プリキュアタブー

登録日:2014/02/11 Tue 21:21:31
更新日:2025/04/22 Tue 14:49:01
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全国の女の子たちに絶大なる人気を誇り、今や誰もが知っている「美少女戦士アニメ」としておなじみのプリキュアシリーズ

そのメインターゲット層は、小学校に上がる前の幼い子供と一部の大きなお友達と設定されている。
そのため、彼女たちを怖がらせたり悪い影響を与えたり、その背後にいる親御さんを怒らせないため、番組の作劇上において、いくつかの自主的な『決まりごと』が存在している。

ここでは、それらの詳細を以下のようにそれぞれ分けて紹介する。



⚠︎WARNING!!⚠︎
当記事では説明の都合上、重要なネタバレが多く含まれています。







【目次】


有名なタブー

①「正義のプリキュア同士で戦わせない」


映画 ふたりはプリキュア Max Heart2 雪空のともだち』で「キュアホワイトが敵に洗脳され、キュアブラックと戦う」というシチュエーションを描いたところ、観客の女の子が本気で泣き出したという保護者からのクレームが来たためと言われている。*1
※ただ、「子供が泣いた」という直接的な報告は当時の資料には無いとも言われる。

後述の加藤レイズナによるインタビューでは、鷲尾天プロデューサーが
あれは教訓として残っていますね。男の子ものでよくある設定をやってみたいと思ったんですが、
小さい女の子は友達同士が喧嘩することをとても嫌がるんだってことがわかりまして。

子どもにとっては良い印象は残らないんだなって言うことを学びました。
それは役者さんにとってもそうだろうと思います。今まで2年近くふたりでずっと手を取り合っていたのに、あれはしんどかったろうと思いまして。
それ以降はできるだけそういうことはないように考えていますね。
と答えている。
当時は1時間~30分前の番組でヒーロー(と一応扱われている者)同士がいがみ合ったり本気で殺し合ったりするのが流行っていた時期で、それにならったのか「プリキュアバトル」をちょっとやってみたら不評を買ったということのようだ。

これ以降、正義のプリキュア同士での戦いは封印され、その代わりとして「プリキュアの力をコピーした悪の変身戦士」との戦いが導入されるようになった。

しかしながらダークドリームダークプリキュアは「悪のコピー戦士」にもかかわらず本家と同様、一部ではそれ以上の人気を得る予想外の事態に。
特にダークプリキュアは大人のファンのみならず多くの子供たちからも支持され、キュアムーンライトとの和解・仲間入りを望む声も多かったほど。

その他、『フレッシュプリキュア!』では敵の仕掛けた「仲間が怪物に見えてしまう」という幻術にはまり、プリキュアバトルになりかけた。
「1対1の戦いをそれぞれ別の場所で行わせ、4人とも全滅するよう仕向ける」というのが敵の狙いだったが、あと一歩というところで術が解け、結果的に同士討ちを免れている。
この時は直接プリキュア同士が殴り合う様子は描かれず、同士討ちしているように見える演出でぼかされていた。
タブー破りへの挑戦に意欲的だった作品でもある一方、以前に水着云々でやはり苦情が来たことからこれが精一杯だったのだろう。

しかし近年では傾向に変化が見え、『ハピネスチャージプリキュア!』では「正義のプリキュア」同士でのライバル関係があったり、「洗脳されて悪の戦士になった正義のプリキュア」が登場してプリキュアと激しい戦闘を繰り広げた。
さらにその敵組織の首領に至っては「憎悪に囚われて悪堕ちした元プリキュア」である。
また、レギュラープリキュアの闇堕ちイベントも『キラキラ☆プリキュアアラモード』で解禁された。ただし、こちらは前述の『フレッシュプリキュア!』と同じく同士討ちにならないよう配慮された内容になっている。



②「水着・パンチラといった性的に見えそうな描写を入れない」


変身後の衣装のデザインも
  • スカートの下にスパッツなどの見えても良い下着を履かせる
  • もこもこしたパニエで埋める
  • ズボンスタイルにする
などして、とにかく中身が見えないように配慮されている。

ハピネスチャージプリキュア!』以降はドロワーズを履いたプリキュア*2も登場し、パンツのデザインも多様化。
ミニスカからスパッツをチラ見せさせたコスチュームだったり、普段は見えないがアングルを変えるとスパッツが見える者も。*3
そして『キラキラ☆プリキュアアラモード』にて、レギュラープリキュアでは初のレザーショートパンツ(スパッツではない)を着用したキュアショコラを皮切りに、短パンスタイルのプリキュアも多数登場中。

フレッシュプリキュア!』の序盤にて、美希たんの競泳水着姿や(シルエットでの)シャワーシーンがあったが、これにも苦情が来たらしい。
ただし、DCDプリキュアオールスターズや数作品のカレンダー漫画版の一部では、「おめかし」の一環として水着が実装・解禁されている。

また、『スマイルプリキュア!』ではモブキャラが普通に水着で描かれていたり、プリキュア衣装のアレンジ的に水着になったりした。
ドキドキ!プリキュア』でもワンカットながらマナと六花がスク水を着ている。

また、敵キャラではマジョリーナやマーモといったセクシー系の美女キャラクターは例外となっているものの、彼女らも通常のコスチュームは胸の谷間などが直接見えないようにデザインされ、パンチラなども無し。

ハピネスチャージプリキュア!』でも水着は登場せず、代わりにプリカード「マリン」が登場。
敵幹部のホッシーワの白ビキニ姿が披露されたが、横向きの1カットのみであり胸の谷間も髪で隠されていた。

上北ふたご先生は、初代のコミカライズで海水浴の話を描いた時に「胸の谷間を描かないように」「胸を強調しないように」とアニメスタッフ側から要請されたという。

ハートキャッチプリキュア!』の長峯達也ディレクター曰く
HCPでは海で水着だー!!だって不自然じゃん!!海辺で水着じゃないってさあ!!とシナリオ、プロデューサー、その他の了承をとって臨んだけど・・・コンテのチェックで水着をやめました。だってやっぱり、キャラクターって自分の分身みたいなものじゃない。娘の肌さらすなんて出来ないよ!!ゴメン
とのこと。

ただし近年では大きな地殻変動もある。
例えば『Go!プリンセスプリキュア』はこのタブーに真っ向から挑戦し、「浜辺でできる遊びはもうやり尽くした(要約)」という皮肉とも取れる台詞と共に水遊びが解禁された。
ディスピアとステラの谷間がはっきり見える衣装や、プリキュアキャラクターによる露出の少ない水着姿などをあちこちに取り入れている。
しかもこれといった苦情はなかったため、以降水着は夏の定番要素になった。*4

翌年『魔法つかいプリキュア!』では特に序盤で箒に上手く乗れない設定上、スカートできわどいアングルも多少見られる。
HUGっと!プリキュア』に至っては主人公勢の水着解禁のみならず、敵側の幹部の谷間を露出したコスチュームや水着も登場。
幼児には一見して分からない、かなり迂遠かつぼかした形ではあるもののNTRを示唆する描写もあった。



③「食べ物を粗末にしない/好き嫌いさせたりしない」


好き嫌いに関する回を描いても、最終的には「嫌いなものを克服した」という展開になることがほとんどである。

対象年齢層が丁度食事に関するマナーなどを躾けられている最中であり、発育のためにバランスの良い食事が必要なこと、そして「我が子にはたくさん食べて健康に育ってほしい」と思っている保護者の目を意識しており、「嫌な絵を作らない」という目標が心掛けられている。

劇中では登場人物が殆どの場面で食べ物をとても美味しそうに食べる。
特に『プリキュア5』シリーズで多い。
また、シリーズのほとんどに食いしん坊キャラや大食いキャラが最低1人は登場している。

もし子どもたちがプリキュアを理想としているのなら、「プリキュアたちもたくさん食べてるから私も!」と言う風になれば嬉しいですね。
というのが鷲尾プロデューサーの見解である。

ふたご先生もやはり食べ物に関しての注意点を伝えられている。

『ドキドキプリキュア!』では亜久里が人参を苦手としていることが物語の中で判明したが、多くの大切なことを学んで人参の美味しさに気付く。

他にダイエットの描写もほとんどないが、例外的に『YES!プリキュア5』でココのダイエット回があった。
だが、これもあくまでも原因は「偏食」であり、好き嫌いなくたくさん食べようという考え方は徹底している。

デリシャスパーティ・プリキュア』でも敵の策略により料理を不味くさせられたりするが、作中では直接「不味い」とは言わず「味が変わった」と表現している。
また、今作の怪物であるウバウゾーも子供たちが食べ物を嫌いにならないように「食べ物自体をモチーフにしない」というコンセプトがあることが『アニメージュ』の2022年3月号で語られた。

例外的に、『キラキラ☆プリキュアアラモード』序盤ではお菓子作りを失敗し、結果的に食材を無駄にしてしまうシーンがほぼ毎回のようにあった。



④「プリキュアの頭部・顔・腹部を直接攻撃させない」


プリキュアは、敵の攻撃を必ずと言っていいほど腕などを使って防ぐ。
このことについて、鷲尾プロデューサーによると
これは5年間全編通してなんですけど、ダメージを受ける打撃は必ずディフェンスしてくれって言ってました。
直接顔や腹を殴らない。女の子の顔や頭を殴る事は絶対にさせませんでした。
とのこと。

現在でも、基本的には敵の攻撃を防ぎつつ受けた衝撃で吹き飛ばされ、周囲のオブジェクトに全身をぶつける等によりダメージを表現している。
激しい戦いでも汚れることはあっても、コスチュームが派手に破けたり流血したりといった表現は基本的には無い。

しかし近年では傾向に変化が見え、『映画 ドキドキ!プリキュア マナ結婚!!?未来につなぐ希望のドレス』では流血シーンがある。
「散々迷ったが、演出上やむを得なかった」とのこと。

『映画 フレッシュプリキュア! おもちゃの国は秘密がいっぱい!?』では、キュアベリーがキュアピーチにビンタで活を入れるシーンが直接映らないアングルで描かれている。*5

ハピネスチャージプリキュア!』でも敵幹部で男性のファントムがクイーンミラージュに罰としてビンタを受けるシーンがあるが、これもSEのみで直接的な映像は流されていない。

特に顔への打撃は非常に注意深くなっており、ギャグ描写で顔をはたかれるようなシーンさえ長い間皆無であった。
しかし近年では傾向に変化が見え、『Go!プリンセスプリキュア』ではギャグシーンとしてビンタやデコピンを受けて痛そうにするくらいのユーモアなら何の問題もなく多用されている。

腹殴打については、敵組織幹部本人との戦いなどシリアスさが高い局面で描写されることがある。
その場合、殴る瞬間は視点を遠ざけるor手から衝撃波を打つ描写にされる。

余談だが、毎週プリキュアが戦う怪物のデザインも、あまり恐怖感を与えないようデフォルメ調を基本としている。



⑤「親を正面から悪者にしない」


小さな子供をターゲットにする以上、その保護者を不快に感じさせてはいけないという配慮から。

特に親がついて行かざるを得ない劇場版で意識される模様。
例として座古監督曰く『映画 Go!プリンセスプリキュア パンプキン王国のたからもの』のパンプルル王女が初期案で「俗物の権化のような毒親に育てられた結果、善悪の存在に分かれてしまう」設定だったのを
まず、お父さんとお母さんを悪者にするのは、あんまり親子向けの映画としては好ましくない。
などの理由から没にしている(他にはキュアスカーレットと被るという身もふたもない理由もある)。

また『NewStage3 永遠のともだち』は母親の暴走が発端で騒動が起こる筋書きだが、あくまで親の愛自体は否定しないよう、注意が払われている。
永富大地プロデューサー曰く
『子供の夢をどれくらいコントロールしていいのかは難しい』という話を子育てしている2人(脚本担当の成田と梅沢P)からたくさん聞いた。
白黒はっきりできないテーマだからこそ、『プリキュアだったらどういうことが提示できるんだろう?』と議論した記憶があります。
とのこと。

ちなみにテレビ本編で親、または親として扱われた人物を敵役にする場合は
  • 子供が敵に洗脳されていた
  • 親が誰かに操られている
  • 親に化けた敵
といった具合に、やはり直接対立させないようにしている。

ただし、『スター☆トゥインクルプリキュア』に登場する香久矢まどかの父親・香久矢冬貴はプリキュアの敵として立ちはだかることこそなかったものの、その思想は星奈ひかるの思想とは対極に位置しており、宇宙人と疑う羽衣ララを地球より放逐すべく行動し*6、友人を守るために父親に隠し事を貫くまどかの葛藤の原因にもなった。
もっとも、冬貴が宇宙人に関する調査をしていた本当の理由は「局で成果を上げて、その中央に返り咲く」ためであり、宇宙人も心の底から敵だと考えていたわけではなかったのだが。



タブーがある理由について


これらのタブーは長い年月の間で自然に作られていったものではない。
元祖プリキュアの立ち上げに関わった鷲尾天プロデューサーが第1作の時にスタッフに提示した「決まりごと」が延々と引き継がれていったものである。

これらのタブーがどうして作られたのか、そして元々は初代作だけの「決まりごと」だったものをなぜ今でも延々と守っているのかという理由については、スタッフたちがインタビューの中で答えているものの中から見えてくるものもある。

オールスターズDX3の時期に発行された『プリキュアぴあ』には、多くの関係者インタビューが載っており、梅澤淳稔プロデューサーはこう答えた。

(「『フレッシュプリキュア!』では前半に水着やシャワーシーンもありましたね。」という言葉に対し)
実は大ブーイングでした。「コクる」「彼氏」というセリフも評判が悪かったです。
中学生だから、必然性があるから、大丈夫というわけじゃない。
両親が観せたくない作品になっては『プリキュア』じゃない、と痛感しました。

Twitterにおける川村敏江氏(『プリキュア5』『スマプリ』のキャラデザ担当)と大塚隆史監督の会話では、以下のようなことも話された。
大塚監督は当初スマイルで水着回をやる予定だったことを明かしている。

(川村氏)
カレンダーの水着絵は一応鷲尾さんにお伺いをたてまして、私が描くならむしろアリじゃないですか?っていう事でした。

(大塚監督)
子供用としての抱き枕とか、ウルフルンのおバカ仕様とかは個人的にはジョークの範疇と解釈しますけど、性的なの出したら即SD降ります。
おふざけは好きだけど悪ふざけはダメ。

他にもWebマガジン幻冬舎の『実況野郎B-TEAM 実況取材道』において、検証本『プリキュアシンドローム』の著者である加藤レイズナ氏に対して鷲尾天プロデューサーが留意点を語っている。
保護者も含めて大人が見た時に楽しめるストーリーになるようにしている、とのこと。

(鷲尾P)
汚い言葉を使わない、それは敵役のキャラにも言わせないようにしました。子どもはそういうところを一番真似しますから。

いわゆる子どもだましの作品は作らない。ただ、そこ(大人)に媚びるようなことはしていないですね。

子ども向けだからこの程度でいいよねって言う手の抜き方は絶対にしていません。

同じくWebマガジン幻冬舎の『お前の目玉は節穴か』において、上北ふたご先生は制作上の方針やルールがあることを明かしている。

(ふたご先生)
意味のない露出やローアングルとか、気持ち悪い表現にはならないように気をつけたいです。
また、女の子が蔑まれたり、弄ばれたり、暴力の犠牲になるような表現は極力避けたいと思っています。

稲上さんから「たとえスパッツを履いていても、ブルームのスカートの中は隠れるようにしてください」と言われて、ハッとしました。
幼女向けアニメであろうと、性的で好奇な視線に対するガード、配慮の必要性があることに驚くと同時に、キャラクターを大切に守る正しい姿勢に感動しました。

そして、同コーナーでは大塚監督も大切なことを述べている。

(大塚監督)
スタッフが一生懸命考えて作っていく作品であって欲しいと思います。
中途半端なブランドになったり、ファンに媚びるような作りになったら、作品自体が終わるべきだと思います。

僕は大人のファンに向けてプリキュアを作っているつもりは一切ないんです。
それに、媚びだした瞬間、大人のファンにも見向きされなくなると思います。
小さい子に向けて一生懸命に作っているから、見てくれていると思うんですよ。

2014年2月頃にネットに掲載された『WEB Rooftop』の鷲尾プロデューサーへのインタビューでも、ここまでに述べたことの多くを改めて述べている。

そこでは他にも
  • 「武器を使うのは絶対に嫌*7」というのは周りと一致していたこと
  • 男性キャラクターが戦闘に参加しないサポートキャラであることについて「自分たちで解決するのがかっこいい、アクションに絡めないスタンスのほうがスッキリする」という話をしていた
等が挙げられた。

ちなみにこれは2014年2月に掲載されたインタビューだが、よりによってその2月から放映されたプリキュアの主人公武器を使って攻撃したりしている。
これは後述する「スタッフの入れ替わりによるプリキュアの変化」のわかりやすい例だろう。



……だが、しかし。
実際は、これらのタブーは永遠に守られるべき普遍的なものとして捉えられているわけではない。
シリーズが進むにつれて緩和されるところもあれば、より厳格になっている部分もある。


ここから先は、最近のプリキュアシリーズを見てないという人にこそ知ってもらいたいことである。
プリキュアシリーズは、10年目を迎えた前後あたりからいろいろと変わろうという流れがあるのだ。


時代の流れによる変化


プリキュアが登場した最初の頃である2000年代、女児アニメはプリキュアがほぼ独占的な地位を占めていた。
特に長期に何年もシリーズ化されていたものはプリキュアしかなかった。
だが、2010年代になってから女児アニメは戦国時代に突入。
『ジュエルペット』『アイカツ!』『プリパラ』などがシリーズとしてブランドが確立し、競合相手となる。

それは競争力を高めるという意味で歓迎すべきことだったが、これらのアニメはもちろん子供への配慮はしていても、プリキュアほどガチガチに定義された「決まりごと」があるわけではない。
そして、そんなアニメであっても、小さな女の子も保護者も特に反感を抱かず、普通に楽しみ、人気を博している状況が、可視化されてしまったのだ。

プリキュアは本来、その時代の子供たちに向けた作品である。
だが、プリキュアタブーの多くは鷲尾Pの考えを踏襲したもの。つまり10年以上前の子供たちのためのものである。
今の子供たちは、プリキュア初期作の頃の子供たちとは違う時代に生まれ、違う考え方と感性を持っている。

2012年度の『スマイルプリキュア!』を最後に梅澤プロデューサーがTVシリーズから引退し、柴田宏明プロデューサーに交代。現場スタッフも全体的に大幅な若返りをした。
それをきっかけにして、プリキュアシリーズはいろんなことを少しずつ「考え直す」ことを進めている。
上述したリストの中に「近年での例外」があることを示しているが、この「近年」とは具体的には2013年度の『ドキドキ!プリキュア』以降のことなのである。

この変化は、ゆっくりとだが着実にすすんでいる。
2013年度の『ドキドキ!プリキュア』ではそれまでのプリキュアでは見られなかった新しい要素を次々導入。
2014年度の『ハピネスチャージプリキュア!』ではプリキュアが「あえてやらなかったこと」である中学生らしい恋愛要素(※「コクる」や「彼氏」も普通にあります)や正義のプリキュア同士の戦いなどに挑戦した。*8

そして2015年度の『Go!プリンセスプリキュア』から4代目プロデューサーを担当することになった神木優は、
「今回、シリーズをもう一度根本から見直そうという部分が大きい」
ということを明確に語っている。
そして、「“今、そういう判断をするんだ”と印象的だったところ」として、今までプリキュアタブーの象徴だった水着回を解禁したことに触れていた。
さらにその上で、
小さな女の子が不快に思わないようにするには、どうすればいいのか。シリーズならではの蓄積があり、それを踏まえなくてはいけない

それは例えば、過去のシリーズを知らない演出家が描くとまた違う描き方になる
として、視聴する子供たちと作り手たる大人たちの世代交代による変化を受け入れ、それでいて伝統をないがしろにはしないあり方でないといけない「温故知新」を理想と語っていた。

ちなみに、『ゴープリ』の水着回は別にお色気を出すためのものではなく、海水浴をするというシチュエーションでないと描けないことをするために水着を着せたにすぎない。
上述した「女児アニメ戦国期」において他の女児アニメは性的なものを感じさせないようにうまく水着などを描いているのに、プリキュアだけかたくなに水着を避けているのは「ただ海で泳ぐだけのことに、性的なものを意識しすぎているのではないか?」と見られかねない。
神木Pの判断は「今の時代」においては自然なことだろう。
神木Pが女性だというのも、今までの男性Pとは別の感覚を持っていたのもあるかもしれない。



大人の視聴者にとっては、表現に対していろいろと言いたいことや、やってもらいたいこともあるかもしれない。
タブーなんてくだらないと思う人もいれば、逆に近年のプリキュアシリーズの変化を嘆き鷲尾Pの頃の決まりごとを厳格に守るべきと思う人もいるかもしれない。

しかし、作品に対する制作側の姿勢や思いを感じ取り、「今の時代の子供」と同じ目線で作品を楽しむことも大切ではないだろうか。




追記・修正は大人の事情と視聴者の事情、双方を理解した上でお願いします。

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最終更新:2025年04月22日 14:49

*1 ……しかし、「子供が泣いた原因はプリキュア同士が戦うというシチュエーションより、洗脳されたホワイトの養豚場の豚でも見るような目と演技が怖かったからじゃないのか」という意見もなくはない。

*2 少なくともキュアハニーを除く3人が該当。ただしいずれも通常のアングルでは見えない。

*3 明確にスパッツを着用したプリキュアはドキプリを最後に長らく出てこなかったが、トロプリのキュアフラミンゴで久々に登場。なお彼女の場合アングルを変えないと見えない。

*4 なお、ゴープリ以降に水着回を行わなかったのは「デリシャスパーティ」のみ。但しこれは別の事由による。

*5 プリキュア以前にも『おジャ魔女どれみ♯』などで使われたことのある古典的な手法。

*6 しかも取った行動は直接クラスメイトの数人に接触して「ララが宇宙人かどうか」の証言を得ようとするなど、極めて短絡的。仮に現実でこんなことを行えばどういう問題になるかは想像に難くない。

*7 「明らかな凶器に見える物で相手を傷つける」のが嫌という意味だと思われる。「相手を傷つけない形で武器を使う(剣の刀身で相手のエネルギー弾を受け流すなど)」は普通にある。また、ビーム的なものが出るアイテムならプリキュアではむしろ定番ではあるが、武器には見えない形をしている。

*8 『ハピプリ』はプリキュアチームが世界中にいっぱいいる世界観なので、プリキュア同士の戦いについてはあくまで「ゲストキャラである正義のプリキュア」と戦っただけで、「メインキャラのプリキュア同士」が戦ったわけではない。「視聴者が親しんだキャラ同士の仲間割れ・殺し合い」はちゃんと避けている。