サンダー・ボルト(遊戯王OCG)

登録日:2011/05/30 Mon 06:31:00
更新日:2025/05/04 Sun 08:12:06
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あなたは遊戯王OCGにおける最強のカードとは何か? と問われた時、最初に何を思い浮かべるだろうか?


サンダー・ボルト
通常魔法
①:相手フィールドのモンスターを全て破壊する。

【概要】

スターターボックスで登場した最初の魔法カードの一枚。
遊戯王OCGの最初期から存在する古株である。
その効果は相手のモンスターのみを全て破壊するという一目で分かるほど強力なもの、弱いことが一切書いていない。
強欲な壺》などと同じく、テキストが短いカードは強いという不文律を体現するカードの1つだった。

コストも無く《ブラック・ホール》のような自分への被害は一切ないため、
1:1交換以上が約束されていた非常に優秀な除去カードである。

攻勢に出るときに相手の壁を消し去ったり、劣勢からの巻き返しのきっかけにするなど、使うタイミングを選ばない。

デッキトップからこれを引いて大逆転できることもあったが、相手からしたらたまったものではない。
これが現役だった99年~04年の環境ではモンスターの展開手段が限られていたため、これを撃たれるだけで勝負が決まることもしばしば。
いざという時に頼りになる存在だったが、即座にモンスターを全滅させられる危険をもたらす理不尽なカードでもあった。


なお、最初期のテキストには「相手モンスターをすべて破壊する。」としか書かれていなかったため、
相手のデッキのモンスターも破壊できるという勘違いも当時あったようだ。


あえて欠点をあげるならば、通常魔法であり奇襲性が薄いことくらいだろう。
もっとも、速攻魔法が第2期からの登場なので致し方ないことだが。

仮に速攻魔法だとすると、《ナチュル・ビースト》や《避雷針》(笑)等一部のカードがない限りは、あの《聖なるバリア―ミラーフォース》の上位互換という狂い切った性能になってしまう。
やっぱ通常魔法でおk。


【規制】

このような強力なカードが野放しにされるはずはなく、早々に使用制限が設けられた。
正確な時期は不明だが、1999年当時に一番最初に制限カードになったカード
除去が少なかった時代であり、この時は《ブラック・ホール》に混じって《落とし穴》も制限になっている。

その後、長らくデッキの必須カードとして《強欲な壺》《死者蘇生》「ハンデス三種の神器」などともに広く使われていた。

しかし、1枚制限でも強すぎると判断されたため、2004年3月1日の改訂で禁止カードとなった
以来、日本では《八汰烏》とともに禁止カードにとどまり続けている。
同時に禁止となった《ハーピィの羽根帚》は《大嵐》と入れ替えで制限復帰し、
王宮の勅命》もエラッタによって制限復帰を果たしているが、《サンダー・ボルト》《八汰烏》は2018年に至るまで一度も緩和されていなかった。


【緩和】

海外では2014/10/01での制限改定で制限カードへと緩和された
大量展開が容易になったことに対しての対策、カードの効果発動における対策カードの多さなどが要因の一つと考えられている。
当然ながらその後の環境は凄まじい状態となった。遊戯王TCGからユーザーに対しての《サンダー・ボルト》である。

OCGの環境でも強力な性能には違いはないが、
破壊されても別のカードをリクルートしたり、破壊耐性を持っていたり、魔法カードをカウンターできるようなものも増えている。
なにより《ブラック・ローズ・ドラゴン》や《励輝士 ヴェルズビュート》といったお手軽全体リセットボタンに慣れきっているのもあり
そのままの性能で制限復帰してもそれほど活躍できないのではないかという意見も根強かった。

実際《ブラック・ホール》もすべてのデッキで採用されているわけではなく、2017年7月1日の改訂で準制限にまで緩和され、後に制限解除されている。

こうした事情から《サンダー・ボルト》もいつか緩和されると信じているプレイヤーもそれなりにおり、安く売られているものを買い集める者もいた。

ただ、長らく禁止になっていたカードが復帰する際には何らかのエラッタがかかるのが通例であり、そのままの形での復帰は望みにくい、とも予想されていた。
特に調整版ともいえる《ライトニング・ボルテックス》の存在もあるため、もし復帰するとなればどのような措置となるかは見ものではあった。

そして、2019/4/1の制限改訂で実に15年ぶりの制限復帰が決定。更にエラッタの類は一切無し
再録も早く、スターターデッキ2019に収録されることと相成った。
とはいえ、「先攻で制圧*1するデッキ」「破壊耐性持ち&効果無効化のモンスター」が珍しくなくなった結果、無制限の《ブラック・ホール》や、特定のデッキならほぼ好きな時に呼べる《ブラック・ローズ・ドラゴン》ですら採用を見送られる大会レベルにおいて、
後攻でなければ意味を持たない=先攻では死に札と化すこのカードがどれほど暴れられるかは疑問だが。
そのため、いずれ制限解除される立場という見方が為されるようになった。

そして、大方の予想通り採用率は伸び悩み、2022年4月に準制限カードに。
更にその3か月後……2022年7月に遂に制限解除されることになった
初の制限・禁止カードが遂に3枚積みできる時代がやってきてしまったのである。

こうしてインフレと共にこのカードも過去のモノに……は


まだ、ならなかった。


2023年1月1日の改定で再び準制限カードに指定されたのである。
先攻なら使えないという欠点も、後攻になった時のサイドデッキ要員としては関係ないため、サイドデッキでは高い採用率を記録。
「サイドデッキに入れるなら《ライトニング・ストーム》の方がいいじゃん?」と言われていたが、最近では相手の場を空にさせないために《夢幻崩界イヴリース》はおろか、《マタンゴ*2なんてモノまで持ち出される魔境なため、安定して撃てるこちらにも一定の分があるようになってきた。
最初期のカード故に名称ターン1制限がないのも《ライトニング・ストーム》にはない魅力。
極端な話相手が堅牢な制圧盤面を築いていたとしても、魔法・罠カードへのカウンターを1度しか行えないのであればニィレンダァ!……もとい二連打で返せてしまうのである。
モンスターの展開・効果が重視される現在は、魔法・罠カードへの対策が甘いデッキもあるので、一気に複数枚使用できるメリットは案外馬鹿にならない。

そもそも先攻を取った場合、1ターン目に相手の場にはモンスターはいない……という考えが通用しなくなってきているのだ。
どうした事か相手ターンでも手札からモンスターを出せる様なデッキが環境に登場してしまい、自分が先攻をとって布陣を固めているハズなのに相手が大量展開してくる訳の分からない事態が発生。
そのため先攻でも全体除去が必要になるようになってしまっている。

そもそも、《サンダー・ボルト》が緩和された時に採用率が伸び悩んだのは「環境に破壊耐性持ちのモンスターが多かった」から。
耐性のないモンスターが増えればその威力を大いに発揮するわけで、やはり禁止カードを経験する程の高いポテンシャルはなくなっていなかったと言える。

しかしその後、再び環境に破壊耐性を持っていたり、破壊されても問題と感じないかのような復帰力を有するカテゴリーが環境に出てきたこともあり、2024/10/1に再び制限解除された。


【禁止化の理由?】

初期を代表するぶっ壊れカードと認識している物も多いが、このカードが健在だった頃はこのカードはそこまで壊れカードではなかった。

むしろいい緩和材ですらあったのだ。

当時の環境を遡ってみよう。

最初期の遊戯王
このカードと双璧を成して強力だったカードは他でもない、あの《青眼の白龍》(以下、ブルーアイズ)だった。

ブルーアイズを倒すには《サンダー・ボルト》を使うか装備カードを使うしか無かった環境であり、《ドラゴンの秘宝》やらを装備していたらまさに鬼に金棒。
装備カードでは攻撃力が足らず、大量展開もできないので《はさみ撃ち》も発動しづらい。

社長よろしくブルーアイズを三体並べて「強靭!無敵!最強!」などとやられてはシャレにもならない。

そんな時に頼もしいのがこのカード。
《サンダー・ボルト》の存在はブルーアイズと中々にいい対比だったのだ。

……と思いきや、最初期のブルーアイズと《サンダー・ボルト》はあろうことか「STARTER BOX(3480円)」に同時収録されていた。
対比などとんでもない。《サンダー・ボルト》でブルーアイズを処理できるようなデッキには当然ブルーアイズが入っており、
またブルーアイズが3枚入っているデッキには当然《サンダー・ボルト》も3枚入っている事となるのだから。
このカードが緩和材になると言うのは、STARTER BOXを買わないデッキは同じ土壌にすら上がれていないと言う事と同義である。
それってSTARTER BOX買わないデッキは紙束って事じゃ無いかな?

エキスパートルール導入によりブルーアイズが弱体化してからは、このカードも制限カードという枷を嵌められる。
しかし、一枚という絶妙な枚数がかえって勝負を熱くさせ、逆境を打破する一撃になることも多かった。

むしろ攻めに使うよりも温存すべきカードだったのだ。


では何故禁止カードになったのか?

「どんなデッキにも入ってしまうパワーカード」だから?

それもあるだろう。


最大の要因は「ゲーム環境の高速化」。つまり、モンスターを大量展開できる時代が来てしまったからである。

八咫烏などもそうだが、恐らく先見の明をもっていない人でも希望的観測として薄々感づく事は出来たはず。
『このカードはいずれ使用できなくなる』と。


現在の遊戯王OCGはこのカードが禁止入りした当時以上に速い環境にある。
しかし、そのスピード感が楽しめる人には最高な環境だろう。
復帰したと仮定するならば

サンダー・ボルトぶっぱ

モンスター展開総攻撃

ワンキル

この流れが容易にできてしまう。
まぁシンクロ登場あたりからこの手の大量除去なしのワンキル&先攻制圧が徐々に普通になっていったがな!


くどいようだが、このカードは当時は決して壊れカードではなかった。
混沌帝龍-終焉の使者-》《ゴヨウ・ガーディアン》の様に登場時から壊れていたからではなく、環境の変化もあって禁止となったのだ。


【関連カード】


有名なカードだけあって、似たような名前のカードが登場している。

サンダー・クラッシュ
通常魔法
自分フィールド上に存在する全てのモンスターを破壊する。
相手ライフに破壊したモンスターの数×300ポイントダメージを与える。
自分 フィールドのモンスターを全て破壊し、相手にダメージを与える事ができるが、決してダメージ量は多くない。
自分のモンスターを破壊できる事を活かす必要がある。
遊戯王GX』にも登場し、そちらの印象が強い人もいるだろう。


ライトニング・ボルテックス
通常魔法
①:手札を1枚捨てて発動できる。相手フィールドの表側表示モンスターを全て破壊する。
見てわかる通り、《サンダー・ボルト》の下位互換にして調整版。
初登場時は《サンダー・ボルト》が禁止カードだったため、環境でも活躍した。
当時は展開手段が少なく、2体破壊出来れば十分な影響があったので、一時期は制限になったこともある。
また、手札コストが潤沢に用意できる【征竜】などに採用されるケースも。
が、現在では《サンダー・ボルト》が無制限なので……。
手札を捨てる事を活かす場合は《サンダー・ボルト》より優先する価値があるか。
原作ではマリクによって洗脳された城之内が遊戯に対して使っており、この時の効果は「相手フィールド上のモンスターを全て破壊する。」という《サンダー・ボルト》と全く同じ効果であった。


ライトニング・ストーム
通常魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
①:自分フィールドに表側表示のカードが存在しない場合、以下の効果から1つを選択して発動できる。
●相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊する。
●相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する。
発動条件があるものの、調整版の《サンダー・ボルト》か《ハーピィの羽根帚》を選べる画期的なカード。
それらと比較する場合、状況に応じて使い分けができる点、《ハーピィの羽根帚》を疑似的に3積みができる点で優れる。
一方で、フィールドの状況では発動できない点、1ターンに1枚しか発動できない点、守備表示のモンスターを除去しきれない点から、一概に上位互換とは言えない。
後攻や劣勢時の巻き返しに使うカードであり、サイドデッキでの採用が主流。


サンダー・ボトル
永続罠
自分フィールド上に存在するモンスターが攻撃宣言をする度に、 このカードに雷カウンターを1つ置く。
雷カウンターが4つ以上乗っているこのカードを墓地へ送る事で、 相手フィールド上に存在するモンスターを全て破壊する。

ZEXALに入って最初のパックの「GENERATION FORCE」で登場したカード。
「ボルト」ではなく「ボトル」というシャレになっている。
雷カウンターを4つ乗せれば、《サンダー・ボルト》を同じ効果を発揮する。

しかし、4回も攻撃宣言しなければならない。

4回も(ry

調整版らしく、カウンターを貯めるまでの道のりが長い。
伏せ除去が豊富な現状では、相手にターンを渡すとすぐに割られてしまうことも珍しくない。
というか、現在の環境ではデュエルが終わってしまう事すらあり得る
まあ、囮としてつかうのも1つの手ではあるが。

ただし、永続罠ゆえにモンスターを破壊する効果はフリーチェーンで発動可能。
4つ目の雷カウンターが乗った攻撃宣言直後のバトルフェイズで使用し、相手モンスターを破壊して直接攻撃ができる。
さらに相手のターンであっても発動する事も可能。
2回攻撃可能なモンスターだとすぐさまカウンターを貯める事が出来る。

とはいえ、手札コストがあるとはいえ引いてすぐに発動できる《ライトニング・ボルテックス》やそれこそ《サンダー・ボルト》の方が基本的には扱いやすいだろう。

4回目の攻撃の前に除去されても泣かない。


【余談】

海外版の名前が奇妙なカードの1つであり、
なんと英語版は“Raigeki”(雷撃)。おい、訳せよ

まあ《クリッター》が“Sangan”(三眼)、《人造人間-サイコ・ショッカー》が“Jinzo”(人造)とかになってるので、別に珍しいことではないのだが……

なお《サンダー・ブレイク》の英語名が“Raigeki Break”(雷撃ブレイク)なのは、どう考えても《サンダー・ボルト》の影響だろう。

マスターデュエルではチュートリアル後の最初のミッションでこのカードを1枚貰える
相対的に弱体化したとはいえ10年以上もの間禁止だったパワーカードを実質チュートリアルのクリアボーナスで貰えてしまうのは多くの決闘者を驚かせた。なおマスターデュエルではサイドデッキが無いため、後攻捲りとしてピン刺しで採用されることが多く現在でも環境で活躍している。

QUARTER CENTURY CHRONICLE side:UNITYには本カードの絵柄違いが収録されているが、なんと放っている主は《オシリスの天空竜》。
オシリスの攻撃・効果がどちらもに起因する事から関連付けられたのだろうか?

めいでんのうっかり
通常魔法
アニヲタWiki上の全ての項目を破壊する


バックアップ
通常罠
相手が「めいでんのうっかり」を使用した時、アニヲタWikiの項目の代わりに冥殿の*を全て破壊する。
発動後この項目を追記・修正する。

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最終更新:2025年05月04日 08:12

*1 相手の行動を妨害するカードを大量に並べ、相手の勝ち筋を潰す事。詳しくはリンク先参照

*2 全体除去とは関係ない余談だが、鬼畜耐性+効果無効という『ジ・アライバル・サイバース@イグニスター』を真正面から殴り殺すために、メタル化・魔法反射装甲というマタンゴ同様、昔のカードも『ラビュリンス』等で採用されている。