなく、更に連邦軍内部に伝手があればあっさり行方不明者に成り代わって連邦軍へ帰参するのも可能だったという事である。

また直接に構成員として参加しているわけではないが、支援勢力として月面の巨大企業アナハイム・エレクトロニクス社より、モビルスーツや資金の全面的なバックアップを受けている。
故に同社の意向に逆らえぬ面もあり、作戦を「無理難題」に変更されることもままあった。
そのほか、反地球連邦の社会ネットワークであるカラバとも協力関係にある。
ジオン残党の人脈を介してネオ・ジオンと協力した時期もあった。


とまあ「連邦の反ティターンズ派」「ジオン残党」「月の企業」「民間人」と幅広い層から協力者を得て一大勢力となったのであるが、そのことが却って組織としての矛盾や歪みとなってしまったのも否定できない。
まず、アナハイムの支援を受けたことで資本・技術・軍事力で大きな力を得たものの、それ故にアナハイムの意向で行動しなければならない、言ってしまうと民間企業の私兵として利用されるという状況になってしまった。
アナハイム会長のメラニー・ヒュー・カーバインに至ってはエゥーゴの理念にまったく賛同していない。彼はそもそもエゥーゴの思想的源流であるジオン・ズム・ダイクンから嫌悪している。

次に、これら参加者は結局「反ティターンズ」だけで団結できた、呉越同舟の状態に過ぎなかったというのも問題となる。
グリプス戦役はティターンズの滅亡によって終結するが、これでエゥーゴもやるべき目標がなくなってしまい、求心力を一気に喪失、構成員がバラバラになってしまった。
例えば「連邦の反ティターンズ派」はティターンズがいなくなった連邦軍・連邦政府に帰順し、「ジオン残党」はネオジオンに合流するなどして連邦への更なるテロに走り、いずれもエゥーゴから脱退してしまった。二代目指導者クワトロ自身が後者の選択を取っている。

ついでに言うとクワトロは世界的に放送があったダガール演説で「自分はエウーゴの代表」「自分はジオン・ズム・ダイクンの遺志を継ぐもの」(この後ティターンズの批判に入る)と、エウーゴが本来何の組織か説明せずに自分のことを話し始めており、
これだけ聞かされると「エウーゴってのは、地球を独占して食い物にするティターンズからスペースノイドを守るためにジオンの息子が作った組織。」と一般人から誤解されてそうである*6

また、連邦軍にはジオン軍の攻撃で家族や友人を失った遺族が多勢を占めており、エゥーゴに参加した連邦関係者にも当然そういう人たちがいたが、彼らは「ジオン軍の赤い彗星シャア」が指導者となったことに対して内心で反発していたらしい。
広い層から参加者を得ただけに、彼らの間で起きている火種まで持ち込んでしまったといえる。

エゥーゴには「反ティターンズ」以外の理念や存在意義がなかったのである。それ故に、「反ティターンズ」が使えなくなるとあっという間に組織が崩壊してしまった

主要なメカニック


MS、支援航空・航宙機など


艦船



主な所属人物

グリプス戦役時





第一次ネオ・ジオン抗争時


ゲームでの活躍

スパロボにおいては、主人公が所属するプレイヤー部隊の中核(あるいは、協力者)になる場合が多い。スパロボ補正でハヤトやヘンケン、場合によってはトップのブレックスがが生き残ることが多く、メッチャ―・ムチャのようなダメな大人には出番が回ってこない。
それ故か、原作で見られた腐敗している部分が描かれる事は少ない。

ギレンの野望においては地球連邦編ではティターンズとエゥーゴのどちらのメンバーと合流するか選択するイベントがる。
片やTV主人公たちの所属勢力でもう片方がジオン公国よりも白い目で見られやすい敵勢力ということもあり、上記の選択ではエゥーゴが選ばれやすい傾向にある。
また、外伝系勢力でブレックスが率いるエゥーゴや彼が暗殺された後クワトロが後を引き継ぐエゥーゴ・クワトロのシナリオもある。ただ後者はアクシズ勢力という第三勢力とも相手にしなくてはならないため、やや難易度は高め。

Gジェネレーションシリーズでもストーリー制を採用したNEOとDSでは自軍勢力として使用可能。
前者では歴代主人公キャラやブライトやクワトロ、更には説得でフォウやプル姉妹も仲間になる。結局トップのブレックスはデルマイユの策略で暗殺されてしまうが*7、どのルートでもリリーナが奮戦してくれるためかクワトロは裏切らずヘンケンやエマも死亡イベントなしで生き残る。
後者では序盤はジオン視点でスタートした後ライバルルート以外での自軍勢力となる。この手のゲームとしては珍しく面子はジョニー・ライデンやシン・マツナガやシーマ・カラバウやサイクロプス隊といったジオン系が中心となる。そして、ルートによってはアムロやカミーユといった原作で所属した面子が合流しないこともある。

機動戦士Ζガンダム エゥーゴvsティターンズでは、前作の連ジから継承された勢力バランス図でティターンズと競い合うことができた。
またティターンズ側MSの鹵獲カラーもあったが、ほぼ全ての機体をトリコロール調に纏めているのでどこか安っぽい印象がある。一方のティターンズはおなじみの濃紺を中心にしているので評判が良く、どうせ操作するならとわざわざティターンズ側でエゥーゴMSを使う人もいたほど。




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最終更新:2024年01月18日 22:26

*1 これによって、ティターンズは一部の人員が離脱したり、ギャプラン改がカラバに横流しされたりと、かなりの損害を被っている。

*2 「水や空気にも税金を課される」といったほうが正しいか。

*3 時代はやや下るが、0090年代には連邦系スペースノイドが政界にまで進出、議長まで輩出するに至る。

*4 元賊軍所属であり、スペースノイドの虐殺等で肩身が狭い事から上記の連邦軍所属兵の様に生活に苦労している者も多く居た筈で、純粋に生活苦で或いは功を上げて連邦軍にスカウトして貰ったり汚名を晴らす為に参加した者も多数いると思われる。

*5 しかし、一部のメンバーはネオ・ジオンに寝返ったという説もある。上述したエグムの主要構成層はこのようなジオン系軍人とされている。

*6 実際、時系列的に未来の『V』では独立を目指すスペースノイドのザンスカール軍のワタリーやクロノクルが「ガンダムは(圧政者への)抵抗のシンボル」と自分たち側に重ね合わせる場面があり、エウーゴがガンダムを使用してた時代が基準になっている

*7 ティターンズがOZに嵌められウィングガンダム勢にズタボロにされてしまい、ブレックスよりも早く全員フェードアウトしてしまうため