ルナティック(FE)

登録日:2015/01/12 Mon 18:25:16
更新日:2025/03/22 Sat 12:36:09
所要時間:約 17 分で読めます




ルナティック(Lunatic)は精神異常狂気を意味する単語であるが、ここではファイアーエムブレムシリーズの一部作品に搭載されている難易度について記述する。
どの作品においても「ノーマル」「ハード」といった他の難易度とは一線を画す、言葉通り狂気的な難易度なのが特徴。
某同人STGの最高難易度の名称もこれ。



新・紋章の謎

本作がルナティックモード初登場。
クリアなどの条件はなく、最初からこの難易度まで選択可能。なのでFEやSRPGに初めて触れるという人でも手軽にこの難易度でプレイして開始数分足らずで絶望することが出来てしまう。もちろんそんな人は初回はノーマルにする人が多かろうが…
その名の通り、その難しさは過去作最難と言われた『トラキア776』『ヘクトル編ハード』に匹敵する、あるいは凌駕しているという意見も。

具体的には
  • マイユニットを適当に作成すると序章クリア不可能*1
  • 前日編の最後、本編に移る前から敵が銀武器&ボルガノンorトロンが標準装備*2。特効武器や手槍、手斧といった素の威力の低い武器に関しては4章あたりから錬成して使ってくる。更に15章以降は銀武器やトマホーク、スレンドスピアなどの上位武器も練成されるように*3
  • 1章の時点で盗賊 錬成 サンダーソードを使用する。
  • ダールの方が人殺しになる。7章の時点で 速さ24 を筆頭に『烈火』の終章に登場する某アサシンを一部陵駕する謎ステータスになり、被追撃を防ぐことはほぼ不可能。
  • 後半は雑魚ですら複数項目カンストが当たり前。速さがカンストしていてもこちらのクラス次第では追撃を喰らう場合も*4
  • 敵の命中率が10%底上げされている。先述の武器レベル補正と錬成による命中強化と合わせてまずかわせない
  • 武器レベルもオールAになり、補正(命中率など)が強化されている。
  • ゆえに、HP・守備をカンストさせたエースでも確定1~3発は免れない。追撃を受ける≒即死と言っても過言ではない。


正直よくわからない、という方も多かろうから他のゲームに例えると⋯

+ ※あまりの難易度に対する衝撃ゆえ、記事が誰かに追記修正される度に喩えのバリエーションが足されている。数が増えすぎたため格納。
ファイアボールやハンマーやブーメランを投げてきて、3回は攻撃を当てないと倒れないクリボーが1-1から散発的に出てくる」(スーパーマリオ)
「最初のダンジョンからコッコが敵や攻撃で起動させるギミックの周りを纏わりついて、敵に至っては不定期でコッコを盾にしてくる」(ゼルダの伝説)
「レベル1の時点から敵のワドルディが全員プレイヤーキャラ性能のバンダナワドルディで、食い物のうらみ 思い知れと言わんばかりにどつき回してくる 」(星のカービィ)
「初戦からライバル最初の3匹序盤鳥が最終進化段階」(ポケットモンスター)
ソニックのバカはどこだと言わんばかりの重武装で責めてくるエッグロボ」(ソニック・ザ・ヘッジホッグ)
「最初のおはなし その1の虫から強さ180以上及び究極必殺わざ完備・相性◎のわざカード2枚(タッグマッチの場合一律で属が同じ)・初回から手がランダム」(甲虫王者ムシキング)
ママより怖いお仕置きだべえと言わんばかりに責めてくるメットール」(ロックマン)
亜内武文担当の裁判のチュートリアルの時点で1回のペナルティがカウントorゲージ半減~即有罪」(逆転裁判)
「通常のゾンビギャグに匹敵する防御力とトップアスリート並みの俊足を兼ね備えている」(バイオハザード)
「序盤のドス鳥竜種や中型牙獣種が怒り状態で超高速化&弱点以外全部弾かれる肉質」(モンスターハンター
「序盤から一般兵が大蔵卿に匹敵する聴力」(メタルギア)
「初戦から対戦相手のピッチャーが全員クリストファーロビン」(実況パワフルプロ野球)
「普通のスライムA、ベギラマ、しっぷうづき、まじんぎり、ユアストーリー等を多用するスライムB、合体スライム並みの基礎能力のスライムCというトリオ(一例)が最初の街の周囲から襲ってくる。外観での判別は不可能」(ドラゴンクエスト)
タベラレルーを倒してないのに1Fからどうくつマムルとちゅうチンタラが出現テーブルに紛れており、開幕で大事な売り物がぁ~!みんなつかまえて~!と言わんばかりに囲んでたり、通路で激突される」(不思議のダンジョン 風来のシレン2 鬼襲来!シレン城!)
バルバトスが1戦目開始直後からいきなりポイゾニック・フィールドを展開し移動がダッシュオンリー化&全ての具現結晶含むカウンターと通常晶術、更にジェノサイドブレイバー含む全ての専用特技も連発してくる上、HPを0にして撃破しないといけなくなる」(テイルズ オブ デスティニー2)
「ジュニア級メイクデビューでいきなり全ステSSのネームドウマ娘がライバルとして出走してくる」(ウマ娘 プリティーダービー)
「CPUが基本コンボとしてバスケ採用。1~2回の操作ミスが命取り」(北斗の拳(2D格闘))


と、いった具合の難易度に激増する。




さらには単に敵の質量をあげるだけではなく、

  • 増援が異常に早く出現するように。下手すりゃ開始2ターン目なんてことも。アストリア追い付いてくるのがやけに早い。
  • 1ターン目に説得できなくなったリカードをはじめ配置が嫌らしい方向に変更されている。
  • 6章の時点でぎんの斧装備の勇者や、ぎんの弓装備のスナイパーが厄介な場所に配置されるなど敵配置追加もバッチリ実装。ラング将軍、紅の剣士なんぞより絶対この2人に金と期待と命運かけてるだろ。
  • 敵の行動開始条件が様々に変更。ひとりの移動範囲に入っただけで小隊規模で襲い掛かってきたり、複数の移動範囲に入らないと襲ってこなかったりする。アストリア隊は近寄ってから。
  • ワープの杖、シルバーカード、ボスチクなどバランスブレイカーの徹底排除。闘技場は実質即死トラップに。
  • 訓練場が一戦3000ゴールド。しかも最低でも銀武器持参しないと勝ち目が薄い。

等々さまざまな角度から難易度の底上げが図られている。

これだけ聞くと「クリアできるの?」と思うかもしれないが、そんなことはない。
「星のかけら込で新規加入でも確定耐え」、「力速さカンストで火竜確殺」など絶妙なまでの詰まないための微調整が成されている。
難易度だけではなくゲームバランスの良さもトップクラスな、詰将棋ならぬ詰めFE志向の設計といえる。




公開当初こそ「人間がやる難易度ではない」「攻略させる気あるのか?」など、驚きの声が飛び交ったルナティック。
しかし、研究が進んだ今では「別にそこまで難しくない」「縛りを入れないと物足りない」という声もあり、
成長吟味、錬成、訓練場、闘技場、みんなの様子、リザイア、ハマーン、アゲイン、ドーピング、兵種変更禁止でクリアした動画まで某笑顔動画に投稿されている。
とあるMブレマー曰く、「確定2発なんてぬるすぎる、CC禁止でちょうどいいよ」らしい。
エムブレマーの戦闘狂ぶりはどこまで進むのか…。

先述の通り、エムブレマーの行く手には「手ごわいシミュレーション」を体現したかのような試練が次々訪れる。
だが、クリアした時は何者にも代えがたい達成感を得られること間違いなしである。

更にクリア後の追加難易度として『ルナティック'(ダッシュ)』が存在する。
この難易度はルナティックに1つの要素を追加した程度の内容なのだが、
その追加要素が「戦闘時の行動は常に敵側が先手となる」という代物。はやてのつばさの元ネタはこれかも
後作で言うと全ての敵に待ち伏せスキルが付加されてるようなもの。闘技場や訓練場でも適用される。
いつもこっちから攻めてばかりじゃフェアじゃないよねって馬鹿野郎

それでも決して無理ゲーじゃない!ルナティックをクリアしたキミなら出来る。救済措置として準備画面でドーピングアイテム販売も解禁される(ただし購入可能数は一種類につき3つまで)。
間接攻撃と回復がより重要になるので賢者やスナイパーを増やそう。被弾機会がめちゃくちゃ増えるのでシスターは育つの超早いぞ。
リザイアはこの難易度で最も輝く。

ちなみに、前述の通り敵が非常に強くなるのだが、GBA作品(聖魔除く)のころにあった「ハードブースト」は一切存在せず、敵から味方になるキャラは恐ろしく弱いまま
序章で戦うルークやロディ、シーダを見れば分かるが、今作から「マップ内で仲間にならず、クリア後に仲間になる」キャラは敵と味方で全く別のデータを用意することにしたらしく、その都合でハードブーストは一切かからない。
そして、マップで説得するキャラに関してもハードブーストは一切かかっていない。
その結果としてルナティックでは滅茶苦茶強い一般アカネイア兵>>>アストリアやジョルジュとなってしまったため、文字通り名ばかりの「隊長(笑)」となってしまい、ネタにされることに。


覚醒

『新紋章』の次作でも無事(?)続投。

こちらでも同じく敵が大幅強化され、敵の配置や増援の数も増加。
ハード以下ではランダムだった雑魚敵のスキルが「必ず装備されている」状態になることが多い。
雑魚の武器レベルはもちろん全部A。ドロップ品はそのままだが、基本的に上位武器を新しく持っているパターンが多い*5
原則敵のスキルが4つまで*6のため、雑魚は途中から軒並み追加で「命中+10」「命中+20」をセットするようになり、相性有利でも避けることが難しくなる。
錬成武器の性能は覚醒でプレイヤー側は弱体化したが敵はそのままなので後半は容赦なく威力+8、命中+20錬成。
サンダーソードとかトマホーク、スレンドスピアが下手な神器よりすさまじい性能に。
また、本編とは別にユニットを育成できる遭遇戦の敵が勝たせる気がないかのように強化されており、配信やすれちがい通信のキャラからは経験値1&武器レベル上昇無しというように変更。
本編の敵より遭遇戦の敵の方が桁外れに強い時点でもはや「弱いキャラを育てる」とか不可能で、更にこの遭遇戦の敵はステータスがカンストするまでプレイヤーがどこかのマップで戦闘すればするほど際限なく強くなっていくというわけの分からない仕様。
武器の都合で必要ない部分を除き全部緑色に輝いたステータスで威力+8命中+20錬成のインチキ武器を引っ提げた屍兵の軍団は生半可なすれ違い通信のフレンドなど文字通り一瞬で殲滅する。
その都合、通常マップ以外でのレベル上げが非常に困難になっている(全くの不可能でもないが)。
そのためチェンジプルフでの転職繰り返しも厳しく、後半戦では子世代のエースに頼る場面が増えてくるだろう。
その分、育てるメンバーやカップリングをある程度計画的に進めないといつでも詰みかねないという相変わらずの鬼畜仕様になっている。

ただしDLCの異伝マップで鍛えることはできるため、これを使ってしまえばそこまで苦労せずにクリアできたりもする。


そしてこちらにも更に上位の「ルナティック+」が存在し、敵にスキルが付与される。
まずルナティック以下でも頻繁に見かける「すりぬけ」「カウンター」という、いやらしい2大スキル。
さらに敵専用のスキルとして、攻撃を必ず当てる「絶対命中」や、「大盾+」「聖盾+」「待ち伏せ+」「月光+」などが存在する。
この+は何かというと、味方では確率発動、条件発動のスキルが100%発動する事を意味する。
元々FEでは100%以外信用してはならない、つまり逆に事故率が下がって安全とも言えるが、それ以上に強烈すぎる効果なのは言うまでもない。
またこれらのスキルの付与は2個、ランダムで付与される。
ステや配置などは通常のルナと変わらないが、これらの強烈な効果のせいでルナで通用した戦い方では突破できないこともままある。
ていうか最悪始まる前から詰む。毎回敵の脅威度が変化するため戦闘の安定性も皆無。
遭遇戦ももちろんこの仕様なので、もし屍兵が重複しようものなら能力カンストで凶悪な錬成武器装備の屍兵の大多数がカウンターとか月光+とか持ってる上にマップのあちこちから一斉に向かってくるという疾風迅雷とレスキューがないともうどうにもならない世紀末になる。そりゃ未来で人滅ぶわこんなの。
良いパターンを引くために進軍前の段階でリセットマラソンが必要という苦行が高くそびえ立っており、流石にこの戦略以前の運ゲーっぷりには批判が多かった。


が、この超鬼畜難易度にもかかわらず『全員生存』『出撃人数を埋める(=少数精鋭不可)』『チェンジプルフ使用禁止』『疾風迅雷とレスキューによる速攻クリア禁止』『子世代の人数制限』『DLC禁止』『育成吟味禁止』etc. (他多数)
という、場合によってはハードモードですら厳しくなる多数の縛りをかけてクリアしてしまう生粋の強者も某笑顔動画で確認されている。

なお、基本的にルナティックやルナ+の強化が入った敵が味方になることはなく、マップクリア後に仲間になる連中は敵の時のスキルは消え、能力もあからさまに弱体化するのだが、一か所だけ例外が存在する。
それがシャンブレーの加入する外伝「傭兵戦争」で、このマップは重装団か騎兵団の味方に付いて戦うことを選んだ場合、味方になった側は武器とスキルそのままで緑軍になる。
相手側が数の暴力と錬成武器で襲ってくるので辛いことには変わりないのだが、ルナ+の傭兵戦争でどちらかに付いて戦うと月光+とカウンターを引っ提げ、上手くレスキューしてサポートしてやれば中級魔法のギガ武器で次々に敵の屍の山を築くヴァルキュリアとか聖盾+で魔法・弓を対策し、近接敵は自前の大盾で防ぎつつカウンターでなぎ倒す錬成銀武器持ちのジェネラルが友軍として戦ってくれる。正直異界の魔符の緑軍とかより圧倒的に強い。
君たち正式に仲間になってくれませんか!?金ならいくらでも出すから!

ちなみに、本編と遭遇戦の敵が装備していない「勇者の剣」「勇者の槍」「勇者の弓」「カタリナの雷糸」「セリカの疾風」なども敵専用錬成の対象に入っている
すれ違い通信のキャラが錬成前のそれらの武器を持っていた場合、威力17の勇者の剣とか色々すさまじいことになる。
この時、勇者の斧だけ何故か錬成した銀の斧にされてしまう。威力は誤差なのに斧だけ何故……。


if

『白夜王国』『暗夜王国』『インビジブルキングダム』の3作品全てに搭載されているが、今回はルナティックより上の難易度(´や+)に相当するものは無い。
この辺りから「FEの最高難易度(という名の開発者からの挑戦状)=ルナティック」の図式が定着する。

敵については数、所持スキル、増援パターンが変化するが能力値はハードとあまり変わらない。
これまでは毎回敵の武器レベルはA固定だったが、今作は下級職の武器レベルはBどまりなので開幕から武器レベルAやSのオンパレード、と言うことはない。
ただし、上級職は全て武器レベル最大値のため、AやSになる。

遭遇戦の値段も上昇しているが、覚醒とは違って常識的な範囲内である。
遭遇戦の敵キャラの質は覚醒ほどではないが上がり、上級職になる辺りで強さが跳ね上がる。
上級レベル20になるとかなりの強さに。覚醒と異なり一気に全軍で突っ込んで来ないため応戦そのものは十分可能だが。
相手の能力が緑色に光っていないので気づきにくいが、カンストを若干超えた能力になっているケースもある。そいつらを捕獲した場合、カンスト値に下がるが像を建てて上限を上げるとそのステータスがそのまま反映される。

他に大きな特徴としてはパラメータが固定成長になるため吟味ができない(どういう成長になるかはゲームデータ作成時に決定)。
蒼炎のような成長率依存の固定成長ではなく、どのレベルでどう上がるかがデータ作成時に固定されてリセットしても変わらなくなる特殊な物で、ヘタレると決まってしまった場合は必ずヘタレる厄介な仕様。

また、どこにも記載されていないが敵よりレベルが高い時だけ得られる経験値が加速度的に減っていくようになる。
そのため覚醒のような「無双」に向けた超高レベルキャラを用意できない。
一方で、平均的に味方を育てると相手より極端にレベルが低くなることが無くなり、常に同ランク~やや下程度で推移していく。

また、今作では救済措置としてゲーム進行中に難易度を下げることが可能となっている。

それぞれのざっくりとした特徴としては『物量の白夜』『質の暗夜』『ステータスのインビジブルキングダム』

白夜ルナティックはノーマルからの共通スキル持ちを除いた雑魚にはスキルこそ一切セットされていないものの、とにかく敵の数が増えていき終盤ではものすごい数の増援が四方八方から沸いてくる。
無双してくれるリョウマとか安定した壁ができるオボロヒノカ辺りは良くても白夜で壁になれる人材は限られており、大量の敵と攻陣をどうやって受け流すかが問われる。
武器の耐久こそ無限だが大量の敵でマップが詰まるような状態も起こり得るため、やっつけ負けの脅威が付きまとう。

インビジブルキングダムのルナティックは元から他のルートより高かった敵の能力が更に高くなってしまう。
増援は数ターンに1回出るものが単純にその回数を増やしただけなどの単調なパターンが多いが、基本ステータスの高さは十分脅威。
特に後半では銀武器+カンスト間近の力による物騒な一撃が飛んでくる。
壁になれるような前衛ならともかく、後衛キャラや魔法キャラ、紙装甲アタッカーは文字通りワンパンされかねない破壊力。


だがやはり本命は、高難易度をコンセプトとしている暗夜王国だろう。

暗夜王国は他のルートと比較して難易度アップのための工夫がやたら凝っているため、ノーマル、ハード、ルナティックはそれぞれ別ゲーという意見すらあるほど。
その頂点に君臨するルナティックは、敵の配置・スキルの大量追加、自軍に有利なマップギミックを減らされるなどの嫌らしすぎる調整が加わっており、新紋章ルナティックを突破した勇者たちでさえも絶望することもザラ。

具体例を挙げると、

  • 戦闘後、自分と敵の位置を入れ替えるスキル「切り込み」持ちの増加。敵の切り込みによって別の『切り込み』持ちの攻撃範囲に入ってしまい、その敵の切り込みによって…という具合に、どんどんユニットが敵陣に引きずり込まれる「切り込みリレー」という即死トラップが待っている。
  • 竜脈の位置が変わり、竜脈発動者が竜脈のマイナス効果を受けるようになっている
  • 戦闘後にダメージを与えるスキル『蛇毒』と『四牙』を同時にもつ敵が登場。どんなに堅いユニットでも戦闘を仕掛けられただけでHPが4割持っていかれる
  • その章の間ずっと最大HP半減(回復不可)の杖「禍事罪穢」をあらゆる敵が連発
  • 『無限の杖』『負の連鎖*7』という恐ろしすぎる敵専用スキルの存在
  • 敵によるマップ兵器の使用周期短縮
  • ある外伝に出てくる、壁として使えるアイテム「障害物」の個数が減らされる

ただし能力値自体はさほど上がっておらず、戦略的な面で難易度を挙げている新紋章的なバランスのためゲームとしては非常に完成度が高い。
同時に「覚醒」の育成面における奥の深さも継承されており、自由度もまた高い。
また敵が強くなった分捕獲することで役立つ逸材も何人かいる。
暗夜後半の敵は大部分が自前のクラス資質では覚えない他クラスのスキル持ちなので、カンストまで鍛え上げた捕獲兵部隊を作る際にも独自の特徴となる。

そして戦いの果てには、暗夜王国ないしはシリーズ全体でもトップクラスの難易度を誇る終章という、一人一人のプレイヤーがそれまで考えてきた戦略の全てをぶつける舞台が用意されている。


風花雪月

発売当初はルナティックは実装されていなかったが、アップデートで追加された。
本作は『フリーマップ(ノーマル以外は回数制限付き)』や『攻撃予測線』、『天刻の拍動*8』などのプレイヤーに有利なシステムがあるため難易度ハードでも歴代の中では簡単な部類なのだが、ルナティックは相応の調整が行われている。

まず他作品同様敵数の増加とスキルの追加・変更、ステータスの引き上げが行われている。
特にステータスの引き上げが顕著。序盤の味方のHP以外のステータスが一桁なのに対し、敵はステータスの半分ほどが二桁なことがザラであり、こちらは追撃するどころか相手に追撃をもらって瀕死になるレベルで1人1人の敵が強い。
また、ハード以下では一部の名あり敵くらいしか持っていなかった「剣術Lv.*」や「斧術Lv.*」などといった基本スキルもほぼ全ての雑魚敵が当たり前のように所持するようになり、命中回避が自軍不利になっている他に必殺回避も上がって特に序盤は必殺にほぼ頼れない(つまりある程度は地力で敵を突破しなければならない)バランスとなる。
物語の中盤(2部開始辺り)から速さ40超えの敵も現れ(こちらはせいぜい20~30台ほど)、終盤はほとんどの敵がこちらと互角かそれ以上のステータスで襲い掛かってくる。
ならばこちらもレベルを上げればいいと思うが、ルナティックでは敵から貰える経験値が激減しているため、特に敵とのレベル差があまりない序盤の育成が困難な状況となっている。

また様々な部分で調整がされており例を挙げると、

  • 敵の『騎士団*9』持ちの増加。やたら魅力*10の上がった敵が『計略』を次々とぶっ放す様は、スパロボFを彷彿とさせる。
  • 動かない系の敵ボスがほとんど動くようになる。このため、ボスチクができる場面はほぼない。
  • 一部敵増援が、旧作のように出現後即行動するようになる。
  • 全編通して『すり抜け』持ちの盗賊や『蛇毒』持ちの弓兵が登場するので、壁キャラが機能しにくい。
  • 中盤以降は『○○殺し+』持ちの増加で、疑似3すくみ*11を仕掛けてくる。

などがある。

特に全ルート共通で序盤に挑む『ゴーティエ家督争乱』が敵数の増加、敵増援即行動、1人釣ると一斉に動く思考ルーチン、高ステータスの魔獣*12などが重なって鬼門マップとなっている。だいたい大修道院きっての手練れと称して派遣される割にほぼ足手纏いのギルベルトさんのせい*13
ここを乗り越えると、カトリーヌシャミアといった強ユニットのスカウトや外伝マップが解禁されるので幾分かマシになる。



が物語中盤、ほとんどのルートで挑むことになる『夜明けの追討戦』は、それぞれ選んだ学級の生徒をしっかり育成していないと生存はおろか、最悪詰みの可能性のあるマップであり、多くのプレイヤーが散っていった。
このマップは構成上出撃準備不可*14であり、初期配置は主人公含めて2人。その後マップを進めるごとに選んだ学級の生徒が現れるのだが、マップの3ヶ所(しかも隅っこ)にそれぞれ2~3人ずつ出現するので、普通に進めると各個撃破される。
そして敵のステータスがここに来て急に上がるためハードでもかなり難しいマップだったのだが、ルナティックでは敵のステータスも数もべらぼうに増えているので、1~2章前から準備をしなければならない難関マップとなっている。

なので唯一『夜明けの追討戦』がない紅花ルートは他ルートと比べると簡単…かと思いきや、
こっちはこっちで物理&魔法の混成部隊が増援で現れ、目標である敵将が逃げる(もちろん撤退地点まで行かれたらゲームオーバー)という『ミルディン大橋の戦い』と
門番を潰さない限り四方向から延々と増援が現れる『デアドラの戦い』という、風花ルナでも1.2を争う難マップが2部開幕から待っているという地獄。
そもそも教団と敵対するため、前述の強ユニットが一部スカウトできないという別ベクトルでキツイ調整がされている。
このおかげで『夜明け』がないだけで、総合的には一番キツイという声もある。*15


このような調整が行われているが上記のプレイヤーに有利なシステムは調整されておらず、また『剣回避+20』と『警戒姿勢+*16』を利用した回避盾や『テュルソスの杖』・『カドゥケウスの杖』*17などの強装備、敵に回すと厄介なユニットを事前にスカウトまたは謀殺といったテクニックが通用するので、暗夜王国よりは簡単であろう。(それでも難しいが)

また「風花雪月」はFEには珍しく強くてニューゲームを採用しており、これを使えばかなり難易度が下がる……というよりも、この点については後の週刊ファミ通によるインタビューで「クリアデータ引継ぎ前提のゲームバランス」という点は本作のディレクターより明言されている
ただし、1周目をルナティックでクリアするとスタート画面が変化するというごほうびがある。我こそはというMブレマーの方はぜひとも。


エンゲージ

本作は「紋章士」の力で強力なステータス補正と特殊能力を得られるが、それ以外のスキルや兵種補正が軒並み弱体化しているのもあって、難易度ハードですら経験者が手を焼くゲームバランスとなっている。

それを上回るルナティックでは、例によって敵のステータスと物量が盛られている。
ステータスの上昇幅は『風花雪月』ほどハチャメチャではないものの、ハードなら追撃できた敵に追撃できない、追撃されなかった敵から追撃されるといった絶妙に嫌らしい底上げが光る。
もちろん命中・回避も上がっており、低難易度で大活躍したディアマンドやアイビーは攻撃が全然当たらずに悩むこととなる。また、命中0やダメージ0の相手には一部例外*18を除いて攻撃してこなくなるのでユナカやルイなどの扱いも難しくなる。
守備力も底上げされており、並の攻撃ではカスみたいなダメージしか入らないのも茶飯事。割合ダメージのチェインアタックは手放せない。

地味にスキル持ちの敵が多いのも厄介。
自分から攻撃した場合のステータスを強化する「〇〇の一撃」シリーズは、味方側は習得不可能になったのになぜか敵専用スキルとしてわざわざ続投され、要所要所で苦しめてくる。
特定の武器種に対して有利になる「〇殺し」も敵が独占*19。中には本来の相性を補完する形で習得していることも。
また、大半のボスが「ブレイク無効」「熟練者+」を習得しており、相性有利で反撃を受けなくなるブレイクを用いて一方的に削ることはできなくなっている。熟練者+はブレイク無効に加えて特効も無効にするため大ダメージを与える手段も限られている。

増援がやたら多く出てくるのは過去のルナティックと同様だが、本作(特に終盤)の増援には特有のがあり、これもチャレンジャーたちを苦しめる。
というのも、敵将に近づいてクリアまであと少し⋯というところで物量で押し潰すかのように大量の増援が現れるパターンが今回はとても多い。
しかもご丁寧に戦っても経験値を入手できない「虚無の呪い」がついている。よって増援=稼ぎの図式は成り立たない。*20
そのため、増援に追いつかれる前に急いで敵将を倒し切るという攻略が必要になる。⋯が、本作の敵将はHPを0にしても一定回数復活する(おまけにルナティックでは復活回数が増えていることもある)ので、ちょっとでも判断を誤ると足止めが決壊して死屍累々の悪夢を見るハメになる。


とはいえ、今回はターンを巻き戻せる「竜の時水晶」が序盤4章から10回使えるため、トライアンドエラーは非常に簡単。紋章士とのエンゲージを駆使して苦境を突破していこう。
総合力のカゲツ、超火力のパネトネなど、本作では初期上級職のユニットがしっかり強いおかげで、「序盤のユニットをちゃんと育ててなかったせいで詰み」とかは起こりにくい。


なお、DLCの「神竜の章」で獲得できる腕輪を使うと難易度が下がる。特に、一時的に指輪が奪われてしまう11章以降しばらくの間は、もともと紋章士不在が前提のバランスなのでかなり楽。

無事にクリアを果たしたら、次はDLC「邪竜の章」ルナティックに挑戦だ!経験値で誤魔化せない戦いが君を待っているぞ!



ヒーローズ

ソシャゲであり、エンドコンテンツとなっている一部のモードでは「インファナル」「アビサル」というさらに上の難易度があるが、大体のエリアではこれが最上位。
ストーリー・外伝においては第一部・最序盤で出て来た弱い外伝を除いて軒並み星5レベル40+敵専用の能力補正で強化された敵が登場する。
ガチャ産最新キャラの10凸を相手にするようなものだが、ごく一部の例外以外はしっかり対策すればどうにかなるレベル。

問題は他のコンテンツで、連戦トライアル、戦渦の連戦では名前に偽り無しの凶悪な難易度となる。
連戦トライアルの場合、本編ルナティックのステータスに更に強化補正が乗った化け物を相手に本編、外伝丸ごと(単品だとストーリー5連戦、外伝3連戦)連続でクリアすることになる。
……が、それを更に上回るのが2つ分のストーリー(外伝)をまとめて攻略する 10連戦 (6連戦)の方。
メインストーリーの場合度々無敵チートと大量の増援を相手に5ターン生存とか、3ターンや4ターン以内にクリアという厄介すぎるバトルがあるのだが、当然こいつらも本編以上に更にパワーアップするため、難易度が恐ろしいことになる。
外伝も外伝で最新キャラには遠距離反撃(近距離反撃)を持つ敵が増加傾向にあるため、そいつらのステータスが爆盛りされた結果「誰で殴っても殴られても死ぬ」敵と遭遇するケースがある。

また、戦渦の連戦(ルナティック7連戦)においては 10凸相当のステータスに異常なほど上乗せされたHP という極悪極まりないステータスになるため、魔改造した10凸キャラにボーナス補正を与えてなお苦戦するような強敵が登場することも。
敵有利の配置を仕組まれた最終マップも増加しており、こちらも最高難易度にふさわしい扱いになっている。


余談

名前こそ「ルナティック」ではないもののルナティックに相当するような難易度自体は実は以前から存在しており、前述のヘクトル編ハードの他、『蒼炎』の「マニアック」、『新暗黒』の「ハード☆5」辺りは、名称こそ違うがやっていることは本記事記載のルナティックそのものであったりする。

ルナティックに限ったことではないが、FEでは難易度が高いほど味方も強くなりやすい。
敵が増えるぶん経験値量が増える(高難易度で経験値が減る作品でも、それ以上に敵の数が多いので問題ない)し、意識的に稼がずとも支援レベルや武器レベルが自然と上がっていくためである。
つまり、最高難易度であるルナティックはただ辛いだけではなく、FEの「ユニットを育てる」醍醐味を最大限に味わえる難易度でもあるのだ。
「ノーマルやハードですら苦戦したのだから⋯」という人も、ぜひ一度は挑戦してみてほしい。限られた戦力でノーマルやハードの終盤を突破できたならば、ルナティックに挑む地力は付いていると言っても過言ではない。


追記・修正はルナティックを縛りプレイでクリアした方にお願いします。


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最終更新:2025年03月22日 12:36

*1 マイユニットの初期クラスが「魔道士」などの場合、項目の選び方や序章の敵将のHPのランダム初期値を吟味しないと、こちらが力尽きるまでに敵将のHPを削れないためよほど運よく相手の攻撃をかわせないと詰む。しかも何故か必殺が発動しないので必殺吟味も出来ない。現在は研究が進み全てのクラスで詰まないことが証明されている

*2 実は前日編8は難易度ハードの時点で敵の多くが銀武器装備であり、地の利もとりにくいステージであることも相まってハード~マニアックでは本編1章より遥かに難しいという逆転現象が発生している。

*3 序盤で錬成されていた「キラー」系や特効武器などに関しては更に錬成されており、錬成銀武器とほぼ威力が変わらなくなる。特効対象が食らってしまえばHPと守備がカンストしててもまず持たない。

*4 ちなみにHP~速さといった攻撃面にばかりルナティック補正が掛かるせいで力技速さ20で守備12とかのよく分からないアーマーナイトが出てきたりする

*5 難易度ノーマルの装備品兼ドロップ品が「ショートアクス」なら「トマホーク」を装備しており、ドロップ品にショートアクスがある

*6 下級職2つと上級職2つの計4つ

*7 デバフ効果が累積する

*8 回数制限付きだが、ターンの巻き戻しができる。名称は違うが「Echoes」から実装されている

*9 各ユニットに装備でき、騎士団に応じて能力の強化と『計略』という範囲攻撃・補助をすることができる

*10 今作独自の能力。値が高いほど『計略』の威力、命中、回避が上がる

*11 今作は3すくみシステムを採用していない

*12 大型のモンスターで、数回倒さなければならない

*13 一緒に進軍していると釣ってはいけないアーチャーの射程に入ってしまうのが難易度が上がっている最大の原因。ただし彼自体は敗走しても一切システム的なペナルティがない。つまり射程に入る前に……?

*14 これのおかげでやむを得ず難易度を下げることすら許されない

*15 スカウトに関しては、アップデートで紅花2部限定の強ユニット・イエリッツァが追加されたことによりある程度緩和された

*16 行動せずに待機すると、回避+30(1ターン)

*17 両方とも魔法の射程を伸ばす装備

*18 敵がチェインアタックを発動できる場合など

*19 効果は命中・回避アップではなく、追撃の付加に変わっている

*20 アンナのスキル「一攫千金」や紋章士ヴェロニカのシンクロスキル「SPコンバート」は発動できる