ブラウ・ブロ

登録日:2019/03/10 Sun 20:50:00
更新日:2024/01/07 Sun 01:56:44
所要時間:約 10 分で読めます





すごいモビルスーツとパイロットだ。あのパイロットこそ真のニュータイプに違いない。
そうでなければ、このブラウ・ブロのオールレンジ攻撃を避けれられるわけがない!


ブラウ・ブロ(BRAW BRO)とは、ジオン公国軍が開発した、初期のサイコミュシステム搭載型ニュータイプ用MAである。

【開発経緯】

パイロットの微弱な脳波を捉えて増幅する「サイコ・コミュニケーター」、通称「サイコミュ」システム。
その増幅した脳波をもちいて小型の端末を遠隔操作し、三次元的な攻撃を行なう――という「サイコミュ兵器」の、実用化モデルの一つである。
テスト用まで含めると「最初のサイコミュ兵器」とは言いがたいが、「実戦用」として一応の完成を見たものとしては最初といってもいい。

小説版ではエルメスと同時期に開発されたが、技術的にはエルメスよりも古いタイプらしく、シャリア・ブルから「ゼロ・ナンバーのサイコミュ」と称されている。

外見はかなり特徴的なもので、宇宙突撃艇の姿をしている。
直立したトンボのような、縦に細長い中央モジュールを核として、その左右にビグ・ザムの円盤型の胴体を縦に割ったような胴体ブロックが接続される。
さらにその左右ブロックの後ろには大型のブースターユニットが装着されている。

中央モジュールは左右ブロックを切り放すことが可能で、基本的に三つのパーツでできていると考えればいい。
一説には、左右ブロックもまた前半部分とブースター部分とで切り放せるらしい。それをすると動けなくなるのであまり意味はないが……
左右ブロックには淵に沿って小さな噴射口があり、これを補助スラスターとすることで、細かい機動を行なうことができる。

ブロック背面に搭載したブースターはブロック本体よりも大きいというシロモノで、その推力はかなりのもの。
MSではなくMAなので小回りが利かないという問題点こそあるものの、多数装着された補助バーニアを使えばある程度はカバーできた。


一年戦争当時の機動兵器としては両軍通じても最大級の大きさを誇り、全長・全高ともに60mを超える。
同じMAのビグロと比較しても、全高で二倍半、全長で三割増し、重量はなんと十四倍、という破格の巨体を誇る。
ここまでいくとMAというよりも小型の軍艦、もしくは大型の攻撃艇といっていい。

これほどに巨大化したのは、初のサイコミュ兵器ということによる機構の大型化、六基ものメガ粒子砲を動かすために求められたジェネレーターの大型化(ゲルググがそうだが、当時のジオンはメガ粒子砲の小型化ができなかった)、そして大きいほうが人員を大勢のせられ、整備や調整がしやすいという事情もあった。
ほとんどのMAがひとり乗りということも考えると、最低でも三人乗り、本当はもっと多い方がいいというブラウ・ブロは、やはり機動兵器というより艦艇に近い。


【武装】

左右ブロック部分には、斜め下方向に向けて長い棒のような部分が伸びており、その先端に単装型のメガ粒子砲を搭載した攻撃端末が備え付けられている。
さらに中央モジュールの上端と下端にも、連装型のメガ粒子砲を搭載した端末が一基ずつ備わっている。
この、計四基のメガ粒子砲搭載型攻撃端末が、ブラウ・ブロの武装全てである。

この端末はワイヤー*1でブラウ・ブロ本体と繋がっており、攻撃時には端末の移動に合わせてワイヤーを伸ばし、多角的にビーム攻撃を行なうことができる。
このワイヤーの長さは、だいたい1,000mから2,000mぐらいらしい。

最大の特徴は、これがパイロットの脳波でコントロールされ、有機的・直感的な連携攻撃が可能になるということ。

有線式なのは無線式にする技術がなかったからというのが一番の理由ではあるが、
有線式にすることで本体から継続的にエネルギーを供給でき、連射がし易く弾切れを起こし難い事や、
サイコミュの適正が無いクルーだけでも、複数人が手動でコントロールすれば擬似的なオールレンジ攻撃が再現できた、という理由も大きい。

実際、ニュータイプではない乗組員だけで使っても最低限の端末操作はできた
もちろん、ニュータイプのような強い直感力と反射神経がない人間が、手動で(アナログチックに)サイコミュ端末を使っても、動かすのがやっとで本体が無防備になってしまうが、ブラウ・ブロは複座式なので、別のパイロットが操縦を担当してフォローすることができる。
じつは、連邦が初めてオールレンジ攻撃を再現したNT試験用ジム・ジャグラーも、これと同じ「複座式による、手動の端末操作」を用いたもの。

また、開発当時は考えられてもいなかっただろうが、有線端末は無線端末と違い、無闇に感応波を発信しないため、ニュータイプ同士での戦闘では無線式よりも端末を察知把握され難い、というメリットもある。


搭乗したシャリア・ブル大尉いわく「意外とシンプルなコントロールパネル」とのことで、乗り心地はかなりいいらしい。
コックピットの内装はジオングに似ており、技術的にもジオングはブラウ・ブロの発展型であるらしい(正確には「ブラウ・ブロをMSにしようとしたが、失敗した」のがジオング)。


【作中の活躍】

初登場は原作のテレビ版33話。
サイド6近郊で性能テストをしていたが、故障を起こして隠れていた。
そこに、たまたま哨戒中だったホワイトベース隊のアムロセイラGアーマーが飛来。
隊長のシムス・アル・バハロフ中尉は最初、隠れてやり過ごそうとしていたが、部下があわてて発砲したために見つかってしまう。

彼女はやむなく迎撃を開始するが、サイコミュは知っていてもニュータイプではない彼女たちではその性能を存分にいかせず、左ブロックを打ち抜かれてしまう。
しかしシムスたちは右ブロックにいたため間一髪で生き延び、被弾した左ブロックと中央モジュールを切り放し、右ブロックだけで離脱に成功する
この戦いでは、最初から故障していたり、エンジンのパワーが上がらなかったり、ちょっと砲撃しただけでエンストを起こしかけたりとかなり苦戦していた。


その後、39話にグラナダ基地にて再登場。
ギレン・ザビ総帥が抜擢したシャリア・ブル大尉を正規パイロットとして迎え入れることになる。
その後、キシリア麾下のシャア・アズナブル大佐の指揮するザンジバル級機動巡洋艦に配属される。この場面ではグラナダから直接飛んできており、航続距離もかなりのものらしい。

しかしザンジバルに乗り込んだシャリアはすぐ再発進し、「テスト」という名目でいきなりホワイトベース隊を強襲してしまう(このあたりの判断はシャリアの項目を参照)。
シャリアはこの時点でならし運転すらしていなかったが、ニュータイプとしての能力だけでサイコミュの本領と補助ブースターを絡めた高機動力を発揮。
かつてはセイラから「このていどのスピードで」と評されたブラウ・ブロだが、今度はアムロをして「違うぞ!! さっきとは!?」「この敵はいつものMAとは違うぞ!!」と絶叫させるほどの機動力と、全方位からの圧倒的なオールレンジ攻撃を展開。
ガンタンクGファイターを翻弄しつつ、ガンキャノンの両足を破損させ、アムロのガンダムも空中分解寸前にまで追い込んだ。
というより、アムロがガンダムがオーバーヒートを起こすほどの操縦をしてやっと互角に戦えたのであり、ガンダムというよりアムロでなければ確実に勝利していた
途中端末の一基を破壊されるが、それでもまだ圧倒していた。

しかし、ニュータイプとしてララァ・スン以上の成長で爆発的な進化を遂げていたアムロは、戦闘中にニュータイプとしてさらに一段の覚醒を達成
ブラウ・ブロの感知されづらい脳波を感知し、本体の位置を特定して特攻をかけた。
ブラウ・ブロはそれでも残る三基の端末で迎撃したが、ガンダムが真横に回ってビームライフルを発射したため、三つのブロックがまるごと貫かれ、爆散した。


かろうじて勝利したアムロとガンダムだったが、この戦いでガンダムではオールレンジ攻撃には対応し切れないこと、ガンダムの性能ではアムロの能力に付いていけないことが浮き彫りとなった。

一方、この戦いでアムロのニュータイプとしての能力はさらに跳ね上がった。
さらに、ガンダムはマグネットコーティングによりアップデートされたため、アムロとガンダムは驚異的なパワーアップを遂げてしまう。
ブラウ・ブロ戦直後の消耗し切ったアムロならば、シャアのゲルググとララァのエルメスのコンビで倒せたのだが、その追撃をシャアが彼なりの判断で行なわなかったため、シャアはアムロを討ち果たす機会を永遠に失ってしまった


ア・バオア・クー防衛戦の直前、ギレン演説のさなかに、べつに生産されていたブラウ・ブロがちいっちゃく映っている(「このア・バオア・クーを抜くことはできないと私は断言する」のあたり)。
ちなみにすぐ近くに緑色のドダイYSが映っている。……ドダイって宇宙活動できたっけ?



テレビ版に登場したブラウ・ブロはこの二機だけだが、漫画作品などでは別のブラウ・ブロが出てくることがある。
ニュータイプが搭乗することはあまりなく、オールドタイプ複数人によってオールレンジ攻撃を行なう、という描写が多い。


機動戦士ガンダム サンダーボルト


迎えに来たよ…

さあ、僕と一緒に檻から出よう……


サプライズと言わんばかりに主役機として抜擢。
第三部にて一年戦争後の調査対象としてルナツーに持ち込まれるもニュータイプ専用機という特殊性故に誰も動かせず第14ブロックの格納庫に保管されていた」という設定で登場した。

ただし初代とは武装や構造が大幅に異なり
  • 前部にMSと合体するドッキング・アームを装備
  • メガ粒子砲が全て連装砲に変更され、ルナツーの外壁をぶち抜いて大穴を開ける大火力を実現
  • Iフィールド・ジェネレーターを搭載
  • アプサラス等のジオン系MAのようなモノアイレールが機体中央上部に搭載
とほぼ魔改造と言わんばかりの状態と化している。

南洋同盟に寝返ったダリル・ローレンツにより操られるリユース・P・デバイス搭載型ガンダム(通称「パーフェクト・ガンダム」)の手で奪取され、長き眠りから目覚め遂に起動するとデンドロビウムと同じ要領でパーフェクト・ガンダムとドッキング。
そしてマッハ10で飛ぶ戦艦のレールガンの砲弾すら撃ち落とすダリルの超人的な狙撃技能とサイコミュによるオールレンジ攻撃が合わさり、連邦軍艦隊の宇宙艦を多数撃沈する暴れっぷりを見せ艦隊を包囲網諸共壊滅させる形で正面からブチ破って暗礁宙域へ逃亡した。



【余談】

テレビ版ではそれなりのインパクトで登場したが、劇場版では完全にカットされた。
確かに時間的に余裕がないというのはわかるのだが……


THE ORIGIN」においては少数量産されている。
シャリア・ブルが乗った一機はテキサスコロニー一帯で激しく暴れ回り、巨体を印象づけながらシン少尉のガンキャノンを撃墜する。
しかしアムロの挑発に乗ってしまいコロニー内部に引きずり込まれ、機動力や端末の展開に制限がかけられてしまい、見苦しい撃墜をされた。
その後、ア・バオア・クー防衛戦にてなんとか生産された少数のブラウ・ブロが出現し、映像版では「ZZ」まで実現しなかったニュータイプ部隊を構成した。
しかし本物のニュータイプの育成まではできなかったようで、連邦軍MS部隊の猛攻によって全滅している。



「ちっ、一気に項目を乗せすぎました」
「かまわん。このブラウ・ブロの項目を見られたからには、追記・修正させねばならん」


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最終更新:2024年01月07日 01:56

*1 実際は後のラフレシアのテンタクラーロッドの様な触手状チューブパイプといった所でありインコムの様な細いコードワイヤー状ではない