ジェノサイドキングサーモン(遊戯王OCG)

登録日:2011/01/27 Thu 10:00:59
更新日:2025/04/14 Mon 07:41:08
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《ジェノサイドキングサーモン》は、遊戯王OCG第3期エキスパンション「暗黒の侵略者」で登場したカードである。
おそらく同じく第3期パック「闇魔界の脅威」で登場した《ジェノサイドキングデーモン》のパロディカード。


ジェノサイドキングサーモン
通常モンスター
星5/水属性/魚族/攻2400/守1000
暗黒海の主として恐れられている巨大なシャケ。
その卵は暗黒界一の美味として知られている。


上級モンスターで攻撃力2400、守備力1000と、所謂スペックのモンスター。
同じ属性と攻守で強力な効果を持ち、なおかつアドバンス召喚に必要なコストが同じである《氷帝メビウス》という押しも押されもせぬ強豪がいたが、
このシャケは彼を前にしてもなお消えない……というかまったく別の輝きと魅力を持っている。

まず、このカードのレベルは5であり、《伝説の都 アトランティス》の影響下ではリリース無しで召喚できる。
加えて《伝説の都 アトランティス》の効果で攻撃力2600という最上級モンスターに匹敵する攻撃力を得る。
第五期以前は通常召喚を軸にしたデッキが多く、攻撃力2400に《人造人間-サイコ・ショッカー》や各種帝という優秀なモンスターが多かったことから、少ない消費で2400を超える打点を出せるカードはそれだけで重宝された。

次に、通常モンスターであるため、様々な通常モンスターサポートカードの恩恵を受けることが出来る。
さらに、このモンスターは魚族であるため、《フィッシャーチャージ》や《竜宮の白タウナギ》を活用することが出来るのである。

ごりごりにパロディであることを示しているふざけた名前とフレーバー・テキストとは裏腹に様々な使い方が出来るカードだが、
特に最初に挙げた《伝説の都 アトランティス》とのシナジーは抜群で、ビートダウンデッキが組めてしまうほどである。
ギガ・ガガギゴ》には50攻撃力が劣るものの、上述の通りこちらは魚族専用サポートも利用できる。

無論種族サポートカードを採用しない場合でも、4枚目以降のアタッカーとして十分活躍できる。
どちらも《伝説の都 アトランティス》補正で攻撃力2600以上になるため、50の差の影響が少ないのも嬉しい……というか、第五期以前はそういう雑なハイビートで十分強かった
帝ラインはもちろん、当時ゾンビのように蘇ってくるモンスターとして有名だった《E・HERO ネオス》の攻撃力が2500。《伝説の都 アトランティス》下のサーモンの方が攻撃力が上なのである。
さらにレベル4扱いで通常召喚されるため、《N・グラン・モール》でバウンスされてもまるでものともせずに戻ってくる。通常モンスターなので《スキルドレイン》《ジャスティブレイク》なども怖くない。
当時はモンスターに対する除去が比較的弱かったこと、役割が同じ《ギガ・ガガギゴ》が控えているので1:1交換で処理されてもそれほど痛いモンスターではないこともあって、
冗談でもなんでもなく《ジェノサイドキングサーモン》を叩きつけるだけのデッキが強かったのである。他のモンスターに有効な手段を、このサーモンはものともしなかった。

弱点は《伝説の都 アトランティス》を狙われること。フィールド魔法が干上がると手札で腐ってしまう。
特にマスタールール3に移行する以前は、「フィールド魔法を使うと対戦相手のフィールド魔法を上書きできる」というようなルールで、フィールド魔法を軸にする【宝玉獣】【ハーピィ】【墓守】や属性統一デッキを相手にしたときは若干不利だった。
しかしこれも《アトランティスの戦士》のサーチのおかげである程度耐性がついているという始末、しかも戦士は当時のフィールドサーチ手段の中だとトップクラスに強かったので意外と隙がない上、相手にしてみても《伝説の都 アトランティス》で自分のフィールドが上書きされるリスクがあるので弱点とも言い切れなかった。

つまりこのサーモン、ふざけたテキストに対して性能は相当ガチガチであり、勝率は意外と高かったという、通常モンスターの中でもかなり活躍した部類に入るカード。
第五期以前は特殊な手段を用いないと攻撃力が2600を上回らないテーマも多く、2600以上のモンスターを召喚するために「2体のリリース」「厳しい特殊召喚条件」「事故と隣り合わせのデッキ構築」などの無理をするデッキも多かった。
そういった相手に対し、イメージと裏腹に非常に簡単に出せる上に同じ役割を持つカードをデッキに4枚以上入れられる《ジェノサイドキングサーモン》はテーマデッキを蹂躙するだけの性能があった。
上手いプレイヤーが使う《ジェノサイドキングサーモン》は話題性と戦闘力を兼ね備えた最強格モンスター、文字通りのジェノサイドキングだったのである。




☆相性のいいカード

  • 《伝説の都 アトランティス》
手札、場の水属性モンスターのレベルを1つ下げ、攻守を200上昇させるフィールド魔法。このカードの存在がシャケを輝かせている。

手札1枚をコストにピーピングを行い、その中の自分の場のモンスターより攻撃力が低いモンスター1体を破壊できる。
場に攻撃力が高いモンスターがいると破壊できる範囲が広がるので、《ジェノサイドキングサーモン》を隣に添えれば相手手札の攻撃力2400以下のモンスターを破壊できる。
《伝説の都 アトランティス》があるならばリリースコスト等無しで攻撃力2600以下のモンスターを破壊出来るのは恐怖の一言。
ワクワクを思い出すんだ!

チューナーモンスター。サーモンとは属性・種族共に一致しているので、サポートを共有でき扱いやすい。
共に自力で特殊召喚できるのも優秀。

  • 《スキルドレイン》
相手の厄介な効果を封じつつ、純粋に打点で勝負できる。
《ギガ・ガガギゴ》や上記のチューナーとの併用にも特に支障がない。

  • 《召喚師のスキル》《闇の量産工場》
通常モンスターをサポートする通常魔法。
前者はレベル5以上の通常モンスターのサーチ、後者は墓地の通常モンスター2体のサルベージを行う。
《ギガ・ガガギゴ》と併用する場合に。

☆関連カード

  • 《ジェノサイドキングデーモン》
効果モンスター
星4/闇属性/悪魔族/攻2000/守1500
自分フィールド上に「デーモン」という名のついたモンスターカードが存在しなければこのカードは召喚・反転召喚できない。
このカードのコントローラーは自分のスタンバイフェイズ毎に800ライフポイントを払う。
このカードが相手のコントロールするカードの効果の対象になり、その処理を行う時にサイコロを1回振る。
2・5が出た場合、その効果を無効にし破壊する。
このカードが戦闘で破壊した効果モンスターの効果は無効化される。
元ネタ。一字違うだけで意味が全く異なる。実際に戦うと本家を一方的に殴り殺せる……というのが当時から有名なネタだったが、
そもそもこいつは通常召喚に条件が課せられており、出すのにひと手間かかる。つまりまともに殴り合えること自体が稀
さらに実は【デーモン】とシャケ入り【アトランティス】がやりあうとほとんど一方的にデーモン側が負けるというネタがあった。
詳しい話は割愛するが、当時は勝ち筋が「《堕落》《強制転移》でシャケか《ギガ・ガガギゴ》を奪う」というしみったれたものになりやすく、
たとえデュエルに勝ったとしても「それ《堕落》が強いだけじゃね?」と言われると何も言い返せなかったのである。そういう意味でもシャケは強かった。
《伝説の都 アトランティス》下では《迅雷の魔王-スカル・デーモン》さえ一方的に叩きのめして暴れ回るその姿は、まさにデーモンをジェノサイドする海のキング。
当時のジョークに「チェスデーモンで一番強いモンスターは《ジェノサイドキングサーモン》」というネタがあったが、デーモン使い(と暗黒界使い)はそれに真顔でうなずいたものである。

+ フィールド潰して《デーモンの召喚》あたりで殴れば勝てるだろ?
「《万魔殿-悪魔の巣窟-》を発動して《伝説の都 アトランティス》を退け、《デーモンの召喚》などで殴り倒す」というのは、確かに理論上は「サーモンには」勝てる。
しかしそもそも「フィールドをサーチする《アトランティスの戦士》が自壊しないので常に高い打点を維持できる」「上級デーモンには通常召喚に生贄が必ず必要だが、サーモンは条件を満たせば2600がレベル4扱いで通常召喚できる」「たとえこの場でサーモンを殺しても、あえてステータスが劣るサーモンを採用するということは『相手のデッキにはサーモンよりも強い《ギガ・ガガギゴ》が確実にデッキに3枚入っている』ということなので、リソース戦に持ち込まれたら絶対に勝てない」とまったく対策になっていない。
どうしてもデッキ相性的に不利なのだ。そんな相手にあえて《デーモンの召喚》で真っ向勝負にこだわる意味はない。それはあくまで「サーモンに」勝つことであり、「シャケ入り【アトランティス】」に勝つことではない。むしろデーモン側がネタ扱いでサーモンを入れる方が打点の向上と弱点の補強に役立ったほど(コメント欄にもそんな使い方をしていた人のコメントが残っている)。
だいたいそもそも悪魔が正々堂々勝負なんてしなくていいんだ、悪魔なんだから相手を堕落させて仲間割れでもさせたり、いらなくなった部下と交換して奪った方がそれっぽいじゃないか……。

フレーバーテキストからもわかるように、実はサーモンは暗黒界の暗黒海という場所に棲んでいる。
実は暗黒界でサーモンを倒す事が出来るのは、魔神たるレインと不死身の《暗黒界の龍神 グラファ》だけ。
守備に回ればグラファでも有効な使い道が思い浮かばないラチナも入るが、結局倒せない。
当初は海の中にいればレインにさえ勝ててしまい、暗黒界のメンバーは誰にもこのシャケに勝てなかった。
さらにレイン入りの【暗黒界】自体人気がなく、【暗黒界】とシャケ入り【アトランティス】がやりあうと冗談抜きでこのサーモンに四苦八苦する羽目になった。
攻撃力2700の《暗黒界の龍神 グラファ》の登場により、やっと海(フィールド魔法)の中でも勝てるようになったが、それでも《ウォーターワールド》を使えばシャケが圧勝する。

と言うか、暗黒界の面々が魔神や龍神を出さないと勝てないほど恐ろしいシャケが凄い。

もし仮に「暗黒界の漁師」または「暗黒海の漁師」なんてカードがあったなら、さぞかし凄まじい能力を持っていることだろう。

……なお、フレーバーテキストをよく見るとその魚肉が暗黒界の食卓に並んでいるような記載は実は一切存在しておらず、美味とされているのはあくまで卵である。
故に暗黒界の方々はこの鮭の目を盗んで卵だけ必要分頂戴して食べている可能性がある。もしそうであれば、鮭に勝てるモンスターがほとんど居ない事も特に問題は無いだろう。


  • 《半魚獣・フィッシャービースト》
通常モンスター
星6/水属性/魚族/攻2400/守2000
陸では獣のように、海では魚のように素早く攻撃する。

サーモン登場までは水属性や魚族のエースモンスターだった。そう、サーモンが登場するまでは……。
やはり☆6なのがサーモンとの差を決定的にした。とはいえ、レベル6や守備力の高さを活かせるカードもあり、《伝説の都 アトランティス》を投入しないデッキならば採用されることもある。
ただし差別化だの劣化だの言わなくても、《半魚獣・フィッシャービースト》とサーモンはそもそも愛好された時代や世代が異なっている。
《半魚獣・フィッシャービースト》はどちらかと言えば遊戯王黎明期の小学生に愛用されたカードであり、遊戯王をしっかりたしなむプレイヤーに愛されたサーモンとはまた愛され方や趣がことなるのだ。
いうなれば《ジェネティック・ワーウルフ》や《幻のグリフォン》より《ヂェミナイ・エルフ》や《メカ・ハンター》の方が知名度が高いあの現象に近い。
大昔にプレイしていたという人は、クソうぜぇ守備力2000デッキをジェノサイドしながら《人造人間-サイコ・ショッカー》と相打ちできた《半魚獣・フィッシャービースト》の方が、サーモンよりも印象深いだろう。
ちなみに黎明期の魚族モンスターと言えば《要塞クジラ》も該当する。原作にも登場し、何となくレアカードだったことを覚えているという程度の人なら、ビーストやサーモンよりも印象深いだろう。


  • 《暗黒の海竜兵》
通常モンスター
星4/水属性/海竜族/攻1800/守1500
暗黒海の世界を守る戦士。
水中はもちろん、陸上でも高い戦闘能力を誇る。

暗黒海を守る戦士らしい。上記を見ると、一体誰がこの鮭が君臨する海に挑んでくるのだろうか……
存外、暗黒海の漁師と戦っているのかもしれない……


そして第10期第3弾「EXTREME FORCE」にて、遂にこの鮭を釣る漁師が現れた!

  • 屈強の釣り師(アングラップラー)
チューナー・効果モンスター
星1/水属性/戦士族/攻 100/守 100
(1):このカードが直接攻撃で相手に戦闘ダメージを与えた時、
自分の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する

釣るってそっちか!? Σ(゚д゚;)

まさかの戦闘能力で釣り上げるのではなく、《ジャンク・シンクロン》同様に墓地からサーモンを吊り上げる効果を持っていた。
OCG的には死んだ《ジェノサイドキングサーモン》を釣り上げていることにはなるが、あくまで戦闘能力ではなく釣りに全てをかけている漁師の鑑と言えよう。

  • 《キャッスル・リンク》
フィールド魔法
(1):1ターンに1度、自分メインフェイズに
フィールドのリンクモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの位置を、そのモンスターのリンク先の
メインモンスターゾーンに移動する(そのモンスターから見て相手のフィールドには移動できない)。
(2):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。
自分のメインモンスターゾーンのリンクモンスター2体または
相手のメインモンスターゾーンのリンクモンスター2体を選び、
その位置を入れ替える。
リンクモンスターの位置を変更するフィールド魔法。
モチーフはチェスにおいてキングとルークを一手で同時に動かす特別な手である「キャスリング」。キングを守りの堅い隅に寄せ、ルークを動きやすい中央に引っ張り出せる。
そのモチーフ通り、イラストに描かれているのは《ジェノサイドキングサーモン》と《ジェノサイドキングデーモン》&《デスルークデーモン》の戦い。まさかの本家との共演である。
水面から飛び出した《ジェノサイドキングサーモン》が球体状のエネルギーを発生させて攻撃しようとしている場面だろうか。
対する《ジェノサイドキングデーモン》は倒れ込んでおり、それをかばうように《デスルークデーモン》が立ちはだかっている。
ステータスと同様に、実際の設定でも本家よりもこちらの方が強いようである。

そして…

  • 《インフェルノクインサーモン》
効果モンスター
星5/水属性/魚族/攻2400/守1000
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。
自分の手札・デッキ・墓地から魚族の通常モンスター1体を選んで特殊召喚する。
(2):このカードが戦闘または相手の効果で破壊された場合に発動できる。
自分フィールドに「ヘルポーンサーモントークン」(魚族・水・星1・攻/守0)を任意の数だけ特殊召喚する。

第11期第10弾「DARKWING BLAST」にて登場した、まさかの新たなチェスサーモン。名前から分かる様に《インフェルノクインデーモン》のパロディ。
召喚・特殊召喚時に魚族の通常モンスターを除外ゾーン以外から呼び出せる。登場時点では魚族バニラチューナーは存在しないため、明らかに同レベル・同属性・最高攻撃力の旦那こと《ジェノサイドキングサーモン》を呼べと言わんばかりの効果である。
うに型二番艦ランク5エクシーズだけでなく、《伝説の都 アトランティス》下ならいくら型一番艦ランク4エクシーズに繋げる事も出来る。これがホントのアトランティックサーモン
更に戦闘及び相手の効果で破壊されるとレベル1のトークンを任意の数だけ生成する効果も持つ。自爆特攻しない限りは相手依存になるが、大量展開できるので大型リンクモンスターも出せるのが強み。

効果のデザインはシャケの産卵*1と思われる。



アニヲタwikiの住人として恐れられているヒマなシャケ。
その項目はアニヲタwiki一の追記すべき部分として知られている。


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最終更新:2025年04月14日 07:41

*1 リクルート効果は産卵のためにシャケが川に集まる習性を、トークンの名前が「ポーン」でレベル1・攻守0なのはサケの卵ことイクラを、被破壊時のトークン生成は産卵後にメスのシャケが力尽きる事をそれぞれ表してる。