ショータ(ポケモン)

登録日:2016/08/14 Sun 22:42:30
更新日:2025/08/06 Wed 07:37:10
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「経験値いただきました」


アニメ『ポケットモンスターXY』及び『ポケットモンスターXY&Z』に登場したポケモントレーナーであり、サトシの新たなライバルの一人である。



本編より先に第3期のOPのラストの部分で登場した。
本編に初登場したのは64話。僅かな出番だったがジムリーダーシトロンと対戦している姿が見られた。

ホウエン地方出身だがカロス地方を旅し、カロスリーグ出場を目指している。

73話にて再登場すると同時にサトシとも初めて対面。ここから本格的にサトシ達と関わっていくことになる。

性格は真面目で礼儀正しい。
また「経験値いただきました!」が口癖で、バトルの勝ち負けにかかわらず自分自身の経験に生かす努力家な一面も。
バトルで学んだことは所持しているメモ帳にきちんと書き残しており、スケッチの腕もなかなかのもの。
ちなみにメモ帳にはダイゴさんのサイン入りの写真が挟まれている。
甘いものが好物で、セレナの作ったお菓子を絶賛していた。


バトルスタイルはサトシとは対照的に、冷静に相手を分析し的確に攻略法を見出す戦いを得意とする。
しかしサトシの『常識にとらわれないバトル』に憧れてからは、自身も独特な発想のバトルスタイルを付け加えている(ティエルノ曰く「匂いが似ている」とのこと。)

より多くの戦い方を学ぶため、サトシのみならず他のトレーナーのバトルもきちんと調べたりしている。

そして彼の最も特筆すべきは彼の成長速度である。
サトシと出会った最初の頃は、サトシ戦に備えてジムに戻ったシトロンにも挑戦していたが、歯が立たなかった。
フェアリータイプ相手にドラゴンタイプの技を繰り出す*1
バトル中に技が外れただけで動揺した挙句、バトルの最中にメモを見ようとして大きく隙を見せる等、知識や経験の浅い駆け出しトレーナーではあった。

しかし、サトシのバトルに激しく感銘を受けてからはサトシに追いつこうと必死に努力をしてきた。
その結果、徐々に実力の差が埋まっていき、XY&Z26話ではサトシより先にジムバッジを8個集めきっていた。
初めて出会った時点ではショータが1個なのに対してサトシが5個だったので、相当なスピードでジムバッジを集めていたことが感じられる。
もっとも、もっとすごいスピードでバッジを集めきった猛者もいるのだが……

しかし自分に憧れる後輩が、猛烈な勢いで差を埋めてきたことで、サトシの中では「追い抜かれてしまう」ということへの焦りと恐怖が生まれる。
サトシがその不安に苛まれる中で行ったバトルでは、不調とはいえサトシを終始リードしたまま追い詰めるほどの強さを見せつけ、動揺した彼についに勝利して自信をつける。
さらにサトシはエイセツジムでも精彩を欠いたバトルを続けて敗北。ショータはカロスリーグに備え、最終調整のためにサトシ達と別れることにした。
その際、サトシが本調子でないことは感じ取っており、必ず立ち直ってリーグにたどり着くと信じて、本調子のサトシとの決着の為に準備を進めた。
この際に心が折れて泣き言をいうサトシを叱りつけるセレナのシーンは、XY本編を通してもよく語られる名シーンのひとつ。サトシはセレナの激励を受けて立ち直り、自分のバトルスタイルを取り戻していく。

待ちに待ったカロスリーグ準決勝で、遂にサトシとショータがぶつかる。
晴れ舞台で憧れの存在の本調子を前に、ショータも徹底したサトシ対策を敷いて挑んでいく。
対人読みや心理戦も仕掛けつつサトシのポケモン達の長所を徹底的に削ぐ戦法でカロスリーグ準決勝でも激戦を繰り広げたが、接戦の末にサトシの全力を受け止めきれずに敗北した。
悔しさを噛み締めつつサトシとの再戦の時や更なる成長を遂げる為に学び続ける決意を固め、決勝戦を迎えるサトシの応援へと気持ちを切り替えた。

新無印ではマスターズトーナメントを観戦するトレーナーの一人としてティエルノ、サナトロバと共に再登場
……したのだが、カロス地方出身の他三人に巻き込まれてショータまでカロス地方のトレーナーであるかのような扱いに。まぁXY編以外で出てきてないし……。
応援していたのもダイゴではなくカルネであった。


おそらく初登場の時点では「シトロンがちゃんと仕事をしている」ということを示すだけのモブで、これまでライバル枠を兼任していたシトロンの役割を引き継いだキャラクターを出す際、
「これまでピカチュウの声ばかり吹いていた人にあえてトレーナーをやらせてみる」
という目論見で抜擢されたもの。XYシリーズは「これまでのポケモンファン」に対するちょっとビターやメタな展開が多かったが、その一環と思われる。
ただしそのせいで、「ホウエン地方でもらったキモリをバトルさせる(≒ほぼ初心者トレーナー)」が、各地のライバルを制し、特にサトシとは別の方向性で優れたライバルにまで並ぶほどの成績を見せるという、
「才気あふれる後輩に焦る先輩サトシ」を描写したいから生まれたキャラとはいえ、いくらなんでも不自然な早熟キャラになってしまった。サトシはキモリをジュカインにするまでにどれだけかけたと思ってんだよ!

また、ディケンズのクリスマス・キャロルの精霊みたいな話になるのだが、
「サトシの一歩先を行き続ける」優等生ライバルとしてシゲルが、
「サトシとは平行した別の道を歩む」同年代ライバルとしてシンジがいるように、
ショータは「サトシの後から追いかけてくる」という後輩枠のライバルとしてうまく差別化ができている。
そして厭味ったらしかったシゲルや協調性が微塵もないシンジと違い、自分を慕ってくれる上に一切の悪意がないというショータの言動がむしろサトシにプレッシャーを与えていくようになる。

憧れの人に勝ちたい、勝って自分も強くなったと知ってもらいたい、という気持ちで強くなるのはだれしも経験があることだが、それを追い上げられる側から描く作品というのは実はかなり珍しかった(あったとしても準レギュラーを使い敗北で世代交代を示す程度にとどまる)ことから当時精神的に熟しつつあったオタクから人気が出る。そもそも勝つために不当なレベルの対人メタまで張るのは勝負事あるある*2
そしてショータを下す際のサトシとショータの独白は、かつてのポケモンキッズたち、それこそ「ポケットにファンタジー」あたりをリアルタイムで聞いた世代、大人になることで幾多もの個人的な熱い勝負の経験を持った者たちに、共感できるものをこみあげさせたものである。
好きか嫌いかは別問題として、このキャラクターの勘所が分かって初めて「精神的に大人になった」といえる、人生経験のリトマス試験紙みたいなキャラクター。

ただしあくまで人生経験を積んだから分かるという、イカの塩辛みたいなキャラクター。ポケモンのメイン顧客となるちびっ子たちにはあまり評判がよくなかった(セレナの激励のシーンなどは「うじうじ悩むサトシが嫌い」という感想になる)ため、
アローラ編のライバル枠となるカキは「ノリのいい同級生」、グラジオは「コロコロコミックで人気が出るタイプのクール系ライバル」になったのだった。
良くも悪くも結構濃い口の味付けかつ、先輩になったサトシを負の側面から鋭く描くためのキャラでもあるため、好き嫌いはシンジ以上に分かれるだろう。


シューティ?バトルシューターのことかな?


【ショータの手持ち】


何気に「ゲーム本編では覚えられない技」を覚えているポケモンが多い。

ショータがホウエン地方でオダマキ博士からもらった最初のポケモンにしてショータのエースポケモン。
チャンピオンのダイゴさんに会ったとき、キモリの最終進化系のジュカインはメガシンカすることを聞かされる。
以来ショータはキモリをメガジュカインにすることを目標の一つとしていた。
ミアレジムに挑んだ際には返り討ちに遭ったものの、シトロンの目から見ても高い資質を持っていた。
余談だが、ミアレジム戦では何故か本来覚えるはずのない「はっぱカッター」を覚えていたらしい。たぶんアドリブが裏目に出たやつだ……

サトシのゲッコウガとはゲコガシラ時代からのライバル関係で、幾度となくバトルを繰り広げてきた。

高速の接近戦で相手を圧し、フェイントで攪乱後に背後の死角から攻撃するコンビネーションを愛用するサトシのポケモンに対して、ジュプトル時代は全く反応出来ずにやられていた。
しかし、接近戦を封じる為に遠距離攻撃で牽制し続ける、攪乱を完全に無視、前を向いたまま翻弄されてるフリをして相手が仕掛けてきた瞬間にのみ注意して迎撃、といった対策をショータが立てて鍛え込んだことで戦力差は一変。
ジュカインに進化した頃には、サトシが不調とはいえゲッコウガを完封するまで成長していた。

カロスリーグの頃には、ティエルノのポケモンですらついていけない速さを身に着け驚異的な威力の「ハードプラント」で遠距離攻撃も強化。
メガシンカまで可能になったことでリーグ屈指の強力なポケモンとなった。
メガストーンは、ポケダンのようなスカーフ状で首に巻いている。

準決勝でのサトシのゲッコウガとのバトルでは、本当の彼らの全力と衝突。
これまでに類を見ない程、激しいバトルを繰り広げ、接近戦を仕掛けるのは着地狩りだけで遠距離戦で寄せ付けず優位に立つ。
しかし、サトシゲッコウガが繰り出した「かげぶんしん」を合体させた超巨大水手裏剣の前に、全力の「リーフストーム」も押し切られ惜敗した。

バトルシーンの作画はかなり気合が入っており、たびたび「作画の進化の歴史」と称した動画がSNSでバズる。


使用技
はっぱカッター/タネマシンガン/やどりぎのタネ/リーフブレード/りゅうのはどう/リーフストーム/ドラゴンクロ―/ハードプラント


73話にて初登場。
この頃は、「ずつき」を繰り出そうとした瞬間にピカチュウに「でんこうせっか」で吹き飛ばされたり、まだまだ未熟だった。
ただし、かなりの石頭であり、ルチャブルの「からてチョップ」を弾き返すほどの強度。

XY&Z13話ではコモルーに進化していたが、アバンタイトルの時点でルチャブルの「フライングプレス」にやられてしまっていた。
カロスリーグではボーマンダに進化しており、「やきつくす」による火球の連射で相手を牽制しつつ回避ルートを制限して懐に飛び込んだ相手を
「ドラゴンテール」で迎撃したり、「ドラゴンダイブ」で突き放す戦法を得意とする。
まもる」も完備した強力な空戦用ポケモンに成長し、オンバーンと激しい空中戦を繰り広げた末に相討ちになった。

使用技
ずつき/りゅうのいぶき/ほのおのキバ/ドラゴンクロ―/ドラゴンダイブ/やきつくす/ドラゴンテール/まもる


75話で初登場。ショータが紛失したメモ帳を探すために呼び出された。
ゲームでは覚えることのできない「エレキボール」を使用したこともある。
ゲーム的に見ると、ショータの強力な手持ちの中では種族値で見劣り場違い感すらあるが、
ショータは相手に応じてこのポケモンの技を多彩に変更する。

みずタイプがメインで、独自のダンス戦法で相手を翻弄するティエルノには、くさタイプ技の「エナジーボール」と相手のリズムを崩せる「メロメロ」を。
物理攻撃が多く接近戦が得意なサトシとのバトルでは、遠距離で牽制し易い拡散放射攻撃の「マジカルシャイン」と、相手を突き放す「ようせいのかぜ」、
そして火傷で打撃力を落とせる遠距離技の「かえんほうしゃ」に物理技を軽減する「コットンガード」に変更。
さらに、遠距離技を相殺する相手には煙の中から驚異の嗅覚で相手を見つけ出し、次の攻撃を放つ。
全く異なる戦術と技を使いこなすマルチプレイヤー。ショータの分析力が見て取れる初期からの相棒である。

カロスリーグのティエルノ戦では、ティエルノの主軸ライチュウを「メロメロ」で抑制するが、カメックスに実力負け。
サトシ戦では、(ゲーム上では割合ダメージだが)対サトシの分析を活かして、「コットンガード」で防御力を上げつつ時間を稼いでヌメルゴン得意の「がまん」をやり過ごし、息を尽かせぬ遠距離技の断続的放出で動きを封じるが、耐え抜いたヌメルゴンによって引き分けに持ち込まれた。

使用技
エレキボール/エナジーボール/メロメロ/かえんほうしゃ/コットンガード/ようせいのかぜ/マジカルシャイン


XY&Z13話で初登場。
ピカチュウの「アイアンテール」と「れんぞくぎり」の打ち合いを繰り広げるが、最後は「10まんボルト」を受け敗北。
26話ではニダンギルに進化していたが、オンバーンとの激しいバトルの末、爆煙で視界不良の中、超音波による探知で先手をとられて敗北。

カロスリーグではギルガルドに進化しており、「キングシールド」でティエルノやサトシを苦しめた。
ティエルノ戦では、先手を取られて攻撃を被弾する場面があり、出だしの遅さに不安があったポケモンである。
しかし、サトシのピカチュウとのバトルでは、森林のフィールドを一気に伐採して木片をまき散らし、
ピカチュウの機動力を削ぐ戦法で問題を解消。先手を取り続け、優位に立つ。

しかし、シトロンとのバトル等で技の発動の一瞬の隙を見極めてきたサトシは、「キングシールド」を発動する為にしなければならない納刀の時に隙ができる事を見出す。
木片を打ち上げてそれを足場に素早く移動し、死角から攻撃する素振りを見せて「キングシールド」を誘い、その絶妙なタイミングで木片を投げ飛ばして盾に挟み込む事で「キングシールド」を封じるという離れ業を披露。
ギルガルドはそのまま身動きがとれなくなり、「10まんボルト」の直撃を受けて敗北した。

余談だが、このピカチュウVSギルガルドは、サトシとゲッコウガが完敗したバトルの雪辱を晴らした一戦である。
先述の通り、高速で動き回って攪乱した後に死角から攻撃する、得意のコンボを破られて以前のサトシはショータに負けた。
そこで、ショータが「振り向かずに最速で迎撃出来るようポケモン達に教え込んでいる」ことを逆手にとったからこそ、ピカチュウの木片投げが成功した。
ある意味サトシが、ピカチュウの力量だけでなく、ショータ(敵)の力量も信じていたからこその応酬である。この辺もまた、勝負事の醍醐味が表れた応酬。
そして「この奇策こそ憧れていたサトシだ、次の一手が読めない」という驚きや期待とともに、「憧れだった人が自分をそこまで信じてくれていた」ことに嬉しさを感じるという描写まで詰め込んだ、脚本の妙が光る名シーンである。

使用技
れんぞくぎり/きりさく/つじぎり/てっぺき/せいなるつるぎ/つるぎのまい/キングシールド


Z編26話で登場した新入り。最初から進化した状態で登場した。
サトシのオンバーンを倒し、続くルチャブルをも倒すというかなりの実力を持つ。
登場当初はゲーム内では味方のみ回復させる「いやしのはどう」で自分も回復、というアニメならではの特異な使用法を見せていた。

その後、カロスリーグでは、「アクアジェット」を修得。
ショータが教え込んだ「アクアジェット」による縦横無尽な高速飛行と、強力な波動や「れいとうビーム」をまき散らす凶悪なポケモンと化し、ファイアローの空戦能力以外で対抗出来るか怪しい危険な相手だった。
そのファイアローも、「れいとうビーム」で僅かに凍らせて「ニトロチャージ」で溶かすよう誘導し、強制加速で旋回性が落ちた隙を「アクアジェット」で迎撃して破った。
ピカチュウ戦では、森林のフィールドの障害物を利用して「アクアジェット」を封じつつ、時折飛び出し奇襲を仕掛けるピカチュウの攻めの前に、紙一重の所で敗北した。

使用技
クラブハンマー/いやしのはどう/りゅうのはどう/れいとうビーム/アクアジェット/みずのはどう


カロスリーグ準決勝のサトシ戦にて初登場。
準々決勝以前に、このケッキングと思しきポケモンがチャーレムを遥か彼方に殴り飛ばしている様子がテレビで放映されていた。
「休んでるフリをしてエネルギーを蓄え、一気に反撃に出る」という生態のポケモンなのだが、
このバトルスタイルは「敵の猛攻を耐え凌ぐ事でテンションを上げていく」「最後はキメ技で倒したがる」というサトシのルチャブルにとって、自身の調子を上げにくい難敵だった。
それでも決して生半可ではないルチャブルの攻撃を、驚異的なスタミナで耐え抜く。
ついに焦れたサトシが、必殺だが隙が比較的大きい「フライングプレス」を指示した瞬間、予定通り「カウンター」で返り討ちにし、「サトシのルチャブル」対策としての役目をしっかり果たした。
しかし、やはりタイプ相性上苦手なタイプの攻撃だったためか、「なまける」でも回復し切れない程にダメージが蓄積してしまい、ファイアローに圧し負けた。

使用技
アームハンマー/なまける/カウンター



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最終更新:2025年08月06日 07:37

*1 これ自体はXY世代で新設されたタイプであり、特に第5世代以前をプレイしていた人が新しくポケモンを始めた際のあるある。そしてXY編は「これまでポケモンのファンでいてくれた人」をターゲットにしているため、これは親御さんあたりに向けたスパイスだと思われる。分かりやすくするんだったらノーマル・かくとうをゴースト相手に撃つだろうし。ピクシー相手にインファイトやりゅうせいぐんを出すのは、今でもポケモンと距離を置いていた人がやりがちな定番のミス。

*2 これ自体は物語やゲームに限らず勝負事では結構あるあるネタで、たとえば日本野球の90年代を代表する名選手・古田敦也は日本シリーズでイチローを下す際、「阪神大震災の復興の精神的シンボルであるイチローは、被災地を元気づけるために間違いなくホームランを狙ってくる」という読みまで使って対策を行ったことを自身のYoutubeチャンネルで告白している。