魔導サイエンティスト

登録日:2012/06/09(土) 18:48:54
更新日:2025/04/01 Tue 20:55:43
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「「デュエル!!」」




「俺のターン!サレンダー!」




「ボクのデッキは【デミスボンバー】。対して君のデッキは【サイエンカタパ】。これで勝てっていうのかい?」




「そして《The big SATURN》オイオイ…これじゃMeの負けじゃないか…」



「効果もない融合モンスターで俺とデュエルだとお?」


「デッキは【サイエンカタパ】だ」


※デミスボンバーの部分以外大体実話です。

《魔導サイエンティスト》とは遊戯王OCGの一枚であり、『黒魔導の覇者』で初登場。
遊戯王史上最速の勝利を可能にした禁止カードである。
ワンターンキルなど珍しくもなくなった今を持って、超えることの出来ない速さでライフを削り切る脅威のコンボ、【サイエンカタパ】の核であり、数々の伝説を残したカードである。

名前の由来は言うまでもなくマッドサイエンティスト(Mad Scientist)から。


【テキスト】

効果モンスター
☆1/闇属性/魔法使い族/攻300/守300
1000ライフポイントを払う事で、融合デッキからレベル6以下の融合モンスター1体を特殊召喚する。
この融合モンスターは相手プレイヤーに直接攻撃することはできず、ターン終了時にデッキに戻る。

一見すると《デビル・フランケン》のサイズダウン版っぽく見えるが……

申し訳程度に直接攻撃不可、ターン終了時にデッキに戻る制約こそあれど、なぜか肝心要の発動ライフコストがたったの1000ぽっちしかない上に回数制限がないため、一度に攻撃力2000越えの強力な効果モンスター4体を場に並べられた。
当時攻撃力4500の《青眼の究極竜》1体+《デビル・フランケン》(攻撃力700)に対して、こちらは直接攻撃こそできないが8000+αの総攻撃力を出せる。

さらに出せるモンスターの中に
  • 通常トラップを無効化する《ドラゴン・ウォリアー》
  • リバースモンスターの効果を封じる《デス・デーモン・ドラゴン》
と言った当時としては最高クラスの制圧モンスターもいたためこの大量展開、及び総攻撃を防ぐ手段は限られていた。
特に《魂を削る死霊》を筆頭に戦闘破壊されないモンスターが現役だったこともあり迂闊に攻撃表示で相手ターンに渡したり、《強制転移》で送りつけられるようものなら戦闘バーンによる即死も普通だった。

本体自体もレベル、種族、属性、ステータス全ておいてサーチも展開手段も恵まれたモンスターであり、召喚手段は豊富にある。
仮に2000相当の攻撃力で対処できない状況でも《サウザンド・アイズ・サクリファイス》を始め出て来るだけで厄介なモンスターや、《黒炎の騎士-ブラック・フレア・ナイト-》自爆特攻からの《幻影の騎士-ミラージュ・ナイト-》大量展開など多くのコンボを生み出し重宝された。
当時は禁止カードがなかったため必要な時に直ぐにサーチする手段も多く、あの《黒き森のウィッチ》や《遺言状》などで呼び出された。


かくしてことあるごとに呼び出されて盤面返し&大量ビートバーンをぶちかます、
最強の全体除去兼ビートダウンというカオスも引くようなマッドな強さで暴れた。


ちなみに同パックで禁止化の経験がある同期はあの《魔導戦士 ブレイカー》。
当然強力なEXモンスターはおろかカオスも当初はおらず、さらにニュートといった除去や展開補助としてではなく、単純にビートダウンが優秀なモンスターすら規制された時期であることを考えればどれだけオーパーツかはわかるはず。
その後登場するカオスでも闇属性のコストを兼ねた必須枠の1枚だった等悪行の限りを重ねた結果、03/10/15で制限カードに指定され、05/03/01を以て禁止カードになった。


そのうち最強の全体除去兼ビートダウンという枠すら超越し、デッキに戻る前に使い、マッドなアド生成力を100%生かして速攻で勝利するという今となっては決闘の基本概念が生まれ始め、【サイエンカタパ】を誕生させた。


【サイエンカタパ】

《魔導サイエンティスト》で呼び出したモンスターを《カタパルト・タートル》で射出するバーンデッキ。
まず間違いなく遊戯王史上最速のワンターンキルコンボで、その速さたるや先攻1ターン目で勝利するのも珍しくなかったほど。
しかもこれだけの速さでありながらサイエンカタパは、相手のライフを全て削り切る。

ドクマブレード】や【デミスボンバー】など相手のターンを必要とせず、戦闘ダメージも計算に入れないため、当時としては驚異的な速度のコンボデッキだった。
使用するカードの枚数から考えても、当時でこれを超えられる速さの勝利は「初手でエクゾディアパーツを5種類揃えること」くらいだろう。

その主要カードはなんと2枚。
  • 魔導サイエンティスト
  • カタパルト・タートル
だけである。
あとは攻撃力の高い融合モンスターを召喚しては《カタパルト・タートル》で発射するだけ。2体を並べるのに準備は必要だが、並んでしまえばもはや止めることが出来ない状態だった。まさに“マッド”(狂った)な強さを誇るサイエンティストである。
その強力さはカオスが存在していた当時でも、世界大会選考会で上位出場者全員が【サイエンカタパ】だったことからも分かるだろう。
また、今まで見向きもされなかった効果のない融合モンスターが高騰するなど、このカードが決闘に与えた影響は計り知れない。

タッグフォースシリーズにて禁止・制限解除が実装されたため簡単に当時の状況を再現できるようになり、
更に現在では、CPU相手なら禁止・制限ルール不要だろ?理論がデフォ環境というマッド御用達のレガシー・オブ・ザ・デュエリストもある。
興味のある方は一度試してみると面白いかもしれない。当時より強くなっているから。

まぁ、そのタッグフォースのリストでも公式配信もされた『ドローするだけのデッキ』という驚異の先攻ワンキルデッキがあったのだが。


【禁止となった現在】

今でこそ《カタパルト・タートル》がエラッタにより弱体化(のちに禁止)し、S・Xモンスターのインフレや、L召喚の実装により規制緩和が一部でささやかれたこともあるが、現在のカードプールでは代価になりうる1キル&先攻制圧コンボはいくらでも作れる。
環境のインフレにともない単純に融合モンスター4枚を並べる布陣は高い制圧力を誇るとは言えなくなったものの、その分をリンクとエクシーズによりカバー……を通り越してより凶悪な布陣を築けるようになっため申し訳程度の制約すら事実上消滅してしまっている。

そもそもこれ1枚だけで最大7枚分のモンスターの生成+墓地肥やしが可能な上に、優れたステータスによりサーチから再利用まで容易という時点で「壊れ」に相当する。
世紀末的評価を得て禁止になった《BF-朧影のゴウフウ》や《ダンディライオン》も真っ青のアドバンテージ生成能力を持つ時点で登場時、そして現在でも完全にオーバースペック。
さらには《旧神ノーデン》という最恐の相方まで獲得する始末。
今では融合モンスターの種類が増えた事もあり、チューナーすら用意可能な、1枚だけで始動可能な凶悪1キルコンボカードに成長しているためエラッタなしの釈放は絶望的だろう。

なお、「1ターンに1度とエラッタされれば釈放されるのでは?」と思われがちだが、それだけだと別の方法で悪用されかねないため《混沌帝龍-終焉の使者-》のように「特殊召喚したモンスターの攻撃・効果使用・素材としての利用不可」または「この効果を発動するターンは他の効果を一切発動できない」くらいの制約はないと釈放されないだろう。


【アニメでの活躍】

アニメではGXに登場。
なんとあのヘルカイザー誕生回であり、カイザーがヘルカイザーになる前に最後に戦ったモンスターである。
ダイレクトアタックでカイザーに勝利したが、攻撃シーンが露出狂だったり、技名がミドルエイジスウェット(直訳して:中年の汗)だったりネタまみれだった。
つまるところは、カイザーの没落ぶりを強調するためのチョイスになる。


【他のカードイラスト】

強制退出装置》のイラストでは、カード未登場の研究者と共に全力疾走している。
このイラストからも分かるように、彼らも《コザッキー》と共にコアキメイルの共同開発者(研究者?)である。
また、効果の類似点が見られる《簡易融合》との関連が疑われていたが、後に登場した調整版の《簡素融合》のレトルトカレーを模したイラストには堂々彼のサムズアップ付きの笑顔が載せられている。
更に《融合複製》では上記のカップ麺やレトルトカレーの生産装置のスイッチを満面の笑みで押している。やはり開発者は彼だったようだ。
他にも《DNA定期検診》では自分が定期検診を受ける側になっていたり。OCG界屈指の極悪囚人だが、一方で妙にコミカルな扱いをされることが多いようだ。


追記修正は先攻1ターンでお願いします。

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最終更新:2025年04月01日 20:55