赤/Red(MtG)

登録日:2012/07/21 Sat 23:06:41
更新日:2025/07/27 Sun 20:12:23NEW!
所要時間:約 6 分で読めます




マジック:ザ・ギャザリングの項目へようこそ!

突然だが、感情のままに生きている人って、憧れたりしないかい?──

何にも捕らわれず、誰にも従わず、好き勝手やっているのに、何故かみんなに愛される。




もし思ったままのことができれば、それはとっても楽しいだろう。
確かに、現実はそうは行かないかもしれない。

だが、ヤツらはいつもそうやって生きている。



──マジック:ザ・ギャザリングの、赤の項目へようこそ。





赤のイメージ

MtGのデザイナー達は、カラーパイという理念の下に、
「色が設定上持つイメージと、その色がゲーム内で持つ機能との合致」
を鉄則としてカードをデザインしている。

マンガやアニメに例えれば、
「キャラ設定と、そのキャラの作品内での行動との合致」と言える。
かなり重要なポイントだということが分かってもらえるだろうか。

現在、MtGのデザイナー達は赤の性格をこう定義している。


「感情のままに生きろ。思ったことは今すぐにやれ。邪魔なヤツがいる? 焼き払え。邪魔なモノがある? 叩き潰せ」


面白いから。 彼・彼女にはそれ以外の理由は要らない。


とんでもない快楽主義者。もしいたなら黒並みに迷惑だろうし、表面上は赤も黒も同じに見える…。
が、そこには決定的な違いがある。

黒は、最終的に自分の利益になると考えられるなら、自身の感情や行動を制御することを良しとする。
だが赤は、その瞬間の感情に従って速やかに行動することを良しとする。
たとえ将来の自分にどんな悪影響があったとしても、その時自分がやりたいことができていれば万事OKなのである。
そこには一貫性すら必要ない。悩んでる時間なんてただの無駄だ。

また、赤は黒と違って孤独じゃない。
赤の言う感情には、愛や友情が含まれている。……つまり、恋人や家族や友達を、大切にするのだ。
自分の感情がそうさせるなら、たとえ勝算のない戦いでも赤は仲間を守るために命を賭けられる。
黒が他人を守るとき、そこにあるのは自分の利益につながる打算だけだ。


赤の性格からゲーム内での機能を設定すると、以下のようになる。

1.「衝動を、激情をパワーに」
赤は、一瞬の感情を抑える必要なんてないと思っている。
熱気バサラ「俺の歌を聴けぇ!」

2.「迅速に、一直線に、後先考えずにやる」
思い立ったらすぐ動け。考えるだけ時間の無駄だ。相手より先に勝てばいいんだろ?
ストレイト「速さが足りない!!」

3.「物理的な解答を求める」
もし壁にぶち当たったら?
圧倒的な火力で、それを爆破すればいい。
バルバトス「今死ね! すぐ死ね! 骨まで砕けろぉ!」

4.「混沌と自由の中で派手にやろうぜ」
そして赤が求めるものは、混沌で自由な、ルールが一切無い世界。
ダンテ「刺激があるから人生は楽しい」



さて、この辺で性格的に赤のイメージが強いヤツらを挙げてみよう。

熱く燃える炎の漢。……説明いる?

凄まじく派手好きな戦国武将、誰が呼んだか「独眼竜」。

説明不要。自分が万能でないのを自覚してるからこそ、仲間の存在や信念を大事にし理想に進む自由も愛する。同時に人を抑圧したり不幸にするしがらみや権力を嫌う。それらを破壊するためならどんな強敵にも立ち向かう。
強敵に対して黒(卑怯という言葉が通用しない弱肉強食の海)や青(戦局を打破する知略・相手を見極める選眼・船長としての大局的視野)もあるが基本は赤一色。
ルフィに限らず、ジャンプの主人公にはゴン・フリークスや孫悟空、聖徳太子のように、善悪とは別の部分で動くキャラクターがいる。彼らも赤になるだろう。

飽くなき自由への渇望、頭より先に体が動く直情さ、そこから来る電撃的な行動力、敵に対する容赦のなさ、仲間に対する情の深さなど、まさに赤という概念を体現したかのような駆逐系主人公。

学園都市トップクラスのLV5の第三位で、電撃を使いこなす。
直情的ではあるものの困った人を見捨てておけず、面倒見のいい姐御肌。あと、同性にモテる百合たらし。
言ってしまえば、「美琴のMTG版がチャンドラ・ナラー」&「チャンドラのとある版が御坂美琴」といってもいいぐらいに両者には共通点が多い。
初期はDQN寄りな描写をされていたが後にメインキャラに昇格したところまでそっくり*1
稲妻ボール・ライトニングの例からもわかるように、電気属性はMTGでは赤に区分されているし。

たとえ相手が神であろうと斧とビームと闘争心で真っ向撃滅する
赤い戦鬼を駆る漢。生身でも規格外の暴れっぷり。
波風立つのは大歓迎、破天荒だが仲間との絆もまた熱(篤)い。ドワォ!!

探偵に属するため青でもいいが、彼には特筆点がある。
何よりも人の感情を重視すること。犯罪の虚しさ・不毛さや復讐を生む悪意への怒り、そして「罪を憎んで人を憎まず」を徹底している。また逆説的に言うと、推理の際犯人の感情をへし折る手段を得意とする。(一応言うと自首を勧めるための手段)
普段は万年赤点でそしてスケベ。行く先々の女性についつい目が行ってしまう。そこもあるがままに行く赤らしい。
「人間は幸せに生きる権利があるんじゃないのか……?」

純粋な腕力のみで地上最強を体現し、他の何よりも闘争を欲するその生き様はど真ん中の赤。
ただ、この人の場合は「筋肉」「暴力」みたいな緑のフレーバーもあるかも。

ある日突然砕かれた日常・仲間・愛する人。そして砕いたかつての親友。片腕と片目を失っても、ガッツはあの日への怒りを武器に闘う。自身の五体が砕かれる直前まで。ちなみに《Berserk/狂暴化》というカードは緑だが、似たようなものが赤にも存在する。

一見冷静沈着に見えて、その内には激情を秘めた人。
戦場を彗星の如き速さで駆け抜け敵を落とし、恋人ララァの死、ハマーンの傀儡となったミネバ、弟分カミーユの精神崩壊といった年端も行かぬ子供達が戦争の犠牲者とならざるを得ない時代に誰よりも心を痛め、また憤り、搾取され続けるスペースノイド達の自由、そして永遠の宿敵アムロとの個人的決着の為に地球連邦相手に最後の大乱を引き起こした。
ザビ家の謀殺やダカール演説、ネオ・ジオン総帥としての諸々に若干青や黒も入ってるだろうか。
単なる正義や善悪の物語に終始せず、人間のコンプレックスや苦悩のような、醜いヒューマニズムに深くフォーカスする富野作品は、MTG分類でいうところの赤が混ざりやすい……気がする。

戦略レベルで「高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処」をとろうとしたアイツ。
傑物を一方的にライバル視した挙句、論理性の欠片もない感情任せの対応で行き当たりばったりの戦略をごり押しするその姿はまさに赤。
その後も戦略失敗が決まると癇癪でぶっ倒れ、規則無視で軍のお偉いさんに押しかけて復職を願い、断られたらキレて暗殺未遂…と感情のみで動き続けており、赤の悪い面を象徴している。


赤の機能

以上の性格付けから、赤にはゲーム上で以下のような機能が与えられた。
()内は、その機能に対応する性格の番号。

  • マグマたぎる山からマナを引き出す(1)
  • 瞬間的なマナ加速(1,2)
  • 攻撃特化=パワー偏重タフネス軽視、ブロック不可や攻撃強制のデメリット(2)
  • 後先を考えない、カードを捨ててからのドロー(2)
  • デッキトップの追放による一時的な手札増強(=衝動的ドロー)(2,4)
  • 速攻、先制攻撃、二段攻撃(2)
  • 一時的なコントロール奪取(2)
  • 炎、電撃、地震、音波、爆発などによる物理的攻撃魔法=火力(3)
  • 全体大ダメージ、大量破壊(3,4)
  • 土地、アーティファクト破壊(3)
  • オモチャ(=アーティファクト)作成(3,4)
  • 実体の無いエンチャントは破壊できない(3)
  • 対象を変更するなど戦場を大混乱させる(4)
  • コイントスなどのランダム性(4)
・一目で使い道がないことが分かるゴミ(2,4)

代表的なデッキ

こうした攻撃的な火力や速攻持ちクリーチャー、そして空を支配するドラゴンを利用した以下のようなデッキが存在する。
  • 高速アグロ
火力偏重の「バーン」、クリーチャーを火力でサポートする「スライ」、ゴブリン統一の部族デッキ「ゴブリン」、一時的マナ加速から強力な妨害カードやクリーチャー(特にドラゴン)を出してから殴る「ドラゴン・ストンピィ」など。

  • 中、低速コントロール
土地を破壊しまくる「ポンザ」、親和をメタった「ビッグレッド」、アーティファクトを多用する「赤茶単」、戦場に大変動をもたらす「ターボジョークル」「ワープワールド」など。

  • コンボ
ドラゴンの群れを呼んで瞬殺する「ドラゴンストーム」を始めとしたストーム系デッキ。
また、無限マナを出すコンボデッキに、X火力(火の玉など)を使うためだけに赤がタッチされることも。

赤は非常にアグレッシブな色で、特に「バーン」と「スライ」が顕著であり、こういったデッキ同士の対戦は視覚的にも感覚的にも大変盛り上がる。
お互いライフが1~3点といった時には火力か速攻クリーチャーを引けば勝ちという、ライブラリートップが物を言うギャンブル戦になる。
こういったランダム性も赤の魅力の一つ。
衝動により動く色のためか、防御や長期戦に向いたカードが少なく、速攻型のデッキでは、序盤の猛攻を相手に凌ぎきられると、ジリ貧になりかなりマズい展開が待っている。
その分、凄まじい速さを誇るのだが。

なお、攻撃特化の色であるため、小型から大型まで除去耐性持ちのクリーチャーがほとんどいない。それどころか自分から勝手に死ぬカードが大人気だった時代すらあったほど。
そのため、コストの重い大型には速攻やETB(旧:CIP)能力などが求められる。
近年では除去耐性持ちのクリーチャーが増えてきたが、その耐性というのが対象に取ったらお前のライフを焼き払うぞなど、非常に攻撃特化の赤らしい形となっている。

また実体の無いエンチャント(呪い)は対処できない。しかも黒と違って手札破壊も無理。
「エンチャントは諦めろ」は現在でも赤単使いの心構えである。


他の色との関係

Domri(読み方はbの部分を発音せずダムドムリで”dumb”係
  • は、「 自分たちの秩序 」を乱す赤を敵視する。
赤は、「 自分なりの秩序 」に素直じゃない白を反吐が出る程に嫌う。
白は白で、たとえ理念が一致しても「自分の正義しか考えない」赤をかなり煙たがったり、逆に赤の短絡的な性格をうまく操って鉄砲玉扱いする。
もしもこの2つの色が共に戦うなら、体制の「」を掲げることになる。ボロス、スケベ

実際の相性はというと、かつては赤にとって白は不倶戴天の敵なんてもんじゃなかった。白が得意な行為が赤にぶっ刺さり、赤側が白をとがめる手段が非常に使いにくいため。
かつては対赤カードが「赤が環境で暴れてしまった際の安全弁」としてデザインされていたため、赤側が本当に手も足も出ない
そして赤側の対白カードは「エンチャントに触れない」「プロテクションや呪禁を抜けられない」とまったく効果がない
たった1枚のカードを出されるだけで勝負が決まる時代が、MTGの32年の歴史の半分くらいまで続いていたのだから驚きだ。
白「仲良くしましょう」
赤「ぶっ殺すぞ!」

組んだら組んだで《勝利の神、イロアス》《イロアスの信奉者、カレムネ》《護衛隊長、アドリアナ》《待ち伏せ隊長、ムンダ》など、脳味噌まで筋肉でできたしょーもないカードばかり。
それは統率者戦だけだろうというが、《ウォジェクの古参兵、アグルス・コス》《軍団の戦略》のように赤が混ざることで「白はタフネス強化」という役割になってむしろ使いにくくなる全体強化や、
《手練れの戦術》《死ぬまでの戦い》のように戦闘に特化しすぎてほぼリミテの詰め用というカードが多いのだ。
ハッキリ言うと《稲妻のらせん》がおかしかっただけであり、たとえば黒白赤(マルドゥ・カラー)のデッキの活躍は他の3色の組み合わせに比してあからさまに低く、
青白赤(トリコロール、ジェスカイ)は逆に人気が高かったが実際には「青白が強い!青赤が強い!え、赤白?……え、えっと……」という感じ。私とあなたは友達じゃないけど、私の友達とあなたは友達。*2

しかし「タルキール覇王譚」では、当時の「3色は「青が入っているか」「赤が入っていないか」の2つの条件で人権の有無が変わる」というレベルの格差を是正する方向でデザインされ、2色カードもその影響を受けることになる。
さらに「ラヴニカのギルド」以降は色ごとの格差を是正する方向でデザインが行われ、白のタフで能力に富んだクリーチャーを赤の速攻と火力で助けられ、一時的追放や全体火力、全体破壊などでコントロールに切る事も可能、と対抗色にもかかわらず非常に良好。
《贖いし者、フェザー》を軸とした「ボロス・フェザー」を皮切りに、赤白を軸にしたデッキがたびたび環境の上下を問わず大会で結果を残している。
統率者候補もウィノータを皮切りに、殴る以外のことも得意なカードが増えてきている。白と手を組む時代ですよ 昔じゃ考えらんないね

キャラクターのほうは最近ではすっかり自治厨気質の色であり、ナヒリはその代表格として完全に評価を落としている。
「マルコフ邸殺人事件」ではオレリアがマジギレして「24時間以内に犯人を見つけないと戦争を起こす」と最後通牒を突き付けたりなど、「話し合いで解決できないキャラ」というイメージが強くなってきている。
一方でスケベおじさん、鼻血おじさん、ブルース・タール、ムンダ、ただの犬コメットなど妙にネタキャラが多い
癒し枠はこちらが担当しているのだろう。オッサンばっかじゃねーか
最近ではストリクスヘイヴンのロアホールド大学の生徒で考古学者の卵であるロクソドン(頭がゾウの獣人)の男性クイントリウス・カンドがファイレクシア戦役でPWに覚醒しコミュ力で来訪先の現地人とも打ち解けながら探索している。ロアホールドは赤白の中でもかなり素朴なので、汚名返上は果たせるだろうか。

なお「色対策カードを強くしすぎない」という開発方針になったせいで、安全弁としてのデザインは完全に壊れている。
赤「仲良くしようぜ!」
白「くたばれ」


  • は、思考を軽んじる赤を嫌う。
赤は、引きこもって考えてばかりで感情の無い青は、もうどうしようもないと思っている。
しかしながら、新しいものを見出し知識を集約したいという「 好奇 」は共通するものである。イゼット
赤の攻撃力と速攻に青の飛行や瞬速、豊富なドローや妨害を混ぜたクロック・パーミッション系デッキなは「イゼット・デルバー」などパワフルなデッキも多い。
他には両者ともにインスタント・ソーサリーやアーティファクトの取り扱いが得意なのでそれらを活かしたコンボデッキも。

かつては「思考・深慮の青」と「混沌・短絡の赤」の組み合わせというのは混ざったらろくなものにならないという考え方から、赤が混ざるだけで「ランダムディスカード」「対戦相手が効果を決める」「混沌化」など、シャレにならないレベルの弱体化を食らうことすらあった。
《とっぴな研究》《蒸気占い》《ゴブリンの試験操縦士》あたりは分かりやすい例で、3色になるが《フォモーリのルーハン》なんてものもある。これは組むと弱いんじゃなくて「赤が入ると弱体化」。ひどい時代もあったもんだ。
しかし現在はそういう興ざめなデザインがかなり抑えられており、ラヴニカやストリクスヘイヴンでも大人気の色の組み合わせということもあって非常に制御しやすいカードが多くなった。今はもう意味もなく混沌化するカードは皆無と言っていい。《表現の反復》なんて禁止カードになっちゃったし。
そもそもかつての超・優遇色である青と、現在優遇されている赤が組めばそりゃあ強いに決まっている。というわけでデュアルランドで現在最も高値が付くカードは青赤の《Volcanic Island》。《Underground Sea》を抜いてしまった。ひどい時代になったもんだ。

キャラクターはラルやミゼットのような人気者が多い。青の理知的な部分に赤の人間味が加わるという感じになるので、程よい人間味が生まれる。
女性キャラはサヒーリやジョイラのような優等生気質が多め。


  • は、自分に素直な赤を評価する。
赤は、黒の破壊的で自由奔放なところを好む。
ただ、計略を練るとか言って考えこんだりするのはちょっと残念。ラクドス、コラガン

ゲーム中では黒が得意なスーサイド戦略に赤の火力がぶっ刺さるため、黒の真の敵対色と言われたこともあった。今も《死の影》デッキあたりは刺さるかもしれない。
だが、それ以上に「この2色は長所がかぶっている上に短所に対して潔く諦めるというデザインのため、組んだところでまったく補強し合えない」「トーナメント級のカードに乏しい」という事情があり、
お互いにこんな奴と組むんだったらお断りだという理由でも敵対色状態だった。
《ファイレクシアの抹殺者》は赤を激しく嫌っていたが、《ファイレクシアの抹消者》は赤が激しく嫌っていた。
ただし最近では*3組むとえげつないほどの速度を出したり、コントロールのように小器用な迂回を見せたり。モダン環境のグッドスタッフ「ジャンド」でも大活躍。
カジュアルレベルでは、有名なネタカードである《触れられざる者フェイジ》(黒単)や《ゴブリンのゲーム》(赤単)の相方がそれぞれ赤の《泥棒の競り》、黒の《傷の反射》であるなど、結構仲が良かったりする。つってもカジュアルでさえ憎しみ合う仲なんてそれこそ昔の白と赤くらいしかいないんだけどさ。

カラデシュまでの黒赤は「残虐にして侵略的」「狂人の集団」「狂気に侵された」というフレーバーで描かれることが多かった。
たとえばトーメント(オデッセイ・ブロック)では「マッドネス(狂気)」というキーワード能力は黒と赤に多く与えられ、反面白(理性、秩序)には1枚しか与えられていない。
ラヴニカの「ラクドス教団」は狂人集団だし、イニストラードの吸血鬼は極めて残酷な貴族趣味連中。サルカン・ヴォルは一時期狂気に侵されて黒赤化し、正気を取り戻した後は黒の要素を捨てた。マルドゥ氏族・コラガン氏族は他種族から侵略・略奪をすることを生業とする。サーボ・タヴォークも侵略の指揮官である。
つまり「共感しづらい悪党」「きが くるっとる」「悪党の中でもかなりの小物で、上の連中は赤以外の色を持っている」ということが多かった。

が、カラデシュにおいて白と青が「理不尽な規則でがんじがらめに拘束する領事府」という秩序にして悪寄りの描写がされ、それに対して赤と黒が「自由を求めて領事府の理不尽な統治に反逆する」という混沌にして善風の立ち位置で描写され、ゲートウォッチ(主人公勢)がその味方をすることで正義陣営として描かれたことが一石を投じる。
それまでの黒とは明らかに異色だった霊基体のキャラ設定、特にヤヘンニは若月繭子による中性的な翻訳もハマって大変な人気を博し、赤も赤で《安堵の再会》《競走路の熱狂者》のような「感情」のフレーバーを好戦や怒り以外の方面で表現したカードが多く登場したこと、カラデシュ自体が結構素朴な雰囲気の次元だったことで、次第に黒赤の描かれ方の潮目が変わってくる。
それをさらに発展させたのが、イクサラン・ブロック*4で初登場した「娘をはじめとした家族が一番大事だけど、ボーラスをほっといたらうちが悲惨なことになりかねない」という理由でラヴニカに加勢したミノタウロスの親父アングラス。利己的(黒)と感情的(赤)を「身内最優先(とはいえ身内を護ると利害が一致すれば赤緑男性より歩み寄る余地はある)」という現実でも誰もが持っているフレーバーで解釈したまったく新しいキャラである。
新参者に優しく、部下にも慕われるナイスなオヤジだが粗暴で気性が荒く、新参者に優しくしてあげているのにファートリとは最初はまったく馬が合わなかった。
とはいえ、イクサランでいがみ合ってたのは「イクサランの主となったアゾール(白青)が作った不滅の太陽の所為でPWの牢獄と化しアングラスの方が十数年間も娘に出会えなくて焦燥を感じていた」&「ファートリの方は不滅の太陽の所為で灯が灯ってもPWができず、さらに非常に高潔な性格なので粗暴なアングラスとは馬が合わなかった」という点が大きく、
娘と再会した後に灯争大戦で反ボーラス側陣営として再会した際には、警戒するファートリに今度は落ち着いた態度で接しその後戦場で態度で示したためファートリ側も納得して和解している。
また、基本は赤だが時たま黒が混ざるダレッティも自分を虚仮にした教授に復讐しようと動く一方で気の許した連中と手を取り合い彼らのために戦ったり機械を修理する協調性を持つ。

キャラクター的にはミシュラやザンチャのようなシリアスな奴、ティボルトやオブ・ニクシリスのように自分の美学を優先する悪役、ケアヴェクやサーボのようなシャレにならない真面目な悪役、ラクドスやデッドプールのように愉快千万な奴まで粒ぞろい。アングラスのように粗野だが仲間思いで案外義理堅いキャラクターも今後増えてくるかもしれない。

  • は、感情豊かで行動力のある赤に親近感を持つ。
赤は、緑が本能に従い野生に生きているところを褒め称える。
自然のルールとかいうものを厳守しすぎている気はするが。グルール、ステロイド、アタルカ
ゲーム中では緑のP/Tが共に高く戦闘的なクリーチャーと恒久的マナ加速、赤の速攻持ちで時に飛行を備えるクリーチャーや火力の相性が良いため、時折トップメタの足元(≒Tier2)くらいにいたりする。
パワフルなデッキになりやすい他、最近は《終わりなき踊りのガリア》などイラストの良さも話題になる。

一方でプレインズウォーカーに目を向けてみると男性と女性でスタンスが真逆といっていいほど異なり、更には死亡退場者が他の単色や二色とは比べ物にならないほど多い。

女性PWの方は協調性が高くゲートウォッチなど善玉のプレインズウォーカーと共同戦線を張り活躍することが多い。(アーリン・コード、サムト、レン)
一方の男性PWの方は自分の周囲の現状に不満を抱いて力を追い求め、他者の忠告を無視した挙句暴走して破滅するのがお約束になっている。

ゼナゴスは次元を旅した結果「テーロスの神はローカルな存在にすぎず自分は更に矮小な存在にすぎない、そんなのはイヤだ」と思い込んで暴走、虐殺を起こして神になってテーロスを混乱に陥れるもエルズペスに討ち取られた(これにより事情があって表舞台から姿を消してていた本来の赤緑の神である運命の女神クローディスをブチ切れさせ、更には一連の騒動で自分の主神としての座に固執するヘリカスことヘリオッドが更に猜疑心を募らせ他の神に喧嘩を売り出しさらなる混乱を招く)。
ドムリ・ラーデはアラーラのナヤのジャングルにPWするも恥の連続に耐えられず逃げかえった挙句自然回帰と荒廃をごっちゃにしてボーラスを味方と勘違いして鞍替えしたら速攻で消された。そのためプレイヤーからだけでなく作中の人物からも「Dumb Domri(読み方はbの部分を発音せずダムドムリで”dumb”は英語で”間抜け””のろま””阿呆”という意味がある。韻をふんだ蔑称で呼ばれており小説ではバカドムリと記されていたが、原作のように韻をふみ虚仮にするなら(頭が)ダメドムリ)といったところだろう」と呆れられた。
ルーカは初期は赤一色だったのだが行く先々の次元でトラブルを起こし放浪を余儀なくされ、ビビアンの紹介で汚名返上のため対ファイレクシア戦役に参加。しかしコミュ障が災いして周囲と打ち解けることができず、反感からニッサの忠告を無視してファイレクシアのケンタウロスとエルーダという一心同体になる力で繋がった結果速攻で赤緑として完成化した挙句、悪ニッサを虜にしてハゲさせ悪堕ちさせ次元壊しという巨大な樹木を改造したアーティファクトを制御させて全次元に侵略できるようにおぜん立てという最悪レベルの戦犯ムーブをやらかしてしまう。その後自身は速攻で組織でつまはじきにされ故郷のイコリアに侵攻するも次元の防衛に居座ってたビビアンと頂点の獣の一体であるヴァドロックの連携で倒され炎に飲み込まれ存在そのものが無かったことにされた。*5*6
珍しく初代が赤緑で男性赤緑PWの中ではコミュ力があるほうだったサルカン・ヴォルもファイレクシア戦役後に自分の大好きな龍が勢力を減らしている現状に不満を持って荒んでいるなど最近はかなり危うい。*7


女性赤緑PWの方はというとサムトやアーリンは生きてはいるが、ドライアドのレンはというと対ファイレクシア戦役で上述の次元壊しを”樹木の中で奇跡的に無事だった苗木に自我を与えて成長させ逆に制御を乗っ取る”というウルトラCを成し遂げ、最期の力を振り絞ってテフェリーの故郷ではるか遠い場所に漂着していたザルファーとファイレクシアを入れ替えて封印するという偉業を成し遂げ殉職。
とはいえ彼女の生き様は破滅した男性赤緑PWとは違い世界を慈しみその身をささげて救った誇れるものであり、戦後はレンを悼むためにテフェリーが遺品のドングリ(この場合は種のこと)を育てたりカラデシュ改めアヴィシュカーにて彼女の最後の雄姿を象ったゴーレムが建造されている。

PW以外に目を向けるとテーロスブロックの次のタルキールブロックで「古のカンの一人の赤緑青の要素を持つティムールのヤソヴァ*8がボーラスの甘言に唆されてタルキールの守護者であるウギンを討ち取るのに協力してしまい、その結果とめどない戦乱がおこり資源を浪費し荒廃する原因を作ってしまっていたので、サルカン・ヴォルがタイムスリップして修正する羽目になった」という戦犯ムーブをやらかしていたことが判明してしまった。

最近はアメリカの社会自体が「多様性」「直観性」「独裁に対するレジスタンス活動」などを重んじるきらいがあり、これらに該当する赤単の悪役というのが作りづらくなり、赤黒も最近は白青系のヴィランが出た場合に善玉扱いされることがたまにある*9。こういうこともあって動機があまり褒められたものじゃないゼナゴスがメインヴィランを担当して次のタルキールブロックでもヤソヴァがやらかし、赤緑が評判が下がっていた矢先に間を置かずにに赤黒のポジティブ描写が増えたこともあり、赤緑が割を食って赤の悪い部分のフレーバーをあてがわれやすい……気がする。いい部分を受けているのが偶然女PWキャラというだけなのだろう。たぶん。


代表的なカード

赤を代表する火力であり、「火力」という概念の記念すべき第1号。これ無しに赤や火力は語れない。
スタンダードではオーバーパワーだが、下環境では最近はさっぱり見なくなってきた。インフレおそるべし。
最近は「3点火力」という部分だけを残した亜種がよく印刷されており、たとえばファウンデーションズの《稲妻波》はプレイヤーだけを狙える《稲妻》、エルドレインの森の《塔の点火》は追加コストを支払えばダメージが3点になる《稲妻》。

  • 火の玉
Xマナを支払い、X点のダメージを対象に与える、所謂「X火力」の草分け。
あのMoMAの第二のフィニッシャーにして、安直なバベルを楽々と処理する処刑人。他にも様々なデッキでフィニッシャーを務めている。

  • 地震
デュエル・マスターズ初期の切り札。飛行を持たないクリーチャーとプレイヤーにダメージを与える。
基本セット2010を最後にすっかり忘れられてたカードだが、自分へダメージが来るという代償に対して「火種は1マナ、プレイヤーにもダメージ」とかなり器用かつダメージ効率のいい動きを見せる、かつての赤の「知略」側のカード。

赤の象徴的クリーチャーであるドラゴンの、その最古参。通称「シヴドラ」。「シヴやま」ではなく「シヴさん」。
赤の顔として現在も時々再録されており、おかげで全バージョン・バリエーションのコイツのコンプリートを目指すファンまで存在している。

赤の特徴的クリーチャーであるゴブリンの一。ネタとしてなら優秀。

通称ボーライ、赤を代表する「歩く火力」の筆頭格。
2010年代にはトーナメントではすっかり見なくなってしまい、たまに雰囲気だけ再現したカードがレア枠をつぶしてカスレアとして恐れられている。
「3マナ6点火力」がいいのであって、たとえば4マナになっていろんなおまけがついても結局6点火力でしかないのなら誰も使わないのである。
本家ボーライの他《火花の精霊》《地獄火花の精霊》などは使われ、特に後者はその安定感からレガシーのバーンの隆盛を支えた。爆発力重視で本家を入れる人もいた。

  • 煮えたぎる歌
赤に一時的なマナ加速を与えようということになって生まれた《暗黒の儀式》亜種。3マナから5マナにジャンプできる。
ストームデッキで濫用されたことでモダンで禁止カードに指定されたが、実際には5マナでそこそこの性能のフィニッシャーを出すためにも用いられた。
ドラゴンストームではストームを稼ぐためと、手札に来たドラゴンを素出しするため、両方の役回りで大活躍した。
亜種も含めて環境で存在感を発揮しやすく、《アイレンクラッグの妙技》は著しいデメリットがついているのにこれでも使われる。
ソリティア推奨カードはまずいということで、生産量を抑える代わりに次のターンに持ち越しが可能な「宝物トークン」の生成というように時代が切り替わってきているが、
次のターンに持ち越しが可能ということはつまりマナジャンプ自体は得意と言うわけで……。
?「この宝物トークンっていうのください。《暗黒の儀式》はね、むかしはうちにいたんだよ」

すべての場札を山札の中からランダムに交換する。
混沌を巻き起こすネタ・ロマンカードかと思いきや、専用のガチデッキが組まれたりもした。自分の場札の質をよくしつつ、非パーマネントを軸にした対戦相手の場札を減らしていくという割と合理的なデッキ。
ちなみに相手がデカブツを使うデッキだった場合の対処は「全力で祈る」「神様に頼む」「諦める」などが有名。
さらにリメイクカード《明日の瞥見》も専用のガチデッキが組まれている。こちらは対戦相手の場札を入れ替えることができないため、自分の場札の質をよくしていく・踏み倒すために使われる。

  • 混沌のねじれ
歪んだ世界のミニチュア版で、場札1枚を山札の中からランダムに交換する。3マナ。なんとエンチャントも狙える。
統率者セットで登場した際、当時のレガシーの赤単使いは「ついに俺たちにも《Dystopia》*10がもらえたんだ!」とそれはそれは狂喜乱舞した。
実用性?ねぇよそんなもん。エンチャント対処したら同名カードやエムラクールがめくれたなんてなったら泣くにも泣けないし。
しかしそんなカードでも「対処ができる」「一矢報いられる」ということが与える安心感や戦略性はそれはそれは大きいものがあり、多くの赤使いは歓喜と安堵に包まれたのである。
本当に当時の赤はエンチャント1枚で詰まされる脆弱な色、ハッキリ言うと「対策を出せるかどうか」だけでゲームが決まることも多かったので、戦略も何もなかったのである。
???「これはカラーパイの折れだ。赤はエンチャントを対策できてはいけない。私ならエンチャントは対象にさせなかったし、これは青で印刷するね」
赤使い「いいかげん現実の対戦環境を見やがれローズウォーター!ケツの穴穿られてーのか!*11

実際には環境にさっぱり影響を与えなかったし、今となってはほぼ思い出の中でじっとしているカードだが、それゆえ再録機会も多い。
統率者戦が主体になった時期では「何が出るかなー!?」とばかりに統率者戦をにぎわせてくれるカードという枠であり、コラボ統率者デッキではほぼ確実に印刷される。特にコラボセット先の世界観に合わせたイラストは地味ながら人気が高い。
さらにダブルマスターズ2022では、90年代のMTGを支えた名絵師、Phil Foglioの新規イラスト版が収録され、オールドプレイヤーはまたも歓喜(もう二度と見ることがないと思っていたFoglioイラスト)と安堵(彼が健在であること)に包まれたのである。
何もトーナメントシーンで活躍するものや、フレーバー・テキストが印象に残るものばかりが名カードというわけではないのだということだけご記憶いただきたい。

土地、アーティファクト、クリーチャーを一掃する豪快なぶっぱ呪文。しかも打ち消されない。
しかしエンチャントは破壊できない辺りはなんとも赤らしい。後に追加されたプレインズウォーカーやバトルにも無力。
裏を返せば自分が併用すると強いということでもあるのだが、相手に使われた場合の確実性がないのでいまや過去の栄光だ。

仕切り直しや!

  • Wheel of Fortune
上述の3枚が盤面の仕切り直しならこいつは手札の仕切り直しで、3マナで実質全員初期手札になる。
カードパワーもだがドローが赤らしくないという時代はカラーパイを外れたカードの代表例でもあった。
パワー9の一角《Timetwister》とよく比較されており、統率者戦では両者揃って早いターンから飛んできてアドバンテージと混沌を作り出している。
亜種となる《魂の再鍛》は一時期電波デッキや赤単デッキでよく使われたが、待機呪文である《命運の輪》はサイクル内で唯一使われなかった。バランス調整が難しそうである。

  • ピット・ファイター、カマール/Kamahl, Pit Fighter
旧ファイレクシア戦争が終結して100年後のドミナリアを舞台とした『オデッセイ(トーメント・ジャッジメント)』と『オンスロート(レギオン・スカージ)』ブロックの主人公でオデッセイ時代は赤単色のティム能力を持つバーバリアン。
血まみれ牙の炎獣という炎でできた動物をペットにしてたためかスキンヘッドである。

性格はというと当時の赤らしい「感情の赴くままに動き目障りなものを力づくで対処する」ピカレスク的なものであった。

ピットファイターという剣闘士として名をはせていた時に見出した”強大な魔力を持つがその代償として野望も増大し持ち主を破滅させかねない”秘宝であるミラーリを欲して争奪戦に参加。
そしてついにミラーリを手に入れるが、例によって彼も狂気に包まれ暴走し妹のジェスカを傷つけてしまう。

そのことにショックを受けて正気に戻りミラーリに絡んで数多くの自分の知り合いが犠牲になったことを痛感したカマールは「このままではいかん」と剣と激情にまみれた生き様を捨て新たな道を模索することになる。

  • 怒鳴りつけ
「赤はドローはできないしサーチもできない。これは色の役割なのだ」という時代が10年ほど続き、そろそろドローしてもいいですよねと登場した赤のドローソース。
イラストでは上記のカマールが妹のジェスカの制止を振り切り相手を怒鳴りつけている
3枚ドローが可能、ただしドローできるかどうかは対戦相手にお伺いを立てなければならない。「だめです」と言われたら「じゃあ死ね!」と顔面に5点ダメージを与える。
これは「懲罰者カード」と呼ばれるメカニズムで、イメージとしては「俺は●●したいんだけど許してくれるね?」と握りこぶしを突き付けながら尋ねるイメージ。
オデッセイ・ブロックの赤の役回りとしてあてがわれたのだが、対戦相手に最終的な選択権があるため《怒鳴りつけ》以外は本当に弱かった。《溶岩のあぶく》は使うデッキが特殊すぎたんで……。
後に《危険因子》としてリメイクされ、ラヴニカのギルド期に大活躍した。

  • 衝動的な行動
「赤はドローはできないしサーチもできない。これは色の役割なのだ」という時代が20年ほど続き、いよいよゲームが限界を迎えてきた頃に登場した赤の疑似ドローソース。
「ライブラリートップを3枚追放、ターン終了時まで唱えてもいい(コストはちゃんと支払わなきゃダメ)」というもので、期間短すぎコスト重すぎということからスタンダードでは見向きもされずに終わった。
しかしレガシーでは《ルビーの大メダル》によるコスト軽減や《煮えたぎる歌》によるマナ加速で重さを解決できることから赤単ストームでたびたび使われた。
そして「このカードが普通のデッキでは弱すぎる」ということが明らかになったことで様々な亜種が生まれ、現在の「衝動的ドロー」と呼ばれる新しい色の役割につながっていったという、いわば時代のマイルストーン。

  • 災難の輪
《Wheel of Fortune》の亜種。チキンレースを行うカード。秘密裏に数を1つ言って、最小のプレイヤーは7枚ドローができないが、最大のプレイヤーはその宣言した数のダメージを受ける。
つまり多人数戦では「いかに他人に最大数を言わせつつ、自分はその次点を言えるか」「いかに小さい数でドローができるか」というチキンレースを行うカードになる。
さらに《仲裁の契約》《ダメージ反転》などを使えば「9999無量大数!」と言うだけで事実上無限ライフという素朴なコンボが行える。

Q.複数人のプレイヤーが《ダメージ反転》を唱えた場合、どのように処理すればいいですか?
A.調整中*12

なあ……、殴り合おうや……。
恐らく(絵面が)混沌系カードに分類されると思われる。

  • 世界混ぜ、混沌の掌握、Chaos Moon
混沌系カードの極致。混沌を制御できなくなってしっちゃかめっちゃかになる。

  • 吹き荒れる潜在能力、不屈の独創力、ティボルトの計略
混沌系カードの極致。こちらはこの混沌を制御できるため、デッキ自体をコンボパーツにしたデッキを生み出した。

  • 混沌の辛苦
ルール上は4マナのバニラソーサリー。 とんだクソカードじゃねぇか!
マナ総量が自分以下のカードがめくれるまでライブラリーをめくり、それを無料で唱えられる能力「続唱」と、土地を捨てて本来のコストを支払うことで墓地から唱えられる能力「回顧」を持つ。
つまりこのカードは「4マナを支払うとライブラリーから3マナ以下の何かを唱えられる。しかも墓地にある限り何度でも使える」というカードになる。
本来の環境では「何が出るかなー!?」を楽しみたい人以外にはあまり使われないが、ヒストリック環境では《ティボルトの計略》との相性を見込まれる。モダンなどに比べると「何度でも唱えられる」という点で粘り強さが生まれて別方面のいやらしさをデッキに与えてしまったのだった。とんだクソカードじゃねぇか!

  • Earthbind、鳥の乙女、運命の逆転
エロだぜー!
……真面目な意味でエロネタで有名だったカード。特に《鳥の乙女》は、当時のMTGにおいてもっとも色気のあるカードということでとても人気が高かった。Kaja Foglioによる毒気のない笑顔がたまらない。
赤にはそういう色気のあるイラストが多いのだ。実際《Earthbind》はこのご時世だと表現的にアウトということで、30周年記念のカードでも印刷されなかったし、《籠絡の美女 貂蝉》などはフレーバーがまさに色仕掛けである。

  • 血染めの月
月がきれいですね。 ――「手も足も出ない」を意味する多色デッキ使いの言い回し

特殊土地対策カードにして、このカードが黎明期に印刷されたことがその後のMTGの歴史と戦略を大きく変えたといって過言ではないカード。
すべての特殊土地は山、つまり「赤マナしか生み出せないバニラ土地」になる。当然だが赤マナを使わないデッキや、土地の特殊なテキストに頼り切るデッキにとっては致命的だし、それ以外のデッキにとってもマナが自由に生み出せなくなるのはかなりキツい。
しかも場に出た瞬間にテキストが適用されるのも厄介。類似カード《基本に帰れ》は常在型能力には影響を及ぼさないし、1回だけなら本来の役割で使えるわけで、それすら許さない隙のなさが本当にエグい。
その上自分のマナ基盤にもこれが適用される点から、《古えの墳墓》《裏切り者の都》のような土地のデメリットを消すためにも使える(ドラゴン・ストンピィ)。
ただしかつての赤は「さほど戦略的な動きが得意ではなかった」「エンチャント1枚で簡単に詰んだ」「稲妻や復讐アジャニのために入れる」という色だったため、これだけ凶悪かつ戦略的なカードだったにも関わらず1000円もせずに買えた。
レガシーで単色デッキが元気だった頃かつ、当時の単色デッキは基本土地を満載にすることが多かったということもあり、サイド向けのカードという認識だった。そもそも赤を使うだけで「あっ……(察し)」ってなるような時代だったし。

だがこれが、青のカードがさほど充実していないモダン環境で使えるようになると話が一変。最初に青系コントロールにタッチ赤で《血染めの月》を入れた「ブルームーン」というデッキが結果を残すと、
これを皮切りに様々な月入りデッキが開発され、さらに月対策のプレイングやマナ基盤、デッキが次々と研究されていく。そして月が比較的刺さりにくいジャンドやナヤというデッキの研究が進んでいくことになる。
「赤入りコントロールが強い下環境」というのは当時としては本当に異例のことであり、「下環境?はいはいどうせ青ゲーなんだろ」という評価を完全に覆したモダンは「青ゲーに一矢報いられるまったく新しいMTG」として大変人気を博した。
レガシー勢も「モダンで強いならもしかしたら」と研究を重ね、最終的に「ドラゴン・ストンピィ」が「赤単プリズン」として完成した。

ちなみに後発カードである《基本に帰れ》《見紛う蜃気楼》《蒼ざめた月》などを見ればわかる通り、このカードは本来のカラーパイなら白や青に分類されて然るべき。
赤の特殊地形対策は《魔力のとげ》のような、「使ってもいいよ!(使ったら殴る)」という懲罰者パターンが普通である。
これが赤だった理由は、「土地を破壊しない土地対策」、つまり《石の雨》の変種というイメージである。似たようなカードには土地のプレイを禁じる《芝地の傷み》などがある。
これらのカードはしばらくの間ほとんど亜種が登場しなかったものの、黎明期ゆえの自由闊達な発想で作られたカードが、第8版・第9版に再録され、その後にモダンという環境が制定された。
この偶然の連鎖が、MTGを「青ゲー」から脱却させた最初の一歩、ひいては赤を「短絡・脳筋・混沌」のキャラから脱却させたと言っても全く過言ではないのである。
当時の「折れ」が、MTGというゲームの寿命そのものさえ長引かせてくれた。本当にそれくらいエポックメイキングなカードなのだ。

ちなみにモダン制定以降、最もジャッジを頻繁に呼ばれるカードでもある*13。やっぱり混沌の色じゃないか。

  • 僧院の速槍
火力とクリーチャーでダメージを叩きつけるスライの化身。1マナ1/2速攻果敢。
1ターン目から殴ってくるし、2ターン目以降は3/4そこらが複数並んで火力呪文や強化呪文と合わせて攻めてくる。
往時の名クリーチャー《ゴブリンの先達》がかわいく見えるレベルの性能なのに、これがアンコモン。
それどころか開発者が気でも病んでいたのかでコモンで印刷されてしまい、Pauper環境を真っ赤に染めて禁止カードリストにぶち込まれた。気でも狂ったんじゃないのか?

  • ヤヤ・バラード
かつての赤のプレインズウォーカーと言えば彼女。皮肉屋でおっちょこちょい、何かあったらとりあえずぶっぱで逃げるといういかにも赤という女性。
後にチャンドラの師匠として再登場を果たす。赤の大御所チャンドラとの差別化や、老齢になったことの表現もあり、落ち着きつつも皮肉はたっぷりといういいババアになってくれた。
しかし「団結のドミナリア」で死亡。その死は多くのオールド・ヴォーソスにアジャニの悪堕ちとともに大変嘆かれた。ところでアジャニはあっさり戻りましたね

  • スロバッド
ドミナリアから本格的に離れた最初のブロック「ミラディン」の登場人物。主人公グリッサ・サンシーカーの大親友のゴブリン。
とても友情に篤い男であり、常にブチギレ状態だったターンガースやカマールと違ってほどよい落ち着きのある男。当時の、というよりイクサランのあたりまで、背景ストーリーにおける赤は何か不都合なことがあると「俺の答えはこれや」と殴りかかってくるキャラばかりだったため、極めて異色の存在だった。
しかし「ミラディンの傷跡」のこれまでのあらすじ枠のコラムで雑に死亡したことが語られ、さらに「団結のドミナリア」でアーテイ*14やヴェンセールとともに雑に復活。極めて異色の存在だった友情に篤いゴブリンは、物語が終わった後は極めて雑な扱いを受けたのだった*15
ちなみに一瞬だけプレインズウォーカー化しているが、その灯をグリッサを復活させるためにあっさり捨てる。後にチャンドラは恋人のニッサにもう一度灯を点火するためにレースに参加したが、こちらは逆で「友人のために自分の灯をあっさり捨てる」。いずれにせよ赤とは友情に篤い色なのだ。

赤を代表するプレインズウォーカー
当初はDQN寄りだったが「戦乱のゼンディガー(ゲートウォッチの誓い)」から「弱きを助け強きを挫く」を地で行くスーパーヒロイン的な立ち位置となっている。

  • コス・アングラス・ダレッティ
自分の利益が最優先ではあるもののそれほど身勝手というわけではなく、困ってる人や動物がいれば助けようという善性を持ってるナイスガイたち。
アングラスは灯争大戦で、コスはファイレクシア戦争で、ダレッティは霊気走破でチャンドラと共闘している。
二児の父であるオッサンのアングラス(厳密には黒赤)はここ最近のMTGプレイヤーの高齢化もあって感情移入する人も多く、かなり人気が出てきている。
ダレッティはフィオーラ次元でゴブリンらしからぬ知性と手練を持った工匠。アングラスほどではないが黒要素も若干ありたまに自身も赤黒になったり、黒にちなんだ行動をすることもある。「自分の発明を奪ったムッツィオに復讐をする」というために、まったくイデオロギーの違うゴブリン仲間のグレンゾと手を組んで仲良くやっており、スクイーやスロバッドと違った「理知的なゴブリンのおっさん」として非常にコミュニケーション能力が高い。「厳密には違うけどまあいいや!」という趣旨のフレーバー・テキストは実に彼らしい。
コスは……再登場するまでにずいぶん時間かかったね……。

こちらは身勝手という赤の負の部分を代表する者たち。
ティボルトの方は他者が苦しむのが大好きというロクデナシで、ルーカの方は環境が自分と合わないと周囲が悪いと逆恨みして攻撃してくるコミュ障タイプ。
双方ともに対ファイレクシア戦役で破滅した。
かつては新参者のアジャニやナーセットにいろいろ教えてあげてたサルカンも、最近は若干こっち側に来ちゃっている。

  • Fiers
赤の代表者 みんな知っているね

+ ……誰?
スカージの小説内で、カローナが門から召喚した「その色の代表者」。
白はテフェリー、青はイクシドール、黒はヨーグモス、緑はムルタニ。
ここまでなら当時の日本人でも知っているような人物が多いのだが、赤だけFiersという謎のドワーフが代表として選ばれていた。
当然ながら読者は「誰だよこいつ」という反応であった。
なおFiersだがこれ以降にストーリーに登場していない。もちろんカード化もされていない。一応Fiersは火の神であり、《ガイアの揺籃の地》のガイアの兄という説がある。
赤はある時期までこういう格落ち感のあるネタが多く、たとえば統率者2014のプレインズウォーカーでも「意味ありげな人物オブ・ニクシリスのPW時代」「ソリンとウギン(当時はまだ名前しか出てなかった)と協力していた石術師(ナヒリ)がついに登場」「テフェリーやフレイアリーズがPWとして初登場」と当時のヴォーソスを大興奮させ、赤は誰だろうかと楽しみにさせた結果出たのがゴブリン技士の「ダレッティ」。
短編で名前だけちょろっと出たレベルのキャラであったため「誰ってぃ?」となったプレイヤーは多く*16非常に大きな落胆を誘った。
まぁそのあとダレッティ人気になったけどさぁ、そういう意味じゃなくてさぁ……。


  • コラボカード
赤は善悪という次元では動かない。たとえば破壊や略奪、火災や噴火、友情や兄弟愛、激怒、混沌、衝動、反乱……つまり物語を面白くしてくれる狂言回しの役回りだ。
カードのメカニズム的には他の色のほうがいい目を見るが、「カード化」に際しては赤に人気キャラがあてがわれることもしばしばある。
最近はカラーパイの役割も非常に拡張され、これがコラボ化に節操がなくなった積極的になった時期にかぶったこともあって大変優遇されている色である。

  • 逃れ得ぬ災厄、ゴジラ(さまよう怪物、イダーロ)
7マナで8/8、速攻、トランプル。
2マナでサイクリングすることができるのだが、サイクリングをするとライブラリーに勝手に戻ってしまう。しかし4回目以降にサイクリングすると、
「2マナで、インスタントタイミングで、打ち消されず、しかも1枚ドローまでついてきて」この性能のクリーチャーが飛び出てくる。サイクリング自体も2マナとかなり楽である。でも4回目に本気を出すゴジラ……?

というわけで、ゴジラはゴジラでも4回変身するシン・ゴジラの方。当時のテーブルトップ環境ではかなりの活躍を見せ、まだ公開から日が浅かった「シン・ゴジラ」の宣伝にもつながった。
なお「テーブルトップ環境では」と述べた理由は、当時の禁止改訂が本当にガバガバで「来週何が禁止になっているかわからない」というすさまじい時代だったため。
サイクリングデッキは絶対に禁止にならないと分かりきっているため、テーブルトップで遊びたい人には人気が高かったのだ。


  • 銀河を焔羅のままに
ウォーハンマー40000とのコラボカード。標語でいいんですかね?
続唱を持つX呪文で、火種は6マナ。「以前から出ているクリーチャーにX+2点のダメージを与える」というテキストを持つが、これはおまけ。
本命は「赤単にして6マナで続唱を持つ」という点で、5マナの《創造の技》というカードをめくることに全力を注ぐ。
《創造の技》はライブラリートップから土地でないカードが出るまでカードをめくり、そのカードを唱えられるというカード。《創造の技》で続唱持ちがめくれたらそこからまた《創造の技》がめくれる。
本命の《引き裂かれし永劫、エムラクール》がめくれるまでこれが繰り返されるという赤単コンボデッキが日本人の手により開発され、非常に大きな話題になった。


  • 親衛隊長、ギルガメッシュ
FF5のギルガメッシュがカード化。
戦場に出るか攻撃するたびにライブラリーの上から6枚をめくり、その中の望む枚数の装備品を出せる。派生作品での武器コレクターとしての設定を拾ったカード。
また彼の名シーン、「ネクロフォビアを相手に自爆」も《自爆》としてカード化している。2025年のプロツアーではFFVを愛する行弘賢が決勝ラウンドをこの《自爆》で勝利を決めたことで大きな話題となった。
苦節34年目にしてギルガメッシュはやっとかっこよく歴史に残ることができたのだ*17
ちなみに主人公であるレナやファリスはカード化していない。どうして。*18


余談

赤は「熱」のイメージがあるが、ブロックによっては氷雪ではないにもかかわらず「雪」「氷河」などのフレーバーをあてがわれることがある。
これは「山」の頂上にあるものを思い浮かべてくれればピンとくるだろう。MTGでも《雪女》は赤である。そもそも《稲妻》が赤の理由も、火山の噴煙の中で起こる雷のイメージからだし。
ただやっぱりあんまりピンとこないため、雪絡みのカードは「神河物語」ブロックを最後に印刷されなくなっている。一応「イエティ(雪男)」が赤の種族ということで命脈を保ってはいる。

特にイニストラード・ブロックの頃から色の役割がかなり変化しており、たとえばそれまで「特例中の特例」としてしか許されなかったドローが条件付きで許されるようになってきた。
カラデシュ・ブロックの頃からはフレーバー的な意味での拡張も行われており、それまで常にブチギレていた赤は、たとえば「競技場の熱心な応援者」「種族を超えた友情・愛情」「(白のように堅苦しくない)腕試しとしての試合」「かつての肉親との再会」「シェフのおすすめ」のような牧歌的なカードが次々と増えてきている。単にネタ切れしてるだけ?なんのこったよ
これまでに比べて緩い雰囲気で行われる「バトルボンド」「カラデシュ」「エルドレインの王権」「ストリクスヘイヴン」「ブルームバロウ」「霊気走破」などでは、黒ともどもいかにも愉快なフレーバーのカードが次々と増えてきている。
かつての「常に何かにブチギレる」「とりあえず盤面をしっちゃかめっちゃかにする」「他の色に与えると気の毒なクソカード*19」ようなカードはあまり印刷されなくなってきている。


現在の赤は禁止カードに指定されるカードが非常に多く、noteやSNSなどでも「対話を拒否している色」と否定的に言われることが増えてきた。
おそらく2020年以降に始めたプレイヤーからは「赤は優遇されすぎだ!」という意見が出ているだろうが、これはちょっと複雑な歴史がある。

従来のやり方「露骨な色対策カードによって完封されるようにする」で赤を制御するというのは、本当に無用な対立を生んでしまう。
赤使いが白を憎悪するくらいで済むのなら問題は軽微なのだが、そこで事が収まらないのだ。
たとえ実用的でない「対策への対策」カード《幽霊火》《混沌のねじれ》でさえ、開発陣の偉い人が否定すれば、それがどんな理由でもプレイヤーにとってそれは絶望や諦観に変わる。
また、完封しやすいということは「対応力がない」、つまり戦略に創意工夫の余地がないということにもつながる。
当時の公式サイトで赤を過剰なレベルでバカにするネタが「ジョークとして」許されたり、現在の「晴れる屋」のデッキリストの前身となったサイト「happymtg」では、《稲妻》すら入っていないデッキに「赤単バーン」というデッキ名をつけてデッキ検索を成り立たなくさせる身内ネタが存在していた。
これらはひとえに「カード1枚で簡単に詰むアーキタイプ=それを握る人間は勝つ気がない=弱い」という思考が成り立ってしまうからである。「赤は弱い色」「貧乏人が握る色」というのは、当時のプレイヤーの共通認識だったが、その根幹は結構複雑だった。
最近はこういった色対策カードが不当なレベルで環境を支配しないように、そもそも印刷されないということも増えてきている。 《夏の帳》?知らない子ですね

また、往時の赤というのは「対話を拒否している色」として嫌われることも多かった。
ランデス、ストンピィ、バーンはいずれも「ブン回った時はこちらは何もできない、そうじゃないときは相手が勝手に息切れを起こして死にかけている」という感じで、相手をしていても楽しいものではなかったのだ。
これらの戦術は「ガラスの大砲」と呼ばれ、カモにできるプレイヤーと愛好家からは人気が高くても、それ以外のプレイヤーからは人気が低い。
そのため、こういった対話拒否要素につながるカードの弱体化を行い、代わりに様々な役割を補填していくこととなった。
そのうちのひとつが、赤に対する条件付きのドロー「衝動的ドロー」である。


さて、ちょっとネガってしまったが、ここからが本題。つまり
「色対策カード1枚で簡単に完封されてしまうが、完封さえされなければその爆発力は極めて高い」
「ドローができない、右手にお祈りする必要がある代わりに、その爆発力は極めて高い」
という眼目でデザインされた色に対して、「色対策カードを弱体化」「ドローによって右手ゲーを緩和」なんてことをしたらどうなるだろう?
それが現在の赤というわけ。

他にも「ストームに使いにくいように調整した宝物トークンの生成」「ディスカードや使用期間というデメリットを伴う代わりに軽量のドロー」など、強いところ・ほしいところを的確に与えてもらっている。
この辺は、昔は懲罰者とか混沌系エンチャントとか《蒸気打ちの親分》のようにしょうもないものを押し付けられていたことの揺り戻しが来ている、と考えればいいかもしれない。


赤は、目先の目標を決めたら、真っ直ぐ突っ走る。
だが、ただ走るだけではなく楽しみながら突っ走る。
なぜなら、目先の目標も大事だが、楽しいことがあるかどうかはさらに重要なことだからだ。



「人々がなぜ追記・修正の手間を惜しんでコメントでうだうだ言うのかわからないな。 追記・修正なんだぞ。暇つぶしの手段が二つもある。」 ――ピット・アニヲター、カマール


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最終更新:2025年07月27日 20:12

*1 第一巻では主人公の上条当麻に半分難癖気味に絡んでおりメインに昇格したのは三巻から

*2 実際にはスタンダード程度なら強いカードは多かった。インベイジョンや初代ラヴニカ、初代ゼンディカーなどはその好例。ただそれらの屋台骨だったカードはレガシーやモダンでは通用しなかった。《ステップのオオヤマネコ》はZooやSCZなどで活躍したが、あくまで赤白ではなく白単色としてだし、スタンダード時代の相棒となる赤のカードとは同デッキでは完全に決別している。

*3 「最近」という言葉を用いたのは、かつての黒赤バーンに比して現在の黒赤の速度が明らかに上がっているため。環境次第ではという枕詞すら不要である。

*4 MTGのストーリーの中でも極めて評価の高い時期のひとつで、特にWeb連載された時期に限定するとその人気は頭一つ抜けて高い。今でもたまに「ストーリーはイクサラン程度でいいからもっと頑張れ」という意見があるが、これはイクサランを褒め称えつつ無理難題を言うというツッコミ待ちのネタである。

*5 比喩ではなく設定的にヴァドロックが燃やし尽くしたものは存在した記憶そのものが抹消されてしまうらしい

*6 ルーカは元々は赤単であり、ストリクスヘイヴンでも変則的な赤白。赤緑になったのは最後の完成化したもののみである。また、イコリア時のカードのフレーバー・テキストから感じられる物語と小説版の物語の描写がまったく異なっており、この整合性を取るのが面倒くさくなったので処分されたというのもあるだろう。カードと小説の不整合は時折見受けられるが、ブロック全体を通して不整合ということは極めて稀であり、特にイコリアの頃はストーリーにかなり力を入れていたのでなおのことよく目立った。

*7 まぁ、タルキールの龍王はテーロスの神やイコリアの頂点の獣よりは話が通じ次元が統治できるレベルではあったので、プレイヤーからも「対ファイレクシアでも貢献してた方なのに龍嵐録でそこまでやるの?」という意見はあった

*8 彼女自身は緑単色だが能力の軌道に赤マナ若しくは青マナが必要。なお、赤緑の要素を持つカンはティムールの彼女だけ

*9 上記のアングラスやラクドスが味方側に就いた灯争大戦でもヴィラン側にボーラス側で不滅の太陽の防衛任務に就いていた白青のドビン・バーンがいた。

*10 当時の黒単でエンチャント対策として使われていたカード。実用性はさっぱり高くないのだが、黒単にこだわりたい人々にとってはたしなみだった。

*11 当時はファイレクシア・マナなどで白や青が得たものが非常に大きかったことや、白や青に実用的で強いカードが渡されて黒や赤や緑に味噌っかすじみた能力が与えられたこと、「自分が関わっていない」不平等是正の動きに対して逐一否定するコラムを書いたことなどで、彼は怨嗟の目を向けられていた。本当にそれくらい相性差や不平等感がすごかった時代なので……。

*12 現在もMTGにおける未解決問題「どこまで大きい数を宣言してもいいか」。9999無量大数よりも大きい数は存在しており、これは「巨大数」と呼ばれる数学のジャンルの中でも非常に専門的な世界に踏み込む。生半可な知識でこの巨大数を宣言してしまい、数の多寡が分からなくなるというもの。まるで「1億万と1兆ってどっちのほうが大きいの?」と尋ねる幼稚園児のような質問が、大の大人から真面目に投げかけられてジャッジを嘆かせた。

*13 MTGでは「能力を失う」という能力が非常に複雑な相互作用を生むため。そもそも《謙虚》がジャッジをよく呼ばれた理由がそれだし、《王冠泥棒、オーコ》が現役の時期も非常によく呼ばれた。そして月は非常に頻繁に使われるカードである。

*14 ウェザーライト・サーガの登場人物。物語の途中でファイレクシア化し、最終盤で死亡した。

*15 このことは特に本国でとても不満がられ、当時のストーリー担当班にはグリッサの悪堕ちも含めて山のような抗議のメールが来たと言われている。大団円の後日談って確かにたくさんお便りもらいがちだよね。

*16 「誰ってぃ?」はそもそも公式サイトでも射場本正巳にネタにされている。

*17 ギルガメッシュは派生作品ではコメディリリーフとして登場することが多い。そもそもFF5の時点で割とコメディリリーフ側である。

*18 これについては「FF1、2、3、5の知名度が海外で低いこと」「4および後の作品に比べ、主人公勢の個性がどうしても薄くなるのでカード化が難しいこと」が原因と言われている。日本ではFF5は特にマニア間で非常に人気の高いタイトルなので、このことは大変落胆された。「ファリス MTG」あたりでSNS検索したらいいんじゃん?

*19 《蒸気打ちの親分》