「さあ、ムラサメ。戦いなさい」
「……はい。マザー」
東映の特撮作品であり『
スーパー戦隊シリーズ』第46作『
暴太郎戦隊ドンブラザーズ』に登場する戦士。
ムラサメといっても
強化人間ではない。
担当声優は
村瀬歩
氏。
元々は敵勢力「脳人」の支配層である元老院が対「獣人」用に作り上げた人工生命体。
元々は自我を持たない単なる生体兵器だったのだが、「マザー」なる存在に導かれる形で意思を獲得し、
元老院の管理下から逃れて人間界で独自行動を取るようになった。
脳人の実働部隊であるソノイ達もその存在こそ認知していたが、独自に動くのは想定外だったらしく、
姿を見た際には大いに動揺していた。
つまり本来は脳人側の戦力のはずなのだが、その姿はむしろドンブラザーズの戦士達に酷似している。
これは、ドンブラザーズの技術が本を正せばかつて異世界「イデオン」(
伝説巨神とは無関係)を支配していたドン王家由来なのだが、
ドンムラサメはそのドン王家の技術を元老院が利用したためという説が有力。
姿以外の根拠としては、後述のニンジャークソードが事情通らしいソノヤを除く使用者を暴走させたのに対して、
ドン王家の血縁者である桃井タロウ/ドンモモタロウは使用しても意識を乗っ取られなかった事も挙げられる。
主に「ニンジャークソード」の力を用いた忍者のようなトリッキーな戦闘スタイルが特徴。
というか、普段は意識をこの刀に宿しており、戦闘時には単独でこのまま飛行し戦場へと乱入した後で実体化する。
要はこの
剣が本体。
ニンジャークソードはギアを回転させる事で、潜水するかの如く地中に潜り込み自在に移動する「一鮫・斬鮫」、
ワイヤー付きのアンカーのようなエネルギーを4つ射出して敵を捕らえて斬る「二鮫・暴鮫」、
地面を斬りつける事で3つの斬撃を
ヒレを水上に出したサメの如く地中に潜行させる「三鮫・群鮫」などの技があるが、
後者2つの技はドンムラサメ以外の奴が最初に使用した。
また、アバタロウギアを使わずにレジェンド戦隊にアバターチェンジが可能。
実力は高く、登場した時点で6人揃ったドンブラザーズを一人で圧倒し、アルターモードでの戦いでも、
ドンモモタロウアルターとドンドラゴクウアルターの2人がかりでやっと互角という戦闘力を誇っていた。
しかもこの時期でもまだ自我を獲得して日が浅い、つまり発展途上の段階であり、
物語が進むごとに口調も幼い少年風から中性的な青年風の印象へと変わり、それに比例するかのように戦闘能力もさらに成長していった。
中盤以降はドンロボタロウを模した「ブラックロボタロウ」に巨大化変身し、更に無人の4機と合体する事で、
「ブラックオニタイジン」へと合体する事が可能となった。
戦闘能力としてはドンオニタイジンの上位形態、トラドラオニタイジンと渡り合える程。
そして最大の特徴だったのは、彼が所持しているニンジャークソードが、
劇中で最初に発見された、
不可殺とされていた「獣人」を殺害できる手段だった事である。
単に
不死身の敵を倒せるというだけなら問題無かったのだが、「獣人」は
人間を誘拐してコピーした上でコピー元と生死を共有する性質を持つため、
「獣人」を倒す事でコピー元の人間が間接的に死亡してしまうという問題が生じてしまった。
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後半ネタバレ注意 |
ドントラボルト/闇ジロウとの対話や、未来から来たもう一人のドンムラサメとの対決あとはるかが運転する車に轢かれたりなどを得て、
結果的にドンブラザーズの面々と敵対しつつもある意味交流も重ね自我を確立していたのだが、
最終話にてラスボスの片割れに武器として扱われる中で、自らの意思で「貴方が気に入らない」とラスボスから離反。
マザーもムラサメの自発的な行動を支持した事で、タロウを除いたドンブラザーズ8人と共闘する。
それでもなお苦戦を強いられるも、そこにドンモモタロウが現れ、自身の仲間であるドンブラザーズに名乗りを行うぞと宣言。
先んじて名乗りをあげたソノイ、ソノニ、ソノザに続き、
「ジョーズに目覚めた、ドンムラサメ!」
こうしてドンブラザーズ10番目の戦士として正式に仲間入りを果たすのだった。
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脳人と獣人の内情及びドンムラサメの出自(ネタバレ注意) |
脳人の拠点である異世界「イデオン」は人間世界の裏に重なって存在する異次元世界で、
人間から発生する波動から作られ維持されているのだが、その波動は人間の抱く欲望によって不安定になってしまい、
そうなればイデオンも存在を確立する事が難しくなる難点を抱えていた。
本編より約20年前、この問題を解決するために脳人の間で 人間達を一種の「資源」として管理しようとする意見が出始めたのだが、
当時の支配層であったドン王家は人間との共存を掲げていたためこれを否定し、
代案として人間に代わる新たな波動の発生源となる人工生命体の創造を提案した。
その試みで 生存本能以外の欲望を一切持たない命として生み出されたのが獣人だったのだが、獣人は脳人や人間を捕食対象と見なすなど制御不能の存在となり、
さらに上記の通り不可殺の存在と化してしまったため、駆除しようにもできなくなってしまった
(流石にドン王家が意図的にこれらの習性を備えさせたとは思えず、恐らくは B級映画やZ級映画の如く創造の過程で想定外のバグが起きたか、
獣人が進化の過程で後天的に身に付けたと思われる)。
これによりイデオンは深刻な影響を受け、脳人達は事の発端となったドン王家にクーデターを起こして処刑。
殺そうにも殺せない獣人は異空間「眠りの森」に封印し、人間界へと通ずる道は桃井陣が守る事になったのだが、
獣人は脳人や陣の知らない「新たな扉」を発見し、密かに現世に舞い戻って人間界に潜伏し出したため手を打つ必要性が生まれた……という事情がある。
後にドンモモタロウ/桃井タロウがオリジナルの人間を解放して「眠りの森」を縄張りとするボスとなる事で獣人を封じ、
今後獣人が新たに人間界に出る事は無くなった。
……本来ならドンドラゴクウ/桃谷ジロウの役目なのだが、コイツはかなり精神的にぶれやすいヤツなので…。
公式サイトの解説によればドンムラサメを作ったのは元老院だが、ニンジャークソードを作ったのはドン王家とされる。
この事から劇中では明言されていないものの、ドン王家も獣人への対策を研究していたが未完成のまま処刑されたため、
ニンジャークソードの技術はブラックボックスと化してしまい、他の脳人達は量産化や使い手を暴走させる特性の克服ができず、
しかし獣人が活動を再開し始めたため悠長に構えていられなくなり、とはいえ現存しているニンジャークソード以外に対抗手段が無く、
止むを得ず使いこなせる駒であるドンムラサメを作った…という背景が垣間見える。
そして、劇中では完結後も正体が明かされなかった「マザー」だが、
『ファイナルライブツアー2023』にてその正体が「ドンムラサメに組み込まれていた育成プログラム」であった事が判明した。
本来はムラサメを導くためにアドバイスするための存在であったが、それ故に独自行動させて成長を促していた模様。
脳人の創造物って制御不能な奴ばっかりじゃね?
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余談 |
なおメタ的な話では前作『ゼンカイジャー』の「ステイシー/ステイシーザー」が、 超重要キャラなのに実は当初は登場予定が無かったため、
人気キャラなのにステイシーの玩具の発売が大幅に遅れてしまった事を受け、
予めメイン6人以外で玩具を出せるキャラとして追加されたので、モチーフになっている昔ばなしは存在しないとの事
(視聴者間では鮫が出てくる『 因幡の白兎』や、妖刀「村雨」が登場する『南総里見八犬伝』が候補に挙がっていた)。
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MUGENにおけるドンムラサメ
ガ・タキリ・バ氏の製作したキャラが公開中。
通常技は主に素手で攻撃し、
必殺技「逆手斬り」でニンジャークソードを使用する。
超必殺技は
アバレキラーと化して攻撃する「アバターチェンジ」。
AIは未搭載だが、戯けた暇人氏による外部AIが公開されている。想定ランクは強中位程度。
立ち強対空や飛び込みからダメージを取りつつ
ゲージを溜め、
溜まったゲージを発生保障があり
発生も早いアバターチェンジを用いた切り返しに用いる、手堅い立ち回りを見せる。
余談だが、2023年のエイプリルフールネタ企画にて、
ベリアロクを改変した「ニンジャークソード」も先んじて公開されている。
出場大会
最終更新:2025年02月15日 12:54