グーテンベルクと言えばまずこの人。
実直で真面目。手先が器用。
見習いのころから腕は既に一人前。常に細かくこだわる職人肌の神経質。
仕事は完璧だが、その分遅い。依頼主に質問しすぎて鬱陶しがられることも多い。
細かい指示を欲するため客受けが悪く、
鍛冶協会の課題に必要なパトロンが、成人する一季節前まで見つからなかった。
未成年の
マインに、大勢の人が行き交う広場で跪いてパトロンを懇願した。マインを
ベンノの子供と勘違いしていた。
マインから課題として、基本文字の35文字を母音は50ずつと子音は20ずつで金属活字の製作を引き受ける。
課題ではあり得ない細かさで、父型と母型を作ってからは、面白がった工房の皆が量産するのを手伝った。
冬の間に金属活字を完成させ、興奮したマインから一番最初にグーテンベルクの称号を与えられた。
マインをパトロンに選んだせいで、以降金属活字を作り続けることになった。
金属活字を作っていると、親方を始め、職人達にグーテンベルクと言われてからかわれる。金属活字以外を注文すると喜ぶ。
注文されるどの道具も印刷に使う物と知り、グーテンベルクの呼称からは絶対に逃れられないことを悟り、涙を流す。
細かい仕事をさせたら右に出る者はいないが、発想力や提案力はなく、設計書通りにしか作れない。
称号を返上したいが、パトロンが
ローゼマインしかいなく、要求される技術を満たすものが他にいないため、どんどん深みにはまっている。
手押しポンプの試作品を作った時は、工房近くの井戸に設置する予定だったのが神殿に取り付けられ、領主に献上する物を作らされ、依頼がどんどん舞い込んできたことから、設置が遠のいていく。
なお、工房ではからかう色が強い称号だが、外に出てみればかなり栄誉なこと。
技術のヨハン。
ダニロを弟子にして一人前に鍛え上げ、更に鍛冶工房の親方の孫娘と結婚して工房を継ぐことが決まっていた。
……が、親方の孫娘は無口で黙々と仕事をする職人肌のヨハンより、明るくてお喋りが得意なダニロの方が好きだったため、婚約解消が決まった。
落ち込んだヨハンはローゼマインに付いて中央に移住することに決めた。