WILD HEARTS

登録日:2023/03/05 Sun 12:13:25
更新日:2025/02/18 Tue 16:59:38
所要時間:約 19 分で読めます





WILD HEARTS』とは、アメリカのエレクトロニック・アーツ(EA)より発売されたゲーム作品の1つ。
PlayStation5Xbox Series X|S、Microsoft Windows(PC)にて2023年2月17日に発売。

イノシシ+木、熊+山というように鉱物や植物と融合した様々な獣を狩り、装備を強化してさらなる強敵を狩っていくハクスラゲームである。
発売こそEAであるが、開発はコーエーテクモゲームスω-Force。ざっくりいうと、コーエーが開発した和風モンスターハンターといったところか。
とはいえ、まんまモンハンや同社開発の討鬼伝というわけではない。
また、高速回転して移動してくるヤマアラシや腕を伸ばす猿など、何か別のものも参考にしてるんじゃないかという疑惑がちらほら。

セーブ枠は1つでオートセーブがメイン。任意で保存も可能。
オンラインプレイにはEAアカウントが必要。

2023年3月10日にギガパッチが配信され、大量のバグ修正とバランス調整が施された。修正項目は150を超える。
Steam版は発売直後から長らくかくつき・フリーズ等不安定な状態が続いていたが、5月のパッチにて漸く安定した。

あらすじ

舞台は「東(あづま)の国」。
自然物と融合した動物「獣」が跳梁跋扈する魔境。
獣はその身に宿した植物や鉱物によって周辺を侵食する縄張り争いを繰り返しており、大地は巨木や巨大サンゴなどに覆われた異様な状態となっていた。
そんな獣を狩ることで人々の生活を守り、生計を立てる「獣狩(ししがり)」という人々がいた。
だが、自然の力を操る獣には専門家である獣狩ですら劣勢であり、今や東の国における人間の生活圏は僅かとなっていた。

ある日、東の国の外から、一人の獣狩が現れる。
しかしそこは魔境。
巨体と吹雪を意のままに操る獣により、瞬く間に崖下に落とされて致命傷を負ってしまう。
そこに現れたのは直前に会話を交わした「六科」と名乗る人物。
彼から齎された箱のような物体によって一命をとりとめるも、その身には不思議な力が宿っていたのだった。


用語

・東の国
獣によって蹂躙された国で、名前の通り日本の東の方にある。
西の方はまだ侵食されておらず、侍を始めとする一般的な人々はそちらで暮らしている。
かつては街や街道であったものの、獣の侵食によってその機能を失った。
概ね5つのエリアに分かれており、うち4つは獣によって特定の四季に固定されたような状況。
なお、北はまだ侵食され切ってない様子。


・湊
東の国で唯一人が暮らしている街。
海辺の崖近辺に作られており、漁業と獣の素材を使った加工品を西方や北方に売って物資を得ている。
東の国を訪れるのは、そちらでの暮らしに馴染めなかった者たちであり、ある意味同類であるため仲間意識が強い。
古の獣狩の協力で作られており、街中にからくりによる仕掛けがあるが、現在は停止してしまっている。


・獣
植物や鉱物と一体化した動物や鳥。
サイズ別に巨獣・小獣・小生物の3種類おり、もっぱら獣とは巨獣を指す。
魚や虫もいるが、これらはあくまで小型の生物である。
獣は周囲の環境を自分に合わせたものへと作り替えることができ、獣同士で縄張り争いをしている。
異形の怪物ではあるが生態は割と元の動物のままであり、巨獣といえど好戦的であるとは限らない。
同様に動物らしく縄張りを奪う・命を脅かす場合は容赦なく襲い掛かってくるが、身に危険が及ぶとすたこらと逃げていく。


・天つ糸
糸のように見える、超自然的な力。主人公からは糸として扱われる。
特定の木や岩から収集できる他、大気中にも存在しており獣たちはこれを吸収してその力を維持している。
その源流は地脈や龍脈といわれるものである。
からくりもまたこの力を利用しており、そういう意味ではからくりを操る主人公もまた獣であると言える。


・獣狩
獣を狩ることを生業とする者たち。
古くは夏木立の島という湊直近の島で活動していたが、からくりの力を東の国に伝えた。
しかし、からくりの力を知る獣狩は減っていき、今やその知識の多くは叡智の結晶である「種」というからくりの中にしかない。
湊に残る獣狩はからくりの知識はなく、最も獣が弱い「春霞の古道」の獣相手に勝てるか否かというレベル。


・つくも
古の獣狩が生み出した自律からくり。ざっくりいうとハロボールの中間。
運用する者がいなくなったことで、大量のつくもが野良化しており、エリア内に隠れ潜んでいる。
自己改造の結果なのか最初からそう作られたのか、外見にはある程度違いがある。
もっぱら同行する意思のあるつくもとないつくもがおり、後者はもっぱらサブとして陰からサポートする形の模様。
前者は近くを通ると独特の「からころ」という音が聞こえてくるので見つけ出して話しかけると仲間になる。


・トコヨムシ
そこら中にいる
獣は傷を負うとそこから天つ糸が漏れ出すが、それに群がるように現れる。
また、死亡した獣の周りにも群がっており、どちらかというと蠅に近い気もするが、蝶は魂の象徴とされたりもするので振る舞いとしては間違ってはいない。
小生物にも分類されていないため、捕獲は不可能。



システム

戦闘

・概要
PS系で言うと、□・△・R2ボタンで攻撃、○ボタンで回避が主なアクション。
基本は□が弱攻撃、△が強攻撃、R2でスタミナを消費する特殊攻撃。
武器は8種類存在し、3つのボタンによるアクションはそれぞれでかなり異なる。
いずれにせよ主軸はR2であり、これを如何にほかの2つに絡めるかとなる。

また、周辺に存在している特定のオブジェクトから「癒し水」という回復アイテムを回収し、上ボタンで使用することができる。
ただし癒し水による回復は隙を晒してしまうため、追撃には注意が必要。
エリア内にある天つ糸を放出している古木には井戸を設置することができ、そこにアクセスすると癒し水が補充されるが再利用には時間が必要。
非戦闘時には食料を食べることでバフをかけることができる。
食料は満腹ゲージがマックスになるまで追加で使用可能。

詳細は後述するが、L1ボタンでからくり設置モードに入る。
本作は武器単体のアクションだけだとやや弱く、からくりとの連携によって真価を発揮することが多い。
防御面においても、突進を防ぎ動きをわずかな間止めたりといったことができる。
というか、出足の速さや攻撃範囲などもあって回避だけだとかなり厳しい。
その為か、プレイヤーから人気があるのはもっぱらからくりに頼らずとも回避などがしやすい武器らしい。

以下、弱攻撃は『弱』、強攻撃は『強』、特殊攻撃は『特』、回避は『避』、からくりは『繰』とする。

装備

装備品は龍脈からくり「野鍛冶の金床」にて変更可能。逆に言うと、咄嗟に変更したりはできない。
また、金床では素材を消費して武器の作成・強化もできる。

武器は素体として最弱のものを作成し、そこから様々な分岐を経て強化していく。
武器には引継ぎ可能なスキルがあり、分岐過程でどのスキルを引き継ぐかによって同じ武器でも違う特性を持たせることができる。
任意の段階まで改造を撒き戻すこともでき、その場合は金はかかるが使用した素材は変換される。

防具は特定の獣を倒すことで頭・胴・腕・腰・足が解放され、作成には同じ獣の素材を使用する。
デザインは獣をそのままモチーフにしたものではなく、和風劇などで見かけるような恰好がほとんどを占める。
また、作成した防具に改良を施し、強化バージョンを追加製作できる((元となる防具は消えない)。
強化バージョンは「人」と「獣」の2種があり、「人」はより人間の服装らしくなり、獣は爪や鬣など獣らしいパーツが増える。防具によって製作できる強化バージョンの箇所は異なる。
「人」「獣」装備は装備すると流派が変動するようになっており、装備品の持つスキルによっては特定の流派でないと発動しないものもある。


・獣との交戦
獣は、クエスト受注で出現するパターンとフィールド上にポップするパターンの2つがある。
クエストは一度フィールド上にいる獣を倒さないと発生しないため、まず見つけ出して倒す必要がある。
獣の位置は龍脈からくり「獣探しの櫓」で把握することができ、マップ上でロックすることで追跡しやすくなる。
獣撃破クエストは回数制限はなく何度でも受注できる他、その間に別のポップした獣と戦うことも可能。
一度戦闘が発生した獣は、3回倒されるまで与えたダメージを引き継いで戦える。
また、オンライン環境ならマップ上から任意の獣に対して同接プレイヤーに救援を要請することができ、マルチプレイも可能。
救援の受諾は龍脈からくり「狩人の焚火」で行う。

獣はそれぞれいくつかの縄張りを持っており、常にそれらを巡回と待機を繰り返している。
また、ダメージを与えると雄たけびを上げて別の縄張りへと逃げ出すので追跡する必要がある。
認識できないほどの遠距離から攻撃した場合や縄張り間を移動している場合などは即座に縄張りへの逃亡をする。
それとは別に、ダメージによって怒り状態へと移行し、攻撃が激しくなったりもする。
最終的には断末魔の叫びをあげて戦闘不能になり、近寄って介錯することで戦闘終了となる。
その後は各素材のドロップ判定が行われ、素材が自動で取得される。
部位破壊によるドロップもあるが、あくまで追加報酬であり全ての素材はランダムドロップで入手可能。

殆どにおいて、攻撃対象以外の獣はプレイヤーへの敵意はなく、暴れまわる他所の獣に恐れをなして逃げ出すことが多いので基本は一対一である。
ただし、小獣の中には好戦的なものもおり、こういうタイプは逃げずにこちらへと攻撃してくるので注意が必要。
特に後のエリアになるほど好戦的な様子がある。


・獣狩の腕
巨獣にダメージを与えていくと、獣が怯んで緑色に光る部分が露出する。
この時、獣に岸壁などと同様にしがみつき、緑色の場所の近くに移動してⅬ2を押すことで発動できる技。ただし、しがみつける時間に制限あり。
発動すると、緑色の部位を破壊し、しがみつきが解除される。
緑色の場所はからくりの動力である天つ糸の塊であり、これにより上限を超えて天つ糸を回収できる。
また、装備品の一種である「護符」のドロップ率が上がる。


・つくも
NPCとして同行するからくり。
戦闘力は低いが、天つ糸の補充やヘイト誘引、癒しの霧(回復フィールド)の展開など様々なサポートを行う。
耐久力があり、尽きると一時的に行動不能になり、しばらくすると復活する。
フィールドには多くのつくもがおり、これを発見することで入手できる「古びた歯車」を消費することで強化できる。
強化項目は攻撃力・防御力・復活速度・糸の補充速度で、合わせて回復能力や攻撃スキルの獲得などが発生する。
いくつものサポートを同時に行ってはくれないものの、それぞれがなかなか優秀な為、ソロでも十分な狩りが可能。
強化は焚火で行うことができ、リソースを消費してリセット・再強化も可能。
また、強化すると所有できる天つ糸の上限が増える。


からくり

本作の目玉。基礎からくり、連結からくり、龍脈からくりの3つがある。
リソースとして天つ糸と龍脈があり、龍脈からくりは龍脈の力を、それ以外は天つ糸を必要とする。
天つ糸は特定の岩・木から取り出すことができる他、獣狩の腕での奪取やつくものサポートで回収できる。
龍脈は、各地にある龍脈にアクセスし、専用の素材を消費して解放することで残量を増やせる。
設置したからくりは攻撃を受けたり自ら破壊したりするまでエリアチェンジしても残り続ける。

L1で設置モードに入り、そこから基礎からくり設置・龍脈からくり設置・からくり破壊のいずれかが行える。
からくりは獣との戦闘で入手できる「獣珠(ししだま)」を消費することで強化可能。
また、食材加工や灯篭・看板など補助のからくりも修得できる。
おおよその説明はメニュー画面で見ることはできるが、正直説明不足なので実際に使って初めてわかる仕様もちらほら。
例えば一部の武器の技後硬直はからくり設置でキャンセルできるという重要テクとか。

・基礎からくり
ボタン2つで瞬時に設置できる。
上に乗ることでジャンプ台にできる匣、正面に素早く飛べる発、武器に火属性を付与する火などがある。
縦に3つ、横に2つ連結することができ、その組み合わせによって連結からくりに変形する。
単独ではあまり効果がなく、他のアクションと組み合わせることで効果を発揮する。
所持できるからくりは一度に四種までで、切り替えは金床での装備変更時のみ。
使用できる連結からくりも変化する為、狙う獣に合わせて変える必要がある。
種類は最も少ない。

・連結からくり
基礎からくりの組み合わせによって発動する。その為、基礎からくりよりも大きい。
修得には、特定の基礎からくりを習得した上で特定の獣と戦う必要がある。
習得条件はからくり習得画面である程度確認可能。
戦闘中にからくり設置モード以降が指示され、指定されたボタンを押すことで習得完了となる。
攻撃や回復、防御など高度な機能を持つが、糸の消耗が激しいためタイミングや方向を間違えると痛い。
特定の連結からくりを苦手とする獣がいるため、うまく使うことで楽になる。

・龍脈からくり
最も大がかりで、最も重要なからくり。サイズは基礎からくりより小さい物から数mあるものまで様々。
5種の龍脈の力を使用して設置する。破壊すれば減少した分の龍脈の力は戻る。
機能が非常に多岐にわたっており、上記のような生活用のものから狩りの要になるもの、移動に役立つものまである。
設置することでマップに表示されるようになるので、目印としても有効。
設置場所はきちんと人が立てる場所ならほとんど制限がなく、崩壊した屋敷の屋根の上や獣の縄張りのすぐ近くにキャンプを張ったりしてもOK。
龍脈さえあればエリア全域に大量のからくりを設置して自身の縄張りと化すことも可能。やはり人間は可能性の獣。
なお、獣によって破壊された場合、少しすると復活する。
湊にも設置できるので、エリアの影響を受けない食料棚・料理系からくり・手飼い籠あたりはここに設置してもいい。


登場人物

・主人公
流れの獣狩。素性・目的などはキャラメイクの過程で決める。性別も任意。
日本が舞台であるが、明らかに外国人の外見に設定することもできる。
来て早々に致命傷を負うもからくりの力で一命を取り留め、同時にからくりを操る力を得る。その結果、右腕はからくり化している。
選択肢からうかがえる性格は積極的・消極的はあるが獣狩の仕事とあらば臆せず挑むタイプで、湊でも方々で頼まれ事を受けている様子。
からくりの力を利用した戦闘術は従来の獣狩がお手上げに近い獣を単独で狩れるほどだが、元々の実力は不明。

・六科(むじな)
CV:菅生隆之
からくり仕掛けの仮面をかぶった神出鬼没の人物。老齢の男性と思われるが、詳細は不明。
仮面は表情に合わせてカシャカシャと変形するという無駄に細かいギミックを持つ。
主人公の命を救い、獣を狩るように指示する。

・なつめ
CV:下山田綾華
主人公に助けられた鍛冶師の女性。
以降は主人公に敬意を示し、敬語で接する。善良な女性であるが、からくり好きな面もある。
湊のからくりは生まれた時点で停止しており、稼働しているからくりを前にすると目の色を変える。

・津守信光
CV:小林親弘
漁業組合「魚取衆」の若長。
世話好きな性格であり、依頼の斡旋などを行っている。

・大堂寺氏繁
CV:山路和弘
元獣狩の男性。現在は飲んだくれ。
なつめに頼まれて護衛役をやるなど悪い人間ではないが、来て間もない主人公にまで認識されるレベルの法螺吹き。
功績を法螺で誇張する一方、照れ隠しでも法螺を吹く。
寄る年波もあり、小獣相手ならともかく巨獣を相手にすることはできない。ただし、かつてはラセツ相手に勝てはしないまでも片眼を奪える程の腕前だった。

・紅玉
CV:清水理沙
西国から来た豪商「烏筒屋(うつつや)」の湊での店主。
何のためにか火薬を大量に仕込んでいたりなどやや胡散臭い所があるが、目先の金に執着するようなタイプでもない。
トラウマを負った子供の心を気にかけるなど優しい面もある様子。
ただ、そんな彼女を毛嫌いする人間もいる。

・玉かづら
CV:高梨謙吾
中性的な男性。気怠そうな雰囲気を醸しており、普段何をしているかよく分からない人物。
からくりの停止で湯の汲み上げができなくなって廃業した湯屋の廃屋を眺めている。
やがて、湯屋に愛着を抱くようになり、再開に当たって番頭を名乗り出た。

・戸賀姫
CV:佐藤みゆ希
湊の権力者。だが、実態は権力争いから弾かれた末席の姫。
そのことを自覚しており、劣等感から内気ではないが恐縮がち。
自分を受け入れてくれている湊に愛着を持っており、何もできない自分を歯がゆく思っている。

・鈴蘭
CV:鶏冠井美智子
からくりや獣の研究をしている学者。
これまで動かす術がなかったために停滞がちだったが、主人公の登場で研究を進められるようになった。
好奇心旺盛だがマッドサイエンティストなどではなく、研究不足によって不測の事態が起きた時は責任を感じたりする。


追記・修正は電力からくり「集万本(スマホ)」「波操棍(パソコン)」の力でお願いします。

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最終更新:2025年02月18日 16:59

*1 足元から直接攻撃する場合と少し離れた位置に出現して突っ込んでくる場合があり、前者のタイミングで避けると後者の攻撃を避けられない。また、離れた位置からの攻撃もドロップキックと連続バタフライの2種類ある。

*2 初期拠点のすぐ近くにも設置できる魚収集からくりで自動収穫できる。

*3 唯一姿映しの鏡はキャラメイクのやり直しができるが湊のみ設置可能