登録日:2017/12/02 Fri 22:17:00
更新日:2025/03/25 Tue 18:26:03
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ウツボとはウナギ目ウツボ亜目ウツボ科に属する魚の事である。漢字だと「魚へん」に「單」(機種依存文字のため割愛)。
一口にウツボといっても色々な種類が存在し、近縁である
ウナギやアナゴと同様の長いニョロニョロした体型こそ共通するものの、大きさや顔つき、模様がそれぞれ異なる等奥が深い魚である。
英語では
morayと呼ぶ。
目次
概要
名前の由来に関しては諸説あるが、
- 矢を入れる入れ物である靭に似ているからという説
- よく岩穴を巣にしているため、穴を意味する古い日本語である「うつほら」から名付けられたという説
…の二つが有力なものとなっている。
その他、地域によって様々な呼び名があり、「ナマダ」「キツネ」「ドロボウ」「キダコ」などと呼ばれている。
世界中の比較的温暖な海域に主に生息しており、寒い地域にはあまりいない。ドンキの入り口にもいる。
食性は肉食性であり、他の魚類を食べるが、中でも大好物はタコ。
よく図鑑やテレビ番組でもウツボとタコが死闘を繰り広げる様子がクローズアップされるが、大抵はウツボがタコをズタズタにして捕食してしまうようで、
タコにとっては死闘でもウツボの方は日常茶飯事のようだ(食事だけに)。
歯は
ナイフのように鋭く、カニの甲羅を嚙み砕くほど噛む力も強い。
その上、ウナギやアナゴ系の魚に共通する「何かに噛みつくと食い千切ろうとローリングする習性」がある為、噛まれると人間でも危険。
ダイバーや素潜り漁師等がウツボに噛まれて傷跡が残る程の大怪我をしたり、下手をすると
指を失ったりする事も珍しくない。
その恐ろしい顔つきや危険性もあってか
シャチのように「海のギャング」と呼ばれることもあるが、実は性格はそれほど凶暴ではなく、下手にからかったり、
魚を銛で刺したまま近づいたりするなど、こちらが刺激しない限りは襲ってこないという意外な一面がある。
一方で、ウツボはオトヒメエビやホンソメワケベラ、ゴンズイの幼魚といった、他の魚の寄生虫やゴミなどを食べて掃除する魚と共生している事でも知られる。
その際にあんぐりと口を開けて中まで掃除してもらうこともあるが、決して騙し討ちで食べるようなこともせず、掃除が終わるまで大人しく口を開けているのでちょっとかわいい。
更に、近年になってなんとイセエビとも共生関係にある事が判明した。
イセエビがウツボの巣にいれば天敵のタコから守ってもらえる上、ウツボからしてもイセエビがいるおかげでそれを食べようと大好物のタコが寄ってくるので
お互いの利害が一致しているのだ。
一見ウツボにとっては美味しそうな獲物にも思われるイセエビだが、いくらウツボでもさすがに硬すぎて食べられない模様。
逆に何らかの原因でウツボが死ぬとイセエビはそれを食べる事もあるが、生きているウツボを襲う事はないとのこと。
ちなみに少数ではあるものの汽水~淡水に生息する種類も確認されている。
なお皮膚呼吸ができ、短時間なら水の外に出ても活動できる。
悪そうな面構えと危険性ゆえに「海のギャング」と言われるようになったウツボだが、色々な手下を従えている辺りもギャングのボスらしいと言えるかもしれない。
その外見が気持ち悪いという人も多く、食用としている地域は少ないが、冬が旬の高級魚であり、食べると脂身があって非常に美味い。
高知県の沿岸地域ではメジャーという程ではないにしろ実際に食されており、ウツボの下処理用に服の洗濯用とは別の洗濯機をもう一台設置している家庭もあるという。
また身がかなりしっかりしているため、血合いをとるのにタワシを使うところもある。
他に
和歌山県の南紀地域、
熊本県の天草地方でも食される。
天草地方では「きだこ」と呼ばれ、ウナギの代わりに蒲焼にしたり
唐揚げにしたりする。
欧米人のダイバーはなぜかウツボを見て喜ぶ傾向がある。
魚らしからぬ見た目と、よくよく見ると可愛く見えなくもない表情が人気なのかもしれない。
鋭い牙を持つため、(特に大型のウツボに)うっかり嚙まれると大怪我をする恐れがあり、指を食いちぎられたなどのショッキングな事案もある。
海などで見かけても軽い気持ちで触ったりしてはいけないし、釣り糸を外す際なども注意が必要である。
感染症などの危険性もあるので、万が一噛まれた場合は病院を受診しよう。
種類
◆ウツボ
ご存知ウツボ科の筆頭格。色は黄色に褐色の斑で一般的にウツボと言ったらこの魚と言われるポピュラーな種類。
関東地方にも生息しているようだ。
全長は80cm。
◆トラウツボ
ウツボと聞いて上の種類の次に思い浮かべる程有名かと思われる種類。
鼻の穴が管のようになっていてオレンジ色に白い斑模様と顎が長く、
鮭のように曲がっているのが特徴。
顎が曲がっているのでナイフのような歯が常に剥き出しというかなりインパクトのある怖い顔なのだが、
その顎の構造故に口を完全に閉じることができないというちょっと可哀想な魚でもある。
全長は90㎝。
◆ドクウツボ
名前の通り肉にシガテラ毒という
猛毒を持つ種類で同時にウツボ科最大の仲間。
灰色、或いは褐色に黒い斑模様を持っており、ウツボ科最大種だけあって貫禄がある上、
ウツボ界でも1、2位を争う程非常にゴツイ顔つきでトラウツボとは別な意味で顔が怖い。
その大きさからペットとして飼育されることもあり、水族館などでもよく見かける。
全長は平均して1.5m程だが稀に3mと化け物のような個体が目撃・捕獲されることがあり、英語名も「Giant moray」とその名に恥じぬ名前である。
◆ハナヒゲウツボ
世界中の熱帯に生息しているウツボで名前の通り鼻にヒレのようなヒゲを持つ。
ウツボとしては珍しく性転換を行うことで知られ、最初は雄だが年を経ると雌になる事で有名。
また、幼少期は色が黒いが成魚になると色が青くなり、さらに成長して雌になると黄色くなる。
全長1.2mだが細長いのであまり迫力はない。
◆ナミダカワウツボ
熱帯に生息しているウツボで名前の通り河川に生息しており目の下に涙のような白い模様がある。
全長は40㎝程と小型の種類で名前にカワとはついているが実際は汽水魚であり飼育の際は塩分がないと長生きしない。
日本にも生息しているが絶滅危惧種である(すでに絶滅した可能性もあるのだとか)
◆コクハンカワウツボ
熱帯に生息しているウツボで山奥の渓流に生息している種類で先述した淡水に生息しているウツボ。
上のナミダカワウツボと違って塩分のない純淡水で飼育でき、時折入荷されるがとても珍しい種類故に結構高価である。
日本には生息していないとされていた…のだがなんと今年の3月に日本の西表島で発見され、
コクハンカワウツボという和名も付けられた。
比較的近年になって発見された為謎の多い種類だが70㎝まで成長するらしい。
アクアリウムにおいてはヤマウツボやフレッシュウォーターレオパードモレイという名で販売されている。
余談
さて、名前なら誰しもが聞いたことがある程良く知られた魚であるウツボだが謎が多い魚でもあり、どうやって繁殖しているのか、
餌をどうやって噛み千切っているのか等不明な点が多かった。
前者は謎のままだが後者は近年恐ろしい事実が判明している。
…
…
…
…
…
なんとウツボには第2の顎が存在していたのだ。
もう一度言う、ウツボには第2の顎が存在していたのだ。
一般的に魚(硬骨魚類)は喉の奥に「咽頭顎(いんとうがく)」という歯のような働きをする部分があり、獲物を水ごと吸い込んでここで咀嚼する。
しかしウツボはその長い体が災いし、「獲物を吸い込む」という機能が体に備わっていない。
そこで咽頭顎は考えた。「獲物が吸い込めないなら、俺が出ていけば良いんじゃね?」と。
かくしてウツボは咽頭顎が前後に動くよう進化し、形状も「顎」としか言いようのない形に進化した結果、
喉の奥から第2の顎が伸びてくるという
マジでエイリアンそのものな機能を手に入れたのである。
ウツボは餌に噛みつくと先述したローリングに加え、第二の顎を喉の奥からニョキニョキ伸ばして咀嚼する事でより細かく千切って飲み込む。
これがウツボに噛まれると指が食い千切られなくても噛まれた部分がズタズタにされ、傷だらけになる要因でもあるようだ。
ウツボをモチーフとするキャラ
彼らをモチーフにするキャラもいるが凶悪な面構えゆえに大抵悪役である。
そんなわけでウツボをモチーフとしたキャラを挙げていく。
ウツボの名を冠したキャラ
彼らをモチーフにするキャラを挙げたが、実はウツボの名を冠したレアキャラが存在する。
キャラ名等 |
作品名等 |
備考 |
宇津帆玲 |
ザ・ファブル |
本名は「川平浩一」。主人公が本編開始の4年前に殺し損ねた宿敵。 |
岩穴鱓之介 |
あさりちゃん |
通称うっちゃん。主人公の浜野あさりの通う桜貝小学校の校長。 |
追記・修正は穴にこもってお願いします。
- ウツボのレトルトカレーを食ったことがある -- 名無しさん (2016-12-02 22:54:34)
- 第二の顎って…プレデターかいな -- 名無しさん (2016-12-02 23:17:42)
- 訂正。プレデター→×エイリアン→○ -- 名無しさん (2016-12-02 23:18:49)
- 濱口が海に行くと高確率で食われる -- 名無しさん (2016-12-02 23:19:08)
- 仮面ライダーだと漫画版にうつぼ男、ゲルショッカーにウツボガメス、変身忍者嵐には怪魚化身忍者・毒うつぼの怪人がいる。 -- 名無しさん (2016-12-02 23:34:18)
- クラッシュ・バンディクー3で噛まれると、岩の中に引き摺りこまれて捕食されますwww -- 名無しさん (2016-12-02 23:50:36)
- 濱口さんが天敵 -- 名無しさん (2016-12-03 00:16:55)
- 濱口でなくとも普通に食材でもある(ただし地域差がある) -- 名無しさん (2016-12-03 00:29:48)
- 小骨が太いわ多いわで調理が面倒とのこと。加工業者もこれに苦労しているようだ。 -- 名無しさん (2016-12-03 00:48:59)
- シャチや鮫と違ってあんまカッコイイモチーフになり辛いのが残念な所 -- 名無しさん (2016-12-03 01:00:33)
- あんなに凶暴な見た目で他の生物と良好な共生関係をしている事実に和むwww -- 名無しさん (2016-12-03 05:31:15)
- 将太の寿司で美味だと紹介されてたな -- 名無しさん (2016-12-03 08:11:04)
- モチーフのキャラにあさりちゃんの校長先生は入る? -- 名無しさん (2016-12-03 10:02:50)
- 大型の個体になると小骨の一本一本が中サイズの鯛の骨くらいある凶器である。これをどうするかが最大の問題で職人ともなれば手探りで骨の位置を確かめて一本一本処理できるそうだが包丁があっという間に磨耗するそうで。一部ではウツボの骨の取り方は特許技術だとかレントゲンを使って位置を特定してるなんて実しやかな噂もあるくらいで。 -- 名無しさん (2016-12-03 11:49:25)
- 文章読みづら過ぎてどこから直せばいいのかもうこれわかんねえな… -- 名無しさん (2016-12-03 12:58:46)
- ドラゴンキング、ウツボだったのか。どうりで魚っぽいと思ったけどこれ+ドラゴンなのか -- 名無しさん (2016-12-03 15:46:29)
- 地元だと塩漬けの干物を細切れにしてそのまま炒めて食う。脂多めであんまり魚っぽくないけど旨い -- 名無しさん (2016-12-03 20:06:11)
- 取ったどーっ!! -- 名無しさん (2016-12-03 21:37:42)
- ハンテールェ… -- 名無しさん (2016-12-04 03:57:04)
- マリオのウツボは怖かったんだけどディープパイソンはゾーラリンクで簡単に撃退出来るからか見た目ほど怖くない。 -- 名無しさん (2016-12-04 13:15:08)
- 「いきなり!黄金伝説。」でウツボを調理してる回があったけど、味や食感は鰻のそれに近いらしい。 -- 名無しさん (2016-12-08 18:30:00)
- ニセゴイシウツボがいるのにゴイシウツボが存在しないのは、実は両者とも同じ種類でゴイシウツボとされていた奴がニセとつけられた奴の幼体だったんだっけか -- 名無しさん (2017-05-09 16:39:08)
- マリオのイメージが強すぎて -- 名無しさん (2017-10-05 17:11:12)
- 都会でもウツボが味わえる場所ってないものかな? -- 名無しさん (2018-07-14 09:47:32)
- 和歌山南紀白浜に来たらうつぼ揚煮をお試しあれ。すごく美味しいよ。 -- 名無しさん (2019-04-11 04:04:19)
- ウツボ...ウツボ...ウツボ...思う壺..。 -- 名無しさん (2020-04-12 11:33:24)
- 秋葉原のドンキホーテの水槽にめちゃめちゃデカい個体がいて不意に目があって腰を抜かしそうになった… -- 名無しさん (2020-08-10 07:41:15)
- 高知県の全国チェーンではないお店だったら割とメニューにある。ウツボのたたきとかもある。 -- 名無しさん (2021-12-01 20:41:00)
- やっぱマリオと黄金伝説のイメージが強い -- 名無しさん (2021-12-09 11:32:35)
- ↑オデッセイのシュワシュワーナのウツボはいきなり出てくるからトラウマそのもの。特に、ムーンチップを集める場合はマジで嫌になる -- 名無しさん (2021-12-09 14:43:38)
- ウツボとワニとハイエナ…嚙む力が1番強いのはどちらだろう??? -- 名無しさん (2023-05-28 21:59:20)
- ↑ぶっちぎりでワニ。ワニの噛む力は大型のワニなら2000~3000kg。小型のワニでも500kg以上。ハイエナは一般的なハイエナは200kgくらいだけどシロブチハイエナという最強のハイエナは400~450kgくらい。ウツボはせいぜい100kgくらい。ちなみに人間は40~80kgくらい。ライオンはメスは300~400kgくらいでオスは400~500kgくらい -- 名無しさん (2023-10-26 00:23:04)
- ↑どうもありがとうございました。 -- 名無しさん (2023-10-27 23:15:51)
- こっちの説明と、DASHにあった伊勢湾のウツボとの食い違いあるけど、環境が変わったせいってこと? -- 名無しさん (2023-10-28 01:00:02)
- ↑成体は食えないだろうが、やわらかい幼体ならいけるだろう。それで当たり前だが幼体がくわれりゃ数は減る。DASHのが間違っているかというと微妙な線。 -- 名無しさん (2023-10-28 08:50:41)
- 鱓は23画もあるらしい -- 名無しさん (2023-10-28 15:30:23)
- ザ・ファブルでは「宇津帆」という悪役が登場。映画では堤真一氏が演じている。 -- 名無しさん (2024-06-24 03:01:22)
- ウツボをモチーフにしたポケモンっていないのね。ウツボカズラはいるけど -- 名無しさん (2024-09-09 14:38:48)
- アナゴモチーフやウナギモチーフはいるのにねえ。…いやあれはウナギ?ウナギなのか…?一応ウツボと言えなくもないポケモンはいるにはいるけど明らかにウツボなポケモンはまだだなぁ -- 名無しさん (2024-10-03 06:35:40)
- 味はウナギやアナゴに似て美味しい。がウツボは基本的に捕食者なので繁殖力が高くなく、一旦減ったら回復が遅いのだ。 -- 名無しさん (2025-01-16 15:11:52)
最終更新:2025年03月25日 18:26