ルパン三世 ナポレオンの辞書を奪え

登録日:2021/02/01 Mon 00:42:00
更新日:2023/11/19 Sun 19:46:53
所要時間:約 9 分で読めます






すぐCIA長官に連絡をとれ!ルパン探して拉致すんだよ!大儲け出来んだから早くしろってんだ!!


ルパン帝国は元々我がフランスにあったんだ!よそより早く、ルパンを見つけろ!!


ルパン帝国の財宝を手に入れて見ろ!旧東側の失業問題なんか、楽勝に解決できるんだぞ!?


財宝を掴めば、我が大英帝国が世界の盟主に返り咲けるのだ!!


湾岸で出した130億ドル取り戻せて、おまけまでつくんだ!金に糸目を付けずにルパンを探せ!!


あぁ!?近代美術館にルパンが!?何やってんだバカ!!なんで4人しか警官回さねぇんだよ!
こっちの警備なんてどうでもいいんだ!ニューヨーク中の警官全部近代美術館に向かわせろぉ!!!






ルパン三世

ナポレオンの辞書を奪え





ルパァ~ン!逮捕だぁ!!!





『ルパン三世 ナポレオンの辞書を奪え』とは、1991年8月9日に金曜ロードショーにて放送された、『ルパン三世』テレビスペシャル第3弾のタイトルである。脚本は柏原寛司。

ルパン帝国の財宝のありかが記された『ナポレオンの辞書』を巡ってルパン一味と多国籍軍の争奪戦を描いた物語となっている。
本作はTVSP作品の中では唯一監督の存在しない作品となっている*1他、
TVシリーズや『ルパン三世 ルパンvs複製人間』『ルパン三世 カリオストロの城』で作画を手掛けた大塚康生氏がメカデザインの監修として久々に参加した。
本作は作画期間のスケジュールに余裕が無かったせいもあってか、全体的に作画が安定しておらず、作画崩壊が大いに目立っており、
それもあってか、本作は20世紀に制作された『ルパン三世』作品の中で最も評価の低い作品となった。


【あらすじ】


ニューヨークでG7の首脳会談が行われていた。
湾岸戦争によって悪化した世界経済を立て直すため、首脳たちが目をつけたのが2千億ドルともいわれるルパン帝国の財宝だった。
時を同じくして、ニューヨーク近代美術館に現れたルパンは1908年製のクラシックカー「パッカード」を盗み出し、あろうことかパリのクラッシックカーレースに出場しようとする。
レースの賞品はルパン帝国の財宝の場所が記されている“ナポレオンの辞書”だったのだ! (Youtubeより抜粋)


【登場人物】


◆レギュラーキャラクター


CV:山田康雄
ご存知天下の大泥棒。
先祖の手放したルパン帝国の財宝のありかが記されたナポレオンの辞書を手に入れるべく、パッカードを盗んで改造し、カーレースに参加する。
……実はパッカードを盗んだのは女のためだったのだが、やはりと言うか盗み出した矢先にその女が他の男に鞍替えしてしまったため、次の仕事用に転用したというのが実態。
「たかが女のために車盗んでサツに追われるなんて最低だ」とは次元の弁。
本作では中盤辺りで多国籍軍から逃れるために銭形と入れ替わった。その後、共に行動していた千恵子の生き方を大きく変えることに。

「先祖のモンは俺のモンだろ?」

CV:小林清志
ご存知ルパンの相棒のガンマン。
相変わらず女に現を抜かすルパンや、任侠映画に没頭して、ノリノリの五ェ門に呆れていた。
中盤、カーレースの出場者と偽り自分達に接触してきた千恵子の正体をいち早く知り、逆に彼女を人質にとるが、
彼女と共に行動している時にかけた様々な言葉からは、女には分からない男心の優しさが見えてくる。

「組織や国に忠誠誓って何になるんだ?人生楽しめよ!」

CV:井上真樹夫
ご存知ルパンのもう一人の相棒の剣客。
前作、前々作とギャグキャラになっていた彼だが、本作でも例外ではなく、任侠映画に没頭した結果、事あるごとに映画の台詞を真似しており、ルパン達からは終始呆れられていた。
だが、ホークに捕らえられたルパン達を助けたり、ルパン達を狙って放たれたミサイルを斬って破壊するなどそれなりに活躍したため、それを考えると次作よりかは遥かにマシであろう……

「どうせあたし達は赤い着物か白い着物…。ご一緒させていただきます…!」

CV:増山江威子
ご存知お色気姐さん。
本作ではルパン達とは別にクラシックカーレースに参加しており、その際に接触していたエリックをカモにし、彼からあらゆる金品などを失敬しようとしたが、逆に彼に人質にされてしまった。
その後、ルパンによって助けられ、彼から財宝について聞くと、その後は彼らと共に行動した。
それもあってか、本作ではルパン達を裏切らなかった。

「ハ~イ!お金持ちの皆さん!」

CV:納谷悟朗
ご存知銭形のとっつぁん。
多国籍軍がルパンを捕まえようとしていると知るや自分が逮捕するべく、海辺首相により派遣された千恵子と共に、他の国よりも先にルパンを逮捕するべく行動する。
海辺首相から月給100万円にアップされたり、経費使い放題で高級ホテルのスイートルームに宿泊出来たりと、いつもは散々な目に合う彼も今回は意外と優遇されていた。
もっとも、いつの間にか立っていた千恵子とのフラグはラストのルパンのネタばらしによってあの後完全に圧し折られてしまったと思われるが……
ホテルでのルパンとの食事シーンは2人の仲の良さを視聴者に知らしめることになった。

「殺人犯じゃない、ルパンだルパン!ウ〇コを探せ!ウ〇コ!ウ〇コ!」


◆ゲストキャラクター


  • 木戸千恵子
CV:戸田恵子
本作のゲストヒロインで、国家保安局の捜査官。
任務に忠実なクールビューティーだが、次元や銭形(変装したルパン)と行動していくうちに、次第に組織に忠実して任務を遂行していく事が正しいのかと疑問を持つようになっていき……
本作一番の作画崩壊の被害者。

「自分の事しか考えない人間こそ、軽蔑するわ…」


  • へーカー
CV:大平透
アメリカ財務長官で、多国籍軍を再結成した張本人。
日本の事を「経費を出させる存在」としか見ていないなど、他国を子分のように扱っているという一目で分かる米国至上主義者である。
もっとも、前年の湾岸戦争で日本は「カネは出すが兵士は出さない」という方針を貫いたため、アメリカ始めとした多国籍軍構成国はもとより、クウェートすらも不信と軽蔑の念を抱いたという経緯があり、「経費を出させる存在」というのも日本自身がそういう存在であろうとしたのである。痛烈な皮肉と言える。

「分かったようるせぇな!また手ェ組みゃいいんだろ?湾岸時みたいに…」

  • ロバート・ホーク
CV:吉水慶
へーカーからルパン捕獲の命を受けたCIA特務班班長の男。
だが、実は己の欲望から政府なども出し抜いてルパン帝国の財宝を一人占めしようと目論んでいた*2
エリックと共謀し、あれやこれやでルパン達を追い詰めて財宝の山分けを持ちかけるが、ルパンが財宝のありかを知らないと知るや否や、彼を射殺しようとする。
だが逆に次元に撃たれてしまい、彼から「欲をかかねぇで公務員やってりゃよかったんだ!」と吐き捨てられ、死亡するという自業自得な最期を遂げた。

「建前と本音が違うのが国家ってモンだ!」

  • マッカラム
CV:大塚明夫
CIA特務班の副班長でホークの部下である。彼の事は「キャップ」と呼んでいる。
中盤、裏切ったホークに成り代わり、特務班班長となり、多国籍軍を指揮した。

「日本は、また参加しないのか?お2人さん…」

  • エリック
CV:速水奨
クラシックカーレースの出場者であるイケメン男性。
不二子と親密な関係になるが、実はホークと共謀しており、彼女と接触したのもルパンに財宝のありかを吐かせるダシに使うためであった。
終盤、クラシックカーで逃げるルパン達を地下鉄を利用して追い詰めるが失敗。その後、先行列車との衝突事故に巻き込まれた*3

「アンタも相当なワルだな。CIAの立場利用して、一儲けしようとはよぉ!」


【エンディング】


ホークを退き、ルパン達は財宝の在り処を解読した。
財宝の在り処フランスのノルマンディに所在するルパン家の別荘であったニプル城と判明し、ルパン達はニプル城へと向かった。

ニプル城に到着したルパン達は城の地下で遂に財宝が入った宝箱を発見。そして彼らはワクワクしながら箱を開いた。
しかし、中に入っていたのは……



真空管を使ったラジオと真空管の特許の証書だった……。



不二子「何よ! こんなもの今時何の価値も無いじゃないの!!」



次元「ルパンの祖父さんの時代にはお宝だったんだろうが、まさかトランジスタやICが開発されるとは、思ってなかっただろうよ」



ルパン一世が生きていた時代では確かにこれはお宝だったが、トランジスタやICが制作された現在となっては一文の価値もないガラクタと紙切れとなっていた。
「じいさんらしいぜ」と笑うルパンと次元に対し、不二子は怒り心頭。
そうこうしているうちに、そんなものが財宝とは梅雨知らずの多国籍軍達が攻めてきた。

ルパン、次元、五ェ門、不二子の4人は多国籍軍と戦うも数の差は歴然で、城の中に追い詰められてしまう。
そこで、ルパンは五ェ門にミサイルを三枚におろさせ、そのミサイルを城の最上階に取りつけて、まるでロケットのようにして逃亡した

これで助かったと思いきや、今度は多国籍軍の戦闘機達が現れ、容赦なくミサイル攻撃を仕掛けてくる。
ルパンは奥の手として飛行機能を持たせておいたパッカードを遠隔操縦する…が離陸直後に機能停止してしまう*4

万事休すかと思われた次の瞬間、雲から一機のヘリが現れ、戦闘機を撃墜した。乗ってたのは千恵子と銭形だった。
ルパンは逮捕しようとしてきた千恵子に尋ねた。


ルパン「俺達を捕まえる事が、いい事なのかどうか決めたのか~い?」


千恵子「え!?」


どうしてその事をと言わんばかりに千恵子は驚く。


ルパン「俺と銭形のとっつぁんはライバルだけっどもがな、君とはそうなりたくないんだ」


千恵子「…まさか!あなたが…!?」


ルパン「俺の特技は変装!」


千恵子「じゃ…じゃあ!」


ルパン「君も、自由人になれよ!」


千恵子「ルパン…」


ルパンからそう言われ、千恵子は微笑む。


ルパン「財宝はまだ城にあるって、連絡してくれないか?多国籍軍に!」

そう言うと、千恵子は笑顔で返事を返し、「逮捕だルパン!逮捕ぉ!」と騒ぐ銭形を無視して去っていった。ルパンは投げキッスで彼女に別れを告げた。

これにて今回の騒動は一件落着……


だが、不二子はお宝は結局なかった事に怒り気味。そして、


不二子「あなたのお爺さんを信じたあたしが、バカだったわ…」


ルパン「そりゃ言える!」


不二子「それに……あなたもねっ!!!


そう言い、不二子はルパンにビンタした。と、同時にミサイルの火力が落ち、城は次第に下降し始めていく……


次元「落ちるぞルパン!何とかしろぉ!!」


五ェ門「無常だ……」


あれやこれやと言ってるうちに、城は海へ向けて真っ逆さまに落ちていった。
ルパン達はどうなってしまったのか、それは誰にも分からない……


Fin





【余談】

ルパン帝国の財宝の在り処であったニプル城の「ニプル」という文字は、ルパンの綴りを逆から読んだものである。

本作で千恵子を演じた戸田恵子氏は、後に放送された『愛のダ・カーポ〜FUJIKO'S Unlucky Days〜』でもヒロインであるロザリアを演じた。
ゲストヒロインを2作品演じた役者は現時点で戸田氏と、前作『ヘミングウェイ・ペーパーの謎』のマリアと次作『ロシアより愛をこめて』のジュディを演じた佐々木優子氏、
EPISODE:0 ファーストコンタクト』のエリナと『東方見聞録 〜アナザーページ〜』の博美を演じた朴ロ美氏の3人だけである。

また、マッカラムを演じた大塚氏も次作『ロシアより愛をこめて』ではドンビーノを、『くたばれ!ノストラダムス』ではクリスを、そして『アルカトラズコネクション』ではアンディを演じており、
エリックを演じた速水氏も『ワルサーP38』でジャックを演じた。

お互いの役を知り尽くした山田氏と納谷氏による入れ替わったルパンと銭形は必見。



五ェ門「管理者かWiki篭りか仁義を取るか……仁義抱きましょ!男の追記・修正!!」 













五ェ門「編集させてもらいます!!!」




♪許し合い 分かち合い


分かり合い 信じて


いつの日にも 私


あなたの事 変わらずに


待つわ… 待つわ… 待つわ…


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最終更新:2023年11月19日 19:46

*1 前作、前々作の監督を担当した出崎統氏は多忙のため、監修という立場で参加。

*2 それもあってか、終盤頃には彼もCIAから追われていた

*3 その後、一切登場しない事から、恐らく死亡したと思われる

*4 点火はしたものの、すぐ消えてしまったため、恐らくガス欠だと思われる。