ドロス級空母

登録日:2012/01/02 Mon 23:37:22
更新日:2025/04/16 Wed 22:20:15
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「……さてドロス、うまくやれよ……!!」

「ドロス! 突出します!!」






【性能諸元】

所属 ジオン宇宙攻撃軍
分類 宇宙空母
艦籍番号 CV-65
全長 495m
全高 123.7m
全幅 351.5m
全備重量 144,000t
武装 2連装メガ粒子砲 ×8
対空砲 ×2
MS搭載数 182機
その他戦闘機多数



【概要】

ドロス級超大型空母とは機動戦士ガンダムに登場する軍艦。
ジオン公国軍の宇宙用大型空母。
総帥ギレン・ザビが特に期待を寄せていたことで知られる。

特徴的なブリッジ形状をしており、艦首から前方に長〜く延びたフニャフニャの棒状のものがそれ。ブリッジクルーの精神力の高さには頭が下がるばかりである
一年戦争で実戦に投入された多くの軍用艦がMSの運用において十機にも満たない数であったのに対し、
単艦で百機以上のMSを搭載・運用した艦は戦中・戦後においてもドロス級宇宙空母のみであり、もはや軍艦というよりも移動要塞と言った方が適切かもしれない。

ちなみに艦の設計そのものは割と単純。
ほぼ箱型であり、地球連邦軍のコロンブス級輸送艦をそのまま巨大化したような感じである。
船体下部にはMSや突撃艇の発進口が七つあり、大量の艦載機を一気に戦場に投入できる。
カタパルトがあるかは不明。

また連装メガ粒子砲を八基も備える。数も相当だが、ドロスの大きさと比較してかなりの大型砲と思われる。
ただ、この連装メガ粒子砲はせっかく大型なのに、うち六門は側方に、二門はエンジンブロックに後ろ向きに据え付けられ、正面に向けて撃つことができない。
テレビ版では斜め前方に向けて撃つ場面があるので、ある程度は広い射角を持ってはいる模様。ただ、ドロス自体の横幅の広さもあって、やはり正面のかなりの範囲は射界に入らない。
そしてMS発進口は正面にあるので、ドロス単体では「後方から支援砲撃を行いながらMSを投入する」と言う芸当が実質的に不可能となっている。
ただドロスは単独で戦場に投入されることはなく、僚艦のグワジンや要塞からの支援砲撃を受けることで、この問題をフォローしていた。

そのほか対空機銃も多数搭載。接近する敵MSにある程度の自衛も可能とする。
設定では「連装対空機銃は2基のみ」となっているが、劇場版では船体の到るところから黄色いビームを撃ちまくっていた。
こちらは正面に向けても弾幕を張れるが、威力のほどは不明。
劇中ではドロスの正面に来たサラミスが爆破されるシーンがあるのだが、サラミスは正面から破壊されたようであるのに、後ろ側しか見えないため、どのようにサラミスが沈められたのか*1は不明である。
少なくともドロスの大型砲からの砲撃でないことは分かるが……

大きさについては、全長498mとされる。
近いサイズでは、グワジン級グワデンが440m(通常のグワジン級は294m)、時代は下るがカイラム級が487mとほぼ拮抗している。
ドゴス・ギア級大型戦艦(ゼネラル・レビル)に至っては完全に上回る600m前後。
全長だけで言えばそこまで非常識なサイズではない。
だが大抵の軍艦は翼や艦橋など細く張り出した部分を含めてのサイズであり、横幅も広いドロス級の体積はケタ違いである。

弱点としては大型・大容量ゆえに動きが鈍く、小回りが利かないという問題があるらしい。
主砲の射界の狭さという上述した問題もあってか、劇中ではその容量を活かした輸送や、戦闘時には僚艦や要塞からの支援砲撃を受けられる立ち位置をキープして運用された。
また最終的に三隻しか作られず、しかも戦争終盤時点で二隻は未完成であったため、最新鋭であるのか、または建造時に多くの問題が出たのかもしれない。

後の設定では、もとはヘリウム採掘のため木星に向かう宇宙船団のための船として建造されていたという。


【劇中の活躍】

初出は39話。
この時はグラナダに着陸したりシャリア・ブルブラウ・ブロを運んだりしていた。
月の重力ぐらいであるなら垂直離着陸ができる。

次に登場したのは42話。
宇宙要塞ア・バオア・クーのNフィールドに配置され、Nフィールド守備艦隊の要として活躍。

戦闘開始当初はMS部隊を温存し、ガトルを多数発進させる。
その後MS部隊を発進させ、自身の強固な防御力、グワジン級大型戦艦2隻を初めとする精強な護衛艦隊、
更に要塞からの支援射撃でNフィールドではジオンが優勢を保っていた。

一度はドロス艦隊を前進させて連邦軍に決定打を加えようともしたが、直後連邦の別動隊が反対のSフィールドから突撃し、総攻撃の機会は逸する。
それでも依然としてNフィールドを支え続けた。

しかし、キシリア・ザビによるギレン暗殺によってジオン側の指揮系統に混乱が生じた折、そのスキに乗じた連邦軍の集中攻撃により15分後に撃沈してしまう
これにより要を失ったNフィールド守備艦隊は壊滅。
Nフィールドは突破され、連邦艦隊とMS部隊が要塞に接近し要塞は陥落してしまう。

なおこのNフィールド攻撃隊のドロス轟沈にはホワイトベース隊は一切かかわっていない(ちょうど要塞の反対側にいた)。
連邦軍勝利のきっかけに、主人公たちがほとんど関わっていないというのも『ガンダム』らしい。
また主戦場とは反対側のフィールドに配備されていたにも関わらず、ホワイトベース隊のクルーたちがジオン側の混乱を如実に感じ取っているため
ギレン暗殺によるジオン守備隊への悪影響が相当大きかったことがうかがえる。


姉妹艦にドロワ、ミドロが存在する。これに関しては後述。


【同型艦】

ドロワ

「ソロモンの悪夢」ことアナベル・ガトー大尉の母艦であったことで知られる2番艦。艦籍番号CV-66。
初出は『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』第1話冒頭だが、この時は直接登場せずデラーズが「沈んだ」と言及するのみだった。

設定では元々キシリア配下のグラナダに配備される予定だったが、彼女が潜水艦隊を設立することに難色を示したドズル・ザビにこれを認めさせる交換条件として本艦を譲渡したとされる。

当初は未完成状態でソロモンに配備されていたが、ソロモン陥落に伴い*2残存艦隊と共に脱出。
ドロワは鈍足であった為に連邦の追撃隊にとって格好の的であったが、ガトー大尉の駆るゲルググによる鬼神の如き奮戦で退却に成功。
この時の戦闘が「ソロモンの悪夢」の由来となった。
その後ア・バオア・クーのSフィールドに配置されていたが、ドロスとほぼ同時に撃沈。
一説には激しい損傷によって機能の大半を失ったものの、原型を留めていたとするものもある。

しっかりと作中に登場したのは『機動戦士ガンダム戦記 アバンタイトル』が初。
こちらでは航行不能説が取られ、終戦を迎えた時点である程度の機能は保ちつつSフィールドを漂っていた。


ミドロ

ミドロは小説版に登場する。ただし小説版だとドロスもドロワもいなかったりする。
こちらではソロモンに配備されており、ドロワと違って完成状態にあった模様。

連邦軍レビル艦隊が月を占領後、ソロモンを無視してア・バオア・クーに向かったため、その背後を突くべくミドロを中心とした艦隊がソロモンを出撃。マクロファン将軍なる人物が指揮を執った。
さらに、やや遅れてドズル中将もグワジン級戦艦ガンドワを旗艦とする残る艦隊を率いて出撃し、ガンドワ隊とミドロ隊が二手に分かれて連邦艦隊の背後を突くことになった。
実はレビルは諜報でソーラレイのことを知っており、ジオン攻略を焦っていたため、背後の備えが疎かになっていた。そのためミドロ艦隊は連邦軍の左翼艦隊を圧倒した。
しかし、ドズル艦隊はアムロ・レイを中心とした木馬隊により壊滅。
さらにレビル司令部のトラブル*3もあって、ア・バオア・クーに攻め込んでいた連邦軍全軍が戦闘中に反転して、ミドロ艦隊へと攻撃を開始。
優勢かと思われた戦況は一転して不利となり、ミドロ艦隊は程なくして壊滅した。


以上は小説版の設定であるが、TV版の裏設定によればミドロはア・バオア・クー攻防戦時に本国で試験航行中だったとされる。
しかしそれ故に「ドロス級三番艦」という手札を温存したまま、ジオン公国は地球連邦への和平交渉に臨むことができた。
連邦軍にとっては余程トラウマだったのだろう。この艦の存在が最終的に「ジオン共和国に体制改革をしながらも、完全な併合はしない」という、破格の条件で講和を結ぶ遠因になったとされている。



移動要塞ドロス

SDガンダム外伝 円卓の騎士編』のサイドストーリー「自由ブリティス」に登場。
ザビロニア帝国精鋭部隊の移動要塞。周囲には護衛モンスターのガトルがうろついている。
精鋭部隊の指揮官である炎熱騎士ライデンザクとセットでカード化されている。



【ORIGIN版】

安彦良和氏の「THE ORIGIN」では「ドロス」だけ登場。キシリア率いる突撃機動軍所属。


アニメではMS発進口だったものがムサイ級がやすやすと入るほどに超巨大化
大雑把に見積もってもkm単位(7000m以上)でありもはや空母どころか宇宙要塞である。
ただアニメ版サイズではカタパルトや整備ドックを考えるとMS182機はかなり無理がある設定だったので、これに関しては解決している。さらに多くのMS、戦闘機を積めるわけだし。
まあ明らかにデカすぎだが。


巨大化に伴って、当然欠陥砲もアホみたいに巨大化している。
射程、火力は通常の戦艦の比では無い。
その火力はマゼラン級戦艦を一撃で沈める程。
ミノフスキー粒子による長距離砲撃阻害はどうした


ドロスに有効打が無い連邦艦隊は大打撃を受け、ワッケイン将軍も戦死。
これにより残存する連邦艦隊はドロスの脅威から逃れる為に、何の武装も無い輸送艦もア・バオア・クーに突撃するまでに追い込まれてしまう。

末路はキシリアが要塞から脱出する為にパープル・ウィドウに乗り込みドロスに向かう途中、
シャアがバズーカを持ってブリッジ付近に現れ、バズーカをブリッジに直撃させる。
コントロールを失ったパープル・ウィドウはドロスのカタパルトに突っ込み、爆発。
その爆発が原因でドロスは大破炎上。そのまま要塞のコントロールを押し潰し撃沈した。
ボスが死ぬとドロスも沈むということのようだ




【サンダーボルト版】

『THE ORIGIN』と同じくパラレルワールドの宇宙世紀を描いた漫画『機動戦士ガンダム サンダーボルト』に登場したドロス。
本作ではジオン残党の海底要塞として登場。
やはり超巨大サイズで、複数のマッド・アングラーやユーコンを悠々と格納出来る。

ダリルら旧リビング・デッド師団をはじめ多くのジオン兵が身を寄せていたが、南洋同盟(カルト)にドはまりして裏切ったダリル達によって爆破されてしまった。




【ゲームでの扱い】

初期のスーパーロボット大戦シリーズでは、ギレン等の乗艦として登場。
ホーミングミサイル等の武装を捏造で持たされており、しかも異様に高性能でボス敵に相応しいスペックとなっていた。
ただし、『α』以降はファーストガンダム自体の参戦頻度が激減したこともあり、スパロボでドロスを見る機会はほぼなくなっている。

Gジェネレーションシリーズでは、PS1時代の作品では莫大な搭載数で移動基地として存在感を発揮していたが、
PS2以降は搭載数の上限が8+1で固定化されてしまったため、無駄にデカくて移動に困るだけの使いにくい母艦に…

ギレンの野望シリーズでは、足は遅いが高い耐久力とMAも搭載可能な莫大な搭載力を備えた移動基地。
高性能だが搭載対応艦が少ないヴァルヴァロ、砲撃による奇襲性に優れたビグ・ザムをも収容できる。
現地の機体と加味してもやたら弱く、くず鉄同然のライノサラスも入れられる。地上専用なので、特に意味は無い。
その独自の性質に加え、MA運用では最高峰の艦船であり、一年戦争以後も長く使える。
これは連邦軍にとっても同様で、プラン奪取の枠組みでは大当たり。即座に生産しよう。
同じような運用ができる艦船にジュピトリスが存在するが、こちらはグリプス戦役後半に開発提案される。
早期に提案されるドロスを使い、ビグ・ザムでの砲撃戦術を行う場合は大活躍が見込める。

アクシズの脅威Vでは、ビグザムを15機も積んで移動することができるジオン驚異のメカニズム。
耐久も登場時期としては異例の1500!アムロ入りガンダムに撃たれ切り刻まれても、1撃は耐えてしまうほど。
クィン・マンサが1600、Ξガンダムが1350なのを鑑みると、とんでもない数値なのがわかるだろう。
反面、移動力はたったの5で並のモビルスーツよりも遅い。移動後は搭載機を一気にばら撒いてしまおう。
限界値も低く艦長の能力が腐るので、無人運用するかイマイチな人材に任せよう。



追記・修正は、本艦の撃沈を防いだ方にお願いします。

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最終更新:2025年04月16日 22:20

*1 MSの一撃離脱攻撃を受けたのか、ドロスの左右に展開したグワジンによるものか、それともドロスの対空機銃によるものか

*2 要塞の裏側に配置されていた為にソーラ・システムによる被害を免れていた。

*3 レビルが「戦力を一点集中して切り込もう」と発言したのを、幕僚が「いったん後退して戦力を立て直す」と聞き違えて発令してしまう。