堕落天使

『堕落天使 -The Fallen Angels-』とは1998年に彩京が発表したAC向け対戦格闘ゲーム。
海外では『The Fallen Angels』として知られる。

概要

  • ストーリー
西暦2000年2月10日 午前7時13分 震度7
完全な情報操作による「平和」は一瞬で崩壊し、
コンピューターで制御されたコンクリジャングルの機能は停止した。
大規模な地殻変動により、その街は大陸から分断され
完全に孤立した。
金に狂ったメスブタは意味のない権威にしがみつき、
正義面した悪党は「人の道」を説いた。
「SEX」「犯罪」「ドラッグ」…
そして、いつしかその街は皮肉を込めて
こう呼ばれるようになった。
最後の楽園「EDEN」。
そして…時に西暦2010年…。

大地震の地殻変動によって隔絶された無法都市「EDEN」を舞台にした対戦格闘ゲーム。
彩京製作の格闘ゲームとしては『バトルクロード』に次ぐ2作目になる。
非常に独特でダークな世界観、緻密なグラフィック、滑らかなドット絵アニメーションで知られ、
既存の格闘ゲームとは一線を画すフィルムノワール的な色調のビジュアルイメージは今なお根強い人気がある。
何気にキャラクター同士の掛け合いも全キャラそれぞれが対応しており、所謂完全な汎用セリフは無い。全体的に丁寧な仕上がりとなっている。
キャラクターCVもクール役の緑川光氏を始めとして、結構豪華なのも特徴的である。

ゲーム自体は2D対戦格闘の基本を押さえた仕上がりで、
スムーズに動くキャラクター、エフェクト、必殺技演出などもしっかり作り込まれている。
また、「ラッシングコンビネーション」というチェーンコンボ系攻撃システムによりテンポもよい。
ダークな世界観に合わせた、やたら生々しいヒット音やステージ内のテーブルが吹き飛ぶと言った演出も中々凝っている。

スタッフに『THE KING OF FIGHTERS』シリーズのクリエイターが参加しており、
モーションやシステム面でSNK系格闘ゲームの影響が見てとれる。
+ 堕落天使から『KOF』に逆輸入された(?)要素
本作発売後にリリースされた『KOF'99』では、逆にあちこちに『堕落天使』の影響が見て取れることで有名。
  • K'マキシマの容姿がそれぞれクールハリー・ネスに酷似。クールの服装はさらにクリザリッドのものにも似ている
  • ウィップのプロフィールに「嫌いなもの:天使、インターネットの悪口、堕落」
  • 草薙京超必殺技「百八拾弐式」のボイス壬生灰児の「受けるか!このブロォォォォッ!!」のパロディ
    (『KOF2000』ではモーションまでもが「皆殺しのトランペット」に酷似)
  • 同じく京の「四百弐拾七式・轢鉄」のモーションも灰児の「左利きのBABY」+「嘆きの白」(『2000』以降は変更)、
    ボイスも『2000』において轢鉄の強のボイスが「嘆きの白」と同じく「ブッ飛ばしてやるッ!!」
  • クリザリッドの超必殺技「エンド・オブ・エデン」(『堕落天使』の舞台は「EDEN」)とテーマ曲の曲名「Dear Falling Angel(親愛なる堕天使)」
  • 緊急回避/攻撃避けに代わる前方かわし移動(かわし攻撃)が、エスケープダッシュ&エスケープアタックに(『2000』であっさり緊急回避に戻る)
  • 『2002』でのバイスのニュートラルポーズがトリガーのニュートラルポーズの動きに酷似

登場するどのキャラクターにも世界観に違わぬ強い個性があり、
それに加えて、キャラ性能にも一癖も二癖もある個性を有している。
この、他格ゲーには見られない強い個性に魅了されたプレイヤーは多く、
今でも研究や対戦会が行われており、まさに知る人ぞ知る格ゲーと言える作品である。
しかし未だ移植には恵まれておらず、手軽にプレイする環境がないのが現状である。

ちなみに2019年にEXA筐体にて本作の続編である『堕落天使 完全版(仮)』のリリースが決定するも、
その後続報が出ず、2021年に稼働未定となって以降、音沙汰がない…


キャラクター

  • 使用可能キャラクター
  • CPU専用キャラクター
トリガー(中ボス)、カルロス最終ボス

+ CPU専用キャラクターの選択方法
かつては選択する方法が存在しないと思われたトリガーとカルロスだが、
後に有志の解析により、デバッグモードを介しての使用方法が発見された。
なお、入るためには本作で未使用のボタンを使用するため、コンパネを6ボタンのものにする必要がある。
手順は以下の通り。
1.電源を投入し、円の表示の画面で1P側の弱Kと強Pを同時押しして、
 ハリーのボイスが鳴って画面上部にバージョンが表示されれば成功。

2.1の状況後、未使用となるボタン3を押すとポーズが掛かるようになり、
 ポーズした状態で2P側のスタートを押しながら1P側のスタートを押すと、
 画面上部に0の数字の列が出現してデバッグモードに入る。

3.その中のBoss-Selという項目に合わせて値を1にすると、
 キャラセレクト画面でキャラ選択後に強P押しっぱなしでトリガーに、強K押しっぱなしでカルロスに変化する。

システム

操作系はレバー+4ボタンで、強・弱2種類のパンチとキックが割り振られている。
特徴的なのは、構えを変えることで通常技が変化する「スイッチング」とその派生「リバース・アタック」。
前転動作や投げ抜け、受け身、ガーキャンダッシュ等々、格ゲーの一般的なシステムも一通り積んでいる。

  • パワーゲージ
ゲージは1本。
ガードしたり攻撃してると溜まる。超必殺技を当てても溜まる。さらにゲージ溜めもあるので割と溜まりやすい。
溜めきるとMAX状態となり、以降は自動的に減り続けて空になる。任意で発動したりは出来ない。
他の格ゲーだと『KOF'94』『KOF'95』や『餓狼RB』シリーズの方式が近い。
MAX中は超必殺技が使えたり攻撃力が上がる他、相手の仰け反り時間やヒットバックが増す。
  • 超必殺技(キャラごとに所定のコマンド)
パワーゲージMAXか、体力ゲージ点滅時に出せる。
ゲージMAX+体力点滅状態ならMAX超必殺技となり、性能が大幅に上がる。この辺りも『KOF'94』『KOF'95』方式。
  • ガードキャンセルエスケープダッシュ(ゲージMAX時にガード中弱P+強P)
ゲージMAX時限定行動。ガード中に後述のエスケープダッシュが出せる。
  • ゲージ溜め(強P+強K)
自分のゲージを溜める。
  • 挑発(弱P+弱K)
相手のゲージをわずかに減らす。『龍虎の拳』のようにごっそり減ったりしないので気休め。
  • スイッチング(弱K+強K)
構えを変えて「裏ニュートラル状態」となる。
コマンド入力以外でも、特定の必殺技は出すと自動で裏ニュートラル状態になる。
ややこしい名称増やさず「スイッチング状態」とかでいいんじゃね、と思わないでもない
  • リバース・アタック(裏ニュートラル状態で通常攻撃)
裏ニュートラル状態での通常攻撃。
  • ラッシングコンビネーション
チェーンコンボの一種。キャラクター毎に性質が異なる。
リバース・アタック時はコンビネーションも変化。
  • エスケープダッシュ(弱P+強P)
無敵時間のある前ダッシュ。『KOF』の前転のようなもの。
  • エスケープアタック(エスケープダッシュ中に通常攻撃)
エスケープダッシュからの派生技。
中段で使いやすさはキャラによってまちまち。
  • ハイジャンプ(レバー下方向後にジャンプ)
長距離ジャンプ。滞空時間は通常ジャンプと一緒。
  • 空中受身(空中で弱P+強P)
時間は短いがモーション中無敵。通常の空中状態で復帰するので攻撃も出せないことはない。
  • 投げ抜け(投げられた時に弱P+強P)
投げを抜けて状態を五分に戻す。シビアながらコマンド投げも抜けられる。


MUGENにおける堕落天使

マイナーゲーではあるが、全てのキャラがMUGEN入りしている。
中の人やら外見やら何かとネタにしやすい灰児をはじめ、あまりにも濃い寅男やチキン主人公のクール等、他のキャラも地道に活躍の機会を増やしている。
ただ、マイナーゲーの宿命でパワーゲージの仕様がほとんど知られておらず、ゲージ変動のある大会で誤解を受けることも多いようである。

キャラの中では長らくタロウだけ公開されていなかったが、2017年12月24日にtommy-gun氏がクリスマスプレゼントと言わんばかりに、
従来のキャラの更新に加えて新規5体を公開。これにてめでたく全キャラがMUGEN入りを果たす事となった。
ちなみに、氏は原作ステージもいくつか公開している。


最終更新:2024年01月06日 21:38