ビッグオー








“CAST IN THE NAME OF GOD, YE NOT GUILTY.”

 (我、神の名においてこれを鋳造する。汝ら罪なし。)*1


 全高:約30m
 重量:不明

「ビッグオー!ショータイム!!」

株式会社サンライズが制作し、WOWOWで放送されたアニメ『THE ビッグオー』の主人公機。
デザイン担当は本作のキャラクターデザインも兼ねているさとうけいいち氏。
「メガデウス」と呼ばれるロボットの1体で、ビッグオーは「ザ・ビッグ」と呼ばれる、陸・海・空を征する最強のメガデウスの1体であり、
「陸のザ・ビッグ」と呼ばれる。
上記の呼びかけによって場所を問わず登場するため、地面を突き破って登場する事が多く、出撃の度に必ずと言っていい程周囲を破壊してしまう。
専用の車両「プレーリードッグ」で輸送されており、作中では既に使われていない地下鉄の路線で走行する。
ザ・ビッグの中でも最も重装甲かつ格闘戦に長けた機体だが、機動力が劣り空中の敵に苦戦する事も多い。
独特な歩行音は『スーパーロボットレッドバロン』のオマージュである。

ドミュナス*2は主人公であるロジャー・スミス。担当声優は 宮本充 氏。
年齢は25歳。身長180cm。
「40年前に起こった何か」によって住民全員が記憶喪失となった街「パラダイムシティ」の住民であり、彼もまた記憶喪失である。
職業はネゴシエイター(交渉人)だが、何かと肉体言語(ビッグオー)に頼る事が多い点を良く突っ込まれている
あと外見が某弁護士に似ている事も指摘される。第一期放映はこちらが先だが
とは言え、ロジャーが腕力に訴えるのは実力行使に出ざるを得ない程の極悪人、あるいは狂人である事がほとんどであるため、
必ずしも毎回力ずくで交渉成立に持ち込むわけではない。
基本的には「パラダイムシティ随一のネゴシエイター」と紹介されている様に有能な交渉人である
(メタ的には、本作がロボットアニメである以上「ビッグオーを使わずに済んだ事件はアニメ化されない」と言うのが理由)。
普段はフェミニストを気取っているが、付き合いの長い相手には元軍人としての短気な気性を表す。一方、老人には敵味方を問わず紳士的
殺人は避けるためか、拳銃は持たない主義である。
黒にこだわっており、自身のスーツは勿論のことメイドのアンドロイド、R・ドロシー・ウェインライト、
ならびに執事であるノーマン・バーグの服装も黒で統一させている。その当のドロシー本人からは大変不評を買っているが

+ 武装
  • モビーディック・アンカー
腰から射出される鎖付きの錨。敵に突き刺したり縛り付けて拘束する他、自身の固定にも用いる。
機動力が低いビッグオーにとって貴重な移動手段であり、相手を手繰り寄せてサドン・インパクトを放つコンボ攻撃も使う。
また、錨自体の遠隔操作も可能で先端に備えたクローで敵を捕らえたり、全アンカーを射出して全方位攻撃するなど汎用性が非常に高い。
鎖もビッグオーがセントラルドーム(半径数十㎞の巨大ドーム型建造物)の天井に吊り下がる事を可能にする恐ろしい強度である。

  • サドン・インパクト
ビッグオー最大の武装の1つ。巨大な腕で相手を殴り、肘にあるシリンダー「ストライク・パイル」から圧縮空気を放って止めを刺す。
放った時に生じる圧縮空気だけでもビル2つ貫通する程の威力で、これで遠距離攻撃した事もある。
また、両腕同時に使う事も可能で、水中に沈んだ時に水底に突き立てて衝撃で浮上し、脱出した。

  • クロム・バスター
両腕を上げ、拳を合わせてから頭部の額にあるクリスタル部分から長射程のビームを発射する。
この独特の前動作も前述の特撮番組『スーパーロボット レッドバロン』の必殺技「エレクトリッガー」のオマージュ。
サドン・インパクトと並ぶ必殺技の一つだが、高威力すぎて周囲に人が居ると使えない描写もあった。

  • アーク・ライン
両眼から発射するビーム。牽制目的で使用される事が多いが並のメガデウスならこれ一発で倒せる。
ザ・ビッグの共通装備でもある。

  • ミサイル・パーティー
腹部に格納されているミサイルを一斉発射する。ミサイルは時限信管式で、相手に刺さった後少し遅れて爆発する。
同様の内蔵火器として胸部には大砲もあり、こちらは「キャノン・パーティー」と呼ばれ、同時発射する事も多い。

  • プラズマ・ギミック
両肩を展開し、周囲に放電してプラズマの球体を身に纏う。バリアの様に使う事もできる。
ロジャーは当初その存在すら把握しておらず、強敵との戦いでメモリーが蘇って使用可能になった。
スパロボではMAP兵器として登場している。

  • Oサンダー
セカンドシーズンから使用され始めた必殺技。
腕が変形して展開されるガトリング砲から光弾を発射する。
飛び道具だが、相手の頭部を引っ掴んだまま発射し、そのまま胴体をブチ抜いて首を引きちぎった事もある。
光の軌跡がリング状となっており、アルファベットのOに見える事が名前の由来だろう。
これも特撮番組『流星人間ゾーン』のゾーンファイターの必殺技「流星ミサイルマイト」のオマージュ武器である。

  • ビッグオー・ファイナルステージ
ビッグオー最後の武装。体内に格納されている巨大なビーム砲を露出し、極太のビームを発射する。
その威力は先述のセントラルドームを容易く消滅させてしまうほど。
発砲時にはモビーディックアンカーで機体を固定し、プラズマ・ギミックのバリアが展開、更にサドン・インパクトの空撃ちで反動を抑える必要がある。
更にこの武器もロジャーのメモリーに無く、ある悪役から情報を提供された上でドロシーが機体に接続しなければ撃てないなど、物語の集大成と言える。
なお、1発限りの武装であり、発射後は砲身が焼け落ちて使用不能となる。

武装まとめ

+ 原作の解説
本作はアメコミを意識した作風となっている。
1期は多くの謎を残して終わったが、人気が出た事から2期が放送された。
前述した足音の件も含めて、本作は特撮や漫画等のオマージュが多く、特に1期のOPはまんま『ウルトラセブン』のパロディである。
更に言うと、曲「Big-O!」の構成は映画『フラッシュ・ゴードン』の主題歌であるQueenの「フラッシュのテーマ」そのもので、
これが原因なのかDVDやネット配信では曲が差し替えられている
……だが、その差し替え曲及び2期のOP「RESPECT」も懲りずに『謎の円盤UFO』のOP曲のオマージュであった。
CS局放送やBlu-ray化に伴い再び差し替えOPの「Big-O! Show Must Go On」が作られたものの、これもこれでザ・キンクスっぽい始末。
遂にはQueenのブライアン・メイにこれらの事実が露見し、「Big-O!」の楽曲権利はQueen側に移行した(「フラッシュのテーマ」のアレンジ曲扱い)。
訴えられなかっただけマシと考えるべきか……。
限りなくアウトに近いアウト
まるで反省していない…

+ ネタバレ
パラダイムシティの空は常に雲に覆われており一度も晴れた事が無かったのだが、
実は頭上に空など存在しておらず、天井には舞台装置の様な照明が垂れ下がっていた。
これは第2期『2nd SEASON』において宿敵アレックス・ローズウォーターが操る海のザ・ビッグ「ビッグ・ファウ」との戦いで判明する。
また、もう一人の宿敵シュバルツバルトは空のザ・ビッグ「ビッグ・デュオ」を得た事で既に雲の上を見ていたらしく、
この事実を知った事で発狂してしまったらしい

+ 『2nd SEASON』終盤のネタバレ
実はパラダイムシティは何者かが「40年前に起こった何かによって住民全員が記憶喪失になったという設定で作った」街であり、
「40年前に起こった何か」など最初から存在しなかった。
項目冒頭の文で「CAST」が「鋳造」と訳されているのも恐らくは「配役」の意味がある事を隠す伏線であろう。
その何者かというのは主要キャラクターの一人、エンジェル(峰不二子的な存在)の事であり、
最終決戦において彼女はメガデウス「ビッグ・ヴィヌス」を操り、世界=パラダイムシティをリセットし、街を消滅させようとしていた
そこへロジャーが一世一代の交渉を行い、それをエンジェルが受け入れた事でシティの崩壊は回避。
最終的に世界は崩壊前に戻り、ロジャーも再び記憶を失ったものの、
ドロシーとエンジェルの二人がヒロインとなった新たな世界が始まり、全ては丸く収まった。
前述の舞台装置の件も含めて、一種のメタフィクションとも言える。

後にアニメ『SSSS.GRIDMAN』でも似た設定・展開が行われ、ファンの間でも話題になった
(尤もこちらは原典である『電光超人グリッドマン』自体が「コンピューターワールド」で戦う物語であり、不自然な展開もあいまって、
 「舞台となる街はヒロイン(悪役)が創ったコンピューターワールドなのでは?」という予想が第1話の時点から存在していた)。

余談だが、デザイン担当のさとうけいいち氏が監督となった『TIGER & BUNNY』もアメコミを彷彿とさせる作風である。
同作にもロジャーとドロシーを思わせるキャラクターが登場した(担当声優も同じ)ものの三下悪役扱いであり、二人とも無惨な死を遂げている。

+ 外部出演
『スーパーロボット大戦』シリーズでは『D』(GBA)で初参戦。
開発時期が『2nd SEASON』の放送とほぼ同時期だったためか展開は1期止まりであり、
舞台であるパラダイムシティもほぼ出てこないため、所謂「いるだけ参戦」だが、
必殺技専用BGMに採用されてしまった「Big-O!」や森のメリオルエッセオリ敵と絡みまくるライバル枠などにより存在感は抜群。
ベックは犠牲になったのだ…

初の声付き参戦は『Z』(PS2)で、シリーズ完結編である『第3次Z 天獄篇』(PS3/Vita)まで皆勤作品の1つである。
こちらでは、パラダイムシティが登場しており、原作再現も多い。
並行世界がテーマになっている『Z』シリーズにおいて、パラダイムシティは並行世界の1つとして扱われている。
作中では『OVERMAN キングゲイナー』に登場する鉄道「シベリア鉄道」を勝手に使用してプレーリードッグを走らせている。
あと、ドロシーが子持ちになったホランド(『交響詩篇エウレカセブン』のキャラ、CV:藤原啓治)を「父ちゃん」呼ばわりし、
「その声で言うな!」と言い返された


『第2次Z』では前作続投の作品がいずれも「『Z』の世界から飛ばされてきた」事になっており、
いるだけ参戦の扱いとなっているが、ビッグオー自体が『Z』シリーズの根幹に関わってくる事もあってかストーリー中でもその存在感は抜群である。
本作ではゼロの依頼を受けて「黒の騎士団」のアドバイザーとして協力しており、『コードギアス』のキャラと絡んでいく。
ドロシーにちょっかいをかけてきたマオの持つ読心能力や、ブリタニアの皇女・ユーフェミアの人柄を見抜くなど、
ネゴシエイターとしての観察眼・洞察力はこちらでも健在である。
『コードギアス』1期最悪の原作再現イベントである「血染めのユフィ」では、ユーフェミアの豹変ぶりに流石のロジャーも驚愕しており、
彼女の命令のままに虐殺を働くブリタニアに怒りをあらわにした。
しかし、それでも彼女に対する評価は全く変えておらず、事件後に独自に調査を行い、最終的にはゼロの正体に自力でたどりつく。
作中において、他に彼の素性を自分で知ったのはヒイロと、フラグを立てればゼロから明かしてくれるキリコである。
『第2次Z再世編』終盤、『R2』後半の展開の再現でゼロの正体がシュナイゼルにより暴露された際、
ゼロの追放を掲げる扇や玉城に対して下記の台詞と共にゼロの擁護に回り、同じくゼロの正体を知るヒイロとキリコもそれに続く形で彼らに反論する。

「待ちたまえ!」
「確かにゼロは我々に秘密にしていたことが幾つかある」
「だが、その事情も考慮せず、一方的に攻め立てるのはフェアではない」
この動画の36:00から

『第3次Z時獄篇』では2期の最終回が再現されており、ビッグヴィヌスと戦うのだが、
ビッグオー以外のユニットは一度ビッグヴィヌスと戦闘するとステージ中に強制離脱してしまう

ユニットとしては、いずれも原作同様に重装甲で高火力な反面、機動力に欠けるという典型的なスーパー系と言える性能である。
(条件付の場合もあるが)ドロシーがサブパイロットとして乗り込むため、彼女の精神コマンドで補い得る所もあるものの、
基本飛行できないため、空中の相手への対策は必須と言える。
また、Zシリーズではロジャーの固有スキル「ネゴシエイター」により、
彼を出撃させていれば味方機が撃墜されても、修理費が踏み倒しチャラにできる。
ただ同時期の別ラインのシリーズから普通に修理費が発生しないようになったので、
むしろ彼を出さないと修理費を払わされるという割に合わない感を覚えるかも

『第2次Z』からはもう一つの効果として「戦闘した敵の気力を下げる」(交渉で敵のやる気戦意を削いでいるのか?)が追加されたが、
これが変に作用するのか熱気バサラ(『マクロス7』の主人公)の歌を聴かせるとバサラの気力が下がるという珍現象が起こる。
多分音楽の趣味が合わないせいで文句を垂れられている
あと、Zシリーズでのロジャーには、
「シリーズ全5作品に亘って「底力」(技能レベルとHPの減少量に応じて防御力・命中・回避率が上がる。格ゲーで言う所の根性値)を持たない」
という大きな問題がある(所謂泥臭い戦い方になるので、ロジャーのキャライメージ的にそうなったのかもしれないが)。
このシリーズの「底力」は装甲値にかかる補正がかなり高く、耐える機体でありながらデフォルトで持たないのが大変もったいない。
パイロット養成で付けるにも、技能レベルを1から育てないといけない都合上、PPを相当食われるので序盤の育成が遅れるのが悩み所と言える。
他にもビッグオーは確率で受けるダメージを減らしてくれるシールド防御(両腕が盾扱い)が可能なのに、
ロジャー自身はそれに必要なスキルを持っていないと、何かと痒い所に手が届かない事が多かった
(一応、敵フェイズの反撃選択で「防御」を選べばスキルがなくても必ずシールド防御になるし、
 シリーズ3作目の『第2次Z再世篇』からはパイロット側のスキルは廃止してデフォで確率発動可能になった)。

+ 戦闘デモまとめ
『D』版
『Z』版
『第2次Z破界篇』版
『第2次Z再世篇』版
『第3次Z時獄篇』版
『第3次Z天獄篇』版

(以上、公式サイト・スーパーロボット大戦Wikiより引用・改変)

サンライズ作品のキャラクター達が集う『サンライズ英雄譚』シリーズにも参戦。
しかし初参戦となった『2』では肝心のビッグオーが参戦しておらず、戦闘に参加することができない
救済措置として2周目以降に他作品の機体に搭乗可能にはなるものの、乗れるのは量産機のみという中途半端さ。
一枚絵付きイベントにはビッグオーが登場しているので、制作が間に合わなかったのだと思われる。

一方でストーリー面ではロジャーが『機甲戦記ドラグナー』のグン・ジェム隊と交渉して仲間に引き入れたり、
ドロシーが戦闘のダメージで気絶した獅子王凱を運んで救助したりとしっかり活躍している。
初登場時には『重戦記エルガイム』のポセイダル軍に雇われて主人公と交渉しに来るのだが、
内心ではポセイダル軍の一方的すぎる要求を快く思っていないながらも受けた依頼はプロとしてこなすという矜持を見せている。


MUGENにおけるビッグオー

suteneko氏によるビッグオーが公開中。
原作で使用した武装が搭載されており、ミサイルには追尾性能が付いている他、
LIFE300以下で「ファイナルステージ」が使用可能となる。
特に必殺技「プラズマギミック」が強力。一定時間無敵状態になるばかりか、周囲に発生するバリアにも攻撃判定が存在するため、
相手に近づくだけでゴリゴリ削れてしまう。

AIもデフォルトで搭載済み。
前述のプラズマギミックに加え、遠距離技の「ミサイル・パーティー」等も優秀なため、
相性に左右されるが、アロサウルス等の狂キャラに勝ててしまう事も。


(私の名はロジャー・スミス。この記憶喪失の街には必要な仕事をしている)

登場大会



*1
元々は(現実世界では)死刑用の剣や斧に刻まれていたとされる言葉。
意約すると「この武器による死刑執行は殺人の罪に問われない」と言う意味。

*2
ラテン語で「主人」「所有者」を意味する言葉。ザ・ビッグのパイロットはこう呼ばれる。


最終更新:2023年09月10日 00:22
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