パワーボム(プロレス技)

登録日:2011/10/29(土) 23:03:32
更新日:2024/10/06 Sun 12:33:36
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『パワーボム(Power Bomb)』とは、プロレス技の一種。
所謂ボム系と呼ばれる代表的な大技であり、豪快、且つ派手さと破壊力を併せ持つ立体技として知られている。

【概要】

プロレスが、それ以前のグラウンド主体の攻防から殴り合いやロープワークを主体としたスタンディングでのスピード感のある攻防が主体となった、
80年代のプロレスが生み出した立体剛技。
最初にこの技に“パワーボム”と名付けて使用し始めたのは“人間魚雷”テリー・ゴディであるが、
そもそもの原型となったのは“20世紀最強の鉄人”ルー・テーズの使用していたハイアングル・バックスラム(元祖パイルドライバー)である。

この技を、テーズが若手時代のゴディに伝授。
ゴディが自分の恵まれた体格に併せてアレンジを加えて誕生させたのがパワーボムであったのだ。
ゴディは初来日となる全日本プロレスで、この技を天龍源一郎に炸裂させて強烈な日本デビューを果たすと共に、
パワーボムの威力を知らしめ、一瞬にしてトップ外国人レスラーへと登りつめている。

日本人で、パワーボムの元祖となったのは、その天龍源一郎で、天龍は恵まれた体格を活かして吊り上げた相手を垂直落下させるゴディ式に対して、
相撲の股割きの技術を応用してスタンスを取り、相手を勢いよく引っこ抜いて背中から叩き付けておいてから体重をかけて押さえ込んでいくスタイルを生み出した。
……以降は、この天龍式が基本形となりマット界に根付いて行く事となった。


【技の詳細】

対戦相手を正面からお辞儀をさせる様な態勢から抱え込み(所謂がぶりの態勢)、そのまま自分の目線の高さ辺りまで持ち上げた後で、相手の後頭部から背中にかけての部位を勢いを付けて一気にマットに打ち付けて行くのが基本形。
技を「受ける」事が前提となるプロレスだからこそ許されている危険な投げ技であり、
柔術や総合格闘技では“バスター”と呼ばれ、禁じ手扱いを受けている場合すらもある。
相手を叩き付けた後に、更に肩口から首を押し付ける様にして抑え込むのも基本だが、
この型を考案した天龍曰わく「二人分の体重を掛ける事で、首が破壊されてしまうんじゃないか?」と云うプレッシャーを与える事が目的なのだと云う。
因みに、天龍自身はフィニッシュとして押さえ込みを重視していたが、
その後はより高く相手を持ち上げてから叩きつける事に主体を置いた型が開発された後に流行しており、
格闘ゲーム等でも見映えの良さから、こちらの系統が登場する事が多い。
元々の形が単純である為か、持ち上げ方や叩き付け方にアレンジが加えやすく、非常にバリエーションが多い。

また、技の系統としては、同じクラッチから勢いを付けずに相手を逆様に持ち上げて固定した後に垂直に脳天を打ちつけるドリル・ア・ホール・パイルドライバーや、
低空ながらも、ほぼ同じ動きを見せる欧州発祥の丸め込み技であるスタンプホールドの発展型とも言えるであろう。


【主なバリエーション】

■通常型

上記の通り。

■投げっ放し式

現在の主流。
叩き付けるのみの型。

■ハイアングル式

高角度式。
相手を完全に垂直になるまで持ち上げてから落とす。

■シットダウン式

尻餅式。
相手を落とす際に尻餅を付く事で更に落差を加える。
この型の元祖となったのはライガーボムだが、厳密には別の技である。

■ゴディ式

元祖式とも。
元は変形パイルドライバーと呼ばれていた通り、相手を逆さまに吊り上げておいてから上から押し潰すように叩きつけて押さえ込んでいく。
天龍がパクった後は、ゴディも持ち上げてから勢いをつけて振り上げ背中から落とすようになった。
勢いを付けるために、落とす際に両膝か片膝を付く様に落差を付けることもあり、この膝をつくのがゴディ式として採用しているゲームもあった。
両膝をつける型は真壁刀義や森嶋猛が使用。

■連続式

餅つき式とも。
相手を叩き付けた後に、再び持ち上げてから落とす。
相手の協力も必要となる見映え重視の技。

■ラストライド

超高角度式。
相手を垂直に持ち上げた状態から更に腕を万歳する様に伸ばし、相手を自分の頭よりも高く釣り上げてから落下させる。

■ビルディング式

シットダウン式のラストライド。

■ジャックナイフ式

通常式からジャックナイフホールドで押さえ込む。
全日四天王時代の小橋がよく使っていたが、それ以外に目立った使い手は現れなかった。


【代表的な使い手】

《実在の人物》

相手を正面から抱え上げた後に、鋭角にマットに投げ捨てたのがバックスラム。
弟子の蝶野正洋が似た技を見せた事がある。

  • テリー・ゴディ
元祖パワーボムの使い手だが、体格に恵まれているからこそ可能で危険度の高いゴディ式は独特過ぎて使用者が少ない。

日本人では元祖の使い手。
天龍は余り高く持ち上げずに、押さえ込みを重視していた。

天龍式を進化させた全日四天王の一角。
高角度で叩き付けた後に、自分の体を預ける様にして全力で押さえ込むのが特徴。
ライバルの三沢戦ではウラカン・ラナを耐えた末に垂直落下式(ゲーム媒体では「三冠パワーボム」と呼ばれる事もある)を見舞っている。
現在では、この垂直落下式パワーボムが上記のゴディ式に似ているとのことから海外では元祖ボムと分類されていることも。

アメトーーク」でもお馴染みの越中は高角度式の元祖。

名称こそドライバーだが、タイガードライバーは、数々の変型ボムの元祖的存在である。

  • 新崎人生
拝んでから決める念仏パワーボムは一世を風靡した。

  • 大仁田厚
カナディアンバックブリーカーから膝付き式で決めるサンダーファイヤーパワーボムの元祖。
ただし、本人の使うものは後に普通のパワーボムになっていった。
ザ・グレート・サスケはカナディアンで持ち上げてから垂直に投げ落とし、くの字になった相手を押さえ込む垂直落下式サンダーファイヤーパワーボムを全盛期の決め技としていた。

ライガーボムは尻餅式の原型となった技だが、実は持ち上げた相手の両腕に空中で両足をフックしてから勢いを付けて落とすと云う、絶対的な差異のある技。

米WWEのパワーファイター。
高角度式の尻餅式パワーボムをフィニッシュとした。

米WWEの生きる伝説たる“墓堀人”は不良中年キャラ時代に開発したラストライドの元祖。
2メートル超えの身長から繰り出されるラストライドは圧巻の一言である。

全日本の“殺人医師”は俵返しの態勢から尻餅式パワーボムで落とすドクターボムを考案。現在はジェイク・リー、大岩凌平らが使用している。

  • ジャイアント・バーナード
現在の新日最強外国人レスラー。
ビルディング式の使い手だが、エプロンに相手を無造作に打ちつける事も……。

日本ではペガサスキッドの名で活躍した元WWEスーパースター。
体格はジュニアながら、驚異的な腕力から繰り出されるパワーボムを得意とした。
海外では体格の問題で使用を制限していたが、その威力は相変わらず。

90年代半ばから00年代初頭のアメプロ界の象徴たる人物。
210cmから繰り出される投げ捨て式パワーボム“ジャックナイフ”はアンダーテイカーのラストライドとは違った迫力を持つ。
ザ・ジャイアントことWCW時代のビッグ・ショーをも投げ捨てて負傷に追い込んだのは伝説。

  • マイク・アッサム
日本では主にザ・グラジエーターのリングネームで活躍した。
「アッサム・ボム」と名付けた各種のパワーボムを得意技としており、
特にコーナーポスト最上段(!)に立ってから繰り出す超高角度雪崩式パワーボム、通称「カミカゼ・アッサム・ボム」は見た目のインパクトも凄まじい必殺技だった。


《フィクションの人物》

スⅢ」の主人公
「you can't escape!」←避けられます

  • クラーク・スティル
「ランニングスリャー!!」
怒チームの投げ技担当。
元祖は女子プロレスの長与千種。

通常投げの金剛落としは、謂わば平八ボム。

  • キング
鉄拳の華、空中コンボに組み込める豪快な一撃。ランニングジャガーボム、スイング式ジャガーボム、
どちらも空中投げに類し回避不能、コマンドミスを祈ろう。

バックドロップのコピー能力で使用できる。
スマブラでも前投げ技として採用されている。

  • ジェフリー・マクワイルド
「アイウイ~ン!」
スプラッシュマウンテンも、元祖は女子プロレスのダイナマイト関西だ。
全日本プロレスの石川修司もスプラッシュマウンテンを得意技としているが、直接のインスパイア元は関西ではなくこちら。

  • ビューティ市ヶ谷
レッスルエンジェルスの登場キャラ。
ビューティボムの名前で使用する。
作品の仕様でパワーボムは高威力な反面試合序盤では滅多に使えないが、市ヶ谷のビューティボムには試合序盤から使えるバージョンがある。

  • サンダー龍子
同じくレッスルエンジェルスの登場キャラ。
プラズマサンダーボム名で使用。
モデルとなった天龍同様に押さえ込める力が凄まじい(ゲームには関係ないが)。
ちなみにもう一人のモデルは木星のセーラー戦士。

ランニング&ジャンピング式のスプラッシュマウンテンとも言えるスカイランニングストームを怪人ドロニャンゴーに対して使用。
劇中では2連発で使用しているが2発目はその辺に落ちていた岩に頭部をぶち当てている

キン肉マンに登場する超人レスラー。
マンモスマンに対してバッファローBOMBの技名で使用した。

  • 吉永さん家のママ
吉永さん家のガーゴイル』に登場。
寝起きの悪い愚息とバカ娘を起こすのに使用。牛刀割鶏。

  • 美来斗利偉・拉麺男(ビクトリー・ラーメンマン)
闘将!!拉麺男』の主人公。
最終回にのみ登場した超人一〇二芸・拉麵男暴酷(ラーメンマンボム)の技名で使用。
いわゆる倒れ込み式ジャンピング・パワーボムだが、自らは空中で半ば倒立した姿勢となり、相手の後頭部が最初に着地する。
プロレス技なのに超人レスラーの方のラーメンマンは2020年末現在使ったことがない。

  • ジャイアント
ジョイメカファイトに登場するパワー自慢のロボット
追加入力をするとジャンピングパワーボムで大ダメージを与えられる。

「恐るべき禁じ手の投げ技」と称される暗黒カラテ技。
様々な格闘技の技をニンジャ身体能力で繰り出すことができるニンジャスレイヤーだが、パワーボムを使用したのは一度きり。
しかし、その場面が壮絶であった。
犠牲となったのは、敵の大幹部の一人「キュア」。
彼女は乳白色の髪を伸ばし、喪服めいたドレスを着た小柄(150cm)な、少女めいた美女。
しかし、実年齢は極めて高齢。そのためか、激昂すると口調が「ワシ」「~じゃ」となる、合法のじゃロリババァである!!フィーヒヒヒー!!
ただし、ニンジャらしく身体能力は極めて高く、ニンシャスレイヤーとも互角の格闘戦を繰り広げる。

勝負を決そうとしたキュアは、逆向きの肩車めいて両肩に飛び乗って頸を両腿で挟み込み、ナイフを延髄に振り下ろそうとする。
つまり、「スカート姿の」「ロリババァが」「秘所を顔に押し付けるように飛び乗り」「両腿で頭を圧迫し」てくる状況である。
我々の業界でなくともご褒美な状況ヤッター!!なのだが、ナイフを回避したニンジャスレイヤーは、そのままパワーボムでキュアを地面に叩きつける。
それでも絶命しなかったキュアだが、ニンジャスレイヤーはそのまま再度パワーボムを繰り出し、キュアは爆発四散*1!!
この、色々な意味で壮絶なイクサは、読者は騒然とし、あるものは恐怖に慄くのであった…。


追記・修正はパワーボムを食らってからお願いします。

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最終更新:2024年10月06日 12:33

*1 本作では、ニンジャは死因によらず死亡時には爆発四散する