魔導戦士 ブレイカー

登録日:2010/09/02 Thu 21:14:20
更新日:2025/03/28 Fri 14:32:13
所要時間:約 5 分で読めます




《魔導戦士 ブレイカー》とは、遊戯王OCGに存在するカードの1つである。

効果モンスター
星4/闇属性/魔法使い族/攻1600/守1000
(1):このカードが召喚した場合に発動する。
このカードに魔力カウンターを1つ置く(最大1つまで)。
(2):このカードの攻撃力は、このカードの魔力カウンターの数×300アップする。
(3):このカードの魔力カウンターを1つ取り除き、フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊する。


【概要】

2002年9月19日発売、第3期3番目のパックである「黒魔導の覇者」にてウルトラレアで登場した効果モンスター。
共にパックに描かれている《カオス・マジシャン》とは対になっているが、ぶっちゃけ同じ魔法使い族であることと見た目が似ている点を除けば、特に関連し合う点はない。

登場から第5期後半までの環境で非常に高い採用率を誇り、過去に二度、禁止カード制限カードを行き来した経験を持つが、現在は無制限である。
その経歴から、遊戯王OCGにおける「昔は強かった」と言われるカードの代表格であり、かつての環境の変化の凄まじさを示す例の1つでもある。

【効果】

召喚時に自身に魔力カウンターを1つ乗せ、それがある限り攻撃力が300上昇する。
また、それを取り除くことで任意の魔法・罠1枚を破壊できる。謂わば《サイクロン》を内蔵したアタッカーである。
そのままなら攻撃力1900の下級モンスター、魔力カウンターを外せば伏せ除去ができるため、非常に使いやすい。素の攻撃力は1600と中途半端な数値だが、リクルーターや《異次元の女戦士》に打ち勝てる程度はある。

このカードの強みは、相手の魔法・罠1枚を破壊したうえで場に攻撃力1600のモンスターが残る点。つまり相手に対して一方的にカード1枚分の差をつけることができる
当時は1枚1枚のアドバンテージの取り合いが非常に重視されていたため、出すだけでアドバンテージを得られるこいつの強さは破格であった。
古のカードであるため、効果に名称ターン1なんてものは当然なく、魔力カウンターを新たに乗せたり肩代わりしたりする手段があれば、何度でも除去効果を使える。

効果に加えて、このカードは属性、種族、ステータスも優秀であった。
闇属性ゆえに「カオス」の除外コストとして再利用可能。こいつがやられたら《カオス・ソルジャー -開闢の使者-》《混沌帝龍-終焉の使者-》《カオス・ソーサラー》が出てくるのはよくあることだった。
魔法使い族ゆえに《ディメンション・マジック》の発動条件を満たし、守備力1000ゆえに《黒き森のウィッチ》でサーチできるなど、とにかく使い勝手がよい。
《魔法族の里》にも容易に対処可能。効果で《魔法族の里》を破壊できる他、除去効果持ちの魔法や高い攻撃力で相手の魔法使い族モンスターを殲滅すれば、逆に相手にロックをかけることも可能。

注意点として、魔力カウンターを乗せるのは「召喚に成功した場合」の効果なので、特殊召喚してもカウンターは乗らず、自己強化も除去もできない
再利用を狙う場合、墓地から直接蘇生せず、《死者転生》などで手札に回収してから召喚するなどの一手間が必要となる。

また、第7期途中の「マスタールール2」適用以前までの話ではあるが、《奈落の落とし穴》などによる着地狩りに対処できないという弱点を抱えていた。
マスタールール2以前は起動効果と優先権に関するルールが現代と異なり、召喚・特殊召喚の直後、そのモンスターの起動効果を即座に発動することができた。
これを活かし、全体除去効果を持つ《裁きの龍》や、魔法・罠のチェーンができない起動効果を持つ《神炎皇ウリア》などは、出すだけで最低限の仕事ができたのである。
が、このカードや《アーカナイト・マジシャン》など、召喚時にカウンターを乗せる処理が挟まるカードは話が別。
カウンターを乗せる効果に罠をチェーンされ、そのまま破壊されてしまっていた。

【歴史】

登場以降多くのデッキに採用され、初心者から上級者まで多くのプレイヤーに愛された。
その結果、登場から半年も経たない2003年3月1日に制限、2007年3月1日には禁止カードとなり、以後半年毎に制限と禁止を行き来した。
その汎用性が当時基準で如何に破格なものであったかを物語っていると言えよう。

しかし、時代が進むにつれて、その活躍にも翳りが見えてきた。
第5期後半に入ると【剣闘獣】【ライトロード】などのテーマデッキが台頭し、環境が高速化。
さらに第6期に入るとシンクロ召喚が登場。《レスキューキャット》や《ジャンク・シンクロン》を活用し、以前では考えられないスピードでモンスターを並べる戦術が主流となった。
そのような環境においては、召喚権を使って魔法・罠1枚を破壊するだけというのは物足りず、《魔導戦士 ブレイカー》の採用率は減少していった。
上記の通り、制限→禁止→制限→禁止→制限、と頻繁に規制状況が変わっていった彼だが、第6期の半ばである2009年9月1日に無制限カードへと緩和。以後は普通のカードの1つとして落ち着いたのだった。

かつては希少だったバック除去の手段は年々増えており、特に一度に複数枚の破壊を狙えるものは、制限カードの《大嵐》《ハーピィの羽根帚》をはじめ、《ツインツイスター》《ライトニング・ストーム》などが存在している。
それらもサイドデッキでの採用が目立つことから、「環境の第一線で戦う」という点ではさすがに厳しいものがあるだろう。

下級魔法使い族という括りで見れば、単体での汎用性は依然として高め。
属性面でも【ブラック・マジシャン】や【シャドール】等とサポートを共有できるので、闇属性サポートを主軸とした【魔法使い族】でなら採用も視野に入るか。


【アニメでの活躍】

このカードは非OCGプレイヤーにもそれなりに知られている。
アニメでの登場はOCGでの登場から一年近く経過したドーマ編。第162話での遊戯VS羽蛾戦である。

列車の上でのデュエル。遊戯は羽蛾を舐めてかかるも《DNA改造手術》と《虫除けバリアー》のコンボで攻撃を封じられる。その後《毒蝶-ポイズン・バタフライ》の効果でじわじわとLPを減らされ、遂には打つ手がなければそのターンの終了時に敗北が待つ状態となった。

そんな場面でこのカードの効果を発動。《虫除けバリアー》を破壊し反撃開始。
《毒蝶-ポイズン・バタフライ》の攻撃も合わせて羽蛾にダメージを与えるのだが、LPはまだ2200残っている。

羽蛾が勝利を確信したその時……

「速攻魔法発動!
 狂戦士の魂(バーサーカーソウル)!」

何を隠そう《魔導戦士 ブレイカー》は「ずっと俺のターン!!」状態で羽蛾をメッタ斬りにしたモンスターなのである

元々の攻撃力は1600である《魔導戦士 ブレイカー》だが、羽蛾の《むしばみ》で攻撃力が下げられたのを逆利用して発動に繋げており、怒りに燃えながらも冷静に戦略を組み立てていたことがうかがえる。

《狂戦士の魂》に引っ張られる形ではあったが《魔導戦士 ブレイカー》は強烈なネタを遊戯王史に残したのである。

なお、《魔導戦士 ブレイカー》がアニメでデュエルで使用されたのはこの一度きりである(カードとしては何度か登場)。


余談だが《狂戦士の魂》は長らくOCG化されず、PSP用ゲームソフト「タッグフォースシリーズ」でのみ使用できる状態であった。

発動条件は「攻撃力1500以下のモンスターが“ダイレクトアタック”に成功した時に発動」。
処理を簡単にするため「追加攻撃」ではなく、「指定したモンスターの攻撃力分のバーンダメージ」に変更されている。

繰り返しになるが《魔導戦士 ブレイカー》の素の攻撃力は1600なので、そのままでは《狂戦士の魂》には対応しない。よって他のカードで攻撃力を調整する必要がある。

それでも大まかな効果は反映されているので、このシーンを再現してみたい人は一度手を出してみるのも良いだろう。

そして2014年5月、遂にOCG化する事となった。詳細は狂戦士の方の項目で。
夢の無い話だが、タッグフォースで《狂戦士の魂》を使いたいならヤリザ殿を使った方が早い。

【派生カード】

一時代を築いたカードであるためか、以下の派生モンスターが登場している。

  • 《黒魔導戦士 ブレイカー》
効果モンスター
星6/闇属性/魔法使い族/攻1600/守1000
「黒魔導戦士 ブレイカー」の(4)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが召喚に成功した場合に発動する。このカードに魔力カウンターを2つ置く。
(2):このカードがP召喚に成功した場合に発動する。このカードに魔力カウンターを3つ置く。
(3):このカードの攻撃力は、このカードの魔力カウンターの数×400アップする。
(4):このカードの魔力カウンターを1つ取り除き、フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊する。

第9期第1弾のパック「ザ・デュエリスト・アドベント」で登場したモンスター。
赤と金を基調とした武具に身を包んでいた《魔導戦士 ブレイカー》と異なり、暗色の装備を纏っている。
レベル以外のステータスはそのままだが、自力で乗せられる魔力カウンターの個数と、攻撃力上昇の倍率が増加した。
召喚成功時に2つ、P召喚時に3つの魔力カウンターが得られるため、攻撃力は最大2800とに並ぶ。
除去効果は1ターンに1度だけなので、《魔導戦士 ブレイカー》のように《魔法都市エンディミオン》を使っての連続除去はできないが、除去をしつつも攻撃力を維持しやすいということでもある。
また、召喚であればアドバンス召喚である必要はないため、リリースなしでの召喚でも魔力カウンターは乗る。

ちなみに、上記の縁深いカードである《狂戦士の魂》とはOCGでの登場時期が約1か月違いと、ほぼ同じである。

  • 魔導耀士(まどうきし) デイブレイカー》
リンク・効果モンスター
◤ ▲ ◥
◀   ▶
リンク2/光属性/魔法使い族/攻1600
【リンクマーカー:左下/右下】
魔法使い族モンスター2体
このカード名の(2)(4)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがリンク召喚に成功した場合に発動する。このカードに魔力カウンターを1つ置く。
(2):このカードのリンク先に魔法使い族モンスターが特殊召喚された場合に発動する。このカードに魔力カウンターを1つ置く。
(3):このカードの攻撃力は、このカードの魔力カウンターの数×300アップする。
(4):このカードの魔力カウンターを2つ取り除き、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊する。

2019年3月9日発売の「ストラクチャーデッキR - ロード・オブ・マジシャン -」で登場した、リンクモンスターとしてリメイクされた《魔導戦士 ブレイカー》。
鎧は白と金を基調としたものになっており、属性も地味に光属性になっている。
召喚時に置ける魔力カウンターは1つだけだが、リンク先に魔法使い族を特殊召喚することで個数を増やせる。自己強化も健在で、2つ乗せれば2200というリンク2でも上位の火力を出せる。
除去効果は必要なカウンター数が2つに増えたものの、モンスターも対象にできるようになり、活躍の幅が広がった。

魔力カウンターの補充効果にも名称ターン1がついているので、自分の効果のみで除去効果を発動しようとすると、1度発動した後はターンを跨がなければ再発動できない。
マーカーの向きの都合上、エクストラモンスターゾーンにいなければほぼ無力となるため、帰還時にメインモンスターゾーンに戻される一時的な除外にも弱い。
維持を狙うより、手早くカウンターを乗せて除去を行い、除去・妨害効果を持つ別のLモンスターの素材にする方が良いか。



このカードの魔力カウンターを1つ取り除き、このサイトの項目一つを対象として発動できる。その項目を追記・修正する。

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最終更新:2025年03月28日 14:32