三途アマド

登録日:2025/03/31 Mon 00:00:00
更新日:2025/04/21 Mon 19:12:33
所要時間:約 23 分で読めます







手に入れろ……その手に新たな「力」を

純粋な武器としての(・・・・・・・・・)(カーマ)」を




三途アマドとは、漫画アニメBORUTO‐ボルト‐』の登場人物。



◆概要

作中で暗躍する謎の組織「」に所属する内陣(インナー)の一人。

見た目は白髪に顎鬚を生やした壮年の男。
黒縁と橙色のレンズが特徴的なサングラスを常に着用している。

殻における研究開発技術部門の主任を務める人物で、天才的頭脳によって組織の科学力を支えてきた。
組織の創設に携わった最古参のメンバーでもあり、殻の内情や大筒木一族と「」に関する秘密も知っている。


◆人物

天才的な頭脳を持つ合理性の塊であり、目的のためなら手段を選ばない人物。
記憶との齟齬が生じる不可解な状況に直面しても、誰もが記憶の方を信じる中で自身の記憶よりも物証の方を信じたほど。

性格については不誠実な面が目立ち、重要な情報でも明かす事なく土壇場までひた隠しにする悪癖がある。
専門性の高い科学忍具絡みでは自身以外に露見しないのをいい事に、里側に黙って密かな独断専行に走った事が何度もあり、里を治める側にとって大きな悩みの種となっている。
頭の良さから口も回るので、口八丁で危機を乗り越えられた事もあれば、意識してか無意識なのか煽り口調や無神経な発言で敵味方の反感を買った事も数知れず。
そうした言動と行動の数々もあって、作中では「狸野郎」「ホラ吹き」「アマドの話は信用できない」等々、様々な人物から不信がられている。

以上のように如何にも怪しく、何かよからぬ事を企んでいそうな印象を受けるが、その行動理念の根底にあるのは人の親としての情
忍界の転覆や惑星の滅亡といった大それた野望を抱いているわけではなく、子のために実現しようとしているある目的が何よりの生き甲斐となっている。
普段は冷静沈着な態度を崩さないアマドも、この点が危ぶまれると冷静さを欠いたり慌てふためいたりする。

極度のヘビースモーカーでもあり、作中では事ある毎に煙草を吸っている。
本人曰く、吸うと頭がクリアになるんだとか。
しかしアニメでは放送コードの関係で喫煙描写がカットされてしまい、代わりにコーヒーを愛飲する習慣が追加された。


◆能力

脅威的な頭脳を誇る天才で、一般的な科学忍具の遥か先を行く最先端の技術を幾つも開発してきた。
現に、殻が有する様々な武装や改造人間の能力は全てアマドによる研究の産物である。
忍術を究めんとする大蛇丸とは別ベクトルの天才科学者であり、科学力においては当代随一と言える。

しかし、アマド自身はあくまでもただの一般人であって忍者のような武人ではなく、戦闘能力は皆無
他の内陣のように自身の身体を戦闘用に改造しておらず、認証用に眼球を科学忍具で弄っている程度である。
攪乱用に幾つかの科学忍具を装備しているものの、忍術の類は一つも覚えていない。
作中でもその身一つで投げ出されて危機的な状況に陥った事が何度もある。


◆主な開発技術

  • クローンの作成
アマドが長年研究してきた技術。
特定の人物から採取した細胞を元に、全く同じ肉体の持ち主を複製する。
更にサイボーグとして科学忍具による強化改造を施せば、オリジナルと同等以上の戦闘能力を発揮する事も。
三途アケビを元としてデルタが、自来也を元として果心居士が複製された。

  • 肉体の改造
全身に仕込む科学忍具。
血管から神経系統に至るまで肉体の全てに改造を施し、存在そのものが科学忍具とでも呼ぶべき状態へと変質させる。
この改造を施された人物は肉体を鋭利な形状に変形させたり、部分的に硬質化させて切り離したりといった攻撃が可能になる。
ただし、科学忍具に共通する長期運用によるオーバーヒートの欠陥が改造人間の活動限界にそのまま直結しており、定期的なメンテナンスも必須となる。

  • チャクラ吸収/チャクラ放出
眼球に仕込む科学忍具。
右目で輪廻眼・餓鬼道の如くチャクラによる忍術を吸引し、左目で吸収した術を威力はそのままに放出する。
モモシキのような倍返しとまでは行かないものの、螺旋丸のようなチャクラを主体とした忍術にとっては十分脅威である。
弱点として吸収できるチャクラの量には限度があり、それを超えるとオーバーヒートして使用不可能になってしまう。
デルタに搭載された。

  • 破壊光線
眼球に仕込む科学忍具。
再生能力をも阻害して完全に壊死させる効果を秘めており、眼球から照射して対象を破壊する。
デルタに搭載された。

  • 再生能力
全身に仕込む科学忍具。
肉体が欠損しても瞬時に再生できる。
この再生能力は肉体に内蔵された握り拳ほどの大きさのコアがもたらしており、印を結ぶ事で体内のコアの位置を自在に移動できる。
コアが破壊されると機能不全に陥ってしまうものの、何処にあるのかを見極めない限り攻略は困難を極める。
ボロとヴィクタに搭載された。

  • 緊急停止
アマド本人が目視しながら特定のコマンドワードを発する事により、対象となる改造人間の機能を緊急停止させる機能。
停止によって意識が失われる姿から連想してか、コマンドワードには睡眠に関連した用語が選ばれている。
デルタは「もう寝る時間だよ」、カワキは「寝言は寝て言え」で設定された。

  • 制限(リミッター)
改造人間の能力値を設定する機能。
全体的な能力を下げる大幅な弱体化を施した上で、本人の意志では解除できないようアマド本人による二重認証のロックを掛ける。
他にも、攻撃性能を抑えた分だけ防御性能を限界以上に高めるといったパラメーター操作の如き設定も可能にしている。
コードとカワキに搭載された。

  • 楔の復元
重複防止機能によって消滅した「楔」を元通りに復元する技術。
アマドが仕込めるのは復元の一歩手前の状態までであり、完全に復元させるためには楔を刻まれた当人の強い意志が必須となる。
復元された時点で転生予定の大筒木の魂が消滅していれば、肉体を乗っ取られるリスクも無くなり、白き楔のように武器としての機能のみが残る。
一度消えた楔が復活する事は本来有り得ない事態であり、大筒木一族のモモシキも驚愕していた。
実は復元に際して密かに娘のアケビのデータも追加してあり、クローン体に楔を刻むことでアケビが蘇生できるよう仕組んでいた
カワキに施された。

  • 白眼の力を弱らせる薬
見た目は黒っぽい丸薬で、三大瞳術の一つである白眼の力を弱らせる効果がある。
大筒木一族を起源とする白眼を弱らせる事により、肉体を徐々に大筒木化していく「楔」による解凍の抑制が期待できる。
ただし、視力の低下や最悪の場合として死亡するような副作用も懸念される。
元々はジゲンを倒すためにあらゆる方法を試みた中で生まれた副産物
ボルトに刻まれた楔の解凍を遅らせるための対処療法として用いられた。

  • シバイの細胞移植
太古の昔に幾つものチャクラの実を食らってへと至り、数多の神術を身に着けた大筒木シバイの細胞を利用する技術。
シバイの遺体から採取したDNAを移植する事により、被験者にいずれかの神術がランダムで発現する。
どの神術が宿るのかはアマドにもコントロールできず、更には移植したとしても必ず発現する訳ではない運任せな仕様となっている。
内陣全員とエイダ・デイモン姉弟に移植され、その内コードと姉弟のみが神術を宿し、後に果心居士も発現した。

  • 封印手枷
名前の通り忍術を封じる手枷。
この手枷を装着されると印を結んでも術が発動しなくなる。
電子制御で動いており、手枷自体も相当強固に作られているため、力づくで外すのはほぼ不可能。
予め設定された四桁の開錠コードで第三者に開けてもらうしかない。
ボルトを拘束するために用いられた。


◆作中の活躍

◇第一部

最初に「」の内陣メンバーが集結した場面ではただ一人姿を見せず、ヴィクタの口から「アマド」の名前が出るのみだった。
ジゲンによると、計画の進行に伴う多忙を理由に出席を免除された模様。

カワキが見た過去の悪夢の中ではジゲンと共に登場し、ようやく見た目が判明する。
大勢の子供達を実験台にして「」の適合実験を行っており、「器」の誕生に拘るジゲンに対していつまで繰り返すのか尋ねていた。

その後、殻のアジトにて作業していたところへナルトとの戦闘に敗れたデルタの本体が帰還し、バックアップからの再起動を行った。
乱暴に復活した彼女に苦言を呈しつつも、ボルトに楔が刻まれていたという報告には内陣の一同が驚く中で一人無反応を示し、笑みを浮かべるジゲンを意味深に見つめていた。

ジゲンがナルト及びサスケとの戦いを制してアジトに戻った際には、チャクラの大部分を失い枯渇状態にあった彼を回復装置に繋げ、完全回復まで丸二日はかかる事を伝えた。
それから間を置かず、先んじてアジトに帰還していた果心居士と結託して、なんと殻よりの脱走を図った。
異変を感じ取ったデルタを緊急停止のコマンドワードで無力化し、居士の蛙による逆口寄せ木ノ葉隠れの里の周辺へと飛んだ。

偶然近くにいた新世代の猪鹿蝶に接触すると、手持ちの科学忍具を駆使してシカダイを人質に取り、父親である奈良シカマルとの交渉を要求。
殻の一員であるアマドがシカマルに対して求めたのは、組織に関して自身が知り得る限りの情報の提供と引き換えにした木ノ葉隠れの里への亡命であった。

木ノ葉への亡命

殻を名乗る男の突然の裏切りを受けて上忍の面々が騒然とする中、シカダイの命が危ぶまれる事態を鑑みたナルトの判断により、アマドは里の火影屋敷へと連行される事に。
尋問が始まって早々、煙草欲しさにシカマルを煽って怒りを買い、傍で見ていたボルトは本当に交渉する気があるのか呆れていた。
しかし殻の同胞でもあるカワキだけは、外出すら一度として許されなかったにも拘らずこのような所まで来たアマドの姿に、命懸けの覚悟を見ていた。

是が非でも亡命を認めてもらうべく強気に出るアマドだったが、ナルトが語る火影としての矜持を受け、先に亡命の対価となる情報の一部を語り始める。
大筒木一族の生態と十尾がもたらす災厄、それまで謎に包まれてきた両者の正体を明かしつつ、話の核心に迫ろうとしたところで亡命の確約をナルトに念押しし、意思確認を得ていよいよ事態の本質に触れた。
裏切りの同士である居士から送られてきたジゲンとの戦いの映像も交えながら、楔の大筒木のバックアップシステムとしての真実、そしてジゲンの体内に巣食う大筒木イッシキの存在を明らかにし、不死であるイッシキの倒し方をナルト達に伝えた。

見返りとして亡命の手続きを終えた直後、居士との戦いで器を失ったイッシキがカワキを求めて木ノ葉へ直接侵攻し、ナルトとサスケに戦闘を任せてアマドらは里の地下施設へ避難する事に。
ボルトの時空間忍術による妨害もあって里での戦闘は避けられ、イッシキが倒れるまで地下にてシカマル達と待機していた最中、突如として時空間忍術の黒い渦がカワキを覆い、別空間に連れ去ってしまう。
完全に打つ手を失い落ち着きを失くしたが、しばらくしてイッシキの撃破に成功したという情報が舞い込むと真っ先にカワキの安否を尋ね、無事に安堵した。

秘めたる野望

イッシキの討伐後、亡命承諾の条件でもあった科学忍具班に所属する事となり、遠野カタスケや筧スミレと共にカワキのメンテナンスを行うようになった。
ナルトとシカマルには内陣最後の一人であるコードの情報を伝え、イッシキ殺しの報復に向けて動くであろうコードの対処に協力した。

ナルトが自室を訪れ、モモシキの楔によっていずれはボルトを討たなければならない苦悩を明かした際には、アマドも12年前に亡くなった娘について触れ、楔の解凍を抑制する薬を手渡している。

いつものようにメンテナンスを行ったカワキが器だった頃の悪夢に魘されていると、アマドは今でもイッシキの器である事には変わりない現実を突き付けた上で、ナルトを守るための力として武器としての楔を復元させる可能性を提示した。
楔を忌み嫌うカワキには当然突っぱねられるが、去り際に「選択肢はお前の中にある」と返した。
一連のやり取りを傍で聞いていたスミレは、楔の復元が脅威に対抗するための手段とは別に、アマド個人にとって何か別の目論見があるように見えていた。


数日後、ナルトと里を守るべく思い詰めたカワキが行動を起こし、コードを誘い出すために木ノ葉隠れの里を脱走してしまう。
事態を把握した忍たちが騒然とする中、アマドも心中ではせっかくここまで来た(・・・・・・・・・・)にも拘らず、コードとの戦闘でカワキが下手を打たないか焦りを抱いていた。
結局、戦闘自体はアマドが密かに完了してあった楔の復元によるカワキの強化もあって、何とか乗り切る事が出来た。

翌日、そのような処置を本人に無断で行った事に関してシカマルから問い詰められ、カワキの楔そのものに執着しているかのような態度を指摘されるが、そこへ昨晩の戦闘でシカマルにマーキングしてあった爪痕を通してコードが乱入。
更には廃棄されたはずの改造人間エイダまでもがその場に現れ、頼みの綱であった設定変更後のデルタは無力化され、「制限」解除を求めるコードの手でアマドは拷問されてしまう。
シカマルの機転でエイダが木ノ葉へ寝返りそうになるも、爪痕の退路を断てるカワキの介入を察知したコード一味はアマドをアジトへ連れ去っていった。

いよいよ追い詰められたアマドはコードに命乞いした上で「制限」の解除を約束し、コマンドワード「ドレスコードはない」を告げて真の力を解放する。
直後、約束を反故にしたコードに殺されそうになるが、寸での所でエイダにカワキの話を振ってシカマルの提案に便乗した木ノ葉入りを促し、コードとエイダ・デイモン姉弟を仲間割れさせる事に成功した。
助かったのも束の間、今度はアマドに恨みを抱く姉弟によって殺されそうになるも、カワキに関する秘密…アマドだけが使える緊急停止コマンドワードの存在を明かし、本命の目的について話すにあたって一先ず木ノ葉へ向かう事にした。

数日後、姉弟と共に木ノ葉隠れの里へ戻ったアマドは、ボルトとカワキ、ナルトにシカマルも同席する場で今度こそ全ての情報を洗いざらい話す事となった。
カワキの楔を利用して何を企んでいるのか、本当の目的を語り始めた。

真の目的

遡ること12年前、アマドには三途アケビという娘がいた。
彼女は治療法も特効薬もない原因不明の難病に侵されており、医者も見放す他ない病状であった。
そこでアマドは自身が長年研究してきたクローン技術を活用し、病を治すのではなく肉体を丸ごと一新する事で乗り越えようと考えた。

程なくしてアケビは亡くなったが、この時のアマドはまだ悲しみにくれる事もなく、遺体の脳からバックアップデータを抜き取る等してクローン化に向けた作業に没頭した。

そしてアケビの死からおよそ9ヶ月後、ついに「彼女」は完成を迎える。
アケビと同じ声、同じ姿、同じ記憶を持った……








全くの別人が。




たしかに記憶も姿形もアケビそのもの、しかし言葉にしがたい僅かな人間性で「彼女」は異なっていた。
───後にうちはシンとミツキでも示される事だが、クローンとオリジナルは肉体的に同一であっても突き詰めると別個の存在であり、人格の根幹を成す部分、謂わば「魂」までは複製できなかったのだ。

その後もアマドは幾度となくアケビの復活を試みたものの、出来上がるクローンはいつも「アケビに似た誰か」でしかなく、娘が現れる事は終ぞなかった。
そして何度目かの作成を経て、クローンによる再生では新たな人間を造れても元いた人間の再現は叶わず、ここより先は人間が立ち入れない神の領域にあると悟った。

同時に自分の娘がもうどこにもいない現実をようやく実感し、膝から崩れ落ちて絶望に打ちひしがれた。



そこへ現れたのが、当時ジゲンに寄生していた大筒木イッシキ。
彼はアマドに対して自身の目的に協力するよう勧誘し、その見返りとして娘と再会させる事を約束した。
こうして結成された組織が「殻」であり、アマドはイッシキの目的を成就させるため、星の滅亡に加担させられる事となってしまう。

表向きはジゲンに協力しつつも、星の滅亡を避けるべく打倒イッシキに向けて密かに動くアマドだったが、一方で娘の復活も諦めていなかった。
やがてイッシキの転生に必要な楔のシステムを解明する中で、転生の仕組みを応用すればアケビも蘇生できる事を突き止める。
神の領域であるが故に断念する他なかった魂の再現の可能性を、神の力である神術「楔」が切り開いてくれたのである。

そしてアマドの前に現れた楔の適合者がカワキであり、打倒イッシキと並行してカワキの身柄も保護するべく、慎重に事を運んだ。
居士と共謀して殻よりカワキを逃がし、ジゲンの身体でイッシキを転生させてカワキの楔を一時的に消失させ、木ノ葉の協力も得てイッシキを倒し、大筒木による乗っ取りの懸念が無くなった上で楔の復元に着手。
全ての条件が整い、あとは復元に際してアケビのデータも追加したカワキの楔をクローン体に刻むだけで、娘の復活が叶う所まで来ていた。


話を聞き、アケビが大筒木一族として蘇るかもしれない可能性にカワキは難色を示すが、アマドにとってはこれが娘を蘇らせる唯一の手立てであり、前例がなく大筒木化の可能性も否定できないとした上で、それでも縋るしかない心情を漏らした。
場の雰囲気を汲み取ったエイダの一声もあり、一先ずその場はお開きとなった。

しかし後日、完全な大筒木となったボルトに対する猜疑心を抑えきれなくなったカワキが暴走し、ナルト夫妻を襲った上でボルトへの殺害未遂まで敢行する暴挙に出てしまう。
アマドはシカマルに対してカワキの緊急停止と生存の保証を申し出るが、カワキが起こした事の重大さから聞き入れられる事はなかった。
更にはエイダに秘められた神術「全能」までもが発動し、カワキと立場の入れ替わったボルトが里を抜け出してしまう。

アマド視点ではアケビのデータが入った楔もボルトと共に失われてしまい、望みは断たれたかに思われた。

第二部

第一部から三年の歳月が過ぎ去った本作でも、以前と変わらず科学忍具班に所属している。
アマドの認識では、ボルトが「居士と共に殻より逃がしたイッシキの器」、カワキが「七代目火影の息子でありながらいつの間にか科学忍具で改造されていた」という事になっていた。
だが、アケビ復活の鍵であるはずのボルトが依然として里から追われているにも拘らず、何故か落ち着いた態度を見せていた。

そんな態度を怪訝に思ったスミレに対し、アマドはカワキの身体に施された処置やアケビのデータが入った楔などの物証を根拠として、なんと自らの記憶が一部改竄されている考えを語った。
あくまでも重要なのはアケビのデータが入っている楔であり、今はボルトではなくカワキを必要としているのだという。
この会話は暗部のサイを通してシカマルの耳にも入り、後にボルトとカワキの入れ替わりに気付く切っ掛けとなった。

また、コードの襲撃を想定して密かにカワキの能力値を弄っており、攻撃性能の低下と引き換えに防御性能と再生能力を限界以上に高め、アケビ復活のために何が何でも死なないよう仕組んでいた。
この改造は後に、アマドすら予期しなかった新たな脅威の人神樹が木ノ葉隠れの里を襲い、人神樹の1体である十羅によってカワキが殺されかけた際に役立っている。
だが、一連の敗北で脅威に対抗できる力を求めたカワキが自身の能力値に関する改造を知り、攻撃性能に特化させるようアマドを恫喝しにやって来たが、緊急停止のコマンドワードで無力化された。

目覚めたカワキに対し、アマドは能力値の再設定を約束した上で今一度アケビの蘇生に関する手順を説明し、まっさらなクローン体に楔を刻んでくれるよう頼みこんだ。
だが、アケビが大筒木として蘇るかもしれない懸念が拭えないカワキには拒否され、能力値を再設定して今いる脅威を全滅させた後での蘇生を条件にされてしまう。
当然、攻撃性能に特化させれば今より防御性能と再生能力が低下して戦闘で殺されやすくなり、その分だけアケビ復活の希望であるカワキが失われる可能性も高まる事となる。
そうした事態を避けようと何とか説得に掛かるが、逆に娘の復活を釣り餌にされ、コードや人神樹と戦っても死なないよう限界以上の強さに改造する事を余儀なくされてしまうのだった…。


◆おもな人間関係

  • 三途アケビ
アマドの娘。享年24歳。
その人となりについては、生前の様子を千里眼で覗いたエイダ曰く「普通の女の子」「デルタとは似ても似つかないタイプ」らしい。
アケビの母親、すなわちアマドの妻に関しては詳細不明である。

アマドにとっては大切な娘だったらしく、彼女の蘇生が生きる唯一の目的とまで言っている。
子供絡みでは息子を人質に取られて冷静さを欠いたシカマルを嘲った事もあるが、当のアマドも娘の復活が掛かったカワキのピンチには幾度も落ち着きを失っており、完全なブーメランとなっている。

なお、作中ではアマドの信用を失う言動と行動もあって、そもそも娘がいる事自体が疑われていた
千里眼による裏取りはアマドに対して殺意すら抱き、味方するメリット皆無のエイダが行ったので、アケビの存在とアマドの過去そのものがデタラメという事はまずないと思われるが…。

  • デルタ
殻の内陣。
アケビと瓜二つの容姿をしており、作中では明言されていないが、どうやらアケビ復活のために作り上げられた数々のクローン体を戦闘用に改造した人物の模様。
内陣の中で最初に改造された*1のも、バックアップ含めて何故か複数体いるのも、全ては殻の結成以前から既に量産してあったものを流用したためだったのである。

あくまでもアケビとは別人という事もあってか、アマドは仕事仲間の一人として接している。
当のデルタも自身が何者かのクローンである事は知らない様子。

アケビとデルタの関係性については、目的が明らかになる以前から幾つか伏線が貼られている。
第一部の漫画版39話にて、アマドがジゲンから「お前も含めて全員の望みが叶う」と言われた際には、近くにいたデルタの方を意味深に見つめていた。
そもそも「デルタ」という名前自体、数学における「真の値に近付けるための微小変化」の記号として用いられる事があり、クローンをアケビに近付けようと試行錯誤した日々の証、引いては限りなくアケビに近いはずなのに決して等しくはなれないジレンマが込められた命名にもなっている。

殻の内陣。
その正体は伝説の三忍・自来也のクローン体。

アマドにとっては殻を裏切るための唯一の仲間であり、二人で打倒イッシキに向けて密かに動いてきた。
だが、その実態はジゲンからイッシキを引きずり出すための捨て駒で、敗色濃厚なイッシキとの戦闘に関しては伝えていなかった。
後に居士の生存疑惑を知ったアマドは生きていた事に驚いており、死亡前提の作戦に駆り出した自覚はあったようだ…。

居士を造り上げた背景としては、ジゲン以上の力を持った改造人間がジゲンの指示で処分されてしまった事を受け、様々な条件を考慮した末に完成させた模様。
自来也の遺体は薬師カブトでさえ回収不可能な海の底に沈んでおり、如何にしてクローンのための細胞を入手できたかは不明である。
アマドがクローンの対象に自来也を選んだ理由について、イッシキは「自来也が背負う変革の可能性に縋りたかった」と推察している。

  • ボロ
殻の内陣。
本人同士のやり取りは描かれなかったが、その実力を買っていた模様。
ボロの撃破を知った際には誰が成し遂げたのか驚いていた。

殻のリーダーであり、アマドを組織に勧誘した張本人。
最古参のメンバーとして共に組織を立ち上げた。

ジゲンからはその超人的な科学力を大いに重宝され、自身を始めとした改造人間のメンテナンスや楔の適合実験を行わせ、外出すら一度として許可しないなど徹底していた。
しかし、アマドとしてはいくら娘のためでも星を犠牲にしては元も子もないと考え、裏切りを画策する事に。

ちなみにアケビを復活させるための具体的な方法については明言しておらず、アマドも本当に蘇らせる気があったのか疑っていた。
一応、イッシキの最終目的であるチャクラの実を食す事によって開眼する輪廻眼には、瞳術として死者蘇生を可能にする「外道・輪廻天生の術」が存在する。
イッシキ自ら命と引き換えにアケビを復活させてやるつもりだったのか、それともアマドに開眼させて輪廻天生を使わせるつもりだったのか定かでないが、蘇生手段の有無に関して嘘は言っていなかったと思われる。

殻の内陣。
同じ組織の一員としての付き合いもあり、短気かつやりすぎるところがあるコードの性格も知っていた。
ジゲンの指示で「制限」による弱体化を施したが、後にコード本人に拉致され解除させられる羽目になった。

殻の改造人間。
シバイの細胞移植を施し、魅了と千里眼の神術に目覚めた。
アマドのもたらした魅了の能力でまともな人間関係が築けなくなった事を恨んでおり、今すぐ殺したいくらいと憎悪を語っている。

イッシキの器。
アケビを蘇らせるための希望であり、殻を脱走させてから自身の手でアケビのデータも組み込み復元させるまで、入念に準備してきた。
殻の頃からの付き合いもあり、自身と同じ目的のためなら手段を選ばない合理性も熟知していた。

全能の発動後は「七代目火影の息子」という認識になっており、発動前のボルトに対する呼び方と同じく「カワキ君」と君付けで呼んでいた。
だが、その楔に最大の目的であるアケビのデータが入っている事は見逃しておらず、娘を蘇らせるべく協力を呼びかけたのだが…

ナルトの息子。
モモシキの器として興味を示しており、イッシキ戦での度胸にも感心していた。

全能の発動後は「自身が脱走を企てたイッシキの器」という認識になっているが、本命の楔を持っていない事もあって興味を失っている。

科学忍具班ではアマドの助手を務めている。
「覚えも早く優秀」と研究者としての素質を買っている。

七代目火影。アマドは「火影殿」と呼ぶ。
息子であるボルトが消滅の危機に立たされながらも生存を諦めきれないナルトに対しては、アケビの事もあって珍しく共感を口にし、薬による対処療法を授けた。

木ノ葉の補佐役にして後の八代目火影。アマドは「シカマル君」と呼ぶ。
アマドと同じ頭脳派かつ愛煙家であり、さぞかし関係は良好…と思いきや、実際のところは険悪そのもの
息子のシカダイを人質に取った初対面に始まり、シカマルに対する数々の挑発や頭脳面を侮辱した発言など、やむを得ない状況もあったとはいえ心証を大いに害する行動ばかり取っている。要するにほぼアマドが悪い
アマドの木ノ葉入り以降で最も頭を悩ませている人物だろう。

こうした態度ばかり取られるのでシカマルの方もそれなりの対応を取らざるを得ず、アケビの話についてエイダに千里眼での裏取りを頼んだのもシカマルである。
一方で、同じ子を持つ親としてアマドの気持ちには理解を示している。
アケビ復活の鍵であるカワキが暴走して抹殺する他ない状況に陥った際には、境遇への同情と娘に対する想いを十分汲んだ上で、忍としてアマドからの助命の嘆願を断っている。


◆余談

  • アケビを蘇らせる方法について、読者の間では楔による転生の代案として「穢土転生を使えばいいのでは?」という卑の意志全開な考察がよく挙がっている。
    実際、肉体の複製ではなく魂を参照して現世に降霊させる穢土転生であれば、新たな別人を生み出す事もなくアケビ本人の復活が叶う可能性が高いため、強ち間違った方法でもなかったりする。
    しかも木ノ葉隠れの里には孤児院で院長を勤める穢土転生の使い手がおり、彼の協力が得られれば蘇生も現実的なものとなる。
    娘のためなら倫理観も振り投げるアマドとはいえ、爆弾を内蔵した動く死体として蘇る事にどういった反応を示すかは未知数だが…

  • アニメでは先述の通り喫煙描写がカットされているが、第一部の最終話ではあくまでも手元を映さないまま、明らかに煙草のものと思わしき細長い煙を燻らせるアマドの姿が描かれた。
    表現規制の問題を掻い潜りつつも、アマドが喫煙する姿は描きたいアニメスタッフの苦心が窺える演出である。



追記・修正は煙草を吸っても吸わなくてもお願いします。

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最終更新:2025年04月21日 19:12

*1 内陣の顔に彫られているローマ数字はアマドによる開発順を示しており、「Ⅰ」のデルタは真っ先に改造された事が分かる。