ザ・カリキュレーター(遊戯王OCG)

登録日:2022/10/28 Fri 16:43:36
更新日:2025/02/14 Fri 21:58:38
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《ザ・カリキュレーター》とは、第5期のパック「PHANTOM DARKNESS」に収録された『遊戯王OCG』のモンスターカードの1枚である。
当項目では派生カードについても解説していく。


カードテキスト

ザ・カリキュレーター
効果モンスター
星2/光属性/雷族/攻 ?/守 0
(1):このカードの攻撃力は、自分フィールドのモンスターのレベルの合計×300になる。
攻撃力?・雷族というステータスのため、受けられるサポートがやや狭い。

その効果は、自分フィールドのモンスターのレベル合計に比例した攻撃力になるというもの。
基本的にそこまで変わらないのだが、「攻撃力がアップする」のではなく「攻撃力が指定した数値になる」効果である。
自身のレベルが2なので、最低でも攻撃力は600。
レベル8モンスターが1体いるだけで攻撃力3000の大台に乗り、アタッカーになるだけのステータスを確保できる。
そしてレベル8が2体いたら攻撃力54003体いたら7800になる。そんな状況で一斉攻撃が通るようなら一瞬でライフが吹き飛ぶだろう。
レベル2の雑魚モンスターが即死級の破壊力にあっさり化けるというロマン溢れるカードである。

登場当時は第5期なのでそう簡単に高レベルモンスターが並ぶはずもなく、前述のたとえ話もだいぶ実現は難しかった。
しかし時代が進むにつれ、特にX召喚の隆盛以降は高レベルでも同レベルのモンスターを並べる方法が多く出現。
そういったデッキにこのカードを突っ込めばお手軽高打点が実現できるようになった。
レベルさえ高ければ攻撃力や効果など他の要素はどうでもいいので、そういった意味でも素材用のモンスターとは相性が良い。
効果でレベルを上げられたり高レベルで展開効果を持つモンスターを並べ、このカードを出せばそれだけで攻撃力が確保出来る。
後はそれらのモンスターを使ってさらに高レベルのSモンスター等を横に立たせておく、レベル合計を変えずに盤石にできるだろう。


……とはいえ、デッキの動きに関与しない、つまり事故回避に全く繋がらないカードを突っ込むことが本当に強いかというとそうでもないのも事実。
前述のようにサポートを受けにくいステータスなのも足を引っ張る。
特に攻撃力?のせいでサーチやリクルートに対応していないのが痛い。それを意図しての設定ではあろうが。

また活躍させるにはある程度モンスターの展開が必要なのにも関わらず、貴重な召喚権はこいつ自身に使いがちになってしまう。
そのため並べるには召喚権に頼らない展開をするか、こいつ自身を特殊召喚する方法を別個で用意する手間がかかる。

X召喚を例に挙げたが、その場合X召喚したら実質レベル0になってしまうので素材となりうるモンスターと並べて使うことになる。
しかしX召喚に特化したデッキだと、出てくるモンスター自体は素材要員にすぎないことも多い。
レベル以外どうでもいいとは言ったが、実際の所そんなハリボテ共の横にこのカードを立てて高打点で殴る、というのは主戦術にするには極めて難しい。
やはり基本的にはあくまで打点を求めるロマンカードである。

また他のアタッカー以上にモンスター除去に弱いという欠点もある。
このカードを除去しなくとも、横に立つ高レベルモンスターを除去されればレベルの合計が下がり、このカードも無害にされてしまう。
当然ではあるが効果無効を喰らうと攻撃力決定効果も消えるため、正真正銘の雑魚モンスターと化してしまうのも注意が必要。

同じようにレベルの合計によって高打点を得るモンスターとしては《モンタージュ・ドラゴン》が存在する。
こちらはこのカードと異なり場ではなく手札のモンスターのレベルを参照するので、高攻撃力を得るための手間がかかりにくい。
しかしそれらをコストにしてしまうため、単体除去を受けただけで多大なディスアドを負うという欠点がある。


まとめると相性の良いカードやデッキ自体は多数あるが、運用がやや難しく火力以外の役割は持てないモンスター。
デッキを突き詰めると抜けがちになってしまうロマン砲といったところ。
とはいえ一撃でゲームを終わらせる程のトンデモ火力が出せるのは事実。脳筋にロマンを感じるデュエリストは専用デッキを組んでみても良いだろう。

なお、最高打点は自身とレベル12モンスターが5体いる時の18600。自身もレベル12にすれば21600。
……ではなく効果でレベルを上げる行為にルール上の上限はないので、理論上は無限である。


名前の「カリキュレーター」は「計算機」「電卓」を意味する。
イラストは顔(額?)に画面、胸部にテンキーの付いた赤いロボット
右手で自分のテンキーを叩き、画面には「×300」という数字が表示されているなど、効果に沿ったイラストになっている。


扱いやすいカード・デッキの例

実用性の程度は置いておけば、色々なカードとの組み合わせが考えられる。
上述の通り打点としては文句無い活躍をしてくれるが、「攻撃力?・雷族」という珍しいステータスによるサーチ・リクルートの難しさが足を引っ張る。
逆に言えば、そこをどう解決するかがデュエリストの腕の見せどころ。

  • 《ギブ&テイク》
相手フィールドに自分の墓地からモンスターを蘇生し、さらに自分フィールドのモンスターのレベルを蘇生させたモンスターのレベル分上げる通常罠。
レベル上げ効果の持続は1ターン限りだが大幅な自己強化を期待でき、送り付けるカード次第では更なるアドを稼げる。

  • 《ギャラクシー・クィーンズ・ライト》
自分フィールド上のモンスター全てのレベルを、その中のレベル7以上の1体のレベルに合わせる通常魔法。
《ザ・カリキュレーター》自身のレベルが上がるのもあり、モンスターの数さえ揃えれば凄まじい攻撃力が出る。

レベル5の《ジャンク・ウォリアー》自身は、本来《ザ・カリキュレーター》の攻撃力アップにそこまで寄与しない。
しかしレベル2以下のモンスターの攻撃力を参照する《ジャンク・ウォリアー》側を大幅強化できるカードとしてシナジーがある。
《ジャンク・ウォリアー》と《ザ・カリキュレーター》の2体だけだとしても、《ジャンク・ウォリアー》の攻撃力が4400になるのだ。
《ジャンク・シンクロン》との兼ね合いで非チューナーは基本的にレベル2を使うため、どうしてもという時はシンクロ素材としても使える。

  • 高レベルモンスターデッキ
【ユベル】【堕天使】【ギミック・パペット】【壊獣カグヤ】【列車】など、高レベルモンスターをフィールドに用意しやすいデッキ。
特に【ユベル】では《ザ・カリキュレーター》が出た当時でも比較的高レベルを特殊召喚しやすいデッキで相性が良かった。
《ユベル-Das Abscheulich Ritter》が出た後の膠着を通り魔的なワンパンで終わらせられるため、その点でも噛み合っていた。
前述の通り近年の高レベル主体のデッキは並んでもその後にエクシーズする前提だったりする事も多いので、それだけで相性が良いとは限らない。
その中でも【壊獣カグヤ】系統のデッキはエクシーズせずとも高レベルのモンスターが単体で打点も除去能力も併せ持つものが多い。
召喚権を温存した動きも可能なため比較的運用しやすい。

上の高レベルデッキの延長線。
「幻獣機」モンスターは「幻獣機トークン」に応じて際限なくレベルが上がるため、《ザ・カリキュレーター》の攻撃力が面白いくらいに上がる。
ここで《ギャラクシー・クィーンズ・ライト》等でトークンごとレベルを上げると、10000越えの攻撃力も夢ではない。
ただし元々シビアなデッキなので、かなりロマン色が強くなることは留意されたし。

同じく高レベルデッキ。
他のデッキではそうそう発生しないレベル10以上のモンスターで自軍が埋め尽くされるという状況を結構簡単に起こせるデッキの一つ。
少々運が絡むが上手く行けば攻撃力10000越えを結構容易に狙える。
ただし元々ギャンブルデッキの性質を併せ持ち、性質上必須汎用カードすら入る隙間が極少ないのが【花札衛】というテーマ。
《ザ・カリキュレーター》の存在そのものが事故要因となるため、ロマンを通り越して完全に一発ネタ用である。
単に打点要員が欲しいだけなら攻撃力5000や6000くらいなら自前ないしより確実な方法で用意できる点も向かい風となっている。

恐らく一番相性が良いデッキ。
レベル8モンスターを主軸にするうえ、雷族のサポートを扱うデッキなので邪魔になりにくい。
特に《雷龍融合》はこのカードにとって貴重な対応したサーチカード。併用する利点は大きい。

相性がかなり良いデッキのひとつ。
レベル10モンスターのサーチと特殊召喚が容易で、召喚権が余りがち。
「ネムレリア」モンスターはレベルは高いが攻撃力が高くはなく、高打点のモンスターが他に欲しい。
しかし「ネムレリア」カードの制約でPモンスター以外のEXデッキからの特殊召喚がしにくく、メインデッキのモンスターに頼らざるを得ない。
と、《ザ・カリキュレーター》に都合のいい状況が目白押しである。
また、サーチも《スモール・ワールド》で《夢見るネムレリア》や《万百食らいのグラットン》を経由すれば可能となる。


派生カード

このカードの派生カードとして、以下の2枚を紹介する。

ザ・キャリブレーター
効果モンスター
星4/光属性/雷族/攻1500/守1500
このカードの攻撃力は、相手フィールド上のエクシーズモンスターのランクの合計×300ポイントアップする。
8期後半となる「JUDGMENT OF THE LIGHT」にて収録。
こちらは「相手フィールドのXモンスターのランクの合計×300」だけ攻撃力が上昇する。
《ザ・カリキュレーター》が自分のみなのに対して、こちらは相手のみを参照する。またこちらは「攻撃力がアップする」効果である。
元々の攻撃力がそこそこあるため、ランク4が1体いれば攻撃力2700とそのランク4の水準を超える数値は出すことができる。
ランク5以上なら基本的に余裕で上回れるだろう。

とはいえ、相手依存で攻撃力が上がるだけの効果に十分な魅力があるかと言えばNO。
エクシーズを一切使わないデッキ相手には全く意味がない。
登場当時の8期後半~9期までのエクシーズ主体のデッキが多かった時期ならまだしも、エクシーズ全盛期を終えた現在では殊更に腐る機会が多い。

また戦闘で勝てるだけのモンスターでは「エクシーズメタ」と言えるほどのものではない。
高レベルモンスター運用デッキにおいては相当厄介なあの《ヴェルズ・オピオン》を1枚で殴り倒せるといった強みなどもある。
しかし当時ならともかく、今ではあちらとの遭遇率も低下し《ヴェルズ・オピオン》が効かない新しい種であるLモンスターも登場している。
エクシーズメタの出番は精々EXデッキに特殊レギュレーションが入った時くらい。
そもそも相手依存なうえにエクシーズは比較的数が並びにくいので大ダメージを与えられる場面は少ない。
そして戦闘ダメージを重視しないのであれば、場は離れるがEXデッキ全般に強い《N・グラン・モール》とかで良くね?となりやすい。

元々の攻撃力が?ではなく1500と程々の数字なので、《ザ・カリキュレーター》より受けられるサポートの幅はだいぶ広い。
《サンダー・シーホース》でサーチが可能なため、サーチ先の候補として採用されることもあった。

自分・相手フィールドも含めた全てのランクを参照するモンスターとしては他に《No.100 ヌメロン・ドラゴン》が存在する。
あちらは上昇タイミング等は異なるものの、《ザ・カリキュレーター》に近い性質を持つ。
もっとも、あちらは基本的に自分フィールドで即死級のランクを確保してしまうことが前提になっているが。


名前の「キャリブレーダー」は測定器のブレを修正する「校正機」を意味する。
イラストは顔(口?)がメーター、胸がダイアルになった紫のロボット。
よく見ると胸元には効果に沿って「×300」の表記がちゃんと付いている。

ザ・アキュムレーター
効果モンスター
星1/光属性/雷族/攻 0/守 0
(1):このカードの攻撃力は、フィールドのリンクモンスターのリンクマーカーの数×300アップする。
10期の序盤である「CIRCUIT BREAK」にて収録。
こちらはリンクマーカーの合計×300の打点になる。「攻撃力がアップする」効果なのだが元々の攻撃力が0なので元の《ザ・カリキュレーター》に近い。
片方のプレイヤーしか参照しなかった今までと違い、お互いを参照するため高火力を期待できる。
と言いたいのだが……。

端的に言えば《ザ・キャリブレーター》に輪をかけて使いづらくなっている。
理由は単純に、高攻撃力を確保しづらいため。

レベルやランクは8前後を目にすることも多いが、リンクはせいぜい4、最大でも6。なのにそれに対する調整が一切されていないなのが致命的。
自身がリンクモンスターではない故に《ザ・カリキュレーター》と違いどうやっても自身を勘定に入れられない。
かといって《ザ・キャリブレーター》のように元々の攻撃力がある程度あるというわけでもないのでなおのこと打点が上がらない。
エース級であるリンク4がいても1200、最大のリンク6である《ジ・アライバル・サイバース@イグニスター》がいたところで1800。
ここまでやってやっと下級アタッカー程度の打点にしかならない。
一部の奴は簡単に殴り倒せていた《ザ・キャリブレーター》のように対応する大型モンスターをサッと殴り倒す運用は到底期待できない。

自分だけで大量にリンクモンスターを展開するテーマやデッキなら攻撃力確保は狙える。
サンアバロン」やサイバース族といったデッキが該当する。
その他でも、リンク3の《プロテクトコード・トーカー》を経由してリンク4の《ファイアウォール ・ドラゴン》をL召喚。
その後に《プロテクトコード・トーカー》を蘇生させるなどの方法を流用すれば2100となり、他にリンクモンスターを並べられれば3000位にはなる。
ただ、それらの動きを狙うとしてもこのカードの展開に召喚権などを使うことになりやすい。
それなら元のテーマのモンスターを展開して攻撃力の高いリンクモンスターをもっと並べる方が良いとも言える。

他にもランダムでサイバース族リンクモンスターを特殊召喚できるフィールド魔法《サイバネット・ストーム》を使う方法もある。
EXデッキを高リンクのサイバース族で固めることで、高リンクの大量展開を可能にする運用もできる。
この方法ならリンク5が複数並ぶことも造作もなく、攻撃力は確保できる。
2000以上のダメージを受けた場合にしか使えないため、大きなダメージを立て続けに受けることになり非常にリスキーだが。

総じて他2体に比べると攻撃力を上げる手間がかかり実用性は低い。
察するに、他2体はレベルやランクの概念が出てからある程度経った後に出た。
それに対して《ザ・アキュムレーター》はリンクマーカーの概念が登場してからすぐに出ている。
リンク数のバランスがわからず倍率の調整を日和ったかミスった結果……なのかもしれない。


名前の「アキュムレーター」は高圧の流体を蓄える部品の事で、「蓄圧機」とも訳される。
イラストは人型だった兄弟達と打って変わって、円盤状の胴体に腕と四本の足が付いたロボットというデザイン。
胴体周囲にはホログラフが浮かんでおり、正面には効果に沿った「×300」と表示されている。
なお母音で始まるため正しくは「ジ・アキュムレーター」であるべき。だがシリーズカードとして「ザ・」で統一されているのであろう。



追記・修正は攻撃力一万を超えてからお願いします。

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最終更新:2025年02月14日 21:58