サイクロンジョーカー(仮面ライダーW)

登録日:2024/11/18 Mon 17:36:03
更新日:2025/06/30 Mon 23:39:00
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緑のライダー?



黒の……ライダー?



黒?……緑だろ。





どっちもだ。




サイクロンジョーカーとは、仮面ライダーWのフォームの一つ。変身者は左翔太郎フィリップ


デー

【身長】 195cm
【体重】 85kg
【パンチ力】 2.5t
【キック力】 6t
【ジャンプ力】 ひと跳び60m
【走力】100mを5.2秒
【マキシマムドライブ】


疾風の記憶を持つサイクロンメモリと切り札の記憶を持つジョーカーメモリを使用して変身する、いわゆる基本フォーム。
W専用ガイアメモリの中で翔太郎と相性のいいジョーカーとフィリップと相性のいいサイクロンの組み合わせのため、ダブルの中で最も適合率の高いフォーム。
右半身が黄緑、左半身が黒でカラーリングが左右でまったく違う奇抜なデザインをしているが、よくよく見ると「赤い複眼」「たなびくマフラー」「額のシグナル」「風をエネルギーにして戦う」と、初代仮面ライダーのオマージュが盛り込まれた姿でもある。

ダブルのフォームの中では最もスピードに優れるフォームで、シンプルが故の弱点の無さが強み。
戦闘ではサイクロンの力で風を纏ってジョーカーの格闘能力をアシストする格闘戦を得意とする。
ヒートジョーカーパンチ主体の戦法をとるのに対し、こちらはキック主体の戦い方をする。

本編での初変身時には変身の余波で風都タワーの風車が逆回転するほどの突風を巻き起こしているが、基本的に戦闘において風を武器にすることは無く、風の力で動きを加速させるぐらいしか使わない。
ただゲーム作品やダブルの力を持ったライダー・怪人はちょくちょく風を使った攻撃をしているので、使わないだけで使おうと思えば使えると思われる。

また、サイクロンサイドには風のエネルギーを吸収することでスタミナを回復させる機能があるが、回復量はかなり微弱らしく小説版でフィリップがやっと気付くほど*1
フィリップが気付いたのも仮面ライダーサイクロンに変身したことでサイクロンメモリ単体での回復能力を体感したからというのが大きい。


マキシマムドライブ

  • ジョーカーエクストリーム
マキシマムスロットにジョーカーメモリを挿入しマキシマムドライブを起動する事で発動。

旋風を纏いつつ空中へと浮かび上がり、中心のラインから身体を分割して右半身と左半身が連続でキックを叩き込む。
人間が何の脈絡もなしに真っ二つになるので初見だとちょっとビビる。
「風都探偵」では左右から挟み撃ちの形で放つ応用技も披露した。

左右に分かれてキックする理由は「風都探偵」で明かされており、エネルギーを2つに分けて叩き込むことでガイアメモリだけを破壊しているとのこと。
この技術をフィリップが編み出すまではダブルはメモリブレイクができず、ドーパントとなった人間を殺してしまっていた。

ダブルの代表的な必殺技であり、ダブルのライダーキックとして客演でも度々披露している。

これまでのキック必殺技としては「ライダーの体が真っ二つに割れる」というインパクトが当時としてはあまりにもキワモノだったため、W放映開始当初は後述のジョーカーサイクロンキックの方が「必殺技としては真っ当でカッコイイ」という声もちらほらあった。
もっとも程なくして馴染んだが。慣れってすげぇ。

  • ジョーカースパイラル
マキシマムスロットにサイクロンメモリを挿入しマキシマムドライブを起動する事で発動。

ドリルのように回転する竜巻を腕に纏わせて放つ貫手(手刀)。
ジョーカーメモリを使用していないからか身体を分割する必要がなく、敵に密着された状態でもゼロ距離で放つことができる。
貫通力に優れ、クエスト・ドーパントに使用した際は顔面を貫いたほど。よく死ななかったなあいつ……

「風都探偵」で初めて披露した必殺技。基本的にダブルの必殺技は翔太郎が命名するが、これは珍しくフィリップが命名している。
というのもこの技は翔太郎が気絶した際にフィリップが右半身だけ動かして咄嗟に発動したもので、その時にフィリップが「翔太郎ならこう名付けただろう」とそのまま命名した。

ちなみにサイクロンメモリによる本形態のマキシマムドライブ自体は『MOVIE大戦アルティメイタム』のディレクターズカット版で召喚されたダブルが初使用している。
こちらは緑色の旋風を纏いながら体を回転させ、連続で回し蹴りを叩き込むというものだった。

  • ジョーカーサイクロンキック
マキシマムスロットにジョーカーメモリを挿入しマキシマムドライブを起動する事で発動。
映像作品ではなく、仮面ライダーバトル ガンバライドが初出の必殺技。
後のロストヒーローズでも採用されており、知名度はそこそこ。

風を纏って上昇するまではジョーカーエクストリームと同じだが、そこからダブル自身がきりもみ回転しながら急降下し、相手の直前で急制動を掛けた後にライダーキックを放つ…というのが一連の流れ。

ディケイドが放映中の6弾から先行参戦したこともあってか「オーソドックスなキック必殺技」といった趣。
ジョーカーエクストリームが定着した後でも「これはこれでアリ」という声も根強い。

  • エターナルレクイエム
マキシマムスロットにエターナルメモリを挿入しマキシマムドライブを起動する事で発動。
ゲーム「KAMEN RIDER memory of heroez」で使用した技。

仮面ライダーエターナルVシネマで披露したエターナルレクイエムと同じく、青い炎を纏ったキックを放つ。
T2以外のあらゆるメモリを機能停止させた向こうと違ってこちらは攻撃した相手のメモリにのみ作用し、その能力を封じる程度に留まる。
あらゆる攻撃が通用しないゼウス・ドーパントに対してガイアメモリそのものを無効化する力でその能力を封じた。
キックの動きもエターナルが披露したライダーキックと同じ動作であり、作中でも屈指の名シーンなのでぜひ見てほしい。


劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー

TV本編に先立って先行登場。冒頭の台詞はディケイドシャドームーンがそれぞれ左右からダブルを見た時の台詞。
今でこそ恒例行事になった夏映画での先行登場の魁。ハーフチェンジも披露した。
クウガライジングアルティメットとディケイドコンプリートフォームを一蹴するシャドームーンを一蹴するダブル…と強さ比較の混乱の元。
流石に後の先行登場では倒す相手の格も自重されるようになった。


「仮面ライダーW」

第一話で最初に変身したフォームでもあり、ルナジョーカーへのメモリチェンジもフィリップが勝手に披露した後このフォームに戻り鮮やかな初白星を挙げた。
パワーと防御力を兼ね備えたメタル、銃による遠距離攻撃ができるトリガーと比べると火力不足なところがあるものの、基本フォームということもあって見せ場も多い。

ただ出番の多さのせいかギャグに巻き込まれることも多く、特にナイトメア・ドーパント戦ではそれが顕著。
翔太郎の時代劇風の夢の中では「疾風」「切札」と書かれた木の板で変身し、変身音が和風になり顔に歌舞伎の隈取が浮かび上がるなど和風ナイズされていた。
また、鳴海亜樹子の夢の中では亜樹子が翔太郎を巻き込んで「なにわの美少女仮面」という形で変身したことも。

このフォームで倒したのは、マグマ、アノマロカリス(1体目)、ライアー、エナジー


仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010

翔太郎とフィリップが初めてダブルに変身した際のフォームがサイクロンジョーカーだった。
タブー・ドーパントのエネルギー弾を弾き飛ばし、さらに変身の余波で起きた風でヘリコプター一機を撃墜するというド派手な変身だったが、その後すぐにファングジョーカーへとフォームチェンジしてしまった。


仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ

全体的に出番は多いがほとんどの戦いでトリを他のフォームに譲ってしまっている。
冒頭のアイスエイジ・ドーパントとバイオレンス・ドーパントとの戦いでは最初こそサイクロンジョーカーに変身したもののすぐにヒートに切り替え、トドメはルナジョーカーが決めている。
エターナルとの最終決戦では戦闘開始直後にルナ・ドーパントに乱入されて中断。
オーズの助太刀を受けてエターナルの下へ向かった時にはサイクロンメタルに変わってしまっていた。

ただ、ヒート・ドーパント戦ではルナ・ドーパントが生み出したマスカレイドを相手にハードボイルダーでカーチェイスするシーンがあり、かなりカッコいいので必見。


仮面ライダー×仮面ライダー オーズ&ダブル feat.スカル MOVIE大戦CORE

『W』パートの『仮面ライダースカル メッセージforダブル』冒頭からサイクロンジョーカーへ変身するが、秒速でヒートジョーカーにフォームチェンジしてしまった。
その後は鳴海荘吉の過去回想だったため、サイクロンジョーカー以前にWの出番が少ない。
しかも最終決戦では仮面ライダーコアのかませになった後、エクストリームに出番を譲って出番終了。

サイクロンジョーカーが不遇というか、W本人の出番がかなり少ないので相対的に出番自体はあったサイクロンジョーカーは恵まれていると言える。


オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー

仮面ライダーの記憶が呼び戻った後、風都にて風麺のおっちゃんを助けた翔太郎&フィリップがサイクロンジョーカーに変身。
いつものように「さあ、お前の罪を数えろ!」と名乗りを上げた後、ライダー全員集合の場面に駆け付けた。


風都探偵

TV本編の正当続編ということもあり、こちらも初めて変身したフォームがサイクロンジョーカーだった。

ジョーカーメモリが頻繁にフィーチャーされるため出番はかなり多く、上記の通りジョーカースパイラルという新必殺技も披露している。
本作の新たな敵である「裏風都」の首魁、万灯雪侍は基本フォームがサイクロンジョーカーだったからこそダブルはこれまでの戦いに勝利し、エクストリームに至ることができたと分析している。

このフォームで倒したのは、ロード(1体目)、バイオレンス(×4)、クエスト。


デザイン

前作『ディケイド』が10周年を記念した作品ということもあり、新たな10年のスタートを切る作品として早瀬マサト氏や田嶋秀樹氏らデザイン関係者はシンプルさ・初代への回帰を提案。
マフラー・今まで主役ライダーへの採用が減っていた触角を再登場させつつ、あえて派生フォームもシルエットが変わらないシンプルな姿を目指した。

実際のデザインを担当した小林大祐氏は、当初マフラーに「昭和ライダーっぽい」「今の子供たちはカッコ悪いと思うんじゃないか」と反対だったが塚田英明Pらの意思に根負け。
その後OPの後ろ姿やバイクでたなびくかっこいい姿を見て気持ちが変わり、後に仮面ライダースカルデザインの際には自分からマフラーをつけることに。

小型ガジェットを挿す炎神ソウルの成功例に倣い、ベルトにガジェット2本挿しのキャラ→左右2色のライダー、と企画が徐々に決まっていったダブルだったが、塚田Pは新1号ということで「」という組み合わせを提案。
小林大祐氏は「緑はメインの色ではない。メジャーな赤と黒がいいのではないか」と当初反対したが、塚田Pの「やったことがないならやろう」と押し切られた。

塚田Pとしては初代仮面ライダークウガのようなクラッシャー(口)をほしがったが、小林大祐氏はそれでは従来の仮面ライダーと同じ顔になってしまうため、全身にクラッシャーをモチーフとした「W」の模様をつけ、目が大きめのあの顔となった。

胴体部分の固有模様は、サイクロン側はエアダクト、ジョーカー側はトライバル模様のイメージ。

そして初めて姿が発表された際には、バーコードなディケイドに続き、今度は左右できっぱり分かれた奇抜なデザインに賛否の声が上がったが、その後フルーツを鎧にした武者ライダーだの全身ピンクで瞳のあるライダーだの顔面に「ライダー」と書いてあるライダーだの奇抜どころではないライダーが次々登場し、今では相対的に地味なポジションに収まっている。慣れって恐ろしい


放映当時には、ダブルを実際に半分こにしつつ左右に付け替えられるWFCシリーズ玩具が発売。
バンダイ玩具企画開発室のリーダーを務めた高橋秀行氏は、「玩具とはいえライダーが半分に割れていいのだろうか」と思っていた所、1話でサイクロンジョーカーが半分こキックをくりだす姿の演出を見て、驚くと共にものすごく励まされたとのこと。

また、スーツアクターを務めた高岩成二氏曰く、黒い部分はスーツの素材のままだが緑の部分はその上から塗装しているため左右で重さが違い、演じる上で苦労したとの事。
また、アップ用のスーツは(他のフォームも含めて)氏の体型にピッタリとフィットしたものを硬質ウレタンで固めていたため可動域が大幅に制限されており、腕が少ししか上がらないなどポーズを変えるのが困難であったという。
資料用の撮影会の際、結果として全てのフォームで「全く同じポーズ」「寸分の狂いもない立ち姿」になったのを、氏の純粋な腕前と勘違いしたカメラマンに褒められた事もあったのだとか。
もっとも最強フォームであるエクストリームのアップ用スーツは「着ていなくても自立する」「普通に歩けないので移動は台車で行う」などもっと凄まじいものだったらしいが。



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最終更新:2025年06月30日 23:39

*1 時系列的では第32話・第33話の間