ライラ・ミラ・ライラ

登録日:2025/02/23 Mon 10:34:52
更新日:2025/04/08 Tue 12:32:12
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「いい男になってくれれば、もたれかかって酒が飲める。それはいいものさ」


『ライラ・ミラ・ライラ』は、宇宙世紀ガンダムシリーズの登場人物の一人。
機動戦士Ζガンダム』に登場した地球連邦軍(ルナツー基地)所属の手練れの女パイロットで、当初は長らく主人公サイドの前に立ち塞がる案があったのに、富野由悠季の個人的な判断により早々に退場させられてしまったというエピソードでも有名。

CV:佐藤君枝(旧TV版)/浅野まゆみ(新訳『Z』)/藤野かほる (PS用ソフト『機動戦士Ζガンダム』)/津田匠子(「Gジェネシリーズ (『ZERO』 - 『NEO』)」、他)


【人物】

一年戦争当時から活躍していたとも予想される、地球連邦軍所属の女性士官。
階級は大尉で、年齢は25歳。
中々に荒くれ者な見た目揃いのライラ隊を率いる女傑。
宇宙暮らしが長いらしく、地球から上がってきたジェリドを「地球人」と侮蔑を込めた意味合いで呼ぶ場面があった。

ティターンズでは無いものの、ティターンズに協力して物語初期のグリーンノアを襲撃→脱出した後のエゥーゴの追撃を行った。

愛機はライラ隊共々にガルバルディβ
隊長から隊員まで全員赤いというのは、中々のカルチャーショックがあった。
そして、劇中での初戦闘時に当のカルチャーショックの原因である未だに特別な赤いリック・ディアスに乗るグラサンの人に接して、只者ではないと畏怖すると共に一年戦争時の“赤い彗星”を想起するというやり取りがあった。*1
尚、この時の台詞を元に、後に『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』にて実際に一年戦争当時のシャアと交戦していたというエピソードが作られている。
年齢設定からすると、当時のライラは17歳。セイラ・マスと同じ。

母船としているのはサラミス改級巡洋艦ボスニアで、直接の上官なのか艦長のチャン・ヤーからは腕前こそ評価されているものの、率直すぎる態度や物言いを咎められることもあった。
しかし、ジェリドに対してはその芯を突いた言動が刺さりまくったようで、何だかんだで当初は敵側の主人公的なポジションだったと思われる彼の目を最初に覚まさせることになった。

見た目は高身長(175cm)で、細身ながらも筋肉質なのが解る、金髪に白い肌で青い瞳の美女。*2
特に初期には濃い顔に描かれている。
特別仕様なのか、極めてタイトな赤いノースリーブの軍服に黒いヒール付きのブーツ、首には何より特徴的な黄色いマフラー(或いはマフラー風に巻いた大きなスカーフ)を巻いている。
髪型はミドルボブ位の長さの髪を片側だけアップでセットする……というような形なのだが、描くのが難しかったのか、省略されて単なるミドルボブになっていることも。
髪型のせいで老けて見えるが、その簡略化された時とシャワーシーンでは普通にアニメ顔の美人。

前述の通りで、宇宙での生活に慣れきっているとあってか、地球より来たばかりで自分を侮辱したという理由だけで喧嘩を吹っ掛けてきたジェリドを、足払いで転がした隙に天井の反動を利用したライダーキック紛いの飛び蹴りを炸裂させて文字通りに一蹴するなど重力の軽い環境での戦いに精通している。
宇宙空間でのMS戦闘に於いても.生まれついてのニュータイプのような天然ではないものの……
「機体の装甲越しに相手の殺気を感じる」「宇宙(そら)に己の気を発散させる」などのスピリチュアルなアドバイスをジェリドに与えており、その後の戦闘にて実際に背中に目が付いているような戦いが出来ることを証明してジェリドから全幅の信頼を寄せられるようになっていた━━のだが。

……尚、やけに見た目に特徴(注文)があったのは、富野がリアルなアングロサクソン系の美女として描いてくれと依頼していたため。
しかし、どうしても顔が気に入らず、リテイクさせても尚も気に入らなかったので使い捨てにすることにしたという経緯があった。

……キャラデザを担当したのはお馴染み安彦良和だったのだが、
苦労して手直しまでしたのにボツにされたようなものなので、当時のインタビューにて「(富野好みの)アングロサクソン系の美女を十人描き分けられる絵描きがいたら逢ってみたいものだ」と、思わず愚痴を零しているのは有名な話。

前述のように、本来ならばジェリドの師匠兼恋人として登場し続ける予定だったというのに……。

替わりにライラの役目を果たすために新たにデザインされたのがマウアー・ファラオなのだろうが、そのせいでジェリドはMSどころか女も乗り換える奴という更なる悪評を被った面も。(実際にはライラには関係を深める前に死なれているので、恋仲となったのはマウアーのみ。)

とはいえ、その存在はジェリドの中にも強く残り続けており、マウアーと組んで戦果を挙げるようになってからも、度々に仲良しだったカクリコンと共にジェリドの口から名前が挙げられていた。
惜しむらくは、前述の通りでクワトロすら驚かせた高い操縦技術を伝授しきる前に死別してしまったという所か。
後にガルバルディβに搭乗して敵討ちに挑み、一騎打ちでカミーユをあわやという所まで追い詰めた時には「俺にとっては師匠」「戦友」と呼ばれている。(その一方で敵ながらも心が触れていたカミーユに「あの人(ライラ)がそんなことで喜ぶものかよ」と言われてしまっているが。)

【劇中での活躍】

【TV版での活躍】

初登場は第3話。
ライラ隊を率いてグリーンノアを襲撃したエゥーゴを追撃する。
これまでの連邦にはない型式の旗艦アーガマを目撃して驚くなど、エゥーゴが単なる体制への反抗組織ではないと悟りつつもアーガマの撃墜を宣告するが、迎撃に現れたクワトロに部下の一人を撃墜されて撤退に追い込まれる。

その後、第6話にてジャマイカンアレキサンドリアとの合同戦線を取ることになるが、ライラ自身はティターンズには反感を持っているのが窺えた。(後の30バンチでも共同戦線を張っていた関係からかワッペンを付けていたのだが、カミーユにティターンズ呼ばわりされた時には即座に否定している。)
この時に、前述の通りでジェリド・メサと知り合うことに。
当初は「出戻りのジェリド中尉」と笑いものにするなど完全に小馬鹿にしていたものの、
それを理由に自分から吹っかけてきた喧嘩で女に負けた上に他者との接し方(延いては女へのアプローチ)にダメ出しを受けても尚も無様に食い下がるジェリドに初めて自分から興味を示し、ボスニアへと移ることを誘った上で実戦を通して指導することを約束。*3

その後の合同作戦では後述の通りの戦いぶりでジェリドを感嘆させる。
結局、その戦闘では半数のMSを失い撤退、エゥーゴの目標であったレコア・ロンドの搭乗するホウセンカ(突入シャトル)の地球降下を許してしまうも、エゥーゴの僚艦モンブランを防御が手薄になったタイミングとはいえ撃沈と、痛み分けと呼べる状況に持っていっている。

その後、ライラのアドバイスと実際の戦い方を見て僅かに覚醒を始めるも、弾切れに追い込まれてしまった上に、後から不完全なMk-Ⅱで出撃してきたカミーユにしつこく絡んだことで動けなくなってしまったジェリドを撤退ついでに回収する。

その後のジャマイカンへの報告では、ティターンズ嫌いであったにも関わらずエゥーゴのアーガマ隊が一年戦争時のホワイトベース隊のような懐の厚さを感じると伝えつつジェリドへの追及を逸らしており、そのことでシャワーの途中にジェリドに突入されている。ライラが待たせておけばよかっただけなのだが。

その後のアーガマの航路の推測について迷うジャマイカンに対して極めて的確な提案をするものの、それが反対にジャマイカンの不興を買うことに。
この一連のやり取りにて、ライラの行動をますます好ましく思ったジェリドは、別れて行動することになったライラを見送るついでに次には「酒でも飲まないか?」と口説き、項目の冒頭の台詞と共にライラも答えた上に、コックピットでは「いい男になれる素質はあるんだよ…」と独りごちるのだった。

その後、クワトロがカミーユとエマを連れてサイド1の30バンチにてティターンズの凶行の現実を見せるために降り立ったのをエゥーゴの基地があると勘違いして追跡してくるが、そこでライラ自身も連邦(ティターンズ)のプロパガンダで隠されていた真実の一端を知ることに。
クワトロのエマへの演説(●●)に思わず口を挟んでしまうが、一先ず撤退してコロニー外に出てのMS戦に。*4

正式にアーガマに迎え入れる打診をしたブレックスの思惑もあってかカミーユとライラの一騎打ちに。
30バンチでのやり取りと、相手がさっきまで接していた子供だと知って焦った上に、自分でも度々に口にしていた“相手がニュータイプである可能性”に脅威を感じてしまい、本来の実力を発揮できずにカミーユに圧倒されるライラ。

戦闘が開始された時点で「ライラ大尉の読みが当たっていたか」と認めながらも敢えて援軍を出さなかったジャマイカンにジェリドも抗議するが聞き届けられず、そのままライラは撃墜される。


「そうか…私は今、あの子はただ者じゃないと言った…この分かり方が無意識のうちに反感になる…これがオールドタイプということなのか…」

今際には、自分が子供と侮ったカミーユの才能に敗れたことと、30バンチでのクワトロの言葉の意味を悟りつつ散っていった。

……そして、その後の最終回では自分をオールドタイプと言いつつも、実際には宇宙に適応した姿を見せていた通りで、カミーユを導く魂の一人として登場。久々の登場すぎて忘れていた視聴者や途中から見て知らなかったた視聴者も居そうである。
ここで出てくる辺り、やっぱりニュータイプだったのではないだろうか?
正面からの戦いではZガンダムを圧倒するジ・Oオカルトで対抗するヒントを与えた。
尚、この時に「パワーがダンチなんだよ!」という的確ながらアバウトすぎる忠告を発したことでもネタにされている。

【劇場版】



「お勉強だけできて馬鹿な子…っているんだよね」

新訳『Z』では単純にティターンズ扱い。一応は後から編入された中途組扱いらしいが。
尚、TV版とは違い「このざわざわとした感じは・・・なんだ?サイキック…インプレッション!?」と強敵の気配を感じ取りカミーユが接近してきた際に「こいつのプレッシャーだったのか!」と発信元を特定するなど本人は無自覚だがNTと思わしき描写がある。

ジェリドへの評価が真逆になっているとして有名。
ライラさん、今更ですがその男、一つしか年下じゃありませんぜ。
それでも大気圏突入前にはジェリドを気遣う場面も見られた。
まぁ、TV版に比べると接せる期間が短いので仕方がない所で、一応はジェリドはライラに興味を持ってるかも?と思われることをカクリコンが指摘しているものの、ライラの側からすればKYで素人丸出しのバカにしか見えないだろうから仕方ない所。
ジェリドとカミーユの因縁の始まりすらオミットされてるので、ジェリドをからかう文句が「人殺しのジェリド中尉」と酷いものに。*5

登場シーンの諸々が統合されており、エゥーゴの地球降下作戦を阻止する目的で全員出撃→撃破となってしまっている。
その、衛星軌道上での戦闘時にこちらはバリュートシステムを装着して動きが鈍っていたとはいえ、フライングアーマーで機動力が上がっているMk2を駆るカミーユに翻弄されキック二連発>アッパーのコンボを喰らうなど追いつめられ、肩のサーベルを抜いて反撃しようとするもそれを察したカミーユにライフルで仕留められた。
尚、前述のようにTV版ではライラ隊全員が赤いガルバルディβに乗ってたのが、新訳『Ζ』ではガルバルディはライラの専用機扱いで、部下はハイザックに、エリート組のジェリドとカクリコンはいきなりマラサイに乗っていた。

【小説版】


そもそも登場しない。

小説版はTV放送と同時期に刊行され、話の流れも基本的には変わらないのだが紙幅の都合かTV版での印象的なシーンがカットされたり気がついたらフェードアウトするキャラも何人かいる。(途中で裏切ることなくいなくなるレコアやカミーユに殴られないクワトロ等)

そんな中にあってライラは彼女が登場するTV版第3~7話に相当する小説版第1巻後半から第2巻冒頭にかけて全く登場することも無くカミーユもジェリドも地球へ降りてしまった。まさかの全カットである。

かと思いきや再び舞台が宇宙に戻った第3巻にてカミーユが駆るガンダムMk-Ⅱを追い詰めたジェリドが何故か「……ライラ、カクリコンの……敵は討つ!」と発言しており、そもそも出番が無いはずなのにいつの間にかカミーユに撃墜されジェリドの仇討ちの一部になるという珍事に見舞われている。

【GUNDAM EVOLVE】

本人の顔出しはないが、ジャブロー降下作戦を描いた「EVOLVE../13 RMS-108 MARASAI」の冒頭にてガンダムMk-Ⅱのバルカン砲を受け損傷した後、ビームライフルで撃墜されるガルバルディβが登場しており、恐らく同時期に公開された劇場版のライラ機と見られる。

【機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像】

グリーン・ワイアット率いるジオン公国軍基地ヴァールシカ攻略艦隊にベン・ウッダーとともに参加。乗機はジムスナイパーⅡ。

【他媒体での活躍】

【SDガンダム外伝】

伝説の巨人編にてガルバルディβを模した鎧をまとう騎士(ナイト)ライラとして登場。
HPは280とそれなりレベルのモブ。

GB『ラクロアンヒーローズ』では女ザコとしてわらわら出てくる。
まぁ、出ることすらできなかった面子を思えばまだましなほうか。

FC『ナイトガンダム物語』では呪術士メッサーラとコンビを組んで中ボスとして登場。
ただの町娘を装ってこちらを騙そうとしてくる女狐っぷりを見せる。でも何故か鎧を着たままなのでプレイヤーにはバレバレである。

SFC『大いなる遺産』ではカードダスのみで本人は未登場。

【ゲームでの活躍】

スーパーロボット大戦シリーズ

殆どの作品ではティターンズかそれに準ずる組織に所属になっている。
イベントは少なめだが、EXでは隠し要素で仲間にすることもできる。
また『第4次』では主人公の恋人の上官であり、その事もあってか物分りがいいシーンもある。
最終的にはやはり敵対することになるが…。
あと、水中にいるドラゴノザウルス対策に「ヤザン、ジェリド!いったん退却して、水中でも使えるモビルスーツ…そうだね、ケンプファーでも、持っておいで!」と言い放つ。ケンプファーの海適応Cなんだけど…。
α』では登場が非常に遅く、67話中51話の「ダカールの日」で初登場する。原作と違ってジェリドとは別行動していたらしい。
乗機はバウンド・ドックガブスレイバイアラン、終いにはパラス・アテネハンマ・ハンマであり、本来の愛機であるガルバルディβに乗ることは割と稀。
……というかガルバルディβ自体がスパロボにほとんど参戦できていない、という方が正確か。

ギレンの野望シリーズ

ベテランということも鑑みてかヤザン・ゲーブルブラン・ブルタークといったZガンダムのキャラとともに一年戦争限定ナンバリングでも登場する。
グリプス戦役以降も扱うナンバリングではZ時代のノーマルスーツを身にまとい登場する

能力値は格闘を中心になかなかのレベルにまとまった準エース級キャラクター。

一年戦争限定シナリオならば抜けるイベントがない(但し独立戦争記では忠誠度が低すぎると反乱イベントで抜けてしまう恐れがある)ので思う存分使える。
レビル本編第二部ではティターンズに引き抜かれてしまうためエゥーゴの方が利益が大きい傾向にある連邦第二部では使用不可能になることが多い。
一応カオスルートなら最後まで裏切らないパイロットの一人として活躍が期待できる。

一方でジャミトフ率いるティターンズではガンダムmK2関連のイベントで死亡若しくは未加入になってしまう可能性がある。

Gジェネシリーズ

一般兵よりは強いが覚醒値万歳げーなこともありカミーユとかクワトロには歯が立たないといっていいレベルに調整されやすい。
NEOではstage9の大気圏突入のみ登場で特に会話イベントもなく戦死する。
GジェネDSでは宇宙世紀ルートで戦死するイベントがある。


「そうか…私は今、あの子はただ者じゃないと言った…この追記修正のやり方が無意識のうちに反感になる…これがwiki籠りということなのか…」

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最終更新:2025年04月08日 12:32

*1 尚、当のクワトロはクワトロでライラ隊の高い実力と練度に上手く撃墜できないことに苛立つ様子が見られた。腕前が落ちたとされることもあるが、単純にこの時代にはMSの運用上の性能差が極めて狭まっていたのも理由だろう。※ガルバルディβは設計こそ旧式だが運用上の性能はマラサイにも匹敵する。

*2 これまた典型的なヤンキー(アメリカ白人)顔のジェリドと対にする目的があったのか。

*3 この時の会話が終わる頃にはボスニアへ移れとの提案に「貴女の船へ?」など瞬く間にライラに圧倒されると共に尊敬の念が生まれていたのが窺える。

*4 この時のやり取りで飛び出したのが、かの「地球連邦が第二のザビ家になろうとしているのが解らないのか?」

*5 軍人が何を言うとも思うが、これは知らされていなかったとはいえヒルダ・ビダンを殺してしまったことを弄っているのだろう。