アーレンスバッハとは、
- ユルゲンシュミットの大領地の名前
- 領主の城がある街の名前
- 領主の家名
である。本項では1.と2.について記述する。
概要
ユルゲンシュミットの南東にある大領地で、南北に長い形をしている。
北に
エーレンフェスト、北西に
フレーベルターク、西に
旧ベルケシュトック、南西に
ダンケルフェルガーが接しており、南東には
ランツェナーヴェに繋がる
国境門のある
海が広がっている。エーレンフェスト同様、領主が直接治める
城下街および
直轄地と各
ギーベ領に分かれており、各ギーベ領には夏の館が設置されているようである。
政変の
勝ち組領地であり、政変後には旧ベルケシュトックの北半分の統治も任じられているが、魔力的には別領地のまま管理だけを行っている形である。
南には大きな港があり、昔から海外貿易が盛んで流行を発信することが多かった。
政変後は外国との交易を一手に担っており、領地の強みとして前面に押し出している。
ただし内情は、大領地としては
領主候補生の数が非常に少なく、領地の存続が危うい状況である。
魔力的には、
国境門に闇の神の記号が刻まれている影響で、
闇の属性の影響が強い。
土地柄
ユルゲンシュミットの中では暑い土地。
春の祈念式の頃には、
エーレンフェストで言うと初夏を思わせる気温となる。
エーレンフェストでは雪がちらつくような秋の終わり頃でも、まるで秋半ばのような気温となる。
そのためか、神殿などの白の建物も窓の大きな造りとなっている。
また、夏場にカーペットを使う習慣がないため、毎年家具や装飾品を運び出す大きな模様替えが行われている。
夏は日差しが強く暑い一方で、冬は温暖で雪が少ない上、冬の主の討伐が不要であることから、貴族達の社交のスタイルがエーレンフェストとは大きく異なる。
夏は日差しのきつい、三の鐘から五の鐘の間はあまり外に出ないし、冬は少し暖かくなる四の鐘が鳴る頃まで外に出ない。
雪や冬の主討伐による時間的制約が無い為、冬の社交期間に、貴族が一日中城で過ごすことはなく、子供も子供部屋で過ごすより大人の社交に連れまわされている。
その結果、子供部屋は、貴族院の移動期間中しかまともに使われていない。
独特な衣装習慣を持ち、襟の高い衣装が特徴で、女性は公式の場では必ず細かな刺繍がされたヴェールを身につける事となっている。
ヴェールには日差しを避ける意味合いもあり、騎獣で外に出る場合などにも着ける。
夏は正装の上着を着るには暑さが厳しく、下に着る衣装には暑さを抑える魔法陣が刺繍される。
男性の公式の場での夏の装いは、襟の高い白の上下に、薄手の青い一枚布を体に巻き付けるようにする形。
ディートリンデは、暑さ防止の魔法陣が施された襟の高い顔以外を完全に隠す形の薄手の白い衣装に、豪奢な刺繍の青い上着を羽織っていた。
ヴェールの習慣はガブリエーレによってエーレンフェストにも持ち込まれ、当時流行した。
ディートリンデの祖母位の世代頃、伸ばした髪を後ろでまとめ髪留めで留めるのが男性の間で流行した。今でも壮年男性には髪を後ろで縛っている者が見られる。
海を擁することから、海水魚や海の魔獣は身近な存在のようで、巨大な海の魔獣を退治する騎士物語にも魚に関する名前が多数登場し、領内ではありふれた有名な話として伝わっている。
伝統料理にも魚料理があり、
フィッケン(ムニエル)や
ツァンベルズッペ(ブイヤベース)などがある。
料理は輸入品の調味料や香辛料の影響で、酸味や辛みの強いものが多く、好まれている。
そのため他領には味が受け入れられなかったり、他領に受け入れられやすい味に疎かったりする所がある。
他領からの配偶者が新しい味を調整して、社交の武器にする役割を担う。
比較的新しい輸入品の
砂糖は中央貴族を中心に受け入れられ、高価な砂糖を大量に使った繊細な造形ながらも凶悪な甘さの砂糖菓子が定番となった。
13年冬頃には、砂糖や香辛料の原木を入手した何人かの文官が栽培の実験を開始している。
貴族の消費は味の嗜好的にも経済的にも輸入品を中心としているため地産地消が進んでおらず、地元産の特産品は平民が消費するものとされている。
平民の訛りがエーレンフェストの下町訛りと少し違う。
エーレンフェストに比べると、名捧げが頻繁に行われている。
同じ世代の領主候補を廃する慣習
アーレンスバッハでは次期領主が決まった時に、同じ世代の
領主候補生を廃し、上級貴族に落とす慣習がある。
この慣習と政変の影響で、領主候補生の数が大領地としては決定的に不足する事となった。
その内情が中央に明らかになった際、当然王族は廃止を提案したが、
アウブは廃止を是としなかったようである。これは法律上「領主が勝手に決められること」に当たり、
法律の書に反しない限り、王族はそれぞれの領地のマイナールールを勝手に廃止させるようなことはできない。
次期アウブが神殿長として神事行うことが当然だった時代に、政治力を持つ他の領主候補生にお飾りとして扱われる事が起きたので、これを避けて神事に集中できるような環境にする意味があったと推察される。
王位継承方法の変更で神事の重要性が忘れ去られた結果、状況に合わない不可解な習慣(「アーレンスバッハの変わった決まり」)となってしまったと考えられる。
歴史
ガブリエーレの輿入れ
前60~前50年頃、アーレンスバッハの領主候補生であった
ガブリエーレが第四代
アウブ・エーレンフェストの息子兄弟の弟の方に大領地の権力をもって輿入れした。
この際、元々いたライゼガング派閥の第一夫人を第二夫人へ押しのける形となった為、現在まで続くエーレンフェスト内部の派閥争い(ライゼガング派vs旧ヴェローニカ派)の火種となった。ただし、大領地や中央の常識としては大領地アーレンスバッハと繋がりを持つガブリエーレが他領との交渉を担う領主第一夫人の座に収まる事は当然であった為、中領地エーレンフェスト貴族との見解の相違が起きている。結果的に兄の方が第五代アウブ・エーレンフェストとなり、弟は上級貴族へ落とされ
初代ギーベ・グレッシェルとなり、ガブリエーレはギーべの第一夫人という立場となった。
この事はアーレンスバッハや他領からは「エーレンフェストに冷遇された大領地の姫」という見方をされる。
政変と跡継ぎ問題
当代の
アウブ・アーレンスバッハの
第一夫人は
ドレヴァンヒェル出身、第二夫人は
ベルケシュトック出身、第三夫人
ゲオルギーネは
エーレンフェスト出身だった。
第一夫人も第二夫人も大領地出身であるが、第一夫人には娘が三人、第二夫人には息子が二人おり、第二夫人の息子のどちらかが次期領主になるだろうと目されていた。
第一夫人と第二夫人の仲は悪く、第三夫人のゲオルギーネは跡継ぎを擁する第二夫人と仲良くしていた。
第一夫人の娘達は、領地外へ嫁いだり、領地内の上級貴族へ降嫁したりして、アーレンスバッハの領主候補生である者はいなくなった。
そのような中で
政変が起こり、第一夫人と第二夫人の実家で陣営が分かれたが、アーレンスバッハは第一夫人の実家のドレヴァンヒェルと陣を同じくし、勝ち組に入ることができた。
しかし、
即位した王と後ろ盾となった
クラッセンブルクによって、敗北した領地の貴族の大粛清が行われ、当時のアウブ・ベルケシュトックの妹だった第二夫人も処刑された。
その二人の息子にも塁が及びそうになったが、アウブ・アーレンスバッハの助命嘆願により、上級貴族の身分に落とすことで命は助かった。結果としてアーレンスバッハは勝ち組であるにもかかわらず、跡継ぎに困る事態に陥った。
更に、領主候補生が減って魔力供給が大変になる中、小聖杯を満たす神官も中央へ移動して急激に減った上に、敗北した
旧ベルケシュトックの北半分を境界を引き直すこともできないまま割譲されて領地が拡大された。旧ベルケシュトックは領地の礎の場所も不明となっており、魔力供給のできない荒廃した土地を抱えることになった。
一方、
グルトリスハイトが失われてすべての
国境門の開閉ができなくなったため、唯一国境門が開いているアーレンスバッハが他国との取引を一手に引き受けるため、利を得られることとなった。
そうした中、第一夫人は、すでに三人の娘達は嫁いでいて領主候補生ではなかったため、娘の子供を養女にして領主候補生を増やそうとした。だが大粛清後どの領地も貴族が減っていて、引き取れたのは孫娘ただ一人だったので、その
レティーツィアを次期領主として育てながら、上級貴族となった元領主候補生の子と養子縁組をして、領主候補生を増やす予定だった。
第三夫人だったゲオルギーネは、第二夫人の処刑後第二夫人に上がり、娘の
アルステーデを上級貴族に落とされた前第二夫人の息子の
ブラージウスに嫁がせて、二人の間に生まれた子を養子として領主一族に入れることを提案し、前第二夫人の派閥を取り込んでいく。
そうして、この時の有力な次期アウブは唯一残っている男の領主候補生で、
ゲオルギーネの息子である
ヴォルフラムだけとなったので、ゲオルギーネはヴォルフラムを中心に第一夫人に反発する勢力をまとめはじめた。
マルティナなど有力者の家系の不都合な者は
ディートリンデの側近に押しやって、周囲には領主候補生の側近に取り立てるように見せながら情報の流出を防いだり、文句を言えないようしたりなど手腕を発揮する。
ところが不慮の事故でヴォルフラムが亡くなり(それも、ディートリンデを除く娘達が嫁いで間もなく)、上級貴族に嫁いだアルステーデは領主候補生に戻ることができないため、アーレンスバッハに残った領主候補生はディートリンデだけとなってしまう。
王族は、「アーレンスバッハの次期アウブが決定した際に他の同世代の領主候補生を上級貴族に落とす特殊な
慣例」の廃止を提案したが、アウブ・アーレンスバッハは廃止しなかった。
「ディートリンデを次期アウブにするよりは」と自身の孫娘を養女にする決意をした(マルティナ視点)第一夫人は、レティーツィアをドレヴァンヒェルより迎えた。
しかし、第一夫人はレティーツィアを迎えたころから急速に衰弱して亡くなり、元第三夫人だったゲオルギーネが第一夫人となった。
尚、第一夫人は政変後に与えられた旧ベルケシュトックに力を注ぐのをどちらかというと後回しにし、自分達の基盤であるアーレンスバッハ内を充実させる方が優先だとしたのに対して、ゲオルギーネは小聖杯の魔力を
どこからともなく調達したため、第二夫人系、旧ベルケシュトック領の住人に慕われている。
ゆえにゲオルギーネ派は、レティーツィアを跡継ぎとして戴く第一夫人派と仲良くとはいかなかった。(旧)第二夫人派は、第一夫人への反発はもちろん、跡継ぎ予定の養女レティーツィアが幼すぎることを理由として挙げ、「ディートリンデ様がいらっしゃるのにレティーツィア様を跡継ぎに据える必要はない」という声さえ上がっている。
経済面では、収穫量は上がらないものの、商品の値は大幅に上がることも下がることもなかった。
エーレンフェストとの関係変化
08年春の領主会議の最中、
ビンデバルト伯爵が
エーレンフェストの街へ不法侵入し、領主の養女である
ローゼマインとその護衛の騎士に対する攻撃を行って、捕縛される。
同年春の祈念式でもローゼマインを襲撃しており、その際にはエーレンフェストの領主である
ジルヴェスターも同行していたため、
アウブ・アーレンスバッハはジルヴェスターから宣戦布告の意図を問われる。
09年夏、
ゲオルギーネは叔父(
ベーゼヴァンス)の墓参りを目的にエーレンフェストへ里帰りする。もちろんエーレンフェストの内情を探り派閥を切り崩すのが狙いと思われ、旧ヴェローニカ派貴族と積極的に社交を行った。さらに
ヴィルフリートの招きに応じ、次の夏にもエーレンフェストを訪問する約束を交わしている。
その冬、エーレンフェストで領主の城の北の離れに至る通路で領主候補生が襲撃される事件がおこり、そこにビンデバルト伯爵の私兵が投じられていたことから、警戒を高めたエーレンフェストは貴族街への他領の貴族の立ち入りを禁止した。そのため、ヴィルフリート獲得へ動こうと翌年の再訪問を予定していたゲオルギーネは訪問中止を余儀なくされる。
エーレンフェストで旧ヴェローニカ派貴族が企んだ白の塔事件は証拠がないもののゲオルギーネの関与が疑われ、エーレンフェストの首脳陣は領地の貴族にアーレンスバッハとの婚姻を許可しないなど、アーレンスバッハと明確に距離を取る政策を採る。
他方アーレンスバッハでも、ゲオルギーネによりエーレンフェストから
旧ベルケシュトックへの魔力の援助が断られたという情報操作が行われ、旧ベルケシュトックなど不利益を被ったアーレンスバッハ貴族はエーレンフェストに怒りを抱く。その結果、アーレンスバッハ貴族はゲオルギーネに期待を寄せるようになってゆく。
もっとも、魔力援助の一件はゲオルギーネとベーゼヴァンスがジルヴェスターを通さず秘密裏に行っていたものであるため、断られたのではなく単に魔力の横流しができなくなったのが実情である。
アウブ・アーレンスバッハはビンデバルト伯爵の関係者を連座で処罰しており、その対象には
フラウレルムの妹も含まれていた。そのため、エーレンフェスト出身のゲオルギーネが、“エーレンフェストとローゼマインに陥れられたせめてもの罪滅ぼし”にと、色々と便宜を図るようになる。
フラウレルムがアーレンスバッハ寮監なこともあって、貴族院ではエーレンフェストがアーレンスバッハを警戒し、アーレンスバッハはエーレンフェストに対抗心を燃やす雰囲気が続く。
12年の領主会議で、アーレンスバッハはエーレンフェストへ圧力をかけて
アウレーリアと
ベティーナのエーレンフェストへの嫁入りを認めさせた。
実態としてはエーレンフェストの内部情報を得る為に送られたのだが、アーレンスバッハ内では領地間の事情によって引き離されようとしていた二組の結婚として、ゲオルギーネの美談となった。
醜聞となるような情報の詳細は普通は広めないため、一連の事件の都合の悪い部分は伏せたままアーレンスバッハはエーレンフェストを不満の矛先としている。
その結果、エーレンフェストは現在の第一夫人であるゲオルギーネの出身地でありながら、エーレンフェストの領主がジルヴェスターとなって以来碌な援助もなく自分達だけ順位を上げて、あまりにも非協力的すぎるという意見が一般的になる。
中継ぎと次期アウブ
12年春の領主会議で
アウブ・アーレンスバッハは、将来領主となるレティーツィアの婿に相応しい王族、もしくは、領主候補生を探してもらえるように願い出て、受理された。
13年春の領主会議にて、アーレンスバッハの情勢と、中央
騎士団長の
ラオブルート、
ダンケルフェルガーや
ドレヴァンヒェルによる王族への直談判により、次期中継ぎアウブ
ディートリンデと
フェルディナンドの婚約が王命で決まる。将来のアウブ・アーレンスバッハ、
レティーツィアと
ヒルデブラント王子との婚約も王命で決まるが、
ゲオルギーネの周辺ではアウブ・アーレンスバッハの望みであることや王命ということがあまり知られず、問題視される。
ディートリンデとゲオルギーネが
エーレンフェストを訪問し、フェルディナンドとの婚約式が行われる。ゲオルギーネはその機会に信奉者との会合を持った。
エーレンフェストにとっても魔力や執務で重要な役割を担っているフェルディナンドを取り上げる形になるため、アーレンスバッハの情勢が少し安定したらエーレンフェストに“領主候補生”を戻すことをゲオルギーネが旧
ヴェローニカ派に対し口にする(具体的に“誰”かという事は明言されていない)。
アウブ・アーレンスバッハが病で倒れ、星結びに先立って13年秋の終わりにフェルディナンドをアーレンスバッハに迎える。しかしフェルディナンドの到着寸前にアウブは亡くなり、アウブの仲立ちでアーレンスバッハ貴族との繋がりを作ることはできなかった。
そんな中でもフェルディナンドはレティーツィアとその側近に繋がりを作り、側近の
ユストクスを暗躍させてゲオルギーネの情報を集めていく。
なお、アウブ・アーレンスバッハが亡くなったことで、新たなアウブが礎を染めるまでアーレンスバッハ側から
境界門を閉じることができなくなった。
13年冬の初め、エーレンフェストで旧ヴェローニカ派の粛清が行われ、残党
グラオザムが
銀の布を使ってゲオルギーネの元へ逃げ延びているなど、知られたくない情報があるせいかゲオルギーネの離宮は下働きの動きすら警戒するようになっている。
同年冬、
貴族院の卒業式にてディートリンデが奉納舞で次期ツェントを選別するための魔法陣を不完全ながらも浮かび上がらせたため、
中央神殿の
神殿長と
神官長が最も次期ツェントに近い人物がディートリンデであると発言して、波紋が広がる。
しかし、アウブ不在ゆえにディートリンデがアウブ・アーレンスバッハとなることに変更はなかった。領主会議までに礎を染めることができなかったためアウブの死亡通知を遅らせ、翌春の
領主会議に予定されていたフェルディナンドとディートリンデの
星結びの儀式は一年延期された。
その間フェルディナンドは一人で執務をこなして優秀さを知られるようになり、文官達はアーレンスバッハの状況が上向く日は近いと喜ぶと同時に、フェルディナンドによるアーレンスバッハの掌握が進む。
執務に関して文官達は全面的にフェルディナンドへ相談を持ち掛け、騎士団もディートリンデよりフェルディナンドとの打ち合わせを優先するようになる。
14年春、ツェント・
トラオクヴァールから客室で暮らすフェルディナンドへ隠し部屋を与えるように命じられ、ゲオルギーネにとって“最良の時期”まで引き伸ばされた前アウブ葬儀直前の夏頃に
西の離れの一室を与えられる。
暗躍
14年夏、
ランツェナーヴェの使者が開いたまま見張りの騎士も配置されていない
境界門を通って来訪した。
尚、アーレンスバッハの騎士団長
シュトラールは見張りに関して
ディートリンデより
フェルディナンドの言葉に従ったため罷免され、ディートリンデの命令をよく聞く旧ベルケシュトックの者が騎士団長に召し上げられた。
罷免されたシュトラールはフェルディナンドの側近に迎え入れられ、フェルディナンドの留守を預かる間は、ディートリンデの周囲に取り立てられている旧ベルケシュトックの貴族たちに睨みを利かせていた。
ランツェナーヴェの使者の
レオンツィオは
ランツェナーヴェの姫君の受け入れを打診するが、ツェント・
トラオクヴァールによって受け入れ拒否が決まっていて、フェルディナンドによって拒絶される。
レオンツィオは
グルトリスハイトの取得方法について知っていたため、次期ツェント候補を自称するディートリンデに
トルークを使い甘言を弄して手を組んだ。
ディートリンデはレオンツィオに恋して
ランツェナーヴェの館へ出入りするようになり、それを咎める側近達はディートリンデによって辞めさせられるようになる。
そのため、夏の半ば辺りからは側近達の監視が緩みがちになり、すぐに抜け出してしまおうとするディートリンデを見張るのが難しくなった。
ゲオルギーネの手だけでは足りずに、姉の
アルステーデがディートリンデの部屋に出入りして見張るようになる。
また、側近の入れ替えが多くなったことで、フェルディナンドによる派閥の切り崩しが進む。
アウブ・アーレンスバッハの葬儀の最中に中央の騎士が暴れる騒動が起き、アーレンスバッハと中央騎士団長
ラオブルートとレオンツィオの間で何度も話し合いの場が持たれた。
フェルディナンドは処分よりも、今後同様の事態が発生しないための背景の追及を優先するよう提言するも、ラオブルートは受け入れなかった。その結果、事件は「
エーレンフェスト出身騎士による騒動」として片づけられる。
またその際、ディートリンデとレオンツィオの親しさや、ランツェナーヴェの使者の別れの宴へフェルディナンドとその側近の出席がディートリンデによって禁じられているところを、葬儀のために訪れた
アウブ・ダンケルフェルガーらに目撃され、フェルディナンドが軽んじられていると受け止められる。
ディートリンデが礎を染め終わったと公称するようになった後に、エーレンフェスト所属のままになっているフェルディナンドは契約を交わしてから、
レティーツィアと共に礎の魔力の供給に参加するようになった。
14年冬、
ローゼマインが病に伏せっていると公称されていたこの年は、エーレンフェストからフェルディナンドに対しての根回しがされなくなり、フェルディナンドや
ユストクスですらローゼマイン関連の情報を得るのが非常に難しくなった。
また、
領地対抗戦での
ディッターでは、前年
ダンケルフェルガーが
実演した儀式を行う中領地が増え、儀式に対して真面目に取り組んでいる者がほとんどいなかったアーレンスバッハは大領地で最弱となっているだけでなく、中領地に次々と抜かれて学生達は焦燥を滲ませた。
表彰式では時と場所を弁えずに
フラウレルムが騒ぎ立てたことで、
ルーフェンら騎士コースの教師に取り押さえられ教師ら全員一致の決定で罷免されて、アーレンスバッハに戻された。
更に、フェルディナンドらが領地対抗戦で貴族院に訪れている最中に、本来は春の
領主会議の後の時期に来訪が決まっているはずの
ランツェナーヴェの船が訪れた。
境界門を開けるためにディートリンデがアーレンスバッハへと戻り、開門されて船は港に着岸する。
外患誘致
アーレンスバッハ
領主の城がある街の名前で、領主の家名が名前になっている。
ランツェナーヴェへの国境門から程近い湾岸部に位置し、港がある。
貴族街、神殿、平民の町があり、高台の城の二階からは街と海が一望できる。
海上の境界門も小さく肉眼で確認できる距離にある。
エーレンフェストと違い、貴族街だけが外壁で囲われている。
また、神殿が貴族街の中央にあるため、エーレンフェストのような階級による居住地域の順列が存在するか否かは不明。
ガブリエーレの頃も
エーレンフェストより上位領地であった事から、作中時点で既に下町にもネバネバの導入がされていると推測される。
領主の城
高台の上にある。
交易が盛んな土地柄から、城の敷地内に迎賓館(
ランツェナーヴェの館)がある。
離れの使用用途などはエーレンフェストと共通している。
本館
外観等は不明だが、領主一族の私的な居住区画と公的な区画は分けられていると思われる。
執務室
アウブの執務室。
壁に置かれた書箱をどかしたところに
供給の間への扉がある。
登録の魔石はその書箱の中に入っている。
魔力供給をしている間は、アウブ・アーレンスバッハと血縁関係にある上級貴族でなければ入室できない。
供給の間
小広間
毎年
ランツェナーヴェの使者が訪れた際に、後の会議の前哨戦として比較的小規模な歓迎の宴がこの部屋で開かれる。
(その後、夏の盛りに行われる星結びの儀式のために領地内のギーベ達が集まった時に、改めて使者とギーベが交流を持つための宴が盛大に行われる)
会議室
小広間の近くにある。
二階にあるホール
お茶や昼食などに使用される。
大きなバルコニーに繋がっていて街の様子や海が一望できる。
ディートリンデの自室
礎を染め終わったと公称した後、北の離れから本館に住居を移した
ディートリンデの部屋。
バルコニーがあり、海上の境界門が見える。
夫の部屋とは出入り自由となっている。
ディートリンデの執務室
わざわざアウブの執務室に足を運ぶのを嫌ったディートリンデが、本来の執務室とは別に自室近くに作った執務室。
(通常は信用できない貴族を領主一族の生活圏に立ち入らせないようにアウブの自室と執務室は離れている)
客室
フェルディナンドが13年秋にアーレンスバッハに移動して以降、14年夏に王命で西の離れの部屋を与えられるまで暮らした部屋。
厨房
客室からは少し距離があり、移動に手間がかかる。
ユストクスが下働きに変装してカルフェ芋の皮むきをしつつ下働きから噂話の収集を行った。
下働きを統括している部署
下働きを統括する上司が居る。
お仕着せを支給している部署
下働きのお仕着せの服を支給している。
名前や顔が確認されるわけではなく、ユストクスが下働きに変装してお仕着せを手に入れた。
鍵の付いた扉が並ぶ場所
普段はあまり使われていないような鍵の付いた扉が並ぶ一角。
ディートリンデが持つ鍵でしか開けられず、ここに
ロスヴィータを始め、ランツェナーヴェに連れ去られる貴族達が閉じ込められた。
北の離れ
洗礼式から成人までの領主候補生が生活する離れ。
ランツェナーヴェ兵による略奪を受けた。
西の離れ
第二夫人や第三夫人に与えられる部屋がある離れ。
各階に一つずつしか部屋がなく、北の離れと比べると、建物自体が小さい。
隠し部屋を与えるように王命を受けてフェルディナンドに与えられたが、城の敷地内の端に位置していた為、毎日の移動が大変で、情報収集も難しくなってしまった。
与えられた部屋は
ゲオルギーネが第三夫人だった頃に使っていた部屋だった為、ユストクスと
エックハルトが何種類もの毒の検出薬を振りまいた。
ランツェナーヴェ兵による略奪を受けた。
ゲオルギーネの離宮
東の離れ(引退したアウブ夫妻が住む離れ)だと思われる。
アウブ・アーレンスバッハの死後、次にアウブとなるディートリンデのためにゲオルギーネが居室を移した離れ。
ユストクスが変装し、情報をかき集めていた。
13年冬にエーレンフェストで粛清が行われた後はユストクスでも忍び込めないほどに、下働きの動きにまで警戒がされるようになった。
ランツェナーヴェの館
ランツェナーヴェの使者が滞在するための迎賓館。
館にはアウブにしか開けられない扉があり、扉内部には貴族院の
アダルジーザの離宮に繋がる
転移陣がある。
ランツェナーヴェから来る姫はここから離宮に転移し、離宮で選ばれた次期王はここに転移してきた後、ランツェナーヴェに送られる。
貴族院防衛戦では、外患誘致の為や、戦後処理を行う貴族院に身の回り品を運び込む為に使用された。
貴族街
壁や門でぐるりと囲われている。
反ディートリンデ派の貴族の館はランツェナーヴェ兵に蹂躙された。
外壁の屋上には見習い騎士達が待機し、魔術具や回復薬の補給拠点として使われた。
神殿
貴族街の中央に位置している。
その為、
エーレンフェストと違って魔力認証が必要な貴族門が無い。
白い石畳が敷かれ、平民では簡単に超えられないような壁で囲まれ、大きな門と門番用の小さな門がある。
エーレンフェストの神殿よりも窓が大きい。
神殿を訪れる貴族の数がエーレンフェストよりも多いが、その目的は
花捧げである。
平民に関する儀式(洗礼式・成人式・星結びの儀式)は、神殿から下町の広場に神官を派遣して行う。
神殿図書室
入室制限があり、神殿長か神官長のサインが入った入室許可証が必要。
エーレンフェストの神殿図書室よりも蔵書が多いが、訪れる者はいなかった。
本棚があり、
メスティオノーラの凝った彫刻が刻まれている。
彫刻が持つ聖典の背表紙部分に聖典の鍵を入れると本棚が左右に分かれ、虹色の転移の幕が張った領地の
礎の間への入口が開く。
礎の間
礼拝室の真下にある、白の壁で囲まれた部屋。各領地ともここに
礎の魔術具および
礎本体がある。虹色の転移の幕を通る事で入る事ができる。
入口とその鍵は2つある。
- 代々のアウブに継承される鍵で開く、アウブの自室の扉
- 代々の神殿長(本来の次期アウブ)に継承される聖典の鍵で開く、図書室の本棚の扉
また、この部屋に入ったアウブとの連絡用に、城の
執務室と繋がる
オルドナンツ専用の円いワープ穴がある。
平民の町
港があり、艫綱に繋がれた漁船と推測される船が停泊している。
町を囲う壁や門は無い。
平民に関する儀式(洗礼式・成人式・星結びの儀式)は、神殿から派遣された神官によって、下町の広場で行う。
アーレンスバッハの直轄地
ビンデバルト伯爵領
最北東部に位置する、
ビンデバルト伯爵が治める土地。
エーレンフェストの
ゲルラッハと
ヴィルトルと
ガルドゥーンの境界線に隣接している。
08年春にビンデバルト伯爵が
エーレンフェストを襲撃して捕縛され、妻などの連座対象者が罰を受けた。
12年夏時点で、エーレンフェスト側は豊かな森なのに対し、低木の草原となっており、境界の位置が見て取れる程になっていた。
15年春の
礎争奪戦では、この地から
旧ベルケシュトックのギーべや騎士達がゲルラッハに侵攻した。
その為、先行していたフェルディナンドとローゼマインの合流地点となり、騎獣で境界線を越えて追いかける事となった。
ギーベ一族は侵攻に協力していたため捕縛され、夏の館は封鎖された。
アーレンスバッハの領地内でも特に魔力が不足して荒れていた。
魔獣が魔力豊富になった農村を襲うことがないように、山や森から
神々の御力で癒された。
- 夏の館
- 庭に転移陣がある。
- 周囲が荒れて緑の少ない状態でも、館の敷地内だけは春らしい光景となっていた。
- ビンデバルト伯爵夫人やその姉フラウレルム、館の住人と思われる女性や子供達が捕縛され、城の牢に送られた。
- 礎争奪戦後は、ダンケルフェルガーの有志騎士100人の宴の場所として提供された。
ザイツェン子爵領
エーレンフェストへの境界門
ヴルカターク領
カンナヴィッツ領
ビンデバルトから見て南にあり、海が広がっている。
魔力不足の影響か、海は暗く濁っていた。
港があり、平民の漁師が扱う船が泊められている。
15年春に神々の御力で癒されて、海が青く透き通っていき、魚がキラキラと光りながら跳ねる光景が見えた。
アウレーリアの父が治める土地
アーレンスバッハでは領主が決まった時に、同じ世代の領主候補を廃する習慣があるため、
アウブ・アーレンスバッハの弟だったアウレーリアの父が、上級貴族に落とされたときに土地を与えられている。
アーレンスバッハの海
国境門への境界門
海上にあり、波が打ち付けている。
領主の城のバルコニーから小さく肉眼で見える位置にある。
アウブ・アーレンスバッハの死後、アーレンスバッハ側から境界門を閉じることができなくなる。
境界門では唯一騎士が詰めておらず、他国の者の侵入を容易く許す状況になってしまっていた。
フェルディナンドに命じられて、騎士団はこの境界門に騎士を配置した。
その後、
騎士団長が
ディートリンデに罷免されたことで再び騎士が置かれないまま意図的に放置された事で、
15年春の
礎争奪戦では
ローゼマインにも侵入ルートとして利用された。
国境門
ランツェナーヴェへと繋がっている
国境門。
400年程前、ランツェナーヴェの初代王である
トルキューンハイトがユルゲンシュミットから出奔した際に、勝手に開門した。
政変後の十数年間は、国内で唯一開いていた。
グルトリスハイトが失われていたため、国境門の開閉は一切できず、他国との取引はアーレンスバッハが一手に引き受けていた。
交易の際、ランツェナーヴェが持つ
銀の船で国境門の魔力を奪われていた。
15年春に国境門が閉ざせない状況を利用して、ランツェナーヴェの兵が攻め入る。
ランツェナーヴェ船の掃討後、ローゼマイン(実際にはフェルディナンド)によって閉ざされた。
書籍版第五部Ⅻの表紙イラストだと海上に国境門しか描かれてないが、あくまでも「イメージ画」であり、実際には手前に境界門があるので国境門を直接見ることは出来ない。
- 国境線
- 虹色に光る壁が続いている。
- 開いた国境門の転移陣を堺に海が切り取られたようになっていて、だまし絵のように見える。
- 国境の外
- 白い砂漠が続いている。
- ユルゲンシュミットについての考察も参照。
旧ベルケシュトック大領地
西に接する旧ベルケシュトックの北半分を、
政変の勝ち組領地の負担として管理していた。
ただし、
グルトリスハイトが失われているため境界の引き直しができず、アーレンスバッハとは魔力的に別領地扱いであった。
政変時の混乱により
礎の場所も不明となり、土地に魔力供給が成されない為、荒廃がゆっくりと進んでいた。
ベーゼヴァンス経由で
ゲオルギーネが齎す小聖杯の魔力でしのいでいたが、08年春の
ローゼマインの神殿長就任以降はそれも中断され、この土地のギーべ達は
エーレンフェストやローゼマインに反感を持っている。
民が飢える困窮の中、新しいアウブの派遣も礎の設置もできない「グルトリスハイトを持たぬ偽の王」である
トラオクヴァールや勝ち組領地に対しても恨みを持ち続け、12年冬の
貴族院の表彰式にて、他の負け組領地の者たちと共に
王への強襲事件を起こした。
事件で使われた
ターニスベファレンを、ベルケシュトック時代の
ブローチを用いて、予め貴族院に持ち込んでいたと思われる。
15年春の
エーレンフェストとアーレンスバッハの礎争奪戦では、実質的にツェントに見捨てられた状態のこの地を捨てたギーべ達や騎士達が、
黒の武器と
小聖杯を持ってエーレンフェストに攻め込み、土地の魔力を奪う事でゲオルギーネが礎を染める手助けをした上で、魔力をまた土地に戻した後、民と共に移住しようとしていた。
戦後、アーレンスバッハからは切り離され、
トラオクヴァールが治める新領地である
ブルーメフェルトに併合された。
旧ベルケシュトックへの境界門
西に接する旧ベルケシュトックの北半分へ繋がる
境界門。
15年春の騒動の後、古の大規模魔術の準備の為に訪れたフェルディナンドによって閉ざされた。
領主会議後、トラオクヴァールがアウブ・ブルーメフェルトとして赴任した後、開門予定。
その他の土地
フレーベルタークへの境界門
ダンケルフェルガーへの境界門
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最終更新:2025年06月24日 03:56