元祖西遊記スーパーモンキー大冒険

登録日:2012/03/30 Fri 14:25:12
更新日:2024/12/09 Mon 15:50:50
所要時間:約 7 分で読めます




なか゛いたひ゛か゛はし゛まる…


『元祖西遊記スーパーモンキー大冒険』とは、1986年11月21日に発売されたファミリーコンピュータ用のソフト。
開発・発売はVAP(バップ)、ジャンルはRPG。





【概要】

その名の通り西遊記ゲーム
プレイヤーは孫悟空を操作し、スト-リーも三蔵法師一行が天竺に目指すという原作と同じものなのだが…

正体はファミコン屈指のクソゲーと呼ばれている代物。
当時はファミコンの圧倒的な人気に便乗するために、それまでコンピューターゲーム開発を行っていなかったメーカーが次々に参入した結果、ハイレベルなクソゲーが数多く世に送られた。

開発元のVAPは元々ビデオ映像及びレコード販売を専門とする会社であり、やはりゲームに関する分野ではなかった。
因みにVAPはこれ以降にも何本かファミコンソフトを制作していた*1が、現在ではゲームに携わった事は黒歴史扱いの模様。


【問題点】

ゲームを始めると青画面で「なか゛いたひ゛か゛はし゛まる…」の白文字だけという味気なく長いロード後に、オープニングはおろか説明すらもなくいきなりフィールドに投げ飛ばされる。
しかしながら、当時のゲームはこのながいたびがはじまるの文字すら無くゲーム開始と共に世界に突然放り込まれるのが当たり前の時代である。

このゲームの本当の問題点で長く、退屈な苦行の始まりとは…


フィールド関連の問題点

さてRPGだからフィールド上で三蔵法師一行はコマンドで調べたり、道具を使ったりしながら進むのと思うだろう…
だがこのゲームはコマンドなんて高尚なものは無く、三蔵法師一行が出来ることは歩くだけ。

本当にただ歩くだけ

しかもこの歩く速度がやたら遅く(1歩進むのに1秒くらい)、加えて約700画面(一画面12×16マス)の無駄に広大なマップの追い打ちでかなり退屈で辛い。

マップ自体も平地と通れない山、海、森、入れる民家や都(みやこ)だけと、同じようなマップが続くため迷いやすい。

さらに別エリアに行くため、ワープゾーンを行く必要がある。
だがワープゾーンは大半が透明なのでマップ上には表示は無くノーヒントのため広大なマップをしらみつぶしで探さないといけない。
しかも中にはスタート地点に戻したりするコントローラーを投げたくなる罠がある…星をみるひと

しかも本来は通れない海や山を無視して通れるバグの存在があり、これのおかげでクリア時間は本来のルートの倍以上短縮してしまう。


仲間関連の問題点

仲間にはプレイヤーの悟空以外には三蔵法師、龍の変身した馬がおり、イベントをおこすと猪八戒と沙悟浄も仲間にできる。
しかしこのイベントはまたしてもノーヒントな為、しらみつぶしな捜索を強いられる。
後述する戦闘後でこれまた同様の画面で「おともします!」と表示されるだけ…
実は仲間にしなくてもクリアできる

戦闘で仲間が死んだ場合は不死鳥鳳凰というキャラに会い復活させないといけないが、やはりマップ上には表示されず、これまたノーヒントな上、かなり寄り道になる所に居るので自力で見つけるのが困難。

そもそも仲間にしたところで…(後述)

システム関連の問題点

三蔵法師一行はそれぞれの体力の他に食料と水のメーターがあり、歩くだけで減る。無くなると餓死しゲームオーバー。
民家や庵で補給が可能だが、プレイ時は常に食料と水の残り具合を気にしないといけない。

セーブ関連の問題点

なんとこのゲームはRPGのくせに

セーブが一切出来ない

ではどうするか?…特定の庵や小屋、都の内部に入る前に、"AB AB AB"などとコマンドっぽい文字が表示される。

実はこれ、"タイトル画面でこの通りに入力する事でこの場所から始められます"というシロモノ。ようはパスワード。
しかも再開すると仲間が全て揃った状態かつ食糧と水が満タンでスタート出来る。食料の維持や二人を探した苦労は何だったんだ。
まあこのシステムがないと更なるマゾゲーと化すのでこのゲームの数少ない良心とも言える。

ちなみに上記の「AB」とはABボタン同時押し……ではなくAを押しながらBを押すのだが、入力方法はゲーム中でも説明書でも教えてくれない。

なお、ゲーム―オーバーの画面はOP同様のブルースクリーンに「ああ しんし゛ゃった!」という味気ないもの。1周回ってよくネタにされる


戦闘関連の問題点

戦闘時はサイドビューアクションになり、悟空を操作させて敵を全滅させないといけないが、やはり問題点が多い。

まず、何も脈絡のなく突然戦闘に入る上、敵は基本的にうろちょろしてるだけなので連打すれば勝てる。
筋斗雲に乗って戦う事も出来る(幽霊など、空中での攻撃以外を無効化する敵に役立つ)が何故かこれに合わせてザコ敵も筋斗雲を使ってくる。
また、スタートボタンで悟空のみ龍変化が出来、火炎攻撃が出来るが威力・連射ともに微妙…。

一定時間経つと、支援として残りメンバーの中から一人が戦闘に参加するが、操作ができずやはり勝手にうろちょろして、HPを減らして自滅するので役立たず。
悟空が死ぬと猪八戒らに操作キャラが変更されるが、攻撃モーションがなく突撃しかできない。…が、いっそモーションがない分、攻撃しやすい。

実は味方にも攻撃が当たり、敵かと思えば三蔵法師ということも…

戦闘の終了もこれまた唐突で勝ったのか負けたのかもわからない。
当たり前だが全滅すればゲームオーバー。「ああ しんし゛ゃった!」


原作無視の設定

牛魔王や紅孩児が雑魚敵として無数に登場するのに、ラスボスが混世魔王(原作では悟空が如意棒すら持っていなかった頃にやられた本編初の敵妖怪)などと原作の設定を完全に無視している。
他で例えると、

その他

戦闘後、町の出入りなどのロード時間の長さ。長いため余計にテンポを悪くする。

EDも同様の画面で数行の文章が表示されるだけと非常に手抜きとしか思えないもので達成感もクソもない。
プレイヤーに残るのは時間の無駄という後悔のみ。スタッフロールとかは無い。

そもそも何が元祖なのか…

ゲームオーバー後もボスを倒したフラグがリセットされず、そのまま再開すると
金閣や銀閣などが出現しない。

天竺の左下に踏んだ瞬間フリーズするマスがある。

後年とあるアニメにてこのソフトの話題が持ち上がった際、「子供に優しくないどころか大人でもストレスで寿命縮みそう」などと手厳しいが非常に真っ当な評価がなされた。


【評価点】

音楽が良く、特にフィールドのBGMは名曲として評されている。
……広大すぎるマップのせいで延々聞かされることになるが。

当時としては珍しい斜め移動を操作に取り入れている。これはMOTHERより先である。
また、朝・昼・夜の存在という時間概念があり、このシステムを利用しないと先に進めない箇所もあり、これもドラクエより先である。
食料の概念も当時としては斬新である。

…だが上述の物語の進行のヒントの無さ、華のないマップ上で、ワープゾーンを探す作業感に強いられ、連打だけで済む退屈な戦闘のせいで評価が台無しのクソゲーであることは変わりない。


【余談】

実はこのゲームはクソゲーの他に、ROMの隠しメッセージの内容でネット上で知られている。
内容は、デザイナーの人がゲームとは無関係に書いた卑猥なもの。

大変卑猥な内容の為
ここでは書けません!

本人もまさか隠しROMが解析できる時代が来るとは想像していなかったであろう。
因みに彼は現在も現役らしいが、この事についてどう思っているのかは不明。

ゲームセンターCXでは挑戦作ではなく、「有野の!もしもし大作戦」というミニコーナーで取り上げられた。
これはアメリカザリガニ平井の「エンディングが一見の価値がある」という言葉に騙された有野が本作を攻略していくコーナー。
攻略で詰まった場合、あらかじめ公募した自称本作に詳しい視聴者に電話を掛けて質問し、先に勧めていくというもの。
案の定全然詳しくない子供や不在がちの人なども公募してきたため、困難を極めたが何とかクリア。
終始、理不尽かつ虚無な本作に翻弄されっぱなしで、イマイチツッコミもキレが悪かった。

後年になり、このゲームを担当したスタッフが内情含めて本作の事を語る。
曰く「マップ作成でメモリ容量をほとんど使ったので、まだ入れたかった要素を投入できなかった事を悔やんでいる」「自分を含めて3人のみでこのゲームを製作」とのこと。

『銀魂』でまさかの登場。
桂小太郎が借りパクしていたもので、彼らの投擲武器として愛用されていた。
アニメでは名前を一文字変えたものかつ、パッケージの孫悟空を定春に差し替えたものに変更。



あにおたの つと゛い だ!

テレテッテッテ テンテンテン♪

ピュンピュンピュンピュン ピュンピュンピュンピュン

バフッ バフッ バフッ バフッ バフッ ボアァ~ン…



Σ(゚Д゚)!?



ああ ついき しゅうせいしちゃった!



テーレーレー ティーン ティンティン♪
テーレーレー ティーン ティンティン♪
(タイトル画面のあの曲)



(゚Д゚)…

ついき しゅうせい おねか゛いします

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最終更新:2024年12月09日 15:50

*1 評価がクソゲーとバカゲーの間を行ったり来たりしている「道-tao」などが代表的か。