殺戮を繰り返し、人々から笑顔を奪うグロンギから皆を守るために戦い続ける雄介だが、本来彼自身は他者を傷つける暴力を嫌う性格である。
それはグロンギ相手でも例外ではなく、たとえ人々を守るという理由があっても力を振い敵を殺すことに本質的な抵抗感を抱え続けていた。
また自分の身体が生物兵器に変わっていく事に対する恐怖も感じているはずなのだが、
皆に心配をかけまいと人前では笑顔を絶やさず「大丈夫」と
サムズアップをしてみせていた。
皆の笑顔のために嫌いな暴力を振るい、恐怖に耐える――この強く、優しい心が彼の魅力である。
またその性格ゆえ人からの信頼は厚い。杉田刑事は知り合ったばかりの雄介に緑のクウガで使う拳銃を躊躇いなく貸している。
だが、
第42号との戦いでは、相手のあまりにも残虐なゲゲルのやり口に憤り、それまで心の奥に溜まっていた怒りや憎しみが爆発。
初めて“誰かを守るため”ではなく
“誰かを殺すため”に戦った。
そしてこの時雄介は
“黒い4本角のクウガ”の幻を目撃。
その姿は、激情に身を任せ殺意をぶつけるために敵を屠った数秒前の自分自身と重なっていた。
この出来事は彼の心に大きな傷を付け、戦った後に笑顔も
サムズアップもなかった。
そしてこれ以降、雄介は憎しみに飲まれることを本能的に警戒するようになり、碑文の警告で黒いクウガの存在とその発動条件を知ってからは戦闘中も怒りや憎しみに注意するようになった。
実際、
敵の挑発紛いの台詞を聞いた時に湧き上がった怒りを抑えた事もあり、OPでも手枷のような演出が加わっている。
こういった自身の優しさ故の苦悩を抱えながら「みんなの笑顔を守る」という決意のために戦い続けた彼の心中は察するにはあまりある。
特に終盤、他人の心ない言動に傷つき殺意を覚えてしまった奈々に投げかけた
綺麗事とも取れる言葉は、優しい綺麗事から最も遠い暴力の中に身を置き続けなければならない自分自身への言葉でもあったのかもしれない。
劇中では彼の心の強さ、優しさといった面が多く描かれ、ある種現実味のない人格者のように捉えられてしまいやすいが、随所で垣間見せる他人を元気づけるための強がり、そして上記の幻影や綺麗事の件からも分かる通り、
あくまで彼は過酷な現実の中で理想を捨てず歩き続け同時に傷ついている一人の青年でしかないのである。
上記のように冒険家であり以前は世界中を飛び回る生活を送っていたが、グロンギとの戦いで旅の続きができないでいる。
親代わりのおやっさんはその事を心配し、一条も悔やんでいた。
ダグバとの戦いにて、従来の力では敵わなかった雄介はダグバと同じ「究極の闇をもたらす者」とされる“黒いクウガ”への変身を決意。
そして決戦の前に「戦いが終わったら旅に出る」と知人や家族に別れを告げた彼は、もし自分が“黒”に変身してグロンギと同じ存在になったら
撃ち殺すよう一条に告げた。
椿さんに聞いたんですけど、ベルトの傷、やっぱまだ直ってませんでした。
だから、狙う時は“ここ”をお願いします。
五代……
いやもちろん、万が一、俺が“究極の闇をもたらす存在”になっちゃったらですけどね。
……こんな寄り道はさせたくなかった……。
え?
君には……冒険だけしていて欲しかった。
……ここまで君を付き合わせてしまって……。
ありがとうございました
……?
俺、よかったと思ってます。だって、一条さんと会えたから。
五代……。
共に戦い、信じ抜いた男の眼前で"黒"に変身した雄介。しかし、その目だけは"究極の闇をもたらす存在"などではなく、誰よりも優しく清い心を示すように"
赤"に染まっていた。
僅かに一条の方へ振り返った五代は、恐れも迷いも口にすることなく、最強の敵・
ン・ダグバ・ゼバとの最終決戦に挑む。
吹雪の中、初めて対等に戦える相手との出会いに喜び楽しみ、
笑いながら戦うダグバと、
大嫌いな暴力を奮わなければならない悲しみに『クウガ』と言う仮面で隠していた
泣き顔を現し戦う五代。
互いに変身も解け、生身のまま殴り合う2人が雪原に倒れた時、一条が雄介の名を叫ぶが―――――