「ストリウム光線!」
概要
円谷プロの特撮作品『ウルトラマンタロウ』の主役ヒーローであり、ウルトラ兄弟の六男。
+
プロフィール
身長
53メートル(但し一時的に人間サイズで活動、もしくは同程度にミクロ化することも可能)
体重
5万5千トン
年齢
1万2千歳(放送当時の設定では1万8千歳)
飛行速度
マッハ20
走行速度
時速1240キロ
水中速度
160ノット
ジャンプ力
600メートル
腕力
16万トンタンカーも持ち上げる
職業
宇宙警備隊支部長、宇宙警備隊筆頭教官
光の国の偉人であるウルトラの父とウルトラの母の実子であり、
ウルトラセブン とはお互いに母方の従兄弟同士である。
*1
また、
ウルトラマンエース はウルトラの父とウルトラの母が引き取った養子であるため、エースとタロウは義理の兄弟の間柄である。
後のウルトラマンメビウスはタロウとウルトラマン80のもとで訓練を受けたとされる。
父親譲りの大きな二本角ウルトラホーンやセブンによく似た面構えとプロテクター、「レッド族」に分類される赤い体などが特徴。
……両親はシルバー族の筈なのにタロウがレッド族なのは変?
お前は妾の子なのさ!まったく卑しいやつめ!
その設定から、ウルトラ兄弟の中でも「今はまだ未熟だが、無限の可能性を秘めた最強の戦士」というような
キャラ付けを為されることが多い……が、近年ではウルトラマンメビウスやゼロにちょっとお株を奪われがち。
まぁ新作を売る為ゼロは従兄弟であるセブンの息子であり、既にタロウも未熟な青年と言う年齢では無くなっているだろうから仕方がない。
+
彼の名前について
「太郎」という日本男児らしいネーミングとなった背景には、当時新ウルトラマンのネーミング候補となっていた
「ウルトラマンジャック」が当時問題となっていた「ハイジャック」を連想させる事から取り止めとなっていた経緯がある。
「ジャック」が西洋のおとぎ話の主人公の名前としてよく使われる名前だったことから、
それに対応する日本の名称として名付けられたという。
(別説もある。
ウルトラマンジャック の項を参照)
宇宙大怪獣
アストロモンス との戦いで命を落とした
東(ひがし)光太郎 と一体化。
防衛チームZATの一員となった彼とともに、ヤプールの策略で地球を去った
ウルトラマンエース に代わって地球を守る。
特徴的なのは技の豊富さで、他のウルトラ兄弟に勝るとも劣らない。
+
タロウの技の数々
必殺技はストリウムエネルギーを集めて独特の構え(T字型)から打ち出す「ストリウム光線」。
威力はウルトラマンAのメタリウム光線の2倍以上、週刊のオフィシャルデータファイルではメタリウム光線の20倍との記述がある。 第1話で超獣以上の宇宙大怪獣を倒せるのも納得である。
この時「すとりうむこーせん」と日本語で叫ぶ(東光太郎を演じた篠田三郎氏の声で) のが印象的だが、
後半は意外と省略されることも多かった。
強化版として手を十字に組んで放つ「ネオストリウム光線」もあるが、タメがないためあんまり強そうに見えない。
有名な技としては「ウルトラダイナマイト」がある。
体を炎に包んで爆弾化し、相手に抱きついた状態で自爆するという捨て身の技だが、
使用後タロウだけ復活する。
タロウだけが持つウルトラ心臓があるからこそできる技らしいが、20年寿命が縮むらしい。
というかどうやって知ったんだそんな特性。 *2
流石に危険だと思ったのか1回しか使わず以降は自ら封印していたが、『ウルトラマンメビウス』で客演した際、
完全に消滅させない限り何度でも復活するロボット怪獣「無双鉄神インペライザー」を倒すため禁を破り使用した。
しかしよく考えると、10万年以上平気で生きるウルトラマン達にとっては20年など全寿命の0.002%、人間換算で高々3~4日程度。
実は割合的には
人間がタバコを吸うよりも遥かに安全 だったりする。恐怖新聞とかの方がよっぽど危ない。
タロウの教え子であるメビウスも同種の技「メビュームダイナマイト」を使用しているが、
変身アイテムがないと使えない上に消耗もタロウより激しく、『メビウス』物語終盤ではインペライザー相手に
無理に何度も連発したせいで、地球上でミライの人間体を維持できないほどギリギリまでエネルギーを消費してしまった。
それでも懲りずにOVや映画で頻繁に使っているあたりお気に入りの技らしい。
いくら高威力とはいえタロウが危険すぎるからと封印した技を使いまくるとはタロウ涙目「これが若さというものか」。
ちなみにウルトラマン、仮面ライダー、ガンダムの競演するコンパチヒーローシリーズ内の作品である3DS・PSP用ダンジョンRPG「ロストヒーローズ」では、
ウルトラマンタロウと
仮面ライダーオーズ の固有クロスオーバースキルとして「タジャドルダイナマイト」なんて技がある。
技の内容としてはタロウとタジャドルコンボを発動したオーズが炎を纏って共に敵へと突撃していくというもの。
爆発に思いっきり巻き込まれる形になるオーズの体が心配である……。(通常のウルトラダイナマイトを使用するとタロウは戦闘不能となるが、こちらは特にデメリットなし。)
更に、タロウの技として「スワローキック」という技がある。
大ジャンプして空中で身体を高速スピンさせてから、急降下してキックする。
変身直後や格闘戦で極めて頻繁に用いられる、ストリウム光線と同じくタロウの代名詞的な技である。
彼直々に鍛えられたメビウスも、上の画像のようにそっくりな技を使用している。
当初の装備は「タロウブレスレット」という腕輪。
光線を発したり、上の画像のようにブレスレットランサーという両刃槍に変形させられるが、殆ど使われなかった。
バードンに敗れ一度光の国に帰った時に母から新たな武器「キングブレスレット」を授かり、以降はこれを使用する。
このブレスレットがまた放電したり、解毒光線出したり、熱光線出したり、タロウを分身させたり、
クリスマスツリー やマジックハンド、
バケツ、桜 など、かなりフリーダムな変形をしたり、
そのまま巨大化して怪獣の口輪に してみたりとウルトラブレスレットに輪をかけてやりたい放題な万能装備である。
…特撮世界には
光太郎 って名前に何かチート補正でもあるのだろうか?
最終回では、ある理由からウルトラマンタロウとしてではなく、人間・東光太郎として生きることを決意し、
自ら変身アイテムであるウルトラバッジをウルトラの母に返却して、光太郎の姿のまま宇宙海人バルキー星人を撃破。
ZATからも身を引いて、旅に出かけた。
人間である事を捨て、ウルトラマンとして光の国へ帰還したジャックやエースとは正反対の結末である。
ちなみに次回作の『ウルトラマンレオ』も最終回で人間として旅に出る結末である。
尤も、レオは光の国(M78星雲)から派遣されたのではなく、母星(獅子座L77星)を失った為に地球へ避難してきた難民であり、
怪我をしたセブンの代わりに怪獣と戦っていただけなので、光の国とは何の関係も無いのだが(ただし、レオは作中で正式にウルトラ兄弟入りしている)。
+
結局「タロウ」って誰なの? 的な話
実は作中の描写では、「人間・東光太郎と光の国の戦士・ウルトラマンタロウが融合した」ではなく、
「東光太郎とウルトラの母が与えたウルトラの命が合体し、ウルトラマンタロウが誕生した 」という演出になっていた。
そのため、「元々『ウルトラマンタロウ』という戦士が存在したわけではない 」と受け取れる。
最終回における「人間・東光太郎として生きることを決意」なども、「光太郎=タロウ」でなければ成り立たない話と言える。
……タロウと融合したままなのにバッジだけ返却されても色々と都合が悪いだろうし。
とは言え、この「光太郎=タロウ」の方を採用すると、そもそも「ウルトラの父と母の実子 」とか
「年齢:1万2千歳 」などの設定が全部嘘になってしまう のが困り所。
+
その後の光太郎とタロウ
上記の経緯の為、次回作の『ウルトラマンレオ』では他の兄弟たちが何らかの形で登場しているのに対し
タロウのみが出ていない(漫画版では何度か登場している)。
『ウルトラマンメビウス』では宇宙警備隊の筆頭教官を務めるとされているが、
これに関しては、『レオ』『80』の更に後に起きたUキラーザウルス戦の結果、
初代・セブン・ジャック・エースは地球に留まらざるを得なくなり、彼らの代わりに
(おそらくタロウと同じ立場のレオも一緒に)光の国に帰還したという設定が作られている。
本当はコメットさん の為に帰ったんだけどね。
設定上は今でもタロウと光太郎は一心同体とされているが、2008年の映画『大決戦!超ウルトラ8兄弟』は
企画初期ではタロウを主人公とし、タロウと光太郎の再会などが描かれる予定だったことが明かされている。
尚、余談であるがタロウの一の教え子とされるメビウスは、上記のダイナマイトやキック以外にも
変身ポーズや基本の構え等にタロウの影響が強く見られる。
タロウの方もメビウスは可愛い教え子のようで、エンペラ星人の陰謀が明らかになる前の段階で
地球で何かが起きようとしていることを感じて真っ先に救援に向かおうとしていた。
+
ただし…
上記のUキラーザウルス戦とそれに関わる戦いを描いた2006年の映画『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』では
メビウスが
ザラブ星人 との戦いでエネルギーを消耗して貼り付けにされた際は
登場せず
メビウスを助けるためにエネルギーを分け与えたウルトラ兄弟4人が貼り付けにされても
登場せず
封印が解かれてパワーアップしたUキラーザウルスネオに5人がやられかけて
ようやく登場した。
まあこのとき一緒に登場した
ゾフィー が「遅くなった」と謝っていたので光の国から地球にやってくるのに
時間がかかってしまったのだろう。
その後はゾフィーとともに兄弟達にエネルギーを分け与えて7人で共闘することになるのだが、
このときメビウスにエネルギーを与えるのはゾフィー
7人で共闘するという都合上、タロウ個人の見せ場も殆どなく、タロウとメビウスが直接会話をするシーンもない。
一応、ラストでミライ=メビウスの乗る戦闘機に光の国へ帰るタロウが敬礼する、というシーンがあるものの、
TV版に比べるとメビウスとの師弟の絆を表すシーンは少なくなっている。
余談だが、この作品に登場する少年、タカトの面倒を見ている広川という水族館の学芸員は
企画初期は東光太郎が務める予定だったそうである。
また企画初期か
2009年の映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』では『メビウス』から数百年後の時代でも教官の仕事を続けている設定らしく、映画冒頭にタロウが新人ウルトラ戦士たちの訓練を視察するシーンがある。
戦闘シーンでは脱獄したウルトラマンベリアルを迎え撃つものの力及ばず敗れてしまうが、両親のピンチに駆けつけてベリアルの攻撃からウルトラの母を庇ったり、
ベリアルにプラズマスパークを奪われた光の国が凍りつく中、最後に残ったわずかな光をウルトラダイナマイトの応用で守ったりと、かませの中では それなりに見せ場があった。
『ウルトラ銀河伝説』の前日談に当たる『ゴーストリバース』ではエンペラ星人復活を目論む暗黒四天王に人質に取られたりしている。
……映画での扱いが微妙によろしくないように見えるのは気のせいだろうか。
そして、『新ウルトラマン列伝』の中で展開される最新シリーズ『ウルトラマンギンガ』においてはレギュラー出演。
主人公達のナビゲーター役兼ギャグ要因 として、未知のウルトラ戦士・ギンガに纏わる物語に関わってゆく。
余談だが、『メビウス』で再登場したウルトラ兄弟は、元々人間体のなかったゾフィーとアストラを除くと
変身者は全て当時演じていた役者の方々なのだが、タロウだけが本人でないどころか東光太郎自体が登場しなかった 。
(その為『メビウス』では『ウルトラマン物語』でタロウの声を担当した、石丸博也氏がタロウの声を担当している)
メビウス放送当時は光太郎役の篠田三郎氏が「タロウを嫌っているのではないか? 」や、
「円谷と裏でゴタゴタがあったのではないか? 」が憶測が流れ、その事をメビウスの番組終了後の
ミニコーナーの「メビナビ」風に皮肉られたりする等、波紋を呼んだ。
実際の所、篠田氏にも出演のオファーはあったのだが、舞台公演によりスケジュールの確保ができなかっただけであり、
別にタロウを嫌っているのではない。むしろ篠田氏本人はタロウに出演した事を誇りに思っているばかりか、
前述の最終回についてかなりの思い入れを思っており「光太郎として出ることがむしろファンを裏切ることになるんじゃないか」とも発言している。
『ウルトラ銀河伝説』でも石丸博也氏が引き続き声優を担当している。一度は篠田・光太郎と石丸・タロウの会話を見てみたいものだが…。
+
その他、余談色々と
漫画『キン肉マンII世』の主人公・キン肉マン2世こと「キン肉万太郎」は、
父スグル(初代
キン肉マン )が「あるヒーロー(ウルトラマンのシルエット)のようになってほしい」という理由で
付けたと明言している。万太郎にダサいと言われて怒っていたが、まんま過ぎである。
(長男だから太郎というのもあるのだろうが)
作中では初対面の相手から「キン肉マン・タロウ?」と聞かれて「キン肉・万太郎だ」と返す定番ギャグとなっている。
なお、『キン肉マン』の連載以前に公開された読切作品では、キン肉マンはウルトラの父の浮気相手が産んだ
腹違いのウルトラ8人目の兄弟で、母からは邪険にされ、上の兄弟達から虐められて育ったという設定であった。 (当然ながら本家ウルトラシリーズや、連載版『キン肉マン』における設定とは異なる)
この読切は単行本や文庫には未収録だが、円谷の許可を得てコンビニコミックに収録されている。
また『
仮面ライダー電王 』のスピンオフアニメ『イマジンあにめ3』の最終話では
ウルトラマンタロス 名義でタロウ本人が登場している(円谷プロのクレジット明記で、声も石丸博也氏が出演)。
このことを踏まえてか「ロストヒーローズ」でも電王がタロウの事をウルトラマンタロスと呼ぶシーンがある。
あと、円谷プロダクションのエイプリルフール企画の際には、
宇宙警備隊の筆頭教官になったという設定からか、
松岡修造 みたいなキャラ付けをされている。
グレート に
片想い されていたり、マグマ星人達から逃げ回る
長男 を叱咤したり、
『
けいおん! 』の影響を受けて宇宙警備隊に軽音楽部を設立しようとしたりと、
円谷キャラの誰もがキャラ崩壊を起こす、この日に相応しい展開を迎えていた。
「ジャック兄さん!! 早くけいおん買いに行こうよ!! あずにゃん は一生懸命ギターの練習してて泣けるんだよ!! 青春だよ!!」
ZAT
本作はこれまでのシリアスな、時にはハードでさえあった作風から一転し、明るい作風を目指して製作されており、
それほど悲壮感漂う物語という訳ではない(バサラやメモールの回など、ハードなエピソードが無かった訳ではないが)。
このタロウの雰囲気を象徴するのが本作における防衛チームZAT 、
『
Z
areba of
A
ll
T
errestrial』――即ち「地球の防壁」を意味する防衛チームである。
(Zarebaはアフリカの一部地域でみられる猛獣除けの「茨の柵」の意)
世界各地に支部があり、極東支部の住所は東京都千代田区霞ヶ関1-1-1。
つまり現実の「中央合同庁舎6号館A棟」=最高検察庁・東京高等検察庁・公正取引委員会の所在地。
ビルの上に円盤状の基地があり、いざと言う時は切り離して離脱する事も出来る。
宇宙人の標的にならないようにするための秘密基地
(でも一般市民がタレこみするための
直通電話
があったりする) や、
宇宙人からの攻撃による二次被害を防ぐ為に
過疎地に建っている基地 とは大違いである。
なお、一週間前に申請し宇宙人の変装であるかどうかのチェックを受けることで、一般市民でも基地の見学ができる。
前述通り、かなりチーム内の雰囲気は良く、司令室で食事をしたり将棋を指したり、一般市民とスポーツに興じたり、
隊長が出動人員を選ぶ際に「昨日カレー喰ったヤツは留守番だ」と発言した有名なエピソードなど、
彼ら以上にアットホームな雰囲気のチームは他に例がないと言われていたほど。
また、作戦行動もそれまでのウルトラシリーズの常識に囚われない自由な発想に基づいており、
怪獣に飲み込まれた光太郎と犬を救う為に怪獣にコショウをぶちまけてクシャミを誘発させたり、
酒癖の悪い怪獣にさらに酒を飲ませて酔い潰させようとしたりした。
過去の例で彼らに匹敵するのは、スカイドンやシーボーズが現れたときの科特隊くらいのものだろう。
だが、これらの一見ふざけた作戦でも怪獣に対してはそれなりの効果を挙げていることが多く、
また
「タロウを援護する!」 の台詞に象徴されるように、ウルトラマンとの連携を積極的に行っていた。
状況対応力も極めて高く、怪獣が
強酸性の液体を吐く と見ればアルカリ性の薬品で中和し、
タロウが目潰しを喰らったと見て取れば、怪獣に鈴を括りつけて援護するなど、その戦術は幅広い。
他にも
ウルトラマンジャック のウルトラスパークと同等の威力の兵器を開発したり、
新開発した特殊兵器でもなんでもない、戦闘機の通常火器で超獣をタロウの助力もなく完膚なきまでに倒すなど、
歴代チームでも指折りの強さを持っていると言われることもある……というか
コスモリキッド、再生前のデッパラス、シェルター、ムルロア、改造ベムスター、改造ベロクロン二世、ドロボン、バルキー星人を撃破し、
結果としては第二期ウルトラシリーズにおける防衛チーム単独での
最多怪獣撃破数を保持するチーム なのだ。
シリーズ通しての総合トップが
科学特捜隊 であることを鑑みると、流石の一言だろう。
……尤もその一方、迂闊な処理や(主にZATガンでの)攻撃により巨大怪獣化させてしまい、
事態の悪化を招いた例としてジレンマ、アリンドウ、ケムジラの件、
元々は大人しい性質だった怪獣を凶暴化させてしまい、事態の悪化を招いた例としてデッパラス、シェルターの件が
挙げられるなど、(特に序盤は)他組織同様に失態も多かったりするが。
即座に新しい手を思いつく発想力とそれを実行する行動力も凄いが、
どんな新兵器も即座に準備してしまう技術力(とスカイホエールの収納力)がある意味ではZAT最強の武器なのかもしれない。
余談ながら、ウルトラ第二期シリーズの防衛チームは、その特徴を持って、
解散MAT、謹慎TAC、脱出ZAT、全滅MAC 、と呼ばれることが多い。
これは「国会ではMAT不要論も出ている!」など幾度と無く上層部から解散の圧力をかけられたMAT、
北斗星司が他の隊員と喧嘩する度に謹慎を命じたTAC、
最早説明するまでもなく
全滅した 唯一の防衛チームであるMAC、
そして
機体が被弾すると一瞬の躊躇さえなく脱出するZAT というのが理由である。
『ウルトラマンメビウス』に登場し、上記の防衛チームでもメカニックをやっていたという設定のアライソ整備長が、
「機体を整備するのは生きて帰ってこさせるため」「機体と心中すると言って脱出しないのは大たわけ」と発言しているほか、
(同時に「たしかによく落っこった」と
墜落ばかりしていたことを認めちゃったが )
ある怪獣の背中に爆弾を設置するという決死作戦に挑む隊員に対して、
上司が
「命だけは持って逃げろよ!」 と声をかけるなど、作品全体通して徹底されていた。
(尚、怪獣の発生させた放射能雲が地球を覆いつくして、人類滅亡寸前という状況下においての発言である)
……まあ、実はTACの方が脱出回数多いのにこういう認識を持たれてしまう辺り、ZATの特徴が良く出ている気がする。
他にも怪獣が卵を取り戻しに来ただけと見ると、巨大なバスケットを用意して其れを怪獣夫婦に渡したり、
生命的な損害を可能な限り防ぐという意味でも、やっぱり優秀な防衛チームであったと言えるのかもしれない。
……メカデザインは奇抜の一言だけど。
挙句の果てには、一般人が怪獣と互角以上に勝負した事も。
タロウの作風について
こういった明るい雰囲気が目立つ一方で、これまで謎とされていたM78星雲・光の国にスポットを当てた初めての作品でもあり、
『タロウ』以降、ウルトラの星の歴史や文化の一部、重要アイテムとされるウルトラベルや人工太陽プラズマスパーク、
ウルトラ一族の宿敵・エンペラ星人の存在などの設定が様々な媒体で公開されることになった。
『帰ってきたウルトラマン』から度々扱われていたウルトラ兄弟の客演もかなり多く、イメージを一層強めることに成功している。
また、兄弟が全員集合したのに併せてタロウの兄たちへの依存と自立を描いたエピソードなどもあり、タロウの個性付けにも一役買っている。
そんな作風から一時期はファンから「ウルトラマンの神秘性を損なった」などと批判され、
サブタイトルの一つ「僕にも怪獣は退治できる!」をもじって
「僕にもタロウの脚本は書ける!」 と
酷い揶揄
をされもしたが、
一方当時の平均視聴率は18%と奮闘しており、特に路線変更もせず無事に終了している。
現在は再評価も進み、汚名はある程度返上されている。
またコミカルで明るい作風だった為、続編の『レオ』のストーリーのシリアスとハードっぷりに戸惑った視聴者も多かった模様。
とはいえ、こういった側面を良い方向に受け取り、明るい作風に魅了されてファンになった視聴者も当時から多く、
商業的にも成功を収めた作品であり、今尚根強い人気を誇るウルトラシリーズの一つである事に疑問の余地は無い。
+
石川賢版『ウルトラマンタロウ』
『
ゲッターロボ 』『
虚無戦記 』の作者であり、
『
餓狼伝説 』『
サムライスピリッツ 』のコミカライズも手掛けた石川賢による漫画版『ウルトラマンタロウ』も存在する。
設定は共通点を探した方が早いほどに変わっており、単行本によっては
「
設定とか全然違うけど出版社に文句言わないでね!当時の連載を載せただけだから! 」(意訳)と目次に書いてある。
例を挙げると、東(
あずま )光太郎は
最後まで無所属ボクサー 、ウルトラの母は
太陽そのもの 、
敵は大怪獣ならぬ
奇形獣 等など、ケン・イシカワお得意の「神と魔の戦争」を彷彿とさせる設定となっている。
ちなみにデビューしてから5年も経ってない時期の作品である。
案の定、原作のコミカル色は微塵もなく、石川氏特有のバイオレンスな展開などが非常に強い作風となっているが、
一方で「
ウルトラマンが何故、地球人を助けるのか 」という、後年の平成シリーズにも通じるテーマに触れており
*3
オリジナルの展開ながら、本家ウルトラシリーズのファンからも決して低くない評価を得ている。
現在は「ebookjapan」にて電子書籍も販売してるので、興味があれば是非読んでほしい。
MUGENにおけるウルトラマンタロウ
muu氏により『
対決!ウルトラヒーロー 』のドットを用いたキャラが公開されている。
例によって、ネビュラコンボやスピリッツシステム、防衛チームによる援護攻撃などを搭載し、
体力が4分の1以下になるとカラータイマーが点滅を始め、敵の体力を半分以下にすると主題歌のインストが流れる。
凶・狂クラスが跋扈するMUGENの怪獣界に対抗するためかタロウの持ち技もなかなか強めに調整され、
広範囲(ほぼ全画面)の攻撃判定とゲージ減少効果を持つ ウルトラベルや相手を上空に吹き飛ばす中段技タロウスパウト等の必殺技をはじめ、
超必殺技も、上下に打ち分けられるストリウム光線とネオストリウム光線、
自爆するけど体力が減らないウルトラダイナマイト、特定の条件下でのみ使用可能なコスモミラクル光線
*4 などを持つ。
必殺技のタロウスパウトは移動中に出すと突進技として広範囲を攻撃できるうえに、浮かせた相手はまたタロウスパウトで追撃可能であり、
空中受け身がないキャラだと永久が成立してしまうこともある。
プレイヤー操作ならぶっちゃけこの技だけで大抵のキャラには有利に戦えるので、対空や切り返し技としてはおそらく最強クラスだと言える。
また、ストリウム光線は発射までやや時間がかかるためシングルだとガードされることもあるが
無敵が長くダメージも大きいため、タッグでは邪魔されずにぶっぱなして相手をまとめて攻撃できるので心強い。
シングルでもタッグでも十分に強さを発揮できるのがタロウの強みなのかもしれない。
2010年6月13日の更新でスピリッツシステムなどの仕様が変更された。
+
12Pカラー
12Pカラーは『Fighting Evolution Rebirth』に登場したカオスロイドT
*5 をイメージした仕様になっており、
攻撃力が2倍になる代わりに防御力は半減する。
またbakisimu氏による性能改変パッチが存在する。全体的に高火力な代わりに技を外した場合の隙が大きい性能になっている。
通常攻撃の性能が強化される代わりに、スピリッツや前述のタロウスパウトを含め他の部分の性能が抑えられているため弱体化気味の調整となっている。
SEの変更やカットインの追加など演出面でも強化される。
出場大会
出演ストーリー
*1
ちなみに、放送当時の学年誌における特集記事では
ウルトラマンジャック はウルトラの母の妹と
結婚したと記載されており、この設定が現在でも通用するのであれば、ジャックは義理の叔父に相当すると思われる。
また映画『ウルトラマン物語』では、まだウルトラホーンが小さい少年時のタロウが登場している。
ファンの間で通称「コタロウ」と呼ばれており、声を
野沢雅子 氏が担当していた。
サラダ油のCMでちびタロウを見かけた人も多いのではないだろうか。
*3
『ウルトラマンメビウス』では、光の国の住民は元々地球人に近い姿であったが、ある理由で現在の姿に変化してしまった為、
かつてのもう戻れない時代の自分たちの姿を地球人に重ね合わせているから守っているとメビウスが語っている。
彼らの肉体が変化した理由は公式設定によると、「26万年前(『大怪獣バトル』シリーズでは27万年前)に
光の国の太陽が爆発した為、当時の光の国の科学者たちが人工太陽『プラズマスパーク』を完成させたが、
そこから発せられる高エネルギー『ディファレーター光線』が住民をウルトラマンの姿に変化させてしまった」と語られている。
また、この辺りの時代の描写は作品によって微妙に異なっており、漫画『ウルトラマン STORY 0』では
バルタン星人 が
プラズマスパークに細工をし、ディファレーター光線が大量に放出されるようになったという設定になっている。
なお、件の石川氏の『タロウ』においては、まだ猿に近かった頃の地球人を進化に導いたのは、
太古の時代に地球に訪れたウルトラ人であり、それがウルトラマン達が地球人を見守っている理由とされている。
……そこ、進化に導いたって
ゲッター線 じゃねーかとか言わない。
また別作品ではあるが、居村眞二の漫画『プロメテウス伝説』においては、超人になる前のウルトラ人の祖先となったのは
時空の歪みに巻き込まれて過去に転移した地球人と語られている。
いずれの漫画も別作品同士ではあるが、並べて読み比べてみたら意外な発想の接点が思いつくかもしれない。
*4
映画『ウルトラマン物語』において六兄弟と融合した状態で使用した大技で、強敵グランドキングを粉砕している。
映像媒体以外では、居村眞二の漫画『ウルトラ超伝説』においても使用している。
また、『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』にてメビウスが同様の融合を行った
「ウルトラマンメビウスインフィニティ」となり、「コスモミラクルアタック」という同種の技を使用している。
(怪獣の体内に取られた人質を救出する必要があったため、エネルギーを纏った体当たりになっている)
*5
PS2ゲーム『ウルトラマン Fighting Evolution REBIRTH 』に登場した敵キャラクター。
メフィラス星人 がカオスヘッダー(『ウルトラマンコスモス』の敵)を利用して作り出した偽者で、
MUGENキャラにも搭載されている
カオスロイドT は、その名の通りウルトラマンタロウをモデルとしている。
(T=ウルトラマンタロウ "ULTRAMAN
T AROU"))