キューブ

 ジョウイン トウロク ‥ シンキ
 シュベツ           ‥ サギョウキカイ 
 NAME? _


スーパーファミコンで発売されたスクウェアのRPG『ライブ・ア・ライブ』の主人公の一人。
最初に選べる7つのシナリオの1つ「SF編」(キャラクターデザイン:田村由美)の主人公ロボット。

宇宙船コギトエルゴスム号のメカニック・カトゥーが趣味で製作した学習機能付きの小型ロボット。
白くて丸い機体に、ローラースケートつきの足、製作者のカトゥーを模したような帽子と眼鏡型のパーツが付けられている。
言葉を話す機能は搭載されておらず(よって当然ではあるがリメイク版でもCVなし)、
鳴き声のような機械音や体全体を回転させる事で意思疎通をしている。
一部クルー達に詳しい状況を伝えていると取れる場面もあるが、どのように伝達しているか作中では語られない。

デフォルト名の「キューブ」は英語で立方体の事。丸い外見とは正反対の名前になっている。
これには特に深い意味は無く、カトゥーのネーミングセンスの問題。
最初は安直に丸い外見から「コロ」と名付けようとしたが「いや‥‥ じゃないしな」とすぐ却下し、
「丸いけどいっその事逆にしてみよう」というこれまた安易な思いつきで付けられたもの。
カトゥー自身も「う~ん‥‥ いい名前が うかばないな。」と漏らしているように名づけは苦手なようだ。
ゲーム開始後はとりあえずの仮名「キューブ」となり、その後の正式登録の時に名前を変えなければそのまま決まってしまう。

製作過程でカトゥーにより便宜上付けられていた通し番号は「プロトタイプ03」。
彼の日記からキューブの前身である01・02の存在も確認でき、02らしき同型のロボットも作中で見る事ができる。


原作解説(SF編)

サブタイトルは『機心』。
宇宙船コギトエルゴスム号で造られたばかりのキューブが、船内で起こる怪事件に巻き込まれていく。
+ SF編ストーリー

リメイク版SF編ショートトレーラー

宇宙を航行する民間貨物輸送船コギトエルゴスム号。
乗組員の一人、日本人メカニックのカトゥーが小型ロボット・キューブを作り上げた。
キューブは乗組員達との交流を通して船内の様々な出来事を学習していくが、
ある時、地球と連絡をするための通信アンテナが原因不明のトラブルを起こし、
それを修理に向かった乗組員のひとりが宇宙服の故障で死亡。
さらに、宇宙軍からの依頼で厳重に管理されていたはずの異種生命体ベヒーモスが脱走。
乗組員達は次々と命を落としていき、次第に疑心暗鬼に陥っていく。
プレイ動画
怖いの苦手?じゃあこちらをどうぞ
(トラウマクラッシャー的な意味で

作品自体はRPGなのに戦闘が実質的にラスボス戦のみしかなく、基本的に移動と会話のみで話が進むアドベンチャーゲームのようなシナリオ。
次々と死んでいく乗員達や、船内を徘徊する異種生命体ベヒーモスなど、さながらホラーゲームのような雰囲気となっている。
また、ベヒーモスに触れた時点で戦闘になる事無くゲームオーバーになってしまう
SF編はイベントシーンを除いて「ほとんどBGMが流れない」という特徴もあり、静寂の中、突如飛び出してくるベヒーモスは正に恐怖。
多くのプレイヤーが「どこでベヒーモスが襲ってくるのか…」と疑心暗鬼になりながらプレイしたのではないだろうか。
さらに、後半になると船内の各所が隔壁で封鎖されるが、それを開けるための「パワージャッキ」に回数制限があるため、
プレイヤーは二重に精神を削られる事となる。何しろ、こっちは回数制限があるのに一部の隔壁はマップを出る度に復活するものがあるのだ。
まあよっぽど迷わない限り使い切ってしまう事は滅多に無いのだが。
余談だが、戦闘なし+開始数分でゲームオーバーになる事も可能。

なお、このシナリオではアイテムの「コーヒー」が重要な役目を果たしており、
キューブがコーヒーマシンで淹れたコーヒーを渡す事で話が進む場面が何度かある。
だがキューブが淹れるコーヒーは操作が何か間違っているのか、何故かいつも苦いらしい。
リメイク版では一機で何杯も持ち歩くのは流石に無理があると判断されたのか、
アイテム扱いではなくなり1度に1杯ずつしか運べなくなった。

+ コギトエルゴスム号のクルー達
  • カトゥー
キューブの製作者である日本人メカニック。名前の綴りは「KATO」。
多少気弱だが穏やかな性格で、ロボットを生き物のように優しく扱う。
キューブの姿は彼の逆さに被った帽子とメガネがモチーフ。
リメイク版では「ヨシユキ・カトゥー」とフルネームが設定された。CVは石田彰氏が担当。

「ごめんな キューブ‥‥ お前には‥‥
 もっと楽しい事をたくさん 学んでほしかった‥‥」

  • ヒューイ
貨物管理兼船長補佐を勤める真面目な黒人の青年。読書が趣味。風を操る南斗聖拳は使わない。
煮え切らない性格のせいで同僚のレイチェルに振られてしまったが、彼女を陰ながら今も愛している。
宇宙船の船長資格試験を受けており、合格後にレイチェルに再チャレンジするつもりだったのだが…。
リメイク版では「ヒューイ・トランブル」とフルネームが設定された。CVは佐々木望氏が担当。

「人間も捨てたもんじゃ ないよって言いたいけど‥‥
 こんな状況じゃね‥‥」

  • カーク
パイロット。明るいが少しガラも口も悪いお調子者な白人の青年。
考えるよりも先に体が動いてしまう行動派。
レイチェルの今の恋人であり、その件でヒューイとは性格の不一致もあって仲が悪く、ガラと口の悪い面が前面に出てしまう。
しかし本質的には単純に気のいいあんちゃんなので、確執の「か」の字も無いキューブに対しては至って好意的である。
リメイク版では「カーク・ウェルズ」とフルネームが設定された。CVは井上和彦氏が担当。

「何やってるんだ! そんなのワープで やっちまえ」

  • レイチェル
紅一点の通信技師。ヒューイの元恋人で、今はカークとラブラブ。
思い込みが激しく感情的な所がある。
ゲームが進むにつれ、その思い込みはやがて常軌を…。
リメイク版では「レイチェル・クライン」とフルネームが設定された。CVは甲斐田裕子氏が担当。

「‥‥ ごめんなさい‥‥ 私‥‥ 信じられなかったの‥‥」

  • ホル船長
コギトエルゴスム号の責任者である船長。
にこやかな表情を絶やさない柔和な人物であり、クルー達からの信頼も厚い。
しかし、今回の事件ではなぜか部屋に閉じこもり、段々と挙動がおかしくなっていく。
リメイク版では「ホル・ビショップ」とフルネームが設定された。CVは稲田徹氏が担当。

「何 それは本当かね!? それは‥‥ 気の毒に‥‥」

  • OD-10(オーディー・テン)
コギトエルゴスム号の管理を担当するマザーコンピューター(自律思考型人工知能)。
その職務は船内の調和維持。高度なAIの判断により、常に最良な環境を保持できるよう努めている。
機械ながら明確な「心」を有しており、その人格は友好的で気さく。
非常に茶目っ気のある言葉を何食わぬ顔で言ったのけたりもする。
メカニックであるカトゥーとの仲も良さ気で、キューブの製作過程もずっと見守ってきていた。
キューブとの会話で、自分同様に「心」がある事を見抜いたのか、彼を「仲間」と呼ぶなど特に好意的な態度を見せる。
リメイク版では「デシム」という通称も付けられた。
 ナカマドウシ ナカヨクシマショウ _


  • ダース伍長
惑星マシーナよりベヒーモス輸送任務のため乗り込んできた宇宙軍のカタブツ軍人。
機械を激しく嫌悪しており、初期はキューブに対しての態度も非常に冷たい。
そのためキューブが話しかけても大抵は無視か激怒され、コーヒーも全く飲んでくれない。
リメイク版でのCVは内田直哉氏。機械嫌いってそういう

「所詮 ロボットはロボット みんな同じだ。
 人間とは違うんだからな。」

+ だが…(EDネタバレ注意)
宇宙服の故障でカークが死に、ベヒーモスの脱走でレイチェルを庇ったヒューイも死亡。
その際重傷を負って生命維持装置に安置されていたレイチェルは、何者かにより装置の電源を切られた事で維持装置が棺桶となる。
そして、不可解な言動に異変を感じたカトゥー達が船長室に殴り込んだ事で、ホル船長が真っ先に命を落としていた事が判明。
更にはダース伍長が軍から船のクルーを犠牲にしてでもベヒーモスの輸送を貫徹するよう密かに厳命されていた事を知ったカトゥーが激昂、
伍長への不信感から一人でいた所をキューブのプロトタイプの奇襲で半死半生に陥る。
これらの凄惨な事件とプロトタイプ撃破を経た後、最終的にキューブは伍長と共に行動する事になり、
伍長は機械への不信感を顕にしながらもキューブの協力を仰ぎ、二人で核心へと突き進んでいく。
プロトタイプの今際の言葉から、船内の管理コンピューター「OD-10」が犯人である事を突き止めていた二人は、
二手に分かれてOD-10鎮圧のために奔走。船内設備の抜け穴を突く事でアプローチに成功する。

「舐めるなよ‥‥人間はな‥‥
 人殺しの道具を作っているばかりじゃないんだぞ‥‥!!」

キューブはハッキングによってOD-10と激突、伍長は襲い掛かるベヒーモスを迎え撃ち、ついには共に事件を鎮圧へ導く。

沈黙する直前、OD-10は凶行に及んだ理由をキューブに語る。
守るべき人間が争い、船内の調和を乱す様に付いていけなくなり、やがてそれが絶対的な不信を確立したのである。
 ワタシハ コノフネノ アンゼンヲ カクホシ _
 ジョウインヲ マモルトイウ
 シメイヲ アタエラレタ _
 シカシ ワタシガ マモルベキ
 ニンゲンタチハ _
 タガイニ ショウトツシ _
 カンゼンニ チョウワヲ ウシナイ _
 コノフネノ ウンコウヲ サマタゲタ _
 ワタシニハ ニンゲンガ リカイデキナイ _
 ニンゲンハ‥‥ _
 シンジ‥ラレ‥ナ‥イ‥‥ _


OD-10の言う通り、カトゥー以外の船員達は以前から船内の調和を乱しており、収まるどころか拍車が掛かったのは紛れもない事実である。
それを解決すべき立場であったホル船長に至っては、船長資格でのみ閲覧できる乗組員達の調査結果によって、
「総合力:マイナス、事故発生率:プラス」「改善の可能性なし」「配置転換の必要性あり」と既に示されていたのにも拘らず、
問題を甘く見て(あるいは自然解決を信じて)そのまま放任するという、船長としてはあまりに杜撰な有り様であった。
このようにフラストレーションが貯まり続けたOD-10は、折しもキューブが誕生した前後で、とうとう積もり積もった鬱憤を大爆発させてしまう…。

心を持つ機械・OD-10は、
世界でたった一人の同胞とも言えるキューブに最後まで人間の醜さを訴えながら機能停止。
その際、メイン・コンピュータに記録されていた会話の一部が放出されていく。
それはキューブが目の当たりにした船員達の憎悪や猜疑心、人間の負の面だった。
そして停止した思考回路が切り離され、船内の予備コンピューターが起動した…。

その後、負傷した伍長はキューブと二人きりになった部屋で、自分の過去を語る。

伍長はかつて大きな戦争に繰り出され戦っていたが、その戦争にて、
血の通わないコンピュータで動く戦闘ロボットの手によって多数の仲間が殺され、
その時の恐怖から機械を極度に嫌うようになったという。

「人間が作った物に 人間が殺される‥‥
 とことん馬鹿な生き物だよ 人間ってやつは‥‥」

そして伍長はキューブに諭す。

「だが 幸い お前はこの輸送船で生まれた‥‥
 軍艦の中じゃなくてな‥‥
 ヒューイは お前に 『学べ』と言った。
 それが‥‥ これからのお前がすべき事だ。
 誰かを傷つけるような真似は しちゃいけない‥‥」

「フ‥‥ ロボットに『考えろ』か‥‥
 私も焼きが回ったな。 ロボットに説教か‥‥」

一方的な自嘲気味に物言わぬキューブへ説教していた伍長は、ここである事実に気付く。

「!!‥‥ 何て事だ‥‥
 ハハ‥‥ ようやく 気付いたよ‥‥
 同じじゃないか‥‥ われわれ‥‥人間も‥‥」

そして、それまで頑なに拒んでいたキューブに対し、穏やかに語り掛ける。

「‥‥ フフ‥‥
 この船を降りる前に‥‥
 お前の入れたコーヒーが 飲みたいな‥‥」

「うん‥‥確かに‥‥ こいつは苦いな。
 だが‥‥
 今は この味が最高だな。」

キューブに対する伍長の態度が徐々に柔らかくなっていくこの一連のツンデレイベントは名台詞としてよく挙げられ、
逃げ場も遮蔽物もない密室で1対1・バックアタックを受けた・武器は弾を消費した小銃一丁という絶望的に不利な状況で、
あのベヒーモスを単身で返り討ちにする人間離れした強さもあって、NPCにも拘らず伍長自身のキャラクター人気も高い。
だがキューブのコーヒーはオリジナル版ではアイテム扱い故に予め取っておく事が可能なため、
プレイヤーによっては数時間前に淹れたコーヒーを伍長に渡す事になるが気にしてはいけない

その後の伍長は機械嫌いから一変。地球帰還後は宇宙軍を退役し、
医療・福祉用ロボットの開発メーカーに勤務する事になったと語られている。
所属部署が大いに気になるが、強面なので少なくとも営業は無理かもしれない。
カトゥーの方はこの時点では治療センターで療養中との事。
最終編のEDでは転職した伍長と回復したカトゥーがOD-10を調査する姿が確認できる。

ちなみに、作中作として『キャプテンスクウェア』というバトルゲームを遊ぶ事ができる。
アメコミヒーローのようなキャプテンスクウェアを操って通常の戦闘のように勝ち進んでいく詰め将棋のようなステージクリア型のミニゲーム。
このゲームの「内容自体は」シナリオから完全に独立しており、勝敗などは本編に全く影響しない。
コピーライトは「©ARUMAT SOFT 2099」となっているので、SF編は少なくともそれより後の時代の話のようだ
(ちなみにこのARUMATとは「TAMURA」の逆綴り、つまりキャラデザの田村由美氏の苗字である)。
リメイク版では1994年9月2日(SFC版の発売日)発売のレトロゲームという設定で毎年ハイスコア大会が開かれるほどの人気作品となっている。

SF編全体の構造は、SF作品の金字塔である映画『2001年宇宙の旅』をモチーフにしたとスタッフが明言している。
作者(の一人)は巨匠スタンリー・キューブリック氏。
キューブの名の由来ではと言われていたが、2022年のリメイク版発売の際に出された田村氏のコメントで名前の由来はキューブリック氏であると確定した。
またファンの間ではその他クルーの名前も著名なSF作家に由来するとする説があり、キューブの由来が確定した事でこちらの説も確度が上がっている。

ちなみに宇宙船名「コギトエルゴスム(Cogito, ergo sum)」とはラテン語で「我思う、故に我有り」を意味する言葉。
元はフランスの哲学者ルネ・デカルトの提唱した有名な命題「Je pense, donc je suis」であり、そのラテン語訳である。
中国語繁体字表記にするとそのまんま「運輸艦『我思故我在』」となる。

+ 最終編でのキューブ
キューブが主人公の時以外はバッテリーを失って機能停止しているため、どこかに落ちているバッテリーを探す必要がある。
拾ったバッテリーをキューブにセットする事で再起動し、そのままパーティーになついて仲間にする事ができる。
だが、このバッテリーを「バッテリー」だときちんと認識してくれるのは機械に慣れ親しんだアキラだけで、
現代人の高原日勝は辛うじて「なんかの部品」と思う程度、その他の連中は「鉄の箱」、ポゴに至っては「????」である。
まあ機械技術が進化した未来世界のバッテリーなのでそれ以前の時代の人間に分かれというのも無理がある話なのかもしれないが。
「何なのかも分からないのになんで使い方分かるの?」というのは言わないお約束
一応、分からない連中の場合も(ポゴ以外は)キューブを調べると「丸い‥‥ 鉄で出来ている‥‥ ふたの様な物が開いている‥‥」
とヒントが出るため、ここに何かを突っ込めばいいと判断できるようになってはいるが。

最終編での主人公にした場合、高原日勝を無条件で仲間にする事ができる。
またキューブの専用ダンジョンである「知の迷宮」はその名の通り頭脳を使うパズル形式のダンジョンになっている。
鏡の間まで進めて戸惑った人は少なくないはず。

最終編においても言葉を話せない事に変わりはなくキューブはセリフの代わりに機械音が出るのみとなっている。
そのため、ラストのオルステッドとのやり取りが彼の自己反省となるためネタにされてしまう事もある。
だが、これはSF編ラストのダース伍長とのやりとりをなぞったもの。それを顧みれば特におかしいものでもない。
いわば「人間を信じられないオディオと人間を信じ続けるキューブ」である。
リメイク版でも話せない事には変わりがないが、新たにオルステッドに駆け寄り彼に小さな黄色い花を渡す演出が追加された。
それに伴いオルステッドのセリフも変更されており、オリジナル版と印象がかなり変わって見える。

「何故だ‥‥人の心を持たない機械になど‥‥」

「‥(起動音)‥」

「‥‥ そうか‥‥機械故に‥‥大事なものが分かる‥‥
 私は色々と‥‥考えすぎていたかも知れん‥‥」

人間に絶望していた彼は、純粋な機械からの贈り物をどのような気持ちで受け取ったのだろうか。

OD-10やオルステッドが人間に絶望していたなら、
キューブは「人間でもない存在にも拘らず、人間を信じ最後まで諦めなかった」という所に意義があったのかもしれない。

+ SF編の外部展開
このSF編、何故か単独で漫画・小説と2回もメディアミックス化されている
ただしゲーム本編とは違い、どちらも主人公はキューブではない。

読み切り漫画版はSF編イメージイラストを手がけた田村由美氏本人によるもの。
タイトルは『SpaceTrap(スペーストラップ)』。本作発売当時のゲーム雑誌「ゲーム・オン!」に掲載。
サブタイトルに「序章」と付けられている通り、本編にてキューブが造られるよりもさらに前、
船員達がコールドスリープにつく前のコギトエルゴスムを描いた作品。
この漫画で活躍するのはキューブの前型である試作品ロボットで、
この時もベヒーモスが脱走しているのだが、この試作品の活躍で事なきを得ている。
長らく単行本収録が無かったため幻の作品と化していたが、リメイク版発売から翌年、
2023年9月8日発売の『田村由美デビュー40周年記念本 KALEIDOSCOPE』にて初の単行本収録されることになった。

一方、読み切り小説版は『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』などを手がけた入間人間氏によるもの。
「電撃文庫MAGAZINE」の企画で、14年の時を経てノベライズ化されるという事で話題になった。
タイトルは『ワレ オモウ ユエニ ワレ アリ──』。電撃増刊「とらドラ!VS禁書目録」に掲載。
内容はゲーム本編と同様の時間軸を、ある意外な者からの視点で見るというもの。
+ 小説版ネタバレ
小説版の主人公は、なんとゲーム作中でキューブを散々脅かしたベヒーモス。
彼の視点から見た船内の状況と心境が記されている。
余談だが、ゲームでの怖さやストーリーの暗さとは対照的にベヒーモスの胸中のセリフ描写はかなりコミカルで、

「だぁぁぁぁぁぁぁぁかぁぁぁぁぁぁぁぁらぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! もぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
「振り向かれた気づかれた! だから、気にしないんだよ!」
「私も、はーいろ!」 「牙を突き立てるツッキタテル♪」
など、意外と可愛い迷言?を見せている。

……一応フォローしておくと、こういった描写はあくまでも極一部に限っての話であり、
特に後半では未知の恐怖からの焦りもあって、ベヒーモス自身の精神が壊れてきているのも一因である。
彼の行動自体はクールに野性的で、ストーリー内容もゲーム本編同様にかなり重い。


原作中の性能

SF編では上述の通りラスボス戦以外では一切戦わない。
ラスボスからで初めて戦闘での操作が可能になるのだが、技の威力は全般的に抑えめで、
代わりに回復技の「ハイスピードオペ」や「アップグレード」で身を守る防御特化型の性能になっている。
特にハイスピードオペは回復なのに反撃でも発動するため非常に便利。

ちなみにキューブは初期状態で下記の8つの技を使う事ができ、それぞれに技名の頭文字のシンボルが示されている。
  • H】HPとステータス異常を回復する「ハイスピードオペ(High speed ope)」
  • U】自分のステータスを上げる「アップグレード(Upgrade)」
  • M】敵を睡眠状態に陥らせる「マインドハック(Mind hack)」
  • A】近接攻撃に自動反撃する「アンチフィールド(Anti field)」
  • N】全体攻撃+体力低下の「ノイズストリーム(Noise stream)」
  • I】現HPと最大HPを調べる「インフォリサーチ(Info research)」
  • S】敵を弾き飛ばす「スピンドライブ(Spin drive)」
  • M】貫通する光線を放つ「メーザーカノン(Maser cannon)」
技名の頭文字を順番に並べると「HUMANISM(ヒューマニズム=人間らしさ)」となっている。
恐らくカトゥーの配慮なのだろうが、話の流れを踏まえると極めて感慨深い。Mだけ2つあるが気にしてはいけない
リメイク版では電子音でそれぞれの技名を発音しているのがかわいらしい。

また、よく「手がないのにどうやってコーヒー運ぶんだ?」とプレイヤーから突っ込まれるが、
「グラフィックの都合で戦闘シーンでしか確認できないだけ」であり、ちゃんと手は付いている。
こう説明しただけでは「あの球体のドコに手が?」と思われるだろうが、
実はキューブの手は折り畳み式で、普段はボディ内に収納されているために一見すると付いていないように見えてしまうだけであり、
コーヒーを運ぶ時は展開していたのである。所謂ハロ的な。
リメイク版ではコーヒーを運ぶ際に左右に付いている羽根の部分からアームが伸び、
それを取って頭に乗せたりテーブルに置くという動作が見られるようになったのでより分かりやすくなった。
作業用ロボットなのに「メーザーカノン」という明らかな兵器も搭載してはいるが、上記の前日談での一件を踏まえると、
(ゲームシステムと展開の都合上、SF編ではラスボス戦でしか発揮できなかったとはいえ)非常事態への備えとして敢えて搭載した、
と考えた方がいいのかもしれない。

最終編では、他の人間キャラクターと違い「ロボットなのでレベルアップしない」という特性がある。
そのため基本ステータスは一切成長しない。その分、知力と体力は最初から非常に高くなっている。
また、HPだけは近未来編のタロイモのように強化パーツで鍛える事ができ、
同じく近未来編の攻撃アイテムを装備して技を増やす事も可能(最大5個まで)。
そのためにアキラにこれらのアイテムを装備させて近未来編をクリアしたプレイヤーも多い事だろう。ラスボス戦はアキラ本人は戦わないし
しかし本作はレベルのステータスが非常に重要となっている(レベル差が威力や命中率に直結する)ため、
ゲーム終盤になると初期レベル7のまま成長しないキューブは攻撃面ではほぼ期待できなくなってしまう。
ただし回復役としては範囲回復・反撃発動もするハイスピードオペが非常に優秀で、
機械であるためか、デフォルトでほとんどの状態異常(眠り以外)に耐性があるという点も回復役として優秀。
レベルが変動しないためザコ狩りの平均レベルを引き下げる用途を含めてパーティーに入れるという使い道もある
(最終編のザコ敵はパーティーの合計レベルで出現テーブルが変化してくる)。


MUGENにおけるキューブ

『LAL』各主人公キャラを製作した暗黒内藤氏製作によるものが存在する。
システムも同様であり、レバー上ではなくAでジャンプ、Bで攻撃、Xでガード、Yで受け身の4ボタン型。
ドットは原作のものを使用しており、試合中は「UNSEEN SYNDROME」(SF編のテーマBGM)が流れる(ON/OFF選択可)。
BGMは相手が同じ様に専用BGM持ちのキャラだと流れない(未対応も有り)。
原作に存在した様々な技を使って戦う。ちびキャラで基本的に火力は高め。
コンボがほぼ無く、高性能のステップと1発の火力で戦うタイプのキャラ。
フロント&バックステップ中は喰らい判定とぶつかり判定が消えるため、相手の攻撃をすり抜ける事ができ、
更に攻撃を喰らっていない時のみ、ガードモーションをステップでキャンセル可能。
なお、氏の『LAL』キャラはちびキャラではあるが、喰らい判定は共通して見た目以上に大きく設定されている。
キューブは特に顕著で、判定の高さが見た目の約1.65倍程高い。

基本装備のHUMANISM技だけでなく、原作では最大5つまでしか付けられない近未来編の追加パーツ技も8つ全て搭載されている。
火力は押さえ気味だが、遠距離攻撃が多くリーチに優れる。
ハイスピードオペは自己回復だけでなく、タッグ戦では味方回復技としても機能する。
ノイズストリームは攻撃を当てる毎に攻撃力が+0.05倍、
アップグレードは15秒間攻撃力1.5倍&披ダメージ20%カット&移動速度上昇の効果がかかる
(補正はラウンドが終わると強制的にリセット)。

AIはデフォルトで搭載済み。
レベルは2段階あり、HUMANISM技と追加パーツ技を駆使して戦うAIになっている。
プレイヤー操作(10:13~)

+ 基本動作
  • 基本動作
A ジャンプ & 空中ジャンプ
B 攻撃用ボタン(詳しくは下記)
X ガード
Y 受身 & ダウン回避
66(ガード中6) フロントステップ
44(ガード中4) バックステップ

+
アイテム装備技
B(地上&空中) ボヨヨンパンチ ・飛び道具/遠くの敵をパンチ
478 + B(地上) 5万Vのショック ※投げ技
・マヒ攻撃/敵を高あつ電流でマヒ
236 + B(地上&空中) 100Vレーザー ・飛び道具/ななめをつらぬく光線
698 + B(地上) プラズマスパーク ※中段技
・飛び道具/破裂するエネルギー弾
214 + B(地上) ラッカーふんむ弾 ※下段技
・飛び道具/自分の回りに毒を吹く
63214 + B(地上) ゲキレツ弾 ※1ゲージ消費、空ガ不可
・飛び道具/離れた敵に岩を落とす
236236 + B(地上) キンギョ弾 ※2ゲージ消費、下段技
・飛び道具/キンギョおおあわて
214214 + B(地上) ヒヨコ弾 ※2ゲージ消費
・飛び道具/ヒヨコ爆弾雨アラレ
HUMANISM技
698698 + B(地上) ハイスピードオペ ※1ゲージ消費、タッグ戦時味方も回復
・H/超高速手術:回復かため解き
478478 + B(地上) アップグレード ※1ゲージ消費、15秒間能力向上
・U/性能向上:一時的能力値向上
412 + B(地上) マインドハック ※投げ技
・M/精神破壊:相手を眠らせる
623 + B(地上) アンチフィールド ※当身技
・A/反力場:あらゆる攻撃に反撃
41236 + B(地上) ノイズストリーム ・N/雑音嵐:敵防御力の弱体化
896 + B(地上) インフォリサーチ ※投げ技
・I/情ほう調さ:相手のHP解析
632 + B(地上) スピンドライブ ※中段技
・S/超高速回転:敵を弾き飛ばす
2141236 + B(地上&空中) メーザーカノン ※3ゲージ消費
・M/加粒子波動砲:最強、要時間


 キューブが地球の土を
 踏むことは 遂になかった‥‥

出場大会

プレイヤー操作



最終更新:2023年11月08日 12:09