チウ(ダイの大冒険)

登録日:2020/12/04 Fri 04:27:53
更新日:2025/06/23 Mon 15:47:07
所要時間:約 14 分で読めます




だ、だまれっ!!

…お、おまえにはザコに見えるかもしれないけど…

はじめて…はじめてできたぼくの子分なんだ!!

我が隊の隊員たちだっ!!!!

ぼくは隊長だぞっ!!


隊長は部下を必死で守るものなのだあ!!!


漫画ドラゴンクエスト ダイの大冒険』の登場キャラクター。
CV:堀江瞬(新アニメ版)

目次

【概要】

「空手ねずみ」を自称する大ねずみ。
マァムの武闘家としての師である拳聖ブロキーナの弟子。マァムにとって一応は『武神流』の兄弟子に当たる。
人間に換算すると10歳程度で、身長は子供と同程度かさらに低いくらい。
着ている道着の左肩に描かれてるのは、マァムやブロキーナのような『武神流』の『武』…ではなく『ぶ』。白帯みたいなものだろうか。

初期はドラクエ4コマ劇場の栗本和博氏の4コマ漫画に登場した「怪傑大ねずみ」のような、ずんぐりとした顔立ちをしていた。
回を重ねるにつれて目は大きく丸くなり、前髪も伸びていきゆるく可愛いデザインとなっていった。

ロモス王国主催の武術大会に、マァムと出場していたところでダイ達と知り合う。
武闘家に転職するため一時的に離脱していたに過ぎないマァムがパーティーへ合流するとともに、チウも仲間になった。


【人物】

生意気で傲岸不遜。見栄っ張りの目立ちたがり屋。
やたらと自信満々で、変に格好をつけたり手柄を求めて無茶をしたりするが、実力が伴わないので結果はいまいち。
窮地に立ち向かう意地と根性は持っているのだが…いかんせん弱い。
とはいえ、先述の通り人間換算ではまだ10歳程度。人間ならかっこいいモノに憧れる時期で、厨二病めいた暴走を見せるのも無理はないだろう。
…将来大人になったら自分の黒歴史に頭を抱えそうである。

初期はあまりいい所がなく未熟な部分ばかり描かれていたが、根本的には心優しく器も大きい人物(鼠物?)。
特にハドラー親衛騎団フェンブレンと戦って以降は無駄に刺々しくならない大らかな性格へと変化していき、クロコダインも一目置くほどの器量を身に付けていった。
初登場時点でも彼は精神力で大魔王の支配をはね返していることが判明しており、片鱗は元々あったと言えよう。
また、地味に『閃華裂光拳』の危険性をマァムともども正しく理解している。種族的に回復呪文が使えない*1ため裂光拳は無理にしても、元々のタフさと合わせて『猛虎破砕拳』の伝授は受けられるかも知れない。
後述の欠点がある以上、使いこなせるかは怪しいが…

物語中盤ではモンスターを仲間にできる『獣王の笛』をクロコダインから譲り受け、それを使って『獣王遊撃隊』を結成。
持ち前の器の大きさもあって様々なモンスターを仲間に引き入れていき、しまいにはハドラー親衛騎団ヒムまで隊員にしてしまった。
遊撃隊の面々もチウのことは尊敬しており、ヒムもなんだかんだで敬意を表するようになっていく。

【戦闘能力】


あちゅ~~~っ!!!!

「空手ねずみ」を自称する通り、師匠仕込みの拳法を武器に戦う武闘家。
だが、その実力は…
弱い。

弱い。
※大事なことなので二回言いました。

人間の「カッコ良い」ところに憧れてばかりで、ちゃんと修行を積んでいないためその実力は可哀想になるぐらいしょっぱい。
後輩として入ってきたマァムにも、瞬く間に追い抜かされてしまった。
背丈が低く手足も短いので攻撃がまともに相手へ届かず、魔法使いのポップにすら腕を伸ばすだけであしらわれてしまう。
しかしパワーとタフネスは案外いいものを持っており、ダイ達との出会いを通じて本当の勇気や器の大きさを身に付けることでそれらを活かせるようになっていった。
本編内では最後まで一線級の戦闘力を持つには至らなかったものの、チウは人間でいえば10歳程度の子供に過ぎない以上、武闘家としてはまだまだこれからだろう。
と言うか、ダイみたいな例外はともかく10歳の子供が世界最強クラスの実力者たちと渡り合おうとしている方がおかしい。

意外と指揮能力が高いところもあり、終盤のミナカトール防衛戦では強力な魔界のモンスターに怯える隊員たちを鼓舞しつつも適切な指示を飛ばして戦い抜いた。
ノヴァロン・ベルク、クロコダインや老師ビーストくん達が居たとはいえ、あの状況であの隊員たちを一人も死なせなかったのは大したものである*2
今のところは未熟そのものだが、戦闘要員としても指揮官としても大成する可能性を秘めていると言えよう。

  • 窮鼠文文拳(きゅうそぶんぶんけん)
片腕をブンブン回転させて放つパンチ攻撃で、一応は武神流拳法の技(初歩中の初歩だけど)。ドラクルパンチとか言ってはいけない。
当たれば大岩をも砕く威力らしいが、手足が短く予備動作も大きいため敵に届かない or 当てられないという致命的な欠点が武術大会で露見。
以降は使用されていない。
  • 窮鼠包包拳(きゅうそくるくるけん)
助走をつけ、クルクル回転しながら球状になって体当たりする技。
ザムザ戦にてダイを救出すべく土壇場で編み出し、ザムザの左手を粉砕してなお胴体に有効打を与えるほどの威力を見せた。
チウも気に入ったらしく、以降も何度か使っている。
単純な技だが、力(闘気?)を頭一点に集中する事で鋼のように固くなれる*3
さまようよろいの剣を受けたうえでヘシ折り、その体=鋼鉄の鎧をも打ち砕くほどに強力。
なお窮鼠包包拳や頭突きは、リーチの短さに悩むチウにダイが向けた「力はあるんだから、いざとなれば頭突きや体当たりで戦えばいい」というアドバイスによって生まれた。
当初チウは「カッコ良くない」と無下にしていたが、ザムザ戦をきっかけに見た目にこだわらない戦い方を選べるようになった。

装備

  • ズタズタヌンチャク
ロン・ベルク作の伝説の武器…ではなく、バダックがチウの為に製作した鋭利な突起付きのヌンチャク。
自分の手がズタズタになりそうという危惧のとおり握っただけで手に刺さり出血していたが、わざわざ自分の武器を作ってくれた心遣いに感動して律儀に使用している。
かなり格上であろう魔界のモンスターにも通用しているため攻撃力は本当に高そうな一方、跳ね返ってきたヌンチャクが自分の頭に当たって共倒れもしている*4
ゲーム的に言うとヌンチャク版もろはのつるぎといった所か。ガチで呪われていて外せないから使ってるだけだったりして

  • 布道着
チウが布袋から自作した道着。
特筆するような防御力はないものの、元が袋だけあって道具の収容量が非常に多く四次元ポケットのように次々と出てくる。
回復アイテムの薬草も普段から5つは持ち歩いているらしいが、初登場時点では軍隊アリ*5に全部使ってしまっており品切れ中。ザムザ戦で苦労するハメに…。
他にも毒消し草や毒草、本や食料、玩具からガラクタに至るまで様々なものが入っている。

  • 涙のどんぐり
雀の涙ほどの体力を回復させるどんぐり。
瀕死のダイが全力の一撃をくり出せる程度には効いていたのと、薬草がHPにして30~40程度なのを鑑みれば、5くらいは回復するのかも知れない。
普段なら所謂ゴミアイテムで、ポップは存在を知らずチウも持っているのを忘れている位だったが、ザムザ戦では立派なキーアイテムと化した。

  • 獣王の笛
吹くとモンスターが寄ってきて、倒せば仲間にできる。
元々クロコダインの持ち物だったが、ハドラーの部下として百獣魔団長になってからは不要になり使わなくなったらしい。
後に新必殺技の特訓を手伝った報酬として、チウに譲り渡されている。
対象のモンスターは笛を吹く場所や方向によってある程度絞れるが、同時に複数くる場合もありチウは「勝てるかな…?」と青ざめた*6

  • 魔法の筆
一度書いたものが決して消えなくなる筆。オリハルコンであろうと書き込めるし、直後に擦ってもまったく落ちない。
本来はダンジョンなどで味方が迷わないように目印を書いたり、重要な文書や契約書などを作るのに使うのかも知れない。
本編ではヒムを獣王遊撃隊に迎え入れた際、エンブレムバッジの用意がなかったため彼のオリハルコンの胸元に数字の12を直接書いた。
いきなり自慢のボディーに落書きされたうえ消せないと言われ、当然ながらヒムはキレた。バッジまでの間に合わせらしいので消す手段はあると思いたいが…


【来歴】

◆過去

元はただのモンスターであり、3年前にロモス近隣の村で畑を荒らしていた所を拳聖ブロキーナに捕獲され、無理やり弟子入りさせられた模様。
ブロキーナから心身共に鍛え直された結果、大魔王の意思をはね除けるほどの強靭な精神力を身につけ*7人間の言葉も勉強して話せるようになった

◆ロモス武術大会

力試しにマァムと共にロモス武術大会にエントリーしたものの、敢えなく一回戦敗退。予選落ちとなる。
大会を襲撃したザムザ戦においても、当初は魔物の集大成である超魔生物のザムザを本能的に恐れてしまい何も出来ずにいたが、ダイがやられ皆が危機に陥っていく様をみて勇気を奮い立たせ、恐怖を克服し立ち向かってゆく。
これには似たような時期と状況で実際に逃げた経験のあるポップも「立派なもんだ」と感心し、返された「仲間を見捨てて逃げるようなヤツは最低のクズだ」に耳を傷めながらもチウのことを認め、共にダイの救出作戦を決行する。
とっさに編み出した新技『窮鼠包包拳』で飲み込まれたダイを露出させたまでは良かったが、調子に乗って動きを止めてしまい反撃を受けて再度ピンチに。
マァムによってダイが完全に救出された後は、彼に『覇者の剣(贋作)』を使わせるため賞品台まで担ぎ上げ、『涙のどんぐり』でダイの体力をわずかに回復させるなど最後まで味方をサポートした。

しかしザムザ撃破後、ダイたちがみんなから感謝の言葉を受ける中でチウの活躍には中々触れてもらえない。
不満が爆発しそうになったところを、ゴースト君…に変装していたブロキーナ老師から窘められた。

最初から「カッコ良い」者など一人もいない、自分の限界に真正面から挑んだ者だけが成長できる。

チウがその実力に対して大いに健闘および貢献したことは事実だが、それをひけらかすようでは結局もとの木阿弥。
名声は後からやってくる、自分から求めてはいけない。
そんな老師による一喝ののち、確かに行っていた活躍を無事みんなから褒めてもらえて感涙するのであった。

もっとも、大会後にはまたふてぶてしい態度に戻っておりポップからも呆れられる始末。
本当の意味で老師の言葉が身に付くのは、後述の獣王遊撃隊の結成およびフェンブレンとの戦いを待つ事になる。

◆仲間として

ザムザ戦の後はブロキーナの下を去り、マァムたち勇者パーティーに参入。
ランカークス村からロン・ベルクの元へ向かう際には嗅覚を活かして道案内しようとしたが、メルルの探知能力のほうが正しかったために立場を失う。
鬼岩城および魔影軍団との戦闘では、さまようよろいの剣を石頭で受け止め頭突きで撃破するなどそれなりの根性を見せた。
ハドラーにやられたダイを探索しに行く時もクロコダインから(一応)声をかけられ、現場ではしびれくらげを手懐けて海底をくまなく探索させるなど一定の活躍をしている。

クロコダインとは後に新必殺技の特訓にも付き合い、報酬として『獣王の笛』を獲得。自らのモンスター軍団『獣王遊撃隊』を結成した。
ただ功名心から独断で敵の本拠地「死の大地」へと潜入してしまい、それを察知したハドラーが送り込んだフェンブレンと遭遇。
逃げることも許されず、圧倒的な実力差とフェンブレンの嗜虐趣味によっていたぶられ続けるがどれほど絶体絶命になろうとチウは決して諦めず、隊長として部下たちを身体を張って守り続けた。
その粘りやゴメちゃんの思わぬ反撃もあってバランが偶然通りがかるまで生き延び、彼の気まぐれによって助けられる。
治療が間に合ったため一命は取り留めるものの、やはり怪我は重かったようで一時離脱を余儀なくされた。

たとえ勝てないと分かってても、初めてできた仲間の為に命懸けで戦ったこの時のチウは、文句の付けようのない「カッコ良い」漢であった。
これ以降、チウの性格からは傲慢さが薄れて親しみやすい性格へと変化していく。

◆終盤

ダイ達が「死の大地」に行っている間に回復したチウは、少しでも役に立つようにと修行を兼ねて『獣王の笛』で遊撃隊のメンバーを集めていった。
結果、当初は3匹だった遊撃隊のメンバーがダイ達との再会時には10匹にまで増えている。隊員8号のクマチャと面識のなかったポップは漂着後に遭遇したとき死を覚悟した

ミナカトール防衛戦では遊撃隊を指揮しつつ、自らも魔界のモンスター相手に互角以上の戦いを繰り広げる。
遊撃隊メンバーをクロコダインに紹介した際には、勝手にクロコダインを先代獣王として扱い笑って流されるという一幕も。
勢いに乗って「正義は必ず勝ぁ~つ!!」と威圧して敵のおにこぞう*8二匹を怯ませるなど、無駄なスゴ味を見せつけたりもした。
この2匹は後にザボエラから殺されそうになるのだが、その時は敵味方など関係なく身を挺して救ってみせ、戦闘終了後には行く当てのなくなった彼らを遊撃隊にスカウトしている。
この器のデカさにはおにこぞう達も感涙し、クロコダインも「いずれ大物になる」と感心していた*9

防衛戦後はクロコダインやビーストくんと共にバーンパレスに突入。
完全に戦力外なのを自覚しているのか戦闘には参加しないものの、薬草を提供したりヒュンケルやマァムを庇ったりするなど自分にできる範囲内では貢献している。
また道中で出会ったヒムを半ば無理やり遊撃隊員に加えるが、彼が自分の身に起きた奇跡に対して踏ん切りをつけるキッカケを与えたりもしている。

◆最終決戦

大魔王バーンとの最終決戦では、一応バーンの目前まで大したダメージもなく辿り着くものの、当然ながらレベル不足で「瞳」に封印されてしまい戦闘には参加できず。
またバーンが「カラミティウォール」を放った際には、チウを封じた瞳がたまたま一番近くに転がっていたため、バーンの言う「巻き添えを食って砕け散る可哀想な瞳」*10が自分だと気づき瞳の中で狼狽。
ヒムが割り込んで阻止してくれたために事なきを得て、感激していた。多分ヒムはチウだと分かっていなかったと思われるが

初めての殉職者となったゴメちゃんには瞳の中で涙を流し、バーンパレス脱出時においてグランドクルスの反動で砕け散っていったヒムに対しては「本物の戦士だった」として遊撃隊12番の永久欠番を宣言した。
そしてポップに救出されていたヒムからは「ひっでぇなぁ~」と嘆かれた

◆エンディング

クロコダインやヒム、ダイの育ての親ブラス(そして恐らく遊撃隊+おにこぞう)達と、デルムリン島と思われる場所で楽しく暮らしている一コマが描かれている。
新アニメ版ではその詳細が描かれ、遊撃隊の新たな砦を建築していた。


【主な人間関係】

師匠。
チウにとっては恩人であり育ての親のような存在。
「窮鼠文文拳」も、体格が小さく手足の短いチウの為に教えてあげたもの。
怒られる事をとても怖がっていたが、成長を褒められた時は泣いて喜んでいた。

妹弟子。
武神流における後輩だが「さん」付けで呼んでおり、実力差以上の敬愛を向けている。
登場初期はマァムに色目を使っており*11、武術大会に出場したのもマァムにカッコ良いところを見せたかったが為。
マァムを「清楚の化身」として女神の如く見ている他、ポップやヒュンケルなど彼女の周りに現れる男性陣にはやたらと嫉妬の目を光らせていた。
その光景はぶっちゃければ推しのアイドルに対する厄介ファンのソレ。
なので覗きなどのセクハラまがいの行為は絶対しないし、コメントがだいたい重くて怖い。

仲間。
モンスターでありながら人間くさいチウの存在は、当時『普通の人間との違い』に悩んでいたダイにとって一つの救いになった。
また前述の通り、ダイの「いざとなれば頭突きや体当たりで~」というアドバイスが、チウにとっては成長のきっかけとなっている。

恋敵。
自信過剰な態度が目立つチウだが、ポップに対しては恋敵という認識があるためか特にその傾向が強く、やたらと張り合う。
最初に会った時はポップがマァムにセクハラしていた場面だったので*12、なおさら印象が悪い。
キザったらしい台詞*13と共に手切れ金として2ゴールドを差し出したりもしたが、クソネズミ呼ばわりと共に一蹴されている。
しかしザムザ戦を経ていくらかは認め合うようになり、フェンブレンの一件以降は目立って張り合うことも無くなった。
マァムとポップの痴話喧嘩も「あの二人はいつもあんな感じ」と見守るようになっている。そして「悪いのはいつもポップ」と付け加える手厳しさも残っている
余談にある通りポップの部分的な代替として用意されたキャラクターなこともあって似ている部分はあるものの、セクハラはしない、初期から勇気を持てている、戦いの才能はいまいち、など相違点も多い。
たびたび殺されるような目に遭って成長するあたりはそっくりだって?

恋敵?
上記の通りヒュンケルの登場に警戒心を抱いていたが、終盤では再起不能となった彼の壁役を引き受ける場面もあった。
ヒュンケルからの「まさかお前に助けられるようになるとはな…」にも余裕のウインクとサムズアップで返しており、特にわだかまり等は見られない。
クロコダインの「(チウには)ある意味オレたちも一目置いている」も笑って肯定するなど、お互いを評価している模様。

  • ゴメス
ロモスの格闘士(レスラー)にして、武術大会の参加者の一人。
チウとは一回戦で当たり、絶望的なリーチの差によって終始圧倒してみせた*14。その後も何かとチウと絡むことが多い。
大会後は、他の大会メンバー6人と共にレジスタンスへ参加。サババの造船所ではヒムを相手に敗れる姿が、最終決戦では魔界のモンスター相手に戦う姿が描かれている。
ポップとメルルの交信で世界各地に『黒の核晶』があると分かった時は、他の大会メンバーと共にルーラでロモス城に寄って爆発を止められる人員を募るという機転を見せたが、結果は実らなかった。

クロコダインにとっては、ダイの仲間になってから初めてのモンスターの仲間であり、かわいい弟分。
当初は見くびっていたものの次第にチウの根性や器のデカさを高く買うようになり、新必殺技の特訓に付き合わせた際には『獣王の笛』を譲っている。
笛によって組織された獣王遊撃隊には先代獣王として紹介され、「やれやれ早くも先代にされてしまったか」と苦笑した。
とはいえ「早くも」だったり苦笑で済ませているあたり、いずれ獣王たりうる存在として見込んではいる模様。

チウは知らないものの、命の恩人。*15
バランはほんの気まぐれだったと言うが、人間を憎んできた彼が人間に味方する者たちを助けてその成長をも促すことになったのは皮肉なものである。

獣王遊撃隊


み、みんなをみんなを守るのだああっ!!!

し…心配するな…
こ…こんなの痛くもかゆくもないぞ!!
か…かならず…
かならずみんなを助けてやるから安心しろ…!!

チウが組織した地上のゆるキャラモンスター達の集団。
正式入隊組のうちヒム・ゴメちゃん・ビーストくん以外は獣王の笛で仲間にしたらしい。
笛の効果以上に皆チウを尊敬しており、チウを必死にかばったり、魔界の魔物相手でもチウの一喝で戦意を取り戻して奮戦するなど、隊員として恥ずかしくない働きを見せている。
チウも命がけで彼らを守り、ミナカトール攻防戦では的確な戦闘指揮を行い誰一人欠けることなく戦い抜いた。

仲間入りしてからは、親しみを込めて可愛らしい(そしてちょっとセンスが微妙な)ニックネームを付けるのがしきたり。*16
隊員が増えるにつれ「敵モンスターと間違えやすい」との指摘があったことから、貼り付け式の隊員用エンブレムバッジも用意することに。
どうやら人間の戦士たちからも、見分けがつきにくい以外ではモンスターの仲間として信頼されているようだ。

獣王の笛の効果なのか、彼らは邪気が浄化されているらしく性格もデルムリン島のモンスター達のように温厚。
しかもミナカトールの影響を受けずに戦える。地味に凄い事である。あと全体的にゆるキャラチックでかわいい。*17
チウから武術の指導を受けているコマもあるので、広義では遊撃隊も武神流の使い手なのかもしれない。体格差がバラバラすぎて使いこなせるのかは疑問

チウは笛を入手する以前にも、ハドラーに敗北したダイを捜索するとき偶然出会ったしびれクラゲを手懐けた事がある。
しかしこの時は食べ物を用意する約束で協力してもらったに過ぎず、しかも結局用意できなかったので怒りの痺れ攻撃を食らったあと帰られてしまった。
以下はメンバーとナンバリング。

  • パピィ
記念すべき遊撃隊第1号。種族は「バピラス」。*18
凶暴化が解けたあとは別キャラのように温厚な表情になった。
仲間になったばかりの時でも、フェンブレンの刃から身を呈してチウを庇う優しい心の持ち主。
力もなかなか強いし、チウを背中に乗せて飛ぶぐらいは全く平気。なにより空中から素早く攻撃・回避を行えるという利点は大きい。
そのためクマチャとならぶ主戦力であり、ミナカトール攻防戦では人間の兵士達と共に大活躍した。

遊撃隊第2号。種族は「ゴールデンメタルスライム」。
パピィを見て自分も加入したくなったため、隊員にしてもらった。
ニックネームは「ゴメちゃん」と名付けられたが、元々そう呼ばれているとツッコミを入れる。*19
最終決戦ではレオナたちへの伝令係を務め、そのままこっそり付いて行った。

  • マリべえ
遊撃隊第3号。種族は「マリンスライム」。
死の大地の海岸で仲間にした。あと何気に手こずった模様。
チウの危機にフェンブレンへ噛み付いて戦いを挑むなど、小さいながらも勇敢な性格の持ち主である。

  • アリババ
遊撃隊第4号。種族は「大アリクイ」。カシム」という兄がいるかどうかは不明。
1話でもダイがデルムリン島の大アリクイを従えていたが、さすがに別個体だろうか。

  • ドルやす
遊撃隊第5号。種族は「ドロル」。親戚に「えんだか」がいそうな名前である。
アリババ、クマチャと共に遊撃隊の前衛を張っている。

  • ラミた
遊撃隊第6号。種族は「アルミラージ」。
チウに一番懐いているようで、バーンパレスからチウが生きて帰ってきたときは真っ先に飛び付いていた。

  • ドナドナ
遊撃隊第7号。種族は「ドラキー」。子牛が売られる歌とは無関係と思われる。
小柄だが、チウを運んで飛べるぐらいのパワーはある。

  • クマチャ
遊撃隊第8号。種族は「グリズリー」。
バーンから敗走して海岸に流れ着いたポップとマァムを発見した。モフモフでかわいい。
クロコダインの『グレイトアックス』を軽々と運べるぐらいパワフルであり、グリズリーの中でも特別力の強い変異種なのかもしれない。よく勝てたもんである。
パピィとならぶ遊撃隊の主戦力。

  • バタコ
遊撃隊第9号。種族は「ハンターフライ」。
アンパンマンあの人とは関係ない。♀なのだろうか。
ドナドナと大差ない体格だが、ビーストくんを運んで飛べる。

  • だいご
遊撃隊第10号。種族は「大王ガマ」。
マリべえ、ラミたと共に動き回って敵を混乱させる役を担当した。

  • ビーストくん
遊撃隊第11号。種族は「ゴースト(?)」。
隊長より強い隊員その1。その正体は師匠であるブロキーナ老師
武術大会でも似たような格好で変装していた*20ため正体はバレバレなのだが、「人知れず弟子たちを助けるところがカッコいい」と頼み込まれてメンバー入りすることに。
自分にも隊員バッジをと結構ノリノリで要求し、仮にも部下として付き従う以上はチウの成長をそれなりに認めてくれているようだ。
入隊を頼み込まれた時はチウもかなり困惑していたが、いざ実戦となった際はビーストくんの強さを単に戦力としてだけでなく遊撃隊に勇気を与える手段としても使うなど最大限活用している。
ミナカトール攻防戦のあとは、チウによってクロコダインと共にバーンパレスへの増援隊として選抜。そこで重大な活躍をする事に。

遊撃隊第12号。種族は「生きている駒(リビングピース)」。
隊長より強い隊員その2。
実はヒム初登場時に会話を交わしているのだが、当時はたまたまチウが持っていたダイの剣に興味を示しただけでお互い忘れている模様*21
バーンパレスでヒュンケルたちと合流時、半ば強引に加入させられ最初はかなり嫌がっていた。
しかし「自らにハドラーの命が宿ったとも思える奇跡を信じたい」ヒムに「悪に奇跡は起こらないが、正義の獣王遊撃隊であるヒムちゃんには奇跡が起きていい」とチウが後押しした辺りから敬意を示すように。
その後はボケとツッコミの漫才コンビじみた関係に収まった。永久欠番もきっと取り消してもらえた…はず。
ちなみにニックネームは「ヒムちゃん」「ヒーたん」「ヒムすけ」「ポンちゃん」の中から本人に選択させる形で決定した。

  • おにこぞうA、B
暫定メンバー。
ミナカトール攻防戦の時に登場した魔界のモンスターだったが、予想外のチウのタフネスに苦戦し、最後は降参。
ザボエラに超魔ゾンビの素体として始末されそうになった所を救われ改心した。
その後は隊員13号、14号として入隊予定。ヒムちゃんより先にスカウトしたのに。
2020年以降の新アニメ版ではチウとの絡みがカットされ、76話で他のモンスター同様に超魔ゾンビの素体として始末されてしまったため、隊員にはならず。
…と思われたが、78話で遊撃隊のメンバーと共に薬草を食べている姿と、100話でメンバーと共に家を作っている姿が確認されており、超魔ゾンビにされた個体とは別に原作通りチウに助けられた個体もいたようだ。


【余談】


原作を担当した三条陸氏いわく
「バラン編以後みんなが強くなってしまったので、ポップの代わりに『弱さを勇気で乗り越えていくキャラ』が必要だ」
として誕生したのがチウであるとの事。
また「実力や才能はあるのに精神的に脆かったポップ」「精神力に実力が追いついていないチウ」といった対比もされている。
ちなみにおおねずみを選んだのは、単純に可愛くて好きなモンスターだったからとか。
もしも当初の予定通りにバラン編からそのままバーンとの最終決戦に突入していたら、誕生していなかったかもしれないキャラであると言える。

大人の事情の打ち切りによって旧アニメ版での登場は叶わなかったが、2020年以降の新アニメ版には無事登場*22
容姿は後期の姿に統一されており、最初からゆるふわで可愛らしい。
ファンからは「もしアニメに出てたら声は山口勝平さんにやって欲しかった」と言われていたが、堀江瞬氏の演じたチウは山口氏と雰囲気が非常によく似ていると評判である。




…ははん、そうかおまえ、マァムさんの記事の投稿者だな!?

フフン…ぼくは項目の過去にはこだわらない主義さっ

アニヲタたちの間に何があったかは知らんが…

2ゴールドある。これでシッカリ追記・修正してくれたまえ

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最終更新:2025年06月23日 15:47

*1 おおねずみが回復呪文を使えるようになるドラゴンクエストシリーズは存在しない。チウ本人も堂々と「できないっ!」と言い放っている。

*2 後にゴメちゃんだけは別の戦いで殉職してしまったが…。

*3 後の闘気による身体強化の伏線になっているのかも知れないが、闘気を持たない頃のヒムにも同じことが出来ているためチウが闘気を用いているのかは不明。

*4 敵のおにこぞう達はドン引きしていた。

*5 アニメ版ではモーモン

*6 実際、最初に戦った「バピラスの群れ」は、元ネタの『ドラゴンクエストⅡ』では大ネズミより遥かに格上のモンスターである為、この直観は正しいと言える。しかしそんな状況でも1匹は倒して改心させているので、何気に大したものである。

*7 ダイの養父であり、旧魔王軍の幹部だったブラスですら魔王の影響で凶暴化していたことを考えれば、破邪呪文やアイテムもなしに自分の意識を保てているのは地味にスゴイ

*8 原作では種族名は不明だったが、2021年12月に発売されたオフィシャルファンブックにて判明

*9 もともと仲間だったゴメちゃんや、押しかけ加入である老師、この時点では未加入のヒムを除けば初の『獣王の笛』によらない隊員(候補)である。クロコダインも軍団長となってからは笛を使っていないため、そうした意味でも獣たちの上に立つ資質を見出したという事なのかも知れない。

*10 「瞳」はバーンの手で壊されると元に戻るのだが、カラミティウォールで破壊されても無事に戻れるのかは不明。まぁ仮に戻れたとしても、直後にカラミティウォールが直撃してオダブツであろう。

*11 とはいえ、そもそもが人間換算で10歳相当かつ異種族という点、老師の「人間のカッコイイ所にばかり憧れている」という指摘、「愛に国境はない」など聞きかじったような台詞からすると、本格的な恋愛というよりも恋愛やそれを行う様子に憧れていただけのようにも取れる。実際、成長前ですらマァムどうこうよりも自分が周囲からカッコイイと思ってもらえることを優先していたり、成長後は何かと絡み続けるマァムとポップに対して特別リアクションを起こすようなこともしていない。

*12 つい最近マァムに化けたザボエラから痛い目に遭わされていたが故の行動ではあったのだが…。

*13 「おまえマァムさんの昔の男だな?」「ぼくは女性の過去には拘らない主義さっ」「これ(2ゴールド)でキッパリ別れてくれたまえ」

*14 とはいえゴメスは決勝トーナメントに進出するほどの実力者であり、戦闘中にマァムがダイたちと会話をしている間もずっと戦い続けていたことを鑑みると、チウもそれなりに粘ってはいた模様。

*15 後にクロコダインあたりから教えてもらった可能性はあるが、悲しいかな助けられた後にチウがバランと対面する機会は訪れなかった…。

*16 恐らく「V」で仲間にしたモンスターに4種類のニックネームが付いている(ベビーパンサーのみ4択から好きなニックネームを付けられる)事へのオマージュと思われる。ネーミングも「スラリン」「ドラきち」等に類似するネーミングセンスの例が多い。ちなみに4号のアリババから10号のだいごまでのネームは、読者からの応募で決まった。

*17 チウ自身も、「ちょっと小ぶりな隊員が多い気がするけど」とボヤいていた。だがそのおかげで、人間達に受け入れて貰いやすかったのも事実である。

*18 当初『パ』ピラスと表記されていたが、新装彩録版にて訂正された。命名時のチウの台詞も若干修正されている。(ただし、物語最序盤の魔のサソリ戦でダイが「パピラス」と呼んでいる場面は新装彩録版でも敢えて修正されていない)

*19 このように、チウは独特の鳴き声しか発せないゴメちゃんと会話できる数少ない人物だったりする。

*20 この時は頭に毛が3本で「ゴーストくん」を名乗っていた。どう考えても元ネタはオバQ。

*21 バーンパレスでのヒムのリアクションは見知らぬ相手に対するそれだったし、チウもヒムの容姿が変わっているうえ名乗りを間接的に聞いていただけなので無理もない。

*22 なお打ち切りがなければ登場させる予定はあり、のちに武道家マァムと共に設定画が公開されている。