魔力
ユルゲンシュミットは魔力に満たされた土地である。
土地に魔力が籠ると黒い土になり、緑が芽を出す。
魔力が不足するとからからに乾いた赤茶けた土となり、完全に枯渇すると白い砂に帰すことになる。
魔力に満たされた土地で生きるものは、量の差はあるものの、人も
動植物も例外なく魔力を持つ。
魔力量が多い動植物は
魔物と呼ばれ、人は貴族と平民に区別されている。
血が最も魔力を含むため、平民が
契約魔術を結ぶ場合などは血を使う。
数は多くないが、平民にも魔力量が多い者はいる(
身食い)。しかし、魔力を放出するための魔術具が高価なため、貴族以外は魔力が使えない。
貴族の子は
貴族院に入れば、魔力を満たしておくのに必要な
シュタープを入手したり、体の中に
魔力を圧縮して溜める方法を教えられるが、それまでは
親に贈られる魔術具で魔力を放出する。
魔力を動かすのは体力を使い、体の成長にも良くないため、体内に残しておく魔力は少ない方が良いとされている(ただし、
エーヴィリーベの印を持つ子は例外)。
体内の魔力の流れは興奮すると速くなり、悪くなると魔術を扱いづらくなる。他人への攻撃手段として
魔力の流れを悪化させる薬も存在する。
体内の魔力が完全に枯渇すると死ぬ。
家族や血の近い親族の魔力は似通っているためそれほどでもないが、基本的に他人の魔力は反発する。
魔力に性別は無い。
属性
魔力には闇・光・水・火・風・土・命の7属性がある。『全属性』と言う場合、これら7属性を指す。
貴族だけでなく、土地、
魔物とその
素材、
植物の油なども属性を持つ。
調合の際などに
魔石に魔力を移すことで、属性や色合いを取り除いたり、調整する事ができる。
その結果、属性のない魔力も存在するようである。
属性 |
魔力色 /貴色 |
象徴 時節 |
属性の大神名 |
神具/象徴 |
属性効果/調合特性 |
その他 作中から類推される特性 |
闇 |
黒 |
夜 |
闇の神 |
夜空を意味する黒いマント |
― |
時空・吸収・退魔 |
光 |
金 |
昼 |
光の女神 |
太陽を意味する金の冠 |
― |
時空・創造・秩序・契約 |
水 |
緑 |
春 |
フリュートレーネ |
杖/変化・癒し・清らかさ |
癒し・洗浄・変化 |
幸運・芽吹き |
火 |
青 |
夏 |
ライデンシャフト |
槍/成長・戦い・助力・強さ |
攻撃・増幅・育成 |
情熱・導き |
風 |
黄 |
秋 |
シュツェーリア |
盾/守り・伝達・速さ |
防御・速さ・知識 |
英知・芸術 |
土 |
赤 |
冬 |
ゲドゥルリーヒ |
杯/豊穣・多産・寛容・忍耐 |
受容・忍耐・拡散 全ての属性と相性が良く、緩衝材になる |
母性 |
命 |
白 |
冬 |
エーヴィリーベ |
剣/再生・死・不屈 |
土以外とは反発して混ざりにくい |
固執・執着・独占・溺愛 |
土地の属性
土地の属性は
国境門に刻まれている神の記号に左右されている。
アーレンスバッハは闇、ギレッセンマイアーは光、ハウフレッツェは水、ダンケルフェルガーは火、エーレンフェストは風、クラッセンブルクは土、中央は命の属性を持つ。
また、夏の素材が採れるエーレンフェストの
ローエンベルク周辺の例に見られるように、各属性の影響の強い地域が個別に存在する。
適性
魔力を持つ者には生まれ持った適性があり、適性を持つ
属性の魔術は使いやすい。
適性の1つ目は生まれ季節で決定し(春=水、夏=火、秋=風、冬=土)、2つ目以降は母親の妊娠時の魔力の色の影響を受ける。
そのため兄弟間では似た適性を持つことが多い一方で、同母の兄弟姉妹間でも魔力の色が異なる結果となる。
貴族は
洗礼式の際に魔力を登録するメダルの色から自分の適性を知る。
概ね下級で適性は1つ以上、中級で2つ以上、上級で3つ以上、全属性は、領主一族の一部か中央の上級貴族、王族に限られる。
ただし、この数は、加護による属性数増加の知識が廃れて久しい状況下のものなので、加護による属性数増加条件が明らかになり、成人時ひいては妊娠時の属性数が増える今後の世代では、この限りではないと考えられる。
身食いの適性は薄い全属性で、生まれた土地の属性をわずかに帯びている。なお見食いの
薄い全属性とは全属性ではなく、どれもが属性として認められるには足りず加護なしとなる。
生来の適性に加え、
神の加護や
名捧げにより属性を増やすことが可能。
しかし、名捧げや加護による属性取得条件が不明であったため増えることは稀というのが常識だった。
属性に関しては
貴族の魔力も參照。
魔力の色
属性による色が反映される。
しかし、同じ属性持ちでも偏りなどで個性がでるらしく属性そのものを指すわけではない模様。
属性数が多くなるほど、それぞれの属性値が平均しているほど、目に見える魔力の色は淡く、白に近づいていく。
魔力で染められた魔石などは、他の人には非常に使いにくくなるが、魔力の色が似通っていれば、使えなくもない。
貴族の魔力は、他者と魔力を流し合って混じり合わせる(染め合う)などの外的要因でも変化する。
ただし、染め合うにはお互いに
同調薬を使うことが必要で、染められた後も体内で新しく生成される魔力は自分の魔力のため、熱愛夫婦のように染め合い続けない限り、長くても1ヶ月で色合いは元に戻る(
エーヴィリーベの印を持つ子は例外)。
記憶を探るための魔術具を使用する際は、相手を染める必要があるので、魔力の色が似通っていて魔力を通しやすい人が選ばれる。
関連項目:
用語一覧>色合わせ
魔力量
魔力を受け入れられる
器の大きさに影響される。
階級別に、その家の子として認められる魔力量が設定されており、洗礼式の際に
金属棒のような魔術具で判定されて、足りない場合は足切りとなる。実際には貴族に子が生まれてすぐ、またその後の成長につれて何度か魔力量を測定して魔力量の足りてない子は次行のような処遇がされるので、洗礼式で不足が判明するということにはならない。
階級の基準値に満たない子供は、家の下働きとなるか、下の階級に養子に出されるか、
神殿に入れられる。
魔力量に差がありすぎると子供ができにくいことから、階級差があると結婚相手の対象外となる。
そのため通常は領主候補生と上級貴族といった近い階級や同じ階級との結婚が行われている。
結婚の対象範囲内な魔力量の相手との間には自然の
魔力感知が発生する。つまり魔力感知できない相手は魔力量の面で結婚の対象外。
魔力圧縮を学んだ下級貴族成人で神具の小魔石に2~3個は奉納できる魔力量があると推測される。
マインが青色巫女見習いとして神殿入りした時、小魔石10個程奉納しても平然としていた。
フェルディナンドの見立てでは奉納式で小魔石20個奉納しても余裕がある。
メルヒオールが青色神官見習いとして初めて奉納したのは小魔石2個、体に負担のない程度から始めた。
魔力量に関しては
貴族の魔力も參照。
器
妊娠中の母親が注ぐ魔力量によって器の大きさに違いが出るため、兄弟間でも
魔力量に差があることは珍しくない。
肉体が成長することで器も成長し、保有できる魔力量が変わる。成長期にどれだけ魔力を圧縮できるかで成長率に差がある。
とは言え、魔力量の多い王族や
領主候補生が全員体格が良い訳ではないので、肉体の大きさに比例する訳ではない。
魔力圧縮
魔力を器の中に閉じ込めて圧縮することで、溜められる
魔力最大量を増加させる方法。
魔力を抑え込むことに慣れてくると、魔力が圧縮され、同じ器の中にも溜められる魔力の量が変わってくる。
成長期にどれだけ魔力圧縮できるかで器の成長率に差がある。
成人して器が育たなくなっても、圧縮率を上げて、魔力量を伸ばすことができる。
圧縮率は精神力に由来する。魔力が強いほど、抑え込むのに精神力がいる。
基本的には、魔力の制御がある程度コントロールできる位に成長した、貴族院に入ってから行われる。
全身に魔力を行き渡らせ、それを精神力で抑え込んでいくのは死の危険と隣合わせである。
魔力を暴走させる危険もあるので、教師の監督のもとで行われる。
魔力の扱いに失敗して、命の危機にさらされる生徒は毎年数名いる。
飛躍的な魔力の増幅方法は、個人もしくは一族の秘法になってもおかしくないため、教えられた者はその人物から信頼されているとみなされる。
ローゼマイン式魔力圧縮法や
ゲオルギーネの魔力圧縮法はこれを自派閥の強化に使っていた。
王族やダンケルフェルガーなどにも存在し、領地や一族独自の方法が色々とある模様。
魔力感知
魔力持ちが他者の魔力を感知すること。
魔力量が大きく離れていると、相手の魔力を感じられなくなる。
ある程度の年齢になると自然と感知能力が発現して自身と魔力量の釣り合う人物(すなわち結婚して子を成せる魔力量の人物)がわかるようになる。
自然感知には相手も年頃以上である必要がある。
感知できるのは自分を基準とした大まかな魔力量だけであり、互いに魔力を染める際の抵抗の大きさまでは分からない為、正式な婚約前には
色合わせを行う必要がある。
お互いの物理的な距離が近くなると、魔力がほんのり反発するか(同性の場合)、微妙に引き合うか(異性の場合)で相手の性別を確かめる事が出来る。
吹雪の中で城の方向を見失わない能力はこの魔力感知と関係している。
騎士は魔力を感知する訓練を受けるので魔力に敏感になる。
魔力量が上の者が消費して通常より少なくなった状態でも、下の者には感知できない模様。
自分の魔力に近い者がどれだけいるのか(=周囲に手強い敵がいるかどうか)を魔力感知でチェックするのは、護衛騎士に取って重要な仕事の一つである。
ダームエルは
ローゼマインの祝福と魔力圧縮により下級貴族の下位レベルから中級貴族レベルになるまで魔力量を伸ばした結果、
ブリギッテに釣り合う魔力レベルから、下級貴族同様の低い魔力までの広い範囲を感じることができるため重宝された。
一般的ではないが、日常生活も命の危機に曝されていたフェルディナンドは自分の魔力を薄く広げることで、他者の魔力や他者の魔力に満たされた魔術具を感知できるとローゼマインに教えた。フェルディナンドに染められたローゼマインもほとんど反発を感じないがフェルディナンドの魔力を感知できた。
この行為は、異質な魔力を感じ取るというもので、通常の魔力感知と異なり、自他の魔力差の大小の影響は受けないが、探索する相手に異質な魔力があることが絶対条件となる為、平民を探知することはできない。また、部屋の中のような限られた範囲でなければ魔力量的に厳しい上、集中する為無防備になる為、戦闘中は使えない。
神の加護
2種類あり、ここでは1.を説明する。
- 先天的もしくは儀式により恒常的に得られる加護
- 一時的に対象の能力を向上させる加護(=祝福を参照)
得られる加護の種類ついては
神々を参照。
生来の
適性に加え、
儀式を行う事で神々の加護を受けられると、それだけその
属性の魔術が使いやすくなる。
加護を得られるかどうかで、魔術の使える範囲や必要な
魔力量に大きな変化がある。
加護を得る儀式を正しく行えば、適性のある大神の加護は必ず得られる(下級貴族で適性が1つなら、得られる加護も大神からの1つのみ)。
適性のない属性でも、眷属神の加護を取得すればその属性を得られる(結果的に、6大神からしか加護を受けていない全属性という状態が生まれる事がある/
貴族の魔力の性質参照)。
加護を得る儀式を行う前に、神への祈りや
神事を通じて魔力を捧げておく事が重要。
言葉だけで魔力を込めていなかったり、儀式で神々の名前を正しく唱えられないと加護を得られない。
また、神々の目に留まるような普段の行いにも大きな関係がある。
ローゼマインは神事などを行っていたはずの元青色神官が加護を得られなかった理由として、真摯に祈っていなかった事、儀式で魔法陣に魔力が行き渡らなかった事が原因ではないかと推測している。
眷属の加護を得た実例は珍しく、ここ十数年間(
政変後)は、戦い系の眷属の加護を騎士見習いやダンケルフェルガーが得ていた以外は稀。
それ以前は王族や領主候補生は得ていたが、中級~下級貴族が得た例は約百年前だった。
ましてや、下級貴族が自分の適性以外の眷属の加護を得て属性を増やした例はすぐには発見できないくらいに希少。
そのため、神々に祈りを捧げることで加護を得て属性を増やせる事は、普通の学生にとっては参考書に載っているだけの知識となっていた。
そもそも中級以下は魔法陣全体に魔力を満たす事が難しく、自分の適性の部分だけを優先的に満たしていた事も要因だと思われる。
貴族の魔力の性質
貴族の魔力を『全属性』と言う場合、七柱の大神の加護を得た「大神全属性」と、眷属からだけ加護を得た「眷属全属性」が存在する(呼称は非公式)。
- 命の眷属神(バイシュマハートなど)から加護を得て、「命の属性を得て全属性になった」=眷属全属性
- 生まれついての全属性、もしくは命の神エーヴィリーベから加護を得て、全属性になった=大神全属性
魔力を溜める器官
心臓の位置にあたる器官。
魔獣や貴族が死んだ時に、魔力が集まって
魔石の元となる部位。
仮死状態から生き返った場合、この器官の中心に近い位置まで魔力が戻って、所々に魔力の固まりができる。
ローゼマインは動脈硬化っぽいものだと認識している。
身食いの中でも、生きているのにもかかわらず魔力の固まりができている者は、
エーヴィリーベの印を持つ子と呼ばれる。
身食い
本来は貴族が持つとされる魔力を平民が持つことがあり、身食いと呼ばれる。
体内の魔力が
器の容量より増えると熱を出し、精神力で抑えきれなくなると魔力に食われて死に至る(この現象自体は貴族でも同様)。
魔力量が多いほど死に至りやすく、子供の精神力では
洗礼式までもたないことが多い。
発見されること自体が少なく、魔力が多い場合はすぐに死ぬため、あまり知られず、研究されていない。
生きていくには魔力を移すための
魔術具が必要で、魔術具を得るには形態はどうあれ貴族との関わりが必要となる。
貴族と契約した場合、表に出せる者ならば、愛人や側仕えなどとされ、さりげなく周囲に置かれるが、全く教育されていない者は地下室で飼い殺しも珍しくはない。
政変までは魔力を独占したい貴族にとっては目障りな存在でしかなかった。
貴族が減って、魔術具を使うことが難しくなったことで、
神殿にとってかなり必要な存在になった。
貴族同士の間にも身食いが生まれる事はあるが、魔力が階級の基準値を満たしたとしても、洗礼式の前に「薄い全属性=属性がない」と見做されて下働きにさせられることが多く、貴族と見做されないので結婚出来ず子孫を残せないことが殆どである。
出生時薄い全属性を持ち、生まれた
土地の属性をわずかに帯びている。
自分の
魔力の色がほとんど無いため、誰が作った
同調薬でも飲みやすく、染められやすい。
染め合う場合もお互いに影響し合うのではなく、あっさり相手の影響を受けるだけになる。
通常の身食いはそれでも相手に完全に染まってしまわず、時間が経てば相手の魔力の影響は次第に薄れていく。
親から引き継ぐ魔力の属性を持たない身食いを染めるのは容易なので、これを利用して
グラオザムらは影武者を仕立てたと推測される。
関連項目:
用語一覧>身食い兵
エーヴィリーベの印を持つ子
身食いの中でも一部の者を指す。
死にかけては死なずに何度か
エーヴィリーベの手から逃れ、死人が持つはずの魔力の塊ができている者のこと。
体内に
魔石を持っているようなものなので、それを他者に染められるとほぼ完全に染まってしまい、薄めようとしてもなかなか薄まらず、親に染められたのと大して変わらない状態となり、染めた相手よりやや薄めの魔力を持つことになる。
興奮して体内の魔力の流れが速くなっても塊のせいで上手く流れず、体の防衛反応として意識が途切れる。
体内の魔力を少なくしすぎると塊を越えなくなって体が動かなくなる。
より正確に言えば、死にかければ貴族でも体内に魔石ができるため身食いだけに限った現象ではないと言える。
ただし、貴族は生来の
魔力の色を持っているため他者に染められても一時的なもの(長くて1ヶ月程度)になると考えられる。
魔力の暴走
激しい感情が抑えきれなくなった時に出る現象。
貴族は感情が昂ぶると目に
魔力の色が揺れ浮かび、魔力の流れが速くなる。
暴走にまで到ってしまうと体内の魔力が漏れ始め、それが続くと、全身から一気に魔力が流れ出す。
そうなると、
器である身体が保たず、皮膚が湯を沸かしたように膨れ上がり、弾けて死に至る。
感情を抑えることが下手な子供に起きやすい。
魔力暴走による破裂は周囲に被害が出るほどの大爆発を起こすことはなく「害があるのは本人だけです。周囲が多少血で汚れる以上の被害はありません」とのこと。但し、
身食い兵らしき者の自爆で「馬ごと弾け飛んだ」り「騎士達が黒ずくめを中心に起こった爆風に飛ばされた」りするので、
身食い程度の魔力でも周囲を爆発に巻き込む威力はあることになる。自爆が自発的な魔力暴走とどう異なるのかは不明。
威圧
魔力が全身を巡り、活性化し、自分の敵だと認識した対象を魔力で威圧する。
マインの場合は目が虹色のように光って、身体から
魔力の色のもやが出る。他の魔力持ちも同様の現象が起こるのかは不明。
威圧を受けると疲弊して、気絶したり、吐血する。
女神の御力
英知の女神
メスティオノーラが人の体を依り代に降臨した際に、依り代の
魔力の色が染められてしまった結果、発していた力を指す。
降臨中の依り代の意識は神々の世界へ招待されて、体は仮死状態になる。
ローゼマインは
身食いゆえに染められやすく、体に意識が戻った後も大きく影響が残る事となった。
通常は
魔力量に大きく差があると相手を感じることができなくなるが、女神の御力は誰でも感じることができ、部屋越しにもその力を感じてしまう。
一方で、
銀の布でその影響を遮断したり、魔力供給源として行使したりと魔力に近い性質を持っている。
少し離れたところからその者を見ると、ほんのりと光をまとっているように見える。
直視するためには強い意志が必要で、近づくほどに恐れ多いという感覚が強くなる。
メスティオノーラは体を貸してもらいやすいように、借りる相手に少し精神的干渉を行っている。
少しと言えどその影響はかなり深く、その者にとって大切な記憶を一時的に失い、トラウマの喪失だけでなく行動原理が変わってしまう。
自身が元々持つ魔力より制御が難しく、感情に反応してその力が膨れ上がり、それに伴い自分が自分で無くなる危険性を持つ。
神々の御力
一柱の神だけでなく、全く違う属性の神々からも御力を流し込まれて得た力を指す。女神の御力と同様(恐れ多いという感覚を与える、魔力供給源となるなど)の性質をもっている。
先に
女神の御力を授かって完全に染められていた場合、後から流し込まれた複数の属性の神々の御力はお互いに反発し合う。
制御されていない神々の御力からは、不快感だけでなく動くこともままならないほどの苦痛を受ける。
一柱の御力に染められただけならまだしも、神々の力を動かせるのは神だけであり、人間や
エアヴェルミーンでは暴走する御力を制御できない。
メスティオノーラが再度降臨して整えなければならなかった。
魔力を回復させると、少し薄れるが神々の御力も回復する。御力が膨れ上がると苦痛を受けるようになり、影響力が完全に無くなるまでその状態は続く。
神々の御力が溢れそうになっている状態では人の魔力で打ち消すのは難しく、早く解消しようとする場合は、枯渇寸前まで御力と魔力を使って誰かに染められる必要がある。
神々の御力を
聖杯に込めると虹色の液体となり、その液体を散布する事で土地自体を直接的に癒やす事ができる(通常の魔力では
フリュートレーネの杖や魔法陣を使って祈りを捧げる必要がある)。
魔術
神の
祝福であったり、
癒しの儀式であったり、大がかりな魔術を使うには、神の名前が必要になる。
魔術で火をつけることはできるが、燃やし続けるには薪か大量の魔力が必要になる。
呪文
呪文は祝詞を少しずつ省略したもの。完全に祝詞を唱えるのと違って、融通が利かない部分があるが、速さとミスが少なくなる。
シュタープを変形させる為の呪文などが全く新しく開発される事もある。
呪文と祝詞参照
祝詞
祝福
- 指輪の魔石やシュタープなどから魔力を出すだけの行為。貴族間にて挨拶などで用いられる。挨拶時は祝福として季節の貴色の魔力を相手に送る。
- 神の名の下に祈りを捧げ魔力を奉納することで効力のある神の祝福(=加護)を得ること
加護を得る祝福は本来神に祈りを届けやすくなるシュタープを得なければできないため、通常この2つは別物と考えられているが、ローゼマインは指輪の魔石でも加護を与えることができたため同じものと考えている。
奉納する魔力量によって祝福の効果は変わる。
複数の神に一度に祈ると魔力はごっそりと削られて、成功率は著しく落ちる。
特に命の神は土の女神を隠すので女神の兄弟神に疎まれているため伝説でしか語られず、まとめて祈って成功した例を領主のジルヴェスターでも知らなかった。
呪文と祝詞参照
シュタープ
「
神の意志」を体に取り込んで、「神の意志」を用いて構築する
魔術具。基本の形状である杖状の物を「シュタープ」と呼称する。
貴族が魔力を行使するための補助具としては最も効率が良い物とされていて、己の魔力を扱いやすくし、神に祈りを届けやすくする。
通常は体内に取り込まれているが、魔力と意思を込めることで具現化する。
具現化する際の基本の形状は個人のイメージ次第で自在に変えられるが、余計な装飾の無い短い指示棒のような形が1番イメージが安定しやすい上に使い勝手が良く、大抵の者はそうしている。
基本の形状を安定させた後、構造や働きをきっちりと思い浮かべながら変化させたい物の名称を発声すると、その名称が
シュタープを変形させるための呪文となる。
既に呪文が存在する物については、既存の呪文が優先される(構造と働きが共通していれば同一の物と判定され、既存の呪文を知る事が必要になる)。
同じ呪文でも形状や細かい装飾などは個人のイメージ次第だが、1度イメージが固定されてしまうと後から変更する事は難しくなる。
「神の意志」は、
貴族としてメダル登録されている者が、
貴族院の講義で
最奥の間の祭壇から
始まりの庭に通じる洞窟で取得する。他人には見えず、生涯で一度しか取得できない。
階級別に
魔力量が大きい者ほど洞窟の奥に配置されており、始まりの庭で取得したもの(大神全属性のもの)が最良とされる。
取得時から本人の魔力に大きな上方変化があると、シュタープの品質が追いつかず、魔力が扱いにくくなってしまう事になる。
貴族院3年生の実技で
神の加護を大量に得たローゼマインの実例により、本人の魔力量だけでなく、
属性数、加護数が品質に影響する事が判明したため、翌年度からは
取得時期を1年生から3年生に戻す事となった。
貴族院3年生の領主候補生コースで
最高神の名前を得る際は、勝手に具現化するシュタープを通して金色の光と闇の黒が体内に吸い込まれる。
大神の祠の扉を通り抜ける為の魔力は体内のシュタープ(=神の意志/大神全属性に限る)から引き出され、祠の中で形成される捧げた魔力と神の意志が混じり合った石板状の魔石がシュタープに同化する。ローゼマインは七大神全ての石板を取り込んだ結果シュタープの品質が上がり、扱える魔力量が増えて使いやすくなった。
なお、
処刑の魔術で
メダルを破棄されると、有効範囲内にいる者は処刑され、有効範囲外にいた場合はシュタープが使用できなくなる。
一つのシュタープを二つに分裂させることが可能であり、騎士はこの方法を騎士の講義で学ぶことで、シュタープ製の武器と盾をワンセットで使用できるようになる。
一方、白い庭で全属性の「神の意志」を取得している貴族は、魔力飽和している状態で、一つ目のシュタープで作った物を手から離した上で、もう一つのシュタープを望んだ場合に限定し、二つ目のシュタープを出すことができる。
過去には全部の神具を手にできる
ツェントもいた為、長い歴史で見ると前例はごろごろいるものの、本編の時代で、二つのシュタープを扱えるものは
ローゼマイン以外に存在しない。
ローゼマインは貴族院の奉納式においてシュタープの聖杯を出しながらフリュートレーネの杖を願うことで2本目を取得。
しかし、ローゼマインは騎士の武器と盾と同じものだと誤解している。
成年時にシュタープを得ていた時代は、貴族院では代替品の魔術具を使用した講義を受け、仕事をしつつ実地で使い方を覚えていた。
魔石
魔力を貯めておくことが出来る石。
魔獣を殺したときに心臓のあたりにある魔力を溜める器官に魔力が戻って固まった物や、
魔木の実や鱗などの
素材を魔力で染め上げると魔石になる。
魔力で染められた魔石は他の人には使いにくくなる。魔力の色が似通っていれば使えなくもないが、自分の魔力で染めた魔石とは雲泥の差になる。
魔石を完全に染めてしまわなければ、注いだ魔力が少しずつ押し出されていく。そのため、できるだけ一気に魔力を流し込んで完全に染め上げた方が最終的に必要な魔力も時間も少なくて済む
弱い魔獣から得られる魔石と強い魔獣から得られる魔石では全く品質が違う。
シュミルなどから取れる魔石はクズ魔石と呼ばれ、平民でも取る事ができ、中銅貨一枚から大銅貨一枚で下町の魔石屋に買い取ってもらえる。
最高級の魔石は全属性を持つ虹色魔石で、貴重品である。
全属性のローゼマインがレーギッシュに高圧魔力を叩き込んだ時に鱗が虹色魔石になった。
また、魔石に魔力を込め過ぎると飽和し
金粉化する。
バラバラになった騎獣用の魔石をこねて元に戻したローゼマインは非常識と評された。
貴族も魔力を持つため死亡すると魔石となる。
通常は死亡してからゆっくりと魔石になり、魔石は各家庭で保管される。
誰かに名捧げしている者が死亡した場合、取り出された魔石は主の魔力で包まれた状態であり、死亡者の相続人ではなく、名を捧げられていた主の所有物となる。
(魔物が死んだ時にできる魔石は、生きながら素材を剥がされた後に死んだ場合の方が) 苦痛や恐怖で感情が膨れ上がる分、魔石に流れ込む魔力が増えるので、どちらかというと質が上がる。
騎獣
貴族が乗る
魔石で作られた獣。
自分の魔力で染めた騎獣用の魔石に魔力を与えて、動く物の姿に変化させる。それを自分の意思で動かして、空を飛ぶ。
騎獣用の魔石は下級貴族ならば数日、
ローゼマインは説明を受けている数分で染められる。
これを含め、通常貴族院の講義で使用する魔石は、
生まれた時に与えられる魔術具を使って10年以上かけて少しずつ染めて準備するものである。
詳細と登場人物が使用する騎獣は
騎獣参照
魔法陣
魔法陣を作るには、属性を示す記号、神様を象徴する記号、魔法陣に使う言語を覚える必要がある。
身に纏うマントに加えて、
魔術具や神具、
神事を行う祭壇など幅広く使用されている。
スティロのペンで空中に魔法陣を描くこともできる。
呪文などは長い歴史の中で改良されてきたが、広域で大きく魔術を使うには魔法陣を使う方が魔力的な効率が良い。
魔紙に魔法陣を描いたものを使う場合、事前準備をしていればスティロのペンで空中に魔法陣を描く時間も魔石も詠唱も必要なくなり、魔力を籠めるだけの短時間で発動できる。代わりに魔紙の製作コストが高く、魔法陣を起動させるための魔力消費量も高い。
広域魔術
広域に影響を与える魔術の事。
魔法陣で補助を受けた方が効率がいいとされている。
スティロのペンで空中に魔法陣を描いた後に
魔石を投入し
祝詞を詠唱する事で発動する。
エーレンフェストの下町で使用した際は、アウブ・エーレンフェストに使用することを報告してから発動した。
契約魔術
契約魔術はそう簡単に使うものではない。
魔力や権力を持つ相手で、自分が圧倒的に不利な状況にある場合に、高額の魔術具を使ってでも利益を確保するために使うもの。
もともと横暴な貴族に対して拘束力を持たせるための物で、魔力のこもった特殊なインクと紙が必要になる。
契約魔術で契約すると、魔力によって縛られて、契約者の同意なしに解約できない。
紙やインクが魔術具でとても高価で珍しいため、よほどの利益が見込める契約でなければ使われない。
契約用紙と特殊なインクは、貴族の御用達と認められた商人だけに与えられる。
契約を済ませると、燃えるようにインクの部分から穴が開いて広がっていき、契約用紙そのものが消えていく。
契約違反の度合いによっては命に係わる。
契約を知らない人も、内容によっては契約の範囲に入る。
契約者以外にも影響を及ぼす契約魔術は必ず領主への報告が必要。
報告や周知なしに被害が出たら、契約魔術に必要な魔術具は取り上げられ、貴族との取引は制限されて、契約者に対して罰が与えられる。
契約が適用される範囲は
魔術結界内に限定されるが、対象となる結界は、街、領地、国と複数の段階があり、規模が大きくなるほど契約に要する費用も大きくなる。
通常、商人が持つ契約魔術具は、契約を交わした街だけに影響を及ぼす。
協会などと契約を交わす際、会長個人ではなく協会自体と結ぶことで、会長が代替わりしても契約を続けさせることができる。
契約の項目のところを二重にされて、契約内容を偽って契約させられることがある。
契約魔術は全員の承諾がなければ契約を解くことはできない。
平民は商業ギルドで契約魔術の内容を観覧することができる。
商人ギルドに保管されている契約書類は、契約者が死んでいたら、何がしかの変化がある。
魔力の少ない平民は特殊なインクを使い、最も魔力を含む血で血判を押す。
神々に宣誓し、神々と直接契約を行った場合は、人間同士の契約に比べると抜け道がほとんどない厳しいものになる。
違反すると神々から厳しい鉄槌が下る。
魔術結界
ツェントによる国の結界(淡く虹色に光る壁)、
アウブによる領地全体・街の結界(不可視)などがある。
街の結界は街を囲む外壁に張り巡らされている。
貴族院の領主候補生コースで習う魔術。
警戒レベルを調節できる。
アウブは他領の貴族(になれる一定以上の魔力を持つ者)が結界を通った時に感知する事ができる。
オルドナンツは領地の結界を通り抜けられない。
街の中で結ばれた小規模な
契約魔術は、街の結界を通り抜けないので街の外には影響しない。
その後アウブと結び直した契約魔術は、領地の外に影響しない事から、領地の結界を通り抜けない仕組みになっていると考えられる。
創造の魔術で創られた白の建物には建物単位や部屋単位で結界が張られている場合がある。
作中に登場するのは
エーレンフェスト城の
北の離れや
白の塔、
小神殿、
神殿の図書室など。
アダルジーザの離宮には張られていなかったが、突入前に結界の有無が確認されている様子から、重要施設には張られている事が多いと推測される。
領地の結界に穴を開けて建てられているのが
境界門であるが、そこにもまた別の結界が張られていると考えられ、
礎への魔力供給者はアウブの許可を得ずに境界門を通る者を感知する事ができる。
その他、貴族院の各寮の入館制限、ギーべの館の入館制限、個人の
隠し部屋の入室制限なども同種の魔術によるものだと思われる。
ちなみに、
フリュートレーネの水浴び場も男子禁制の結界で守られている。
創造の魔術
神事
主に
神殿関係者が中心となって行う、神々に祈りを捧げる儀式。
洗礼式、
成人式、
星結びの儀式、
祈念式、
奉納式、
春を呼ぶ儀式、
癒しの儀式等々、多岐にわたる。
神具を使い、祈りと魔力を捧げて行う。歴史による変遷などで神具を用いられないこともある。
神への供物として、息吹を象徴する草木、実りを祝う果実、平穏を示す香、信仰心を表す布を捧げたりする。
兜を被ったまま儀式に参列するのは、神に対して不敬とされている。
同じ目的を持って集合し、同じ祈りを捧げながら魔力を放出すると、相乗効果で魔力が流れやすくなる。
魔力が高い者の魔力放出量につられてしまうと、他の者にとっては危険を感じるほどの流出になる恐れがある。
他者のために行う祈りで、いくら自分が魔力を負担したところで自分への祝福はない。
使用される祝詞については
呪文と祝詞を参照。
神具
魔術具
魔術を行使するために、魔力を使って作られた道具。
魔術具と神具参照
魔物
魔力が高く
魔石が採れる生物。魔獣や魔木などの事。
弱いものであれば平民でも倒せるが、強力なものは騎士団で対応する必要がある。
魔獣
魔木
素材
魔獣や魔木などから採集される、調合のための原材料。
魔獣と魔木参照
調合
魔力を用いて、素材から何かを作成すること。
回復薬やユレーヴェなどの
薬類の調合に限らず、
魔術具を作成する事も調合と言う。
調合者の
魔力量や
属性によって調合結果や成功率に差が出たり、レシピが分かっていても調合できない魔術具がある。
使用する素材の品質を揃えたり、属性を分離させたり、分量を正確に計って刻んだりと、高度な調合になればなるほど下準備にも高い技術や大量の魔力が必要となる。
時間短縮の
魔法陣をスティロで描いて使用する場合もあるが、調合難易度は上がる。
素材の品質や属性にも調合結果は左右される。
土の属性を持つ素材は、他のどの属性と混ぜても混ざり、相性が良くない属性同士を混ぜる時の緩衝材としても使われる。
命の属性を持つ素材は、土以外のどの属性とも反発して混ざりにくいため、命を含む複数の属性を持つ素材を使うことがある。
その他
銀製品
魔力を一切受け付けない特殊な銀が使われた製品。
どんな素材でも多かれ少なかれ魔力を含むユルゲンシュミットでは不自然な存在で、
ランツェナーヴェから持ち込まれた。
銀製品参照
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最終更新:2024年10月05日 12:58