オペレーション・スピットブレイク(ガンダムSEED)

登録日:2023/05/08 Mon 00:21:21
更新日:2025/05/07 Wed 16:28:53
所要時間:約 40 分で読めます






この作戦により、戦争が早期終結に向かわんことを切に願う。真の自由と、正義が示されんことを


オペレーション・スピットブレイク! 開始せよ!




この犠牲により、戦争が早期終結に向かわん事を切に願う

青き清浄なる世界の為に。3、2、1……




オペレーション・スピットブレイクとは、『機動戦士ガンダムSEED』に登場する作戦名。
第1次連合・プラント大戦後半にザフトにより実施された。
本編第34話『まなざしの先』~第35話『舞い降りる剣』にかけて描かれている。



C.E.71/4/1 オペレーション・スピットブレイク提出




真のオペレーション・スピットブレイク、頼んだぞ

「オペレーション・スピットブレイク」は、C.E.70/4/1に開始された「オペレーション・ウロボロス」の最終段階に位置付けられると言える作戦である。
オペレーション・ウロボロスは、地球のマスドライバー基地を全てザフトの手中に収め、それにより地球連合軍を宇宙から締め出す事を目指す作戦であり、
プラント本国は宇宙のL5宙域にある事、地球連合の宇宙に於ける最大の拠点である月面プトレマイオス基地も地球からの補給が無ければ早晩干上がる事から、
地球軍はプラントへの直接攻撃が不可能となり、そもそもエネルギー不足から維持自体も難しくなり……と、
ウロボロスはプラントにとって二重三重に大きな意味を持つ「防衛作戦」であった。

C.E.71年1月に高雄、2月にビクトリアがザフトに制圧された事で、残る地球連合保有のマスドライバーはパナマ基地のみであり、
スピットブレイクはその締め括りとして最後のマスドライバーであるパナマ基地を制圧する作戦として4月1日にプラント評議会に提出され、同日可決した。
尚、この時同時にパトリック・ザラはプラント最高評議会議長に就任している。

しかし、スピットブレイクの本当の目標はアラスカ基地、地球連合軍総本部JOSH-Aであった。
この事を知るのはザラを始めとしてプラントでも極一部の者のみであり、ザフト内部に於いても表向きはパナマ攻撃作戦として準備が進められる事となる。
ウロボロスの目的はあくまで「地球軍を地球に閉じ込めること」であって地球軍を一息に壊滅させる事ではないため、
その点で言えばこのタイミングでJOSH-Aを攻める意味は全く無く、敢えて順当にパナマ基地を攻撃するのではなくJOSH-Aに攻め入ろうとした真意は劇中では語られておらず不明である。
ただ、スピットブレイク開始直前にクルーゼが(頭を潰した方が、戦いは早く終わるのでね……)と内心呟いている点から察するに、
ザラから腹心として信頼されているラウ・ル・クルーゼ隊長が唆した可能性は十分に考えられる。

因みに、スピットブレイクの実行直前というタイミングである5月1日には講和の提案「オルバーニの譲歩案」がプラントに届けられている。
だがその内容は事実上の無条件降伏勧告同然であったためザラら過激派は怒り心頭、これを無視する形でスピットブレイクを実行に移している。

また、「オペレーション・スピットブレイク」という用語自体は、年表上でも放送スケジュール上でも作戦実行の約3ヵ月前である2月初頭の時点の議会で言及されており*1
正式に決議される以前から提案自体はされていた模様。
更にはザラとクルーゼは「真のスピットブレイク」についても言及しており、スピットブレイクに何か裏がある事はこの時点で既に示唆されていた。


地球連合軍の状況




状況は?

順調です。全て予定通りに始まり、予定通りに終わるでしょう

地球軍もまた、ザフトの次の狙いがパナマ基地である事は察しが付いていたが、クルーゼの情報をリークによりその真の目標がJOSH-Aである事を把握する。
これを受けて地球軍もまた、「JOSH-Aが奇襲攻撃を受けること」を逆利用した作戦を練る。
それは、「攻撃目標がパナマだと思い込んでいる事をザフト・自軍両方に向けて装い、パナマに主力を集結させている様に見せかけ主要戦力と有用な人材をJOSH-Aから脱出させる」、
そして「捨て石の守備軍にザフトの目を引き付けさせつつ、JOSH-A地下に仕掛けた『サイクロプス』により攻め入ったザフトを一網打尽にする」というものであった。
これで守備軍が志願者で構成されていたなら美談……とはならずとも「壮絶な玉砕戦」として語られていた所であろうが、
守備軍は地球軍上層部から勝手に「不要」と見做され切り捨てられた者で構成されており、
また当然ながら守備軍には作戦の詳細が伝えられているはずも無く、事実上知らない所で『ザフト諸共そこで死ね』と命じられる作戦といういくら軍事行動と言えどもあまりに非情なものであった。

しかも守備軍の内訳は地球連合の主導的立場にある大西洋連邦にとって、身内でありながらも目の上のたん瘤であるユーラシア連邦の軍が主であり、
彼らが「不要」と判断されたのは、ユーラシア連邦の力を削ぎその影響力を下げる目的もあった。
つまりは、以前にエンデュミオン基地でやったのと同じ事を、或いはより効率的に行う作戦というべきものである。

尚、JOSH-A幹部にしてブルーコスモス派軍人であるサザーランド大佐らからすれば「コーディネイターに穢された艦」であるアークエンジェルは最新鋭艦でありながらも「不要な戦力」と見做され、
優秀な人材と判断されたムウ・ラ・フラガ少佐とナタル・バジルール中尉、プロパガンダとしての利用価値を見出されたフレイ・アルスター二等兵は転属という形で逃がされ、
残りのAAとそのクルーはJOSH-A守備軍と言う名の生け贄に組み込まれる事となる。


C.E.71/5/5 作戦発動




スピットブレイク、発動されました。目標はアラスカ、ジョシュアです

何……!?


シーゲル・クライン! 我々はザラに欺かれた! 発動されたスピットブレイクの目標はパナマではない! アラスカだ!

C.E.71年5月5日、ザラ議長によりオペレーション・スピットブレイクの発動が宣言される。
この時点でようやくスピットブレイクの攻撃目標がJOSH-Aである事が明かされ、パナマ攻撃のつもりで各種の準備を進めていたザフトには少なからぬ動揺が走る事となる。
なお、作戦に参加していたイザーク・ジュールは、当初こそ急な目標変更に驚いていたが、すぐに「一気に戦争を終わらせる好機」と好意的に考え直していた。

当然ながら、「パナマ攻撃作戦」として決議し可決したスピットブレイクがJOSH-A攻撃作戦として発動されるというのは評議会議員としても寝耳に水の事であり、
穏健派議員アイリーン・カナーバは作戦発動直後、かなり焦燥した様子でシーゲル・クライン前議長に連絡を取っている。

総じて、最大限好意的に表現すれば「『敵を欺くにはまずは~』を実践し、敵はおろか自軍さえペテンにかける、相当に手の込んだ奇襲作戦」といった所だが、
普通に受け取れば「議会を無視したザラの独断専行」、悪くすれば「過激派筆頭であるザラの暴走の兆し」と言えるだろう。


フリーダム強奪事件




僕は……行くよ

上記のカナーバ議員からのシーゲルへの連絡に居合わせる形で、
オーブ近海でのアスランとの戦闘で負傷した後に偶然戦場近くに住んでいたマルキオ導師の手でクライン邸に搬送され、
療養生活を送っていたキラ・ヤマトもアラスカ攻撃が開始された事を知る事となる。

アラスカと言えばヘリオポリスの仲間達が乗るAAの目的地であり、そこが攻撃されている事と、
親友との本気の殺し合いを経て「何故、何のために戦うのか」を真に見定め始めた事から、キラは自分一人では何もできないかもしれないとは知りつつも地球に戻る事を決意する。

キラの世話をしていたラクス・クラインはその意志を汲み、彼にザフトの最新鋭機ZGMF-X10Aフリーダムを譲渡、キラはフリーダムと共にアラスカへ直行する。
フリーダムはザフト最新鋭機である以上に当時のプラントの最高機密である「Nジャマーキャンセラー」を搭載しており、
これを部外者へ横流しする事はプラントに対する背信と見做せる行為である。
当然ラクスもそれは重々承知であり、キラを見送った直後にラクスは同志と共に地下へ潜伏する事となる。


C.E.71/5/8 攻撃開始




ちっ! 面白くない『的』だなぁ。こんなもんしか無いのかぁ?

スピットブレイクは実行に際して地球各地から戦力をかき集めて実施される作戦という事もあり、
攻撃目標の急な変更に伴う混乱でスピットブレイクの実質的な作戦開始は予定から72時間も遅延する事となるが、
C.E.71年5月8日に第一陣が到着、地上・宇宙・海上の三面からJOSH-Aへの攻撃が開始される。

しかし上記の通り地球軍はスピットブレイクがJOSH-A奇襲作戦である事は把握済みであり、JOSH-A防衛は僅かばかりの規模の守備軍に任される事となる。
本気でJOSH-Aを落とすつもりで大戦力を差し向けたザフトに対して守備軍の戦力はあまりに少なく、
その貧弱さはイザークも思わず肩透かし振りをボヤく程であった。
総じて、戦闘は全体的にザフト優位で進行して行く事となり、この時点ではザフトは特に大きな損害を出す事も無く防衛側を順調に撃破して行く。

またこの時点でJOSH-A主要スタッフ等は潜水艦にて基地を脱出中ないしは脱出済みであり、サザーランド大佐も既に基地から遠く離れた海中に居た。
件のムウ・ナタル・フレイも攻撃開始直後頃には地下ドックで脱出を待っているところだったが、最終的に脱出用の潜水艦に乗ったのはナタルのみで、
何等かの異変を感じ取って基地に引き返したムウ、更に少し後にその後を追ったフレイは基地に居残る事となる。


クルーゼの動向



久し振りだな、ムウ・ラ・フラガ。折角会えたのに残念だが、今は貴様に付き合っている時間が無くてね

……ここに居ると言うことは、貴様も地球軍では既に用済みか。堕ちたものだな、エンデュミオンの鷹も

情報の横流しを行っていたクルーゼであるが、彼自身もブルーコスモスの盟主であるムルタ・アズラエルから独自に情報を得ており、それを基にJOSH-A内部に単独で侵入している。
しかし司令部に潜入した際にサイクロプスによる自爆作戦を察知、直後に引き返して来たムウと遭遇するも、
今回は因縁あるムウ相手と言えども戯れている暇は無いと判断し、捨て台詞を残して脱出を優先する。

その一方で、脱出中に偶然遭遇したフレイを誘拐するという謎の行動を取っており、このフレイ誘拐の真意は本編では語られる事は無かったが、
後に「クルーゼと出くわした直後に『パパ?』と口走った事で、アル・ダ・フラガ*2の関係者と疑ったため」と補完されている。
そもそも一応は部隊長という立場のクルーゼが一人でJOSH-Aに突入して特に何もせずに帰るという行為自体も結構謎であるが、こちらについては特に語られていない。

尚、ムウとのやりとりを見ても分かる通り、クルーゼはJOSH-Aがサイクロプスで自爆しようとしている事は司令部に潜入した時点で初めて知ったようで、
ムウを前にさっさと撤収したのは大急ぎで脱出せねばならず、本当にムウと遊んでいる暇が無かったためであった模様。

また、クルーゼとのやり取りを経てムウもJOSH-A防衛戦の真相に気付き、AAにそれを伝えるべくAAとの合流を目指して移動を開始、
それと前後してザフト部隊の一部に基地内部への侵入に成功する者が出始める。


アークエンジェルの動向



俺たちはここで死ねと、そういう事ですか!?

撤退した事を悟られないように、奮戦してな


ザフト軍を誘い込むのが、この戦闘の目的だと言うのなら……本艦は既に、その任を果たしたものと判断致します!

なおこれは、AA艦長マリュー・ラミアスの独断であり、乗員には、一切この判断に責任はありません!

JOSH-A守備軍として奮戦していたAAであったが、主戦力を失っているAAがザフトの大群を相手に満足に戦い抜ける筈も無く、
戦闘開始早々に右舷カタパルトハッチを損傷し、その後も各部を被弾・損傷していた。

空いていた戦闘機スピアヘッドに飛び乗る形で出撃し、AAに無理矢理ながら合流を果たしたムウによってマリューらもこの戦いの真相を知る事となる。
これを受けてマリューは万が一にも部下に累が及ぶ事が無いようそれを「自身の独断」と付け加えつつ、敵前逃亡扱い上等でJOSH-Aからの脱出をAAと付近の僚艦に向けて命じる。

この時点で既にザフトの猛攻で守備軍の戦線は崩壊しかかっており、当然ながらパナマからの援軍など来るはずも無く、
パナマからの指示も『各自防衛線を維持しつつ、臨機応変に応戦せよ』を繰り返すだけであった。

ザフトはこの時点でJOSH-A第四ゲートを陥落させ本格的な基地内部侵入を始めており、
メインゲートを落とすのも時間の問題という段階であったため、「ザフトの誘引は完了した」という判断も(是非はともかく)あながち間違いではなかった。


メインゲート陥落/フリーダム到着



こちらキラ・ヤマト! 援護します! 今のうちに退艦を!

AAが戦線を放棄しJOSH-Aから離脱を始めた直後、ザフトはJOSH-Aメインゲートの破壊に遂に成功、正に雪崩れ込むが如く基地に侵入を開始し、
基地外部でも少なからぬ規模の部隊が脱出しようとする地球軍艦隊に攻撃を続ける。
加えて、当初は内部に侵入するつもりだった所をクルーゼに止められたイザークもAA攻撃に参加する。
各部の損傷が深刻化して行くにつれ迎撃が追い付かなくなり、姿勢維持すらままならなくなったAAは、
遂にジンの一機に取り付かれブリッジを破壊されかかるが、その寸前にフリーダムが戦場に到着、
AAの窮地を救うと共にザフトへの攻撃を開始、多数の戦力が無力化される事となる。

更に、直後にフリーダムからJOSH-Aにサイクロプスが仕掛けられている事と、それによりJOSH-Aが間もなく自爆する事が全軍共通無線にて伝達され、
両軍に向けて即時の戦闘停止と基地からの撤退が勧告される。
イザークはそれをザフトを撤退させるためのハッタリと断じ攻撃を加えるも直後に返り討ちにされ、行動不能になった所をディンに救出される形で戦線離脱した。

尚、劇中描写の限り、キラの撤退勧告を受けてこの時点で素直に撤退を開始したザフト戦力は確認されていない。


サイクロプス起動



何だ、あれは……!?

うがぁあぁあっ……お゛お゛お゛お゛お゛お゛っ……!!!!

守備軍は壊滅寸前、メインゲートまでもが突破され、ザフトの内部侵入が本格化という状況を受け、
サザーランド大佐は「頃合い」と判断、サイクロプスを起動する。

サイクロプスは正常に作動し、基地に残留していた守備軍共々ザフト部隊を巻き込んで基地は自爆、
たまたま基地外部に居た事でサイクロプスから逃れられた者、及びAAといった極一部の戦力を除いて地球軍・ザフト共に大多数がマイクロ波に飲まれ、
またザフトにとっては攻撃目標であり、守備軍にとっては防衛目標であったJOSH-Aが、両軍の主力部隊諸共消滅した事で、戦闘はそのままなし崩し的に終了した。


作戦終了後の影響



ザフトの状況



スパイを手引きしたラクス・クライン! 共に逃亡し行方の解らぬその父! 漏洩していたスピットブレイクの攻撃目標!

子供でも解る簡単な図式だぞ!! クラインが裏切り者なのだ!!

ザフトはサイクロプスにより投入戦力の8割を喪失、JOSH-Aは制圧する前に自爆という形で消滅してしまったため、
最終結果は「目標未達・損害甚大」というザフトの作戦失敗という形となった。
この損害により、後に実行されたパナマ基地制圧作戦は予定よりもかなり少ない規模の戦力で実行せねばならなくなり、
更に各地の戦線も消耗・縮小を余儀なくされた事で、アフリカ戦線やジブラルタル基地の放棄、ビクトリア基地の陥落、カーペンタリア防衛戦での苦戦といった、
大戦終盤に於けるザフト地上部隊の戦況不利を決定付ける結果となり、更にはオペレーション・ウロボロスそのものの失敗を招く事となった。
戦術的には勿論、戦略的にも大敗を喫してしまったと言える。

この結果を受けて最も追い込まれたのはパトリック・ザラである。
決議内容を勝手に覆した挙句、作戦は失敗し被害も甚大」という事態は、その責任によりパトリック自身の首すら飛びかねない窮地である事を意味し、
実際作戦後は穏健派議員がパトリックに対し本件を追及せんと議会に詰めかけていた。
しかし、スピットブレイクと同時に発生したフリーダム強奪事件を手引きしたのがラクスであった事と、ラクスが極めて用意周到な手段で行方を晦ませた事から、
全てはクライン派、延いては穏健派議員による情報リークが原因と断定、司法局を動かしカナーバら穏健派議員を拘束に向かうという暴挙に出る。

これにより以降のプラントは事実上ザラ派=過激派によって支配され、地球連合に対してより強硬な姿勢を取り始める事となる。


末端兵士にとっても、この後に行われたパナマ基地攻略戦ではJOSH-Aを生き残った兵士の報復心が暴走、
投降した地球軍兵士を虐殺に掛かるという事態を引き起こし、地球規模の憎悪の連鎖がいよいよ後戻りできない所まで進んで行く。


地球連合の状況



守備隊は最後の一兵まで勇敢に戦った! 我々はこのジョシュア崩壊の日を、大いなる悲しみと共に歴史に刻まねばならない!

が、我等は決して屈しない! 我々が生きる平和な大地を! 安全な空を奪う権利が! 一体コーディネイターのどこにあるというのか!

この犠牲は大きい……が、我々はそれを乗り越え、立ち向かわなければならない!

地球の安全と平和、そして未来を守る為! そして今こそ力を結集させ、思い上がったコーディネイター等と戦うのだ!

ガンダムシリーズ史上でも最悪クラスの戦術である「勝手に自爆兵器を使用し守備軍にザフトを道連れにさせました」などという事実を、
当然ながら地球連合が馬鹿正直にそのまま公表するはずも無く、全てはザフトの投入した新型大量破壊兵器の仕業として発表した。

クレーターと化したJOSH-A跡地や負傷した一般市民を手当てする救護所、コーディネイター反対デモの映像などを流し、
「ザフトの卑劣さ」を殊更に強調したプロパガンダTV演説は、おそらくは後の地球連合の広告戦略「ワン・アース」アピールの嚆矢であると思われる。

大西洋連邦の目論見通り、この戦闘の影響でユーラシア連邦軍は大損害を被った事で地球軍に於ける影響力が低下、
これ以降の地球連合及び地球軍は完全に大西洋連邦が主導権を握る事となる。
当然ながら、仲間を勝手に生け贄にされたユーラシア連邦にとってこれが面白い話である筈が無く、
これ以降大西洋連邦への嫌悪感を向け始め、『DESTINY』の時代に至っては地球連合からの脱退まで考え始める事態となる。

尚、脱出中にサイクロプスの事を知り、小説版では更にムウとフレイが脱出船に乗らなかった事も知ったナタルは、
「AAのクルー達を差し置き、自分一人だけが生き残ってしまった」と深いショックを感じてしばらく消沈し、
また忠実な地球軍兵士である彼女をして僅かに軍に疑念を抱かせ、最終的にはアズラエルに反抗するに至る最初の切っ掛けとなった。

ある意味、第1次大戦どころかC.E.の歴史そのものにも大きな影響を与えた作戦であったとも言えよう。


アークエンジェルの状況



歓迎してくれんのかねぇ? いろいろ知っちゃてる俺達をさ?


命令なく戦列を離れた本艦は、敵前逃亡艦……ということになるんでしょうね……

状況がどうあれ命令無く勝手に戦線離脱した身、更には「JOSH-Aはサイクロプスで捨て駒と共に自爆した」という、
地球軍にとって最悪レベルの不都合な事実を知るAAがパナマに合流した所で歓迎してもらえる訳も無く……と、
ヘリオポリス出港時とは違って完全に行く当てがない状態となったAAだが、ひとまずオーブに身を寄せる事となった。
キラも、「クルーはNJCという最高機密を持つフリーダムにみだりに近付かない」事を条件にAAに合流を果たす。

その後AAはオーブ侵攻に際してオーブに与し、遂にはオーブ軍残党やクライン派と共に三隻同盟として大戦終結に向けて行動する事となり、
また事ここに至っては戦い続ける理由は無いとしてオーブ侵攻作戦を前にクルーには下船が許可されるも、
おそらくはサイクロプスに対する怒りからか大部分は居残り戦い続ける選択をするなど、
やはりこちらにとっても非常に重要な出来事であった。

三隻同盟の介入が無ければ大戦は本当に人類を滅ぼすに至っていたであろう事を思えば、
それを阻止する遠因がサイクロプスだったというのは大いなる皮肉であろう。



反響と考察


「長らく離脱していた主人公が」「戦う理由を真に見定め」「ヒロイン(の一人)の手引きで新型機を入手し」「窮地に追い込まれた仲間達の元に颯爽と駆け付け」「イカした挿入歌をバックに無双」……と、
しばらく陰鬱な話が続いていた第34話ラストから第35話中盤のフリーダム登場までの流れの熱さには定評があり、
特にスピットブレイク後半が描かれている第35話は主人公機乗り換え回としてはガンダムシリーズはおろかロボアニメ全体で見ても屈指の人気を誇る名エピソードである。
単純に『SEED』最大の名シーンとの呼び声も高く、『SEED』という作品自体の好き嫌いは別として「35話が格好いい事だけは間違いない」との声も少なくない。

公式サイトの第35話のサムネやMGフリーダムのパッケージアートや第35話が収録されたDVDの表紙が正にAAの艦橋の前で翼を広げるシーンであったり、
フリーダムというMSにとっても象徴的な場面である事は間違いない。
またパロディの題材にされる事も多いのは、名シーンの宿命あるいはその証明と言うべきであろうか。

バンダイチャンネルに於ける再生回数で言えば、前半の多くのエピソードが50000~60000回前後、後半は70000~80000回であるのに対し、
35話は約11万回再生と、35話の突出した人気ぶりが数字にもはっきりと表れている。

ガチ人気ばかりではなく、ジンがAAのブリッジに接近した瞬間、他のブリッジクルーが衝撃の余り固まったり顔を覆ったり覚悟を決めたりする中、
ただ一人速攻でブリッジから逃げ出す事を判断し実行して見せたカズイの貫禄のヘタレっぷり……を通り越した驚異的危機管理能力や、
その際に喘ぎ声めいた変な声を出していた事はよくネタにされる。
また、キラがJOSH-Aの地下にサイクロプスが仕掛けられている事を公表した際、イザーク・ムウと一緒に名も無きザフト兵のカットインが入った事についても、
敵味方のメインキャラに混ざって全く無関係なモブまで映り込んだ事は一部の視聴者から一種のシリアスな笑いと見られている。


第35話はフリーダム(後期主人公機)の初陣回として有名であるが、「あの」サイクロプス回という事で、
当エピソードは燃え回であると同時にかなりのグロ回でもある
AAがいよいよ轟沈の窮地に駆け付けたフリーダムの大活躍に興奮した所で人間ポップコーン……という展開に「スン……」となってしまったとの声は散見される。
サイクロプスといい助けられなかったジンパイロットの辞世の句といい、挿入歌も曲は勇壮だが歌詞はよく聞くと内容は(撃墜され散って行く戦死者を指差して)流れ星みたいで綺麗だね」(要約)だったり、
後期主人公機が華々しく活躍する回でありながら冷や水を2回も浴びせられている点は流石のキラのいじめられっぷりとも評される。


また、放送から時間が経ち良くも悪くも視聴者が冷静になって来た事に伴い、『SEED』自体も再研究が進められた結果広まりつつある新たな見方、
即ち「キラは放送当時の漠然としたイメージで語られて来たような『生まれ持った力で全てを意のままにする最強無敵の全く損な目に遭わない脚本に甘やかされ系傲慢主人公』……などではなく、寧ろ終始嫌な目に遭い通しでは?」という観点で35話を見ると、
サイクロプス起動後、助けようとしたジンのパイロットが結局死んでしまった事に関しては、
  • 「守りたい思い」だけで戦っても何も守れず、「守る力」だけで戦ったら守りたいものはおろか自分自身すら傷付けてしまった
  • そんなキラが「思いと力の両方」を携えて戦った結果、自分の思いと力を皮肉るような事を言い残しながら助けたかった人に目の前で死なれた
  • 要するに『思いと力の両方が揃ってもムリなもんはムリ』という現実に直面した
という事となり、すると当エピソードは「新主人公機のお披露目の為の大活躍の大舞台」でありながらやっぱりキラ曇らせ回でもあると言える。


新主人公機がお目見えし、今まで火事場の馬鹿力的に暴発させていたSEEDを初めて自身の意志で発動させ、また「敵機を撃墜させない」という新戦術が本格的に描かれ、デュエルへの報復心すら乗り越え……と、
キラが様々な意味で今までとは大きく変わった事が示される35話であるが、他の多くの主要登場人物にとっても運命が大きく変わり始めた回でもある。

ナタルはAAを降りて異動して行き、フレイはクルーゼに攫われしばらく彼と行動を共にする事となり、イザークは今までのナチュラル蔑視思想に変化が出始め、
そしてAAとキラと一度はAAを降りたものの再合流したムウは地球軍を脱走し単独行動を開始する。
何れも『SEED』の物語のクライマックスに向けた布石・伏線と言えるものであり、
またメタ的な観点に於いても、今までのストーリーはファーストガンダムを現代的にアレンジしながらもほぼ忠実になぞって来ていたのが、
これを境に『SEED』の独自色が強く出始めるという、様々な意味で物語の大きな転換点となった回でもあると言える。


この様に、「フリーダムの戦いぶりが鮮烈な回」「サイクロプスがえげつない回」という二点で語られる事が多い第35話であるが、
見ようによって「燃え回」とも「グロ回」とも「鬱回」とも「新章幕明け回」とも取れるという、味わい深いエピソードであると言えよう。



HDリマスター版第35話


一部が新規作画に置き換わっているリマスター版であるが、特にフリーダムの一斉発射シーンが大きく描き替えられている。

一斉射撃1回目でレールガンなのにビームのような照射をしていたクスフィアスや2回目でなんか異様な速射を見せていたバラエーナが、
クスフィアスは実体弾を連射しているように、バラエーナはビームライフルより遅いぐらいの連射速度になったあたりは分かりやすいか。
また被弾してるザフトMSへビームライフルの緑色の光線とクスフィアスの黄色い光線しか描かれていなかったのが、バラエーナの赤い光線も描かれるようになった。

非常に大きな違いとして、2回目のミサイル群を薙ぎ払った場面では、本放送版では「武装を乱射するフリーダムの背後の遠景の奥で爆炎が広がって行く」という構図だったのに対し、
リマスター版では一斉射撃に頭部機関砲が追加、更にミサイル迎撃の様子は「フリーダム間近のバックショットで、爆炎が広がった後は各砲門のダクトから排気」という全く異なる描写になっている。
この変更は「より格好良くなった」と非常に好評である。
因みに、これ程に気合の入った新規作画になったのは原画を紛失していたからとも言われる。

本エピソードの新規作画と言えば上記フリーダムの一斉射撃が語られる事が多いが、他のシーンにも新規作画になっている部分はあり、
ランチャーストライカーを装備して再出撃したスカイグラスパーの戦闘シーンも一部新たに描き直されている。
分かりやすいのは一度に多数のMSを相手取ったシーンで、
本放送版では「機銃を撃ちまくりながら機首を八の字に振り回すスカイグラスパー→被弾している様子のザフトMS群の様子の止め画」というヘンテコな、かつイマイチ締まらないものだったのに対し、
リマスター版では「機銃とアグニを斉射しつつ左旋回し、右舷側に設置された対艦ガトリングとガンランチャーも斉射→一機ずつ撃破されて行くザフトMS群」と、
フリーダムと異なり今後バンク流用される事も無いにも関わらず中々に気合の入った作画で迫力ある戦闘シーンが描き起こされている。

その他細かな点として、ムウがスピアヘッドで出撃する直前に基地内に侵入したシグーが重突撃機銃を発砲したシーンでは、
本放送時は何故かビームを示す緑色の光条で描かれていたのがリマスター版では設定通りの機銃弾を示す橙色の火線に修正されている。



キラの行動について


  • サイクロプスの認識
劇中描写の限り、キラはマリューからは「基地にサイクロプスが仕掛けられており、ここから離れる必要がある」としか聞いておらず、
何故それだけの話でJOSH-Aが自爆するという事まで分かったのかは何気に謎だったりする。
単純に話の流れでそういう事なのだと察したか、元工業学部生としての知識で『"資源採掘装置"サイクロプスは暴走させると一帯を巻き込んで自爆する事が理屈上可能』と元から知っていたとも考えられる*3


  • 説得に徹する事はできなかったのか?
JOSH-Aが間もなく自爆すると知った後のキラの行動が「戦闘停止と撤退を訴えながら攻撃を続行」だった事について、
「戦闘停止を呼びかけながら自分は攻撃し続けているのは如何なものか」という意見が寄せられたり、
「あいつ……(逃がす気あるのか?)」とか「キラ君……(だったらまず撃つのやめなさいよ)」などとネタにされる事がままある。
後述の高山版では「戦場に到着後すぐに武装解除の上で戦闘停止を呼びかけ続ける」だった事も引き合いに出されがちである。

しかし劇中の状況を鑑みると、「後期主人公機の初陣には華々しい活躍が必要」というメタ的な事情は置いておくとして、
「『攻撃しながら撤退呼び掛け』では説得力が無さ過ぎる」「漫画版の方が自然かつ効果的」とは必ずしも言えなかったりする。

まず、戦場に現れた時点のフリーダムは地球軍・ザフトの両軍にとって「突然現れた味方信号の出ていない所属不明機」であり、
そして戦場に到着した時点でAAを守る為にまずザフトに攻撃を加えた身分である(これは高山版も同様である)。
つまりフリーダムはザフトにとっては明らかに敵、地球軍にとっては暫定的に味方に見える状況であった。
ザフトからすれば「地球軍の艦を守った所属不明機が、JOSH-A内部になだれ込む直前のザフトに撤退を促している」構図であり、
そしてそれはどう考えてもザフトの攻撃を食い止める為のハッタリとしか思えないものである。
実際イザークは「下手な脅しを!」と食って掛かっており、高山版でもブラフと断じたディンのパイロットがフリーダムに攻撃している。
小説版でもイザークは「状況不利な地球軍の出まかせとしか考えられないし、事実なら戦っている味方ごと本部を爆破する作戦という事になるがいくら何でもそんな非道な作戦に出る訳ないし、よしんば事実としても公表したら意味が無い(要約)」と、
一種の性善説からキラの言う事を口三味線と断定し信じなかったとされている。
ザフトの中でも過激派寄り、ナチュラル蔑視思想の強い(強かった)イザークですらこれであるなら、他の兵士も同様に考えていても不思議はない。
そんなフリーダムを前に「はい分かりました」と素直に撤退して母艦に戻れば、良くて「真面目にやれ」と怒られて戦場に送り返されるか、
下手をすれば「補給でもなく正当な理由も無くして前線を離れた」として敵前逃亡でその場で射殺される可能性もある。
つまる所、説得に徹していようがいまいがフリーダムという存在そのものがザフトにとって不審極まりない以上、
必ずしも「武器を捨てて言葉に徹していれば退避勧告に説得力が出た」とは言えるものではない。


あの状況のザフトが突然現れた謎のMSから撤退を促されて素直に聞くだろうか?という点も問題となる。
只でさえ敵を殲滅する事に躊躇いの無いC.E.の兵士達である。
ましてやザフトからすれば、スピットブレイクは地球軍地上部隊にトドメを刺すつもりでザフト地上軍の大半をかき集めて決行された一大作戦である。
それが突然現れた所属不明機の言う事に素直に従えるかと言えば、否であろう。

そもそもフリーダムが戦場に到着した時点でAAは撃沈寸前であり、キラとしてもAAを助け出す為にまずはどうしても問答無用で向かって来るザフトMSを撃退する必要はあった事、
今ここで退艦する訳には行かず、生き延びるには「AAごと逃げ切る」しかない状況だった事も考慮せねばならない。
今すぐどうにかしてAAを守らなければならなかったこととそんなAAにザフトが群がって来ている事、
この時点ではキラはJOSH-Aの地下にサイクロプスが仕掛けられている事は知らず、上記の通りまだ撤退勧告もしていないため、
アラスカ到着直後の「損傷著しいAAを守る為に接近してくるザフトMSを武装解除させて行く」と、
その後の「大量死が起こる事は望むところではないため双方に撤退を勧告する」という行動に矛盾は無い。

また高山版ではフリーダムの到着がかなり早かった性質上、その時点でAAもそこまで激しい損傷を受けてはいないため、
原作と違って高山版キラには「今すぐ向かって来るザフトを片付けなければならない程切羽詰まっていなかった」という違いがある。
高山版は原作と比べ、様々な意味で状況に余裕が非常に大きかったという点も加味すると、
そもそも「初手武装解除」と「あくまで説得」だけを見て高山版キラの方がより適切な行動を取っていると単純比較できないとも言える。


また、「攻撃しながら撤退勧告しても……」という指摘についても、「武装だけ破壊された」事は嫌でも撤退しなければならない理由となり得るものであり、
今すぐにでもザフト兵をその場から逃がす為には多少強引なれどもそうするのが一番手っ取り早く且つ確実である。
要するに、「それで言い訳つくだろ! 帰っちまえ!」という訳であり、些か乱暴ではあるがやはり最悪手とは言えない。


……と反論される事もあるが、劇中描写を見るにこの解釈もあまり適切とは言い切れない

そもそもの話としてキラがマルチロックオンでザフトMSを一挙に戦闘不能にさせたのは撤退勧告の前であり、
撤退を促しながら一斉射撃して画面一杯に爆炎が広がるシーンで破壊しているのはザフトMSではなく飛来して来たミサイルである。
これは後付けの補完云々の話ではなく、実際に画面をよく見るとフリーダムのコクピットのモニターに多数のミサイルが接近して来ている様子が確認できる(リマスターやSEで追加されたものではなく本放送時から描かれている)。
直接襲って来たデュエルを自衛のために切り伏せた件を除くと、撤退を促して以降はフリーダムがザフト機に攻撃した明確な描写は無い。
つまりそもそもフリーダムは「撤退を促しながら(積極的に)攻撃」などしておらず、「無防備を晒す姿」が描写されていないだけで原作でも撤退勧告の中でやっている事は高山版と大差ない可能性が高い
小説版に於いても同様で、やはり撤退勧告後はデュエルを自衛にバラした事以外で戦闘描写は無く、「自分だけ攻撃」を示唆する言及も無い。
よって、原作キラの行動への疑問の大前提である「戦闘停止を呼びかけながら自分だけ戦闘続行」自体が成立しない
「ミサイルの迎撃ならOKというものじゃないだろ」という再反論もあるが、繰り返しになるがこの時のAAは沈みかけであり、キラとしてもあまり手段を選んでいられる余裕は無かったのが当時の原作である。
「ミサイルを無防備に浴びれば誠実だが、迎撃したり避けてしまったら説得力が無い」というのはいくら何でも暴論であろう。


また、これは劇中描写から少々逸脱した考察・推測の面が強い見方となるが、
これまでにキラが経験して来た「思いだけでは守れざり、力だけでは即ち狂犬なり」を基準に見ると、
高山版に於ける「戦場で自ら無防備を晒したことで撤退させる」という行為には『力』が欠落しており、
実際にそれで撤退させる事に成功するのは「力」無くして「思い」だけで守りたいものを守れたという事になる。
それは「思いだけでも、力だけでも」の否定、延いては『SEED』という物語がこれまで描いて来た、そしてこれから描かれる作品の根幹的な味わいそのものがブレてしまうとも言える。
先述の通り、狂気の一歩二歩手前くらいのザフトが「真摯な態度」(おもい)一つですぐに素直に撤退に応じるかは疑問であり、
それでザフトが素直に引き下がってしまったらそれこそ都合が良過ぎではないかという反論もある。

高山版は高山版という独自の歴史と展開と解釈が描かれている以上、高山版の中だけでこの展開を語る分には何も問題ないが、
「アニメでもこうすべきだった」として原作にまで高山版の解釈をそのまま持ち込むと、
ましてや原作で高山版の展開をそのまま採用すると、原作や原作のキラにとっては些か不自然気味な描写・展開となってしまうとも言える。


勿論、「戦いを否定しながら力尽くで撤退させる」という行為(上記の通り、この認識は誤解である可能性が高いが)にイマイチ釈然としないものを感じるというのはそこまで不自然ではなく、
「(これも厳密には少し異なるが)自ら丸腰となって撤退を、あくまで言葉だけで呼び掛ける」という行為は、
「戦いを止める為の戦い」「本当なら戦わないに越したことはない」というキラの理想により近い事も確かで、
そこには原作の「敵の大群を瞬時に蹴散らして行く」とはまた異なる渋い格好良さと熱さがあるのも間違いない。
今までは「敵を皆殺しにする以外に守りたいものを守る術はない」と考えていたキラが「使い方の如何を問わず、暴力に拠らずに守る」というのも、
「思いと力の調和」とはまた異なる方向性での立派な成長であろう。
これまでの描写を覆し本来の理想が実現するというのは今まで散々縛られ苦しめられた運命に打ち勝つという事でもあり、それもまた一つの「燃え」である。
そういった点も鑑みると、あくまで言葉だけでザフトを撤退させるというのも、絶対に間違った解釈……という訳でもないとも言える。


正直な所、『SEED』は(特に放送当時やその後の数年間は)賛否が分かれがちな性質上、「高山版を高評価すること」は翻って原作へのアンチ活動となる側面があるため、
高山版は一種の逆張り先や対立煽りに利用されていた時期が確かに存在した。
この為、特に昔の「原作と比較して高山版ばかりを持ち上げる(様に見える)者」の原作描写を疑問視する意見ばかりを鵜呑みにするのは些か危険である。
勿論、必ずしも「高山版ファン=原作アンチ」「高山版を好意的に見る=原作へのヘイト行為」という訳では断じてなく
またその様な視点で原作ファンが高山版や高山版ファンを否定的にばかり扱えば(逆もまた然りである)、
それこそC.E.世界よろしく(対立煽りにまんまと嵌められる形で)SEEDもしくはガンダムファン同士で妥協不可能の戦争になってしまう。

本件に限らず原作と高山版の比較を語る際は「いろいろ事情が違う」事を前提の下、お互い歩み寄りの姿勢と冷静さを持って臨まねばなるまい。



本編外での扱い


  • 小説版
大まかな流れはほぼ原作と同様。
特に大きな違いとしてキラのデュエルへの扱いが挙げられる。
原作ではデュエルの両足を両断した後にグゥルから蹴り飛ばし、墜落しかけたのを駆け付けたディンが助けたという恰好であるが、
小説版では最初からディンの居る方向に向けて蹴り、それを受け止めたディンがそのまま撤退という展開となっている。

原作の撤退を促しておきながら大気圏内飛行できないMSを海に蹴り落すのはどうなのかという点はよく指摘されるものであり、その点を補完したものと言える。
勿論アニメ版のキラが「因縁あるデュエルを撤退したくてもできない様にする事で復讐した」「デュエルは自分ではなく天運に裁かせ、生き延びれば許す、死んだらそれまでと判断した」なんてことは全くなく、
好意的に解釈するなら、やはりディンがすぐに駆け付けて来る事を見越してのキックだったのだろう。

また脱出後のキラとジンパイロットの会話はカットされており、
また「何故助けた?」「そうしたかったからです」のやり取りはキラと再会したムウとの会話となっている他、その関係で「殺した方が~」の下りも省略されている。

その他細かな違いとして、サザーランドらの乗る潜水艦の高官専用室の描写が追加されており、
第四ゲート突破の報告を受けて「ユーラシアの連中は弛んでいるのでは?」等と言い放ったり、
サイクロプスの起動まで茶を飲みつつ優雅に談笑して時間潰ししていたりと、高官らのゲスっぷりが悪化させられている。

因みに、本作では時系列と視点の整理として、行方不明中のキラがラクス邸で目を覚まし療養生活を経てフリーダムを受領するまでの流れは、
アラスカ脱出後にAAと合流しクルー達と対面したタイミング、原作で言えば第36話冒頭に当たる位置にまとめて挿入されている。


  • 高山版
本作ではAAが戦闘開始してすぐにフリーダムも現着している他、AAのブリッジに迫って来たMSはディンとなっている。カズイが逃げ出そうとしている様子もしっかり描かれている
到着早々にディンの武装を破壊したのは原作同様だがJOSH-Aがサイクロプスで自爆すると判明した後のキラの行動に大きくアレンジが入っており、
原作ではAAを守るために迫り来るザフトMSを武装解除させて行った後、ミサイル群を迎撃しながら撤退を促していたのに対し、
本作ではJOSH-Aが自爆しようとしている事を最初から両軍に伝え、ザフトがそれを全く信じず攻撃して来る様子を見るや、

信じてくれ!! もう時間が無いんだ!!

ビームライフルを仕舞い、両手を広げ、自身に戦闘の意志が無い事を表明しながらザフトの説得を試みるという展開となっている。
なお、キラの行動を「武器を捨てて」「自ら武装解除して」と表現される事が多いが、ビームライフル・ビームサーベル・各種固定装備は全て装備したままであり、
ビームライフルも後腰部ラッチにマウントしただけなので、武器を捨てても武装解除してもいない。あくまで収納しただけである
また、「高山版のフリーダムは『ハイマットフルバーストができない』事から、この状態のフリーダムには頭部バルカンしか使える武器が無い」と説明される事も多いが、
フルバーストではなくクスフィアスだけなら使用可能なはずである。

戦場のド真ん中で無防備となったキラはザフト部隊からは「こ…こいつ正気か!?」とまで言われるも、それ故に「本気さ」を見たことでザフトは撤退を選ぶ事となる。
高山版ではフリーダムはフルバーストは接地している必要があるため、本作ではアラスカ戦でのフルバーストは無し。
というかディンの両腕を破壊しただけでフリーダムの戦闘シーン自体ほぼ無しである。


  • 機動戦士ガンダムSEED(PS2版)
『SEED』放送中にリリースされたゲームという事で、アラスカ戦が最終ミッションとして再現されている。
しかしゲームの都合もあってかなり強めのアレンジが入っており、
  • アラスカに到着したフリーダムはAAとの合流を目指しながら地上を歩いて移動する
    • この間AAもサイクロプスの事を聞き、原作の会話が移動中のフリーダムの背後で繰り広げられる
  • (ゲーム版ではいつもの事だが)フリーダムは敵MSを峰打ちしないので撃墜された敵兵(少年兵を含む)は絶望感溢れる断末魔を上げながら死んで行く
  • ボス敵としてデュエルが登場し、これを撃破するとステージクリア
  • AAとの合流後はキラが用意していた退路から撤退という形で、サイクロプスから逃げる様子をバックにエンドロール(ED:あんなに一緒だったのに)
という流れになっている。


  • 真ガンダム無双
フリーダム登場前後はデモムービー付きだが、
  • バズを構えるジンがAAに接近し発射された弾頭がカーブを描きながら艦橋の根本に命中する様子
  • ジンの一機がゴットフリートの直撃を受けて真っ二つになるも直後に別にジンがAA接近して行く様子*4
  • AAの艦橋にジンが肉薄する前に別のジンが通り過ぎて行く様子
  • 直後に艦橋に迫ったジンがゆっくり機銃を構え、発砲されようとする様子
  • 更に直後にそれがフリーダムのビームライフルで破壊され怯む様子
  • 突然現れたフリーダムにジンが頭部を切り落とされる様子
  • 胸部、左側面、頭部アップ、ウイング展開の順に描かれるフリーダム
  • フリーダムに2機のジンが機銃を連射しながら接近する様子
  • フリーダムもスラスターを吹かして飛び上がり、武装を構えると共にマルチロックオンシステムを起動する様
  • 全門一斉射でジンの武装や頭部が破壊されて行く様や前方に向けて撃ちまくり爆炎が広がって行く
……と、本エピソードの印象的なカットが画角やMSの動き、発砲された砲弾に至るまで異様な細かさで見事に再現されている。


『SEED』初登場作品である『第3次α』では、前第34話と統合される形でやはりしっかり再現されている。
当該エピソードは第31話、サブタイトルはなんと「青き清浄なる世界のために」である。フリーダム差し置いてそっち!?

一矢三輪長官に前作『第2次α』でボッコボコされた意趣返しと言わんばかりに拷問じみた尋問されながら「αナンバーズの悪行」を証言する様に強請られたり、
マリュー・ブライトアムロといった指揮官クラスの面々や、イゴール長官岡長官といったαナンバーズの後援者らまでもがしばらく査問会に出頭させられ続ける中、
ザフトがJOSH-Aに攻撃の動きを見せ始めたため、一旦査問会は中断、ラー・カイラムは出撃し、原作と同様AAはアラスカ守備軍に編入、フレイ・ナタル・ムウは転属を命じられる。
また、ディアッカがミリアリアに要らん事を言って殺されかかるエピソードもここで描かれている*5

本作ではアラスカ守備軍はユーラシア連邦軍すらおらず、完全にαナンバーズとAAだけという状況となっている。
サイクロプスの事を知ったムウが出戻って来るのは同様だが、JOSH-Aの地下にサイクロプスが仕掛けられている事を伝えるのはイゴール長官となっている。
またマリューが自分の独断として撤収を命じたのに対し、ブライトが代わって自分の権限と命令でαナンバーズを撤退させた……と思いきや、
更にそれに代わって岡長官がαナンバーズ撤退の責任を取る形で彼らを逃がす事とした。
まぁ、この人達がいるのにマリューが撤収を命じるのもおかしいっちゃおかしい

途中でザフトに加えてブルーコスモスが差し向けたモビルドール部隊まで乱入、ジンの代わりにゴーストX-9がAAに肉薄して来た所でフリーダムが登場という展開となっている。
なお、『第3次α』には「Meteor」は実装されていないため、第4期OPである「Realize」をBGMにフリーダムが出現している。
デュエルがフリーダムに攻撃する下りも再現されているが、本作ではフリーダムの反撃でHPを半減させられ「もうやめるんだ!」と言われて素直に引き下がっており
また、「明らかに様子がおかしい」としてそのままザフト部隊も引き下がらせている。
これ以降、自部隊はモビルドール部隊と戦いながらエリア外への撤退を目指す事となり、ザフト部隊に損害を出さなければ熟練度を獲得できるようになる。

また基地施設内に残ったまま隔壁を下ろされ、JOSH-Aの自爆が迫りながらも脱出できないでいた万丈リリーナらを、
ヒイロゼロのツインバスターライフルを同じ場所に2発撃ち込み隔壁を破壊して救出するという、EWを意識したようなパートも挿入されている。
αシリーズにおいて、ヒイロがリリーナがいる隔壁をツインバスターライフルでぶっ壊そうとするのももう3回目である

最終的にイザークらはサイクロプスの話を信用して撤退たものの、スピットブレイクそのものが中断された訳ではないためハッタリと断じた別のザフトの大部隊がJOSH-Aに降下、
その後間もなくサイクロプスが作動したため、やむを得ずαナンバーズは撤退、
全ての責任を自ら被り最後まで基地内に残った岡長官はここで(おそらくは人間ポップコーンと化して)死亡し、後に幾ばくかの禍根を残す事となる。
イゴール長官もまた、岡長官と共に責任を被ろうとしたものの、岡長官に後事を託された事で苦渋の脱出を行う事になる。しかし、「順番の問題」と語ったように2話後の「暁への脱出」では岡長官の後を追うように……
サイクロプスの赤紫色のエネルギーが広がって行く様子やその後の大爆発も再現されているが、起動時のSEは何故かジェネシスである。

原作ではもう少し先の登場となるアズラエルは本エピソードで登場しており*6、相変わらずコーディネイター蔑視思想に凝り固まった様子を早くも見せてくれている。
リリーナと同行しており、戦闘停止を呼びかけるように要請する彼女を逆に脅してブルーコスモスに同調するよう強要するが、破嵐万丈に乱入され撤収を余儀なくされる。
その際、「破嵐財閥解体後もその豊富な資金力により、陰に日向に我々の行動を邪魔する男…」と、万丈自身も関心する程懇切丁寧に解説してみせた。

総じて、キラの合流や万丈の大立ち回り、まさかのEWのクライマックスの再現といった燃えるエピソードもあるにはあるものの、
暗い展開が続く何せ『イデオン』が参戦してるくらいだし第3次αの作風もあって全体的に陰惨なものが漂う後味の悪い回となっており、
αナンバーズは後ろ盾の一つである岡長官を失うという痛手を負い、この後イゴール長官も失う事になってリリーナやグローバルカットナルらの尽力も空しく遂には地球圏追放命令まで下ってしまう。
またこれまで地球の為に戦ってきたαナンバーズを露骨に排除しようとする動きに序盤から地球人同士の醜い争いへの不信感を募らせ、
かつて自身が否定したシャアの地球潰しに共感し始めていたカミーユの苦悩は頂点に至ってしまい、2話後の「暁への脱出」では遂に出撃拒否するまでに至ってしまう。
なお、オリジナル主人公の1人であるクスハ・ミズハもカミーユに賛同するかのごとく地球人同士の争いで信念を見失う事となった。
クスハ以外のオリジナル主人公は逆に前向きな態度でカミーユをフォローしようとしていたが、その時のカミーユにはあまり届かなかった模様。
そもそもサブタイトルからして、フリーダムの活躍というよりブルーコスモスの非道さが強調されたエピソードとなっている。
ちなみに岡長官の娘である岡めぐみは自分達が守ってきた同胞の陰謀で父親を失いながらも地球を見限る事なく気丈に振る舞って連邦を信じ、争いを平和的に解決しようと前向きに考えていた。*7

また本エピソードでキラがαナンバーズを一時離れていた時期は2週間とされているが、
公式年表によると、原作に於いてもキラのMIAからアラスカ戦までの時間経過は約2週間である。


J』では第37話にて再現されている。今度はサブタイトルはズバリ「舞い降りる剣」である。
こちらも原作第34話と統合する形で描写されている。

本作ではマルキオ導師の代わりにアラン・イゴールがキラを助け出しプラントに移送し、またテッサからの伝言という形でキラが「SEED」を持つ者である事を伝えている。
また、キラが一時離脱中にどこで何をしていたのかは次話で纏めて描かれる形となった『第3次α』に対し、
本作では原作と同様AAパートとキラパートが交互に挟まれるという演出となっている。

本作でもミリアリアとディアッカの絡みが描写されているが、原作とは異なる展開となっており、
復讐に殺される覚悟を決めていたディアッカに対して殺すつもりは無いミリアリアだったが、
偶然居合わせたフレイがキラを殺した仇と見てディアッカを殺そうとするというオリジナル展開になっている。

本作ではナタル・フレイ・ムウと一緒に、AAに同乗していたシモーヌ・ルフランも実家からの圧力に屈する形で降りる事となるが、
エイジ達はルフラン家がシモーヌを降ろすよう圧力をかけるほどの「何等かの情報」を掴んでいるのではないかと推測し*8、JOSH-Aの防衛戦力が無いも同然だった事から疑惑は深まり、フレイを残してムウと2人で基地に戻る展開となる。

本作ではAAにJOSH-A防衛を命じるサザーランド大佐に当たる人物はコルベット准将という事になっており、
やはり僅かな戦力でJOSH-A防衛に出撃する事になる。
ムウとシモーヌは二人揃って戦闘機で脱出しAAに合流、ルフラン家が掴んだ情報とは「サイクロプスによる自爆」と確信しそら娘だけでも降ろそうとするわな
それをAAに伝え、「4分以内にその場から撤退する事」を促す。
本作では「艦橋の目前に迫るジン」がカットされる形で「船体後方から接近するデュエル*9」となっており、そこにフリーダム乱入する格好となっている。
今回もBGMは「Meteor」ではなく、BGMは「STRIKE出撃」である。……あれ?*10
デュエルに入れた一撃目はビームライフルであったが、その後続けてビームサーベルで大きく損傷させる点は再現されており、デュエルはそのまま撤退となる。
その後は原作通りキラが全軍に戦場からの撤退を促し、その後は大きな問題や味方が巻き込まれたりグロ描写が発生したりは無くAA組は脱出に成功する。

原作や『第3次α』の様な陰惨なものが特に無い、おそらく原作も含め最も爽やかな「舞い降りる剣」という展開となっている。


W』では第41話「想いと力、その向かう先」で再現されたが…既に『第3次α』と『J』でやり切ってしまった感があるためか、
これまでノイ・ヴェルターとは別部隊だったAAが共にアラスカ守護軍に編入されて共闘し、成り行きでAAがノイ・ヴェルターに合流するという異色の流れになる。つまり、自部隊が原作で言うユーラシア連邦軍の立場
さらにはシナリオ後半はテッカマンブレードⅡ』と『オーガン』の原作再現が展開されるため、フリーダムの影が若干薄い感も否めない。
ちなみに『W』ではこの戦いにエドワード・ハレルソンやモーガン・シュバリエといったMSV出身キャラも参戦していた事になっている。
なお、地味に『第3次α』も『J』も部隊が二手に分かれてる最中の出来事だったので、コンシューマーのスパロボにおいて部隊全体で舞い降りる剣をやったのは今回が最初で最後だったり


X-Ω』では第2章終盤において再現。
本作ではキラはプラントへ渡らなかったため、黒の騎士団がサイクロプスの情報をリークした他、後述の余談の通りオマージュ元であるためかエゥーゴティターンズも戦列に加わっている上に、
ティターンズ兵たちは基地の自爆を知っていながら、それを承知の上で戦闘を行うという原作以上に狂気に満ちた苛烈な戦いとなった。


DD』では1章Part7にて再現。
概ね原作通りの流れだが、こちらではクルーゼの護衛としてガウルンも参加している。


本編直後を描く『ガンダムSEED Recollection』に本作戦の立案者メイア・シヴァが登場。
本作戦もバルトフェルドから「情報漏洩さえなければこれで戦争は決まっていた」と高く評価された。



余談


  • 時系列について
劇中描写上、スピットブレイクによるJOSH-A攻撃が本格化してからフリーダムが強奪された様に見えるが、
年表によると5/5のスピットブレイク発動から攻撃開始まで72時間のタイムラグがあるため、これらが同時進行に見えるのはあくまで演出上のものである。
視点と時間が交錯・前後しているため少々ややこしいが、時系列を揃えると、
  • AAに転属命令/スピットブレイク発動(第34話Aパート)
    • フリーダム強奪、アラスカに向けて移動開始(第34話ラスト(スピットブレイク発動直後))
      • 転属組がAAを離艦、脱出開始→JOSH-A攻撃開始→フレイ、クルーゼに誘拐される/フリーダム、アラスカに向けて移動中(と推定)(第34話Bパート(フリーダム強奪から3日経過))
といった流れとなる。


  • オマージュ元
全体的にファーストガンダムの現代版リメイクという感の強い『SEED』であるが、
35話で描かれている「地球軍が未だに残っている味方ごと本部を自爆させる」という作戦は、
『Z』で描かれたジャブローの核自爆のオマージュと考えられる。


  • 挿入歌について
フリーダムの戦闘シーンの挿入歌「Meteor-ミーティア-」は、本放送時には以前のエピソードでも流されていたが、
HDリマスター版では当該シーンは汎用BGMに差し替えられていたため、リマスター版で「ミーティア」が流れるのは今回が初となっている。


  • モブMSについて
かなり多数のMSが投入されたスピットブレイクであるが、その中には中々個性的な面子も含まれている。
分かりやすいのは強行偵察複座型のライフルを装備するジンや本編には珍しく機体番号のマーキングがされたMS等だが、
他にもフリーダムが戦場に現れる直前にディンの試作機に相当するジン戦術航空偵察タイプがAAに攻撃を加えているシーンがある。
特にこれといった活躍も無いままAAの対空砲火に撃墜されたが。


  • 対比?
『DESTINY』のシンの乗り換え回は「舞い降りる剣」とは様々な意味で真逆を意識されているのではないかと言われる事がある。

青空の中での戦闘だったフリーダム←→雨の降る夜間だったデスティニー
仲間の窮地に駆け付けたフリーダム←→裏切者と見做された上官を撃墜に出撃したデスティニー
大群を相手に無双したフリーダム←→一対一の戦いで優勢ではあったが圧倒とは行かなかったデスティニー
真に戦う覚悟を固め始めたキラ←→これ以降戦いに迷いを抱え始めるシン

……といった具合に対照的である。









編集者、ROM専、両方に伝えます。

アニヲタwikiは、間もなくラグナロクを作動させ、自爆します!

両方とも、直ちに閲覧を停止し、追記修正して下さい!

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ガンダムSEED
  • 機動戦士ガンダムSEED
  • フリーダムガンダム
  • 主人公機乗り換え回
  • トラウマ回
  • サイクロプス
  • グロ回
  • 燃え回
  • 神回
  • Meteor -ミーティア-
  • 所要時間30分以上の項目
  • 山口晋
  • 大貫健一
  • 植田洋一
  • ザフト
  • 架空の戦争
最終更新:2025年05月07日 16:28

*1 砂漠編終盤に相当する第20話。クルーゼとアスランがヘリオポリスの件を評議会に報告したり、アスランがクライン邸に遊びに行ったりしたエピソード。

*2 ムウの父親にして、クルーゼにとっては親とも自分自身とも言える人物。故人。

*3 JOSH-A以前の例であるグリマルディ戦線での自爆は「サイクロプスによる自爆」とは公表されていないが、ムウやAAクルーらは地下に巨大サイクロプスがあると聞いてすぐに事態を理解できていたため、サイクロプスという装置とその機構自体はC.E.世界では広く知られている可能性がある。

*4 厳密にはゴットフリートが直撃したのは原作ではシグー

*5 なお、その後のフレイの「コーディネイターなんてみんな死んじゃえば良いのよ!」以降のミリアリアとのやり取りはDVEである

*6 なんなら、序盤から顔は隠されつつも姿を見せている。

*7 一部のメンバーもカミーユと同様に連邦に対して不信感を口にしていたが、岡めぐみやブライトの言葉で思い留まった。

*8 このため、シモーヌも最終的にそれを探る目的で一旦AAを降りる事を決断している。

*9 上記の通りこれ自体は原作再現である

*10 原作第34話ラストのフリーダムがプラントを出発するシーンのBGMも「STRIKE出撃」であるため、位置がずれただけと見れば全くのおかしな選曲、という訳ではない。