登録日:2015/05/08 Fri 10:25:40
更新日:2024/11/20 Wed 01:34:23
所要時間:約 35 分で読めます
監督:こだま兼嗣
脚本:古内一成
主題歌:
ZARD「少女の頃に戻ったみたいに」
『
名探偵コナン 14番目の標的』とは、劇場版
名探偵コナンシリーズの第2作目のタイトルである。1998年4月18日公開で上映時間は99分。興行収入は18億5000万円。
【概要】
前作『
時計じかけの摩天楼』は「火の恐怖」がテーマだったのに対し、今作は「水の恐怖」がテーマとなっている。
妃英理が劇場版に初登場し、小五郎が刑事を辞めた背景や英理と別居した理由が明かされており、本作で新たに判明した設定(英理の
料理下手、目暮のフルネームなど)も後に原作へ逆輸入されている。
コナンの御馴染みのフレーズ
「ハワイで親父に……」が使われ始めたのも今作から。
人間ドラマとしては前作同様、コナン(新一)と蘭の関係を描きつつ、毛利家の内情を詳しく掘り下げておりどちらかというと「恋愛」よりも「家族の関係」にスポットが当たっている。
【音楽】
前作の音楽はTV版のアレンジが多かったのに対し、今作からは基本的に映画のために作られた楽曲が中心となっている。
TV版への導入は1時間スペシャルの『浪花の連続殺人事件』から。
特に「犯人の謎」や「ターゲット サスペンスD」といった独特な雰囲気の楽曲はかなりTV版でも使われていた。
また導入から少しした頃の灰原や組織絡みの事件が多い頃に集中的に使われたこともあり、そういった暗い雰囲気を作るのにもピッタリであった。
2007年のリニューアルでも割と多くの楽曲がリニューアルされたが、その多くはあまり使われなくなりつつある
【ストーリー】
湖のほとりで英理を見付けた蘭は、思わず駆け寄ろうとするが、英理は大声で蘭を止める。どこからともなく銃声が聞こえたかと思うと、英理が地面に倒れこんでしまう。
そんな夢の中から焦るように抜け出した蘭は不安になり、英理に電話をかける。
それを笑う英理だが、蘭が「夢で見た母は今より少し若く見えた」ということを伝えると、何故か英理は表情を曇らせる。
一方、コナンは少年探偵団と航空博物館に向かうことになり、阿笠を待つ間、歩美は占いのゲーム機でコナンとの相性を占う。表示された結果は「Aの予感」だった。。
その日の夜。蘭は両親の別居を終わらせるお膳立てとして、小五郎と英理の知り合い・沢木公平がソムリエとして勤めている料理店へ英理を食事に誘う。
思い出の料理店で食事をするうちに良い雰囲気になる両者だったが、小五郎のふとした行動で英理は機嫌を損ねてしまい、食事はお開きに。
数日後、公園でジョギングをしていた目暮がボウガンで襲われる事件が発生。
そのすぐ後で英理が毒薬入りのチョコを口にして倒れ、更には阿笠も襲われ負傷してしまう。
各現場には
トランプを暗示する証拠品が置かれており、一連の犯行は「小五郎に関わりがあり、名前に数字が入っている人物」が標的になっているという事も判明する。
警察は小五郎に恨みを持つとされる、仮出所中の元カード賭博のディーラー・村上丈を最重要容疑者と断定し、彼の行方を追う。
次に襲われる可能性のあった「10」に該当する人物・辻弘樹の元を訪れて警護に当たるが、彼がヘリを操縦していた時に目に異常が発生し、ヘリはコントロールを失ってしまう。
危うく墜落しそうになるが、同乗していたコナンの活躍によって回避され、大惨事には至らなかった。
その後は「9」に該当する人物が思いつかずに、先に「8」の人物である沢木の元を訪れる。
沢木はこの後、海上娯楽施設・アクアクリスタルに出かける予定があったようで、そこのオーナーである旭勝義の名前に「9」が含まれている事が判明する。
小五郎は旭と少しながら面識があった事から次に彼が狙われると考え、一行は沢木と一緒にアクアクリスタルへと向かう。
そこには旭の招待を受けた客が5人もおり、全員の名前に数字が含まれていた。
一行は目暮の指示を受けて警戒するが、遂に最初の犠牲者が出てしまう……!
【事件関係者】
車を用意しろ!この女と地獄の果てまでランデヴーだ!!
元
トランプ賭博のディーラー。35歳。
左利き。
「ジョーカー」の異名を持つ一匹狼のディーラーだったが、10年前に殺人を起こした事で逮捕される。
最近まで米花刑務所に服役していたが、1週間前に仮出所して以降、行方不明となる。
かつて所轄で取調べを受けていた時に上記の名言を言い放ち、逃走を試みた事があるが、所轄署の刑事だった小五郎に左肩を撃たれて失敗。
その事から小五郎に恨みを持ち、復讐として小五郎の関係者を次々と狙っていると警察は考えているが……
CV:
内海賢二
カメラマン。45歳。「6」。
東都航空記念博物館でヘリの撮影を行っていた時に探偵団と出会う。
ヘリコプターの写真を撮っている際に元太が反応した時には、写真を撮って笑顔で返していた。
豪快な性格で、コナンの事を「小僧」と呼んでいたが、コナンはそう呼ばれる事を嫌っている。
だがカナヅチである仁科の手を引っ張りながら海中を泳ぎ脱出を試みるなど男気あふれる人物でもある。
以前「殺人犯の肖像」という写真集の仕事を手がけた時に村上と顔を合わせるが、特にトラブルはなかったらしい。
アクアクリスタル内部で殺人事件が発生した際、唯一カメラを所持していた為、遺体の写真を撮っていた。
当然目暮に「写真は慎んで下さい」と窘められるが、
「外部と連絡が取れない上に他の警察もすぐ駆けつけられない為、目暮が現場検証をする事から死体をいじる前に証拠写真を撮っておく必要があるのでは」と反論。
目暮から「脱出後にフィルムを警察へ必ず提出すること」を条件に許可された(宍戸自身もこれを快諾している)。
CV:鈴置洋孝
エッセイスト。37歳。「2」。
少々キザな性格だが、女性ファンも多い。
最近では「パリのレストラン」などの料理関連の本を書いているが、エッセイストになる前は犯罪ルポライターとして活躍していた。その時に村上の事件を取り上げた事がある。
グルメエッセイストとして知られてはいるものの実際には味覚はそんなに鋭くなく、
奈々がブラインド・テイスティングの勝負の為に持参した
ワインの銘柄も外して大恥をかいてしまう。この時の言い回しは「洞窟の味」と言って高いワインと安いワインを間違えたトレンディ俳優を思わせる。
水が苦手で泳げないため、レストランへ移動する
モノレールに乗っている際にも冷や汗をかいていた。
海中レストランが水没した際には宍戸に助けられながら脱出するが、地上に上がった時には意識不明となり……
実業家でアクアクリスタルのオーナー。62歳。「9」。
小五郎とはペットの猫探しを依頼された程度の関係であった。
都内にある十数件のレストランの経営に携わっており、近々、東京湾に海上娯楽施設・アクアクリスタルをオープンする予定でもある。
高級ワインの収集家でもあるが、その管理は杜撰(沢木に室温の高さを指摘されている)。
オープン前に客人を数人招待するが、その後にアクアクリスタルの水槽の中で遺体となって発見される。死因は不明だが、外傷が見当たらなかったことから溺死あるいは絞殺と思われる。
なお、当作品の事件関係者の中で唯一台詞が無いので担当声優もいない。
CV:岡本麻弥
人気モデル。21歳。「7」。
宍戸とは顔見知りで「先生」と呼んでいる。高飛車な性格で車の運転もかなり荒っぽい。
3ヶ月前に
携帯電話のながら運転による前方不注意が原因で
バイクを転倒させてしまう事故を起こしているが、介抱せずに怖くなってそのまま走り去ったらしい。
招待客の中で唯一プレゼントとしてフランス製の高級マニキュアを受け取っていたが、それには夜光塗料が仕込まれていた。
そのマニキュアを使い、コルクにネコ(
タヌキ?)の絵を描いて面白がっていたが、後の停電の際に夜光塗料を目印にされ、犯人によりナイフで背中を刺され殺害されてしまう。
CV:谷口節
プロゴルファー。36歳。「10」。
小五郎とはプロ・アマゴルフの時に知り合い、その時に彼にサイン付きの写真を贈っている。
自家用ヘリを所有しており、休日によく操縦している。
何かを運転・操縦する時には目薬をさす習慣があるが、ヘリを操縦する前にさした目薬がビタミン剤から虹彩炎用の散瞳剤にすり替えられていた為、
その薬の作用で光を眩しく感じ目が開けられなくなる。
危うくヘリが墜落しそうになるが、コナンの活躍で何とか助かった。
だが虹彩炎用の散瞳剤は10日~2週間ほど瞳孔が開きっぱなしになるため、出場する予定だった全米オープンをやむなくキャンセルする事となる。
なお、彼が「ラ・フルール」に連れてきた女性2人の声を担当したのは漫才師の海原やすよ・ともこである。
CV:
中尾隆聖
仏料理店「ラ・フルール」のソムリエ。36歳。「8」。
小五郎や英理が若い頃からの知り合いで、温厚な性格。ファンからは沢木さんの愛称で親しまれる。
ソムリエとしての実力は高く、奈々の持ってきたワインの銘柄をブラインド・テイスティングで見事に当てている。
プライド・テイスティングの際銘柄を外した仁科がただ飲んで味を確かめたのに対し、沢木はワインの色や香りを確かめて当てているのがよくわかる。
山梨にある実家では果樹園を経営している。ワイン蔵には数百本のワインが貯蔵されており、自宅のワインクーラーにも高級ワインを数本保管している。
中でも「シャトーペトリュス」はお気に入りだったが、飲み頃になる前に我慢できずに飲んでしまったらしい。
また、いつか自分の店を開く事が夢だと語っていたが、現在の店を辞めて山梨の実家にいる両親の面倒を看なければならない為、その夢は諦めているらしい。
旭からレストランの経営を任されるが、その誘いを前述の理由で断るためにアクアクリスタルを訪れる。
アクアクリスタルのワインセラーに仕掛けられていたボウガンの矢で狙われるが、コナンが罠に気づいたおかげで回避できた。
CV:アンディ・ホリフィールド
ニュースキャスター。40歳。「4」。
クラブ「十和子」の常連客で、小五郎が張り込んでいた時に豪遊する姿も目撃されていたが、素顔は冗談好きで陽気な外国人。
報道に携わっているからか、目暮と白鳥を一目見た途端に警察関係者だと見抜いた。
ワインを口にして苦しむという悪ふざけをする事もあったが、率先して脱出口の捜索を手伝う・コナンと共に海中への脱出を試みるなど正義感は強い。
苦しんだフリのシーンは予告でも使われており、本編を見て拍子抜けした観客は多かったと思われる。
後に原作でも『集められた名探偵!
工藤新一vs怪盗キッド』でハードボイルドな探偵が同様の悪ふざけをしている。
余談だが、フォードは劇場版において最初の外国人ゲストキャラでもある。
CV:一城みゆ希
銀座の高級クラブ「十和子」のママ。32歳。
名前に「10」が入っている小五郎の知人という事で警察にマークされていたが、事件とは無関係だった。
中の人は後に
ジョディ先生を演じる事に。
【レギュラー陣】
ご存知主人公。
新一だった頃にやっていたヘリの模擬操縦と射撃訓練の経験が、今回の事件で大いに役立つ。
沢木の自宅でシャトーペトリュスの名を聞いた際には「『ナイル殺人事件』でポアロが飲んだワインだ」と興味を示していた相変わらずの推理
オタク。
作中で「ボクの名前に数字は入ってないから」と言っていたが、実は「戸」の字に残った「1(一)」が含まれている。
(字の分解や読みでも該当していたことを考えれば、「江」のサンズイも「3」に該当すると言えるかもしれない)
また、『二十年目の殺意 シンフォニー号連続殺人事件』で描かれたように、「川」も見ようによっては「3(三)」に当てはまる。
ご存知平成のホームズ。
名前に「1」が含まれている事から、最後の標的は彼だと思われたが……?
ご存知蘭姉ちゃん。
今回の事件で両親の別居の真相を知る事となり、小五郎の事を信じられなくなる。
だが新一に電話で……
……と言われた事で10年前の事件と小五郎を見つめなおす。
ご存知迷探偵。「5」。
今作では周囲の人々が命の危機にさらされるため、シリアスに徹しているシーンが多い。
だが高所恐怖症なので、ヘリに乗った時にはいつもの小五郎っぽくなっていた。
まだ刑事だった頃、村上を取り押さえようとした時に拳銃を発砲し、その弾が人質になっていた英理に当たってしまった事がある。
それが原因で英理と別居し、責任を取るために刑事を辞職したとされているが、真相は……?
ご存知法曹界のクイーン。妃=クイーン(Q)で「12」。
本名は毛利英理だけど
10年前の人質事件で負った傷跡が、今でも左大腿部に残っている。
その事件以降に別居し、敏腕弁護士として法廷で活躍するようになる。
事務所に送られてきたチョコを小五郎のお詫びだと思い口にしたところ、それに仕込まれた毒によって倒れてしまう。
幸い即座に違和感を感じて吐き戻したことと、すぐに救急搬送されたことで大事には至らなかった。
ご存知天才発明家。「11」。
本名は既に原作第1巻の時点で判明していたが、この作品で知った人のほうが多いかもしれない。
玄関のドアの窓ガラスを割られ、不用意にドアを開けたところをボーガンで撃たれ、矢が臀部に刺さって負傷する。
パジャマはクマさん柄。
ご存知純真小学生。
何故か一昔前の恋愛用語である「A」の意味を知っているような節がある。
ご存知探偵団団長。
こちらは「A」の意味を知らずに、「
エビフライ」の事だと解釈していた。
更に阿笠が襲われた際、「犯人が乗っていた黒のオフロードバイクを探して欲しい」とコナンから頼まれると「黒のお
風呂屋さんのバイク」と勘違いしていた。
ご存知天才小学生。
今作では劇場版恒例のダジャレクイズの出題を担当。
ご存知蘭の親友。
最初のほうに少しだけ登場。
仁科のようなタイプが好みらしい。
逆に「女には興味がない」と言い、乱暴な運転をしていた奈々には不快感を露わにしていた。
ご存知警部殿。「13」。
ジョギングをしていたところをボウガンで撃たれ、右脇腹を負傷。
病院では頑なに帽子を外そうとしなかったが、その理由は後に『封印された目暮の秘密』で明かされることとなる。
快癒してからはすぐに現場に復帰し、今回の事件の犯人を追う。
今作で初めてフルネームが設定された。またコナン=新一も入院していた病室の名札を見て「へぇ~、目暮警部の名前 十三って言うのか」と言っていた。
前作では怪しい雰囲気の容疑者だったが今作からレギュラー入りした警部補。「3」。彼のフルネームも今作から設定される。
10年前の人質事件の真相を蘭に教える。今作でワインに精通している事も判明した。前作で犯人扱いされた恨みもあるのか、小五郎に対して懐疑的に接する。
射撃の腕はからきしで、銃を構えた時には声が裏返っていた。
英理の秘書。今作が初登場。
今作ではチョイ役で名前もまだ付けられておらず、エンドロールでは「秘書」という名前でクレジットされていた。
後に原作にも出演。
余談
- タイトルに数字が含まれるのは本作が初めてである。
- 本作では名前に数字が入っている人物が次々と襲われるため、「2」に該当する人物として服部平次を出す案もあったようだが、諸事情があってボツになったらしく、平次の劇場版デビューは次回作『世紀末の魔術師』まで待ち越しとなった。
追記・修正は、名前に数字が含まれている人にお願いします。
最終更新:2024年11月20日 01:34