ガブスレイ

登録日:2012/02/06(月) 10:49:45
更新日:2025/04/08 Tue 17:11:40
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このガブスレイで、汚名返上と行くぜ!



●諸元

型式番号:RX-110
頭頂高:18.5m
全備重量:56.2t
出力:1,800kw
総推力:125.200kg
所属:地球連邦軍ティターンズ

武装
フェダーインライフル
肩部メガ粒子砲×2
拡散ビーム砲×2
バルカン
ビームサーベル×4



●概要

機動戦士Ζガンダム』にて登場した試作型可変MS。
パプテマス・シロッコの提出した設計案をもとにルナツーで開発された。
同時期に開発され、シロッコが関わっているハンブラビとは兄弟機ということになる。
厳密にはガブスレイはルナツーの地球連邦軍が開発した機体であり、ティターンズが直接開発したわけではない。
型式番号のRX-110は「ルナツー(拠点番号11)で10番目(下一桁が0)に開発された機体」を意味する。
小説版だとガブスレーと表記されている。

アッシマー等、従来の可変機はマグネットコーティング等の技術を使っていたが、大型化は避けられずMA形態が基本の可変MAと呼ぶべき代物だった。
しかしガブスレイはムーバブルフレームを本格的に導入したことにより通常MS並みに小型化、MS形態の運用を主軸としたTMSとして完成する。

変形すると、脚部から突き出たクローもあり、猛禽類のような外見になる(小説ではセミのようだと喩えられていた)。
この形態では推力のほとんどが後部に集中しており、Ζガンダムをも超える強大な推力を得ることができる。
先述のクローもMSの腕程度なら捻りつぶせるくらいの馬力を持っており、
MS形態のまま格闘戦にも使うことができる非常に有効な武装である(MS形態でクローを展開している状態を中間形態と呼ぶ時もある)。

総体的に見れば、ガブスレイはムーバブルフレームによる堅牢な機体構造、各距離に対応した武装、
良好な加速性能を併せ持ち、死角のない優秀な戦闘能力を持つ機体として仕上がった。
が、同時期に生産されたハンブラビに比べ複雑極まりない可変機構が災いし、製造コストが高く整備性にも難があるという欠点を抱えていた。
結果としては、制式採用されたハンブラビと違いジェリドとマウアーが搭乗した三機を含めた少数が生産されるにとどまった。

確かに同じTMSとして見た場合、ハンブラビはほぼ通常機と変わらないのに比べ、
装甲内バーニアのすぐ横につけられたサーベル、明らかにアタッチメント式にでも取り付けられそうなハンブラビのものと違い整備しにくそうな埋め込み式な上基部の動くメガ粒子砲、
後ろからせり上がるように動くMA時用のフェイスガードセンサー、わざわざ後部が展開して回り込む腰部アーマー、
極めつけにはクローまで仕込んである脚部フレームを目の当たりにすれば、そりゃどんな整備兵も愛着が無い限り萎えるだろう。



●武装

  • フェダーインライフル
メインとなる携行武装で、「フェダーイン」はアラビア語で「戦士の」あるいは「闘士の」などといった意味*1
当時のMSの携行火器でも最大級の威力(出力:6.6MW)であり、一撃で戦艦の残骸を消滅させることのできる長い銃身を持った強力なビームライフルである。
ライフル後部にはサーベルのエミッターを有し、や薙刀のような運用もできる武器である。
6.6MWで戦艦の残骸が消滅させられるのだから、50MWのハイメガキャノンがどれほどぶっとんだ兵器かがよくわかる。
この武器は元々ガブスレイ専用の装備だったが、その性能を買われてかハンブラビやマラサイに転用されることも多かった。
機動戦士ガンダムUC』ではジオン残党軍が鹵獲したマラサイが携行していた。

  • 肩部メガ粒子砲
両肩部アーマーに一基ずつ装備。出力は4.2MW。
基部から可動し、下方向を除いたほとんどの角度に撃つことが可能。MA形態時は機体前方に向けられる。

  • 拡散ビーム砲
腰部スカートアーマーに装備されたビーム砲で、主に目眩ましとして使用される。

  • バルカン砲
頭部に1門装備されている。

  • ビームサーベル
バーニアを仕込んである両腕部装甲内に2基、計4基が装備されている。出力は0.55MW。
なぜか4基。クローに持たせて4刀流でもさせるつもりだったのだろうか。
まあ脚部装甲内側に6基もビームサーベルを仕込んでいるメタスよりはマシだろう。



●劇中の活躍

ティターンズに試作された3機が回され、ジェリド・メサ&マウアー・ファラオのコンビが搭乗、アーガマを何度も強襲し撃沈寸前にまで追い込んだり、Ζガンダムを撃墜寸前まで追い詰める等の優秀な戦果を残した。
マウアーを撃墜されたジェリドが特攻した際、後のカミーユ・ビダンのように死者に導かれたような描写がされた。
でもやっぱカミーユが乗ったZは落とせなかった。とはいえ同じカミーユでもガンダムMk-Ⅱはしっかり撃墜しており、ジェリドを一番輝かせた機体とも言える。
特にマウアーの活躍は特筆に値すると言え、幾度もジェリドの窮地を救いクワトロ・バジーナ百式等とも交戦した上、ジェリドを庇って戦死するまで終始Ζガンダムのカミーユを愛の力で圧倒していた。
小説版だとカミーユからジェリドを庇う際、まるでマウアーが時間を遅くして二機の間に強引に割り込んだような描写になっている。



ガンプラでのガブスレイ

言わずもがな複雑過ぎる構造から旧キットしか存在していなかったが、劇場版Ζガンダムに合わせてかHGUCで立体化。
複雑な変形機構を外部装甲の組み換え以外はフレームの構造を含めてほぼ再現しており、完全変形に近いキットに仕上がっている。
プロポーションも可動域も良好だがフェダーインライフルのデザイン、ライフルと腕のパーツ全体の親和性、手パーツのポロリが玉にキズ、といったところか。


●バリエーション

同じZ出身のアッシマーやギャプランハイザックなどと比べるとバリエーションは少ないが、2010年代になって派生機が登場した。

ガブスレイ[フギン] / ガブスレイ[ムニン]

型式番号:RX-110C(フギン)/RX-110NT-1(ムニン)

『ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者』に登場。フギンとムニンは北欧神話に登場する神オーディンに付き添う一対のワタリガラスのことであり、フギンは「思考」を、ムニンは「記憶」を意味する。
[フギン]と[ムニン]は2機での運用を前提になっている。武装は両機とも一般機と変わりない。ティターンズカラーになっており、2機の外見上の差異はラインの色と頭部とMA形態時の機首の形状。
[フギン]の方は頭部センサーの強化と機首内蔵のミノフスキー粒子の探知機の改良がなされている。基本性能はほぼ一般機と変わらない。こっちのパイロットはヒロインの兄アーネスト・マクガイア。追加機能はさしずめ強化人間に指示を与えるための「思考」のためといったところか。
一方[ムニン]は強化人間用に機動性や追従性が高められている。こちらのパイロットは強化人間の少女ロスヴァイセ。生きながらえるために「記憶」を奪われ、激戦の中で新しく得た「記憶」を失ってしまう彼女が「記憶」を司る[ムニン]のパイロットを務めるのは何たる皮肉か。
ガブスレイのバリエーションに乗る男女のコンビということであの2人を意識したと思われるが、アーネストとロスヴァイセの辿った結末は…
紆余曲折あって最終的にはアーネスト・マクガイア改めナイジェル・アームストロングとロスヴァイセ改めユズ・イシロギの2人は火星に移住して2人の子供を授かることに


ガブレロ

機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST」に登場。
ガブスレイをベースにしたミキシング機で、MA形態時にザクレロを模した姿となる。
近接戦に特化した性能となっており、相方のサンドー・ドックとのコンビネーションで敵を追い詰める。
なお、ザクレロを模しているのはパイロットの趣味でそれ以外の意味はない。威嚇効果はあるかもしれないが。



ゲーム作品でのガブスレイ

Gジェネシリーズ

設定どおり射程距離を問わない武装、変形による広範囲移動は再現はされているのだが、Ζガンダムという時代もあり性能そのものはそれほど高いものでは無いことが多い。
それに加えて地上で戦っている描写が無い上にあの形状なので空は飛べないと判断されているせいか、可変機にもかかわらず空中適正もイマイチ無い扱いが多かった。
そしてよくバルカンがハブられる


スーパーロボット大戦シリーズ

ジェリド機・マウアー機を始め、モブ量産機としてもフェダーインライフルがファンネルに次ぐ射程距離を持つ事が多く、ティターンズの量産MSの中では厄介……だったのだが、αシリーズあたりから各種地形適応が低めに査定されがちで怖くなくなる。ティターンズ機の大半がそうだが、インフレに取り残されてしまった感が強い。
初めて自軍入りしたのは『第4次』のサラ・ザビアロフ説得時の乗機で、割と早い。しかし同作はオーラバトラーヘビーメタルが猛威をふるった真っ只中なので、所詮ビームライフル系がメインウェポンのMSの価値は推して知るべし。
F完結編』ではフォウ・ムラサメが乗ってステージ中に自軍入りするが、尚更、愛を注げばとか言える環境ではないので……「その面でフォウが撃墜されると死亡してしまう」というイベント要素含みの調整かと疑わざるを得ない扱い。

久しぶりに『Ζガンダム』がメイン級に来た『Z』では色々な敵MSが自軍入りし、ガブスレイもその1つに入っている。
何故かバザーの売り物にされており、変形コマンドも失っているが、同列の『Ζガンダム』機体の中でも実用性は結構恵まれている。

ソーシャルゲーム『X-Ω』ではジェリドメインイベントの報酬SRユニットで自軍実装。この時は「撃墜時、生き残っている味方の攻撃力にバフ」という自爆運用が売りのネタ寄りユニット。
だが、その4年後には晴れてまともな性能の大器SSRにのし上がった。ジェリドを最も輝かせた機体への褒賞と言っていい扱いではないだろうか。


機動戦士Ζガンダム エゥーゴvsティターンズ


『無印』
コスト310唯一の可変機。
銃口補正や射角、判定に優れ特に当てやすいBRと、ほぼ全方位射角で振り向き撃ちが存在しないのが特徴的な肩部メガ粒子砲をサブ射撃を持つ。
また、格闘も地味ながら高性能で、通常の差し込みから起き攻め、ステップ狩り、着地ずらし、ダメージ上乗せなど各種格闘それぞれに強みと用途がある。

総じて優秀ではあるが最大の強みは何といってもコスト310での可変機であるという点。
コスト275の可変機とコンビを組み、ダブル可変機で強烈な片追いを仕掛けて主導権を握りに行くような戦い方が中心になる。

ただ、無印時点では前作連ジDXの流れからガンダム・シャア専用ゲルググの人気が根強く、これらの陰に隠れがちであった。
非可変機というデメリットを差し引いてもガンダム・シャア専用ゲルググが強力な機体であったこと、
機体性能の良し悪しよりもプレイヤーの慣れの問題から人気が偏りがちだった部分が大きい。

『DX』
ガブスレイ自身はMS時の挙動が若干軽くなったこと以外これといって大きな変更なし。
しかしライバルのガンダム・シャア専用ゲルググが弱体化したことで相対的に地位向上したことや、
ハンブラビのコストダウンで実質的にコスト275の相方としては唯一の可変機となったことが追い風となり、シャア専用ゲルググと並んでコスト310トップの地位に収まる。

全般的にハイレベルでまとまった万能機だが、改善されたとはいえMS時の動きは速いとは言えず、盾がないことも相まって体力は下位のコスト275帯からそれ以下の水準しかない。
つまり疑似タイマンは決して得意とは言えないので、常に2on2を意識して動けないと強みを発揮できない。


ギレンの野望シリーズ

『ジオンの系譜』『アクシスの脅威(無印・V)』『新ギレンの野望』に登場。
どの作品でも”限界はあまり高くない””どのMAPでも使えるが地形的性はあまり高くはない”という点は共通している。

それでも単機編成のジオンの系譜やサイズや希少性の概念が撤廃された新ギレンの野望ではそれなりの使い道がある。が、アクシズの脅威だと”原作で変形機構が複雑すぎて量産化が見送られた”という設定があるにもかかわらず何故か生産2ターン三機編成の高級量産型扱い。此の首を傾げたくなる設定の所為で無駄にコストは高くなるわ機動性もそこまで高くないわ(メタスを下回る42しかない)地形的性が壊滅すぎるわと殆どいいところが無い。一応射程は2あるものの支援目的で量産するなら地形的性が遥かに良くて盾も持ち安上がりなハイザック・カスタムのほうがはるかにまし。よほどのガブスレイファンでもないと手を出すのに躊躇ってしまう残念スペックとなっている。
ちなみにこのシリーズもバルカンが無いが、ビーム射撃と格闘しかないという装備編成の機体はIフィールドや撹乱幕で無力化されてしまうという宇宙戦ではかなり痛い欠点としてのしかかってしまう。


ガンダムカプセルファイターオンライン

Bランクのパー(射撃機)として登場。
フェダーインライフルの高出力・低出力の撃ち分けが可能で高出力にはスタン効果が付与されている。
近寄られた時のフェイルセーフとしての格闘も優秀でBランク機体としてはそれなりに良好だが防御UPのスキルがあるにもかかわらずいかんせんHPが低いのがネックである。
SAはMS時は最大出力によるフェダーインライフルを間近でぶっぱなす乱舞型、MA時はゲロビームもといMAP兵器型。
バルカn(ry


ガンダムバトルシリーズ

Ζガンダム時代の中堅レベルの機体として登場する。
フェダーインライフルが強機体の一要素ともいえる狙撃属性でありなかなか使いやすい。
ただリロードと弾数に不安が残るので肩部メガ粒子砲を主軸にした運用をした方が無難。
SAはフェダーインライフルの最大出力によるゲロビーム。
なぜか腰部のセンサー部分が拡散ビームになっているがそんな武装は断じて無い。(スタッフのお遊びだと思われる)
よくハブられるバルカンもサブ射で撃てるぞ!


EXTREME VSシリーズ

初登場はシリーズ第3作『マキシブースト』。2015年7月解禁。コストは2000。
今までのシリーズにない、「マラサイで出撃し、撃墜後の再出撃時にガブスレイと交代するか自由に選択できる」という特徴を持った変則換装…というか「交代」ギミックを持った機体。
こちらは射撃重視のマラサイと比較すると射撃も格闘もこなせる万能機と言った性能で、変形・及び特殊格闘の急速変形コマンドのおかげで機動力が高め。
格闘も初段性能・ダメージ共に向上しており、リターン重視の特格派生が追加されたことで大ダメージも現実的に狙えるようになった。
マラサイよりも立ち回りの自由度はあるものの、基本的に高コストの後に撃墜されることが望ましい2000コスト故にコストオーバーによる体力減の影響を大きく受けるので、
その機動力を生かして慎重に立ち回ることが求められる。

バーストアタック(覚醒技)は、アシストで召喚するマウアー機とともに格闘攻撃を仕掛ける「なぶり殺しにしてやる!」。よくある乱舞格闘系の覚醒技。

家庭版の新作『GUNDAM VERSUS』、および次々回作『EXVS2』ではマラサイと分離。試合開始からずっとガブスレイでいられるようになった。
これにより試合開始時から2000コスト最高クラスの機動力を発揮できるようになったほか、
アシストを失った代わりに新たに照射ビームの特射「メガ粒子砲【照射】」を得たことで射撃戦の火力も多少改善された。
素のスピードと変形移動、各種落下ムーブを合わせた機動性は他の2000コスト機体とは一線を画しており、極まったガブスレイは上位コストでも捕まえるのに苦労するレベル。
しかし生存力の高さ故に相方の高コスト2落ちが狙われる展開になることも多く、勝つためには自衛だけでなく、要所で自己主張していくことが必要。

EXVS2XB』では、変形サブ射撃にかつてのメッサーラのアシスト攻撃を一機分だけだが復活してコマンド化している。
しかし特殊射撃の性能劣化、変形メイン射撃の強制ダウンが強よろけに変更、特殊格闘のMS⇒MA時の誘導切り削除など、弱体化された点の方が多い。
とはいえ堅実に立ち回れば上記の弱体化部分はさほど気にならず、むしろインフレしていた前作と比べれば落ち着いた環境なので相対的にはあまり変わっていないと言える。


●余談

デザインは全体的に縦長なデザインライン等永野護氏のように見えるが、ギャプランをデザインした藤田一巳氏のもの。
射撃武器が近接武器としても使用できる、変形時の加速が売り等、Ζとの共通点も多い。

SDガンダム外伝シリーズでは、ジオン族の戦士ガブスレイ、ザビロニア帝国のモンスターガブスビートル、ネオジオン族の騎士(ナイト)ガブスレイ、モンスターボーンガブスレイ、ヘルアクシズ団の操手ガブスレイとして登場している。


追記・修正はMK-Ⅱを倒してΖと渡り合ってからお願いします。

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最終更新:2025年04月08日 17:11

*1 (主に宗教的闘争に従事する)戦士、闘士を意味する「フェーダーイー」の属格(所有格)。正確に音写すると「フェダーイーイーン」みたいな音になる。フェダーインという表記は、おそらく1982年のたがみよしひさの漫画『フェダーイン:戦士』に由来していると思われる