ヤドクガエル

登録日:2022/11/10 Thu 20:11:40
更新日:2025/01/01 Wed 16:02:17
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ヤドクガエル(Dendrobatidae)とは、中南米から南米にかけて生息する猛毒ガエルの総称。


概要

総じて小型で、最大のアイゾメヤドクガエルでも6cm程度。
体色は種によって様々でカラフルな形体を持つ。鮮やかな体色は自身が猛毒を持っているという警告色になっていると考えられている。

主な生息地は低地の熱帯雨林から高山の雲霧林等。
食性は動物食で昆虫類、節足動物等を食べる。
またオタマの段階では何も食べずに成長するものや、メスが産む無精卵という変わったものを食べる種もある。
成体になるとほとんど水に入らず陸で活動する。他の多くのカエルが捕食者を避けるために夜に活動するのに対し、彼らは見つかっても食べられることが基本的にないため昼に活動する。



彼らの最大の特徴は、名前にも示されている猛毒であろう。
その皮膚からはミルク状の毒液を分泌している。これらの毒(成分は後述)を受けると筋肉や神経が収縮し、一瞬にしてに至るとされる。
人間の皮膚に浸透して侵入してくるため、触るだけでも危険。素手で触ってしまった場合は手を十分に洗うこと。万が一、傷口にでも入ればジ・エンドだ。
なお人間の体温はカエルにとって高すぎるため、直に触れるのはカエルにとっても危険。

毒の成分や強弱は種によって様々だが、主要成分はアルカロイド系の神経毒である。
最も強い種が持つバトラコトキシンの場合、生物が持つ毒ではスナギンチャクのパリトキシンに次いで危険とされており、20μgで人間の大人を死に至らしめるという。
他にも、ヒストリオニコトキシン、プミリオトキシン等を持つ種がある。

生息地の住民は、この毒を矢の先端に塗り乾かして、名前の由来である「矢毒」として狩猟に用いていた。
当然ながら、獲物の肉を食べる事は可能。この毒は酸に弱く、胃酸で分解されるらしい。

なお、これらの毒は自ら作り出したものではなく、生息地を同じとするアリやダニを食べて貯蓄もしくは体内で変換している模様。餌の毒を蓄積濃縮するという点ではフグ毒にも似ている。
このため、長期間飼育下にある個体やそこで繁殖したヤドクガエルは毒を持たないとされる。



天敵

とまあこんな超猛毒を持つヤドクガエルだが、そんな彼らにも天敵は存在する。
ノハラツヤヘビ属のヘビは本種の神経毒に耐性があり、彼らにはあっさり捕食されてしまう。日本のヒキガエルとヤマカガシの関係に似ているかもしれない。
他にも、せっかくの毒を搾り取られるどころか狩猟のための武器として利用されてしまうという意味ではヒトも天敵と言えるだろう。



主な種類


イチゴヤドクガエル

学名: Dendrobatespumilio
体長2〜2.5cm。
ヤドクガエルの代表的な存在。名前の通り鮮やかな赤い体色を持つ。
メスはオタマを運んだ水場を巡回して、無精卵を産んでオタマに食物として与えるエッグフィーダーという変わった繁殖形態を持つ。足がジーンズを履いているように見えるのでブルージーンと呼ばれることがある。
毒成分はプミリオトキシンで、この時点でも青酸カリの数倍の強さを持ち、症状として部分麻痺や動作の困難さ、活動過剰などがあり、死に至る場合もある。
だがこれでも後述するモウドクフキヤガエルの足元にも及ばない。
MGS3にもキャプチャー出来る動物の一種として登場するため、本種だけは知ってるというアニヲタ諸兄もいるだろう。敵が食べると即死するが、スネークは食べても触ってもジワジワ体力が減っていくだけで平然と動き回っている。神経毒のはずなのに…


アイゾメヤドクガエル

学名:Dendrobatestinctorius
体長4〜6cmで、ヤドクガエル類では最大。
普通体は黒と黄色の縞模様で、足が藍色だが変異も多く見られる。
大型種のためペットにしやすく、それによる乱獲で生息数が減少している。
基本的にはテラリウムで飼育される。腐葉土やヤシガラ土等の湿度を保つことのできる床材を入れ、地表を苔等で覆うことで彼らにとって快適な空間となる。
餌は主にコオロギやショウジョウバエなどが用いられる。

コバルトヤドクガエル

学名:Dendrobates azureus
体長3~4.5cm。
全身が美しいコバルトブルーで、最も美しいカエルの一つ。
他のヤドクガエルと同じく、オスは卵から孵ったおたまじゃくしを背中に乗せ、アナナスという植物の葉の中心に溜まった水に放つ。

モウドクフキヤガエル

学名:Phyllobates terribilis
体長5〜6cm。コロンビアの固有種。
体色は黄色一色で、あまりにもストレートな名前が物語るように、全生物でも五本の指に入るほどの最強クラスの猛毒、バトラコトキシンを持ち、マウスへの皮下注射でのLD50値だとフグ毒が11.5μg/kgだが、バトラコトキシンは2μg/kgなので約5〜6倍の強さを持つ。
サスペンス系で有名な青酸カリと比較すると4800倍
摂取すると神経細胞や筋細胞の正常な反応を阻害し、筋肉を収縮させ、心不全や心室細動などが生じ死に至る。
体重5gほどの個体1匹でマウスなら2万匹、人間なら7〜8人、なら1〜2頭死ぬと言われている。
開発により個体数が激減し、絶滅が心配されているためワシントン条約締結後はコロンビアから日本に輸出された例はなく、飼育下で繁殖させた個体が少数流通している程度である。
また数少ない毒鳥であるピトフーイも羽根の表面にホモバトラコトキシンという近縁の神経毒を持つ。

ヒイロフキヤガエル

学名:Phyllobatesbicolor
体長3.2〜4.3cm。コロンビアのry。
こちらもモウドクフキヤガエルと同じバトラコトキシンを持っていることがある。
体は黄色から緋色で、前脚のひじから先と後ろ足が藍色という体色を持つ。

学名:Phyllobates aurot aenia
体長3.2〜5.2cm。コロンビアry。
体が黒で、背中の両側に黄色やオレンジ色の帯がある。太さや大きさには個体差がある。
こちらもバトラコトキシンを持つことがある。

ベニモンヤドクガエル

学名: Dendrobates histrionicus
体長2.5〜3.8cm。
体が黒色で黄色や赤、オレンジや白など多種多様な派手な斑点を持ち、別名ハイユウヤドクガエルとも呼ばれる。


関連キャラクター

天候を操るスタンド能力の持ち主。
窮地に陥った空条徐倫を救うため、その力でファフロツキーズ現象を再現し、グリーン・ドルフィン・ストリート刑務所の中庭全域に無数のコバルトヤドクガエルを降らせたことがある。
落下の衝撃で毒液が飛散するため、中庭周辺は大混乱に陥り、徐倫を襲った看守は顔や上半身が爛れて死亡。
徐倫も毒液の餌食になりかけたが、機転を利かせて乗り切った。

生後間もない頃を描いた番外編において、範馬勇次郎「生涯最初の獲物」となった。

コバルトヤドクガエルをモチーフとした狙撃オペレーター。フードを被った物静かなボウガン使い。
ヤドクガエルなだけあって、自身が調合した様々な毒薬をボルトに装填して撃ち出す戦法で戦う。
アズリウスの名はそのままコバルトヤドクガエルの学名「Dendrobates tinctorius azureus」が由来で、英語名の「Blue Poison」も同カエルの別名である「ブルーポイズンダートフロッグ(Blue poison dart frog)」から来ている。
デザイン面から青いフードと桃色の髪でカエルの頭と口をイメージしていたり、瞳孔がカエルのような横割れだったり、首筋にコバルトヤドクガエルに似た模様があったりと随所に元ネタの要素が含まれる。

どことなくふてぶてしい顔つきのカエル型ポケモンであり、タケシのナンパ制止役の3代目。
もちろんだがタイプはどく(とかくとう)タイプ。
ヤンキー座りとサラシを巻いたようなデザインからヤンキーや半グレをモチーフとしているようで、名前の由来も「グレる+フロッグ」から。
指先や口から毒を分泌する能力を持ち、獲物や天敵には毒を帯びた指を用いた素早い貫手による「どくづき」で攻撃する。

M.O.手術(モザイク・オーガン・オペレーション)によりヤドクガエルの能力を持つ……が、漫画本編では能力を発揮することなく死亡退場。
外伝小説『テラフォーマーズ THE OUTER MISSION 3 ザ・パートナー』ではその能力を発揮する機会が描かれ、その猛毒の威力でテラフォーマーを悶絶させる活躍を見せた。
人為変態すると、舌や手がヤドクガエルのそれに変化する。

魔法少女である陽夏木ミカンの案内人で、頭からミカンのヘタが生えているオレンジ色のモウドクフキヤガエル。
見た目は可愛いマスコットだが、皮膚から致死性の猛毒を分泌しているため、相方のミカンですら直接触る事が出来ない。
戦闘時は矢じりに変身して戦いに参加するらしい。

デストロン(プレダコンズ)に所属する、青とオレンジのヤドクガエルに変身する奇襲攻撃兵。
ロボットモードは極端な短足の上にビーストモードの後ろ足が腕になる為、身長に匹敵する長い腕を持つというアンバランスで不気味な姿となる。
全身に猛毒を持ち、大ジャンプしてのヘッドバットと毒まみれの舌によるアクロバット攻撃を得意とする。
卑劣で陰湿な性格だが、唯一メガトロンには絶対の忠誠を誓っている。
後にトランスメタルス2の姿にパワーアップ。(正確にはギリギリ明言はされていないが、ほぼ間違いなく同一人物)
こちらもフランケンシュタインを思わせる左右非対称な姿な上に、デフォルトで猫背で左肩(ビーストモードの背中)に第3の腕を持つという不気味なデザイン。
恐らくは世界で唯一、そして今後も現れないであろう、ヤドクガエルをモチーフとしたトランスフォーマー。
アニメ本編には登場しない玩具オリジナルキャラクターだが、日本ではリカラーとしてアマガエルの配色にしたサイバトロン所属のダイバー、トランスメタルス2版を赤くした同じくデストロン(デストロンガー)所属のグッシャーとして販売した。


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最終更新:2025年01月01日 16:02