ゾーンファイター




 銀河をジャンプ 宇宙を走り

 次元を裂いて飛んでくる

 すごいあいつ


 データ
 身長:1.8~62m
 体重:91kg~5万5千t
 パンチ力:厚さ50cmのコンクリートを一撃で破壊する
 キック力:京玉プラザホテルを軽く蹴り倒す
 ジャンプ力:身長の37倍(およそ2千300m)
 走力:時速1千km
 出身地:ピースランド星


東宝特撮番組『流星人間ゾーン』に登場するヒーロー。
ガロガバラン星人の侵略を受けて壊滅したピースランド星人は、故郷を持たず宇宙を漂流する「流星人間」となった。
ピースランド星の生き残りの一人である防人光(さきもり ひかる)(演:青山一也)は地球に辿り着き、
家族と共に防人家として地球で新たに生活を始めるが、ガロガの魔の手は地球にも伸びていた。
ガロガが宇宙要塞から恐獣ミサイルで送り込んでくる恐獣達より地球を守るため、
防人光はゾーンファイターへと変身、敢然とガロガの野望に立ち向かうのであった。

防人家の三兄弟達は全員変身能力を持っているが、長男:光が変身するゾーンファイターのみは巨大化能力も備えており、
人間大から「ゾーン・ダブル・ファイト!!」の掛け声で巨大変身する(状況によっては、防人光から直接変身する事もある)。
なお前年の『シルバー仮面ジャイアント』(宣弘社)と同じく、等身大では人間がマスクをした姿だが
(ただしシルバー仮面は目元を隠して口元が露出しているのに対し、ゾーン三兄弟は逆。余談だが、シルバー仮面の春日五兄弟で変身出来るのは次男だけ)、
巨大化すると上の画像の通り着ぐるみ顔に変わる。
防人家と通信する際は「ランドスーピーよりミリファーへ!」というあまり正体隠す気なさそうなコードネームを用いる。

主なエネルギー源は太陽光線を元にしたプロトンエネルギーであり、
そのエネルギー残量はバックルの部分に出現した「ゾーンメーター」に表示される。
通常時のゾーンメーターは青であるが、エネルギーの残量にしたがって「青→黄→赤」と変化し、
赤の点滅になると残りの行動時間が110秒になってしまう。
ただし、ファイターのエネルギーは頭部の角飾りに付いているゾーンマーカーからいつでも補給する事が可能で、
ゾーンエンジェル(長女:蛍)とゾーンジュニア(次男:明)のゾーンマーカーから発する光線で直接補給するか、
小型宇宙艇スモーキーを使ってゾーンマーカー自体を交換する「ゾーンマーカーチェンジ」によってエネルギーを回復させる。
とはいえ、甚大なダメージを受けた場合は、たとえマーカーが青でも強制的に等身大に戻される。
必殺技は両腕に装着されるランチャーから無数のプロトンミサイルを射出する「流星ミサイルマイト」、
額のゾーンマーカーから発射する高威力の破壊光線「流星プロトンビーム」などがあり、
また背中から幾筋もの火を噴いて瞬時に間合いを詰める「流星ジェット」からのコンボであのキングギドラに再起不能と言われる程のダメージを与えている。

+ 『流星人間ゾーン』作品解説
映画会社の東宝が1973年に初挑戦した特撮TV番組。
元々はゴジラのTV版企画からスタートしていた事もあり、ゴジラ(『ゴジラ対メガロ』の時期)は正義の怪獣としてゾーンファイターを助け、
ガロガ側が恐獣ミサイルにて地球に送り込んでくる、あるいはガロガが変身したり合体した恐獣(怪獣)達と対決する
(ちなみに恐獣という名称は、後に東宝が製作した『超星艦隊セイザーX』の敵怪獣にも使われている)。
ガロガ側もオリジナル恐獣だけでなくキングギドラガイガンといった有名怪獣達を恐獣として送り込み、ゾーンファイターと激戦を繰り広げていく。

防衛軍は登場するものの所謂防衛チームは登場しないため、基本的にガロガとの戦いは防人一家が中心で、
ただ一人ガロガの侵略に気付いたアマチュア天文家・城タケルが協力者(および蛍の恋愛相手)としてサポートを行い、
生身で戦闘員と戦う場面も多いため、ヒーローチームの規模感としては等身大ヒーローのそれに近い。
恐獣出現と共に家族経営の玩具企業「防人玩具研究所」の地下に隠された司令部からキリヤマ隊長ゾーンファザー(父:陽一郎)が作戦指揮を取り、
前述の小型宇宙艇スモーキー、自家用車に偽装された戦闘艇マイティライナーを駆使してゾーンファイターを援護する事になる。
切り札としてゾーングレート(祖父:雷太)の強力な稲妻を発生させる超能力ボルトサンダーがあるが、彼の命を削るため多用はできない。
そしてゾーンマザー(母:月子)が直接戦いに関わる事は少ないが、戦いに赴く家族の心身をケアしてサポートしているため、
まさに一家一丸となってガロガの侵略に立ち向かっていくという物語が展開された。

視聴率は当初こそ10%と好評だったものの、後半にいくにつれて裏番組『バビル2世』などの影響もあって6.6%まで低迷。
最終的にはガロガとの決着は付かず2クールで番組は終了となったが、様々なノウハウを培う事ができ、技術面での礎となった。
ただし突然最終回が決まったらしく、最終話「粉砕!ガロガガンマーX作戦」は、新たに現れたガロガガンマーXなる上級ガロガ達の野望を砕いて終わる、
言ってしまえば普段の放送回と何ら変わらぬ回で、スタッフもこれが最終回だとは思っていなかったとの事。これで続きが無いって嘘だろ!?
そのためガロガが恐獣の縮小化に成功、カプセルに封入する事で一挙に送り込んできた5体もの恐獣連合軍との壮絶な戦いの末、
ゴジラの協力を得て奥多摩に建設されたガロガ基地を破壊し、ガロガを一時撤退に追い込む第25話「凄絶!ゾーン・ゴジラ対恐獣連合軍」の方が、
よっぽど最終回らしい終わり方となってしまっている。

当時主流だった特撮技術による光線技とは一線を画す実弾必殺技「流星ミサイルマイト」は、火薬による弾幕の単純な迫力だけに止まらず、
空中から地上を掃射したり、濃密な弾幕の集中投射で恐獣の首がもげたり、零距離射撃で胴体を貫通させて大きな風穴を開けたり、
両手に装備されている事から片腕で発射しながら接近してゼロ距離で反対の手から発射するなどのアクションもあり、
特殊効果による光線技では出せない独特のリアルな破壊描写と、執拗な弾幕によるオーバーキルがファンの心を掴んだ。
このレベルの破壊力を拳銃サイズの携行火器でやらかしたイデ隊員の「スパーク8」って、今振り返ってもガチでやべえな…
加えてスーツアクターの久須美欽一はレッドマン、ミラーマンといったヒーローも演じており、その格闘アクションもかなりのハイクオリティ。
特撮好きには知る人ぞ知る作品という事で、後年の映像作品や漫画でも例えば、
『トップをねらえ!』の「バスターミサイルマイト」や、『THE ビッグオー』の「Oサンダー」といったオマージュ武器が存在する。
2010年代だと、『ウルトラマンオーブ』に登場したメトロン星人タルデが、
「ラウンドランチャー」という類似武器を装備していた事がちょっとした話題となっていた。
2020年代だと、ナーフ系玩具銃として似た見た目の玩具銃が登場している
(マガジンが手首の周りを一周しており、撃つたびに回転して弾が装填される。ただし流星ミサイルマイトは回転しない)。

ゴジラの対戦格闘ゲームである『ゴジラ 怪獣大決戦』におけるガイガンの技のひとつ「ガイガン忍法生き返りの術」は実は本作が元ネタ。
これまでゴジラと数々の戦いを繰り広げながらも生還を果たしてきたガイガンも、ゾーンファイターとの戦いで初めて撃破される事になり、
忍法生き返りの術で復活を果たすも、再度流星ミサイルマイトの直撃を受けて爆発四散するのであった。
作品の知名度を考えると、元ネタに気づいていた当時の子供がどれくらいいたのか疑問である

アニメ『GODZILLA』3部作の前史小説第2弾『プロジェクト・メカゴジラ』にガイガンが登場した際は、
ガイガンが人類の味方(かつメカゴジラ採用兵器のテストベッド)として様々な改造を施されてゴジラに立ち向かっていく中で、
最終的に両腕には収束型誘導弾ミサイルマイトが搭載されるというオマージュがなされた。
そのため、あくまでファンの妄想としてだが、プロパガンダでゾーンファイター同様のヒロイックな塗装を施された改造後ガイガンの姿なども創作されている。

アニメ『ゴジラS.P』ではエンディング映像にてファイター、エンジェル、ジュニアと思われる3人が1カット且つ後ろ姿ながら登場。
秋葉原ラジオセンターと思われる建物に出現したクモンガと対峙している姿が描かれている。

格ゲーでもマキシマが『KOF'99』のEDにて、かなりそっくりな腕部ミサイルランチャーをぶっ放している。
……が、あまりにもそのまんま過ぎたためか、その後は技としての採用含め一切登場しなかった。エンドオブワールド?あれ足から出てるし
あとこちらの彼も「ミサイルマイトバッシュ」と技名だけ貰ってきている。

ニコニコ動画では、ジャンケンや輪投げ対決を行った恐獣ガンダーギラスとのカオスな対決*1がMAD素材として有名だった。
またこれによって知名度が上がり、改めてミサイルマイトの威力を目の当たりにして恐れ慄く新規ファンも多く生まれた。
庵野秀明氏のプロデュースした特撮博物館にもゾーンファイターのマスクなどが展示されていたりと、今なお根強い人気を誇っている。


MUGENにおけるゾーンファイター

カーベィ氏の製作したキャラが公開中。
kMIKEj氏提供のスプライトを用いており、モーションは「OPTPiX SpriteStudio」で作られている。
体当たりや徒手空拳による近接攻撃に加えて「流星スライスショット」「流星フリーザー」などの飛び道具を備えたオールラウンダーな性能をしている。
超必殺技は1ゲージ消費の「流星ミサイルマイト」「流星キック」、1.3ゲージ消費の「流星プロトンビーム」の3つ。
AIもデフォルトで搭載されている。

出場大会

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*1
第18話「指令『日本列島爆破せよ』」、第19話「命令『Kスイ星で地球をこわせ』」に登場した破壊恐獣ガンダーギラスとの対決の事。

原子力に匹敵する出力を持ちながら完全無公害の新エネルギー「PS-73」は、
しかし衝撃と磁力線に弱く、これによって大爆発を引き起こすという欠点があった。
そこに目を付けたガロガ達はPS-73のカプセルを強奪、ガンダーギラスの体内に組み込み、生ける爆弾に仕立て上げる。
ゾーンファイターはPS-73の爆発を避けるため迂闊に攻撃する事ができずガンダーギラスに敗れるものの、
何故かガロガ達はゾーンファイターにトドメを刺さずにガンダーギラスを撤退させる。
強力な磁力線を放つK彗星が飛来する事を察知したガロガ達は、ただ単純にガンダーギラスでゾーンファイターを殺すのではなく、
K彗星の磁力を受けたPS-73の大爆発で日本列島ごとゾーンファイターを処刑しようと目論んでいたのだ。
刻一刻とK彗星が地球に迫る中、果たしてゾーンファイターは如何にしてガンダーギラスを破るのか……。

……というシリアスそのもののストーリーラインのはずなのだが、
初戦では穏便にガンダーギラスを撤退させようとゾーンファイターがジャンケン対決を提案して何故かガンダーギラスがそれに乗ったり、
続けてフェンシング対決を行ったり、転びそうになったガンダーギラスを助けたり、
騙し討ちをしたせいでガンダーギラスを怒らせて敗北したりといった前半に続き、
後半でもガロガに敗北した危機的状況にも拘らず、ゾーンファイター達はホテルのプールで遊んだり、ガバガバの作戦でガロガを誘き出したり、
そもそもPS-73が無公害以前に危険すぎるだろとか色々ツッコミ所のある展開を経て、繰り広げられるのが輪投げ対決である。

そしてゾーンファイターの投げた輪が棒に引っかかる=完全に棒に入ってないという状況にガンダーギラスが審議を要求。
抗議するガンダーギラスが背を向けた瞬間、ゾーンファイターは躊躇なく襲いかかって手刀で顔面を陥没させ、飛び出た目を視神経ごと引き千切り、
視力を喪って右往左往するガンダーギラスを手拍子で誘導、流星ゾーンスライスで両腕を切断するという部位破壊を行った後、
よりにもよって流星ミサイルマイトで頭部を吹き飛ばし、残ったガンダーギラスの胴体を宇宙空間のK彗星付近まで運んで爆破。
これによりK彗星の軌道は大きく変わり、地球に残されたPS-73の爆発は阻止され、日本列島壊滅の危機は回避されたのだった。

……前後編の2話も使ってこんな話やってっから視聴率が下がったのでは???


最終更新:2025年07月01日 09:30