SPY×FAMILY

登録日:2020/02/06 Thu 00:00:02
更新日:2024/02/18 Sun 20:40:14
所要時間:約 7 分で読めます






人はみな、誰にも見せぬ自分を持っている。

友人にも、恋人にも、家族にさえ。

張り付けた笑顔や虚勢で本音を隠し本性を隠し、そうやって世界は──仮初の平穏を取り繕っている。



【概要】


『SPY×FAMILY』とは、『少年ジャンプ+』で2019年3月25日から隔週月曜日に連載されている漫画。2023年10月現在既刊12巻。
著者は『TISTA』の遠藤達哉。

連載開始と同時に1話には2000以上のコメントが付き、5話の時点で300万PVを突破するなど大きな話題と化す。
1巻発売後すぐさま重版がかかり、3巻の時点で累計200万を超える大ヒット作品となった。
そして6巻発売時には累計800万へ到達。アニメ放送後の9巻ではとうとう2000万部の大台に載り、10巻発売時には2650万部を突破、11巻で3000万部に達した。
たった2巻の間で売上1.5倍ってどういう事なんだってばよ…。
参考のために書いておくと、この数字は全42巻の『家庭教師ヒットマンREBORN!』や、全75巻もある『鬼平犯科帳』と同じ。
あの国民的ブームを巻き起こした『DEATH NOTE』がちょうど巻数的にも累計発行部数もほぼ同一である。

2021年11月、TVアニメ化を発表。分割2クール形式で、制作は『WIT STUDIO』と『CloverWorks』が共同で行う。
第1クールは2022年4月から6月まで、第2クールは同年10月から12月まで放送された。なお、第1クールの最終話(12話)は出張読切のエピソードで、未読者でも『SPY×FAMILY』の面白さを味わえる内容になっている。
なので、あえて12話を1話よりも前に視聴して同作全体の面白さを理解してから改めて1話から見始める楽しみ方もある*1
2023年4月より、夕方枠で再放送が開始された。

『このマンガがすごい! 2020オトコ編』1位。
『全国書店員が選んだおすすめコミック2020』1位。
『次にくるマンガ大賞Webマンガ部門』1位。
……等を受賞している。

また、作者へのインタビューによると大筋を考えておらず、毎回行き当たりばったりで話を考えているらしい。

ちなみに線画はアナログ、仕上げはデジタルで描かれている。

2023年3月にはミュージカルが上演。さらには本年中に2期&映画『劇場版 SPY×FAMILY CODE:White*2の制作も決定した。

映画は2023年12月22日に公開された。


【あらすじ】


名門校潜入のために「家族」を作れと命じられた凄腕スパイの〈黄昏〉。

だが、彼が出会った“娘”は心を読む超能力者! “妻”は暗殺者で!?

互いに正体を隠した仮初め家族が、受験と世界の危機に立ち向かう痛快ホームコメディ!!

(公式より引用)


【主な登場人物】


フォージャー家

  • ロイド・フォージャー
CV:江口拓也
演:森崎ウィン、鈴木拡樹
〈黄昏〉の暗号名を持つ本作の主人公。西国一のスパイであり、東国との戦争を避けるため東国で活動中。
本名はスパイとなった日の身分証と共に捨てており、ロイドという名前や精神科医という仕事は今回の任務のため与えられたモノ。
標的であるドノバン・デズモンドに接触する任務を与えられたが、彼は用心深く滅多に表舞台へは出てこない。
なので唯一出てくるイーデン校の懇親会に出席するため、「偽りの家族」を作る運びになった。
実は戦災孤児であり、スパイを選んだのも子供が泣かない世界を作るためである。
なお、平時はどんなに些細なことも見逃さない観察眼を持っているが、何故か家族の2人には発揮されず娘が超能力者、妻が殺し屋というのには全く気付いていない。
特に妻の身体能力は素人目に見ても明らかに常人離れしている筈なのだが、「護身術をかじっている」という本人の申告をそのまま受け取っている。ちったぁ疑え!
スパイという職業に就いているからか、人付き合いを「情報を得るための手段」と考えているなどやや打算的な面もあるが、基本的には心優しき善人。
ただし家族で過ごすのも任務の一環としているため、細かな本性は不明。

元は陸軍の一兵卒(最終的な階級は軍曹)だったものの終戦直前に陸軍情報部から召集を受け、上官による地獄の猛特訓の末に一流のスパイとなる。
潜入員としての実力は確かであり、戦闘から尋問に変装まで幅広くでき1000の顔を持つとまで称される。
スポーツも少しの練習だけで、ドーピングによって肉体強化した対戦相手をテニスでボコボコにしたり、
ペンギンの飼育を瞬く間に習得したり、仮の身分である精神科医としての仕事も卒なくやってのけるなどまさしく完璧超人。
泥酔状態のヨルと戦った際もほぼ全ての攻撃をガードしきり、切り傷1つのみで済んでいる。
しかしそのハイスペック故、本部の人員不足も祟ってか並行して複数の任務を押し付けられ過労気味。
これまでの任務上女性と関係を持つ機会も少なからずあったようだが個人的な交際は経験しておらず、本妻にあたるヨルとの距離を計りかねている部分もある。

上述のように基本的には何でもこなせるのだが、3人で暮らして間もない頃は「夫として、父親としてどうあるべきか」を悩むこともあった。

作中序盤は家族の幸せよりも、任務の成功を優先する部分が目立っていた(任務の一環で家族を作ったので、当然と言えば当然)が一緒に過ごすうち、その考えも次第に変わっていった。

なお、『SPY×FAMILY』というタイトルだが、一家の中で最初からスパイなのは彼だけである。

CV:種﨑敦美
演:増田梨沙、福地美晴、井澤美遙、池村碧彩
ロイドがイーデン校の入学条件を満たす子供を探した結果、引き取った女の子。
実はとある組織が偶然生み出した心を読める超能力者「被検体“007”」
心を読めるが故に、ロイドとヨルのそれぞれの正体も知っているが、幼児なのでヤバいことに気が付いていない。
というかロイドが父に、ヨルが母になった経緯自体、「スパイ/ころしやの両親なら娯楽に困らなさそう」と考えた彼女が強引に引き合わせた形である。
現在では、表向きはロイドが先妻(勿論架空の人物)との間に授かった子ということになっている。
詳細は個別項目を参照。


CV:早見沙織
演:唯月ふうか、佐々木美玲
イーデン校の面接に父母同伴での出席が必須だったため、ロイドが契約した偽りの妻。27歳。旧姓ブライア。
長い黒髪を妙な纏め方(作者も深く考えてなかったらしい)で側頭部から垂らした疑似ツインテールが特徴の巨乳美人。
東国の首都バーリント市役所に勤める公務員(これ以前はマッサージ師*3)。
しかし、裏の顔は暗殺組織ガーデンに所属する「いばら姫」という暗号名を持つ優秀な殺し屋。
幼い頃に両親を亡くして以降は叩き込まれた殺人術を駆使してお金を稼ぎ、年の離れた弟を養ってきた。
しかし市役所の同僚から、歳のいった独身女は国からスパイと疑われると聞いた上、弟に彼氏がいるととっさに嘘をついてしまったため丁度妻を探していたロイドと利害が一致、『家族』になった。
とはいえこの年まで男性との交際経験は一切なく、ロイドに妻としてどう振舞えばいいか分からず困っている。
ロイドやアーニャの正体はおろか、2人が実の親子だと思っている(なお、「ヨルがアーニャの継母」であることは学校など周囲にも公言済み)。
血の繋がらない娘ではあるがアーニャのことは心底大事に思っており、ボンドの予知したロイドが犠牲になった後の未来でも引き続き母娘関係を続けている。
殺し屋という物騒な稼業を持ちながら異質なほど常識人で、義理の娘にあたるアーニャにも「さん」付けしながら敬語を用いている。
ごく普通の公務員として暮らせるのは、彼女の人間性に依る部分も大きい。
殺し屋生活が長すぎたせいかたまに殺し屋寄りの思考になったりするけどな!
また、それを置いても度を越した天然ボケ気質であり同僚に「弟に1年も結婚報告を忘れていた*4」と知られても、周囲はドン引きするだけで疑いもしなかったほど。
話数を追う毎に残念ぶりが際立っていくので、もしや公務員試験も裏口入試じゃなかろうななどと一部読者からは疑われている。
また幼少期は、殺し屋稼業で浴びた返り血を拭くことなく弟と接したりもしていた。

殺し屋としては、毒や遠隔射撃といった搦手は用いず近接戦闘で標的・護衛・目撃者を皆殺しにするタイプ。
戦闘力はおそらく作中最強クラスで、上司である「店長」や「部長」といったごく一部を除いて今のところ負けなしの実力者。
西国一のスパイと称される夫のロイド相手にも全く引けを取っていない(ロイドは防戦一方だっただけだが)*5
暗殺には暗器を使う機会が多いものの、徒手でも余裕で巨漢をぶっ飛ばせる*6図抜けた怪力の持ち主で、更には常人であれば致死量のフグ毒を摂取しても痛み止めレベルにしか効かないという薬物耐性も併せ持つ。
ボールを投げただけでボールが光の矢と化していた他、メリンダからの誘いでママさんバレーへ参加した際には屋根をも突き破って宇宙空間まで到達したことから、遠距離攻撃も一応は可能であると思われる(ただし銃などが使えるかは不明)。
暗殺時にも顔を隠したりといった変装は一切していないが、上記の通り顔を見た者は皆殺しなので一応問題はないようだ。
皆殺しに失敗してトラブルが起きる回もあるけど*7
彼女の存在そのものが(警戒されるリスクがあるため)「女性を使った暗殺に卓越した技術はむしろ不要」という、他漫画の女暗殺者が受けた教育とは対極に位置すると言えるだろう。
そらこんだけ強かったらハニートラップなどの必要も無いし、この年齢で男性に対してウブになるのも無理はないような……

反面私生活はポンコツな面が目立ち、特に料理に関しては適当に材料を買って詰め込むだけなどアーニャから度々苦言を呈されるほどに酷い。
カボチャを「お野菜」と呼んでいたので、名前を知らない可能性すらある。酷い時にはポイズンクッキング並の劇物が出来上がるほど*8
好きな食べ物はリンゴ
虫が大の苦手。
毒物耐性はあるのに酒乱癖を持ち、お酒もダメ。
テニスのサーブをやるとボールがガットに切り裂かれて木っ端微塵になるなど、その異常な身体能力を持て余して普通のことを普通にできず思い悩んだりする。

何気に、日本のアニメでは(戦闘力的な意味で)妻の方が強いというのは珍しかったりする。


  • ボンド・フォージャー
CV:松田健一郎(ナレーションも担当)
白熊のような大型犬*9。「ボフ」と鳴き、足の先だけ黒い。
その正体は東国旧政権下、軍事目的でIQが異常に高い動物を生み出す研究「プロジェクト〈アップル〉」による被検体の1匹。
無茶な実験を受け続けた副産物なのか、未来を予知する能力を持っている。
ただし、所詮は犬なので相手へそれを直接伝えることはできないものの心を読めるアーニャとは抜群に相性が良く、テロリスト騒動でロイドが犠牲となる運命を変えることに成功した。
事件解決後はアーニャの強い希望により、フォージャー家のペットとなった。
余談だが、びしょ濡れになると毛深さに隠れて案外スリムな体型であることが分かる。なぜか鳴き声も「ホフ」に変わる。

名前の由来はアーニャが好きなアニメのキャラ『ボンドマン』から。
当初は「ぴーなつ」の予定だったが、某有名な白い犬と被るため変更になったとのこと。

フォージャー家の血縁者以外は、姓名の頭文字が同じ文字になるような名前で統一されている。…はずなのだが、デズモンド夫人であるメリンダは何故かこの法則に当てはまっていない。


西国関係者

  • シルヴィア・シャーウッド
CV:甲斐田裕子
演:朝夏まなと
〈黄昏〉の所属する西国の諜報組織「WISE」の管理官(ハンドラー)。██歳独身*10
ウェーブのかかった長い茶髪が特徴の美女で、一分の隙もない威容から鋼鉄の淑女(フルメタルレディ)の異名を持つ。
表向きは在東西国大使館の外交官として東国入りしており、秘密基地や変装などを使いこなして定期的に〈黄昏〉の任務報告を受けている。
普段はクールな女上司だが、莫大な予算を請求してきた〈黄昏〉に憤慨する、遅々として進まぬ計画にボヤく、一仕事終わった後に市井の人々を眺めて平和が一番だと笑顔で呟く、アーニャには割と甘い、変装のために買った服を値札タグがついたまま着ていることに気付かないなど人間臭さも垣間見せる。


  • フランキー・フランクリン
CV:吉野裕行
演:木内健人
ロイドと取引している情報屋(スパイではない)。表の顔としてタバコ屋を営んでおり、この名前も偽名。
モジャモジャ髮と赤縁メガネ、眠たげな目が特徴の小男。片耳にピアスをしている。
スパイ活動に必要な諸情報の入手や裏工作を行うのが主な仕事であるものの、何かにつけてロイドにコキ使われている苦労人。でもなんだかんだで最終的にはノリノリ。
スパイグッズの開発も行なっている(大抵ガラクタ)
常日頃からモテたい願望を持つものの、全て玉砕している。
ロイドとは戦時中に敵同士として知り合っており、その時からの顔馴染み。
ちなみに、ロイドの協力者ではあるがフランキー自身は正真正銘の東国国民、つまり立ち位置的には反政府活動家にあたる。


  • フィオナ・フロスト
CV:佐倉綾音
演:山口乃々華
ロイドの後輩である「WISE」のエージェント。暗号名は夜帳(とばり)
表向きはロイドが精神科医として勤務中の病院での事務員として働いている、銀髪おかっぱメカクレ長身美女。
黄昏直々の指導を受けた優秀なエージェントであり、滅多に感情を表に出さないクールな美女だが実は黄昏にはめちゃくちゃベタ惚れしている。それを知っているのは心が読めるアーニャのみ。
そのため「妻」であるヨルには敵愾心を燃やしており、何とか彼女の立場に成り代わろうとアプローチを試みている。
しかし教育方針があまりにスパルタ傾向なため、アーニャからは威嚇されるほどに母親役を拒絶されている(その点を除けば特に嫌われているというわけではない様子)。

余談だが、アニメの声優より先にミュージカルキャストが発表された非常に珍しいキャラ。


東国関係者

  • ユーリ・ブライア
CV:小野賢章
演:瀧澤翼、岡宮来夢
ヨルの年の離れた弟。20歳。外見はほぼヨルを男装させただけのような可愛い系の青年。
外務省に勤務していたが実は1年程度勤めた後、国家保安局にスカウトされ秘密警察として活動している。階級は少尉。
姉の住む東国を守るため、西国のスパイである〈黄昏〉を追う。
秘密警察としての訓練を受けているため、姉ほどではないが一定の格闘能力を有している。

極度のシスコンで、幼少期に姉に折られたアバラが今でも疼く。でもそれで姉の愛を思い出して興奮する変態。
嫁ぎ先のロイドのことは激しく憎悪しており、時折勝手な被害妄想に走っては読者の腹筋を破壊してくれる。
酒癖に関してはヨルと同レベルで、ブライア家は下戸の血筋らしい。
ちなみにヨルに養われてきた影響か味覚がやや崩壊気味で、姉の殺人的な料理すらう嬉々として食べることが出来る。

実は本格登場前の初期エピソードでは、一人称が「オレ」だったりとキャラが全く違っていたのは内緒。
また、最初はノリノリで姉に結婚を勧めていたが、紹介しようとしてた男は一体どんな人物だったのだろうか……


  • ドノバン・デズモンド
CV:土師孝也
東国の政党「国家統一党」の総裁にして、大企業「デズモンドグループ」を率いる政財界の大物。過去には首相経験もある。
かなり古くからある名門の出身らしく、一族は代々「鍵を持つグリフォン」を家紋としている。
東西平和を脅かす目下最大の危険人物であり、戦争計画を暴くためにロイドが接触を試みている標的でもある。
小さな子供*11ですらその名を知る有力者だが、一方で用心深く引きこもりがちなため、
子供達の通うイーデン校の懇親会を除けば表舞台に一切顔を出さないという。

にこやかな笑顔を見せたかと思えば虚無感溢れる表情で嘆息するなど感情の底が見えず、歴戦のスパイである黄昏をして「掴みどころのない男だ」と称されるほど。
アーニャからは「ラスボス」だの「悪のボス」だのと言われており、常に都合よく妄想の種にされる。


  • メリンダ・デズモンド
ドノバン・デズモンドの妻。デパートで大量の買い物袋を運んでいた際に転びそうになったところをヨルに助けられ、初登場。
ママ友達と「愛国婦人会」というコミュニティでママさんバレー等の活動をしており、ママ友とは良好な関係を築いている模様。
ヨルに対しては優しい態度で接するが、ダミアンを話題に出した途端に何故か威圧感のある表情や怯えたような顔を見せる。

この話をヨルから聞かされたロイドは「メリンダと近付ければオペレーション〈(ストリクス)〉の遂行に繋がるかもしれない」と考え、婦人会への参加を促した。


  • ダミアン・デズモンド
CV:藤原夏海
ドノバン・デズモンドの次男。イーデン校でアーニャのクラスメイトになる。
父の名を笠に着て威張っており、入学早々子分ができるほど。
アー二ャにも威張り散らしていたが彼女はそれを気にせず、それにムカつきいじめようとしたが逆に殴られてしまう。
初めて自分に逆らったアーニャを認め…というか自覚なしに惚れてしまった。

高慢ではあるが裏を返せば誇り高い性格でもあり、アーニャに対して陰口を叩く他の生徒を諫めた際には子分たちからも内心で「男らしい」「カッコいい」と敬意を示されている。
父に振り向いてもらうため、兄が在籍した皇帝の学徒を目指す。

アーニャからは「じなん」と呼称されており、妄想内では常に洟を垂らし目が互い違いになるなどやたらとアホに描かれている。
のだが、小説版では……


  • ベッキー・ブラックベル
CV:加藤英美里
イーデン校の生徒でアーニャのクラスメイトで親友。
大手軍事企業・ブラックベルのCEOの娘であり、犬小屋がアーニャの部屋よりも巨大という超絶大金持ちのお嬢様。かなり溺愛されている様子。
ブラックベルはデズモンド・グループのビジネスパートナーだが、ベッキーはダミアンをあまり快く思っていない様子。
学校におけるアーニャの初めての友達。
上流階級の環境故かなりマセており、頭も悪くない。その為、アーニャと出会うまでは同年代の子供たちとは付き合いが悪かった。
極度の恋愛脳の為、アーニャ「が」ダミアン「を」好きだと勘違いしており、アーニャを妹のように溺愛しつつ勝手に後押ししている。
ロイドに一目惚れしており、そのデレっぷりはフィオナといい勝負。

『SPY×FAMILY展』で明かされた没設定によれば、本来は相方の少女がいて、アーニャと3人組になる予定だったらしい。
ポジション的にはアーニャがボケて相方が更にボケを被せてベッキーが突っ込むという流れになる予定だったとか。


  • ヘンリー・ヘンダーソン
CV:山路和弘
演:鈴木壮麻
イーデン校の歴史教師。66歳。その風貌から勘違いされがちだが、校長先生ではない。
「エレガンスこそが人の世を楽園たらしめる」を信条として何かにつけて「エレガント」と口にする他、教え子たちも上品(エレガント)であるかどうかで評価する。
元々は寮長も兼任していたベテラン教師だったのだが、フォージャー一家の入学面接時にモラハラを働いた同僚を「ノットエレガント」と(見て見ぬフリをしていた己への自戒も込めて)思いっきりブン殴ったことで初等科担当(アーニャの担任)に回されてしまう*12

教育者としては公正厳格な態度で生徒に接しているが、生徒間の友情を尊重し情状酌量も考慮するなど頭でっかちというわけでもなく、やたらとエレガントエレガントうるさいことを除けば、教師としては大変模範的な好好爺である。

入試の一件以降ロイドのことはエレガントと認めており、度々騒ぎの中心になるアーニャに目を光らせている。

ベッキーの女執事であるマーサ(元軍人)からは、なぜかタメ口を叩かれているが……?

  • ビル・ワトキンス
CV:安元洋貴
イーデン校1年4組(ウォルド寮)の生徒。……つまり6歳なのだが、どう見ても中学生くらいの風貌と巨体を有する眼鏡君。
父親(声がそっくり)は人民軍司令部少佐というエリート軍人の家系で、
スポーツ万能…というか超次元レベルの投擲能力と明晰な頭脳を有し、「魔弾のビル」の異名を持つ。
球技大会でアーニャら1組相手に無双するも、心を読めるのでどんな球でも避けられるアーニャに大苦戦する余りノットエレガントな言動に出たため、ヘンリー先生にメッされた(アーニャの凡ミスで試合には完勝したが)。
スポーツさえ絡まなければ基本紳士的であり、ダミアンに対しては「総裁の息子ダミアンくん」と長ったらしく呼んでいる。


【用語】


  • 東国(オスタニア)
ロイドが今回の任務で潜入することになった仮想敵国。通貨単位はダルク、補助単位はペント。ファンブックによれば1ダルクは320円くらいらしい。
先の大戦からの厭戦により現在の政権与党は西国への融和政策を掲げているが、その一方で過激な極右・極左組織によるテロ行為も頻発する不安定な情勢となっている。
マフィアや闇勢力による犯罪は日常茶飯事、ひったくりや誘拐、放火なども頻発する(アーニャは11巻時点で3回誘拐され*13、1度誘拐未遂に遭っている*14)など、首都バーリントは米花町風都さながらに治安が悪い。
そういった事態に対応すべく政府直属の秘密警察(後述)による取締りも行われ、デモ隊に実弾で発砲し死者を出したことすらある。
更には怪しげな組織による人体実験(アーニャとボンドが該当)なども確認されたりと、非常に闇の深い国。
ファンブックによれば、西の方が経済的に落ち着いているので東→西に亡命する者はいても、西→東に亡命する者はまずいないという。

モデルは恐らく東ドイツ(登場する自動車も東ドイツ車が多い)だが、公用語は英語の様子。
そもそも舞台が地球と明言されているわけでもないので、細かい設定は気にしたら負けである。
*15
*16
首都バーリント(Belrint)のモデルはアメリカ合衆国のバーリントン(Burlington)……ではなくベルリン(Berlin)。


  • 国家保安局SSS(ステイトセキュリティサービス)
通称「秘密警察」。名称こそ警察だが、実際は軍に近く、階級も存在する。
スパイや反政府主義者の取り締まり、要人の警護などを行うのが主な任務であるが、目標遂行の為であれば逮捕者への暴行・脅迫・拷問、
更には盗聴や盗撮等何でもありのいわゆる「汚れ仕事」が黙認されている。
テロリストをその場で裁判を待たずに射殺する事すら珍しくないので、普通の警察からすらもその強権ぶりに辟易されている。
スパイから気付かれるのを防ぐために、職員は家族や恋人に対しても自身の所属を明かすことは無い。

モデルはナチス親衛隊SSと思われる。

  • イーデン校
東国が誇るエリート校。6~19歳までの全13学年生で、全校生徒約2500人。学費は年間5~600万円ほど。
学問・スポーツ・芸術、いずれもトップクラスの教育機関であり、そのエリートの中のエリートだけが「皇帝の学徒(インペリアル・スカラー)」に所属できる。
授業内容も相当ハイレベルで、アーニャが所属する初等部の時点で3学年飛び級相当の授業を受けている。
面接試験もかなり厳しく、並大抵な裁量で挑めば試験会場に行く最中に落第判定される程。

「皇帝の学徒」に所属するためには、成績や社会奉仕などで優れた活動を学校に認められるともらえる「(ステラ)」を8個集めること。
逆に成績不振、素行不良などで「(トニト)」を8個集めると即退学になってしまう。
作中描写では人命救助や事件解決、学期末テストの科目で首席~次席に入ると星を授与され、逆にテストで赤点を取ると雷を叩き付けられている。
ちなみに殆ど自己裁量で些細な事でも素行不良と見なせば速攻で雷を押し付けてくる性格に難有りな教師も居る。

デズモンドが出席する懇親会への参加は「皇帝の学徒」への所属が条件なので、必然的にアーニャを「皇帝の学徒」にすることが目的となる。
ここに通っているだけで親が裕福であることは自明の理なので、誘拐・脅迫等のリスクもあり徒歩通学は基本的にあり得ず、
寮住まいか親の送迎、スクールバスの3種類しかいない。しかもそのスクールバスすらバスジャックに遭った事がある。
通学する生徒も形式上所属寮が指定され、クラス分けの基本となる。

名前の由来は恐らく、イギリスの名門校イートンカレッジと、旧約聖書のエデンの園(EDEN)。その為、知恵を顕すリンゴが校章になっている。

  • “ガーデン”
ヨルが所属する暗殺組織。
「店長」と呼ばれる人物が、暗殺の依頼を雇用した殺し屋に回す暗殺業者のようなもの。組織の人員は証拠隠滅などの後方支援に回る。
保安局と違って表向きは存在しないことになっているものの裏社会では名の知れた組織のようで、フランキー曰く「彼らに目をつけられたが最後生き延びることは不可能」らしい。
*17


  • 西国(ウェスタリス)
ロイド達の本来の所属。
東国が舞台である関係上殆ど描かれないため詳細は不明だが、国家的には東国と同じく融和路線を掲げているらしく
対東国専門の諜報組織である「WISE」も、基本的には戦争の火種を消す任務に従事している事が多い。
血で血を洗う裏社会であってもある程度仁義があった東国に比べると、西国はカネの力が幅を利かせるお国柄のようで、ロイドもWISEから資金を引っ張ることに気兼ねしていない節がある。

前述のオスタニアがおそらくは東ドイツがモデルならば、こちらもおそらくは西ドイツをモデルにしていると思われる。

  • SPY WARS
作中で子供達に大人気のスパイアクション漫画。好評につきアニメ化もされており、アーニャが大ファン。
黒マスクを付けた伝説のスパイ・ボンドマン(CV:中野泰佑)が拳銃を片手にスーパーカーを乗り回してありとあらゆる悪と戦うという娯楽劇であり、
ほぼボンドマンと同じ事をやっている(しかも、マンガのヒーローよりもずっと地味かつ地道かつ苦痛な)ロイド=〈黄昏〉にとっては耳が痛い内容である。
あらゆる女性を口説きまくるため全てのレディをこよなく愛していると豪語するも、歴代ヒロインたちが一斉に出くわしてボコボコにされたこともある。
アーニャの点数を見たロイドの心境と、テレビの中で敵にやられた惨状を見たボンドマンの慟哭が寸分違わずシンクロするシーンは多くの読者の腹筋を破壊した。
アニオリで出番が増えており、原作ではさらっと片付けられたお城でのアーニャ合格祝賀会の寸劇ではロイドがボンドマンに扮している。

モデルはもちろん『007』シリーズの主人公、ジェームズ・ボンド。一方、タイトル“スパイウォーズ“からして“スターウォーズ”由来は意識しやすいが、スーパーカーで活躍なカートゥーン調アニメからして“スーパースリー”か何かも意識の可能性もあり得る。


追記・修正は義娘をエリート校に送り出してからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • SPY×FAMILY
  • 少年ジャンプ+
  • 遠藤達哉
  • 漫画
  • スパイ
  • 疑似家族
  • 集英社
  • 養子
  • 殺し屋
  • 超能力
  • 偽装
  • スパイファミリー
  • アニメ化
  • 22年春アニメ
  • アニメ
  • CloverWorks
  • WIT STUDIO
  • テレビ東京
  • 22年秋アニメ
  • 学園
  • 家族
  • 日常
  • 日常モノ(?)
  • 非日常な日常
  • 冷戦
  • ギャグ漫画
  • ミュージカル化
  • Mr.&Mrs. スミス
  • 007
  • 二重生活
  • Official髭男dism
  • 豪華声優陣
  • 23年秋アニメ
  • 愛すべきバカ達
  • サスペンス
  • スパイ一家
  • 大河内一楼
  • 種﨑敦美
  • 江口拓也
  • 早見沙織
  • 松田健一郎
  • エレガント
  • ※深夜アニメです
  • 隠密
  • 敵も味方も変な奴
  • 偽装結婚
  • 飯テロ(別の意味で)

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年02月18日 20:40

*1 無論、多少のネタバレは覚悟してもらうことになるが。

*2 作者が一から脚本を手がけた完全オリジナルストーリー。

*3 市役所の同僚であるカミラの説明と反論しないヨルの態度を見る限り、「風俗嬢の隠れ蓑と見られるようなマッサージ師」だったようだが。

*4 実際には数ヶ月も経っていないが、イーデンへの偽装工作のためロイドが1年前結婚したという事にしていたので「いつの間に姉さん結婚した?」という趣旨の質問に対する回答。

*5 作者によれば、ヨルの身体スペックを100とするならロイドは60。そこにスパイとしての工作能力を含めれば両者は互角とのこと。

*6 流石に銃弾をも弾き返す装甲越しに突き飛ばした際は、一日安静しておかなければならないほど手を痛めた。

*7 上記したフグ毒を盛られたのも皆殺しできていなかったせいである。

*8 ただしシチューだけは、料理上手な知り合いの元で特訓したおかげで上手に作れるようになったらしい。

*9 犬種は特に決まっていないが、作者は「グレートピレニーズをイメージして描いている」とのこと。

*10 ただし、年齢がアーニャほどの娘がいたと発言していることから、元は既婚者だった様子。

*11 といっても一流校に通うため、及び有力なコネを作るために教養や社会を学んできた子供達ではあるが。

*12 一連の話を知ったロイドは「穏当な処罰だったが屈辱的だろう」と評しているが、本人は「初心に帰る機会」とそれほど気にしていない。

*13 Mission1のエドガー一味、Mission7の不良集団、Mission70~74のバスジャック犯。

*14 Mission20の極右学生。

*15 例えば、Mission60にてフィオナが訪れたフランキー(フィオナ曰く情報屋のねぐら)のアジトらしき部屋には、ペンシルロケットやエレキギターらしきものに混じって、1990年代っぽいアーケードゲーム機がある。確かに史実の東ドイツが統一直前の1980年代には、史実では日本の任天堂やSEGAがアーケード開発してはいたが、Mission60にてしれっと置かれていたアーケードゲーム機は、明らかに当時存在しなかったレバー付きであり、カプコンのストリートファイターやSEGAのバーチャファイターなどを動かせるアストロシティを連想させる。しかし現実ではアストロシティがSEGAから世に出されたのはとっくに東西ドイツ統一済みの1993年である。ただ、アップライト筐体ならばドンキーコング、パックマン、スペースインベーダーならばレバーが付いているため、これらの可能性もあるが。

*16 Mission79ではヨルさんたちの市役所事務仕事でタイプライターが打たれているが、史実では1980年代となるとワードプロセッサが爆発的普及でタイプライターは急速に衰えた。一方、WISE本部は相変わらず、シリーズを通して磁気テープのメディア多用で、光ディスクは今のところ描かれていないが、CD以前に活躍したレコードと、それを機械に詰めて小銭で音楽を聴かせるジュークボックスも、Mission79現在では特に見当たらない。

*17 ガーデン自体の由来モデルの暗殺組織は12巻現在不詳なものの、オスタニアのモデルと思われる史実の東ドイツおよび東ドイツ時代のベルリンといえば、かのチャーチルが名指しして有名な“鉄のカーテン”が有名なため、そこから着想を得た可能性もあるかもしれない。続報を待とう。