東の山に魔王あり‥‥
邪悪な心 邪悪な力を持ち
邪悪な姿となりて‥‥
全てを憎むものなり。
西の山に勇者あり‥‥
強い心 強い力を持ち
勇ましき姿となり‥‥
魔王を打ち砕かん‥‥
スーパーファミコンで発売されたスクウェア(現・スクウェア・エニックス)のRPG『LIVE A LIVE』の主人公の一人。
リメイク版での担当声優は
中村悠一
氏。
最初に選べる他の7つの章を全てクリアすると出現する「中世編」(サブタイトル『
魔王 』)の主人公である。
なお「オルステッド」は所謂デフォルトネームであり、「中世編」開始時にプレイヤーが好きな名前に変更できる(
功夫編 以外の他主人公達も同様)。
原作でのオルステッド
ルクレチア王国で開かれた
武術大会 の決勝戦にて、
ライバルのストレイボウを打ち破り優勝したオルステッドは、
国王の一人娘であるアリシア姫と結婚する資格を与えられるが、
その夜、彼の目の前でかつて勇者により倒されたはずの魔王に姫をさらわれてしまう。
姫を救うため、ルクレチア王国民の願いを背負い、
オルステッドは親友ストレイボウと共に魔王山に旅立つのであった。
+
『LIVE A LIVE』とは
初期状態では7つのシナリオが選択でき、各シナリオのキャラクターデザインやイメージイラストは当時の小学館所属の7名の漫画家達がデザインしていた
(画像左より西部編:石渡治、近未来編:
島本和彦 、現代編:
皆川亮二 、SF編:田村由美、功夫編:藤原芳秀、原始編:小林よしのり、幕末編:青山剛昌)。
そのため、当初はしばしばスクウェア版ファミコンサンデーと揶揄されていた事もあった。
オルステッドが主人公となる「中世編」は、デフォルトの7編を全てクリアした後に出現する。
所謂「隠しシナリオ」的な配置ではあるが、本作の中で特に重要なシナリオとなっている。
また、この中世編のみ漫画家ではなくスクウェア自身がキャラデザインを担当している ため、
オルステッドを始めとする中世編のキャラの公式イラストはデフォルメ絵しか存在しない。
発売時期が『
ファイナルファンタジーVI 』と『
クロノ・トリガー 』といった超ビッグタイトルに挟まれ、
さらに当時としてはグラフィックが少し見劣りするものだったため、
売り上げも約27万本と当時のスクウェアにしてはマイナーなタイトルであったが、現在に至るまで根強い人気を誇る作品である。
しかし、前述のように小学館との権利関係もあり、スクウェア・エニックス作品にも拘らず移植・リメイク等は発売から20年以上ずっと行われていなかった。
2chスレで製作された非公式FLASH (オルステッドはスレ投下手描き、曲は『LAL』ではない)
さらに発売20周年を迎えた2014年には、スクエニMUSIC公式や本作のディレクターの時田氏等からツイッター上で、
「バーチャルコンソールが出たらDLしてくれる人はRTお願いします!」等の動きがあり、
翌年2015年6月24日よりついにWiiUバーチャルコンソールで配信が開始された。
この配信に際し、任天堂の岩田社長(当時)も「E3案件ではありませんが、20年以上を経ての配信になります」と直々に言及していたり、
VC公式サイトの紹介映像は本来なら通常のプレイ動画を1分程度で紹介しているだけなのに対し、
本作の場合は名場面のダイジェスト映像をBGMに合わせてピックアップしている他に例の無いMADのような凝った構成で、
2分強という異例の長さのPV になっていたりと、本作に対する気合いの入れようが窺える。
その甲斐あってか、公式のDL購入ランキングでは初登場3位、その後一時期はスプラトゥーン等を抜いて1位に登り詰めた事もあり、
さらに遊んだ人のおすすめソフトランキングでは「最近のおすすめソフト」「これまでのおすすめソフト」共に、
2015年8月に『マリオストーリー』に抜かされるまでずっと1位の座を守り続けていた。
2022年には『ブレイブリーデフォルト』『オクトパストラベラー』などで知られる浅野チームの開発により、
「HD-2D」を用いたリメイク作品として生まれ変わった。
オリジナル版から長い年月が経った事もあってか中世編も初報PVの時点で存在が明かされており、生島直樹氏が手掛けたイラストが描き下ろされている。
リメイク版発売当初は中世編終盤以降の動画配信が禁止されていたので、中村悠一氏は自身が出演しているシナリオだけ実況できなかったが
リメイク版発売発表トレーラー公式PVVIDEO
リメイク版中世編ショートトレーラーVIDEO
最終編メインのファイナルトレーラーVIDEO
余談だがキャラクターについて、ディレクターは『
FF4 』を意識していたとの事
(
セシル →オルステッド、
カイン →ストレイボウ、ローザ→アリシア)。
+
ところが…(重大なネタバレ注意)
親友である魔法使いストレイボウと共に魔王討伐に向かう剣士オルステッド。
道中、先の勇者の相棒であった僧侶ウラヌス、また自分に頼りきった人々に失望し隠居していた勇者ハッシュが、
ウラヌスに激励された結果、再び立ち上がって仲間に加わる。
そしてハッシュの持つ
伝説の剣ブライオンの力で魔王山への入り口が開き、 魔王と新生勇者一行は対峙に至る。
……が、4人で辛くも倒した魔王は実は「本当の魔王ではない」事がハッシュの口から語られる。
その直後、病魔に蝕まれていた事実を隠していたハッシュは無理が祟って力尽き、
聖剣ブライオンをオルステッドに託してそのまま息を引き取る。
「姫は‥‥ お前が助けに来ると信じている‥‥
信じてくれる者が一人でもいるかぎり‥‥ その人間を‥‥信じるのだ‥‥!」
さらに仕掛けられた罠が突如として発動した事により、ストレイボウも山に生き埋めとなってしまう。
アリシアも見つからず、オルステッドとウラヌスは仕方なくたった二人で城へ帰還する。
心身共に疲労困憊しながら王国へ帰還し事の詳細を王へ報告し、城への宿泊を命ぜられたオルステッドとウラヌス。
ふと夜に、アリシアと魔王の夢を見て目を覚ましたオルステッドは、王座の前で魔王を見る。
今一度と倒した後、その幻影は王の亡骸へと姿を変えた。
「魔王だ! オルステッドは魔王だッ!」
事の顛末を目撃した大臣と兵士達によりオルステッドは反逆者として追われる身になり、
ウラヌスの助けによって一度は城から逃れるも、やがて王殺しの罪状によって投獄されてしまう。
牢獄で彼を待っていたのは、度重なる拷問により命の尽きかけたウラヌス。
ウラヌスはオルステッドに希望を託し、彼を脱獄させるため最期の力で牢獄の扉を開く魔法を放ち、事切れた。
「さ 行くのじゃ‥‥ お前には‥‥まだすべきことが‥‥ 信じる者がいるではないか‥‥」
出発前に自分を持ち上げていた国民達には拒絶され、追ってくる王国兵を殺して、
オルステッドはたった一人で、自分を信じて待っているはずのアリシアの元へと向かうのだった。
しかし
散々な目に遭ってまで 到着した魔王山の頂上に魔王の姿は無く、
頂上にいたのはストレイボウだった。
ハッシュが倒れた直後に魔王像の秘密に気付いたストレイボウは、
オルステッドを出し抜いて自分がアリシアを救うチャンスだと考え、罠があるかのように魔法で落盤を起こした。
そう、それは常に自分より上に行くオルステッドに嫉妬したストレイボウの策略だったのだ。
どんなに努力しても常にオルステッドが自分の上にいる。何をやっても自分はオルステッドのオマケ。
挙句の果てには自分が恋焦がれた相手である王女アリシアを、ぽっと出のオルステッドに優勝者への褒賞として取られてしまった。
決勝大会の終わった夜にどんなに苦しんだか、貴様に分かってたまるかとストレイボウはその澱んだ心情をぶちまける。
「あの世で俺にわび続けろ オルステッドーーーーッ!!!!」
本性を現したストレイボウを死闘の末に殺したオルステッド。
だが、呆然とするオルステッドの前に現れたアリシアは彼を拒絶し、殺されたストレイボウを哀れむ言葉を口にした。
アリシアもまた、ストレイボウを愛していたのだ。
「あなたには‥‥この人の‥‥ 負ける者の悲しみなど わからないのよッ!!」
そしてオルステッドに罵声を浴びせたアリシアは、ストレイボウの傍に行くため、自らその胸へとナイフを突き立てるのであった。
「誰よりもあなたを信じます」というアリシアの言葉、
「信じる者が居る限りその者を信じぬけ」というハッシュの遺言。
その二つの言葉を胸に今まで黙々と突き進み、登場人物として一言も話さなかったオルステッドがここでついに初めて口を開く。
だが、そこから漏れてきたのは「全てを失った男が発する絶望の声」だった。
「私には‥‥ もう何も残されてはいない‥‥
帰る所も‥‥愛する人も‥‥信じるものさえも‥‥」
そして彼は自分がなりたくてなれなかった
「英雄」そのものを否定し 、
都合の良いときに持ち上げておきながら、あっさりと掌を返した「人間」に復讐するため、
「魔王オディオ」を名乗りルクレチア王国を滅ぼしたその後…
別世界で英雄になれた者達──
前7章の主人公達に戦いを挑む のであった。
「私は今より‥‥
オルステッドなどではない‥‥
わが名は‥‥
魔王‥‥ オディオ‥‥!」
この作品は当時ありふれていた「その手の正統派RPGへのアンチテーゼ」として作られたものであり、
システムも当時のRPGとしては独創的なものが多く
全編通して「買い物」システムが存在しない、
独特の戦闘システム、当時のRPGとしては珍しい
シンボルエンカウント
(原始編と中世編・最終編のみシンボルが不可視。前者はコマンドで見えるが)等と、あらゆる点で異色のRPGである。
しかも各シナリオによってプレイスタイルも変わり、ストーリーによってはRPGと言うよりAVGに近いものまである。詳細は各自検索されたし)。
また、タイトルの『LIVE A LIVE』のロゴの二つめのLIVEは鏡文字になっていて、
『LIVE A ヨVI」』 →「EVIL(邪悪)」 とも読める事からオルステッドの運命を暗示しているとも言われる。
その悲劇的な運命から「RPG史上最も不幸な主人公」「
RPG三大不幸ラスボス 」「
RPG史上最も気の毒なラスボス 」の全てにおいて名前が挙げられるとか。
ちなみに同じく不幸な主人公の代名詞として
『DQV』の主人公 の名前が挙がるが、
彼が最終的に幸せになる事を思うと、オルステッドの悲惨さが際立つ。
というか、生まれた時から不幸で最後の最後でやっと幸せになれたDQV主人公と、
少なくとも中世編開始までは全く不幸ではなく、お姫様との結婚まで約束されたのに、
親友の裏切りで最悪の状況に叩きこまれたオルステッドはベクトルが真逆と言わざるを得ない。
近年では
ネット小説 などで勇者が魔王になったり、逆に魔王が勇者に協力したり
単純に勇者がクズキャラだったり する展開が多く見受けられるが、
本作の影響もあるのかもしれない。
最終編
中世編クリア直後に突入する最終編 では、
主人公としてオルステッドを含めた8人(功夫編を考慮すると厳密には10人)から1人を選択する。
が、当然ながら魔王になったオルステッドとそれ以外では内容が大きく異なっている。
+
最終編:オルステッドが主人公の場合
「ならば‥‥
はるかなる場所も‥‥
はるかなる時をも超え‥‥
その歴史を変えて見せよう‥‥!」
「英雄達は、たまたま運が良かっただけ」と自らの無念を晴らすべく、
今まで戦った各編のラスボスを操作して、他の主人公と戦う。
SAD END
忙しい人向け戦法を気にしてはいけない
結末は 「{SAD END」}。全ての英雄を倒し復讐を果たしたオルステッドの胸中は…。
また、各編のラスボスが追い詰められた状況になると「ハルマゲドン」 という技が使える。
…が、よりにもよってその内容はラスボス(プレイヤー)ごと主人公や世界をまとめて滅ぼすというもの。
無論、他の次元も関係なく巻き込むほどであり、そこで物悲しいBGMと共にスタッフクレジットが流れ…
なお、他の主人公の時でも、ピュアオディオに敗北してしまうとこのエンディングになる。
余談だが、このハルマゲドンは「逃げる」のコマンドに上書きされる
(当然逃げられないし、ついでにHPを回復させて「逃げる」のコマンドに戻しても効果はハルマゲドンのまま)。
オルステッドの胸中を考えると、つい深読みしてしまうものである。
+
最終編:オルステッド以外が主人公の場合
「来たれよ‥‥
人間に いまだ幻想を抱くものよ‥‥
いざなおう‥‥
真実を知らしめんために‥‥」
歴代オディオを倒した前7編の主人公達は、オルステッドによって滅ぼされたルクレチア王国に召喚される。
見知らぬ世界で彼らは出会い、協力し、やがて魔王オディオに勝利する。
「お前達の勝ちだ‥‥ さ‥‥ とどめをさせよ‥‥」
全てに絶望したオルステッドは彼らに介錯を要求するが…。
主人公と人間オルステッドの一騎打ちとなる。
オルステッドの能力は中世編準拠のため、キチンと主人公を育てればまず負けないはず。
介錯時の台詞がノリノリな連中(コイツ とか)が多いが、気にしてはいけない。
ちなみにこちらでもエンディングが流れるが、ラストに表示される文字は
「NEVER END(終わらない)」 。
「まだだ‥‥! まだ終わらぬ!!
‥‥私を倒しても‥‥ 私は永遠に生き続ける‥‥」
「知るがよい 『オディオ』の意味を!」
英雄たちへの敗北に納得できないオルステッドが、各編のラスボスを召還して戦う。
各編のラスボス戦が直前のイベントと共に再現された7連戦のボスラッシュ。
そしてまたしても敗北するが…
「他の主人公達に負けたオルステッドが何故勝てないのかと叫ぶ→最終編に選択した主人公が反論する」
という流れに行き着き、オルステッドはそれを肯定しながらも誰もが魔王になり得る事を言い残し、消滅。
その際、最期の力で主人公達を元の世界に帰す。
なお、他7編の主人公は誰もがおよそ当時のRPGでは珍しい個性的な連中であり、
アキラ や
レイ のように熱い会話になるものや、
ユン や
おぼろ丸 のようにオルステッドに静かに語りかけるもの、
サモ や
サンダウン のように泣かせる会話になるもの…と様々。
それぞれの世界で体験し、困難に立ち向かってきた彼らだからこそ、
発せられる台詞…正に締めに相応しい最後にして最高の名場面である。
+
…はずなのだが…
中には人外だったり人でも真っ当に喋れないキャラすらいるので、
選択キャラ次第ではこの流れで物凄い無理のある会話をする羽目になる。
キューブ (ロボット)と
ポゴ (原始人)の場合は特にそれが顕著になる。
…というか、キューブの場合
言葉が返ってこなくてもオルステッドは納得してしまう 。
…お前それでいいのか。
「‥(起動音)‥」
「なぜだ‥‥人の心を持たない機械になど‥‥
‥‥! そうか‥‥機械ゆえに‥‥大事なものは一つ‥‥
私はいろいろと‥‥考えすぎていたかも知れん‥‥」
一方、もう一人のぶっ飛んだ締めになるポゴの場合…
…一応上記を補足すると、
SF編のラストは
「ダース伍長がキューブに一方的に話しかけているうちに人間の愚かさに気付く」 というもので、
原始編でポゴが戦った理由は
「好きな女の子を守るため」 。
基本的にそのキャラのシナリオをなぞった展開なので言いたい事自体はきちんと伝わっていたりする。
むしろ「ハートも最強になりてえんだ!!」 で押し切ってしまった知力25 の方がよっぽど(ry
なお、ここまでに7人全員を仲間にしておくと凝った演出の入るトゥルーエンド になる
(一人でも仲間を見付け損なっていると、黒背景に主人公のテーマBGMのみが流れる少し寂しいEDになってしまうため、
トゥルーエンドの存在を知らず消化不良のクソゲーと評価する人もいた)。
……ここまで読んでもうお分かりだろうが、最終編のエンディングは大きく分けて4種あるものの、
どのエンディングもオルステッド自身は救われない終わり方である。
或いは「人間を捨てて魔王になる事」を選んだ自分の選択を否定される事、
もしくは主人公達の信念に影響され人間性や良心を取り戻す事こそが、
彼にとっての真の救い(トゥルーエンド)だったのかもしれない。
+
リメイク版ネタバレ
リメイク版ではボスラッシュの直後、全世界の憎しみのエネルギーが集中したのかというほどのオーラが彼に集まり、
真の最終ボス「Sinオディオ」として主人公達の前に立ちはだかる 。
恐らく原作プレイヤーが一番度肝を抜かれるポイントであろう。
巨大な魔王像の姿で胸部に取り込まれたオルステッドが見えるという容姿をしており、
ある程度戦闘を進めると「呪縛の圧」で最初の戦闘メンバーを行動不能にしてくるが、そこで残り3人と交代。
さらに攻撃を続けるとオルステッドが意識を取り戻し始め、呪縛されたメンバーも行動可能となる。
各時代・世界各地から集められた英雄達の熱い思いが真の魔王にぶつけられる中、魔王オディオとなった男は徐々に記憶を取り戻し、
再度呪縛の圧で各英雄が封じ込められてしまうものの、そこで完全に記憶を取り戻したオルステッドが胸部から吐き出され、
立ち上がると魔王にとどめの一撃を叩き込むのであった。
かくして憎しみから魔王となった男は、英雄達の想いで自らを取り戻し、魔王を打ち倒す真の「勇者」となったのである 。
その後はオルステッドが「私はどこで間違えたのか」と英雄に問いかけ、
以降の展開は原作と同じく主人公に選んだキャラからの言葉を受けるものとなる。
最終決戦を挟み、オルステッドの問いかけも微妙に変わっている事から、主人公達の言葉もまた違った印象として聞こえる事だろう。
特にオリジナル版ではややネタ扱いされていたポゴとキューブは、リメイク版である動作が加わった結果、
一転して非常に感慨深い遣り取りになっている。
最終的にはやはり憎しみが魔王を生み出す事を説いて消えてしまうのだが、
暗黒面から英雄へと回帰する事ができた という点では、リメイクによって救いが生まれたと言えるかもしれない。
ちなみに、最後の主人公という事に掛けて「ORSTEDをキーボードのかな表示にすると
「らすとかいし」 となる」という説があるが、
これは本作のディレクターの時田貴司氏によれば
全くの偶然 らしく、単なる俗説・都市伝説の類である。
公式にはオルステッドの正確な綴りは長らく発表されておらず、英語版Wikipedia等では「OERSTED」と表記している場合もあり、
リメイク版でこれが公式な英語表記として明確に設定される事になった。
なお「Oersted」はデンマークに実在する姓であるが、日本語では「オーステッド」や「
エルステッド 」と表記される事が多い
(磁場の強さの単位「エルステッド」はこの姓の物理学者に由来している)。
+
中世編の二次展開など
PS2で発売された『
半熟英雄 対 3D』の第一話はこの中世編を元ネタにして、
オルステッドに似た姿の「オディオ」が登場しており、セリフも原作を基にしている
(…が、ストレイボウの嫉妬とヒャハハ笑いが混入してしまったようだ)。
また、2006年には原作者である時田貴司自身が脚本参加で、
劇団R:MIXより中世編を元にした演劇『魔王降臨 Live SIDE&Evil SIDE』が公開。
この演劇版はLALが原作であると同時に劇団独自の「魔のシリーズ」に組み込まれているため、
一部の設定が変更されており、登場人物の名前も新たなフルネームが設定されている
(ラディ=オルステッド、シーザ=ストレイボウ、アリシア=ブルターク など)。
ちなみに演劇版のシーザ=ストレイボウにはイレーヌという妹が居たり、
ウラヌス爺さんポジションがサブリナという女性にすり替わっていたりする。
後にDVD化もされているが現在では販売終了のため入手困難。
魔王降臨 Live SIDE
魔王降臨 Evil SIDE
「魔王降臨」MAD
なお、演劇版でオルステッドとストレイボウに付けられた「ラディ」と「シーザ」の名前は、
『
ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣 』に登場する同名のワーレン傭兵コンビが元ネタらしく、
後に『新・紋章の謎』において二人に
まさかの演劇から逆輸入っぽい設定が少し追加されている。
余談だが、この舞台でストレイボウ役を演じた程嶋しづマ氏は、後にDS版『FF4』や『DFF』シリーズでセシル役を演じている。
そして2022年に発売されたリメイク版でストレイボウを今度は声優として演じる事となった。
*1
さらに、2015年にはWiiU版VC配信を記念して、スマートフォンゲームとのコラボが複数行われた。
『ファイナルファンタジーレジェンズ 時空ノ水晶』では期間限定でオルステッドがボスとして登場。
イベントもきっちり再現されており、BGMとして「魔王オディオ」や「MEGALOMANIA」も流れていた。
また、コラボ限定の召喚獣の幻石としてラスボス「ピュアオディオ」も登場。
ピュアオディオは専用アイテムで進化させる事が可能で、進化毎にデザインも変化する。
一方で『ホーリーダンジョン』(サービス終了)では中世編の世界をモチーフにした「LIVE A LIVE ダンジョン」が出現。
ダンジョンの奥深くに捕えられた「アリシア姫」を救い出す、さらにどこかに潜む「魔王オディオ」を探し出す。
条件クリアで、アリシア姫や魔王オディオを仲間にする事ができる。
また、期間中のゲーム内のガチャには、中世編で「魔王オディオ」に挑むオルステッド・ストレイボウ・ウラヌス・ハッシュの4人が登場。
一緒にダンジョンを掘り進めるコラボちびキャラは、原作でメイングラフィッカーを担当した加藤清文が全て制作している。
また、魔王オディオのデザインは通常のオルステッドをベースにした独自の解釈になっている。
尤も入手条件が非常に厳しい事でも知られ、実際に入手できた人は数えるほどだとか。
また、公式以外でもファンによる非公式な二次創作が数多く行われている
(詳細はニコニコ大百科の
LAL二次創作ゲーム
などを参照)。
アニメ『ヘボット!』では、ゲームパロディ回にあのシーンが再現されたがフラグを折ってバッドエンドを回避している 。
この場面、時田氏もTwitterで確認済みである。
「イインダヨー 引き立て役だってイインダヨー」
「そういう生き方も、悪くないか…」
「落ち着くまで居留守しとこ」
また、ゲームの主人公らを闇堕ちさせようと暗躍していた黒幕が、
「それは太古の昔からはるか未来まで…」と最終編のオルステッドのセリフの一部を口にしている。
そしてリメイク版が発売された2022年の冬コミでは、なんと
近未来編 キャラデザ担当の島本氏によるフルカラー同人誌が発行された。
ちなみに当初は最終編や
現代編 も製作を予定していたらしい。
後に最終編も(モノクロにはなったが)無事コミカライズ化。全4編の構成となっており、最後にはオルステッドにも救いがもたらされる展開となっている。
島本氏が担当したのはあくまでも近未来編であるが、当のアキラは第1巻でオルステッドとピンで対峙する表紙が使われた程度のフレーバー的な扱い。
最終巻ではオルステッドが全ての始まりであるストレイボウとアリシアと対峙する表紙となっており、氏の原作への深い思い入れが窺える。
+
アリシアについて補足
「ストレイボウ‥‥
もう 何も苦しむことはないわ‥‥
私が‥‥ ずっといっしょにいてあげる!」
大会で優勝した姿に惚れた女が「姫だけは信じてくれている」と思っていたオルステッド(とプレイヤー)に向かってこのセリフである。
オルステッドは勝者であり続けた故に全てを失ってしまった というのに…。
さらには最終編において、滅ぼされた王国の民の亡霊(残留思念)が集う「心のダンジョン」終着点に出現する、
アリシアの亡霊の心を読むと…。
「お願いです‥‥ 止めてください‥‥ オルステッドを‥‥」
オルステッドへの謝罪はおろか、自身のした事の責任も見当たらないこのセリフ。
プレイヤーの大半は「お前のせいだろうが!」と言ったとか言わなかったとか
(ディレクターの時田氏はフォローとしてこの台詞を入れたとの事。逆効果だったのは火を見るより明らかだが
NTT出版の攻略本のインタビューで「このフォローにスタッフの誰一人賛同しなかった」 と語っているので故意犯かもしれない)。
おまけにこのダンジョンはアリシアの心を読まない限り脱出できないため、ここへ来たら必ずこの台詞を見る事になる。
これら一連の言動から「サラマンダーより、ずっとはやい!」で有名なヨヨに並ぶ「
スクウェア3大悪女
」として名を連ねている。
三人目候補は
『FFVIII』 のリノア・ハーティリーと『魔界塔士Sa・Ga』のミレイユのどちらかだが、
自分を助けようとした幼馴染みの主人公を放置して敵国の将軍と結婚した ヨヨはともかく、
ちょっと性格に天然が入ったトラブルメーカーのリノアや、姉を裏切って殺してしまったとはいえ深く後悔しているミレイユには疑問が残る。
と言うよりこの3大悪女というネタ自体「ヨヨとアリシアの存在ありきで、残りの一枠を探してきた」 と言う方が正確である。
4人合わせて「スクウェア悪女四天王」とされる事も。
双璧や二大巨塔では駄目だったのだろうか?
ちなみに『半熟英雄対3D』のヒロイン・カトリイネがこのネタを下敷きにして「スクウェア最大悪女」 とか呼ばれたりもする。
どんだけ悪女と謗られようがそもそも前述の三大悪女候補メンツは大前提として「美少女・美女」だが、こいつは容姿までお世辞には…
ただ、魔王の巣窟に監禁されるという極限状態の上に、外の情報が一切遮断された状態であった。
その状態でストレイボウに何を吹きこまれたのか判らない事(
オルステッドのみならずルクレチア王国全体が騙されていた )、
アリシア自身は
世間知らずなお姫様 でしかない事を鑑みると、
コロリと騙される、もしくは上記のストレイボウへの台詞の内容から、
所謂
「ストックホルム症候群(別命「吊り橋効果」)」 のような症状に陥ってしまっていた解釈も可能ではあるし、
亡霊の発言も「倒して」ではなく「止めて」と言っている辺りちゃんと思いやりも見て取れる面は一応ある。
それに武術大会優勝者への賞品として、半ば強引に結婚相手を決めさせられた彼女自身の心中は計り知れない。
全てを知った上でOPの台詞を見返すと彼女自身、自分に言い聞かせているようにも受け取れるのだ。
あくまで可能性の一つだが、実はストレイボウと相思相愛だったと考えれば……オルステッドに向けた罵倒にも納得できない事もない
(もっともこの場合ストレイボウと共謀した事になるため、それこそ悪女と言われても仕方無いかもしれないが)。
登場場面が冒頭とクライマックスだけという事もあって、彼女の心理描写は意外なほどに少ないのである。
また、純粋にアリシア姫からの視点だけで物語を追っていくと、半ば強引に武術大会の優勝者と結婚させられ、
それでも真摯に「あなたを信じます」と伝えたにも関わらず、その相手は何を言うでもなく無言のままで、
目の前で魔物に攫われる自分を助けてくれず、魔王城で助けを待っていたにも拘らず助けにきてくれず、
最後には助けに来てくれたストレイボウを目の前でオルステッドに殺される──という流れになっており、
少なくともあの時点で、アリシア姫からオルステッドに好感を抱く理由は一切無い のも確かなのだ。
オルステッド=プレイヤーは無邪気に「お姫様はずっと勇者を待っていてくれるはずだ」と思いこんでいたが、
忘れてはいけない、最初にアリシア姫の信頼を裏切ったのはオルステッドである。
元凶であるはずのストレイボウより何倍も憎らしくなる辺り、彼女の立ち位置が見えてくる
(なお時田氏は「女の子女の子してて私可愛いでしょなんて言ってる奴が残酷だったりする」 と語っており、
下村女史には「中世編には時田さんの女性観みたいなのが出てきてる」 と評されている)。
なお父親である国王の霊はルクレチア王国の滅亡を嘆くばかりであり、彼がオルステッドにどんな感情を持っていたのか、
己の復讐のために利用したストレイボウの行動に気付いていたのか(或いは気付く前に死んだのか)、
娘の駄目っぷりをどう思ったのか といった事については完全にぼかされている。
それでも魔王オディオ(ピュアオディオ)の最強技が
「セントアリシア」 だったり、あるエンディングにおける彼の台詞から、
魔王になってしまった後も、彼にとってアリシアが特別な存在だった事は間違いないようだ。
しかし、ハッシュも習得していた勇者としての最強技が
悪属性(邪) の「デストレイル」で、
魔王になった時の最強技「セントアリシア」が
善属性(聖) という所に、
中世編の悲哀とともに既存のRPGとは一味違う所を感じさせる。
ちなみにセントアリシアはその威力と効果、何よりその名の通り
アリシアの幻影が悲鳴のような効果音と共に白骨化する 演出から、
RPG史上五本指に入るトラウマ技として非常に有名だったりする。
リメイク版ではこの演出が更に強化されており、
アリシアがまるで地獄の業火のような円柱状の火柱に飲み込まれ、
恐ろしい絶叫と共に骸骨の姿になり徐々に崩壊して消滅する というとんでもない物になっている。
仮にセントアリシアがアリシア本人(の魂)だとしたら、彼女の末路は余りにも悲惨極まりないとしか言えないだろう…。
2006年に中世編を元に時田氏協力の下、劇団R:MIXより舞台化した「魔王降臨 Live SIDE」では、
武闘大会が開かれたのが、政略結婚を嫌い勇者ハッシュの様に強い男と結婚したいと彼女が願ったためだったり、
ストレイボウ戦後の例のオルステッドを罵った言葉に対してラディ=オルステッドから、
「城の中でぬくぬくと暮らしてきたあんたに‥‥ 俺の、シーザの何がわかる!」
と切り返されたりと原作以上にダメっぷりが加速していた。
……ただし、前述の「心のダンジョン」は隠すことのできない本心がつまびらかにされるダンジョンである。
そこで自己弁護も後悔も恨み節も一切無く、ただひたすらにオルステッドの救済のみを願っていたという事は、
アリシア姫が持つ純粋な心優しさ、真摯な願いの証、彼女の本心として、我々も心に留めておきたいものである。
憎しみに囚われてはいけないというのが、『LIVE・A・LIVE』のテーマなのだから。
なお、リメイク版ではオルステッドの救済やストレイボウへの同情要素がテコ入れされたのだが、
セントアリシアの演出強化やボイスが付いたことによる迫真の演技はさておき、彼女に関しては追加イベントや掘り下げなどが一切無かった。
……これをどうとるかは、プレイヤー次第か。
+
さらに余談
この『LIVE A LIVE』というゲーム、異様に女っ気が薄い。
具体的に言うと、サブキャラも含めて戦闘に参加するメンバーの内訳が
男17人女2人ロボ4体 、
戦闘に参加しないメンバーを含めても1編に1人いるかいないかと言った所(
現代編 に至ってはモブキャラ自体皆無)。
そして、全主人公が揃う最終編では
功夫編で条件を満たさないと 男と
ロボ だけのメンバーになってしまう。
しかもその女性キャラ達にしても、台詞が一切無かったり、気が強くて男勝りだったり、
主人公以外に意中の人がいたり、色々と性格に問題があったり……と、一癖も二癖もある面子が揃っている。
そんな中、中世編に至ってようやく割と普通に王道ヒロインやってるアリシアが出てきたわけで、プレーヤーの期待感は嫌でも高まった。
そして、
御覧の有様 である。
その落差の大きさも、彼女を悪女と言わしめる一因となっているのではなかろうか。
+
ストレイボウについて補足
同じく最終章の心のダンジョンにてストレイボウの霊と話す事ができ、
「俺の‥‥せいなのか‥‥ あいつが‥‥こんなになってしまったのは‥‥」
と以前の事を後悔している台詞が聞ける。
「あの世で俺にわび続けろ」と言った本人が、あの世でかつての友人に詫び続ける事となっている事は皮肉と言うべきか。
だが、こいつらが原因で皆殺しにされたルクレチアの皆様からすれば傍迷惑などというレベルではない。
実際アリシアよりストレイボウの方を嫌う人も少なからずいる。
またどう考えてもストレイボウの所業に端を発したこの騒動にも拘わらず「俺のせい
なのか 」と微妙に疑問形なのも反感を買いやすいようだ
(リメイク版では「俺のせい
なのだ 」と明確に懺悔の言葉に変更されている)。
風の様子が変なのだ…
とはいえ、元からオルステッドに対してコンプレックスを持っていたにせよ、
この後悔の台詞や、ストレイボウの復讐劇は魔王像に触れた所から急に始まっている事から、
魔王像に憎悪を膨れ上がらせるとか素質のあったオルステッドを魔王に仕立て上げるなど、何らかの仕掛けがあるのではないか と考える人もいるとか
(実際、彼は「魔王像の秘密に気付いた瞬間今まで抑えていた気持ち が爆発した」と語っている。
また、中世編エンディングのオディオ誕生シーンでも魔王像の瞳が光る演出が入っている)。
余談だが、オルステッドの運命を大きく変える事になった王殺しの場面の直前では、
どこからともなく寝室に入ってきたストレイボウがオルステッドに幻術を掛けたと思われる描写がある。
就寝時間だというのに王が何故か玉座に座っていたのも不自然であり、王もまた幻術にかけられていた可能性がある。
その後、夜の見張りに立っていた兵士が5人だけなのがゲーム中で確認できるにも拘らず、
オルステッドが王を倒した直後に駆け込んでくる兵士の数が何故か6人に増えており、
さらにその兵士の1人が「もしや‥‥ 勇者ハッシュも ストレイボウも‥‥ みな オルステッドが!」
とオルステッドを追い詰める発言をしたため、実は彼がストレイボウの変装だったのでは…という考察もある
(ただし公式に正体が明言されたわけではなく、話しかけても他の兵士と同じ反応のため実際の所は不明)。
リメイク版ではこのシーンがボイス付きになっているが、件の兵士の声は……?
なお、ストレイボウの霊の心を読むイベントは強制ではなく、場所もアリシアから少し離れた所にいるため、
下手すると彼に気付かないままスルーしてイベントを終えてしまう 事もある。
「ずっと一緒にいてあげる!」と言われたはずの彼が、何故アリシアから離れた場所にいるのかを考えてみるのも感慨深い。
+
オディオについて補足
シナリオ全編に「オディオ」は登場している。
(原始編のみ台詞が皆無でただの雄叫びのため推測が入るが)オディオは人間が生み出したものであり、
それまでのRPGでありがちだった「
どこからともなく現れた悪の魔王 」といった存在とは一線を画している。
「オディオ=憎しみ」 と魔王オディオが説明しているため(
*2 )ちょっと混乱しがちだが、
全てのオディオが必ずしも他の存在を憎んでいるわけではない。
オディワン・リーやオディ・オブライトのような「憎しみを生み出す者」としてのオディオや、
OD-10のように「憎しみによって争う人間を抹殺しようとする人工知能」など、様々なタイプが存在すると考えると分かりやすい。
……おーでぃーおーだけちょっと場違いだが、それに対する生贄信仰(をしていた原始人部族)が憎しみを生み出す原因となっているのは確かである。
+
分類別に分けてみると…
他者の憎しみを生み出すオディオ 尾手院王(日本征服のために暗躍、戦乱で憎しみを生み出そうとしていた)
オディ・オブライト(格闘家達を次々と殺していき、憎しみを生み出していた)
オディワン・リー(配下が心山拳の継承者候補を殺害し、憎しみを生み出していた)
おーでぃーおー(神として信仰していた部族が差し出した生贄を喰らい、憎しみを生み出していた)
人間の憎しみによって生み出されたオディオ O・ディオ(ネイティブアメリカンとの闘いで全滅した第7騎兵隊の憎しみが、唯一の生き残りである軍馬に取り憑いて人間の姿をとったもの。 なのに何故か白人の街を襲っているわけだが… 倒された事で元の馬に戻ったため、唯一生き残ったオディオだったりする(まぁ本体は悪霊の方だし))
人間を憎み、絶望したオディオ 御出居隠呼大仏(争いを止めない人間を憎み、絶望した近未来編の黒幕によって液体化された人間の集合体)
憎しみを生み出す人間を抹殺しようとするオディオ OD-10(宇宙船の調和維持を至上とするコンピューター。船内の人間がそれを乱し、 責任者である船長が止めるどころか傍観して悪化していく状況で船員達を評価判定する現状を憎み、 「調和維持のために乗組員を排除する」という結論に辿り着いた)
以上の通り、いずれも「
この世に悪があるとすれば、それは人の心 」であるという事を如実に示している。
その中で魔王オディオは、一部不可抗力もあったものの、
「他者の憎しみを生み出し」
「人間の憎しみによって生み出され」
「人間を憎み、絶望し」
「憎しみを生み出す人間を抹殺しようとする」
全ての要素を兼ね備えた
オディオの中のオディオ(ピュアオディオ) である、と言える。
…本人は単に親友の逆恨みに気が付いていなかった(+物凄く不運だった)だけなのに、
そんな大事に発展させてしまうあたりは人間の業の深さと言える。
+
その他の主人公達の事情など
どの主人公も「正義の味方が悪の親玉を倒して世界を救う」といった既存のRPGのステレオタイプだが、
お約束のような
漠然とした理由のために戦っているわけではない のが特徴。
基本的に
自分自身や 周囲の人を 守るため 、あるいは
信念 、
自らの望み や
敵 討 ち 、
強くなる といった個人的な目的など、
その世界それぞれの主人公が、自分なりに戦う理由をしっかりと持っているのである 。
この点が「
勇者として魔王を討伐する 」という事以外、個人について全く掘り下げられていない、
極めてRPGの主人公らしい主人公、オルステッドとの決定的な違いとなっている
(彼も「アリシアを助けるため」という個人的動機はあるのだが、そこについての描写は上述した通り相当に少ない)。
どういう事かと言うと、
王道から外れた破天荒な 7編そのものが、中世編および最終編の伏線 と言えるのである。
そのような主人公達とオディオとの決戦、そしてトゥルーエンドへと至るやりとりはRPG史上に残る名シーンとして、
そして名台詞の宝庫として名高い。
迷台詞も多いが。
勇者(主人公)は何を思って戦うのか
魔王(悪者)は何を思って戦うのか
そして勇者とは、魔王とは何か
いずれも今となっては必ずしも珍しいものではなくなったが、
「RPGのお約束」に対する問いかけ、その回答というRPG史上における先駆者的な立ち位置、そしてその結末へと至る構成の妙、
こういった要素が『LIVE A LIVE』の「隠れた名作RPG」としての評価を確固たるものとしていると言っても過言ではなかろう。
原作中の性能
RPGの勇者風な風貌の通り、ゲーム中の性能もスタンダードで使いやすいキャラクター。
近距離・遠距離共にバランスよく技が揃っており、レベルアップで様々な剣技を覚えていく。
使用技は勇者ハッシュが最初から覚えている技と一部共通しており、
最終的にはかつてハッシュが魔王を倒したという伝説の技「デストレイル」も習得するが、
絶大な攻撃力を持つ代わりに、使用後は自身のレベルが下がってしまうというデメリットがある。
加えて「初期知力が2 と全キャラの中でもかなり低い(レベルアップの伸び率は悪くない)」、
「状態異常の酔いに弱い (酔うと基本技のカットワンウェイしか使えなくなる)」、
「回避属性を標準で持っていない(装備品でしかダメージ半減効果を得られない)」といった弱点もある。
回復技も持っていないのだが、中世編では強力な回復魔法を持つウラヌスが仲間になり、
またウラヌスがいない時も回復アイテム「なおり草」を無限に入手できるポイントが存在するため、回復に困る事はまず無いだろう。
MUGENにおけるオルステッド
多数の『LAL』キャラを手描けた暗黒内藤氏によるものが存在する。
NAME表記は前述の「らすとかいし」にちなんで「orsted」を採用。
ドット は原作のものを使用しており、試合中は中世編の戦闘BGM「凛然たる戦い」が流れる
(ON/OFF選択可。余談ながらこの曲、サントラおよびリメイク版では「凛然なる戦い」と曲名が変更されていたりする)。
BGMは相手が同じ様に
専用BGM持ち のキャラ だと流れない(未対応も有り)。
原作に存在した剣技を使って戦う
ちびキャラ で、基本的に火力は高め。
フロント&バックステップ中は
喰らい判定 とぶつかり判定が消えるため、相手の攻撃をすり抜ける事ができ、
更に攻撃を喰らっていない時のみ、ガードモーションをステップでキャンセル可能…と非常に高性能。
コンボはほぼ繋がらないため、このステップと1発の火力で戦っていくタイプのキャラである。
なお、氏の『LAL』キャラはちびキャラといっても、喰らい判定は共通して見た目以上に高く設定されている。
また、
超必殺技 であるデストレイルの威力は
LIFEが8割吹っ飛ぶ ほどである。
ただしもちろんデメリットがあり、原作での能力低下の変わりに
自分のLIFEが4割減る 。
長きにわたり
AI が作られていなかったが、ワーキペレウ氏、スターマンの息子氏によって、外部AIが2つも同時期に製作され、
その後どちらも2012年7月13日の本体更新によりデフォルトで搭載された。
特徴も綺麗に対照的で、ワーキペレウ氏のものはガン攻め型AI、星男氏のものは冷静に戦うAIとなっている。
なお、オルステッドの大ポトレ&中ポトレの画像は辛/color氏による手描きイラストが使用されている。
動画で使用する分には特に制限は無いが、
「オルステッドの中、大ポトレの個人の範囲を超える2次使用は禁止」
「オルステッドの改変キャラを配布する場合は必ず中、大ポトレを変更する事」が条件となっているので注意されたし。
+
基本動作
A
ジャンプ & 空中ジャンプ
B
攻撃用ボタン(詳しくは下記)
X
ガード
Y
受身 & ダウン回避
66(ガード中6)
フロントステップ
44(ガード中4)
バックステップ
+
技
B(地上)
カットワンウェイ
・剣技/基本技
632 + B(地上)
Vシャイン
・剣技/力をためて一気に斬る
214 + B(地上)
プラスリンク
※下段技 ・剣技/回りの敵をなぎ払う
896 + B(地上)
ハンマーパワー
※中段技 ・鈍器技/カタイ物を砕くミネ打ち
236 + B(地上&空中)
ソードビュー
・風の技/真空の刃を放つ
41236 + B(地上)
インケイジ
・風の技/エリア内の敵を斬る
412 + B(地上)
ムーンダウン
※投げ技 ・精神技/近くの敵を眠らせる
623 + B(地上)
ミラードライブ
※当身技 ・風で反撃/前からの攻撃に反撃
63214 + B(地上)
スピンドル
・風の技/敵を弾き、砕く
28 + B(地上&空中)
ジャンプショット
※中段技 ・突撃技/跳び斬り、威力2倍
69874 + B(地上&空中)
ドラゴンソウル
※1ゲージ消費 ・精神技/竜火で離れた敵を焼く
236236 + B(地上)
レイザーソニック
※2ゲージ消費 ・剣技/離れたエリアをみじん斬り
214214 + B(地上)
ヘキサフランジ
※2ゲージ消費、ステップ中先行入力可能 ・風の技/バックアタック
412363214 + B(地上)
デストレイル
※3ゲージ & ライフ4割消費 ・邪の技/魔王を倒した伝説の技
「ア‥‥ アリシ‥‥ア‥‥」
出場大会
プレイヤー操作
*1
と言うより、DS版『FF4』で主要なキャラクターボイスを担当した声優の多くが本リメイクにも出演している。
キャスティングはほぼ全てが時田氏の指名との事なので、意図的な物だろう。
なお、『FF4』でパーティーキャラを担当した声優は存命である限りほぼ参加しているが、配役は基本的に脇役・敵役に留まっている。
*2
劇中では「憎しみの別名がオディオ」というような説明だけだが、厳密にはラテン系の言語で「憎悪・激怒」に当たる単語が「odio」である
(odio自体はラテン語の「odium」の単数奪格が起源)。
そして同じインド・ヨーロッパ語族の北欧の古ノルド語では、これにあたる単語は(現在英字で転写すると)「odin」となる。
この辺で気が付いた人もいるかもしれないが、北欧神話の「
オーディン 」の名前はこれが語源だったりする。
最終更新:2025年01月03日 20:07