スイーツ・ドーパント

登録日:2020/04/01 Wed 22:23:22
更新日:2025/07/05 Sat 14:55:58
所要時間:約 7 分で読めます






何だコイツ? …お菓子のバケモンか?

“化け物”とは無礼な! 私は味覚の化身だ!


いいぞ。恐怖しろ! 恐怖もまた、舌先を駆け巡る極彩色の甘美だ! ハハハハハハッ……!!


スイーツ・ドーパントとは、特撮テレビドラマ『仮面ライダーW』に登場する怪人である。




データ

※一部出典:『仮面ライダー図鑑』より
身長 212cm
体重 101kg
種族 ドーパント
ガイアメモリ スイーツメモリ(お菓子の記憶)
生体コネクタ位置 右首筋
特色・力 口から吐き出す硬化生クリーム弾
右腕を変化させたブレード
クリーチャーデザイン 寺田克也
初登場回 『W』第9話「Sな戦慄/メイド探偵は見た!」
『W』第10話「Sな戦慄/名探偵の娘」
スーツアクター 藤井祐伍


概要

第9話・第10話に登場。
風都で発生した連続パティシエ誘拐事件の犯人が、「お菓子の記憶」を宿したガイアメモリ「スイーツメモリ*1で変身したドーパント。
本項目冒頭のセリフにあるように自身を「味覚の化身」と名乗る美食家気取りの気質の持ち主で、甘味に対して異様なまでの執着を抱いており、
雑誌記事に載っていた「風都パティシエランキング」の上位5名のパティシエをランキング順に誘拐・監禁しては、自分の為だけのスイーツを作るよう強要していた。

なお、このドーパントに誘拐されたパティシエ達が「全員園咲家にゲストとして招待された」という共通点を持っており、
それを元に鳴海亜樹子メイドに扮して潜入捜査を行った結果、左翔太郎フィリップが初めてミュージアムの根源に近づく切っ掛けともなっている。


容姿

赤と黄緑を基調とした、カラフルでありながらけばけばしいサイケデリックな色合いが特徴的で、
ガムボールもしくは飴玉がぎっしり詰まったような左肩付け根や、チョコレートのような造形と色合いの左二の腕、さらに背中から生えたチョコレートでできたような棘など、
「スイーツ」の名の通り、「洋菓子と言えば」な要素を寄せ集めて擬人化させたようなお菓子のバケモン」と呼ばれるのも納得の異様なビジュアルとなっている。
ちなみに頭部は真っ赤な色合いかつ、飴細工の如く尖った形状となっているが、『ウルトラセブン』を始めとした『ウルトラシリーズ』を知る人にとってはメトロン星人を思い浮かべてしまうかもしれない。
お父様「何故こっちを見るのかね?」


能力

主に生クリームに関するものが多く、全身をクリーム状に変化させる事で壁を通り抜けたり、飛び跳ねる形で高速移動する事が出来る。
劇中ではこの能力を活かして厨房の壁内に身を潜めつつ、パティシエ達を自身の体内に取り込む形で誘拐していた他、仮面ライダーWとの二度目の戦闘ではカメレオンの如く周囲の風景に溶け込み、自身の姿を隠してみせていた。
また、口や左手から命中すると瞬く間に凝固するゲロ硬化生クリーム弾を放って相手を拘束する事も可能。

一方的で接近戦に対してはてんで弱い。一応右腕をケーキナイフのような形状のブレードに変化させる事はできるのだが、肝心のWとの戦闘では使われずじまいとなっている。


関連人物

本エピソードの実質的な主人公。
連続パティシエ誘拐事件の犯人を突き止める為に美少女メイドに扮して園咲家に潜入し、独自に調査を行うも、あまりにも無鉄砲過ぎる行動を翔太郎に咎められてしまう。
しかし、終盤では「この親にしてこの子あり」のことわざを地で行く活躍を見せる。

  • 浅川麻衣
演:乙黒えり

今回の依頼人であり、誘拐されたパティシエ達の一人・浅川勇三(演:加藤満)の娘。
父のような立派なパティシエを目指しているが、スイーツ・ドーパントの次のターゲットとして狙われる事に。

  • 杉下克子
演:川俣しのぶ

園咲家の小うるさいメイド長。
城塚から「鬼軍曹」と称される程に厳しい性格の持ち主だが、そんな彼女でも亜樹子の破天荒過ぎる行動の前に終始振り回されっぱなしだった。

  • 佐々木由貴子
演:濱田万葉

園咲家のメイドその1。
眼鏡をかけた見た目通り、性格は至って真面目]そのもの。
園咲家の使用人にとっての絶対訓である『見ざる聞かざる言わざる』の鉄則*2を亜樹子に教えつつ、彼女の行動を窘めていた。

  • 城塚福美
演:井上佳子

園咲家のメイドその2。
ふくよかな体型常にお菓子を食べているが、そのせいで亜樹子から「一連の事件の真犯人」と当てずっぽうで名指しされてしまう羽目に。

  • 進藤
園咲家の料理長。
普段は無愛想な態度で、亜樹子からは「感じ悪い」と怪しまれたが、実際はゴルフ好き*3のいい人。

ハードボイルドを気取っているが、亜樹子からは「ハーフボイルド」呼ばわりされる探偵
勝手な行動を取る亜樹子に手を焼くが、その一方で亜樹子におやっさんの死と自身の忌まわしき過去の罪を打ち明けるべきか迷っている。

園咲家の当主にしてミュージアムの首領だが、屋敷に潜伏していたスイーツ・ドーパントの存在には気付いていなかった模様。
今回のエピソードでテラーの能力を初めて披露するが、同時に週替わりで一流パティシエ謹製のデザートを堪能する「スイーツタイム」を習慣とする程の甘党である事が判明した他、
亜樹子が用意していた「サプライズ」を本気で楽しみにしており、全容が明らかになると「何だ、『サプライズ』ってそういう事か…。お菓子の事じゃないのかぁ……」と落胆する可愛い一面も。

園咲家の飼い猫。
第7話でフィリップと亜樹子を苦しめたものの、今回は亜樹子特製のねこまんまを食べさせられて体調を崩すという憂き目に遭ってしまった。


劇中での活躍

園咲家の使用人として潜伏し、自身の舌を満足させる為に園咲家に招き入れられたパティシエ達を自身の能力を駆使して誘拐し続けていた。
そして「風都パティシエランキング」の上位5名に加えて6位の麻衣にも狙いをつけ、「お前は私の舌先に乗る資格を得た」として誘拐しようとするも、
フィリップからの情報を得た翔太郎が(途中、園咲霧彦に「園咲若菜ストーカー」と勘違いされて捕まった挙句、自慢話を長々と聞かされる羽目になりながらも)間一髪でWとなって駆け付けた事で阻止され、そのまま戦闘に。
得意の体液攻撃でWを拘束するが、Wがサイクロンメタルにハーフチェンジし、メタルシャフト バットシャフトモードの「ソニックシャフト」ですぐに拘束を破った事で逆に追い詰められてしまう。


ありふれた平凡な菓子を舌先に乗せると、私はそれだけで戻してしまう。
極上のスイーツが無いと、生きていけないのだよ。ハハハハハハッ……!!


その途中で今度こそWを倒してその秘密を暴こうと目論むナスカ・ドーパントが乱入し、三つ巴の乱戦状態に。
しかし、屋敷の平穏を乱すものを許さない琉兵衛がテラー・ドーパントに変身してテラーフィールドを展開し、その異様な光景に全員が本能的に危機感を抱いてその場から離れた事で戦いは中断された。

その後、フィリップが先程の戦いでのスイーツ・ドーパントの言い回しから、「舌先を駆け巡る極彩色の甘美」という珍しいフレーズをキーワードの一つとして検索した事や、
亜樹子が園咲家一同やメイド、料理人達を集めて行った「サプライズ」と称した犯人捜しの中で彼女が適当に作ったデザートが振る舞われた事でその意外な正体が露見する事となる……。






以下、『W』第10話のネタバレ注意!








正体



翔太郎、真犯人は分かった。あの雑誌のランキングを付けたその本人が、パティシエ達を連続で誘拐していたドーパントだ。
犯人は食べ歩きで有名なライター…『舌先を駆け巡る極彩色の甘美』がお得意なフレーズだった。

そのライターの名前は……佐々木由貴子!

佐々木さん?

……食わせたの……!? あたしの黄金の舌先に、アンタなんかのクソ菓子を食わせたっていうの!? ……許せない……!!

あなたがお父さんを? お父さんを返して!!

やかましい!!

\スイーツ!/

スイーツ・ドーパントの正体は、メイドとして屋敷に入っていた元飲食系雑誌ライターの佐々木由貴子
亜樹子お手製のお粗末なデザートで自身の舌先を汚された事で激昂し、これまでの真面目な態度をかなぐり捨てて口汚く罵りながら自らの正体を暴露。
麻衣を亜樹子共々取り込み、勇三達5人のパティシエを監禁していた自身の拠点に連れ去ってしまう。


さあ、父親と一緒にここであたしに永遠に仕えるのよ。

あなた…何であたし達をこんな目に!?

……あたしは評論家じゃなくて作る側になりたかった。でも風都の一番街に出した店は1年もしないで潰れた…。
あたし知ったわ。“食べて批評するのと作るのは大違い”…。でも、これさえあれば最高な味を私一人のものにできる。
ウフッ、アハハハハッ! アハハハハハハ……!!

\スイーツ!/

さあ…私だけの為の、永遠のスイーツタイム! でも、その前に……

えっ!?

私の舌先を汚したコイツを切り刻む!!

ハハハハ…。覚えてました、佐々木さん…? エヘッ☆

不味いっす! 食べたら不味いっす!!

知ってるわ。刻まれて、壁の塗料にでもおなり!!


佐々木は元々洋菓子を批評する事ではなく、洋菓子を作る事そのものに憧れており、それが高じて過去に自身の洋菓子店を経営していた事もあったが、結果は1年も経たずに廃業。
これにより、『優れた評論家が優れた洋菓子を作れるとは限らない』と身を以て実感すると同時に、そのせいで背負う事になった借金を踏み倒そうとスイーツメモリを購入。
しかし、いつしかメモリの力に呑まれてお菓子に対する執着心が増幅された結果、自分の為だけの永遠のスイーツタイムを味わう為に一連の犯罪行為を働くようになってしまった。

上記のように真の目的を麻衣に明かした後、自身の舌先を汚した亜樹子を右腕のブレードで壁の塗料代わりに切り刻もうとするが、
亜樹子の服に貼り付いていたスパイダーショックの発信器により、タブー・ドーパントとナスカ・ドーパントとの激戦をどうにか切り抜けたWに隠れ家を突き止められた事で再び交戦。
格闘戦では全く歯が立たず、窮地に立たされた事で麻衣を力づくで連れ去ろうとするも、亜樹子の身を挺した攻撃で妨害されてしまう。


アタシの依頼人に、指一本触れるな!!


その姿に今は亡き師匠・鳴海荘吉の面影を重ねる翔太郎だったが、すぐさま我に返るとヒートジョーカーにハーフチェンジし、目論見が失敗したスイーツ・ドーパントを外に連れ出すと再び格闘技で圧倒。
炎を纏ったパンチの一撃を受けて追い詰められたスイーツ・ドーパントは全身をクリーム状に変化させて周囲の景色に溶け込むも、ルナメモリを装填したバットショットのフラッシュ攻撃で炙り出されてしまう。


アッツアツのデザートを…奢るぜ!


最後は先のフラッシュ攻撃で怯んだところを、「アッツアツのデザート」と称して放たれたWの「ジョーカーグレネイド」で成す術無く倒されると同時にメモリブレイクされた。


フッ…。旨かったろ?


佐々木がその後どうなったかは不明だが、勇三を始めとしたパティシエ達は亜樹子の手で無事に救出され、依頼者である麻衣達の笑顔を取り戻す事に成功したのだった。
依頼者である麻衣は14話で再登場する。


派生作品におけるスイーツ・ドーパント

本編冒頭にて「スイーツの男」なる白衣に眼鏡のコック(本名不明)が変身した別個体が登場。
だが、変身に使われたメモリが流出した試作品だったせいで本来の能力を発揮せずに終始唸り声を上げながら暴れまわり、さらにはWとの交戦中に気絶しているフィリップの体に噛み付いて食べようとするなど完全に暴走。
その後はフィリップから引き剥がされるとロクに反撃もできないまま圧倒され、最終的に「ジョーカーエクストリーム」を食らって呆気なくメモリブレイクされた。

亜樹ちゃん、“倒れた体は私に任せて”って言ったよね?
め、面目ないっす…。よしよしヾ(・ω・`)

なお、ミュージアムやEXE壊滅後も流出した試作品のガイアメモリによる一般市民の暴走がこの一件以前にも相次いで発生していたようであり、翔太郎も「仮面ライダーに休みなしってとこだな…」と零していた。

ちなみにこの「スイーツの男」を演じていたのは『仮面ライダーエターナル』の脚本家にして、『W』本編のメインライターを務めた三条陸氏その人である。

第5巻「超人r」にて、裏風都を徘徊するドーパントとしてトライセラトップス・ドーパント、ビースト・ドーパントと共に登場した。


余談

  • 上記に挙げた通り、メトロン星人によく似たビジュアルだが、これはデザイナーの寺田克也氏曰く「ウルトラ怪獣のデザインを手掛けた成田亨氏へのリスペクトが込められているから」とのこと。
    その縁が生んだのかどうかは不明だが、ゲーム『ロストヒーローズ』のサブクエスト「狙われた街」にて、元ネタのメトロン星人と共に雑魚敵キャラクターとして登場するというお遊びも。

  • 劇中で佐々木が正体を現す場面でメイドや料理人達が逃げ惑う中、園咲家の人間は動揺するどころかむしろ平然としており、翔太郎もそれを間近で目撃していたが、
    その後も園咲家がガイアメモリと深い関わりがある事が徐々に暴かれていくにもかかわらず、翔太郎は園咲家の調査に乗り出そうとはしなかった。
    これは後に第45話で明かされる事だが、第10話で初めて琉兵衛に会った際に恐怖の感情を無意識のうちに植え付けられていたのが原因である。


いいぞ。編集しろ!追記・修正もまた、舌先を駆け巡る極彩色の甘美だ!ハハハハハハッ……!!


この項目が面白かったなら……\スイーツ!/

最終更新:2025年07月05日 14:55

*1 ロゴはS型のケーキ。

*2 「園咲家の人間とは仕事の時以外では会ってはならない、話してはならない、話を聞いてはならない」という三原則。

*3 自分自身でも認める程に下手だが。